JP2013028894A - サンプラーに装着される方位確認用装置 - Google Patents

サンプラーに装着される方位確認用装置 Download PDF

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Abstract

【課題】方位に関する情報をもつコアの採取を可能にする方位確認用ヘッドを提供することである。
【解決手段】アウターヘッド(10a)に固定されたボーリングロッド(10b)内に収容されたベビーロッド(26)を備え、ベビーロッドが、コアが収納されるインナーチューブ(12)とともに回転できるように構成され、ベビーロッドの上端に、方位確認用目印(26a)が付けられることを特徴とする方位確認用ヘッド(20)が提供される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、岩盤や地盤のコアを採取するサンプリングを行うためのサンプラーに装着される方位確認用ヘッドに関する。
地層は、図10に示されるように傾きをもっているため、その広がりにはある方向性(構造)がある。また、地層の中には、亀裂・断層・滑り面などのように地層とは別の方向性をもつ構造が含まれることがある。このため、岩盤や地盤のサンプリングを行う際、地層の傾斜方向や亀裂などの方向の情報を取得できるのが理想的であり、非常に重要な意味をもつ。したがって、サンプリングされたコアにおいてその方位が確認できるようになると、地層に含まれる様々な三次元の地質情報が得られることとなる。
図11は、一例として、従来のダブルコアチューブ・サンプラーを用いてサンプリングを行っている例を示した模式図である。すなわち、図11(a)は、サンプラーが所定深度まで到達した状態を示している。この状態では、コアは周囲の地盤と連続しているので、アウターチューブを回転させて地中に押し込んでいく場合にも、(インナーチューブは、地盤とつながったコアとの摩擦があるため回転しないので)コアは方位に関する情報をもっている。一方、図11(b)は、インナーチューブ内にコアが収容されたので、コアの下端を切り離した状態を示している。この状態では、コアは周囲の地盤から切り離されたので、アウターチューブの回転に伴い、インナーチューブもベアリングを介して自由に回転するようになる。したがって、コアは方位に関する情報を失ったこととなる(換言すると、コアの下端を切り離した後にコアを地上に引き上げたとしても、地中においてインナーチューブが既に回転してしまっているため、コアの正確な方位を知ることができない)。このように、従来のサンプラーを用いてサンプリングした場合には、採取したコアの方位に関する情報を得ることができないという不都合があった。
本発明は、このような状況に鑑みて開発されたものであって、方位に関する情報をもつコアの採取を可能にする方位確認用ヘッドを提供することを目的としている。
本願請求項1に記載の方位確認用ヘッドは、アウターヘッドに固定されたボーリングロッド内に収容されたベビーロッドを備え、前記ベビーロッドが、コアが収納されるインナーチューブとともに回転できるように構成され、前記ベビーロッドの上端に、方位確認用目印が付けられることを特徴とするものである。
本願請求項2に記載の方位確認用ヘッドは、前記請求項1のヘッドにおいて、前記アウターヘッドとインナーヘッドとを貫通する連結ロッドと、前記連結ロッドの下端において前記連結ロッドと前記インナーヘッドとを固定するクランプと、前記連結ロッドの上端に設けられたn角形(n≧3)の横断面の凹部に、これに対応する形状の下端をもつ前記ベビーロッドの前記下端を嵌め込むことにより、前記ベビーロッドと前記インナーチューブがともに回転するように構成されていることを特徴とするものである。
本願請求項3に記載の方位確認用ヘッドは、アウターチューブが、インナーチューブとともに回転できるように構成され、アウターヘッドに固定されたボーリングロッドの上端に、方位確認用目印が付けられることを特徴とするものである。
本願請求項4に記載の方位確認用ヘッドは、前記請求項3のヘッドにおいて、前記アウターヘッドの上端に固定されたボックス状の連結構造体を備え、前記連結構造体の下面に貫通穴が設けられ、前記連結構造体の内部には、横断面がn角形(n≧3)で上端が開放した拘束部が配置されており、前記連結構造体の上部に、前記ボーリングロッドが連結されており、下端がインナーヘッドに固定された連結ロッドが、前記連結構造体の前記貫通穴を貫通し、外周に凹凸が形成された上端が前記連結構造体の前記拘束部内に延びており、前記ボーリングロッドを通して前記拘束部内に複数の鋼球を投入することにより、前記連結ロッドの回転を阻止し、前記アウターチューブと前記インナーチューブがともに回転できるように構成されていることを特徴とするものである。
本願請求項5に記載の方位確認用ヘッドは、垂直方向上方に延びたベビーロッドを備え、前記ベビーロッドの上端が、地上部においてやぐらに吊り下げられ、前記ベビーロッドの上端に、前記ベビーロッドから前記やぐらの支柱までほぼ水平方向に延びた方位確認用水平部材が取り付けられ、前記やぐらの支柱に当たっており、前記ベビーロッドが前記サンプラーの固定ピストンのピストンロッドに連結されていることを特徴とするものである。
本願請求項6に記載の方位確認用ヘッドは、前記請求項5のヘッドにおいて、前記インナーチューブが、透明又は半透明の材料で形成されていることを特徴とするものである。
本発明の方位確認用ヘッドを従来のサンプラーに装着することにより、コアの方位、すなわち地層の三次元的な情報を取得することができ、これにより地層、亀裂、断層などの走向傾斜や滑り面、漏水、湧水個所の方向などを推定することが可能になる。とりわけ、第2の実施の形態に係る方位確認用ヘッドでは、深度が深い場合でも対応することができる。また、第3の実施の形態に係る方位確認用ヘッドにおいてインナーチューブを透明又は半透明の材料で形成することにより、軟弱地層であっても、使用が容易な状態で方位確認用目印を付したコアを得ることができる。
次に図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態に係る方位確認用ヘッドについて詳細に説明する。本発明の好ましい実施の形態に係る方位確認用ヘッドは、3つの形態に大別される。そのうち第1の実施の形態および第2の実施の形態のものは、ロータリー式ダブルコアチューブ・サンプラーに適用され、第3の実施の形態のものは、ロータリー型の固定ピストン式サンプラーに適用される。
まず第1の実施の形態に係る方位確認用ヘッドについて説明する。図1は、第1の実施の形態に係る方位確認用ヘッドが装着されたダブルコアチューブ・サンプラーの長さ方向断面を模式的に示した図である。図1には、ダイヤビットなどの切削部14が下端に設けられたアウターチューブ(外管)10、およびアウターチューブ10内に収容されたインナーチューブ(内管)12が示されている。アウターチューブ10およびインナーチューブ12は、円筒形の管状部材によってそれぞれ形成されており、両者とも、下端が開放し、上端がヘッド部分(アウターヘッド10a、インナーヘッド12a)によって閉鎖されている。アウターチューブ10とインナーチューブ12は、ヘッド部分10a、12aのところで、ベアリングケース16を介して回転可能に連結されており、これにより、アウターチューブ10とインナーチューブ12は、互いに自由に回転するようになっている。また、アウターチューブ10のアウターヘッド10aには、上方に延びる円筒形のボーリングロッド10bが取り付けられている。なお、インナーチューブ12の先端には、採取したコアを地上に引き上げるのに使用するリフターケース12bが配置されている。以上の構成は、従来のダブルコアチューブ・サンプラーに用いられているものと同様である。
図1において全体として参照符号20で示される本発明の第1の実施の形態に係る方位確認用ヘッドは、アウターヘッド10aとインナーヘッド12aとを貫通する連結ロッド22と、連結ロッド22の下端において連結ロッド22とインナーヘッド12aとを固定するクランプ24とを備えている。クランプ24としては、公知のものを使用してよい。連結ロッド22の上端には、横断面が六角形の凹部22aが設けられている(図3(a)参照)。なお、連結ロッド22の上端の横断面を、六角形ではなく、n角形(n≧3)にしてもよい。
方位確認用ヘッド20はまた、ボーリングロッド10b内に収容されるベビーロッド26を備えている。ベビーロッド26の下端26aは、連結ロッド22の凹部22aに嵌め込むことができるように、凹部22aの横断面形状よりも僅かな小さな相似形の形状を有している。
次に、方位確認用ヘッド20の使用に関して説明する。まず、サンプリング作業を開始する。サンプリング作業においては、アウターチューブ10を回転させて土を切削しながら、サンプラーを地中に押し込み、サンプリングを行う(図4(a)参照)。そして、サンプリングが終了した後(すなわち、インナーチューブ12内にコアが押し込まれた後)、図4(b)に示されるように、ベビーロッド26の下端26aを連結ロッド22の上端の凹部22aに嵌め込み、ベビーロッド26の上端の適所に、所望の方位を示す目印26bを付ける(例えば、北の方位に目印を付ける)。しかる後、リフターケース12bでコアの下端を切り離す(図4(c)参照)と、インナーチューブ12は回転することとなるが、インナーチューブ12が(連結ロッド22、クランプ24を介して)目印26b付きのベビーロッド26に固定されているので、コアを地上に引き上げたときに、目印26bを見ることにより、インナーチューブ12内のコアの方位を確認することができる。
方位確認用ヘッド20は、深度が比較的浅い垂直ボーリング、斜めボーリング、水平ボーリングに特に適しており、砂礫層や岩盤破砕部までの広範囲の地層に用いられる。
次に、第2の実施の形態に係る方位確認用ヘッドについて説明する。第2の実施の形態に係る方位確認用ヘッドが装着されるサンプラーは、方位確認用ヘッド20が装着されるサンプラーと同様のものでよい。図5において全体として参照符号30で示される本発明の第2の実施の形態に係る方位確認型ヘッドは、アウターヘッド10aの上端にネジ(図示せず)などにより固定されたボックス状の連結構造体32を備えている。ボックス状の連結構造体32の下面には、貫通穴32aが設けられている。
連結構造体32の内部には、横断面が四角形で、上端が開放した拘束部32b(図6(a)参照)が配置されている。なお、拘束部32bの横断面は、図示したような四角形でなくとも、n角形(n≧3)であればよい。連結構造体32の上部には、図5に示されるように、ボーリングロッド10bが連結されている。
下端がクランプ34によってインナーヘッド12aに固定された連結ロッド36が、連結構造体32の貫通穴32aを貫通し、上端36aが連結構造体32内に延びている。連結ロッド36の上端36aは、外周に凹凸が形成された異形部となっており、上端36aが連結構造体32の拘束部32b内に収容されるようになっている(図5参照)。なお、クランプ34は、公知のものを使用してよい。
次に、方位確認用ヘッド30の使用に関して説明する。まず、サンプリング作業を開始する。サンプリング作業においては、アウターチューブ10を回転させて土を切削しながら、サンプラーを地中に押し込み、サンプリングを行う。そして、サンプリングが終了した後(すなわち、インナーチューブ12内にコアが押し込まれた後)、ボーリングロッド10bを通して拘束部32b内に鋼球32dを投入すると、拘束部32b内での上端36aの外周との間の隙間が鋼球32dで満たされるので(図6(b)参照)、連結ロッド36の回転が阻止され、アウターチューブ10とインナーチューブ12が固定されることとなる(換言すると、インナーチューブ12が回転すると、それに伴い、アウターチューブ10も回転する)。その際、ボーリングロッド10bの上端に、所望の方位を示す方位確認用目印38を付ける。しかる後、リフターケース12bでコアの下端を切り離すと、インナーチューブ12は回転することとなるが、インナーチューブ12が(連結ロッド36、クランプ34、ベビーロッド36を介して)アウターチューブ10とともに回転するので、コアを地上に引き上げたときに、ボーリングロッド10bの上端に付けられた方位確認用目印38を見ることにより、インナーチューブ12内のコアの方位を確認することができる。
方位確認用ヘッド30は、深度が比較的浅い垂直ボーリングから深い垂直ボーリングまでに適応している。深度が深くなる場合には、方位確認用ヘッド20では、多数本のベビーロッド26を継ぎ足す必要があるが、方位確認用ヘッド30では、地上からボーリングロッド10b内に鋼球32cを投入すれば、拘束部32b内に鋼球32dが充填され、アウターチューブ10とインナーチューブがともに回転するようにすることができるので、とりわけ有用である。方位確認用ヘッド30は、砂礫層や岩盤破砕部までの広範囲の地層に用いられる。
次に、第3の実施の形態に係る方位確認用ヘッドについて説明する。図7は、第3の実施の形態に係る方位確認用ヘッドが装着されたロータリー型の固定ピストン式サンプラーの長さ方向断面を模式的に示した図である。図7には、アウターチューブ(外管)40、およびアウターチューブ40内に収容されたインナーチューブ(内管)42が示されている。アウターチューブ40およびインナーチューブ42は、円筒形の管状部材によってそれぞれ形成されており、両者とも、下端が開放し、上端がヘッド部分(アウターヘッド40a、インナーヘッド42a)によって閉鎖されている。インナーチューブ42内には、固定ピストン44およびピストンロッド44aが収容されている。これにより、サンプラーを地中に押し込むと、アウターチューブ40およびインナーチューブ42は、固定ピストン44およびピストンロッド44aに沿って徐々に地中に押し入られ、インナーチューブ42にコアが採取されることとなる。以上の構成自体は、従来の固定ピストン式サンプラーに用いられているものと同様である。
図7において全体として参照符号50で示される本発明の第3の実施の形態に係る方位確認型ヘッドは、ピストンロッド44aに継手52aを介して固定され、垂直方向上方に延びたベビーロッド52を備えている。ベビーロッド52の上端は、図8に示されるように、地上部においてウォータースイベル45を貫通し、チェーン46を介して、やぐら48に吊り下げられている。また、ベビーロッド52の上端には、ベビーロッド52からやぐら48の支柱の1つまでほぼ水平方向に延びた方位確認用水平部材54が取り付けられ、支柱に当たっている。
インナーチューブ42は、内部のコアを見ることができるように、透明又は半透明の材料(例えば、アクリル樹脂)で形成するのが好ましいが、不透明の材料で形成してもよい。方位確認型ヘッド50は主として、軟弱地盤用として用いられるので、透明又は半透明の材料製のインナーチューブ42を用いた場合には、軟弱地層であっても、使用が容易な状態で方位確認用目印を付したコアを得ることができる。
方位確認用ヘッド50を使用したサンプリング作業においては、アウターチューブ40およびインナーチューブ42を地中に押し込む。すると、アウターチューブ40およびインナーチューブ42は、固定ピストン44およびピストンロッド44aに沿って徐々に地中に押し入られ(図9(b)参照)、インナーチューブ42内にコアが採取されることとなる(図9(c)参照)。この状態で、ピストンロッド44aおよびベビーロッド52を介して方位確認用水平部材54により、インナーチューブ42内のコアに方位確認情報が与えられている(やぐら48の1支柱に方位確認用水平部材54が当たっているため、ベビーロッド52(従って、インナーチューブ42およびその内部に収容されているコア)の回転が阻止される)。この状態でベビーロッド52に方位を付けてマーキングをして、コアを地上に引き上げることにより、方位確認情報が付されたコアを採取することができる。
方位確認用ヘッド50は、深度が比較的浅い軟弱地盤に適している。
本発明は、以上の発明の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
本発明の第1の実施の形態に係る方位確認用ヘッドが装着されたダブルコアチューブ・サンプラーの長さ方向断面を示した模式図である。 図1において、ベビーロッドが嵌め込まれていない状態を示した模式図である。 図3(a)は図2の線3a−3aに沿って見た図、図3(a)は図2の線3a−3aに沿って見た図である。 図1の方位確認用ヘッドの使用を説明するための図である。 本発明の第2の実施の形態に係る方位確認用ヘッドが装着されたダブルコアチューブ・サンプラーの長さ方向断面を示した模式図である。 図6(a)は図5の部分6aの拡大図、図6(b)は図6(a)の線6b−6bに沿って見た図、図6(c)は図6(b)において鋼球が充填されている状態を示した図である。 本発明の第3の実施の形態に係る方位確認用ヘッドが装着された固定ピストン式サンプラーの長さ方向断面を示した模式図である。 図7の方位確認用ヘッドの全体図である。 図7の方位確認用ヘッドの使用を説明するための図である。 サンプラーによりサンプリングしている状態を示した模式図である。 従来のダブルコアチューブ・サンプラーを用いてサンプリングを行っている例を示した模式図である。
10 アウターチューブ(外管)
10a アウターヘッド
10b ロッド
12 インナーチューブ(内管)
12a インナーヘッド
12b リフターケース
14 切削部
16 ベアリングケース
20 第1の実施の形態に係る方位確認用ヘッド
22 連結ロッド
22a 凹部
24 クランプ
26 ベビーロッド
26a 下端
26b 方位確認用目印
30 第2の実施の形態に係る方位確認用ヘッド
32 連結構造体
32a 貫通穴
32b 拘束部
32c 貫通穴
32d 鋼球
34 クランプ
36 連結ロッド
36a 上端
38 方位確認用目印
40 アウターチューブ(外管)
40a アウターヘッド
42 インナーチューブ(内管)
42a インナーヘッド
44 固定ピストン
44a ピストンロッド
45 ウォータースイベル
46 チェーン
48 やぐら
50 第3の実施の形態に係る方位確認用ヘッド
52 ベビーロッド
52a 継手
54 方位確認用水平部材
本発明は、岩盤や地盤のコアを採取するサンプリングを行うためのサンプラーに装着される方位確認用装置に関する。
地層は、図5に示されるように傾きをもっているため、その広がりにはある方向性(構造)がある。また、地層の中には、亀裂・断層・滑り面などのように地層とは別の方向性をもつ構造が含まれることがある。このため、岩盤や地盤のサンプリングを行う際、地層の傾斜方向や亀裂などの方向の情報を取得できるのが理想的であり、非常に重要な意味をもつ。したがって、サンプリングされたコアにおいてその方位が確認できるようになると、地層に含まれる様々な三次元の地質情報が得られることとなる。
図6は、一例として、従来のダブルコアチューブ・サンプラーを用いてサンプリングを行っている例を示した模式図である。すなわち、図6(a)は、サンプラーが所定深度まで到達した状態を示している。この状態では、コアは周囲の地盤と連続しているので、アウターチューブを回転させて地中に押し込んでいく場合にも、(インナーチューブは、地盤とつながったコアとの摩擦があるため回転しないので)コアは方位に関する情報をもっている。一方、図6(b)は、インナーチューブ内にコアが収容されたので、コアの下端を切り離した状態を示している。この状態では、コアは周囲の地盤から切り離されたので、アウターチューブの回転に伴い、インナーチューブもベアリングを介して自由に回転するようになる。したがって、コアは方位に関する情報を失ったこととなる(換言すると、コアの下端を切り離した後にコアを地上に引き上げたとしても、地中においてインナーチューブが既に回転してしまっているため、コアの正確な方位を知ることができない)。このように、従来のサンプラーを用いてサンプリングした場合には、採取したコアの方位に関する情報を得ることができないという不都合があった。
本発明は、このような状況に鑑みて開発されたものであって、方位に関する情報をもつコアの採取を可能にする方位確認用装置を提供することを目的としている。
本願請求項1に記載の装置は、アウターヘッドに固定されたボーリングロッドと、前記アウターヘッドとインナーヘッドとを貫通し、上端にn角形(n≧3)の横断面の凹部が設けられた連結ロッドと前記連結ロッドの下端において前記連結ロッドと前記インナーヘッドとを固定するクランプと上端に方位確認用目印が付けられ、下端が前記凹部に対応する形状をもつベビーロッドとを備え前記ベビーロッドを前記ボーリングロッド内に収容して下端を前記凹部に嵌め込むことにより、コアが収納されるインナーチューブと前記ベビーロッドとがともに回転し、前記コアの回収時に前記方位確認用目印を見ることにより前記コアの方位を確認できるように構成されていることを特徴とするものである。
本発明の方位確認用装置を従来のサンプラーに装着することにより、コアの方位、すなわち地層の三次元的な情報を取得することができ、これにより地層、亀裂、断層などの走向傾斜や滑り面、漏水、湧水個所の方向などを推定することが可能になる
次に図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態に係る方位確認用装置について詳細に説明する。図1は、本発明の好ましい実施の形態に係る方位確認用装置が装着されたダブルコアチューブ・サンプラーの長さ方向断面を模式的に示した図である。図1には、ダイヤビットなどの切削部14が下端に設けられたアウターチューブ(外管)10、およびアウターチューブ10内に収容されたインナーチューブ(内管)12が示されている。アウターチューブ10およびインナーチューブ12は、円筒形の管状部材によってそれぞれ形成されており、両者とも、下端が開放し、上端がヘッド部分(アウターヘッド10a、インナーヘッド12a)によって閉鎖されている。アウターチューブ10とインナーチューブ12は、ヘッド部分10a、12aのところで、ベアリングケース16を介して回転可能に連結されており、これにより、アウターチューブ10とインナーチューブ12は、互いに自由に回転するようになっている。また、アウターチューブ10のアウターヘッド10aには、上方に延びる円筒形のボーリングロッド10bが取り付けられている。なお、インナーチューブ12の先端には、採取したコアを地上に引き上げるのに使用するリフターケース12bが配置されている。以上の構成は、従来のダブルコアチューブ・サンプラーに用いられているものと同様である。
図1において全体として参照符号20で示される本発明の好ましい実施の形態に係る方位確認用装置は、アウターヘッド10aとインナーヘッド12aとを貫通する連結ロッド22と、連結ロッド22の下端において連結ロッド22とインナーヘッド12aとを固定するクランプ24とを備えている。クランプ24としては、公知のものを使用してよい。連結ロッド22の上端には、横断面が六角形の凹部22aが設けられている(図3(a)参照)。なお、連結ロッド22の上端の横断面を、六角形ではなく、n角形(n≧3)にしてもよい。
方位確認用装置20はまた、ボーリングロッド10b内に収容されるベビーロッド26を備えている。ベビーロッド26の下端26aは、連結ロッド22の凹部22aに嵌め込むことができるように、凹部22aの横断面形状よりも僅かな小さな相似形の形状を有している。
次に、方位確認用装置20の使用に関して説明する。まず、サンプリング作業を開始する。サンプリング作業においては、アウターチューブ10を回転させて土を切削しながら、サンプラーを地中に押し込み、サンプリングを行う(図4(a)参照)。そして、サンプリングが終了した後(すなわち、インナーチューブ12内にコアが押し込まれた後)、図4(b)に示されるように、ベビーロッド26の下端26aを連結ロッド22の上端の凹部22aに嵌め込み、ベビーロッド26の上端の適所に、所望の方位を示す目印26bを付ける(例えば、北の方位に目印を付ける)。しかる後、リフターケース12bでコアの下端を切り離す(図4(c)参照)と、インナーチューブ12は回転することとなるが、インナーチューブ12が(連結ロッド22、クランプ24を介して)目印26b付きのベビーロッド26に固定されているので、コアを地上に引き上げたときに、目印26bを見ることにより、インナーチューブ12内のコアの方位を確認することができる。
方位確認用装置20は、深度が比較的浅い垂直ボーリング、斜めボーリング、水平ボーリングに特に適しており、砂礫層や岩盤破砕部までの広範囲の地層に用いられる。
本発明は、以上の発明の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
本発明の好ましい実施の形態に係る方位確認用装置が装着されたダブルコアチューブ・サンプラーの長さ方向断面を示した模式図である。 図1において、ベビーロッドが嵌め込まれていない状態を示した模式図である。 図3(a)は図2の線3a−3aに沿って見た図、図3(a)は図2の線3a−3aに沿って見た図である。 図1の方位確認用装置の使用を説明するための図である。 サンプラーによりサンプリングしている状態を示した模式図である。 従来のダブルコアチューブ・サンプラーを用いてサンプリングを行っている例を示した模式図である。
10 アウターチューブ(外管)
10a アウターヘッド
10b ロッド
12 インナーチューブ(内管)
12a インナーヘッド
12b リフターケース
14 切削部
16 ベアリングケース
20 方位確認用装置
22 連結ロッド
22a 凹部
24 クランプ
26 ベビーロッド
26a 下端
26b 方位確認用目印
本願請求項1に記載の装置は、アウターヘッドに固定されたボーリングロッドと、前記アウターヘッドとインナーヘッドとを貫通し、上端にn角形(n≧3)の横断面の凹部が設けられた連結ロッドと、前記連結ロッドの下端において前記連結ロッドと前記インナーヘッドとを固定するクランプと、下端が前記凹部に対応する形状をもつベビーロッドとを備え、サンプリングが終了した後に、前記ベビーロッドを前記ボーリングロッド内に収容して下端を前記凹部に嵌め込み、上端に方位確認用目印を付け、前記コアの回収時に前記方位確認用目印を見ることにより前記コアの方位を確認できるように構成されていることを特徴とするものである。

Claims (6)

  1. ダブルコアチューブ・サンプラーに装着される方位確認用ヘッドであって、
    アウターヘッドに固定されたボーリングロッド内に収容されたベビーロッドを備え、
    前記ベビーロッドが、コアが収納されるインナーチューブとともに回転できるように構成され、前記ベビーロッドの上端に、方位確認用目印が付けられることを特徴とする方位確認用ヘッド。
  2. 前記アウターヘッドとインナーヘッドとを貫通する連結ロッドと、前記連結ロッドの下端において前記連結ロッドと前記インナーヘッドとを固定するクランプと、前記連結ロッドの上端に設けられたn角形(n≧3)の横断面の凹部に、これに対応する形状の下端をもつ前記ベビーロッドの前記下端を嵌め込むことにより、前記ベビーロッドと前記インナーチューブがともに回転するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載された方位確認用ヘッド。
  3. ダブルコアチューブ・サンプラーに装着される方位確認用ヘッドであって、
    アウターチューブが、インナーチューブとともに回転できるように構成され、
    アウターヘッドに固定されたボーリングロッドの上端に、方位確認用目印が付けられることを特徴とする方位確認用ヘッド。
  4. 前記アウターヘッドの上端に固定されたボックス状の連結構造体を備え、前記連結構造体の下面に貫通穴が設けられ、前記連結構造体の内部には、横断面がn角形(n≧3)で上端が開放した拘束部が配置されており、前記連結構造体の上部に、前記ボーリングロッドが連結されており、下端がインナーヘッドに固定された連結ロッドが、前記連結構造体の前記貫通穴を貫通し、外周に凹凸が形成された上端が前記連結構造体の前記拘束部内に延びており、前記ボーリングロッドを通して前記拘束部内に複数の鋼球を投入することにより、前記連結ロッドの回転を阻止し、前記アウターチューブと前記インナーチューブがともに回転できるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載された方位確認用ヘッド。
  5. 固定ピストン式サンプラーに装着される方位確認用ヘッドであって、
    垂直方向上方に延びたベビーロッドを備え、前記ベビーロッドの上端が、地上部においてやぐらに吊り下げられ、前記ベビーロッドの上端に、前記ベビーロッドから前記やぐらの支柱までほぼ水平方向に延びた方位確認用水平部材が取り付けられ、前記やぐらの支柱に当たっており、前記ベビーロッドが前記サンプラーの固定ピストンのピストンロッドに連結されていることを特徴とする方位確認用ヘッド。
  6. 前記インナーチューブが、透明又は半透明の材料で形成されていることを特徴とする請求項5に記載された方位確認用ヘッド。
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