JP2013027898A - 外向フランジ部付金属製部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】荒成形工程時に素フランジ34を、一部に欠肉部35を存在させて形成する。仕上成形工程で使用する下側ダイス32aに設けた仕上成形用凹部37の深さ寸法を、前記素フランジ部34及び前記静止側フランジ6aの厚さ寸法よりも大きくする。上側ダイス31aを、前記仕上成形用凹部37の内周面との間に隙間を介在させずに進入させる。この作業を熱間鍛造で行う事により、前記素フランジ部を構成する金属材料を前記仕上成型用押型の押圧部と前記フランジ仕上成形用凹部とにより囲まれる空間に充満させる。そして、前記素フランジ34から前記欠肉部を消滅させ、前記静止側フランジ6aとし、且つ、この静止側フランジ6aの外周縁部にバリを発生させない。
【選択図】図6
Description
尚、上述の様な問題は、外周面に異形の静止側フランジ6を設けた外輪2を造る場合に限らず、図9に示す様な、放射状の回転側フランジ7aを設けたハブ本体9aを造る場合にも生じる。
次に、鍛造加工の分野で広く知られた前後方押し出し工程で、前記第一中間素材17よりも、次述する図12の(C)に示す様な第二中間素材18の形状に近付けた、別の中間素材{図13の(A)参照}を得る。そして、この別の中間素材に据え込み加工を施して、図12の(C)に示す様な第二中間素材18とする。この第二の据え込み加工は、例えば図13に示した様な据え込み装置を使用して行う。この据え込み装置は、押圧パンチ20及びカウンターパンチ21と、前記可動ダイスである上側ダイス22と、固定ダイスである下側ダイス23と、押し出しパンチ24とを備える。尚、図12に示した各中間素材の形状と、図13に示した各中間素材の形状とは多少相違するが、前記第二の据え込み加工の基本に関しては同様である。
そして、この力が、前記各弾性部材25、25の弾力よりも大きくなると、前記上側ダイス22が上昇する。そして、前記フランジ成形用キャビティ内に入り込んでいた金属材料の一部が、前記両ダイス22、23同士の間に生じた隙間内に入り込み、前記バリ14aを形成する。但し、前記第一中間素材17の容積が前記第二中間素材18の容積以下であった場合には、上述の様なバリ14aが形成される事はない。
このうちの据え込み工程では、金属製で円柱状の素材を軸方向に押し潰して、この素材よりも小さな軸方向寸法とこの素材よりも大きな外径寸法とを有する第一中間素材とする。
又、前記荒成形工程では、この第一中間素材を、荒成形用押型と荒成形用受型との間で更に押し潰す事により、外周縁形状が非円形である素フランジ部を外周面に有する、第二中間素材とする。
更に、前記仕上成形工程では、前記第二中間素材のうちの少なくともこの素フランジ部(好ましくはこの第二中間素材全体)を、仕上成形用押型と仕上成形用受型との間で更に押し潰す事により、このフランジ部の形状を整える。
又、前記仕上成形工程で使用する前記仕上成形用受型に設けた、前記素フランジ部を受け入れてこの素フランジ部を前記フランジ部に仕上げる為のフランジ仕上成形用凹部の深さ寸法を、これら素フランジ部及びフランジ部の厚さ寸法よりも大きくする。
又、前記仕上成型用押型のうちで前記素フランジ部を前記フランジ部に仕上げる為の押圧部は、前記フランジ部の外周縁と同形の外周縁を有し、前記仕上成型用押型の下部外周面のうち、少なくとも前記フランジ部に対応しない、径方向に関する厚さ寸法が小さい板状部の外周面と、前記仕上成形用受型の対応する位置の内周面との隙間の大きさが0もしくは負隙間の状態で進入するものとする。
そして、前記素フランジ部を構成する金属材料を前記仕上成型用押型の押圧部と前記フランジ仕上成形用凹部とにより囲まれる空間に充満させ、前記仕上加工工程終了後の状態で、前記フランジから前記欠肉部を消滅させ、且つ、前記フランジの外周縁部にバリを発生させない。
更に、少なくとも前記仕上成型用押型の板状部が、前記仕上成形用受型の前記仕上成形用受型との間に隙間がない状態、もしくは負の隙間で圧入されるようになっているため、径方向に薄肉の板状部が仕上成形工程時に、第二中間素材から受ける内圧により変形するのを抑制することができ、前記仕上成型用押型の寿命を延ばすことができる。
この様な仕上加工は、プレス加工機の容量を特に大きくする事なく、形状精度及び寸法精度を確保すると共に、被加工物に亀裂等の損傷を発生させない様にする面から、熱間鍛造により行う事が好ましい。但し、前記仕上加工により得られた最終中間素材に関しても、その後、切削加工や研削加工等、形状精度及び寸法精度を向上させる為の加工を施す。従って、前記損傷を生じない条件を確保でき、且つ、プレス加工機として十分な容量を有するものを使用できる限り、仕上加工を温間鍛造により行っても良い。更に、条件さえ満たせば、冷間鍛造により行う事も妨げない。
上述の様な本発明の外向フランジ付金属製部材の製造方法を実施する場合、具体的には、請求項3に記載した発明の様に、前記第二中間素材を前記仕上成形用凹部に内嵌し、更にこの第二中間素材の残りの部分(この仕上成形用凹部の内面により覆われない部分)に前記仕上成形用押型を突き当てた状態で、前記第二中間素材の表面全体を、金属材料の侵入を許容する隙間を存在させない状態で拘束する。そして、この状態で、前記第二中間素材を前記仕上成形用受型と前記仕上成形用押型との間で押圧する、熱間鍛造(或は、温間鍛造又は冷間鍛造)を施す。
このうちの据え込み工程では、金属の塑性加工の分野で周知の様に、前記素材16を軸方向に押し潰して、この素材16よりも小さな軸方向寸法とこの素材16よりも大きな外径寸法とを有する、ビヤ樽型の前記第一中間素材17とする。
更に、上述のとおり、上側ダイス31aの少なくともその下部外周面を、前記下側ダイス32aのストレート部39内に(金属材料が侵入するほどの)隙間なく挿入可能な、軸方向に関して断面積が変化しないストレート形状としている。本例では、具体的には、上側ダイス31aの径方向に薄肉となる板状部41の部分と、下側ダイス32aのストレート部39との嵌合部分は、負の隙間となる(すなわち、圧入される)ように設計されている。仕上げ成形加工時、板状部41の内周面には、その内側に存在する第二中間素材18aから径方向の内圧を受ける。しかし、本例では、上側ダイス31aの径方向に薄肉となる板状部41の部分と、下側ダイス32aのストレート部39との嵌合部分を圧入としている。このため、仕上げ成形加工時、板状部41が第二中間素材18aから内圧を受けても、外側から肉厚の下側ダイス32aにより支えられており、前記内圧による径方向外方への曲げ変形は抑制される。これにより、板状部41の付け根のR形状部分等に大きな引張応力が作用することが防止され、上側ダイス31aの寿命が向上する。なお、本例では、上側ダイス31aの径方向に薄肉となる板状部41の部分と、下側ダイス32aのストレート部39との嵌合部分を、負の隙間となるようにしたが、第二中間素材18aから受ける内圧の大きさ等の条件によっては、隙間0でも同様の効果が得られるので、隙間0となるように設計してもよい。
これに対し、上記以外の上側ダイス31aと下側ダイス32aとの嵌合部分(すなわち、素フランジ部34が収容される箇所に対応する部分)は、隙間0に設計されている。なお、両ダイスのかじりが問題ない範囲であれば、素フランジ部34が収容される箇所に対応する部分も、負の隙間となるようにしてもよい。
本例では、更に、少なくとも上側ダイス31aと下側ダイス32aとの嵌合部分に窒化処理を施し、金属同士のかじりを防止するようにしている。
上記の例では、上側ダイス31aの下部外周面と、下側ダイス32aのストレート部39との嵌合部分の隙間を、全域に亘って、0もしくは負としていた。本変形例では、上側ダイス31aと下側ダイス32aとの嵌合部分のうち、板状部41の部分と、下側ダイス32aのストレート部39との嵌合部分は、上記の例と同様、隙間0もしくは負の隙間となるように設定している。しかし、上側ダイス31aと下側ダイス32aとの嵌合部分のうち、素フランジ部34が収容される箇所に対応する部分については、隙間を設けるようにした。その他については、上記の例と同様である。
2 外輪
3 ハブ
4 転動体
5 外輪軌道
6、6a 静止側フランジ
7、7a 回転側フランジ
8 内輪軌道
9、9a ハブ本体
10 内輪
11 ナット
12 小径段部
13 突出部
14、14a、14b バリ
15 スクラップ片
16 素材
17 第一中間素材
18、18a 第二中間素材
19、19a 第三中間素材
20 押圧パンチ
21 カウンターパンチ
22、22a 上側ダイス
23、23a 下側ダイス
24 押し出しパンチ
25 弾性部材
26、26a 下側キャビティ
27、27a 成形用凹部
28 隔壁部
29、29a 最終中間素材
30 欠肉部
31、31a 上側ダイス
32、32a 下側ダイス
33 キャビティ
34 素フランジ部
35 欠肉部
36 突出部
37 仕上成形用凹部
38 面取り
39 ストレート部
40 キャビティ
41 板状部
Claims (5)
- 金属製で円柱状の素材に、それぞれが塑性加工である、この素材を軸方向に押し潰して、この素材よりも小さな軸方向寸法とこの素材よりも大きな外径寸法とを有する第一中間素材とする据え込み工程と、この第一中間素材を、荒成形用押型と荒成形用受型との間で更に押し潰す事により、外周縁形状が非円形である素フランジ部を外周面に有する第二中間素材とする荒成形工程と、この第二中間素材のうちの少なくともこの素フランジ部を、仕上成形用押型と仕上成形用受型との間で更に押し潰す事により、このフランジ部の形状を整える仕上成形工程とを備えた外向フランジ部付金属製部材の製造方法に於いて、前記荒成形工程時に前記素フランジが、一部に欠肉部を存在させる状態で形成されたものであり、前記仕上成形工程で使用する前記仕上成形用受型に設けた、前記素フランジ部を受け入れてこの素フランジ部を前記フランジ部に仕上げる為のフランジ仕上成形用凹部の深さ寸法が、これら素フランジ部及びフランジ部の厚さ寸法よりも大きく、前記仕上成型用押型のうちで前記素フランジ部を前記フランジ部に仕上げる為の押圧部は、前記フランジ部の外周縁と同形の外周縁を有し、前記仕上成形用押型の下部外周縁のうち、少なくとも前記素フランジ部に対応しない径方向に薄肉の板状部と、前記仕上成形用受型の対応する部位との嵌合隙間は、0もしくは負とし、金属材料の侵入を許容する程の隙間を介在させずに進入するものであって、前記素フランジ部から前記フランジ部への仕上加工は、このフランジ部を形成する為の空間から連続する部分に、前記金属材料の侵入を許容する隙間を存在させない状態で行う事により、前記素フランジ部を構成する金属材料を前記仕上成型用押型の押圧部と前記フランジ仕上成形用凹部とにより囲まれる空間に充満させ、前記仕上加工工程終了後の状態で、前記フランジから前記欠肉部を消滅させ、且つ、このフランジの外周縁部にバリを発生させない事を特徴とする外向フランジ部付金属製部材の製造方法。
- 前記仕上成形工程時に、前記仕上成形用押型の下部外周縁のうち、前記仕上成形用受型の前記素フランジ部が収容される部分に対応する部分では、前記仕上成形用押型と前記仕上成形用受型との間に、隙間を設けるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の外向フランジ部付金属製部材の製造方法。
- 仕上成形用受型に、フランジ仕上成形用凹部を含む仕上成形用凹部を設けており、第二中間素材をこの仕上成形用凹部に内嵌し、更にこの第二中間素材の残りの部分に仕上成形用押型を突き当てた状態で、前記第二中間素材の表面全体を、金属材料の侵入を許容する隙間を存在させない状態で拘束し、この状態で前記第二中間素材を前記仕上成形用受型と前記仕上成形用押型との間で押圧する、請求項1又は2に記載した外向フランジ付き金属製部材の製造方法。
- フランジ部が、円周方向の一部から径方向外方に大きく突出し、円周方向の残部は、径方向外方への突出量が前記円周方向の一部の突出量よりも小さいものであり、荒成形工程で、前記円周方向の残部の厚さ寸法を、仕上成形工程後の厚さ寸法と同じとし、前記円周方向一部は、径方向外方に向かうに従って厚さ寸法が漸次大きくなる様に形成し、仕上成形工程で、前記円周方向一部の径方向外方部分を押し潰して、所定の厚さ寸法を有するフランジ部とする、請求項3に記載した外向フランジ付き金属製部材の製造方法。
- 荒成形工程に使用する荒成形用受型がプレス装置の支持台に固定された固定ダイスであり、同じく荒成形用押型が、このプレス装置のラムに支持されてこのラムと共に昇降するパンチと、このパンチの周囲に、前記固定ダイスに向かう方向の弾力を付与された状態で設けられた可動ダイスとから成るものであり、この可動ダイスの先端面と前記固定ダイスの先端面とを突き合わせた状態で、前記パンチにより素材を軸方向に押し潰し、この素材を構成する金属材料の一部を前記両ダイスと前記パンチとにより囲まれた部分に存在するキャビティ内に充満させる事により第二中間素材を形成する、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載した外向フランジ部付金属製部材の製造方法。
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