JP2013027096A - スナバ回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】消費電力が小さく、小型で低コストのスナバ回路を提供する。
【解決手段】スナバ回路9は、スイッチング電源装置のダイオード8に発生するサージ電圧を抑制するものであり、ダイオード8のカソードおよびアノード間に直列接続されたダイオード10およびコンデンサ11を含む。サージ電圧のエネルギーは、ダイオード10を介してコンデンサ11に吸収された後、ダイオード10の逆回復時間内にダイオード10を介して放出される。したがって、簡単な構成でアクティブスナバ回路と同じ機能を実現できる。
【選択図】図1
【解決手段】スナバ回路9は、スイッチング電源装置のダイオード8に発生するサージ電圧を抑制するものであり、ダイオード8のカソードおよびアノード間に直列接続されたダイオード10およびコンデンサ11を含む。サージ電圧のエネルギーは、ダイオード10を介してコンデンサ11に吸収された後、ダイオード10の逆回復時間内にダイオード10を介して放出される。したがって、簡単な構成でアクティブスナバ回路と同じ機能を実現できる。
【選択図】図1
Description
この発明はスナバ回路に関し、特に、スイッチング電源装置のスイッチング素子または整流回路に発生するサージ電圧を抑制するスナバ回路に関する。
一般に、スイッチング電源装置は、一次巻線および二次巻線を含むトランスと、一次巻線に直流電源電圧を断続的に与えるスイッチング素子と、二次巻線に接続された整流回路と、整流回路の後段に接続された第1のコイルを含む平滑回路とを備える。このようなスイッチング電源装置では、スイッチング素子または整流回路に発生するサージ電圧を抑制するスナバ回路が設けられている。
従来の第1のスナバ回路は、整流回路の出力ノード間に直列接続された抵抗素子およびコンデンサを含む。サージ電圧のエネルギーは、コンデンサに蓄えられた後に、抵抗素子で熱として消費される。
また、従来の第2のスナバ回路は、整流回路の出力ノード間に直列接続されたトランジスタおよびコンデンサと、第1のコイルと電磁結合された第2のコイルと、第2のコイルの出力電圧を微分してトランジスタのゲートに与える微分回路とを含む。このスナバ回路では、整流回路にサージ電圧が発生するタイミングでトランジスタがオンし、サージ電圧のエネルギーがコンデンサに蓄えられた後に放出される(たとえば、特許文献1参照)。
しかし、従来の第1のスナバ回路では、サージ電圧のエネルギーは抵抗素子で熱として消費されるので、消費電力が大きいという問題があった。
また、従来の第2のスナバ回路では、消費電力は小さいが、回路面積が大きくなりコスト高になるという問題があった。
それゆえに、この発明の主たる目的は、消費電力が小さく、小型で低コストのスナバ回路を提供することである。
この発明に係るスナバ回路は、一次巻線および二次巻線を含むトランスと、一次巻線に直流電源電圧を断続的に与えるスイッチング素子と、二次巻線に接続された整流回路と、整流回路の後段に接続された平滑回路とを備えたスイッチング電源装置において、スイッチング素子または整流回路に発生するサージ電圧を抑制するスナバ回路であって、アノードがスイッチング素子または整流回路の一方端子に接続されたダイオードと、ダイオードのカソードとスイッチング素子または整流回路の他方端子との間に接続されたコンデンサとを備えたものである。サージ電圧のエネルギーは、ダイオードを介してコンデンサに蓄えられた後に、ダイオードの逆回復時間内にダイオードを介して放出される。
また好ましくは、ダイオードの逆回復時間と、コンデンサに蓄えられたサージ電圧のエネルギーが放出される時間とが略等しくなるように、スイッチング素子または整流回路の寄生容量値と、コンデンサの容量値と、トランスの一次巻線または二次巻線の寄生インダクタンスとが調整されている。
また好ましくは、ダイオードの逆回復時間は、サージ電圧が無くなりスイッチング素子または整流回路に印加されている電圧が降下するまでにダイオードがオフするように設定されている。
この発明に係るスナバ回路では、直列接続されたダイオードおよびコンデンサを備え、サージ電圧のエネルギーはダイオードを介してコンデンサに蓄えられた後に、ダイオードの逆回復時間内にダイオードを介して放出される。したがって、スナバ回路としての効果を備えつつ、消費電力の低減化、回路の小型化、低コスト化を図ることができる。
[実施の形態1]
本発明の実施の形態1によるスイッチング電源装置は、図1に示すように、正側入力端子TI1、負側入力端子TI2、正側出力端子TO1、負側出力端子TO2、トランス2、NチャネルMOSトランジスタ5、制御回路6、ダイオード7,8,10、コンデンサ11,13、およびチョークコイル12を備える。
本発明の実施の形態1によるスイッチング電源装置は、図1に示すように、正側入力端子TI1、負側入力端子TI2、正側出力端子TO1、負側出力端子TO2、トランス2、NチャネルMOSトランジスタ5、制御回路6、ダイオード7,8,10、コンデンサ11,13、およびチョークコイル12を備える。
正側入力端子TI1および負側入力端子TI2は、それぞれ直流電源1の正極および負極に接続され、直流電源1からの直流電源電圧VIを受ける。トランス2は、一次巻線3および二次巻線4を含む。巻線3,4は、それぞれ漏れインダクタンス3a,4aを有する。
一次巻線3の第1端子(黒丸印が付された端子)は正側入力端子TI1に接続される。NチャネルMOSトランジスタ5(スイッチング素子)のドレインは一次巻線3の第2端子に接続され、そのソースは負側入力端子TI2に接続され、そのゲートは制御回路6の出力電圧を受ける。
制御回路6は、正側出力端子TO1の電圧VOが所定の目標電圧になるようにNチャネルMOSトランジスタ5を所定の周期でオン/オフさせる。制御回路6は、出力電圧VOが目標電圧よりも低い場合はトランジスタ5の1周期当たりのオン時間を長くし、出力電圧VOが目標電圧よりも高い場合はトランジスタ5の1周期当たりのオン時間を短くする。
整流側ダイオードであるダイオード7のカソードはトランス2の二次巻線4の第2端子に接続され、そのアノードは負側出力端子TO2に接続される。転流側ダイオードであるダイオード8のカソードはトランス2の二次巻線4の第1端子(黒丸印が付された端子)に接続され、そのアノードは負側出力端子TO2に接続される。ダイオード7,8は、整流回路を構成する。
ダイオード10のアノードは、ダイオード8のカソードに接続される。コンデンサ11は、ダイオード10のカソードとダイオード8のアノードとの間に接続される。ダイオード10およびコンデンサ11は、スナバ回路9を構成する。チョークコイル12は、ダイオード8のカソードと正側出力端子TO1との間に接続される。コンデンサ13は、出力端子TO1,TO2間に接続される。チョークコイル12およびコンデンサ13は平滑回路を構成する。
次に、このスイッチング電源装置の動作について説明する。制御回路6によってNチャネルMOSトランジスタ5が所定の周期でオン/オフされると、トランス2の一次巻線3に直流電源電圧VIが断続的に印加され、二次巻線4の第1端子に交流電圧が発生する。二次巻線4の端子間に正電圧が発生している期間は、二次巻線4の第1端子、チョークコイル12、コンデンサ13、ダイオード7、および二次巻線4の第2端子の経路で電流が流れ、コンデンサ13が充電されるとともに、チョークコイル12に電磁エネルギーが蓄積される。
二次巻線4の第1端子に負電圧が発生すると、ダイオード7がオフし、チョークコイル12に蓄積された電磁エネルギーによってチョークコイル12、コンデンサ13、およびダイオード8の経路で電流が流れ、コンデンサ13が充電される。このように、NチャネルMOSトランジスタ5がオン/オフされる毎にコンデンサ13が充電され、出力電圧VOが上昇する。出力端子TO1,TO2に接続された負荷(図示せず)によって電力が消費されると、出力電圧VOが下降する。制御回路6は、出力電圧VOが目標電圧になるようにNチャネルMOSトランジスタ5をオン/オフ制御する。
ここで、ダイオード8のカソードおよびアノード間に発生するサージ電圧について説明する。上述のように、トランス2の二次巻線4の第1端子に負電圧が発生しているとき、チョークコイル12に蓄積された電磁エネルギーによってダイオード8に順バイアス方向の電流が流れる。次いで、トランス2の二次巻線4の第1端子に正電圧が発生すると、ダイオード8の逆回復特性により、ダイオード8に瞬間的に逆バイアス方向の電流が流れる。ダイオード8がオフして逆バイアス電流が遮断されると、ダイオード8のカソードおよびアノード間にサージ電圧が発生する。
サージ電圧は、トランス2の漏れインダクタンス4aに蓄えられた電磁エネルギーがダイオード8の寄生容量に移行することによって発生する。インダクタに蓄えられる電磁エネルギーELはEL=LI2/2と表わされ、コンデンサに蓄えられる電磁エネルギーECはEC=CV2/2と表わされる。サージ電圧は、インダクタとコンデンサの間のエネルギー変換によって発生する。
EC=CV2/2から分かるように、コンデンサの容量値が小さいほどサージ電圧が高くなるので、サージ電圧吸収用にコンデンサをダイオード8に並列接続してサージ電圧を抑制する方法がある。しかし、単にコンデンサを並列接続するだけでは、サージ電圧以外の、通常のスイッチングによる電圧のエネルギーもコンデンサに吸収され、その電圧がスイッチングによって下がったときにコンデンサに蓄えられたエネルギーが全て放出されて損失になり、スイッチング電源装置の効率が低下してしまう。
一般にRCDスナバと呼ばれる回路では、ダイオードを介してコンデンサにサージ電圧を吸収させ、そのエネルギーだけを抵抗素子で消費させるようにコンデンサと抵抗素子の定数を設定し、サージ電圧のエネルギー分の損失だけでサージ電圧を吸収できるようにしている。しかし、吸収したサージ電圧のエネルギー分の損失は免れられない。
そこで、スイッチングにより通常の電圧が印加されている期間だけサージ電圧吸収用コンデンサを接続することにより、サージ電圧のエネルギーをコンデンサに吸収させるとともに吸収したエネルギーを放出させるアクティブスナバ回路が開発された(特許文献1参照)。しかし、このアクティブスナバ回路では、高価なスイッチング素子やその駆動回路が必要となり、回路面積が増大し、コスト高になるという問題がある。本願発明のスナバ回路は、この問題を解決したものであり、ダイオード10およびコンデンサ11のみでアクティブスナバ回路と同様の機能を持つスナバ回路9を構成したものである。
図2(a)はコンデンサ11の充電電流Icと放電電流Idを示すタイムチャートであり、図2(b)はダイオード8のカソードの電圧V8,VAを示すタイムチャートである。図2(b)で点線で示される曲線はスナバ回路9が無い場合におけるダイオード8のカソード電圧VAを示し、図2(b)で実線で示される曲線はスナバ回路9がある場合におけるダイオード8のカソード電圧V8を示している。
図2(a)(b)において、トランス2の二次巻線4の第1端子からダイオード8のカソードに電圧が印加されてサージ電圧が発生すると(時刻t0)、ダイオード10は導通し、コンデンサ11に電流が流れてサージ電圧のエネルギーがコンデンサ11に吸収される。サージ電圧がピークを過ぎて降下し始めると(時刻t1)、ダイオード10は逆回復時間trrの期間だけ逆方向に導通し、コンデンサ11はエネルギーを放出する。なお、ダイオード10の逆回復特性とは、ダイオード10に順バイアス方向の電圧が印加されて電流が流れているときに電圧の極性を反転させると、一定時間は逆バイアス方向に電流が流れる特性をいう。印加電圧の極性を反転させてから逆バイアス方向の電流が遮断されるまでの時間を逆回復時間trrという。
逆回復時間trrの最小値trr1は、サージ電圧のピークからサージ電圧によりコンデンサ11に吸収されたエネルギーが放出されるまでの期間、すなわちコンデンサ11の放電時間(時刻t1〜t2)以上であることが必要である。放電時間以下しか逆方向に電流Idが流れない場合には、サージ電圧によりコンデンサ11に吸収されたエネルギーを十分に放電することができず、次のサイクルでサージ電圧をコンデンサ11に十分に吸収することができなくなるからである。
コンデンサ11の放電時間は、サージ電圧吸収用であるコンデンサ11の容量値とサージ低減対象部品(ダイオード8)の寄生容量値との合計値Cと、それと直列に接続された形で存在する回路上の寄生インダクタンスL(漏れインダクタンス4a)との共振周期によって決まる。共振周期λはλ=1/(2π√LC)となり、その1/4がコンデンサ11の放電時間となる。逆回復時間trrの最小値trr1をコンデンサ11の放電時間(λ/4)以上にすれば、サージ発生期間に吸収したサージ電圧のエネルギーを放出することができる。
また、サージ電圧が無くなった後、スイッチングによりダイオード8のカソードの電圧V8が切換えられて電圧が降下するまでに(時刻t3)、逆方向に導通したダイオード10をオフさせる必要がある。ダイオード8のカソード電圧V8が降下した期間にダイオード10が逆方向に導通すると、コンデンサ11が必要以上に放電され、次のスイッチングサイクルにおいてコンデンサ11を再度充電することが必要になる。このため、サージ電圧以上の充電エネルギーが必要となり、極端な場合はコンデンサ11への突入電流がスイッチング毎に発生することになる。したがって、逆回復時間trrの最大値trr2は、コンデンサ11から放電電流が流れ始めてからダイオード8のカソード電圧V8が降下するまでの時間(t1〜t3)以下であることが必要である。この条件が満たされれば、コンデンサ11のエネルギーは維持されることになり、損失は発生しない。
なお、ダイオード10の逆回復時間trrを調整する代わりに、コンデンサ11の放電時間(λ/4)を調整してもよい。λ=1/(2π√LC)であるので、回路のL,Cを調整すれば、コンデンサ11の放電時間を調整できる。また、ダイオード10の逆回復時間trrとコンデンサ11の放電時間(λ/4)の両方を調整してもよい。
[実施の形態2]
図3は、この発明の実施の形態2によるスイッチング電源装置の構成を示す回路ブロック図であって、図1と対比される図である。図3を参照して、このスイッチング電源装置が図1のスイッチング電源装置と異なる点は、トランス2がトランス20で置換され、ダイオード22およびスナバ回路23が追加されている点である。
図3は、この発明の実施の形態2によるスイッチング電源装置の構成を示す回路ブロック図であって、図1と対比される図である。図3を参照して、このスイッチング電源装置が図1のスイッチング電源装置と異なる点は、トランス2がトランス20で置換され、ダイオード22およびスナバ回路23が追加されている点である。
トランス20は、巻線リセット型トランスであり、トランス2に補助巻線21を追加したものである。補助巻線21の第1端子(黒丸印が付された端子)はダイオード22のカソードに接続され、ダイオード22のアノードは負側入力端子TI2に接続される。補助巻線21の第2端子は一次巻線3の第1端子に接続される。
NチャネルMOSトランジスタ5がオンしている期間に、トランス20の巻線3,21に電磁エネルギーが蓄積される。NチャネルMOSトランジスタ5がオフされると、補助巻線21の第2端子から直流電源1およびダイオード22を介して補助巻線21の第1端子に至る経路で電流が流れ、巻線3,21に蓄積された電磁エネルギーが放出される。つまり、巻線3,21の電磁エネルギーは、NチャネルMOSトランジスタ5がオフされる毎に0にリセットされる。
スナバ回路23は、ダイオード24およびコンデンサ25を含む。ダイオード24のアノードは、NチャネルMOSトランジスタ5のドレインに接続される。コンデンサ25は、ダイオード24のカソードとNチャネルMOSトランジスタ5のソースとの間に接続される。
スナバ回路23の動作は、スナバ回路9と同じである。NチャネルMOSトランジスタ5がオフされると、NチャネルMOSトランジスタ5のドレインにサージ電圧が発生する。このサージ電圧のエネルギーはダイオード24を介してコンデンサ25に吸収された後、ダイオード24の逆回復時間trr内にダイオード24を介して放出される。この実施の形態2でも、実施の形態1と同じ効果が得られる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 直流電源、2,20 トランス、3 一次巻線、3a,4a 漏れインダクタンス、4 二次巻線、5 NチャネルMOSトランジスタ、6 制御回路、7,8,10,22,24 ダイオード、9,23 スナバ回路、11,13,25 コンデンサ、12 チョークコイル、21 補助巻線、TI1 正側入力端子、TI2 負側入力端子、TO1 正側出力端子、TO2 負側出力端子。
Claims (3)
- 一次巻線および二次巻線を含むトランスと、前記一次巻線に直流電源電圧を断続的に与えるスイッチング素子と、前記二次巻線に接続された整流回路と、前記整流回路の後段に接続された平滑回路とを備えたスイッチング電源装置において、前記スイッチング素子または前記整流回路に発生するサージ電圧を抑制するスナバ回路であって、
アノードが前記スイッチング素子または前記整流回路の一方端子に接続されたダイオードと、
前記ダイオードのカソードと前記スイッチング素子または前記整流回路の他方端子との間に接続されたコンデンサとを備え、
前記サージ電圧のエネルギーは、前記ダイオードを介してコンデンサに蓄えられた後に、前記ダイオードの逆回復時間内に前記ダイオードを介して放出される、スナバ回路。 - 前記ダイオードの逆回復時間と、前記コンデンサに蓄えられた前記サージ電圧のエネルギーが放出される時間とが略等しくなるように、前記スイッチング素子または前記整流回路の寄生容量値と、前記コンデンサの容量値と、前記トランスの前記一次巻線または前記二次巻線の寄生インダクタンスとが調整されている、請求項1に記載のスナバ回路。
- 前記ダイオードの逆回復時間は、前記サージ電圧が無くなり前記スイッチング素子または前記整流回路に印加されている電圧が降下するまでに前記ダイオードがオフするように設定されている、請求項1または請求項2に記載のスナバ回路。
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2011
- 2011-07-19 JP JP2011157843A patent/JP2013027096A/ja active Pending
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