JP2023003497A - 合成シリカ粉の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】結晶シリカを採掘、それを石英ガラス原料にする工程による肺障害を減らすために、廃棄石英ガラスを珪酸アルカリとし、イオン交換処理し、酸処理、仮焼工程で製造すると、石英ガラスとしたときに、鉄含有量が多く、溶融した石英ガラスに黒点が発生していた。【解決手段】本発明は、廃棄石英ガラスを粉砕し、磁選をかけオートクレーブ中で珪酸アルカリとなし、過酸化水素を入れてから磁選およびろ過して珪酸アルカリからデルタ・オキシ酸化鉄を除き、これに次亜硫酸ナトリウムを加え、それを陽イオン交換、冷凍・解凍し、酸処理後に仮焼することで鉄に起因する黒点異物を改善したものである。【選択図】なし
Description
本発明は合成石英ガラス粉末の製造方法に関し、特には、半導体用部材、半導体単結晶引き上げ用ルツボ、光学用部材などの原料として使用される合成シリカ粉の製造方法に関する。
石英ガラスは年間1万トン生産され、それが廃棄されている。そのほとんどが廃棄物として埋め立て処理されている。そして年間一万トンの石英ガラスを作るために、地球上から高品位の結晶性シリカを掘り起こし、選別、粉砕、精製という工程を経て使用されている。その歩留まりは50%を切り、工程からの廃棄物も多く発生しているが、この結晶性シリカは深刻な珪肺や肺がんという肺障害を引き起こしている。中国では、1991年から1995年まで、珪肺により毎年2万4000人以上が死亡したと報告されている。米国では、100万から200万人の労働者が結晶シリカ粉塵への職業性曝露を受けており、うち5万9000人が生涯のいずれかの時点で珪肺を発症するものと推定されている。これは結晶性シリカによるものであり、非晶質シリカではこのような肺疾患は起きない。
もし廃棄石英ガラスが再利用されれば、肺疾患は少なくなり地球から結晶性シリカの乱獲を防ぐことができる。
もし廃棄石英ガラスが再利用されれば、肺疾患は少なくなり地球から結晶性シリカの乱獲を防ぐことができる。
近年、合成シリカ粉を通常の溶融石英ガラスの溶融方法により、様々な合成石英ガラス
製品が作られている。これは通常の溶融石英ガラスの溶融法を使用することにより、従来
の四塩化ケイ素から製造された合成石英ガラスより安価にできることによる。この溶融石
英ガラスの溶融法を用いた合成石英ガラスは、光学用レンズ、エッチャー部品などに展開
されている。この製法で製造された合成石英製品は四塩化ケイ素から製造された合成石英
と天然石英粉から製造された天然石英との中間の位置づけとなる。したがって、合成シリ
カ粉には、合成石英に近い純度と天然石英に近いコストが求められている。
製品が作られている。これは通常の溶融石英ガラスの溶融法を使用することにより、従来
の四塩化ケイ素から製造された合成石英ガラスより安価にできることによる。この溶融石
英ガラスの溶融法を用いた合成石英ガラスは、光学用レンズ、エッチャー部品などに展開
されている。この製法で製造された合成石英製品は四塩化ケイ素から製造された合成石英
と天然石英粉から製造された天然石英との中間の位置づけとなる。したがって、合成シリ
カ粉には、合成石英に近い純度と天然石英に近いコストが求められている。
日本醸造協会誌63(5)521-524、1968には醸造用の水中の鉄を除去する方法が解説されている。本文献中では天然水中の鉄の分類を(1)第一鉄イオン(2)第二鉄イオン(3)コロイド状鉄(4)珪酸錯体などに分類している。通常、鉄を除く方法は曝気法、次亜塩素酸や化マンガン酸カリ法で第二鉄コロイドとして、凝集ろ過するが、珪酸の存在では水素イオン濃度が酸性でないと凝集しにくいとある。
もし、廃棄石英ガラスを珪酸アルカリにして、
のような方法を使用できれば新規に採掘される石英を減少させることにより、肺疾患を減らすことができるはずである。しかしながら、廃棄石英ガラスから珪酸アルカリを作るためには廃棄ガラスを粉砕する必要がある。ここで混入する不純物、特に鉄系の粉砕機を使用した場合には多くの鉄分が混入し、その不純物を取り除くために、結晶性シリカの精製のように磁選、浮遊選鉱、酸処理の工程をすれば、コスト的に高くなり、出来る合成石英シリカ粉のコストも高くなる。このような廃棄石英ガラスの粉砕粉を
のようにオートクレーブ中においてアルカリ水溶液と反応させれば、オートクレーブからの鉄の混入が避けられず、鉄は水酸化第一鉄になり、シリカと錯体を作り、強酸性陽イオン交換樹脂では取り切れず、その後、チタンなどを除去するために酸と過酸化水素を加えたときに、水酸化鉄がデルタ・オキシ酸化鉄になり強酸性陽イオン交換樹脂では除去できなくなる。このデルタ・オキシ酸化鉄は塩酸などの煮沸処理でも溶解しづらいために鉄の濃度が高くなるという問題があった。
このような合成シリカ粉を溶融すると、黒色異物が一面に発生する。石英ガラスは純度のみならず、外観の欠陥も極めて少ないことが求められているため、製品にならなかった。
本発明の解決しようとする課題は、大量に廃棄される使用済み石英ガラスを回収し、石英ガラス原料として利用することにより、新規に採掘される結晶性シリカを減少させ、肺疾患を減らすことである。その為には、合成シリカ粉の鉄含有量を減らし、溶融した合成石英ガラスの異物をなくすことが必要である。また天然石英粉の価格に匹敵するコストで作る必要がある。
本発明者は、廃棄される石英ガラスを回収し、粉砕し、磁選したのち、それを珪酸アルカリ水溶液とし、過酸化水素水を加えて磁選とろ過を行い、そのあと次亜硫酸ナトリウムを加えて、それを中和法あるいはイオン交換法によりコロイダルシリカとし、ゲル化、粒子化し、酸処理、純水処理の後に仮焼することで、石英ガラスの原料として十分な特性を持ち、低コストの合成シリカ粉を作ることができることを発見した。
本発明は、廃棄される石英ガラスを回収し、粉砕し、磁選したのち、それを珪酸アルカリ水溶液とし、過酸化水素水を加えて磁選とろ過を行い、そのあと次亜硫酸ナトリウムを加えて、それを中和法あるいはイオン交換法によりコロイダルシリカとし、ゲル化、粒子化し、酸処理、純水処理の後に仮焼することで、それを原料として石英ガラスを製造した時の黒点異物の発生が極めて少ない合成シリカ粉を作ることができる。このことは、廃棄された石英ガラスを使用し、石英ガラス原料として再利用することで、石英の採掘量を減らし、珪肺患者を減らすことだけでなく、石英よりも品質の良い、安い合成シリカ原料を供給できるため、石英ガラス産業に大きな利益を与えるものである。
原料として使用する廃棄石英ガラスは、石英ルツボ、半導体治具、プロセスチューブ、エッチャーパーツ、光学レンズなどを使用するが、光ファイバーにはゲルマニウムを大量に含んだものが多く、その濃度もさまざまであるし、処理工程でゲルマニウムを完全に取り除くことは難しいので、ゲルマニウムを含んでも良い用途以外は使用しない方が良い。もっともよいのはシリコン単結晶引上げ用に使用した石英ルツボである。石英ルツボは限られた工場でのみ使用され、回収コストが安く済むからである。また石英ルツボの純度は通常、アルミニウムが10ppm、鉄が0.5ppm、チタンが1.5ppm、その他の各不純物元素は0.5ppm以下であるので、高純度化が容易である。ただ石英ルツボにはグラファイトや炭化ケイ素、クリストバライトなどが付着しており、それを高圧水でできるだけ取り除くようにした方が良い。
次にそれらを粉砕するが、まず高マンガン鋼のジョークラッシャーで粗粉砕し、高マンガン鋼製や鉄系鋳物、ステンレス製の衝撃粉砕装置、例えばインペラブレーカーやインパクトミルのようなものを使い、歩留まり向上のため微粉ができにくいものを使用したほうがよい。また石英ガラスボールミルなどの共磨りも可能であるが、量産やコスト的に難がある。一般的なアルミナ製のボールミルはアルミナの混入があるため好ましくない。次に粒子径を水酸化アルカリと反応しやすいように篩別することが必要である。粒度は30メッシュから200メッシュ、好ましくは50メッシュから150メッシュとするのが良い。粗い粒子があると反応が完了しない石英ガラス粒子が残るし、細かい粉があると流動性が悪くなり、後の磁選処理で鉄の除去効率が悪くなる。この粉砕粉の精製は、通常の石英の精製のように、浮遊選鉱や酸処理を行えばよいが、処理コストが高くなるために、磁選処理だけ行ったほうが良い。磁力は7000ガウス以上で、好ましくは10000ガウス以上が良い。供給量によっては二回通しを行う。
次にこの粉砕粉を珪酸アルカリにするのだが、一般的に行われている方法として、乾式法と湿式法がある。乾式法は石英と炭酸アルカリとを摂氏1300度近くで反応させ、珪酸アルカリのカレットを作り、それをオートクレーブで水溶液とする方法であり、湿式法は結晶性石英粉と水酸化アルカリ水溶液をステンレス製オートクレープ中で反応させるものである。エネルギー的観点と環境の観点からすると、乾式法は多くのエネルギーを必要とし、炭酸ガスの排出もあることから、湿式法のほうが良い。特に石英ガラス粉砕粉は結晶性石英粉と比較して反応性が高く、オートクレーブでも溶け残りがない。もし、オートクレーブではなく常圧で反応すると、反応に3日間くらいかかり、さらに溶け残りもあり現実的でない。オートクレーブの内壁は水酸化アルカリ水溶液と反応し、鉄が溶出するので、ステンレスは304より316の方が良い。フッ素樹脂のライニングやフッ素樹脂反応器を使用すれば汚染はないが、石英ガラス粉砕粉の粒子は鋭角であり、容易にフッ素樹脂を摩耗する。またフッ素樹脂の大型反応器は高価であり、熱伝導も悪いことから本用途には向かない。この粉砕粉と水酸化アルカリ水溶液の比率はモル比で2から3の間で行った方が良い。水酸化アルカリの濃度が上がると、オートクレーブの内壁と反応し、鉄の溶出が多くなるので好ましくない。またシリカ濃度は15から25重量%である。15重量%以下では生産性が低くなり、25重量%以上では未反応の石英粉が残りやすい。好ましくは18から22重量%とした方が良い。使用する水酸化アルカリは、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムを使用できるが、強酸性陽イオン交換樹脂に負荷をかけないためには水酸化カリウムを使用した方が良い。
できた珪酸アルカリ水溶液をオートクレープから取り出し、過酸化水素をシリカ比で0.1から1.0重量%を加えて攪拌する。この濃度は珪酸アルカリ水溶液に含まれる鉄濃度によって決められる。珪酸アルカリ水溶液中の鉄は水酸化第一鉄の状態になっており、過酸化水素がアルカリ性において分解した酸素によりデルタ・オキシ水酸化鉄に容易に変化する。デルタ・オキシ水酸化鉄は黒色の磁性を持った粒子となり、数時間で沈殿を生じる。空気を使用した曝気法や次亜塩素酸ナトリウムや過マンガン酸カリウムでは酸化せず、長時間かかってもデルタ・オキシ水酸化鉄を生成するのは難しく、非磁性のアルファ・オキシ水酸化鉄を生成しやすい。これは水酸化鉄がシリカと錯体を作っているからだと推定される。
このデルタ・オキシ水酸化鉄は黒色の磁性粒子であり、凝集して大粒子化して沈殿する。この珪酸アルカリ水溶液を湿式磁選機に通し、デルタ・オキシ水酸化鉄を除去する。この湿式磁選機の磁力は5000ガウス以上とし、永久磁石でも電磁石でもよい。さらにろ過することにより、黒鉛粒子、反応で残ったクリストバライト粒子、沈殿したデルタ・オキシ水酸化鉄を完全に除去する。ろ紙は1ミクロンメーター以下のものを使用する。好ましくは、最初に1ミクロンメーターのろ紙でろ過し、次に0.1ミクロンメーターのフィルターモジュールでろ過するのが良い。
しかし、これでも珪酸アルカリ中のデルタ・オキシ水酸化鉄を完全に取り除くことはできない。この処理後の鉄含有量は0.1から1ppm程度である。次工程のコロイダルシリカ製造工程でさらに除去するためには、デルタ・オキシ水酸化鉄を第一水酸化鉄に変える必要がある。そこで次亜硫酸ナトリウムを加えるのだが、その濃度はシリカ濃度に対し、0.1から1%、好ましくは0.1から0.5%を添加する。
この珪酸アルカリ水溶液を脱アルカリしてコロイダルシリカにするのだが、酸を使用して行う中和法と強酸性陽イオン交換樹脂を使用するイオン交換法とが知られている。純度的にはイオン交換法のほうが良いので、イオン交換法を用いたほうがいい。まず珪酸アルカリを純水によりシリカ濃度15重量%から5重量%に薄め、強酸性陽イオン交換樹脂に通液するが、このシリカ濃度は常温でイオン交換を行う場合、8重量%から6重量%が好ましい。8から15重量%で行う場合は、摂氏15度以下に冷却して行う必要がある。15重量%以上では冷却してもイオン交換時に容易にゲル化してしまうし、5重量%以下では生産性が悪く、冷凍・解凍工程で得られる粒子径も細かくなってしまう。この強酸性陽イオン交換工程では、アルカリ性にイオン化している元素が除去可能である。例えば、アルカリはもとより、アルミニウムなどは良く除去できる。鉄は次亜硫酸ナトリウムを加えて還元したことで、水酸化第一鉄に変わったために、強酸性陽イオン交換で除去できる。本発明の珪酸アルカリは高純度の廃棄石英ガラスから作ったため純度が良く、アルカリとアルミニウムおよび鉄を除去できれば、石英ガラス原料として十分な純度が得られる。
通液後は、コロイダルシリカが生成するが、シリカ濃度が8重量%以下では、このゾルは水素イオン濃度が2から3の間で安定しているため、アルカリ水溶液を加えてゲル化しやすいように4前後に調整する必要がある。使用するアルカリ水溶液として水酸化アンモニウム水溶液を用いることはよく知られている。しかしながら8重量%以上であれば、常温に戻すときにゲル化するためアルカリ水溶液を加えなくともよい。このゲルはある程度の強度をもつために放置しておく。このゲル強度は、次工程である冷凍・解凍後にできるゲル粒子の粒度分布に影響する。
ゲルが硬くなったら、このゲルをフッ素樹脂やナイロン樹脂製のロール粉砕機で1mm以下に粉砕を行う。これは冷凍するときに短時間で冷凍し、解凍した後の粒子径を50メッシュ以下とするためである。ここで粉砕した方が、焼成粒子を粉砕するより容易であるからである。また粉砕ゲルは空間が多く、冷凍効率が高く短時間で固化する。
次に粉砕ゲルを冷凍するが、冷凍温度は低ければ低いほど良い。冷凍速度が遅すぎると水分が針状に結晶化し、ゲルも針状になってしまう。冷凍後、お湯やマイクロウエーブで解凍すると、遊離した水分が出て、ゲルは粒子状となる。これを脱水し、ゲル粒子を取り出す。この時、ろ布に120メッシュ程度のものを用いると微粉が除去できる。
このゲル粒子を酸処理して不純物をさらに除去するのだが、酸は塩酸、硫酸、硝酸やフッ酸を使用すればよい。その中でもフッ酸が最も効果的である。その理由はほとんどの金属不純物がシリカと結合しているからであり、フッ酸はその結合を切断できるからである。酸の濃度はウェットゲルの含水率により調整する必要があるが、2から4重量%になるようにする。処理温度は酸水溶液が沸騰する温度で行う。また処理時間は1時間から2時間とする。処理後、純水により洗浄を行い、ろ過する。それを超純水で煮沸し、酸を取り除いておく。
このウェットゲル粒子を石英ルツボに入れて、乾燥空気あるいは乾燥酸素を入れて電気炉で焼成を行う。温度は摂氏1200度以上とし、好ましくは1200から1300度で行う。キープ時間は水酸基濃度が50ppm以下になるまで行う。電気炉から取り出したシリカ粉は樹脂網で篩別する。
実施例について説明する。なお本発明はこの実施例に限ったものではない。
シリコン単結晶を引上げる工場より使用済みの石英ルツボを回収し、それをメッシュベルコン上で高圧水により洗浄し、乾燥させた後、ジョークラッシャーで粗粉砕し、鋳物鉄製のインペラブレーカーで微粉砕し、50から200メッシュに篩別した。それを20000ガウスの磁選機を二回通した。歩留まりは80-85%であった。その粉砕粉400kgと48%水酸化カリウム920kgと純水1080リットルを4000リットルのオートクレーブにいれた。摂氏190度に上げ圧力0.84メガパスカルで3時間反応させた。得られた珪酸カリウム水溶液のシリカ濃度は20重量%であった。
この珪酸カリウム水溶液を摂氏50度まで放冷し、ダイヤフラムポンプで、撹拌機付きのポリプロピレン製タンクに移送した。そこに35%過酸化水素4.5kgを加え60分攪拌した。そのあと、5Cろ紙を使用して減圧濾過したあと、純水を加えてシリカ濃度6重量%に希釈した。それを中空糸膜フィルター0.1ミクロンメーターでろ過した。そのあと、次亜硫酸ナトリウムを1kg加えて30分間攪拌した。
この珪酸カリウム水溶液を摂氏50度まで放冷し、ダイヤフラムポンプで、撹拌機付きのポリプロピレン製タンクに移送した。そこに35%過酸化水素4.5kgを加え60分攪拌した。そのあと、5Cろ紙を使用して減圧濾過したあと、純水を加えてシリカ濃度6重量%に希釈した。それを中空糸膜フィルター0.1ミクロンメーターでろ過した。そのあと、次亜硫酸ナトリウムを1kg加えて30分間攪拌した。
この珪酸カリウム水溶液1000kgを冷蔵庫で摂氏5度まで冷却した。それを強酸性水素型陽イオン樹脂2.5m3を詰めたイオン交換塔を摂氏10度に冷却し、SV値7で通液した。できたコロイダルシリカの水素イオン濃度は2.7、最高温度は摂氏25度であった。
このコロイダルシリカに10%水酸化アンモニウムを加え、水素イオン濃度を4。5に調整した。これを摂氏35度まで温めるとコロイダルシリカが10時間でゲル化した。このシリカゲルを硬質ナイロン製のロールミルに通し、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂をコーティングしたステンレスバットにいれて、摂氏-50度の冷凍庫で3時間かけて冷凍した。その後この冷凍シリカゲルを摂氏80度の温水に投入して解凍した。この時シリカゲルは粒子状となり、脱水後の重量は101kgであった。重量はこの時の水分量は50重量%であった。
このシリカゲル粉体を28インチ石英ルツボに移し、120リットルの5%フッ酸を加えて摂氏80から90度で1時間煮沸した。超純水を加えてダイヤフラムポンプで洗浄槽に移し、さらに超純水を加えて10分間オーバーフローし、ダイヤフラムポンプでポリプロピレン製の200メッシュの網を使用し、減圧濾過して脱水した。またシリカゲル粉を28インチの石英ルツボに戻し、超純水120リットルを加えて1時間煮沸した。1時間後、超純水を加えてダイヤフラムポンプで洗浄槽に移し、さらに超純水を加えて10分間オーバーフローし、ダイヤフラムポンプでポリプロピレン製の200メッシュの網を使用し、減圧濾過して脱水した。
このシリカゲル粉体をいったん摂氏500度の石英ガラス管内で乾燥し、28インチの石英ルツボに移し、電気炉に投入し、乾燥空気中、摂氏1240度で10時間焼成した。冷却後、ナイロン製の樹脂網で60から100メッシュ、100メッシュから180メッシュに篩別した。この時の粒度は、60メッシュ上が3重量%、60から100メッシュが25重量%、100から180メッシュが65重量%、180メッシュ以下が7重量%であった。総重量は45kgであった。
この合成シリカ中の不純物はアルミニウムが0.07ppm、鉄が0.02ppm、ナトリウム、カリウムが0.01ppm、カルシウムが0.02ppm、チタンは0.3ppmで、その他の不純物元素は0.1ppm未満であった。赤外吸収分光器でシラノール基を求めたところ、25ppmであった。
この合成シリカを使用し、18インチ石英ルツボを作って目視検査を行った。気泡は0.5mm以上のものはなく、0.5mm未満については3個であった。黒点・異物は0.5mm以上はなく、0.5mm未満が2個であった。
本発明の合成シリカ粉は溶融石英の製造設備で安価で高品質の合成石英ガラスが製造できるため、様々な産業に使用することができる。現状の溶融石英ガラス産業は天然石英粉を使用しているため、多くの公害、疾病を引き起こしているが、本合成シリカ粉を使用すれば安全で安心な産業に転換できる。
Claims (8)
- 下記工程により製造されることを特徴とする合成シリカ粉の製造方法
1)廃棄石英ガラスを粉砕してから、少なくとも磁選機で脱鉄処理する。
2)上記石英ガラス粉を珪酸アルカリ水溶液とする。
3)上記珪酸アルカリに過酸化水素を入れて磁選およびろ過をする。
4)次亜硫酸ナトリウムを加える
5)シリカ濃度を調整してから中和反応及びイオン交換によりコロイダルシリカとする。
6)コロイダルシリカをゲル化させる。
7)シリカゲルを粒子状にする。
8)酸処理を行う。
9)純水処理を行う。
10) 熱処理する。 - 請求項1の工程によって作られた合成シリカ粉の純度が99.999重量%以上であり、鉄の含有量が0.1ppm以下であることを特徴とする合成シリカ粉の製造方法
- 請求項1の1)記載の廃棄石英ガラスの粉砕が石英ガラスの共擦りあるいは鉄系材料による粉砕であることを特徴とする廃棄石英ガラスから合成シリカ粉の製造方法。
- 請求項1の2)記載の廃棄石英ガラスの粉砕粉から珪酸アルカリ水溶液を製造する方法が湿式法であり、鉄系のオートクレーブを使用することを特徴とする廃棄石英ガラスから合成シリカ粉の製造方法。
- 請求項1の3)の工程で加える過酸化水素の濃度がシリカに対し、0.1%から1.0重量%であり、その後にろ過するフィルターが1ミクロンメーターより小さいことを特徴とする合成シリカ粉の製造方法。
- 請求項1の4)の工程で加える次亜硫酸ナトリウムの濃度がシリカに対し、0.1%から1.0重量%でありことを特徴とする合成シリカ粉の製造方法。
- 請求項1の7)の酸処理に使用する酸がフッ酸であることを特徴とする合成シリカ粉の製造方法。
- 請求項1記載の工程で製造された合成シリカ粉のシラノール基濃度が50ppm以下で、粒子のカサ比重が1.25以上であることを特徴とする合成シリカ粉の製造方法。
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Cited By (1)
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CN116199228A (zh) * | 2023-02-08 | 2023-06-02 | 资兴旗滨硅业有限公司 | 一种石英砂酸洗提纯方法 |
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2021
- 2021-06-24 JP JP2021104605A patent/JP2023003497A/ja active Pending
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