JP2013027075A - ロータ、モータおよびロータの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】径方向において、永久磁石の、凹部が形成された部分の厚みを薄くすることで、従来以上にコストの低減が可能でありながら、径方向において、永久磁石の、凹部が形成された部分の厚みを薄くしても、モータのトルクリップルを低減することが可能なロータを提供する。
【解決手段】モータに使用されるロータは、回転軸と、略円筒状に形成され回転軸の外周面に固定される永久磁石3とを備えている。永久磁石3の内周面には、ロータの径方向の外側に向かって窪む複数の凹部3bがロータの円周方向に沿って一定の間隔で形成されている。永久磁石3の外周面に形成される磁極の数をm極とし、凹部3bの数をM個とすると、Mは、3以上であって、かつ、M=m/n(nは、Mが整数となる2以上の整数)の関係を満足している。
【選択図】図2
【解決手段】モータに使用されるロータは、回転軸と、略円筒状に形成され回転軸の外周面に固定される永久磁石3とを備えている。永久磁石3の内周面には、ロータの径方向の外側に向かって窪む複数の凹部3bがロータの円周方向に沿って一定の間隔で形成されている。永久磁石3の外周面に形成される磁極の数をm極とし、凹部3bの数をM個とすると、Mは、3以上であって、かつ、M=m/n(nは、Mが整数となる2以上の整数)の関係を満足している。
【選択図】図2
Description
本発明は、モータに使用されるロータに関する。また、本発明は、このロータを備えるモータ、および、このロータの製造方法に関する。
従来、永久磁石形同期モータやブラシレスモータ等に用いられるロータ(永久磁石回転子)として、回転軸と回転軸の外周面に固定されるリング状の永久磁石とを備えるロータが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のロータでは、永久磁石の内周面に、径方向の外側に向かって窪む複数の凹部が形成されている。
一般に、ロータに用いられる永久磁石は、高い磁力を得ることができるように、ネオジム等の高価な原料によって形成されており、高価である。特許文献1に記載の永久磁石では、その内周面に複数の凹部が形成されているため、永久磁石を形成するのに必要な原料の量を低減して、コストを低減することが可能である。したがって、本願発明者は、永久磁石の内周面に凹部を形成することで、永久磁石のコストの低減を試みた。
また、本願発明者は、永久磁石を有するロータが用いられるモータのトルクを確保できる範囲内において、永久磁石の内周面に形成される凹部の深さを深くすることで(すなわち、径方向において、永久磁石の、凹部が形成された部分の厚みを薄くすることで)、永久磁石を形成するのに必要な原料の量をさらに低減して、永久磁石のコストのさらなる低減を試みた。しかしながら、径方向において、永久磁石の、凹部が形成された部分の厚みを薄くしていくと、永久磁石の内周面に形成される凹部の数によっては、この永久磁石を有するロータが用いられるモータのトルクリップルが増加することが本願発明者の検討によって明らかになった。具体的には、径方向において、永久磁石の、凹部が形成された部分の厚みを薄くしていくと、永久磁石の内周面に形成される凹部の数によっては、この永久磁石を有するロータが用いられるモータのトルクリップルが、内周面に凹部が形成されていない永久磁石を有するロータが用いられるモータのトルクリップルよりも増加することが本願発明者の検討によって明らかになった。
そこで、本発明の課題は、モータに使用されるロータにおいて、径方向において、永久磁石の、凹部が形成された部分の厚みを薄くすることで、従来以上にコストの低減が可能でありながら、径方向において、永久磁石の、凹部が形成された部分の厚みを薄くしても、モータのトルクリップルを低減することが可能なロータを提供することにある。また、本発明の課題は、かかるロータを備えるモータ、および、かかるロータの製造方法を提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明のロータは、モータに使用されるロータにおいて、回転軸と、略円筒状に形成され回転軸の外周面に固定される永久磁石とを備え、永久磁石の内周面には、ロータの径方向の外側に向かって窪む複数の凹部がロータの円周方向に沿って一定の間隔で形成され、永久磁石の外周面に形成される磁極の数をm極とし、凹部の数をM個とすると、Mは、3以上であって、かつ、M=m/n(nは、Mが整数となる2以上の整数)の関係を満足することを特徴とする。
本発明のロータでは、永久磁石の内周面に複数の凹部が形成されている。そのため、本発明では、永久磁石を形成するのに必要な原料の量を低減して、永久磁石のコストを低減することが可能になり、その結果、ロータのコストを低減することが可能になる。
また、本発明では、永久磁石の外周面に形成される磁極の数をm極とし、永久磁石の内周面に形成される凹部の数をM個とすると、Mは、M=m/n(nは、Mが整数となる2以上の整数)の関係を満足している。本願発明者の検討によると、凹部の数が、永久磁石の磁極の数を1以上の整数で割った数となっていれば、径方向において、永久磁石の、凹部が形成された部分の厚みを薄くしても、この永久磁石を有するロータが用いられるモータのトルクリップルが、内周面に凹部が形成されていない永久磁石を有するロータが用いられるモータのトルクリップルと同程度になることが明らかになった。そのため、本発明では、径方向において、永久磁石の、凹部が形成された部分の厚みを薄くして、永久磁石を形成するのに必要な原料の量をさらに低減しても、この永久磁石を有するロータが用いられるモータのトルクリップルを低減することが可能になる。すなわち、本発明では、径方向において、永久磁石の、凹部が形成された部分の厚みを薄くすることで、従来以上にコストの低減が可能でありながら、径方向において、永久磁石の、凹部が形成された部分の厚みを薄くしても、モータのトルクリップルを低減することが可能になる。
また、本発明では、関係式M=m/nの中のnが2以上の整数であるため、永久磁石の内周面に形成される凹部の数を減らすことが可能になる。すなわち、本発明では、凹部の間に形成される凸部の数を減らすことが可能になる。したがって、略円筒状に形成される永久磁石の内径が小さくても、ロータの円周方向における凸部の幅を確保することが可能になり、凸部の強度を確保することが可能になる。その結果、本発明では、永久磁石の内径が小さな小型のロータであっても、永久磁石の内周側に凸部を形成しやすくなる。
また、本発明では、凹部の数を減らすことが可能になるため、永久磁石の内径が小さくても、ロータの円周方向における凹部の幅を広げることが可能になる。したがって、たとえば、回転軸の外周面に接着剤を塗布した状態で、永久磁石の内周側に回転軸を挿通することで、回転軸に永久磁石を固定する場合には、永久磁石の内周側に回転軸を挿通する際に、凹部の中に接着剤が入りやすくなる。その結果、本発明では、永久磁石の内径が小さな小型のロータであっても、回転軸と永久磁石とを固定するための接着剤のはみ出しを抑制することが可能になり、かつ、回転軸と永久磁石との固定強度を高めることが可能になる。
また、本発明では、凹部の数が3個以上となっているため、凹部の間に形成される凸部の数も3個以上になる。したがって、本発明では、凸部を用いて、回転軸と永久磁石との径方向における位置決めを行うことが可能になる。
本発明において、たとえば、磁極の数は、10極であり、凹部の数は、5個である。また、本発明において、たとえば、磁極の数は、8極であり、凹部の数は、4個である。
本発明のロータは、永久磁石の外周面に所定の隙間を介して対向配置される複数の極歯を有するステータを備えるモータに用いることができる。このモータでは、径方向において、永久磁石の、凹部が形成された部分の厚みを薄くすることで、従来以上にコストの低減が可能でありながら、径方向において、永久磁石の、凹部が形成された部分の厚みを薄くしても、モータのトルクリップルを低減することが可能になる。
本発明のロータは、たとえば、永久磁石の原料となる磁粉をプレス成形した後に加熱して永久磁石を製造する磁石製造工程を備える製造方法であって、かつ、磁石製造工程で、加熱されたダイおよび/またはパンチを用いてプレス成形する製造方法によって製造される。この場合には、略円筒状に形成される永久磁石の圧環強度を高めることが可能になる。また、この場合には、永久磁石の密度を高めることが可能になる。したがって、永久磁石の磁気特性を高めることが可能になる。あるいは、磁気特性が出にくい安価な磁粉を用いて永久磁石を製造しても、永久磁石の磁気特性を確保することが可能になる。
以上のように、本発明のロータおよびモータでは、径方向において、永久磁石の、凹部が形成された部分の厚みを薄くすることで、従来以上にコストの低減が可能でありながら、径方向において、永久磁石の、凹部が形成された部分の厚みを薄くしても、モータのトルクリップルを低減することが可能になる。また、本発明のロータの製造方法を用いれば、永久磁石の圧環強度を高めることが可能になるとともに、永久磁石の密度を高めることが可能になる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
(モータの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるモータ1の断面図である。
図1は、本発明の実施の形態にかかるモータ1の断面図である。
本形態のモータ1は、いわゆるPM型のステッピングモータである。このモータ1は、図1に示すように、回転軸2と永久磁石3とを有するロータ4と、永久磁石3の外周側に配置される2個の駆動用コイル5を有するステータ6と、回転軸2の出力側でステータ6に取り付けられたフレーム7とを備えている。また、モータ1は、回転軸2の出力側の端部を支持する軸受8と、回転軸2の反出力側の端部を支持する軸受9と、回転軸2および軸受9を出力側へ付勢する付勢部材10とを備えている。
なお、以下の説明では、回転軸2の出力側となる図1のX1方向側を「出力側」、回転軸2の反出力側となる図1のX2方向側を「反出力側」とする。また、ロータ4の軸方向を「軸方向」、ロータ4の径方向を「径方向」、ロータ4の円周方向を「円周方向」とする。
回転軸2は、ステンレス鋼、アルミニウムあるいは黄銅等の金属で形成されている。回転軸2の出力側は、ステータ6から突出している。回転軸2の外周面には、リードスクリューが形成されている。本形態では、軸方向における回転軸2の全域にリードスクリューが形成されている。回転軸2のステータ6から突出した部分は、たとえば、光ピックアップ装置等の被移動体と螺合しており、ロータ4が回転すると、被移動体が軸方向へ移動する。
永久磁石3は、たとえば、ネオジム磁石等の希土類磁石である。この永久磁石3は、略円筒状に形成されている。また、永久磁石3は、回転軸2の反出力側の外周面に接着によって固定されている。本形態では、回転軸2の外周面に接着剤を塗布した状態で、永久磁石3の内周側に回転軸2を挿通することで、回転軸2に永久磁石3が固定される。永久磁石3の具体的な構成については後述する。
ステータ6は、第1のステータ部組12と第2のステータ部組13とを備えている。第1のステータ部組12と第2のステータ部組13とは、軸方向で重なるように配置されている。
第1のステータ部組12は、外ヨーク14と、駆動用コイル5が巻回されるボビン15と、ボビン15を外ヨーク14との間に挟むように配置される内ヨーク16とを備えている。外ヨーク14は、円周方向に所定のピッチで配置される複数の極歯(図示省略)を備え、内ヨーク16は、円周方向に所定のピッチで配置される複数の極歯16bを備えている。外ヨーク14の極歯および極歯16bは、永久磁石3の外周面に所定の隙間を介して対向するように配置されている。また、外ヨーク14の極歯と極歯16bとは、円周方向で隣接するように交互に配置されている。
第2のステータ部組13は、外ヨーク17と、駆動用コイル5が巻回されるボビン18と、ボビン18を外ヨーク17との間に挟むように配置される内ヨーク19とを備えている。外ヨーク17は、円周方向に所定のピッチで配置される複数の極歯17bを備え、内ヨーク19は、円周方向に所定のピッチで配置される複数の極歯(図示省略)を備えている。極歯17bおよび内ヨーク19の極歯は、永久磁石3の外周面に所定の隙間を介して対向するように配置されている。また、極歯17bと内ヨーク19の極歯とは、円周方向で隣接するように交互に配置されている。また、外ヨーク17は、2個の駆動用コイル5の外周側を覆うケースとして機能するケース部17cを備えている。
フレーム7は、底面部7aと、底面部7aから起立するように形成され互いに対向配置される2枚の側面部7b、7cとを備えている。側面部7bは、反出力側に配置されており、ステータ6に固定されている。側面部7bには、回転軸2が挿通される挿通孔7dが形成されている。側面部7cは、出力側に配置されている。側面部7cには、軸受8が固定されている。
軸受8の反出力側の端面には、球状の鋼球22が配置される凹部8aが出力側に向かって窪むように形成されている。回転軸2の出力側の端面にも、鋼球22が配置される凹部2aが反出力側に向かって窪むように形成されている。本形態では、軸受8と鋼球22とによって、回転軸2の出力側の端部が軸方向および径方向で支持されている。
軸受9の出力側の端面には、球状の鋼球23が配置される凹部9aが反出力側に向かって窪むように形成されている。回転軸2の反出力側の端面にも、鋼球23が配置される凹部(図示省略)が出力側に向かって窪むように形成されている。本形態では、軸受9と鋼球23とによって、回転軸2の反出力側の端部が軸方向および径方向で支持されている。また、軸受9は、鍔付きの円筒状に形成される軸受ホルダ24の内周側に保持されており、軸方向へ移動可能となっている。軸受ホルダ24は、ステータ6の反出力側の端面に固定されている。
付勢部材10は、板バネである。この付勢部材10は、ステータ6の反出力側に固定されている。付勢部材10の中心部には、軸受9に当接するバネ部10aが形成されている。バネ部10aは、軸受9を出力側に付勢している。
(永久磁石の構成および製造方法)
図2は、図1に示す永久磁石3を示す図であり、(A)は側面図、(B)は(A)のE−E方向から永久磁石3を示す図である。図3は、図2に示す永久磁石3の製造に用いられるパンチ30およびダイ31の概略図である。
図2は、図1に示す永久磁石3を示す図であり、(A)は側面図、(B)は(A)のE−E方向から永久磁石3を示す図である。図3は、図2に示す永久磁石3の製造に用いられるパンチ30およびダイ31の概略図である。
上述のように、永久磁石3は、略円筒状に形成されている。軸方向における永久磁石3の両端面には、図2(A)に示すように、軸方向の内側に向かって窪む凹部3aが形成されている。凹部3aは、回転軸2に永久磁石3を固定するための接着剤が溜まる接着剤溜まりと機能する。また、凹部3aの内径は、永久磁石3の内周面の、凹部3a以外の部分の内径よりも大きくなっている。
永久磁石3の外周面には、N極とS極とが周方向に沿って交互に形成されている。本形態では、5個のN極と5個のS極とが形成されており、永久磁石3の外周面に形成される磁極の数は、10極である。永久磁石3の内周面には、径方向の外側に向かって窪む複数の凹部3bが形成されている。具体的には、永久磁石3の内周面の、軸方向の両端側に形成される凹部3aの間の部分に、複数の凹部3bが形成されている。すなわち、軸方向において、凹部3bは、2個の凹部3aの間の全域に形成されている。複数の凹部3bは、円周方向に沿って一定の間隔で形成されている。本形態では、5個の凹部3bが永久磁石3の内周面に形成されている。5個の凹部3bは、円周方向に沿って、72°ピッチで形成されている。
凹部3bとの凹部3bと間は、凹部3bの底面(径方向外側端面)3cから径方向の外側へ突出する凸部3dとなっている。上述のように、永久磁石3の内周面には、5個の凹部3bが形成されているため、永久磁石3の内周側には、5個の凸部3dが円周方向に沿って72°ピッチで形成されている。また、上述のように、軸方向において、凹部3bは、2個の凹部3aの間の全域に形成されているため、凸部3dも、軸方向において、2個の凹部3aの間の全域に形成されている。
軸方向から見たときに、凸部3dの円周方向の端面3eの延長線は、永久磁石3の中心Cを通過している。本形態では、軸方向から見たときに、1個の凸部3dの2個の端面3eの延長線がなす角度θは、28°〜44°となっており、凸部3dは、径方向の内側に向かうにしたがって、円周方向の幅が狭くなる略等脚台形状に形成されている。凸部3dの先端面(径方向の内端面)は、永久磁石3の内周面を構成しており、軸方向から見たときに、円弧状に形成されている。また、凸部3dの先端面は、回転軸2の外周面に接着固定される固定面となっている。
なお、本形態では、凸部3dが形成された部分の、永久磁石3の径方向の厚みt1は、たとえば、1.5mm程度であり、凹部3bが形成された部分の、永久磁石3の径方向の厚みt2は、たとえば、0.7mm程度である。また、本形態では、円周方向における凹部3bの中心または凸部3dの中心と、永久磁石3の外周面に形成される各磁極の円周方向における中心とが円周方向において略一致している。
永久磁石3は、原料となる磁粉にバインダー樹脂を混ぜてプレス成形を行った後に、所定温度で加熱することで形成された焼結永久磁石である。永久磁石3をプレス成形する際には、図3に示すように、パンチ30とダイ31とが使用される。パンチ30は、略円柱状に形成されている。また、パンチ30には、永久磁石3の凸部3dを形成するための凹部がパンチ30の外周面から径方向の内側へ窪むように形成されており、この凹部の間は、永久磁石3の凹部3bを形成するための凸部となっている。ダイ31は、筒状に形成されている。
永久磁石3は、バインダー樹脂が混合された磁粉がダイ31に充填された後に、パンチ30が下降して、ダイ31に充填された磁粉を圧縮することで、プレス成形される。本形態では、プレス成形時のダイ31は、図示を省略するヒータによって加熱されている。たとえば、ダイ31は、40℃〜60℃程度に加熱されている。なお、プレス成形時には、ダイ31の熱がパンチ30にも伝わって、パンチ30の温度も上昇する。
(表面磁束密度のシミュレーション)
図4(A)は、本発明の実施の形態にかかる永久磁石3の表面磁束密度のシミュレーション結果を示すグラフであり、図4(B)は、比較例1にかかる永久磁石の表面磁束密度のシミュレーション結果を示すグラフであり、図4(C)は、比較例2にかかる永久磁石の表面磁束密度のシミュレーション結果を示すグラフである。
図4(A)は、本発明の実施の形態にかかる永久磁石3の表面磁束密度のシミュレーション結果を示すグラフであり、図4(B)は、比較例1にかかる永久磁石の表面磁束密度のシミュレーション結果を示すグラフであり、図4(C)は、比較例2にかかる永久磁石の表面磁束密度のシミュレーション結果を示すグラフである。
外周面の磁極の数が10極であり、かつ、内周面に5個の凹部3bが形成されている本形態の永久磁石3(以下、「実施例の永久磁石3」とする)、外周面の磁極の数が10極であり、かつ、内周面に凹部が形成されていない永久磁石(以下、「比較例1の永久磁石」とする)、および、外周面の磁極の数が10極であり、かつ、凹部3bに相当する凹部が内周面に3個形成されている永久磁石(以下、「比較例2の永久磁石」とする)の円周方向における表面磁束密度のシミュレーションを行った。
シミュレーションでは、実施例の永久磁石3、比較例1の永久磁石および比較例2の永久磁石の外径および内径を同じにした。また、シミュレーションでは、凹部3bが形成された部分の、実施例の永久磁石3の径方向の厚みt2と、凹部が形成された部分の、比較例2の永久磁石の径方向の厚みとを同じにした。
実施例の永久磁石3のシミュレーション結果を図4(A)に示し、比較例1の永久磁石のシミュレーション結果を図4(B)に示し、比較例2の永久磁石のシミュレーション結果を図4(C)に示す。図4(A)、(B)に示すように、実施例の永久磁石3の、円周方向における表面磁束密度の変動量は、比較例1の永久磁石の、円周方向における表面磁束密度の変動量と同程度になっているのに対して、図4(C)に示すように、比較例2の永久磁石の、円周方向における表面磁束密度の変動量は、実施例の永久磁石3の、円周方向における表面磁束密度の変動量、および、比較例1の永久磁石の、円周方向における表面磁束密度の変動量よりも大きくなっている。
そのため、実施例の永久磁石3を有するロータ4が用いられるモータ1のトルクリップルは、比較例1の永久磁石を有するロータが用いられるモータのトルクリップルと同程度であるが、比較例2の永久磁石を有するロータが用いられるモータのトルクリップルは、比較例1の永久磁石を有するロータが用いられるモータのトルクリップルよりも大きくなることがわかる。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、永久磁石3の内周面に、径方向の外側へ窪む5個の凹部3bが形成されている。そのため、本形態では、永久磁石3を形成するのに必要な原料の量を低減して、永久磁石3のコストを低減することが可能になる。
以上説明したように、本形態では、永久磁石3の内周面に、径方向の外側へ窪む5個の凹部3bが形成されている。そのため、本形態では、永久磁石3を形成するのに必要な原料の量を低減して、永久磁石3のコストを低減することが可能になる。
本形態では、永久磁石3の外周面の磁極の数が10極であり、かつ、永久磁石3の内周面に形成される凹部3bの数が5個である。そのため、凹部3bが形成された部分の永久磁石3の径方向の厚みt2がたとえば、0.7mm程度と薄くなっている場合であっても、上述のシミュレーション結果が示すように、永久磁石3を有するロータ4が用いられるモータ1のトルクリップルを、内周面に3個の凹部が形成されている比較例2の永久磁石を有するロータが用いられるモータのトルクリップルよりも低減して、内周面に凹部が形成されていない比較例1の永久磁石を有するロータが用いられるモータのトルクリップルと同程度とすることが可能になる。したがって、本形態では、凹部3bが形成された部分の永久磁石3の径方向の厚みt2を薄くして、永久磁石3を形成するのに必要な原料の量をさらに低減しても、モータ1のトルクリップルを低減することが可能になる。すなわち、本形態では、永久磁石3の凹部3bが形成された部分の径方向の厚みt2を薄くすることで、従来以上にコストの低減が可能でありながら、永久磁石3の凹部3bが形成された部分の径方向の厚みt2を薄くしても、モータ1のトルクリップルを低減することが可能になる。
ここで、本願発明者の検討によると、永久磁石3の外周面の磁極の数が10極であり、かつ、凹部3bの数が10個である場合にも、凹部3bが形成された部分の永久磁石3の径方向の厚みt2を薄くしたときの、永久磁石3を有するロータ4が用いられるモータ1のトルクリップルを低減できることが明らかになっている。しかしながら、本形態では、凹部3bの数を5個としているため、凸部3dの数を5個とすることができる。したがって、永久磁石3の内径が小さくても(たとえば、永久磁石3の内径が3mm程度であっても)、円周方向における凸部3dの幅を確保することが可能になり、凸部3dの強度を確保することが可能になる。その結果、本形態では、永久磁石3の内径が小さな小型のロータ4であっても、永久磁石3の内周側に凸部3dを形成しやすくなる。
また、本形態では、永久磁石3の内径が小さくても、円周方向における凹部3bの幅を確保することが可能になるため、凹部3bを形成するためのパンチ30の凸部の強度を確保することが可能になる。その結果、本形態では、永久磁石3の内径が小さな小型のロータ4であっても、永久磁石3の内周面に凹部3bを形成しやすくなる。
また、本形態では、凹部3bの数が5個であるため、凹部3bの数が10個である場合と比較して、永久磁石3の内径が小さくても、円周方向における凹部3bの幅を広げることが可能になる。したがって、回転軸2に永久磁石3を接着固定する際、永久磁石3の内周側に回転軸2を挿通したときに、回転軸2の外周面に塗布された接着剤が凹部3bの中に入りやすくなる。その結果、本形態では、永久磁石3の内径が小さな小型のロータ4であっても、回転軸2と永久磁石3とを固定するための接着剤が接着剤溜まりとして機能する凹部3aからはみ出すのを防止することが可能になる。また、凹部3bを接着剤溜まりとして有効に機能させることが可能になるため、回転軸2と永久磁石3との固定強度を高めることが可能になる。また、凹部3bを接着剤溜まりとして有効に機能させることが可能になるため、凹部3aに溜まる接着剤の量を低減することが可能になる。したがって、永久磁石3の反出力側の端面に軸受9を近づけたり、永久磁石3の反出力側の端面に形成凹部3aの中に軸受9の一部を入れたりすることが可能になる。その結果、モータ1を軸方向で小型化することが可能になる。
本形態では、凸部3dの数が5個以上になっているため、5個の凸部3dのうちの3個の凸部3dを用いて、回転軸2と永久磁石3との径方向における位置決めを行うことが可能になる。
本形態では、永久磁石3を製造する際のプレス成形時に、ダイ31がヒータによって加熱されている。そのため、本形態では、図5(A)の実験結果に示すように、永久磁石3の圧環強度を高めることが可能になる。また、本形態では、図5(B)の実験結果に示すように、永久磁石3の密度を高めることが可能になる。したがって、本形態では、永久磁石3の磁気特性を高めることが可能になる。あるいは、磁気特性が出にくい安価な磁粉を用いて永久磁石3を製造しても、永久磁石3の磁気特性を確保することが可能になる。また、永久磁石3の密度を高めることが可能になるため、永久磁石3の凹部3bが形成された部分の径方向の厚みt2を薄くしても永久磁石3の強度を確保することが可能になる。
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
上述した形態では、永久磁石3の外周面の磁極の数が10極であり、かつ、永久磁石3の内周面に5個の凹部3bが形成されている。この他にもたとえば、永久磁石3の外周面の磁極の数が8極であり、かつ、永久磁石3の内周面に4個の凹部3bが形成されても良い。この場合であっても、本願発明者の検討によると、上述した形態と同様の効果を得ることができる。また、たとえば、永久磁石3の外周面の磁極の数が16極であり、かつ、永久磁石3の内周面に8個または4個の凹部3bが形成されても良い。この場合であっても、本願発明者の検討によると、上述した形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、本願発明者の検討によると、永久磁石3の外周面の磁極の数をm極とし、永久磁石3の内周面に形成される凹部3bの数をM個とすると、Mは、3以上であって、かつ、M=m/n(nは、Mが整数となる2以上の整数)の関係を満足していれば、上述した形態と同様の効果を得ることが可能になる。
上述した形態では、ステータ6は、第1のステータ部組12と第2のステータ部組13とによって構成されている。この他にもたとえば、ステータ6は、第1のステータ部組12のみによって構成されても良い。また、ステータ6は、3個以上のステータ部組によって構成されても良い。また、上述した形態では、永久磁石3は、ステッピングモータであるモータ1のロータ4に使用されているが、永久磁石3は、ステッピングモータ以外のモータのロータに使用されても良い。
1 モータ
2 回転軸
3 永久磁石
3b 凹部
4 ロータ
6 ステータ
16b、17b 極歯
30 パンチ
31 ダイ
2 回転軸
3 永久磁石
3b 凹部
4 ロータ
6 ステータ
16b、17b 極歯
30 パンチ
31 ダイ
Claims (5)
- モータに使用されるロータにおいて、
回転軸と、略円筒状に形成され前記回転軸の外周面に固定される永久磁石とを備え、
前記永久磁石の内周面には、前記ロータの径方向の外側に向かって窪む複数の凹部が前記ロータの円周方向に沿って一定の間隔で形成され、
前記永久磁石の外周面に形成される磁極の数をm極とし、前記凹部の数をM個とすると、
Mは、3以上であって、かつ、M=m/n(nは、Mが整数となる2以上の整数)の関係を満足することを特徴とするロータ。 - 前記磁極の数は、10極であり、前記凹部の数は、5個であることを特徴とする請求項1記載のロータ。
- 前記磁極の数は、8極であり、前記凹部の数は、4個であることを特徴とする請求項1記載のロータ。
- 請求項1から3のいずれかに記載のロータと、前記永久磁石の外周面に所定の隙間を介して対向配置される複数の極歯を有するステータとを備えることを特徴とするモータ。
- 請求項1から3のいずれかに記載のロータの製造方法であって、
前記永久磁石の原料となる磁粉をプレス成形した後に加熱して前記永久磁石を製造する磁石製造工程を備え、
前記磁石製造工程では、加熱されたダイおよび/またはパンチを用いてプレス成形することを特徴とするロータの製造方法。
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