JP6176847B2 - 定方位コア試料サンプリング方法、定方位コア試料マーキング方法、及び定方位コア凹部形成装置 - Google Patents
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Description
この方法は地盤を構成する地層の標本をサンプリングし、直接観察したり、分析したりすることが可能であるため、極めて有用な手段である。
つまり、コア試料から地層の形成状態、地層を形成する岩の種類、強度、及び含有物等を知ることができる。
上記シームは、傾斜が10度以下程度の緩い傾斜で分布している場合がある。このようなシームの厚さは、数cm〜20cm程度である。
図17は、二重管式固定軸を有する一般的な地質試料採取装置の概略構成を示す断面図である。
ここで、図17を参照して、地質試料採取装置200の構成について説明する。
地質試料採取装置200は、コアビット201と、アウターチューブ203と、インナーチューブヘッド204と、ワイヤ206と、インナーチューブ207と、コアリフタケース209と、コアリフタ211と、を有する。
インナーチューブ207の先端には、コアリフタ211を内側に収容するコアリフタケース209が取り付けられている。
コアリフタ211は、コアコアリフタケース209によって軸線方向の位置が拘束され、コアを保持したままインナーチューブヘッド204とともに引き上げられることで、コア試料を採取する。
特許文献2には、地盤中に穿設されたボーリング孔に挿入される基部と、該基部をボーリング孔の軸線方向に貫通し、該基部に対して少なくとも後退方向に移動可能に支持された複数の形状探査針と、基部のボーリング孔内における方向を記録する方位記録手段と、形状探査針の基部に対する移動に負荷を付与する制動手段と、を有する定方位コアサンプリング装置が開示されている。
しかしながら、実際には、例えば、コア試料が割れて回転することがあり、このようにコア試料が回転しているとコア試料の正確な方位を知ることができないという問題があった。
また、粘土を含んだ柔らかい地層からコア試料をサンプリングする際に、特許文献2に開示された定方位コアサンプリング装置を用いると、コア試料となる地層に複数の形状探査針の先端がめり込むため、正確な方位を知ることができないという問題があった。
図1は、地層のうち、定方位コア試料が採取されるコア試料採取領域に凹部を形成する前、及び凹部が形成されたコア試料採取領域を定方位コア試料として採取する際に使用するボーリング装置の概略構成を示す断面図である。
図1に示すAは、粘土を含み、かつ定方位コア試料が採取される領域(以下、「コア試料採取領域A」という)を示している。また、図1では、コア試料採取領域Aの直上までボーリング孔28が形成された状態を模式的に図示している。
図2は、図1に示すボーリング装置のB−B線方向の断面図である。図2において、図1に示すボーリング装置10と同一構成部分には、同一符号を付す。
ボーリング装置10は、支持体12と、回転駆動部15と、外管用ケーシングパイプ17と、内管19と、回転軸22と、ビット24と、引き揚げ及び引き下げ装置(図示せず)と、を有する。
脚部12Bは、地表11aの上方に回転駆動部支持部12Aを浮かした状態で、回転駆動部支持部12Aを支持するための部材である。
直径が88mmとされた定方位コア試料65(後述する図12(a)参照)を採取する場合、外管用ケーシングパイプ17の内径R1は、例えば、130mmとすることができる。この場合、外管用ケーシングパイプ17の外径R2は、例えば、140mmとすることができる。
内管19の形状は、円筒形状とされている。内管19の内周面には、定方位コア試料65を採取する際に定方位コア試料65の外周側面を覆うことで、定方位コア試料65が崩れることを防止するためのコア試料収容チューブ31(コアパック)が配置される。
回転軸22は、その内部に水を内管19の先端に向けて供給するための管路(図示せず)を有している。該管路を介して供給された水は、内管19と外管用ケーシングパイプ17との間の隙間を介して、地表11aに形成された回収池(図示せず)に回収され、再度、内管19内に供給される。
回転軸22の外径R5は、例えば、40mmとすることができる。
引き揚げ及び引き下げ装置(図示せず)は、外管用ケーシングパイプ17及び内管19を鉛直方向に対して下降させたり、引き揚げたりするための機械である。
図4は、図3に示す定方位コア凹部形成装置を構成するケーシングパイプ(第1の筒状部材)、ガイド部材、及び外管用ケーシングパイプの断面図である。図4において、図3に示す定方位コア凹部形成装置40と同一構成部分には、同一符号を付す。
図5は、図4に示す構造体をE視した平面図である。図5において、図2及び図4に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
このため、別途、全ての構成要素がボーリング装置10と異なる定方位コア凹部形成装置を準備する場合と比較して、定方位コア試料65の採取に要する費用(コスト)を低減することができる。
コア試料として直径が88mmのコア試料を採取する場合、ケーシングパイプ41の内径R6は、例えば、100mmとすることができる。このとき、ケーシングパイプ41の外径R7は、115mmとすることができる。
パイプ41−1,41−2のうち、一方のパイプが雌ねじとして機能し、他方のパイプが雄ねじとして機能する。
パイプ41−1,41−2の外周側面には、パイプ41−1,41−2の延在方向に延在する直線状の傷48が形成されている。パイプ41−1,41−2は、傷48が1つの直線となるように連結されている。
傷48は、ケーシングパイプ41をボーリング孔28内に配置させた際、傷48が第1の方位(例えば、「北」)を向くようにケーシングパイプ41の位置を調節するための目印である。
これにより、開口部43Bが第1の方位を向くように、開口部43Bの向きを正確に調節することができる。
このため、ガイド部材43に回転軸22の先端(下端部)に配置された凹部形成用ビット46が当接されると、回転軸22の先端に配置された凹部形成用ビット46が開口部43Aに案内され、回転軸22の下端が開口部43Aに挿入される。
これにより、凹部形成用ビット46は、開口部43Aの下方に配置されると共に、凹部の形成開始から凹部52(図10参照)の形成終了までの間、その位置が規制される。
このように、回転軸22が挿入される開口部43Aを、ガイド部材43とケーシングパイプ41の内壁とで区画することで、ケーシングパイプ41の中心線C1から最も離間した位置に凹部52を形成することが可能となるので、定方位コア試料65(図12(a)参照)を採取した際、定方位コア試料65の方位を容易に特定することができる。
この場合、平面視した状態(図7に示す状態)において、開口部43Aがケーシングパイプ41の中心線C1と開口部43Aの中心線C2とが離間していればよいが地層11中における定方位コア試料65(図12(a)参照)の方位を正確に求める観点から、中心線C1と中心線C2とをなるべく離間させることが好ましい。
凹部形成用ビット46の直径は、例えば、42mmとすることができる。
また、傾斜角度が10度程で、かつ厚さが数cm程度とされた粘土含有層56を含むように定方位コア試料65を採取する場合について説明する。
次いで、周知の手法により、ボーリング装置10を用いて、コア試料採取領域Aの上面が露出するまで地層11を掘り進める。これにより、ボーリング孔28が形成される。
このとき、ボーリング孔28の深さは、地表11aを基準として、数m〜数十mの浅い孔として形成する。また、ボーリング孔28の開口径は、例えば、116mmとすることができる。
また、先に説明したケーシングパイプ41の傷48(図5参照)が北側を向くように、ケーシングパイプ41の向きを調節する。このように、ケーシングパイプ41の向きの調整を精度良く行うことで、コア試料採取領域Aの北側に確実に開口部43Aを配置することができる。
次いで、回転する凹部形成用ビット46により、ボーリング孔28の底面28aの中心C3から外れたコア試料採取領域Aの上端部の一部を切削することで、少なくともコア試料採取領域Aの一部に第1の方位(本実施の形態の場合、一例として「北」)を特定するための凹部52を形成する。
これにより、後述する図11及び図12に示す工程で採取される定方位コア試料65に、第1の方位を特定するための切欠き部66を形成することが可能となる。これにより、定方位コア試料65の第1の方位を特定しやすくすることができる。
このため、別途、全ての構成要素がボーリング装置10と異なる定方位コア凹部形成装置を準備する場合と比較して、定方位コア試料65の採取に要する費用(コスト)を低減することができる。
これにより、全ての構成要素がボーリング装置10と異なる定方位コア凹部形成装置を準備する場合と比較して、作業効率を向上させることができる。
定方位コア試料65(言い換えれば、コア試料採取領域A)の直径が88mmで、定方位コア試料65の長さが1〜2mで、かつ凹部52の形状が円柱形状の場合、凹部52の直径R9は、例えば、88mmとすることができる。この場合、凹部52の深さDは、例えば、50〜150mmの範囲内で適宜設定することができる。
この場合、サンプリングされた定方位コア試料65の上端部に、凹部52が全て残存することになる。
これにより、定方位コア試料65の上端部に、図10に示す凹部52の一部が残存されることで、定方位コア試料65の上端部に、第1の方位を特定するための切欠き部66(言い換えれば、定方位コア試料65に残存する凹部52(図10参照))が形成される(後述する図12(a),(b)参照。)。
始めに、図13に示す工程では、円筒部材を半割することで形成される半割部材71を準備する。このとき、半割部材71の母材となる上記円筒部材(図示せず)としては、その内径が、定方位コア試料65及びコア試料収容チューブ31よりなる構造体の外径と等しいものを用いるとよい。
これにより、コア試料収容チューブ31と半割部材71の切断された部分との間の隙間が小さくなるため、定方位コア試料65の延在方向に対して、正確な方位をマーキングすることが可能となる。
このとき、半割部材71の一方の端71A側に切欠き部66(言い換えれば、定方位コア試料65に残存する凹部52(図10参照))を配置する。
その後、切欠き部66、及び切欠き部66の周囲に配置されたコア試料収容チューブ31を剥がして、切欠き部66の周囲に位置する定方位コア試料65の外周側面を露出させる。
方位決定部材75には、第2のマークG2と第3のマークG3とを結ぶ直線Lがマーキングされている。方位決定部材75の材料としては、例えば、木材、塩化ビニル、金属を用いることができる。
また、この段階において、定方位コア試料65に第1の方位を示すマークHを書き込む。
次いで、直線Lや第2ないし第4のマークG2〜G4、及び直角定規83を用いて、確実に第2のマークG2が真上を向くようにする。
図示してはいないが、直線Jがマーキングされた定方位コア試料65は、必要な部分(例えば、図12(a)に示す)が切断され、切断された部分の地質検査が行われる。
このように、ケーシングパイプ41の中央部にもガイド部材43を配置することで、該ガイド部材43により、回転する回転軸22の中央部の振れ回りを小さくすることが可能となる。これにより、回転軸22の先端(下端部)に配置された凹部形成用ビット46の振れ回りが小さくなるため、凹部形成用ビット46により形成される凹部52の位置精度を向上させることができる。
Claims (15)
- 地盤を構成する地層を定方位コア試料としてサンプリングする定方位コア試料サンプリング方法であって、
前記地盤に前記地層に到達する深さのボーリング孔を形成後、該ボーリング孔から露出された前記地層のうち、該地層の中心から外れた一部に第1の方位を特定するための凹部を形成する工程と、
少なくとも前記凹部の一部が残存するように、前記ボーリング孔の下方に位置する前記地層から前記定方位コア試料をサンプリングする工程と、
を含むことを特徴とする定方位コア試料サンプリング方法。 - 前記凹部を形成する工程では、前記凹部として円柱形状とされた孔を形成することを特徴とする請求項1記載の定方位コア試料サンプリング方法。
- 前記定方位コア試料をサンプリングする工程では、前記凹部を分断しないように、前記定方位コア試料をサンプリングすることで、該定方位コア試料に前記凹部を全て残存させることを特徴とする請求項1または2記載の定方位コア試料サンプリング方法。
- 前記定方位コア試料をサンプリングする工程では、前記凹部の一部を分断するように、前記定方位コア試料をサンプリングして、該定方位コア試料に前記凹部の一部を残存させることで、切欠き部を形成することを特徴とする請求項1または2記載の定方位コア試料サンプリング方法。
- 前記定方位コア試料をサンプリングする工程では、該定方位コア試料の外周側面がコア試料収容チューブで覆われた状態で、該定方位コア試料をサンプリングすることを特徴とする請求項1ないし4のうち、いずれか1項記載の定方位コア試料サンプリング方法。
- 請求項1ないし5のうち、いずれか1項記載の定方位コア試料サンプリング方法により、採取される前記定方位コア試料の延在方向に対して、前記第1の方位をマーキングする定方位コア試料マーキング方法であって、
円筒部材を半割することで形成される半割部材を準備する工程と、
前記半割部材の一方の端のうち、該半割部材の中央に位置する部分に、第1のマークをマーキングする工程と、
前記半割部材の一方の端側に前記定方位コア試料に残存する前記凹部が配置され、かつ前記半割部材の内面と前記定方位コア試料の外周側面とが接触するように、前記半割部材に前記定方位コア試料を載置する工程と、
前記定方位コア試料に残存する前記凹部に挿入される挿入部、及び該挿入部と一体とされ、かつ前記半割部材の一方の端側に位置する前記定方位コア試料の端面を覆う円盤部を有し、さらに前記円盤部に前記第1の方位を特定するための第2のマーク、及び前記第1の方位の反対側に位置する第2の方位を特定するための第3のマークがマーキングされた方位決定部材を準備する工程と、
前記定方位コア試料に残存する前記凹部の中心と前記定方位コア試料の中心とを通過する仮想平面が前記第2のマークと前記第3のマークとを結ぶ直線を通過するように、前記定方位コア試料に前記方位決定部材を装着する工程と、
前記半割部材に対して、前記方位決定部材及び前記定方位コア試料を一体的に回転させて、前記第1のマークと前記第3のマークとを一致させることで、前記第2のマークが真上を向くようにする工程と、
前記第2のマークを基準として、前記定方位コア試料の延在方向に対して、前記定方位コア試料の外周側面に、前記第1の方位を示す直線をマーキングする工程と、
を有することを特徴とする定方位コア試料マーキング方法。 - 前記定方位コア試料サンプリング方法では、前記定方位コア試料の外周側面がコア試料収容チューブで覆われた状態で、該定方位コア試料をサンプリングし、
前記半割部材の母材となる前記円筒部材の内径が前記定方位コア試料及び前記コア試料収容チューブよりなる構造体の外径と等しいことを特徴とする請求項6記載の定方位コア試料マーキング方法。 - 前記定方位コア試料を載置する工程では、前記コア試料収容チューブを介して、前記半割部材の内面と前記定方位コア試料の外周側面とが接触するように、前記半割部材に前記定方位コア試料を載置することを特徴とする請求項7記載の定方位コア試料マーキング方法。
- 定方位コア試料として採取される粘土を含んだ地層を有する地盤に、該地層に到達する深さのボーリング孔を形成後に使用する定方位コア凹部形成装置であって、
前記ボーリング孔に挿入され、該ボーリング孔の底面に到達する第1の筒状部材と、
前記第1の筒状部材の内壁に設けられ、該第1の筒状部材の中心からずれた第1の方位に配置された開口部を含むガイド部材と、
前記第1の筒状部材内に配置され、前記ガイド部材に案内されることで、前記開口部に挿入される回転軸と、
前記回転軸の上端と接続され、前記回転軸を回転させる回転駆動部と、
前記回転軸の下端と接続され、前記開口部の下方に位置する前記定方位コア試料となる前記地層を切削することで、凹部を形成する凹部形成用ビットと、
を有することを特徴とする定方位コア凹部形成装置。 - 前記ガイド部材の形状は、前記第1の筒状部材の上端から下端に向かうにつれて、幅が狭くなるテーパ形状であることを特徴とする請求項9記載の定方位コア凹部形成装置。
- 前記ガイド部材は、前記第1の筒状部材の下端部に配置することを特徴とする請求項9または10記載の定方位コア凹部形成装置。
- 前記開口部は、前記ガイド部材と前記第1の筒状部材の内壁とで区画されていることを特徴とする請求項9ないし11のうち、いずれか1項記載の定方位コア凹部形成装置。
- 前記第1の筒状部材との間に隙間を介在させた状態で、該第1の筒状部材を収容する第2の筒状部材を有することを特徴とする請求項9ないし12のうち、いずれか1項記載の定方位コア凹部形成装置。
- 前記回転軸及び前記回転駆動部は、前記ボーリング孔を形成する際に使用するボーリング孔形成装置を構成する回転軸及び回転駆動部を流用することを特徴とする請求項9ないし13のうち、いずれか1項記載の定方位コア凹部形成装置。
- 前記第2の筒状部材は、前記ボーリング孔を形成する際に使用するボーリング孔形成装置の外管用ケーシングパイプを流用することを特徴とする請求項13記載の定方位コア凹部形成装置。
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