JP2013028487A - シリカの製造方法及びシリカ - Google Patents

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Abstract

【課題】珪酸ナトリウム固体から濾過等で回収が容易なシリカを生成させるシリカの製造方法を提供する。更に、回収されたシリカ中のホウ素濃度も低減させる。
【解決手段】珪酸ナトリウム固体と酸性水溶液を反応させることにより、珪酸ナトリウム固体中の酸化ナトリウム分のみを溶出させ、珪酸ナトリウム固体中のシリカ分については実質的に溶解させることなく未溶解のまま残し、このシリカを回収する。
【選択図】なし

Description

本発明は、珪酸ナトリウム固体から酸化ナトリウム分のみを除去して比表面積の大きいシリカを回収するシリカの製造方法に関するものである。更に、好適には、シリコン(Si)を製造するSi製造プロセスで副生する珪酸ナトリウム固体から、シリカを効率良く簡便に回収してシリカを製造するシリカの製造方法及びこの方法によって得られたシリカに関するものである。
シリカ(SiO2)の製造方法には幾つかの方法があるが、代表的な製造方法の一つに、水ガラス(珪酸ナトリウム水溶液)に酸を添加してシリカを析出させ、これを回収する方法がある。ここで、水ガラスとは、ケイ砂とソーダ灰(工業用炭酸ナトリウム)を粉砕して溶融炉で加熱溶融した後、冷却固化して得られたカレットと呼ばれる珪酸ナトリウム固体を、水に溶解した水溶液のことである(通常、SiO2/Na2Oモル比は、2〜4である)。従って、水ガラスは、固形分の無い完全な液体(水溶液)であり、そのpHはアルカリ性である。この水ガラスに、塩酸、硫酸等の酸を添加すると、シリカが析出してくる(特許文献1〜6)。このシリカが析出した溶液をフィルタープレス等で濾過することにより、シリカを得ることができる。いわゆる、シリカゲルやシリカヒドロゲルである。
しかしながら、この様にして得られたシリカは、常に微細であったり、又はゲル状であったりすることが一般的で、濾過にかなりの困難が伴うという問題がある。すなわち、シリカの製造時に濾過に多大な時間がかかったリ、加圧操作あるいは減圧操作が必要であったり、また、濾過に使用する濾布の目詰まりが頻繁に起こるという問題がある。これら従来の方法は、その全てが、アルカリ金属珪酸塩水溶液(具体的には、ほとんどの場合に、珪酸ナトリウム水溶液である。)に酸を添加してシリカを生成させる方法であり、水溶液から析出したシリカは非常に微細であるか又はゲル状であって、その一次粒子は極めて小さく、最も大きいものでも数10nmより小さく、目詰まりするためにその濾過に困難が伴うほか、水分蒸発等による固液分離に多大なエネルギーと時間が消費されて効率的ではない。
また、固体の珪酸ナトリウムについては、上記の水ガラスの原料であるカレットの他に、シリコン製造時に副生されるものがあり、このSi製造プロセスで副生する珪酸ナトリウム固体についてもその再利用の方法が求められている。ここで、このようなSi製造プロセスで副生する珪酸ナトリウム固体としては、例えば、高純度の一酸化珪素(SiO)固体に、高温で、例えば水酸化ナトリウムを添加して高純度シリコンを製造するSi製造プロセスで副生する珪酸ナトリウムを含有する固体があり(特許文献7)、また、高温の溶融状態のシリコンに、例えば炭酸ナトリウムとシリカを添加し、生成した珪酸ナトリウム融液にホウ素を吸収させ、溶融シリコンから可及的にホウ素が除去された高純度シリコンを製造するSi精製プロセスで副生する珪酸ナトリウムを含有する固体がある(特許文献8)。
特許2,667,071号公報 特開平8-169,710号公報 特開平7-138,013号公報 特公昭62-12,171号公報 特公平02-46,521号公報 特公昭54-9,157号公報 特開2004-051,453号公報 特開2005-247,623号公報
そこで、本発明者は、上述したシリカゲル等の従来の工業的なシリカの製造方法における問題点を解決し、また、如何にして種々のSi製造プロセスやSi精製プロセスで副生する珪酸ナトリウム固体の有効利用を図るかについて、鋭意検討した結果、意外なことには、酸性水溶液中に珪酸ナトリウム固体を投入し、前記固体から酸化ナトリウムを酸性水溶液中に溶出させると、固体中にシリカ(SiO2)が溶解することなく残留し、この未溶解のシリカをろ過等の手段で容易に回収でき、しかも、得られたシリカがその一次粒子径や比表面積、更には多孔質性において優れた特性を有することを見出し、本発明を完成した。
従って、本発明の目的は、上記課題に鑑み、第一に、珪酸ナトリウム固体から、濾過で回収が容易なシリカの製造方法を提供することであり、第二に、高純度シリコン製造過程等の種々のSi製造プロセスで副生する珪酸ナトリウム固体から効率良くシリカを回収する方法を提供することであり、第三に、一次粒子径、比表面積、多孔質性等の物性において優れた特性を有するシリカを製造することを目的とするものである。
すなわち、本発明のシリカの製造方法を構成する手段及びこの方法によって得られたシリカは、次の通りである。
(1)酸性水溶液中に珪酸ナトリウム固体Aを投入し、前記固体Aから酸化ナトリウムを酸性水溶液中に溶出させ、前記固体A中の未溶解のSiO2を回収することを特徴とするシリカの製造方法である。
(2)前記固体Aが粒径0.01mm以上10mm以下の珪酸ナトリウムであることを特徴とする前記(1)に記載のシリカの製造方法である。
(3)前記固体Aが、Na2CO3とSiO2とを混合し、加熱して得られる珪酸ナトリウム固体であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のシリカの製造方法である。
(4)前記固体Aが、一酸化珪素(SiO)にナトリウム化合物を添加し加熱してシリコン(Si)を製造するSi製造プロセスで副生する珪酸ナトリウム固体であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のシリカの製造方法である。
(5)前記固体Aが、溶融シリコン(Si)にナトリウム化合物とSiO2とを添加して珪酸ナトリウム融液を生成させ、この珪酸ナトリウム融液中に溶融シリコン中のホウ素を吸収させてシリコン(Si)を精製するSi精製プロセスで副生する珪酸ナトリウム固体であることを特徴とする特徴とする(1)又は(2)に記載のシリカの製造方法である。
(6)前記酸性水溶液が、硫酸水溶液であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のシリカの製造方法である。
(7)前記酸性水溶液は、そのホウ素濃度が0.1質量%以下であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のシリカの製造方法である。
(8)一次粒子径が0.01mm以上10mm以下であって、比表面積が500m2/g以上であることを特徴とするシリカである。
本発明のシリカの製造方法によれば、珪酸イオンが溶解した水ガラスを経由しないので、珪酸ナトリウム固体から、通常濾過で回収が容易なシリカを容易に製造することができる。これは、得られるシリカの粒径が使用する珪酸ナトリウム固体の粒径と実質的に同じであるため、必要により珪酸ナトリウム固体の粒径を濾過容易なサイズにしておくことにより、得られるシリカも濾過容易な粒径のものが得られるためであると考えられる。また、本発明の方法により得られたシリカは、単位量当たりの表面積が非常に大きく、細孔が発達しており、工業的に非常に有用なシリカである。
更に、本発明のシリカの製造方法によれば、Si製造プロセスやSi精製プロセスで副生した珪酸ナトリウム固体からシリカを容易に回収でき、また、この回収したシリカをシリコン製造に再使用することができるので、Si製造プロセスやSi精製プロセスで副生する珪酸ナトリウム固体の有効利用を図ることができる。本発明のシリカ製造方法と複数の高純度シリコン製造方法と組み合わせることにより、シリカを新たに供給することが不要となり、所謂ゼロエミッションの状態に近づけることができる。
以下、本発明のシリカの製造方法について、その主構成を具体的に説明する。
先ず、本発明のシリカの製造方法は、珪酸ナトリウム固体(以下、固体Aということがある。)と、pHが−1以上7未満の酸性水溶液とを反応させることにより、前記固体Aに含まれる珪酸ナトリウムから酸化ナトリウム分のみを水溶液中に溶出させ、前記固体A中に含まれるシリカを固体として残し、このシリカ(SiO2)を濾過等の手段で回収する方法である。
本発明で使用する珪酸ナトリウム固体Aは、主としてシリカ成分と酸化ナトリウム成分とからなる固体であり、この固体Aに含まれる珪酸ナトリウムのSiとNaのモル比Si/Naについては、特に限定されるわけではないが、一般に入手し易いか、又は各種反応で生成する可能性が高いことから、通常、0.1以上20以下、好ましくは1以上5以下のものであるのがよい。このSiとNaのモル比Si/Naが、0.1未満であると、SiO2の含有量が少なすぎるので回収するシリカが少なく、経済的ではないことがあり、反対に、モル比Si/Naが20を超えると、シリカ塊の中に酸化ナトリウムが入った構造が多くなり、酸化ナトリウムを全て溶出できないこともある。そして、上述の珪酸ナトリウム固体の工業的製法であるNa2CO3とSiO2を混合し加熱する方法では、SiとNaのモル比Si/Naが1〜5程度のものが好適に得られ、また、前述のSi製造プロセスやSi精製プロセスで副生する珪酸ナトリウム固体では、SiとNaのモル比Si/Naが1〜4のものが好適に得られる。
次に、珪酸ナトリウム固体Aの粒径については、特に限定されるものではないが、粒径範囲が0.01mm以上10mm以下の範囲内、好ましくは0.1mm以上5mm以下の範囲内であるのがよい。珪酸ナトリウム固体Aと酸性水溶液との反応を速やかに進めるためには珪酸ナトリウム固体Aの粒径は細かい方が好ましいが、0.01mm未満では、粉砕して細かくするためにかなりの手間を要するし、粉砕の過程で不純物が混入する場合がある。また、得られるシリカの粒径は使用する珪酸ナトリウム固体Aの粒径と同一であるため、珪酸ナトリウム固体の粒径を濾過容易なサイズの0.01mm以上にしておくと、得られるシリカも濾過容易な粒径のものが得られ、従来法に比べ粒径が大きく、かつ、ゲル状でも無いので、濾過等による回収が非常に容易である。ここで言うところの、得られるシリカの粒径は一次粒子の粒径であり、つまり、珪酸ナトリウムから酸化ナトリウムが溶出してもそのままの形状を有しており、かつ、得られるシリカは凝集しない。得られるシリカの粒径が0.01mm以上であると濾過は容易であるので、この観点からも0.01mm以上が好ましい。一方、10mmを越えると、珪酸ナトリウム固体と酸溶液との反応に時間がかかって実用的でない場合が多い。工業的に生産される珪酸ナトリウムは1〜10cm程度のものが多いが、反応性及び経済性から固体Aの粒径は、0.1〜5mmの範囲のものが更に好ましい。珪酸ナトリウム固体Aの粒径が0.1〜5mmの範囲であると、濾過は非常に速やかに実施することができ、得られるシリカの表面積は500m2/g以上となる。
また、本発明において、珪酸ナトリウム固体Aと反応させる酸性水溶液の酸としては、特に限定されるわけではないが、硫酸の使用が一般的である。本発明を実施する場合、pHが低い酸を使用するが、設備的には発煙しない酸が使用し易いため、工業的に多用される塩酸、硫酸、硝酸の中では、室温では発煙しない硫酸が使用し易い。
この酸性水溶液のpHとしては、pHが−1以上7未満である。pHが−1未満の酸は一般に入手が困難であり、また、反応が激しくなり水溶液が激しく沸騰して反応制御が容易でない。一方、pHが7以上では、中性及び塩基性の水溶液となるので、珪酸ナトリウム固体Aと接触させても酸化ナトリウムの溶出がほとんど進まず、実用的ではない。
本発明方法においては、前記酸性水溶液と珪酸ナトリウム固体Aとを反応させ、珪酸ナトリウム固体A中の酸化ナトリウム分のみを溶液中に溶出させ、未溶解のシリカを回収する。本発明においては、珪酸ナトリウム固体A中のシリカ成分は一度も溶解することなく、反応後も固体のまま残留する。このため、前述したように、原料として用いた珪酸ナトリウム固体Aの粒径と生成物として得られるシリカの粒径とは概ね一致することとなる。そして、未溶解のまま残ったシリカからは、ナトリウム分が検出されないか、若しくは検出されても極僅かである。
珪酸ナトリウム固体Aと酸性水溶液とを反応させる際の温度については、酸性水溶液が安定に存在できる温度ならば特に限定されないが、10℃以上100℃以下、好ましくは20℃以上60℃以下が好ましい。10℃未満では、反応速度が遅く実用的でない場合がある。一方、沸点上昇により沸騰はしないが、100℃を超えると酸性水溶液中の水の急激な減少で水を供給しないといけないので工業的でない。一般に溶液反応は高温ほど速く進むが、本反応においては、20〜60℃で十分な反応速度を確保することができ、工業的により好ましい。
酸性水溶液の添加方法としては、初めに所定量の全てを添加してもよいし、又は、珪酸ナトリウム固体Aから酸化ナトリウムが溶出し、pHが上昇するに伴い追加添加してもよいし、更には、連続的に添加してもよい。酸性水溶液の最終的な添加総量は、珪酸ナトリウムから溶出する酸化ナトリウムを中和し、かつ、水溶液全体のpHを7未満に保てる量であればよい。これは、水溶液の最終的なpHが7以上となると、得られたシリカが僅かに溶解し、例えば、比表面積が減少する等のシリカ特性の劣化の可能性があるからである。
前述したように、本発明の珪酸ナトリウム固体Aとしては、Si製造プロセスで高純度シリコンの製造時に副生される珪酸ナトリウムを含有する固体を使用できるので、以下のようなシステムの構築が可能である。すなわち、高純度のSiO固体に高温で、例えば水酸化ナトリウムを添加して高純度シリコンを製造するSi製造プロセス(特許文献7)においては、前記出発原料となる高純度SiO固体を製造するための原料として本発明で得られるシリカを使用することができ、また、高温の溶融状態の金属シリコンに、例えば炭酸ナトリウムとシリカを添加して珪酸ナトリウム融液を形成させ、これにホウ素を吸収させ、金属シリコンからホウ素を除去することにより高純度シリコンを製造するSi精製プロセス(特許文献8)においても、このSi精製プロセスで使用するシリカとして本発明で得られるシリカを使用することができる。これらの方法においては、Si製造プロセスやSi精製プロセスで副生する珪酸ナトリウム固体をこのSi製造プロセスやSi精製プロセスで使用するシリカの製造原料とすることができ、シリカの再使用が可能となり、新しいシリカを新たに供給する必要が無くなり、これらのSi製造プロセスをゼロエミッションに近づけることが可能になる。
ところで、上記のSi製造プロセスで使用する高純度SiO固体の製造原料としてのシリカは、より高純度である方が得られる製造原料の高純度SiO固体の純度が高くなり、また、その結果として高純度SiO固体から得られる高純度シリコンもより高純度となる。また、上記のSi精製プロセスで使用する珪酸ナトリウム融液の製造原料であるシリカについても、このシリカ中のホウ素含有量が低い方が、得られるシリコン中のホウ素もより低くなる。これらのことから、本発明で得られるシリカが高純度であれば、特にホウ素含有量が低ければ、上記のSi製造プロセスやSi精製プロセスで使用するシリカとして非常に好ましいと言える。
この点に関して、本発明方法で得られるシリカは、特に次の反応条件を満たすことにより、非常にホウ素含有量が低くなることが見出された。すなわち、珪酸ナトリウム固体Aと反応させてこの固体Aから酸化ナトリウムを溶出させるために用いられる酸性水溶液中のホウ素濃度を0.1質量%以下とすればよい。これは、酸性水溶液中のホウ素が少ないので、本発明方法で回収される未溶解のシリカ中のホウ素濃度も低下すると考えられる。
また、更に本発明方法で回収されるシリカ中のホウ素濃度を下げたければ、酸化ナトリウム分の全てを溶出させた後に、最後に全水溶液のpHを−1以上3未満とするのが好ましい。ここで、酸化ナトリウム分の全てが溶出した状態とは、酸化ナトリウムの溶出が全量の90質量%以上、より好ましくは97質量%以上完了した時点をいい、この酸化ナトリウム分の溶出量は水溶液のpHを監視することにより、容易に把握することができる。
更にまた、必要により本発明方法で回収されるシリカ中のホウ素をより一層下げたければ、添加する酸性水溶液のpHを−1以上3以下とし、酸化ナトリウム溶出中の水溶液のpHを−1以上3未満とするのが好ましい。これらのメカニズムについては、pHを3未満にすることにより、珪酸ナトリウム固体A中のホウ素が弱酸のホウ酸となって溶出し、未溶解のまま残るシリカから除去されると推定される。
以上のように、珪酸ナトリウム固体Aと反応させる酸性水溶液中のホウ素濃度、更にはpHを制御することにより、本発明方法で回収されるシリカ中のホウ素濃度を下げることができる。これらの方法により、上記のSi製造プロセスやSi精製プロセスで使用するシリカとして、より好ましいシリカが回収できる。
本発明の現象が生じるメカニズムは現状では十分判明していないが、次のようなことが考えられる。
すなわち、固体が存在しない珪酸ナトリウム水溶液に酸を添加するとシリカが析出することから、逆に、酸性水溶液に珪酸ナトリウム固体を投入しても、シリカ分は溶解しないことが推測される。そして、珪酸ナトリウム固体中のアルカリ分である酸化ナトリウムは容易に溶解するとも考えられるが、通常は、このような反応は固体のごく薄い表面のみで起こる。つまり、珪酸ナトリウム固体全体から全ての酸化ナトリウム分が溶出するとは到底予想できないことである。勿論、工業的に意味が無いような極めて長い時間、例えば月・年の単位で、珪酸ナトリウム固体と酸性水溶液とを接触させれば、徐々に反応が進み、酸化ナトリウム分が溶出して、最終的にはシリカ分のみが固体のまま残ることが予想されるかもしれないが、工業的に意味のある時間内、例えば本発明の実施例に記載されているようなたかだか数〜10数時間程度でほとんど全ての酸化ナトリウム分のみが溶出し、かつ、実質的に全てのシリカ分が残ることは予想困難な現象である。本発明者は、正にこの点を見出し、新しいシリカの製造方法を発明するに至ったものである。
以上の本発明方法で回収されたシリカは、ガス吸着法による測定で、比表面積が580〜670m2/g程度であって、この値はゼオライト系CO2吸着剤の330〜430m2/g程度を凌ぐものであり、また、細孔分布に関しても、細孔半径1nm以下のミクロ孔がよく発達している。
このように、本発明方法により得られるシリカは、Si製造プロセスやSi精製プロセスで使用するシリカとしてだけでなく、吸着剤、吸収剤、触媒等の用途としても好適である。
〔実施例1〕
Na2CO3粉末44.10gとSiO2粉末100.00gとを混合した後、カーボンルツボに入れ、Arフロー下に1200℃で10分間加熱し、塊状の珪酸ナトリウム固体を製造した。得られた珪酸ナトリウム固体は、蛍光X線分析においてSiとNaのモル比Si/Naが2.0であった。これを粉砕し、篩を通して、粒径2.8〜4.0mmの範囲の珪酸ナトリウム粒(珪酸ナトリウム固体A)を得た。
別に、テフロン(登録商標)製の容器内に純水200gと濃硫酸11.9gとを入れて混合し、45℃でpHを測定したところ0.08であった。この硫酸水溶液に前記珪酸ナトリウム粒20gを投入し、45℃で3時間撹拌を行った。3時間後のpHは1.7であった。
このようにして得られた反応終了後の水溶液を濾過し、未溶解物を回収した。濾過は、非常に速く、1分程度で完了した。回収した未溶解物の粒径は前記珪酸ナトリウム粒の粒径と実質的に同じであった。
この回収した未溶解物を蛍光X線分析したところ、ナトリウム分は検出されず、シリカ分のみが検出された。シリカ分の総量は、硫酸水溶液に接触させる前の珪酸ナトリウム粒中に含有されていたシリカ分の総量と一致した。
〔実施例2〕
大きさが1cm程度のSiO固体250gと粒状の水酸化ナトリウム100gをカーボンルツボに入れ、Arフロー下に1500℃で1時間加熱した。冷却後にカーボンルツボ内を調べるとシリコン塊とガラス状の塊とが存在した。ガラス状の塊は、蛍光X線分析からSiとNaのモル比Si/Naが約2の珪酸ナトリウム固体(珪酸ナトリウム固体A)であった。
この珪酸ナトリウム固体を使用し、実施例1と同様の実験を行ったところ、実験経過も同様であった。回収した未溶解物の粒径は、使用した珪酸ナトリウム固体の大きさと同じで、粒径2.8〜4.0mmの範囲であった。
また、回収した未溶解物を蛍光X線分析したところ、ナトリウム分は検出されず、シリカ分のみが検出された。シリカ分の総量は、珪酸ナトリウム固体中に含有されていたシリカ分の総量と一致した。また、ICP-MSでホウ素含有量を分析したところ、前記珪酸ナトリウム固体中のホウ素が4.9質量ppmであったのに対し、回収されたシリカ中のホウ素含有量は0.11質量ppmであった。なお、硫酸水溶液中のホウ素濃度を分析したところ、未検出であった。
〔比較例1〕
使用した濃硫酸の量を10.9gとした以外は、上記の実施例2と同様の実験を行った。初期の硫酸水溶液のpHは0.4であって、珪酸ナトリウム固体と3時間反応させた後のpHは8.9であった。この反応後の水溶液を濾過したところ、液体の滴下が非常に遅く、吸引濾過に切り替えたが、それでも濾過終了までに4時間程度を要した。
得られた回収物の粒径は、投入した珪酸ナトリウム固体の大きさよりも小さく1mm程度であり、また、シリカと思われるゲル状の白色物も混在していた。この回収物を蛍光X線分析したところ、ナトリウム分が7.2質量%検出され、また、ホウ素濃度が4.1質量ppmであった。
〔比較例2〕
硫酸水溶液中にホウ酸溶液を添加し、ホウ素濃度を0.15質量%とした以外は、実施例2と同様の実験を行った。
回収した未溶解物を蛍光X線分析したところ、ナトリウム分は検出されず、シリカ分のみが検出された。また、ICP-MSでホウ素含有量を分析したところ、回収されたシリカ中のホウ素含有量は0.45質量ppmであった。
〔実施例3〕
ホウ素濃度12質量ppmの金属シリコン10kgをカーボンルツボに入れ、大気中にて1500℃で溶解させた後、ホウ素濃度4質量ppmのシリカ粒4kgと炭酸ナトリウム粉末4kgとを投入してスラグを形成させ、30分後にカーボンルツボを傾動して上部のスラグを排出した。この後、金属シリコンも排出しホウ素濃度を測定したところ、3.0質量ppmであった。
排出された上記スラグを蛍光X線で分析したところ、SiとNaのモル比Si/Naが約2の珪酸ナトリウム固体であった。この珪酸ナトリウム固体を使用し、実施例1と同様の実験を行ったところ、実験経過も同様であった。回収した未溶解物の粒径は、使用した珪酸ナトリウム固体の大きさと同じで、2.8〜4.0mmの範囲であった。
また、回収した未溶解物を蛍光X線分析したところ、ナトリウム分は検出されず、シリカ分のみが検出された。シリカ分の総量は、珪酸ナトリウム固体中に含有されていたシリカ分の総量と一致した。また、ICP-MSでホウ素含有量を分析したところ、珪酸ナトリウム固体中のホウ素含有量が15質量ppmであったのに対し、回収されたシリカ中のホウ素含有量は0.6質量ppmであった。
〔実施例4〕
珪酸ナトリウム固体の粒径を0.01〜0.02mmの範囲と細かくしたこと以外は実施例3と同様の実験を行ったところ、実験経過も実施例3と同様であった。回収された未溶解物の粒径は、使用した珪酸ナトリウム固体の大きさと同じで、0.01〜0.02mmの範囲であった。
また、回収された未溶解物を蛍光X線分析したところ、ナトリウム分は検出されず、シリカ分のみが検出された。シリカ分の総量は珪酸ナトリウム固体中に含有されるシリカ分の総量と一致した。また、ICP-MSでホウ素含有量を分析したところ、珪酸ナトリウム固体中のホウ素含有量が15質量ppmであったのに対し、回収されたシリカ中のホウ素含有量は0.6質量ppmであった。
〔比較例3〕
珪酸ナトリウム固体の大きさを55〜70mm程度の範囲とし、純水5kg、濃硫酸297.5g、及び前記珪酸ナトリウム固体500gを使用したこと以外は、実施例3と同様の実験を行った。
実験後、珪酸ナトリウム固体は崩壊しており、5mm程度の粒となっていた。この粒を回収し粉状に粉砕して蛍光X線分析したところ、ナトリウム分9.5質量%であった。また、ICP-MSでホウ素含有量を分析したところ、回収物中のホウ素含有量は5.2質量ppmであった。
〔実施例5〕
濃硫酸11.9gの代わりに濃塩酸24.1gを使用した以外は、実施例2と同様の実験を行った。
回収した未溶解物を蛍光X線分析したところ、ナトリウム分は0.16質量%と低く、大部分はシリカであり、ホウ素含有量は0.23質量ppmであった。
〔実施例6〕
使用した濃硫酸の量を11.4gとした以外は、実施例2と同様の実験を行った。初期の硫酸水溶液のpHは0.2であって、珪酸ナトリウム固体と3時間反応させた後のpHは3.5であった。
回収した未溶解物を蛍光X線分析したところ、ナトリウム分は検出されず、シリカ分のみが検出された。また、ICP-MSでホウ素含有量を分析したところ、回収シリカ中のホウ素含有量は0.23質量ppmと若干高めであった。
〔実施例7〕
実施例2及び実施例3で得られたシリカ粉末と市販のモレキュラーシーブについて、その表面積、及び細孔をガス吸着法により測定した。結果を表1に示す。
本発明によるシリカ粉末は、比表面積が大きく、細孔も良く発達していることが分かる。
Figure 2013028487
本発明により、珪酸ナトリウム固体からシリカを容易に製造することができる。また、本発明とSi製造プロセスやSi精製プロセス等の幾つかの高純度シリコン製造方法とを組み合わせることにより、シリカを新たに供給することが不要となり、所謂ゼロエミッションの状態に近づけることができる。更に、回収されたシリカは、比面積が大きく細孔も良く発達しているので、吸着剤用途等としても非常に有望である。

Claims (8)

  1. 酸性水溶液中に珪酸ナトリウム固体Aを投入し、前記固体Aから酸化ナトリウムを酸性水溶液中に溶出させ、前記固体A中の未溶解のSiO2を回収することを特徴とするシリカの製造方法。
  2. 前記固体Aが粒径0.01mm以上10mm以下の珪酸ナトリウム固体であることを特徴とする請求項1に記載のシリカの製造方法。
  3. 前記固体Aが、Na2CO3とSiO2とを混合し、加熱して得られる珪酸ナトリウム固体であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシリカの製造方法。
  4. 前記固体Aが、一酸化珪素(SiO)にナトリウム化合物を添加し加熱してシリコン(Si)を製造するSi製造プロセスで副生する珪酸ナトリウム固体であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシリカの製造方法。
  5. 前記固体Aが、溶融シリコン(Si)にナトリウム化合物とSiO2とを添加して珪酸ナトリウム融液を生成させ、この珪酸ナトリウム融液中に溶融シリコン中のホウ素を吸収させてシリコン(Si)を精製するSi精製プロセスで副生する珪酸ナトリウム固体であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシリカの製造方法。
  6. 前記酸性水溶液が、硫酸水溶液であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のシリカの製造方法。
  7. 前記酸性水溶液は、そのホウ素濃度が0.1質量%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のシリカの製造方法。
  8. 一次粒子径が0.01mm以上10mm以下であって、比表面積が500m2/g以上であることを特徴とするシリカ。
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