JP2013030398A - 負極材料、その製造方法、非水電解質二次電池用負極および非水電解質二次電池 - Google Patents

負極材料、その製造方法、非水電解質二次電池用負極および非水電解質二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 Si系材料を負極活物質に使用しつつ、内部でのガス発生を抑制し得る非水電解質二次電池、該電池を構成し得る負極材料および非水電解質二次電池用負極、並びに前記負極材料の製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の負極材料は、非水電解質二次電池の負極に用いられるものであって、SiとOとを構成元素に含む材料(ただし、Siに対するOの原子比xは、0.5≦x≦1.5である)を活物質とし、かつX線回折スペクトルにおいて、LiSiFに由来の回折ピークを有することを特徴とするものである。また、本発明の非水電解質二次電池用負極は、本発明の負極材料を含有する負極合剤層を有することを特徴とし、本発明の非水電解質二次電池は、本発明の非水電解質二次電池用負極を有することを特徴とするものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内部でのガス発生を抑制し得る非水電解質二次電池、該電池を構成し得る負極材料および非水電解質二次電池用負極、並びに前記負極材料の製造方法に関するものである。
リチウムイオン二次電池をはじめとする非水電解質二次電池は、高電圧・高容量であることから、各種携帯機器の電源として広く採用されている。また、近年では電動工具などのパワーツールや、電気自動車・電動式自転車など、中型・大型サイズでの用途も広がりを見せている。
特に、小型化および多機能化が進んでいる携帯電話やゲーム機などに用いられる電池には、更なる高容量化が求められており、その手段として、高い充放電容量を示す電極活物質の研究・開発が進んでいる。なかでも、負極の活物質材料としては、従来のリチウムイオン二次電池に採用されている黒鉛などの炭素質材料に代えて、シリコン(Si)、スズ(Sn)など、より多くのリチウム(イオン)を吸蔵・放出可能な材料が注目されている、とりわけ、Siの超微粒子がSiO中に分散した構造を持つSiOは、負荷特性に優れるなどの特徴も併せ持つことが報告されている(特許文献1、2)。
ところで、非水電解質二次電池には、イオン伝導性を向上させるために例えばLiPF(六フッ化燐酸リチウム)などのフッ素含有リチウム塩を含む非水電解液などの非水電解質が封入されている。例えば、負極活物質に黒鉛などの炭素質材料を用いた非水電解質二次電池では、前記フッ素含有リチウム塩が電池内部の微量の水分と反応してHF(フッ酸)を生成し、このHFが負極活物質に作用することで、電池内部でCOやCOなどの気体が発生して、電池の膨れを引き起こすことが知られている。
一方、SiOなどのSi系材料を負極活物質に用いた非水電解質二次電池でも、電池内部においてガスが発生し得ることは判明している。その発生ガス成分の詳細は解明されていないが、例えば、腐食性の強いHFがSiOと反応してSFを発生させる虞もあり、電池内が、いわゆる半導体のエッチング工程のような環境になり得ることが考えられ、その場合、電池内でのガス発生が更に進む虞がある。電池内でのガス発生は、膨れを引き起こして電池特性の低下の原因となるのみならず、電池の破裂の原因となる虞もある。
こうしたことから、Si系材料を負極活物質とする非水電解質二次電池においても、内部でのガス発生を抑制する技術の開発が求められる。
Si系材料を負極活物質とした非水電解質二次電池ではないが、特許文献3には、隔離部材として負極に対向した面に二酸化ケイ素の微粉末を添加したフッ化ビニリデン共重合体膜を配置することで、電池の保存中にLiSiFが形成されて、高温保存におけるガス発生の抑制が可能であることが示されている。よって、Si系材料を負極活物質とした非水電解質二次電池においても、電池内部でLiSiFが形成され得る環境とすることで、電池内でのガス発生を抑制し得る可能性がある。
ところが、特許文献3によると、電池内でのLiSiFの形成反応は水の生成を伴う。そのため、電池内で形成された水によって、HFの生成が促進されてしまうなど、電池特性低下の懸念がある。
また、LiSiFを利用した電池については、特許文献4にも開示がある。しかし、特許文献4では、ケイ素を含む負極活物質を用いた電池においては、炭素材を用いた場合に比べて充放電効率が急激に低下する問題があることを掲げ、こうした問題の解決を課題として、炭素系負極活物質とLiSiFとの焼成物を負極活物質として用いることで、これを解決している。
特開2004−047404号公報 特開2005−259697号公報 特開2002−33128号公報 特開2010−257982号公報
このように、従来の技術では、SiOなどのSi系材料を負極活物質に使用した非水電解質二次電池において、電池特性への影響を抑えつつ、内部でのガス発生の抑制を良好に達成することは困難である。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、Si系材料を負極活物質に使用しつつ、内部でのガス発生を抑制し得る非水電解質二次電池、該電池を構成し得る負極材料および非水電解質二次電池用負極、並びに前記負極材料の製造方法を提供することにある。
前記目的を達成し得た本発明の負極材料は、非水電解質二次電池の負極に用いられるものであって、SiとOとを構成元素に含む材料(ただし、Siに対するOの原子比xは、0.5≦x≦1.5である。以下、当該材料を「SiO」と記載する。)を活物質とし、かつX線回折スペクトルにおいて、LiSiFに由来の回折ピークを有することを特徴とするものである。
本発明の負極材料は、Li含有化合物およびF含有化合物、またはLiおよびF含有化合物と、SiとOとを構成元素に含む材料(ただし、Siに対するOの原子比xは、0.5≦x≦1.5である)とを、有機溶媒に分散または溶解させて反応液を調製し、前記反応液を加熱する工程を有するか、または、LiSiFと、SiとOとを構成元素に含む材料(ただし、Siに対するOの原子比xは、0.5≦x≦1.5である)との混合物を加熱する工程を有する本発明の製造方法により製造することができる。
また、本発明の非水電解質二次電池用負極は、本発明の負極材料を含有する負極合剤層を有することを特徴とするものである。
更に、本発明の非水電解質二次電池は、正極、負極、非水電解質およびセパレータを備えており、前記負極に、本発明の非水電解質二次電池用負極を用いたことを特徴とするものである。
本発明によれば、Si系材料を負極活物質に使用しつつ、内部でのガス発生を抑制し得る非水電解質二次電池、該電池を構成し得る負極材料および非水電解質二次電池用負極、並びに前記負極材料の製造方法を提供することができる。
実施例1および比較例1の負極材料のX線回折スペクトルを表す図である。
本発明の負極材料は、SiOを活物質とし、かつX線回折スペクトルにおいて、LiSiFに由来の回折ピークを有している。
SiOは、Siの微結晶または非晶質相を含んでいてもよく、この場合、SiとOの原子比は、Siの微結晶または非晶質相のSiを含めた比率となる。すなわち、SiOには、非晶質のSiOマトリックス中に、Si(例えば、微結晶Si)が分散した構造のものが含まれ、この非晶質のSiOと、その中に分散しているSiを合わせて、前記の原子比xが0.5≦x≦1.5を満足していればよい。例えば、非晶質のSiOマトリックス中に、Siが分散した構造で、SiOとSiのモル比が1:1の材料の場合、x=1であるので、構造式としてはSiOで表記される。このような構造の材料の場合、例えば、X線回折分析では、Si(微結晶Si)の存在に起因するピークが観察されない場合もあるが、透過型電子顕微鏡で観察すると、微細なSiの存在が確認できる。
そして、本発明の負極材料は、X線回折スペクトルにおいて、LiSiFに由来の回折ピークを有している。すなわち、本発明の負極材料にはLiSiFが含まれており、これが、非水電解質二次電池内でのガス発生の抑制に寄与する。また、LiSiFは、負極材料の熱的安定性を高める作用も有するものと推測される。よって、本発明の負極材料を有する非水電解質二次電池(本発明の非水電解質二次電池)は、内部でのガス発生が抑制されており、また、安全性も良好にあることが期待される。
LiSiFのX線回折スペクトルでは、例えば、回折角2θが、21.6°付近(およそ21.6±0.3°)、23.1°付近(およそ23.1±0.3°)、42.9°付近(およそ42.9±0.3°)、55.9°付近(およそ55.9±0.3°)および68.7°付近(およそ68.7±0.3°)に回折ピークが観測される。一方、SiOのX線回折スペクトルで観察されるのは、回折角2θが25°付近および50°付近のブロードな回折ピークであるため、本発明の負極材料のX線回折スペクトルにおいて、SiOに由来の回折ピークとLiSiFに由来の回折ピークとは識別が可能である。
本発明の負極材料においては、LiSiFによる電池内でのガス発生抑制効果をより良好に確保する観点から、X線回折スペクトルにおいて、回折角2θが21.3°付近および42.9°付近に現れるLiSiFに由来の回折ピークにおけるピーク強度を、それぞれA、Bとし、回折角2θが25°付近および50°付近に現れるSiOに由来の回折ピークにおける、前記LiSiFに由来の前記2つの回折ピークと同じ回折角での回折強度を、それぞれC、Dとしたとき、強度比A/Cが1以上であり、かつ強度比B/Dが1以上であることが好ましい。
ここで、LiSiFに由来の回折ピークと、SiOに由来の回折ピークとは、回折角2θが21.3°付近および42.9°付近において重なるため、SiOに由来の回折ピークにおける前記回折強度CおよびDを直接求めることはできないが、LiSiFに由来の回折ピークと重ならない回折角の範囲でのSiOに由来の回折ピークの曲線を、前記回折強度CおよびDを求める回折角にまで内挿したときに得られる値を、回折強度CおよびDとすればよい。
また、本発明の負極材料においては、SiOの含有量を高めて負極の高容量化効果を良好に確保する観点から、前記強度比A/Cが1.5以下であり、かつ前記強度比B/Dが5以下であることが好ましい。
なお、本明細書でいう負極材料のX線回折スペクトルは、後述する実施例に記載の方法により測定したものである。
本発明の負極材料は、以下の製造方法(1)または製造方法(2)(本発明の負極材料の製造方法)により製造することができる。
製造方法(1)では、Li含有化合物およびF含有化合物、またはLiおよびF含有化合物と、SiOとを、有機溶媒に分散または溶解させて反応液を調製し、前記反応液を加熱する工程を経て、本発明の負極材料を製造する。
製造方法(1)では、Li含有化合物(Liを含有する化合物)とF含有化合物(Fを含有する化合物)とを用いてもよく、また、LiおよびF含有化合物(LiとFとを含有する化合物)を用いてもよい。
Li含有化合物としては、例えば、LiOH、LiCOなどが挙げられる。
F含有化合物としては、例えば、HFが挙げられる。
LiおよびF含有化合物としては、例えば、LiBF、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbFなどが挙げられる。
製造方法(1)では、LiおよびF含有化合物を使用することがより好ましい。
Li含有化合物およびF含有化合物、またはLiおよびF含有化合物と、SiOとを溶解または分散させる有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどの環状カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート;プロピオン酸メチルなどの鎖状エステル;γ−ブチロラクトンなどの環状エステル;ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、1,3−ジオキソラン、ジグライム、トリグライム、テトラグライムなどの鎖状エーテル;ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどの環状エーテル;アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリルなどのニトリル類;エチレングリコールサルファイトなどの亜硫酸エステル類;などが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの溶媒の中でも、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネートおよびメチルエチルカーボネートを含む混合溶媒が特に好ましい。
前記の溶媒に、Li含有化合物およびF含有化合物、またはLiおよびF含有化合物と、SiOとを投入し、LiおよびFの供給源となる化合物を溶媒に溶解させ、SiOを溶媒に分散させて反応液を調製する。
反応液におけるLi含有化合物およびF含有化合物、またはLiおよびF含有化合物の濃度は、例えば、前記例示のLiおよびF含有化合物を用いる場合には、反応液中のLiおよびF含有化合物の濃度は、1〜2mol/Lとすることが好ましい。
反応液におけるLi含有化合物およびF含有化合物、またはLiおよびF含有化合物の濃度を前記の値とし、また、反応液におけるSiOの含有量を、形成させるLiSiFの量に応じて調節することにより、製造される負極材料における前記強度比A/Cおよび前記強度比B/Dを、それぞれ前記好適値に調整することができる。
前記の反応液を加熱する際には、例えば、反応液を密閉容器内に封入した上で加熱を行う。この工程によって、LiSiFが形成される。
反応液の加熱に使用する密閉容器は、例えば、HFなどによる腐食に対する耐性のあるものが好ましく、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂製の容器や、PTFEなどのフッ素樹脂製の層を有するラミネートフィルム(金属−樹脂ラミネートフィルム)製の容器(袋など)などが好ましい。
反応液を加熱する際の条件は、加熱温度T(℃)を80℃以下とし、かつ加熱温度T(℃)と加熱時間C[hr(時間)]との積CT値(℃・hr)が、1920以上となるようにすることが好ましく、10000以上となるようにすることがより好ましい。こ れにより、本発明の負極材料を良好な生産性で製造することができる。
ただし、CT値をあまり大きくすると、負極材料の生産性向上効果が飽和するばかりか、負極材料の製造に付加するエネルギーが大きくなりすぎたり、使用する機材の耐久性が問題となったりする虞があるため、前記密閉容器内部での反応液の加熱時のCT値は、110000以下(25℃で半年、80℃で約60日)となるようにすることが好ましく、36000以下(25℃で2か月)となるようにすることがより好ましい。
また、加熱温度Tは、LiSiFの形成反応を良好に進める観点から、70℃以上とすることが好ましい。
前記加熱により得られた湿潤粉体を含む反応液を容器から取り出し、溶媒から湿潤粉体を濾別した後に乾燥することで、本発明の負極材料を得ることができる。
湿潤粉体の乾燥は、例えば、100〜120℃での真空乾燥を、12〜24時間行うことが好ましい。
なお、容器から取り出した湿潤粉体(それを含む反応液)は、濾過前に溶剤で洗浄することが好ましい。洗浄用の溶剤には、例えば、反応液用の溶媒として先に例示した各種有機溶媒を用いることができる。
製造方法(2)では、LiSiFとSiOとの混合物を加熱する工程を経て、本発明の負極材料を製造する。
LiSiFとSiOとの混合物を加熱する方法としては、例えば、マッフル炉などを用いて不活性雰囲気中で加熱する方法が挙げられる。
LiSiFとSiOとの混合物を加熱する際の条件は、加熱温度を500〜700℃とし、加熱時間を5〜15時間とすることが好ましい。
LiSiFとSiOとの混合物の組成は、これらの合計100質量%におけるLiSiFの量を、0.1〜5質量%とすることが好ましい。このような組成の混合物を用いることで、製造される負極材料における前記強度比A/Cおよび前記強度比B/Dを、それぞれ前記好適値に調整することができる。
製造方法(1)および製造方法(2)に使用するSiOは、大きすぎると、充放電に伴う体積膨張収縮により生じる新生面での不可逆容量の増大や、SiOとLiSiFとの接触面積の低下が生じる虞があることから、その平均粒子径が、0.2μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましい。また、充放電に伴う体積膨張収縮をバインダなどの緩衝層で吸収しやすくなることや、SiOとLiSiFとの接触面積を増加させ得ることから、製造方法(1)および製造方法(2)に使用するSiOの平均粒子径は、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。
なお、本明細書でいうSiOの平均粒子径は、例えば、レーザー散乱粒度分布計(例えば、堀場製作所製「LA−920」)を用い、媒体(水)に、SiOを分散させて測定した平均粒子径D50%である。
SiOを負極活物質として含む本発明の負極材料は、本発明の非水電解質二次電池用負極に使用される。すなわち、本発明の非水電解質二次電池用負極は、本発明の負極材料を含有する負極合剤層を、例えば集電体の片面または両面に有するものである。
本発明の非水電解質二次電池用負極において、前記負極材料は、炭素材料と複合化した複合体であることが好ましく、例えば、SiOの表面が炭素材料で被覆されていることが望ましい。本発明の負極材料に係るSiOは導電性が乏しいため、これを負極活物質として用いる際には、良好な電池特性確保の観点から、導電助剤を使用し、負極内におけるSiOと導電助剤との混合・分散を良好にして、優れた導電ネットワークを形成する必要がある。前記負極材料を炭素材料と複合化した複合体であれば、例えば、単に前記負極材料と炭素材料などの導電助剤とを混合して得られた材料を用いた場合よりも、負極における導電ネットワークが良好に形成される。
本発明の負極材料と炭素材料との複合体としては、前記のように、前記負極材料の表面を炭素材料で被覆したものの他、前記負極材料と炭素材料との造粒体などが挙げられる。
また、前記の、本発明の負極材料の表面を炭素材料で被覆した複合体を、更に導電助剤(炭素材料など)と複合化して用いることで、負極において更に良好な導電ネットワークの形成が可能となるため、より高容量で、より電池特性(例えば、充放電サイクル特性)に優れた非水電解質二次電池の実現が可能となる。炭素材料で被覆された前記負極材料と炭素材料との複合体としては、例えば、炭素材料で被覆された前記負極材料と炭素材料との混合物を更に造粒した造粒体などが挙げられる。
また、表面が炭素材料で被覆された前記負極材料としては、前記負極材料とそれよりも比抵抗値が小さい炭素材料との複合体(例えば造粒体)の表面が、更に炭素材料で被覆されてなるものも、好ましく用いることができる。前記造粒体内部で前記負極材料と炭素材料とが分散した状態であると、より良好な導電ネットワークを形成できるため、前記負極材料に係るSiOを負極活物質として含有する負極を有する非水電解質二次電池において、重負荷放電特性などの電池特性を更に向上させることができる。
本発明の負極材料との複合体の形成に用い得る前記炭素材料としては、例えば、低結晶性炭素、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維などの炭素材料が好ましいものとして挙げられる。
前記炭素材料の詳細としては、繊維状またはコイル状の炭素材料、カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラックを含む)、人造黒鉛、易黒鉛化炭素および難黒鉛化炭素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の材料が好ましい。繊維状またはコイル状の炭素材料は、導電ネットワークを形成し易く、かつ表面積の大きい点において好ましい。カーボンブラック(アセチレンブラック,ケッチェンブラックを含む)、易黒鉛化炭素および難黒鉛化炭素は、高い電気伝導性、高い保液性を有しており、更に、電池の充放電に伴う体積変化量の大きなSiO粒子が膨張収縮しても、その粒子との接触を保持し易い性質を有している点において好ましい。
また、詳しくは後述するように、本発明の非水電解質二次電池においては、黒鉛質炭素材料を負極活物質として、本発明の負極材料に係るSiOと共に使用することが好ましいが、この黒鉛質炭素材料を前記負極材料と炭素材料との複合体に係る炭素材料として使用することもできる。黒鉛質炭素材料も、カーボンブラックなどと同様に、高い電気伝導性、高い保液性を有しており、更に、前記負極材料に係るSiO粒子が膨張収縮しても、その粒子との接触を保持し易い性質を有しているため、前記負極材料との複合体形成に好ましく使用することができる。
前記例示の炭素材料の中でも、本発明の負極材料との複合体が造粒体である場合に用いるものとしては、繊維状の炭素材料が特に好ましい。繊維状の炭素材料は、その形状が細い糸状であり柔軟性が高いために電池の充放電に伴う前記負極材料に係るSiOの膨張収縮に追従でき、また、嵩密度が大きいために、SiO粒子と多くの接合点を持つことができるからである。繊維状の炭素としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、カーボンナノチューブなどが挙げられ、これらの何れを用いてもよい。
なお、繊維状の炭素材料は、例えば、気相法にて本発明の負極材料の表面に形成することもできる。
本発明の負極材料に係るSiOの比抵抗値が、通常、10〜10kΩcmであるのに対して、前記例示の炭素材料の比抵抗値は、通常、10−5〜10kΩcmである。
また、本発明の負極材料と炭素材料との複合体は、前記負極材料の表面の炭素材料被覆層を覆う材料層(難黒鉛化炭素を含む材料層)を更に有していてもよい。
負極に本発明の負極材料と炭素材料との複合体を使用する場合、前記負極材料と炭素材料との比率は、炭素材料との複合化による作用を良好に発揮させる観点から、前記負極材料100質量部に対して、炭素材料が、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましい。また、前記複合体において、前記負極材料と複合化する炭素材料の比率が多すぎると、負極合剤層中の前記負極材料量(そこに含まれるSiO量)の低下に繋がり、高容量化の効果が小さくなる虞があることから、前記負極材料100質量部に対して、炭素材料は、50質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることがより好ましい。
本発明の負極材料と炭素材料との複合体は、例えば下記の方法によって得ることができる。
まず、本発明の負極材料を複合化する場合の作製方法について説明する。本発明の負極材料が分散媒に分散した分散液を用意し、それを噴霧し乾燥して、前記負極材料の複合粒子を作製する。分散媒としては、例えば、エタノールなどを用いることができる。分散液の噴霧は、通常、50〜300℃の雰囲気内で行うことが適当である。前記の方法以外にも、振動型や遊星型のボールミルやロッドミルなどを用いた機械的な方法による造粒方法においても、同様の複合粒子を作製することができる。
なお、本発明の負極材料と、前記負極材料に係るSiOよりも比抵抗値の小さい炭素材料との造粒体を作製する場合には、前記負極材料が分散媒に分散した分散液中に前記炭素材料を添加し、この分散液を用いて、前記負極材料を複合化する場合と同様の手法によって複合粒子(造粒体)とすればよい。また、前記と同様の機械的な方法による造粒方法によっても、本発明の負極材料と炭素材料との造粒体を作製することができる。
次に、前記負極材料粒子(本発明の負極材料の複合粒子、または前記負極材料と炭素材料との造粒体)の表面を炭素材料で被覆して複合体とする場合には、例えば、前記負極材料粒子と炭化水素系ガスとを気相中にて加熱して、炭化水素系ガスの熱分解により生じた炭素を、粒子の表面上に堆積させる。このように、気相成長(CVD)法によれば、炭化水素系ガスが複合粒子の隅々にまで行き渡り、粒子の表面や表面の空孔内に、導電性を有する炭素材料を含む薄くて均一な皮膜(炭素材料被覆層)を形成できることから、少量の炭素材料によって前記負極材料粒子に均一性よく導電性を付与できる。
炭素材料で被覆された本発明の負極材料の製造において、気相成長(CVD)法の処理温度(雰囲気温度)については、炭化水素系ガスの種類によっても異なるが、通常、600〜1200℃が適当であり、中でも、700℃以上であることが好ましく、800℃以上であることが更に好ましい。処理温度が高い方が不純物の残存が少なく、かつ導電性の高い炭素を含む被覆層を形成できるからである。
炭化水素系ガスの液体ソースとしては、トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレンなどを用いることができるが、取り扱い易いトルエンが特に好ましい。これらを気化させる(例えば、窒素ガスでバブリングする)ことにより炭化水素系ガスを得ることができる。また、メタンガスやアセチレンガスなどを用いることもできる。
また、気相成長(CVD)法にて前記負極材料粒子(本発明の負極材料の複合粒子、または前記負極材料と炭素材料との造粒体)の表面を炭素材料で覆った後に、石油系ピッチ、石炭系のピッチ、熱硬化性樹脂、およびナフタレンスルホン酸塩とアルデヒド類との縮合物よりなる群から選択される少なくとも1種の有機化合物を、炭素材料を含む被覆層に付着させた後、前記有機化合物が付着した粒子を焼成してもよい。
具体的には、炭素材料で被覆された前記負極材料粒子(本発明の負極材料の複合粒子、または前記負極材料と炭素材料との造粒体)と、前記有機化合物とが分散媒に分散した分散液を用意し、この分散液を噴霧し乾燥して、有機化合物によって被覆された粒子を形成し、その有機化合物によって被覆された粒子を焼成する。
前記ピッチとしては等方性ピッチを、熱硬化性樹脂としてはフェノール樹脂、フラン樹脂、フルフラール樹脂などを用いることができる。ナフタレンスルホン酸塩とアルデヒド類との縮合物としては、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物を用いることができる。
炭素材料で被覆された前記負極材料粒子と前記有機化合物とを分散させるための分散媒としては、例えば、水、アルコール類(エタノールなど)を用いることができる。分散液の噴霧は、通常、50〜300℃の雰囲気内で行うことが適当である。焼成温度は、通常、600〜1200℃が適当であるが、中でも700℃以上が好ましく、800℃以上であることが更に好ましい。処理温度が高い方が不純物の残存が少なく、かつ導電性の高い良質な炭素材料を含む被覆層を形成できるからである。ただし、処理温度はSiOの融点以下であることを要する。
本発明の電池に係る負極活物質には、本発明の負極材料に係るSiOと共に黒鉛質炭素材料を使用することが好ましい。黒鉛質炭素材料を使用して負極活物質中のSiOの比率を下げることで、SiOの減量による高容量化効果の低下を可及的に抑制しつつ、電池の充放電に伴う負極(負極合剤層)の体積変化を抑えて、かかる体積変化によって生じ得る電池特性の低下を抑制することが可能となる。
前記負極材料に係るSiOと共に負極活物質として使用する黒鉛質炭素材料としては、例えば、鱗片状黒鉛などの天然黒鉛;熱分解炭素類、MCMB、炭素繊維などの易黒鉛化炭素を2800℃以上で黒鉛化処理した人造黒鉛;などが挙げられる。
なお、本発明に係る負極においては、本発明の負極材料に係るSiOを使用することによる高容量化の効果を良好に確保する観点から、本発明の負極材料と黒鉛質炭素材料との合計100質量%中における本発明の負極材料の含有量は、0.01質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましい。また、充放電に伴う負極の体積変化による問題をより良好に回避する観点から、本発明の負極材料と黒鉛質炭素材料との合計100質量%中における本発明の負極材料の含有量は、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
負極合剤層に係るバインダには、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などが好適に用いられる。更に、負極合剤層には、導電助剤として、アセチレンブラックなどの各種カーボンブラックやカーボンナノチューブ、炭素繊維などを添加してもよい。
負極は、例えば、本発明の負極材料(導電助剤である炭素材料と複合化されている場合を含む)およびバインダ、更には必要に応じて導電助剤を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)や水などの溶剤に分散させた負極合剤含有組成物を調製し(ただし、バインダは溶剤に溶解していてもよい)、これを集電体の片面または両面に塗布し、乾燥した後に、必要に応じてカレンダー処理を施す工程を経て製造される。ただし、負極の製造方法は、前記の方法に制限される訳ではなく、他の製造方法で製造してもよい。
負極合剤層の厚みは、集電体の片面あたり、集電体の片面あたり10〜100μmであることが好ましく、負極合剤層の密度(集電体に積層した単位面積あたりの負極合剤層の質量と、厚みから算出される)は、1.0〜1.9g/cmであることが好ましい。また、負極合剤層の組成としては、例えば、本発明の負極材料の量、前記負極材料と炭素材料との複合体を使用する場合には、その量、または前記負極材料もしくは前記負極材料と炭素材料との複合体と、黒鉛質炭素材料とを併用する場合には、それらの合計量が、80〜95質量%であることが好ましく、バインダの量が1〜20質量%であることが好ましく、導電助剤を使用する場合(本発明の負極材料と炭素材料との複合体に係る炭素材料を除く)には、その量が1〜10質量%であることが好ましい。
負極の集電体としては、銅製やニッケル製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、銅箔が用いられる。この負極集電体は、高エネルギー密度の電池を得るために負極全体の厚みを薄くする場合、厚みの上限は30μmであることが好ましく、機械的強度を確保するために下限は5μmであることが望ましい。
本発明の非水電解質二次電池は、正極、負極、非水電解質およびセパレータを備えており、負極が本発明の非水電解質二次電池用負極であればよく、その他の構成および構造については特に制限はなく、従来から知られている非水電解質二次電池で採用されている各種構成および構造を適用することができる。
本発明の非水電解質二次電池に係る正極には、例えば、正極活物質、バインダおよび導電助剤などを含む正極合剤層を、集電体の片面または両面に有する構造のものが使用できる。
正極活物質としては、従来から知られている非水電解質二次電池に使用されているもの、すなわち、Li(リチウム)イオンを吸蔵放出可能なリチウム含有複合酸化物が使用される。本発明の非水電解質二次電池に係る正極活物質には、リチウム含有複合酸化物の中でも、高容量であり、かつ熱安定性にも優れていることから、下記一般組成式(1)で表されるものを使用することが好ましい。
Li1+yMO (1)
[ただし、−0.15≦y≦0.15であり、かつ、Mは、少なくともNi、CoおよびMnを含む3種以上の元素群を表し、Mを構成する各元素中で、Ni、CoおよびMnの割合(mol%)を、それぞれa、bおよびcとしたときに、45≦a≦90、5≦b≦30、5≦c≦30および10≦b+c≦55である。]
前記一般組成式(1)で表されるリチウム含有複合酸化物において、Niは、その容量向上に寄与する成分である。
前記リチウム含有複合酸化物を表す前記一般組成式(1)における元素群Mの全元素数を100mol%としたとき、Niの割合aは、リチウム含有複合酸化物の容量向上を図る観点から、45mol%以上とすることが好ましく、50mol%以上とすることがより好ましい。ただし、元素群M中のNiの割合が多すぎると、例えば、CoやMnの量が減って、これらによる効果が小さくなる虞がある。よって、前記リチウム含有複合酸化物を表す前記一般組成式(1)における元素群Mの全元素数を100mol%としたとき、Niの割合aは、90mol%以下とすることが好ましく、70mol%以下とすることがより好ましい。
また、Coは前記リチウム含有複合酸化物の容量に寄与し、正極合剤層における充填密度向上にも作用する一方で、多すぎるとコスト増大や安全性低下を引き起こす虞もある。よって、前記リチウム含有複合酸化物を表す前記一般組成式(1)における元素群Mの全元素数を100mol%としたとき、Coの割合bは、5mol%以上30mol%以下とすることが好ましい。
また、前記リチウム含有複合酸化物においては、前記一般組成式(1)における元素群Mの全元素数を100mol%としたとき、Mnの割合cを、5mol%以上30mol%以下とすることが好ましい。前記リチウム含有複合酸化物に前記のような量でMnを含有させ、結晶格子中に必ずMnを存在させることによって、前記リチウム含有複合酸化物の熱的安定性を高めることができ、より安全性の高い電池を構成することが可能となる。
更に、前記リチウム含有複合酸化物において、Coを含有させることによって、電池の充放電でのLiのドープおよび脱ドープに伴うMnの価数変動を抑制し、Mnの平均価数を4価近傍の値に安定させ、充放電の可逆性をより高めることができる。よって、このようなリチウム含有複合酸化物を使用することで、より充放電サイクル特性に優れた電池を構成することが可能となる。
また、前記リチウム含有複合酸化物において、CoとMnとを併用することによる前記の効果を良好に確保する観点から、前記一般組成式(1)における元素群Mの全元素数を100mol%としたとき、Coの割合bとMnの割合cとの和b+cを、10mol%以上55mol%以下(より好ましくは50mol%以下)とすることが好ましい。
なお、前記リチウム含有複合酸化物を表す前記一般組成式(1)における元素群Mは、Ni、CoおよびMn以外の元素を含んでいてもよく、例えば、Ti、Cr、Fe、Cu、Zn、Al、Ge、Sn、Mg、Ag、Ta、Nb、B、P、Zr、Ca、Sr、Baなどの元素を含んでいても構わない。ただし、前記リチウム含有複合酸化物において、Ni、CoおよびMnを含有させることによる前記の効果を十分に得るためには、元素群Mの全元素数を100mol%としたときの、Ni、CoおよびMn以外の元素の割合(mol%)の合計をfで表すと、fは、15mol%以下とすることが好ましく、3mol%以下とすることがより好ましい。
例えば、前記リチウム含有複合酸化物において、結晶格子中にAlを存在させると、リチウム含有複合酸化物の結晶構造を安定化させることができ、その熱的安定性を向上させ得るため、より安全性の高い非水電解質二次電池を構成することが可能となる。また、Alがリチウム含有複合酸化物粒子の粒界や表面に存在することで、その経時安定性や電解液との副反応を抑制することができ、より長寿命の非水電解質二次電池を構成することが可能となる。
ただし、Alは充放電容量に関与することができないため、前記リチウム含有複合酸化物中の含有量を多くすると、容量低下を引き起こす虞がある。よって、前記リチウム含有複合酸化物を表す前記一般組成式(1)において、元素群Mの全元素数を100mol%としたときに、Alの割合を10mol%以下とすることが好ましい。なお、Alを含有させることによる前記の効果をより良好に確保するには、前記リチウム含有複合酸化物を表す前記一般組成式(1)において、元素群Mの全元素数を100mol%としたときに、Alの割合を0.02mol%以上とすることが好ましい。
前記リチウム含有複合酸化物において、結晶格子中にMgを存在させると、リチウム含有複合酸化物の結晶構造を安定化させることができ、その熱的安定性を向上させ得るため、より安全性の高い非水電解質二次電池を構成することが可能となる。また、非水電解質二次電池の充放電でのLiのドープおよび脱ドープによって前記リチウム含有複合酸化物の相転移が起こる際、MgがLiサイトに転位することによって不可逆反応を緩和し、前記リチウム含有複合酸化物の結晶構造の可逆性を高めることができるため、より充放電サイクル寿命の長い非水電解質二次電池を構成することができるようになる。特に、前記リチウム含有複合酸化物を表す前記一般組成式(1)において、x<0として、リチウム含有複合酸化物をLi欠損な結晶構造とした場合には、Liの代わりにMgがLiサイトに入る形でリチウム含有複合酸化物を形成し、安定な化合物とすることができる。
ただし、Mgは充放電容量への関与が小さいため、前記リチウム含有複合酸化物中の含有量を多くすると、容量低下を引き起こす虞がある。よって、前記リチウム含有複合酸化物を表す前記一般組成式(1)において、元素群Mの全元素数を100mol%としたときに、Mgの割合を10mol%以下とすることが好ましい。なお、Mgを含有させることによる前記の効果をより良好に確保するには、前記リチウム含有複合酸化物を表す前記一般組成式(1)において、元素群Mの全元素数を100mol%としたときに、Mgの割合を0.02mol%以上とすることが好ましい。
前記リチウム含有複合酸化物において粒子中にTiを含有させると、LiNiO型の結晶構造において、酸素欠損などの結晶の欠陥部に配置されて結晶構造を安定化させるため、前記リチウム含有複合酸化物の反応の可逆性が高まり、より充放電サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を構成できるようになる。前記の効果を良好に確保するためには、前記リチウム含有複合酸化物を表す前記一般組成式(1)において、元素群Mの全元素数を100mol%としたときに、Tiの割合を、0.01mol%以上とすることが好ましく、0.1mol%以上とすることがより好ましい。ただし、Tiの含有量が多くなると、Tiは充放電に関与しないために容量低下を引き起こしたり、LiTiOなどの異相を形成しやすくなったりして、特性低下を招く虞がある。よって、前記リチウム含有複合酸化物を表す前記一般組成式(1)において、元素群Mの全元素数を100mol%としたときに、Tiの割合は、10mol%以下とすることが好ましく、5mol%以下とすることがより好ましく、2mol%以下とすることが更に好ましい。
また、前記リチウム含有複合酸化物が、前記一般組成式(1)における元素群Mとして、Ge、Ca、Sr、Ba、B、ZrおよびGaより選ばれる少なくとも1種の元素M’を含有している場合には、それぞれ下記の効果を確保することができる点で好ましい。
前記リチウム含有複合酸化物がGeを含有している場合には、Liが脱離した後の複合酸化物の結晶構造が安定化するため、充放電での反応の可逆性を高めることができ、より安全性が高く、また、より充放電サイクル特性に優れる非水電解質二次電池を構成することが可能となる。特に、リチウム含有複合酸化物の粒子表面や粒界にGeが存在する場合には、界面でのLiの脱離・挿入における結晶構造の乱れが抑制され、充放電サイクル特性の向上に大きく寄与することができる。
また、前記リチウム含有複合酸化物がCa、Sr、Baなどのアルカリ土類金属を含有している場合には、一次粒子の成長が促進されて前記リチウム含有複合酸化物の結晶性が向上するため、活性点を低減することができ、正極合剤層を形成するための塗料(後述する正極合剤含有組成物)としたときの経時安定性が向上し、非水電解質二次電池の有する非水電解質との不可逆な反応を抑制することができる。更に、これらの元素が、前記リチウム含有複合酸化物の粒子表面や粒界に存在することで、電池内でCOガスが発生しても、これをトラップできるため、より貯蔵性に優れ長寿命の非水電解質二次電池を構成することが可能となる。特に、前記リチウム含有複合酸化物がMnを含有する場合には、一次粒子が成長し難くなる傾向があるため、Ca、Sr、Baなどのアルカリ土類金属の添加がより有効である。
前記リチウム含有複合酸化物にBを含有させた場合にも、一次粒子の成長が促進されて前記リチウム含有複合酸化物の結晶性が向上するため、活性点を低減することができ、大気中の水分や、正極合剤層の形成に用いるバインダ、電池の有する非水電解質との不可逆な反応を抑制することができる。このため、正極合剤層を形成するための塗料としたときの経時安定性が向上し、電池内でのガス発生をより良好に抑制することができ、より貯蔵性に優れ長寿命の非水電解質二次電池を構成することが可能となる。特に、前記リチウム含有複合酸化物がMnを含有する場合には、一次粒子が成長し難くなる傾向があるため、Bの添加がより有効である。
前記リチウム含有複合酸化物にZrを含有させた場合には、前記リチウム含有複合酸化物の粒子の粒界や表面にZrが存在することにより、前記リチウム含有複合酸化物の電気化学特性を損なうことなく、その表面活性を抑制するため、より貯蔵性に優れ長寿命の非水電解質二次電池を構成することが可能となる。
前記リチウム含有複合酸化物にGaを含有させた場合には、一次粒子の成長が促進されて前記リチウム含有複合酸化物の結晶性が向上するため、活性点を低減することができ、正極合剤層を形成するための塗料としたときの経時安定性が向上し、非水電解液との不可逆な反応を抑制することができる。また、前記リチウム含有複合酸化物の結晶構造内にGaを固溶することにより、結晶格子の層間隔を拡張し、Liの挿入および脱離による格子の膨張収縮の割合を低減することができる。このため、結晶構造の可逆性を高めることができ、より充放電サイクル寿命の高い非水電解質二次電池を構成することが可能となる。特に、前記リチウム含有複合酸化物がMnを含有する場合には、一次粒子が成長し難くなる傾向があるため、Gaの添加がより有効である。
前記Ge、Ca、Sr、Ba、B、ZrおよびGaより選ばれる元素M’の効果を得られやすくするためには、その割合は、元素群Mの全元素中で0.1mol%以上であることが好ましい。また、これら元素M’の元素群Mの全元素中における割合は、10mol%以下であることが好ましい。
元素群MにおけるNi、CoおよびMn以外の元素は、前記リチウム含有複合酸化物中に均一に分布していてもよく、また、粒子表面などに偏析していてもよい。
また、前記リチウム含有複合酸化物を表す前記一般組成式(1)において、元素群M中のCoの割合bとMnの割合cとの関係をb>cとした場合には、前記リチウム含有複合酸化物の粒子の成長を促して、正極(その正極合剤層)での充填密度が高く、より可逆性の高いリチウム含有複合酸化物とすることができ、かかる正極を用いた電池の容量の更なる向上が期待できる。
他方、前記リチウム含有複合酸化物を表す前記一般組成式(1)において、元素群M中のCoの割合bとMnの割合cとの関係をb≦cとした場合には、より熱安定性の高いリチウム含有複合酸化物とすることができ、これを用いた電池の安全性の更なる向上が期待できる。
前記の組成を有するリチウム含有複合酸化物は、その真密度が4.55〜4.95g/cmと大きな値になり、高い体積エネルギー密度を有する材料となる。なお、Mnを一定範囲で含むリチウム含有複合酸化物の真密度は、その組成により大きく変化するが、前記のような狭い組成範囲では構造が安定化され、均一性を高めることができるため、例えばLiCoOの真密度に近い大きな値となるものと考えられる。また、リチウム含有複合酸化物の質量当たりの容量を大きくすることができ、可逆性に優れた材料とすることができる。
前記リチウム含有複合酸化物は、特に化学量論比に近い組成のときに、その真密度が大きくなるが、具体的には、前記一般組成式(1)において、−0.15≦y≦0.15とすることが好ましく、yの値をこのように調整することで、真密度および可逆性を高めることができる。yは、−0.05以上0.05以下であることがより好ましく、この場合には、リチウム含有複合酸化物の真密度を4.6g/cm以上と、より高い値にすることができる。
前記一般組成式(1)で表されるリチウム含有複合酸化物は、Li含有化合物(水酸化リチウム・一水和物など)、Ni含有化合物(硫酸ニッケルなど)、Co含有化合物(硫酸コバルトなど)、Mn含有化合物(硫酸マンガンなど)、および元素群Mに含まれるその他の元素を含有する化合物(硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウムなど)を混合し、焼成するなどして製造することができる。また、より高い純度で前記リチウム含有複合酸化物を合成するには、元素群Mに含まれる複数の元素を含む複合化合物(水酸化物、酸化物など)とLi含有化合物とを混合し、焼成することが好ましい。
焼成条件は、例えば、800〜1050℃で1〜24時間とすることができるが、一旦焼成温度よりも低い温度(例えば、250〜850℃)まで加熱し、その温度で保持することにより予備加熱を行い、その後に焼成温度まで昇温して反応を進行させることが好ましい。予備加熱の時間については特に制限はないが、通常、0.5〜30時間程度とすればよい。また、焼成時の雰囲気は、酸素を含む雰囲気(すなわち、大気中)、不活性ガス(アルゴン、ヘリウム、窒素など)と酸素ガスとの混合雰囲気、酸素ガス雰囲気などとすることができるが、その際の酸素濃度(体積基準)は、15%以上であることが好ましく、18%以上であることが好ましい。
また、正極活物質には、前記一般組成式(1)で表されるリチウム含有複合酸化物以外のリチウム含有複合酸化物を用いてもよい。このようなリチウム含有複合酸化物としては、例えば、LiCoOなどのリチウムコバルト酸化物;LiMnO、LiMnOなどのリチウムマンガン酸化物;LiNiOなどのリチウムニッケル酸化物;LiCo1−xNiOなどの層状構造のリチウム含有複合酸化物;LiMn、Li4/3Ti5/3などのスピネル構造のリチウム含有複合酸化物;LiFePOなどのオリビン構造のリチウム含有複合酸化物;前記の酸化物を基本組成とし各種元素で置換した酸化物;などが挙げられる。
正極活物質には、前記一般組成式(1)で表されるリチウム含有複合酸化物も含めた前記例示のものを、それぞれ1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよいが、前記の通り、少なくとも、前記一般組成式(1)で表されるリチウム含有複合酸化物を使用することが好ましく、前記一般組成式(1)で表されるリチウム含有複合酸化物のみを使用するか、または、前記一般組成式(1)で表されるリチウム含有複合酸化物とLiCoOとを併用することがより好ましい。
なお、前記一般組成式(1)で表されるリチウム含有複合酸化物を他のリチウム含有複合酸化物と併用する場合には、前記一般組成式(1)で表されるリチウム含有複合酸化物の使用による効果をより良好に確保する観点から、他のリチウム含有複合酸化物の割合は活物質全体の80質量%以下とすることが望ましい。
正極合剤層に係るバインダには、負極合剤層用のバインダとして先に例示した各種バインダと同じものが使用できる。また、正極合剤層に係る導電助剤としては、例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛など)、人造黒鉛などの黒鉛(黒鉛質炭素材料);アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカ−ボンブラック;炭素繊維;などの炭素材料などが挙げられる。
正極は、例えば、正極活物質、バインダおよび導電助剤を、NMPなどの溶剤に分散させたペースト状やスラリー状の正極合剤含有組成物を調製し(ただし、バインダは溶剤に溶解していてもよい)、これを集電体の片面または両面に塗布し、乾燥した後に、必要に応じてカレンダー処理を施す工程を経て製造される。ただし、正極の製造方法は、前記の方法に制限される訳ではなく、他の製造方法で製造してもよい。
正極合剤層の厚みは、例えば、集電体の片面あたり10〜100μmであることが好ましく、正極合剤層の密度(集電体に積層した単位面積あたりの正極合剤層の質量と、厚みから算出される)は、3.0〜4.5g/cmであることが好ましい。また、正極合剤層の組成としては、例えば、正極活物質の量が60〜95質量%であることが好ましく、バインダの量が1〜15質量%であることが好ましく、導電助剤の量が3〜20質量%であることが好ましい。
集電体は、従来から知られている非水電解質二次電池の正極に使用されているものと同様のものが使用でき、例えば、厚みが10〜30μmのアルミニウム箔が好ましい。
本発明の非水電解質二次電池に係る非水電解質には、通常、リチウム塩を有機溶媒に溶解した溶液(非水電解液)が使用される。
非水電解液に用いるリチウム塩としては、溶媒中で解離してLiイオンを形成し、電池として使用される電圧範囲で分解などの副反応を起こしにくいものであれば特に制限はない。例えば、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbFなどの無機リチウム塩、LiCFSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiC2n+1SO(n≧2)、LiN(RfOSO[ここでRfはフルオロアルキル基]などの有機リチウム塩などを用いることができる。
このリチウム塩の非水電解液中の濃度としては、0.5〜1.5mol/lとすることが好ましく、0.9〜1.25mol/lとすることがより好ましい。
非水電解液に用いる有機溶媒としては、前記のリチウム塩を溶解し、電池として使用される電圧範囲で分解などの副反応を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどの環状カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート;プロピオン酸メチルなどの鎖状エステル;γ−ブチロラクトンなどの環状エステル;ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、1,3−ジオキソラン、ジグライム、トリグライム、テトラグライムなどの鎖状エーテル;ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどの環状エーテル;アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリルなどのニトリル類;エチレングリコールサルファイトなどの亜硫酸エステル類;などが挙げられ、これらは2種以上混合して用いることもできる。なお、より良好な特性の電池とするためには、エチレンカーボネートと鎖状カーボネートの混合溶媒など、高い導電率を得ることができる組み合わせで用いることが望ましい。
また、電池に使用する非水電解液には、充放電サイクル特性の更なる改善や、高温貯蔵性や過充電防止などの安全性を向上させる目的で、無水酸、スルホン酸エステル、ジニトリル、1,3−プロパンサルトン、ジフェニルジスルフィド、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、フルオロベンゼン、t−ブチルベンゼン、ビニレンカーボネートおよびその誘導体、ハロゲン置換された環状カーボネート(4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンなど)などの添加剤(これらの誘導体も含む)を適宜加えることもできる。
また、非水電解液にポリマーなどからなるゲル化剤を添加してゲル状(ゲル状電解質)として使用してもよい。
本発明の非水電解質二次電池に係るセパレータには、80℃以上(より好ましくは100℃以上)170℃以下(より好ましくは150℃以下)において、その孔が閉塞する性質(すなわちシャットダウン機能)を有していることが好ましく、通常の非水電解質二次電池などで使用されているセパレータ、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン製の微多孔膜を用いることができる。セパレータを構成する微多孔膜は、例えば、PEのみを使用したものやPPのみを使用したものであってもよく、また、PE製の微多孔膜とPP製の微多孔膜との積層体であってもよい。
なお、本発明の非水電解質二次電池に係るセパレータには、融点が140℃以下の樹脂を主体とした多孔質層(I)と、150℃以下の温度で溶融しない樹脂または耐熱温度が150℃以上の無機フィラーを主体として含む多孔質層(II)とを有する積層型のセパレータを使用することが好ましい。ここで、「融点」とはJIS K 7121の規定に準じて、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される融解温度を意味している。また、「150℃以下の温度で溶融しない」とは、JIS K 7121の規定に準じて、DSCを用いて測定される融解温度が150℃を超えているなど、前記融解温度測定時に150℃以下の温度で融解挙動を示さないことを意味している。更に、「耐熱温度が150℃以上」とは、少なくとも150℃において軟化などの変形が見られないことを意味している。
前記積層型のセパレータに係る多孔質層(I)は、主にシャットダウン機能を確保するためのものであり、非水電解質二次電池が多孔質層(I)の主体となる成分である樹脂の融点以上に達したときには、多孔質層(I)に係る樹脂が溶融してセパレータの空孔を塞ぎ、電気化学反応の進行を抑制するシャットダウンを生じる。
多孔質層(I)の主体となる融点が140℃以下の樹脂としては、例えばPEが挙げられ、その形態としては、前述の非水電解質二次電池に用いられる微多孔膜や、不織布などの基材にPEの粒子を含む分散液を塗布し、乾燥するなどして得られるものが挙げられる。ここで、多孔質層(I)の全構成成分中において、主体となる融点が140℃以下の樹脂の体積は、50体積%以上であり、70体積%以上であることがより好ましい。なお、例えば多孔質層(I)を前記PEの微多孔膜で形成する場合は、融点が140℃以下の樹脂の体積が100体積%となる。
前記積層型のセパレータに係る多孔質層(II)は、非水電解質二次電池の内部温度が上昇した際にも正極と負極との直接の接触による短絡を防止する機能を備えたものであり、150℃以下の温度で溶融しない樹脂または耐熱温度が150℃以上の無機フィラーによって、その機能を確保している。すなわち、電池が高温となった場合には、喩え多孔質層(I)が収縮しても、収縮し難い多孔質層(II)によって、セパレータが熱収縮した場合に発生し得る正負極の直接の接触による短絡を防止することがでる。また、この耐熱性の多孔質層(II)がセパレータの骨格として作用するため、多孔質層(I)の熱収縮、すなわちセパレータ全体の熱収縮自体も抑制できる。
多孔質層(II)を融点が150℃以上の樹脂を主体として形成する場合、例えば、150℃以下の温度で溶融しない樹脂で形成された微多孔膜(例えば前述のPP製の電池用微多孔膜)を多孔質層(I)に積層させる形態、150℃以下の温度で溶融しない樹脂の粒子などを含む分散液を多孔質層(I)に塗布し、乾燥して多孔質層(I)の表面に多孔質層(II)を形成する塗布積層型の形態が挙げられる。
150℃以下の温度で溶融しない樹脂としては、PP;架橋ポリメタクリル酸メチル、架橋ポリスチレン、架橋ポリジビニルベンゼン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体架橋物、ポリイミド、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合物などの各種架橋高分子微粒子;ポリスルフォン;ポリエーテルスルフォン;ポリフェニレンスルフィド;ポリテトラフルオロエチレン;ポリアクリロニトリル;アラミド;ポリアセタールなどが挙げられる。
150℃以下の温度で溶融しない樹脂の粒子を使用する場合、その粒径は、平均粒子径で、例えば、0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましく、また、10μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましい。なお、本明細書でいうセパレータに係る各種粒子の平均粒子径は、例えば、レーザー散乱粒度分布計(例えば、堀場製作所製「LA−920」)を用い、樹脂を溶解しない媒体に、これら微粒子を分散させて測定した平均粒子径D50%である。
多孔質層(II)を耐熱温度が150℃以上の無機フィラーを主体として形成する場合、例えば、耐熱温度が150℃以上の無機フィラーなどを含む分散液を、多孔質層(I)に塗布し、乾燥して多孔質層(II)を形成する塗布積層型の形態が挙げられる。
多孔質層(II)に係る無機フィラーは、耐熱温度が150℃以上で、電池の有する非水電解液に対して安定であり、更に電池の作動電圧範囲において酸化還元されにくい電気化学的に安定なものであればよいが、分散などの点から微粒子であることが好ましく、また、アルミナ、シリカ、ベーマイトが好ましい。アルミナ、シリカ、ベーマイトは、耐酸化性が高く、粒径や形状を所望の数値などに調整することが可能であるため、多孔質層(II)の空孔率を精度よく制御することが容易となる。なお、耐熱温度が150℃以上の無機フィラーは、例えば前記例示のものを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、耐熱温度が150℃の無機フィラーを、前述の150℃以下の温度で溶融しない樹脂と併用しても差し支えない。
多孔質層(II)に係る耐熱温度が150℃以上の無機フィラーの形状については特に制限はなく、略球状(真球状を含む)、略楕円体状(楕円体状を含む)、板状などの各種形状のものを使用できる。
また、多孔質層(II)に係る耐熱温度が150℃以上の無機フィラーの平均粒子径は、小さすぎるとイオンの透過性が低下することから、0.3μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましい。また、耐熱温度が150℃以上の無機フィラーが大きすぎると、電気特性が劣化しやすくなることから、その平均粒子径は、5μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましい。
多孔質層(II)において、150℃以下の温度で溶融しない樹脂および耐熱温度が150℃以上の無機フィラーは、多孔質層(II)に主体として含まれるものであるため、これらの多孔質層(II)における量[多孔質層(II)が150℃以下の温度で溶融しない樹脂および耐熱温度が150℃以上の無機フィラーのうちのいずれか一方のみを含有する場合は、その量であり、両者を含有する場合は、それらの合計量。150℃以下の温度で溶融しない樹脂および耐熱温度が150℃以上の無機フィラーの多孔質層(II)における量について、以下同じ。]は、多孔質層(II)の構成成分の全体積中、50体積%以上であり、70体積%以上であることが好ましく、80体積%以上であることがより好ましく、90体積%以上であることが更に好ましい。多孔質層(II)中の150℃以下の温度で溶融しない樹脂や耐熱温度が150℃以上の無機フィラーを前記のように高含有量とすることで、非水電解質二次電池が高温となった際にも、セパレータ全体の熱収縮を良好に抑制することができ、正極と負極との直接の接触による短絡の発生をより良好に抑制することができる。
なお、後述するように、多孔質層(II)には有機バインダも含有させることが好ましいため、150℃以下の温度で溶融しない樹脂および耐熱温度が150℃以上の無機フィラーの多孔質層(II)における量は、多孔質層(II)の構成成分の全体積中、99.5体積%以下であることが好ましい。
多孔質層(II)には、150℃以下の温度で溶融しない樹脂または耐熱温度が150℃以上の無機フィラー同士を結着したり、多孔質層(II)と多孔質層(I)との一体化などのために、有機バインダを含有させることが好ましい。有機バインダとしては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA、酢酸ビニル由来の構造単位が20〜35モル%のもの)、エチレン−エチルアクリレート共重合体などのエチレン−アクリル酸共重合体、フッ素系ゴム、SBR、CMC、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、架橋アクリル樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂などが挙げられるが、特に、150℃以上の耐熱温度を有する耐熱性のバインダが好ましく用いられる。有機バインダは、前記例示のものを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記例示の有機バインダの中でも、EVA、エチレン−アクリル酸共重合体、フッ素系ゴム、SBRなどの柔軟性の高いバインダが好ましい。このような柔軟性の高い有機バインダの具体例としては、三井デュポンポリケミカル社の「エバフレックスシリーズ(EVA)」、日本ユニカー社のEVA、三井デュポンポリケミカル社の「エバフレックス−EEAシリーズ(エチレン−アクリル酸共重合体)」、日本ユニカー社のEEA、ダイキン工業社の「ダイエルラテックスシリーズ(フッ素ゴム)」、JSR社の「TRD−2001(SBR)」、日本ゼオン社の「BM−400B(SBR)」などがある。
なお、前記の有機バインダを多孔質層(II)に使用する場合には、後述する多孔質層(II)形成用の組成物の溶媒に溶解させるか、または分散させたエマルジョンの形態で用いればよい。
前記塗布積層型のセパレータは、例えば、150℃以下の温度で溶融しない樹脂の粒子や耐熱温度が150℃以上の無機フィラーなどを含有する多孔質層(II)形成用組成物(スラリーなどの液状組成物など)を、多孔質層(I)を構成するための微多孔膜の表面に塗布し、所定の温度に乾燥して多孔質層(II)を形成することにより製造することができる。
多孔質層(II)形成用組成物は、150℃以下の温度で溶融しない樹脂の粒子および/または耐熱温度が150℃以上の無機フィラーの他、必要に応じて有機バインダなどを含有し、これらを溶媒(分散媒を含む。以下同じ。)に分散させたものである。なお、有機バインダについては溶媒に溶解させることもできる。多孔質層(II)形成用組成物に用いられる溶媒は、150℃以下の温度で溶融しない樹脂の粒子や無機フィラーなどを均一に分散でき、また、有機バインダを均一に溶解または分散できるものであればよいが、例えば、トルエンなどの芳香族炭化水素、テトラヒドロフランなどのフラン類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類など、一般的な有機溶媒が好適に用いられる。なお、これらの溶媒に、界面張力を制御する目的で、アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコールなど)、または、モノメチルアセテートなどの各種プロピレンオキサイド系グリコールエーテルなどを適宜添加してもよい。また、有機バインダが水溶性である場合、エマルジョンとして使用する場合などでは、水を溶媒としてもよく、この際にもアルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)を適宜加えて界面張力を制御することもできる。
多孔質層(II)形成用組成物は、150℃以下の温度で溶融しない樹脂の粒子および/または耐熱温度が150℃以上の無機フィラー、更には有機バインダなどを含む固形分含量を、例えば10〜80質量%とすることが好ましい。
なお、前記積層型のセパレータにおいて、多孔質層(I)と多孔質層(II)とは、それぞれ1層ずつである必要はなく、複数の層がセパレータ中にあってもよい。例えば、多孔質層(II)の両面に多孔質層(I)を配置した構成としたり、多孔質層(I)の両面に多孔質層(II)を配置した構成としてもよい。ただし、層数を増やすことで、セパレータの厚みを増やして電池の内部抵抗の増加やエネルギー密度の低下を招く虞があるので、層数を多くしすぎるのは好ましくなく、前記積層型のセパレータ中の多孔質層(I)と多孔質層(II)との合計層数は5層以下であることが好ましい。
本発明の電池に係るセパレータ(ポリオレフィン製の微多孔膜からなるセパレータや、前記積層型のセパレータ)の厚みは、例えば、10〜30μmであることが好ましい。
また、前記積層型のセパレータにおいては、多孔質層(II)の厚み[セパレータが多孔質層(II)を複数有する場合は、その総厚み]は、多孔質層(II)による前記の各作用をより有効に発揮させる観点から、3μm以上であることが好ましい。ただし、多孔質層(II)が厚すぎると、電池のエネルギー密度の低下を引き起こすなどの虞があることから、多孔質層(II)の厚みは、8μm以下であることが好ましい。
更に、前記積層型のセパレータにおいては、多孔質層(I)の厚み[セパレータが多孔質層(I)を複数有する場合は、その総厚み。以下同じ。]は、多孔質層(I)の使用による前記作用(特にシャットダウン作用)をより有効に発揮させる観点から、6μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。ただし、多孔質層(I)が厚すぎると、電池のエネルギー密度の低下を引き起こす虞があることに加えて、多孔質層(I)が熱収縮しようとする力が大きくなり、セパレータ全体の熱収縮を抑える作用が小さくなる虞がある。そのため、多孔質層(I)の厚みは、25μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、14μm以下であることが更に好ましい。
セパレータ全体の空孔率としては、電解液の保液量を確保してイオン透過性を良好にするために、乾燥した状態で、30%以上であることが好ましい。一方、セパレータ強度の確保と内部短絡の防止の観点から、セパレータの空孔率は、乾燥した状態で、70%以下であることが好ましい。なお、セパレータの空孔率:P(%)は、セパレータの厚み、面積あたりの質量、構成成分の密度から、下記(2)式を用いて各成分iについての総和を求めることにより計算できる。
P ={1−(m/t)/(Σa・ρ)}×100 (2)
ここで、前記(2)式中、a:全体の質量を1としたときの成分iの比率、ρ:成分iの密度(g/cm)、m:セパレータの単位面積あたりの質量(g/cm)、t:セパレータの厚み(cm)である。
また、前記積層型のセパレータの場合、前記(2)式において、mを多孔質層(I)の単位面積あたりの質量(g/cm)とし、tを多孔質層(I)の厚み(cm)とすることで、前記(2)式を用いて多孔質層(I)の空孔率:P(%)を求めることもできる。この方法により求められる多孔質層(I)の空孔率は、30〜70%であることが好ましい。
更に、前記積層型のセパレータの場合、前記(2)式において、mを多孔質層(II)の単位面積あたりの質量(g/cm)とし、tを多孔質層(II)の厚み(cm)とすることで、前記(2)式を用いて多孔質層(II)の空孔率:P(%)を求めることもできる。この方法により求められる多孔質層(II)の空孔率は、20〜60%であることが好ましい。
前記セパレータとしては、機械的な強度の高いものが好ましく、例えば突き刺し強度が3N以上であることが好ましい。例えば、充放電に伴う体積変化の大きなSiOを負極活物質として含む前記負極材料に使用した場合、充放電を繰り返すことで、負極全体の伸縮によって、対面させたセパレータにも機械的なダメージが加わることになる。セパレータの突き刺し強度が3N以上であれば、良好な機械的強度が確保され、セパレータの受ける機械的ダメージを緩和することができる。
突き刺し強度が3N以上のセパレータとしては、前述した積層型のセパレータが挙げられ、特に、融点が140℃以下の樹脂を主体とした多孔質層(I)に、耐熱温度が150℃以上の無機フィラーを主体として含む多孔質層(II)を積層したセパレータが好適である。それは、前記無機フィラーの機械的強度が高いため、多孔質層(I)の機械的強度を補って、セパレータ全体の機械的強度を高めることができるからであると考えられる。
前記突き刺し強度は以下の方法で測定できる。直径2インチの穴があいた板上にセパレータをしわやたわみのないように固定し、先端の直径が1.0mmの半円球状の金属ピンを、120mm/minの速度で測定試料に降下させて、セパレータに穴があく時の力を5回測定する。そして、前記5回の測定値のうち最大値と最小値とを除く3回の測定について平均値を求め、これをセパレータの突き刺し強度とする。
前記の正極と前記の負極と前記のセパレータとは、正極と負極との間にセパレータを介在させて重ねた積層電極体や、更にこれを渦巻状に巻回した巻回電極体の形態で本発明の非水電解質二次電池に使用することができる。
前記の積層電極体や巻回電極体においては、前記積層型のセパレータ、特に融点が140℃以下の樹脂を主体とした多孔質層(I)に、耐熱温度が150℃以上の無機フィラーを主体として含む多孔質層(II)を積層したセパレータを使用する場合、多孔質層(II)が少なくとも正極と面するように配置することが好ましい。なお、この場合、耐熱温度が150℃以上の無機フィラーを主体として含み、より耐酸化性に優れる多孔質層(II)が正極と面することで、正極によるセパレータの酸化をより良好に抑制できるため、電池の高温時の保存特性や充放電サイクル特性を高めることもできる。また、ビニレンカーボネートやその誘導体、シクロヘキシルベンゼンなど、非水電解質中に添加物を加えた場合、正極側で皮膜形成してセパレータの細孔を詰まらせ、電池特性の低下を引き起こす虞もある。そこで比較的ポーラスな多孔質層(II)を正極に対面させることで、細孔の目詰まりを抑制する効果も期待できる。
他方、前記積層型セパレータの一方の表面が多孔質層(I)である場合には、多孔質層(I)が負極に面するようにすることが好ましく、これにより、例えば、シャットダウン時に多孔質層(I)から溶融した熱可塑性樹脂が電極の合剤層に吸収されることを抑制して、効率よくセパレータの空孔の閉塞に利用することができるようになる。
本発明の非水電解質二次電池の形態としては、スチール缶やアルミニウム缶などを外装缶として使用した筒形(角筒形や円筒形など)などが挙げられる。また、金属を蒸着したラミネートフィルムを外装体としたソフトパッケージ電池とすることもできる。
本発明の非水電解質二次電池は、従来から知られている非水電解質二次電池が適用されている各種用途と同じ用途に用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
実施例1
<負極材料の作製>
平均粒子径が1μmのSiO粉末:0.4gと、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネートとを1:1:3(体積比)で混合した溶媒中に、LiPFを1mol/lの濃度で溶解して調製した反応液:0.4mlとを、ドライルーム中で、4.5cm×4cmサイズの袋状のラミネート容器内に封入した。次に、このラミネート容器を防爆機能付きの恒温槽内に入れ、80℃で所定時間貯蔵した(CT値が10960)。
その後、ドライルーム中で前記ラミネート容器を開封し、内容物をジメチルカーボネートで洗浄した。洗浄後の内容物を0.2μmポアのフィルターで濾過し、フィルター上に残った粉体を回収して120℃で12時間真空乾燥させて負極材料を得た。
得られた負極材料のX線回折スペクトルを、RIGAKU社製の「RINT2500V」を使用し、Cu−Kα線を用いて測定した。なお、測定条件は、スキャン範囲:2θ=10〜90°、ステップ幅:0.02°、計測時間:0.5秒とした。
前記負極材料のX線回折スペクトルを図1に示す。なお、図1には、前記負極材料の作製に用いたSiO、すなわち、後記の比較例1の負極材料のX線回折スペクトルを併せて示している。図1から明らかなように、前記負極材料のX線回折スペクトルには、LiSiFに由来の回折ピークが存在している。
<非水電解質二次電池の作製>
前記の負極材料5質量%と黒鉛95質量%とを活物質とする負極合剤層を有する負極と、LiCoOを正極活物質とする正極合剤層を有する正極とを、ポリオレフィン製の微多孔膜からなるセパレータを介在させつつ重ねて形成した積層電極体、および前記負極材料の作製に使用した反応液と同じ組成の非水電解液を、袋状のラミネート容器内に封入して非水電解質二次電池を作製した。
比較例1
実施例1で負極材料の作製に用いたものと同じSiO(反応液での処理を行っていないもの)を負極材料として、前記負極材料に代えて用いた以外は、実施例1と同様にして負極を作製し、この負極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
実施例1および比較例1の非水電解質二次電池について、4.2Vまで充電してから80℃で10日間貯蔵し、更に室温で2時間放置した後に、ラミネート容器内に溜まっているガス量を測定した。その結果、実施例1の非水電解質二次電池で測定されたガス量は、比較例1の非水電解質二次電池のガス量の76%であり、実施例1の電池ではガス発生を良好に抑制できていることが確認できた。

Claims (8)

  1. 非水電解質二次電池の負極に用いられる負極材料であって、
    SiとOとを構成元素に含む材料(ただし、Siに対するOの原子比xは、0.5≦x≦1.5である)を活物質とし、かつX線回折スペクトルにおいて、LiSiFに由来の回折ピークを有することを特徴とする負極材料。
  2. X線回折スペクトルにおいて、回折角2θが21.3°付近および42.9°付近に現れるLiSiFに由来の回折ピークにおけるピーク強度を、それぞれA、Bとし、
    回折角2θが25°付近および50°付近に現れるSiとOとを構成元素に含む材料に由来の回折ピークにおける、前記LiSiFに由来の前記2つの回折ピークと同じ回折角での回折強度を、それぞれC、Dとしたとき、
    強度比A/Cが1〜1.5であり、かつ強度比B/Dが1〜5である請求項1に記載の負極材料。
  3. 請求項1または2に記載の負極材料の製造方法であって、
    Li含有化合物およびF含有化合物、またはLiおよびF含有化合物と、SiとOとを構成元素に含む材料(ただし、Siに対するOの原子比xは、0.5≦x≦1.5である)とを、有機溶媒に分散または溶解させて反応液を調製し、前記反応液を加熱する工程を有することを特徴とする負極材料の製造方法。
  4. 反応液の加熱を、加熱温度T(℃)を80℃以下とし、かつ加熱温度T(℃)と加熱時間C(hr)との積が10000以上となる条件で実施する請求項3に記載の負極材料の製造方法。
  5. 請求項1または2に記載の負極材料の製造方法であって、
    LiSiFと、SiとOとを構成元素に含む材料(ただし、Siに対するOの原子比xは、0.5≦x≦1.5である)との混合物を加熱する工程を有することを特徴とする負極材料の製造方法。
  6. SiとOとを構成元素に含む材料に、平均粒子径が0.2〜10μmのものを使用する請求項3〜5のいずれかに記載の負極材料の製造方法。
  7. 請求項1または2に記載の負極材料を含有する負極合剤層を有することを特徴とする非水電解質二次電池用負極。
  8. 正極、負極、非水電解質およびセパレータを備えており、前記負極に、請求項7に記載の非水電解質二次電池用負極を用いたことを特徴とする非水電解質二次電池。
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