JP2013020000A - 光学フィルター用着色樹脂組成物および光学フィルター - Google Patents

光学フィルター用着色樹脂組成物および光学フィルター Download PDF

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Abstract

【課題】着色剤として染料を含み、着色樹脂組成物としての着色剤の耐熱性および特殊溶剤への溶解性に優れる光学フィルター用着色樹脂組成物を提供する。
【解決手段】着色剤と、着色剤を溶解する溶剤と、バインダー樹脂と、架橋性モノマーと、架橋性モノマーの重合開始剤とを含み、着色剤が、テトラシアノボレートイオン(TCBイオン)をアニオンとするカチオン染料である、光学フィルター用着色樹脂組成物とする。この着色樹脂組成物によって、例えば、液晶表示装置などの画像表示装置に用いるカラーフィルターなどが製造できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学フィルター用着色樹脂組成物と光学フィルターとに関する。
液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)をはじめとする画像表示装置、固体撮像素子などの光学センサーならびに可視光通信デバイスなどの通信デバイスに、着色剤を含み、入射光を透過または反射し、光のスペクトルを当該着色剤によって変化させる光学フィルターが使用されている。具体的な光学フィルターは、例えば、カラーフィルター、特定の帯域の光をカットするカットフィルターである。
現在、例えばLCD用カラーフィルターでは、着色剤に顔料を用いた光学フィルターが一般的である。この光学フィルターの着色部は、主として顔料分散法により製造され(特許文献1を参照)、顔料自身の特性に基づく高い耐熱性、耐光性、耐薬品性を有する。しかし、当該光学フィルターでは、顔料粒子の表面で生じる光の散乱が問題となる。例えばLCDでは、光の散乱によって偏光が乱れ、画像コントラストの低下が生じる。画像コントラストの低下は、大画面LCDの場合に特に著しい。固体撮像素子では、微細なパターンを有するカラーフィルターの製造が困難となり、素子のさらなる高精細化が困難となる。また、良好な光学特性を示す光学フィルターを得るためには、製造時の顔料粒子の微分散化および分散状態の保持が重要であるが、光学フィルター製造時における顔料粒子の微分散化および分散状態の保持を十分に行うことは難しい。
着色剤に染料を使用することによって、これらの問題が解決できる。染料は、着色部に分散するのではなく着色部を構成する樹脂組成物中に溶解しているため、着色剤による光の散乱は起こりにくくなる。さらに、顔料を着色剤に用いる場合に必須である微粉砕および分散工程の省略が可能となる。
一方で、顔料に比べて染料の耐熱性は一般に低く、光学フィルターの製造プロセスへの適応性に課題がある。光学フィルターは、例えば、染料を溶解させた着色樹脂組成物を基板上に塗布し、加熱乾燥して当該組成物の塗膜を形成し(プリベーク)、光照射および/または熱処理によってこの塗膜を硬化して形成される(ポストベーク)。カラーフィルターなど、特定の着色パターンが要求される場合には、プリベークとポストベークとの間にフォトリソグラフィーが併用される。光学フィルターの製造に用いる着色樹脂組成物には、当該組成物に含まれる着色剤がプリベークによる塗膜形成後およびポストベークによる塗膜の硬化処理後も機能するだけの十分な耐熱性が要求される。また、染料は、顔料とは異なり、溶剤に溶解した状態で光学フィルターの製造に使用されるが、光学フィルターの製造プロセスの効率上使用される特殊な溶剤(例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート(PGMEA))への良好な溶解性が要求される。
特許文献2には、特定のカチオンおよびアニオンを有するカチオン染料が開示されている。特許文献2のカチオン染料は、従来のカチオン染料に比べて熱的に安定であることが、当該文献に記載されている。ただし、特許文献2には、染料自身が従来よりも熱的に安定であるということのみが記載されており、光学フィルターの製造プロセスへの適合性を考慮した、着色樹脂組成物としての着色剤の耐熱性、特殊溶剤への溶解性に関しては、全く考慮されていない。
特開2011-112672号公報 特表2007-503477号公報
本発明は、着色剤として染料を含み、着色樹脂組成物としての着色剤の耐熱性および特殊溶剤への溶解性に優れる、光学フィルター用着色樹脂組成物の提供を目的とする。
本発明の光学フィルター用着色樹脂組成物は、着色剤と、前記着色剤を溶解する溶剤と、バインダー樹脂と、架橋性モノマーと、前記モノマーの重合開始剤と、を含み、前記着色剤が、テトラシアノボレートイオンをアニオンとするカチオン染料である。
本発明によれば、着色剤として染料を含み、着色樹脂組成物としての着色剤の耐熱性および特殊溶剤への溶解性に優れる光学フィルター用着色樹脂組成物が得られる。
実施例において評価した、熱重量変化の試験前後におけるカチオン染料(ローダミンBおよびそのTCB塩)の可視光吸収スペクトルの変化を示す図である。 実施例において評価した、熱重量変化の試験前後におけるカチオン染料(アストラゾンオレンジRおよびそのTCB塩)の可視光吸収スペクトルの変化を示す図である。
本発明の着色樹脂組成物は、着色剤として染料を含む。これにより、着色剤として顔料を含む着色樹脂組成物を用いた場合に比べて、本発明の着色樹脂組成物を用いて製造した光学フィルターにおける光の散乱の問題が低減される。本発明の着色樹脂組成物によれば、例えば、コントラストが良好な画像を実現するLCD用カラーフィルター、さらなる高精細化が可能な固体撮像素子用カラーフィルターが得られる。
本発明の着色樹脂組成物は、着色樹脂組成物としての着色剤の耐熱性および特殊溶剤への溶解性に優れる。このような着色樹脂組成物は、光学フィルターの製造プロセスへの適合性が高い。
[着色剤]
本発明の着色樹脂組成物に含まれる着色剤は、テトラシアノボレートイオン[B(CN)4-をアニオンとするカチオン染料である。なお、本明細書における着色剤とは、当該着色剤を含有する物品への入射光を透過または反射し、その光のスペクトルを変化させる材料をいう。光が可視光である場合、視認できる「着色」が着色剤によってなされる。例えば、LCDに用いるカラーフィルターでは、青、赤、緑または黄の着色が着色剤によってなされる。
当該染料におけるカチオンは特に限定されない。カチオンは、例えば、塩化物イオン(Cl-)をアニオンとする公知のカチオン染料におけるカチオンである。公知のカチオン染料におけるカチオン骨格は、例えば、アジン、キサンテン、アクリジン、シアニン、カルボシアニン、アザカルボシアニン、ジアザカルボシアニン、トリアザカルボシアニン、ヘミシアニン、ジアザヘミシアニン、アゾ、テトラゾリウム、ピリリウム、ベンゾピリリウム、チオピリリウム、ベンゾチオピリリウム、チアジン、オキサジン、トリアリールメタン、ジアリールメタン、キノリン、イソキノリン、イミド、ペリノン、メチンおよび4級化アザフルオレノンである。本発明の着色樹脂組成物に含まれる着色剤は、カチオンとして、これらの骨格を持つカチオンを有しうる。
着色剤の例を、以下の式(1)〜(6)に示す。
Figure 2013020000
Figure 2013020000
Figure 2013020000
Figure 2013020000
Figure 2013020000
Figure 2013020000
式(1)に示す着色剤は、カチオンがローダミンBのカチオンと同一であり、アニオンがテトラシアノボレートイオン(TCBイオン)であるカチオン染料である。式(2)に示す着色剤は、カチオンがアストラゾンオレンジRのカチオンと同一であり、アニオンがTCBイオンであるカチオン染料である。式(3)に示す着色剤は、カチオンがアストラゾンピンクFGのカチオンと同一であり、アニオンがTCBイオンであるカチオン染料である。式(4)に示す着色剤は、カチオンがベーシックブルー26のカチオンと同一であり、アニオンがTCBイオンであるカチオン染料である。式(5)に示す着色剤は、カチオンがメチレンブルーのカチオンと同一であり、アニオンがTCBイオンであるカチオン染料である。式(6)に示す着色剤は、アニオンがTCBイオンであるシアニン系カチオン染料である。
本発明の着色樹脂組成物における着色剤の含有率は、当該組成物を固形分換算で100質量部として、好ましくは0.01〜50質量部、より好ましくは0.5〜45質量部、さらに好ましくは1〜40質量部である。
TCBイオンをアニオンとするカチオン染料は、例えば、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、テトラフルオロボレートイオン(BF4 -)、ヘキサフルオロフォスフェートイオン(PF6 -)、過塩素酸イオン(ClO4 -)、硫酸イオン、トシル酸イオン、ヒドロ硫酸イオン、トリフレートイオン(CF3SO3 -)、トリフルオロ酢酸イオン、酢酸イオン、水酸化物イオン、アルコキシイオン、シアンイオン、シアン酸イオン、チオシアン酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン、アルキル硫酸イオン、アルキル炭酸イオンまたはシュウ酸イオンをアニオンとするカチオン染料と、TCBのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはオニウム塩とを混合し、イオン交換を行うことで製造できる。なかでも、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、酢酸イオン、硫酸イオンをアニオンとするカチオン染料を用いることが好ましい。TCBの塩は、無機塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、1〜4級アンモニウム塩、NH4塩、3級スルホニウム塩、オキソニウム塩、ホスホニウム塩であり、特にリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、NH4塩を用いることが好ましい。
TCBオニウム塩のカチオン(オニウムカチオン)は、一般式(7):L+−Rsにより示されるカチオンが好ましい。式(7)中、Lは、C、Si、N、P、SまたはOの各原子を表す。Rは、同一または異なっていてもよい、水素原子、フッ素原子または有機基を表す。Rが有機基である場合は、R同士は互いに結合していてもよい。sは、Lに結合するRの数を表し、3、4または5である。sは、Lの価数およびLに直接結合する二重結合の数によって決まる値である。
Rである有機基は、炭素原子を少なくとも1個有する基である。Rは、炭素原子を少なくとも1個有する限り限定されず、ハロゲン原子、ヘテロ原子などの炭素原子以外の原子および/または置換基を有していてもよい。置換基は、例えば、アミノ基、イミノ基、アミド基、エーテル結合を有する基、チオエーテル結合を有する基、エステル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、カルバモイル基、シアノ基、ジスルフィド基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホニル基である。
一般式(7)で示されるオニウムカチオンの例を以下に示す。以下の例において、「O」は酸素原子、「N」は窒素原子、「C]は炭素原子、「S」は硫黄原子、「P」はリン原子である。
Figure 2013020000
この6つのオニウムカチオンの例のなかでも、Lが、N、P、SまたはOであるカチオンがより好ましく、LがNのカチオンがさらに好ましい。オニウムカチオンは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
LがN、P、SまたはOであるオニウムカチオンの好ましい具体例を、以下の式(8−1)〜(10)に示す。
Figure 2013020000
式(8−1)〜(8−15)に示すカチオンは、複素環オニウムカチオンである。式(8−1)〜(8−15)のカチオンにおける有機基R1〜R8は、一般式(7)における有機基Rと同様である。より具体的には、R1〜R8は、同一または異なっていてもよい、水素原子、フッ素原子または有機基である。R1〜R8である有機基は、直鎖、分岐鎖または環状(ただし、R1〜R8が互いに結合して環を形成しているものを除く)である炭素数1〜18の炭化水素基または炭化フッ素基が好ましく、炭素数1〜8の炭化水素基または炭化フッ素基がより好ましい。R1〜R8である有機基は、一般式(7)に関して例示した置換基、あるいはN、O、Sなどのヘテロ原子、ハロゲン原子を含んでいてもよい。
Figure 2013020000
式(9−1)〜(9−9)に示すカチオンは、飽和環オニウムカチオンである。式(9−1)〜(9−9)のカチオンにおける有機基R1〜R12は、式(8−1)〜(8−15)のカチオンにおける有機基R1〜R8と同様である。
Figure 2013020000
式(10)に示すカチオンは、鎖状オニウムカチオンである。式(10)のカチオンにおける有機基R1〜R4は、式(8−1)〜(8−15)のカチオンにおける有機基R1〜R8と同様である。
式(10)に示すカチオンは、例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、テトラヘプチルアンモニウム、テトラヘキシルアンモニウム、テトラオクチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、メトキシエチルジエチルメチルアンモニウム、トリメチルフェニルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリブチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム、ジメチルジステアリルアンモニウム、ジアリルジメチルアンモニウム、2−メトキシエトキシメチルトリメチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロエチル)アンモニウムなどの第4級アンモニウム類;トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ジエチルメチルアンモニウム、ジメチルエチルアンモニウム、ジブチルメチルアンモニウムなどの第3級アンモニウム類;ジメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、ジブチルアンモニウムなどの第2級アンモニウム類;メチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ヘキシルアンモニウム、オクチルアンモニウムなどの第1級アンモニウム類;N−メトキシトリメチルアンモニウム、N−エトキシトリメチルアンモニウム、N−プロポキシトリメチルアンモニウム、NH4で表されるアンモニウム化合物、の各カチオンである。
上記式(8−1)〜(10)のオニウムカチオンのなかでも、窒素原子を含むオニウムカチオンがより好ましい。特に好ましいオニウムカチオンを以下に示す。
Figure 2013020000
これら特に好ましい6種類のオニウムカチオンのなかでも、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウムなどの鎖状第4級アンモニウム;トリエチルアンモニウム、ジブチルメチルアンモニウム、ジメチルエチルアンモニウムなどの鎖状第3級アンモニウム;1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムなどのイミダゾリウム;N,N−ジメチルピロリジニウム、N−エチル−N−メチルピロリジニウムなどのピロリジニウムは、入手容易であるため、とりわけ好ましい。さらに好ましいオニウムカチオンは、第4級アンモニウム、イミダゾリウムである。耐還元性の観点からは、上記鎖状オニウムカチオンに分類されるテトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムおよびトリエチルメチルアンモニウムなどの第4級アンモニウムが好ましい。
イオン交換は、公知の方法に従うことができる。イオン交換には、2種以上の異なるイオン(アニオンおよび/またはカチオン)を用いることができる。イオン交換の際に、有機溶剤、水を用いることができる。
[溶剤]
本発明の着色樹脂組成物に含まれる溶剤は、着色剤を溶解する。溶剤は、例えば、1,2,3−トリクロロプロパン、1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−ヘプタノン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3−メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、4−ヘプタノン、トルエン、m−キシレン、o−キシレン、エチルベンゼン、m−ジエチルベンゼン、m−ジクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ブトキシエチルアルコール、n−ブチルベンゼン、n−プロピルアセテート、N−メチルピロリドン、o−クロロトルエン、o−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−クロロトルエン、p−ジエチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、γ―ブチロラクトン、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル、メチルエチルケトン、ジブチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−i−アミルケトン、アセトフェノン、またはこれらの混合物である。なかでも、溶剤の沸点および粘性の観点から見た光学フィルターの製造プロセスへの親和性の高さから、ジエチレングリコールジメチルエーテル、PGMEA、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドンが好ましく、PGMEAが特に好ましい。TCBイオンをアニオンとするカチオン染料は、このPGMEAに対する溶解性が高く、光学フィルターの製造プロセスに対する親和性が高い。
本発明の着色樹脂組成物における溶剤の含有率は、特に限定されないが、当該組成物100質量部に対して、20〜95質量部が好ましく、30〜85質量部がより好ましい。
[バインダー樹脂]
本発明の着色樹脂組成物は、バインダー樹脂を含む。バインダー樹脂は、特に限定されないが、本発明の着色樹脂組成物が光学フィルターの製造に用いられることから、耐熱性ならびに光学フィルターの製造工程において使用される有機溶剤への耐性を有する樹脂であることが好ましい。また、バインダー樹脂は、光学フィルターが機能する帯域の光に対して透明な樹脂であることが好ましい。バインダー樹脂は、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、マレイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂である。バインダー樹脂は、感光性であっても非感光性であってもよい。
バインダー樹脂は、カルボキシル基含有不飽和単量体と、これと共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体が好ましい。
カルボキシル基含有不飽和単量体は、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、フタル酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートが好ましく、(メタ)アクリル酸が特に好ましい。カルボキシル基含有不飽和単量体は、単独もしくは2種類以上を組み合わせてもよい。
さらなる置換基の導入、あるいは着色樹脂組成物のアルカリ可溶性の付与のため、バインダー樹脂は、カルボキシル基含有不飽和単量体の重合により形成された構成単位を、5質量%以上有することが好ましく、10質量%以上有することがより好ましい。
エチレン性不飽和単量体は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシル(メタ)エチルアクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、およびこれらのマクロモノマー類;N−フェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、N―メチルフェニルマレイミド、N−メトキシフェニルマレイミド、N−クロロフェニルマレイミド、N−ナフチルマレイミドなどの芳香族置換マレイミド;N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのアルキル置換マレイミドである。エチレン性不飽和単量体は、単独もしくは2種類以上を組み合わせてもよい。
バインダー樹脂の重量平均分子量は特に限定されないが、3,000〜1,000,000程度であることが、膜強度、現像性および密着性の観点から好ましい。
本発明の着色樹脂組成物におけるバインダー樹脂の含有率は、当該組成物100質量部に対して、1〜60質量部が好ましく、5〜50質量部がより好ましい。バインダー樹脂の含有率がこれら好ましい範囲を外れた場合、着色樹脂組成物としての硬化性が不十分となる可能性があり、最終的に得られた光学フィルターとしての性能が充分に発揮されないことがある。
[架橋性モノマー]
本発明の着色樹脂組成物は、架橋性モノマーを含む。架橋性モノマーは、プリベークによって塗膜となった着色樹脂組成物をポストベークにより硬化させる際に、架橋点となる材料である。架橋性モノマーは、光学フィルターが製造できる限り限定されない。
架橋性モノマーは、熱架橋性(熱重合性)であっても光架橋性(光重合性)であってもよい。製造する光学フィルターがカラーフィルターなど、微細なパターニングが必要なフィルターである場合には、架橋性モノマーは光重合性のモノマーが好ましい。このとき、フォトリソグラフィーの手法により、着色樹脂組成物の塗膜がパターニングされるとともに硬化することで、微細な着色パターンを有する光学フィルターを製造できる。
光架橋性モノマーは、例えば、単官能(メタ)アクリレート類、二官能(メタ)アクリレート類、多官能(メタ)アクリレート類、エポキシ(メタ)アクリレート類、ビニルエーテル類である。光重合性単量体は、オリゴマーとなっていてもよい。
単官能(メタ)アクリレート類は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートである。二官能(メタ)アクリレート類は、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロプレングリコールポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートである。三官能以上の多官能(メタ)アクリレートは、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートである。
熱架橋性モノマーは、例えば、上述したアクリル系不飽和結合を複数有する化合物、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アルデヒド系化合物である。これらの化合物は単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
本発明の着色樹脂組成物における架橋性モノマーの含有率は、当該組成物100質量部に対して、2〜40質量部が好ましく、硬化性および現像性の観点からは5〜30質量部であることがより好ましい。
[重合開始剤]
本発明の着色樹脂組成物は、架橋性モノマーの重合開始剤を含む。
架橋性モノマーが光重合性である場合、重合開始剤は、例えば、ベンゾインアルキルエーテル系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、フェニルケトン系化合物、チオキサントン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物およびアントラキノン系化合物などの光重合開始剤である。具体的な例は、イルガキュア369、イルガキュア907(両者ともアセトフェノン系化合物、チバ・ジャパン製)である。
光重合開始剤は、着色樹脂組成物100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲で用いることができる。
[着色樹脂組成物]
本発明の着色樹脂組成物は、着色剤と、着色剤を溶解する溶剤と、バインダー樹脂と、架橋性モノマーと、当該モノマーの重合開始剤とを含む。本発明の着色樹脂組成物は、本発明の効果が得られる限り、これらの材料を各々2種類以上含むことができる。
本発明の着色樹脂組成物は、本発明の効果が得られる限り、着色剤、溶剤、バインダー樹脂、架橋性モノマーおよび重合開始剤以外の任意の材料を含むことができる。当該材料は、例えば、TCBイオンをアニオンとするオニウム塩(TCBオニウム塩)または金属塩、TCBイオンをアニオンとするカチオン染料以外の染料、顔料、顔料の分散剤、基板上での着色樹脂組成物のレベリング性を向上させるレベリング剤、基板と着色樹脂組成物との密着性を高めるシランカップリング剤などの密着向上剤である。当該染料および顔料は、着色樹脂組成物の色調、すなわち、光学フィルターにおける着色の色調を調整するために加えられることがある。
本発明の着色樹脂組成物がTCBオニウム塩を含む場合、その添加量は、着色剤の質量に対して0.05〜50質量%が好ましく、0.1〜30質量%がより好ましい。
架橋性モノマーが光重合性の場合、本発明の着色樹脂組成物は、必要に応じて熱重合防止剤を含むことができる。熱重合防止剤は、着色樹脂組成物の保存安定性を向上させることを目的として添加される材料であり、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−(メルカプトベンゾイミダゾール)である。必要に応じて、光劣化防止剤を併用できる。
本発明の着色樹脂組成物は、染料を着色剤として含む従来の着色樹脂組成物に比べて、高い耐熱性を有する(樹脂組成物中における着色剤の耐熱性が高い)。このため、着色樹脂組成物が硬化膜となる際(光学フィルター製造時)においても、着色剤である染料が本来有している光学的な特性の劣化が抑制される。このことは、光学フィルター製造にとって高い利点となる。
本発明の着色樹脂組成物は、染料を着色剤として含む従来の着色樹脂組成物に比べて、高い耐光性を有する。
本発明の着色樹脂組成物は、染料を着色剤として含む従来の着色樹脂組成物に比べて、高い耐湿熱性を有する。
本発明の着色樹脂組成物は、染料を着色剤として含む従来の着色樹脂組成物に比べて、高い耐酸性および耐アルカリ性を有する。
[光学フィルター]
本発明の光学フィルターは、本発明の着色樹脂組成物の硬化膜を有する。当該硬化膜は、硬化前の本発明の着色樹脂組成物が含む着色剤、すなわち、TCBイオンをアニオンとするカチオン染料と、バインダー樹脂と、架橋性モノマーの重合反応物とを含む。本発明の光学フィルターの硬化膜を介して入射光が透過または反射することで、当該光のスペクトルが変化する。より具体的な例として、当該フィルターに入射した光のうち、特定の波長域の光のみを透過または反射させる。
本発明の光学フィルターの構成は、本発明の着色樹脂組成物の硬化膜を有する限り限定されない。本発明の光学フィルターは、典型的には、基体、例えば基板、ベースフィルム、と、当該基体の表面に形成された上記硬化膜とを備える。
本発明の光学フィルターは、例えば、LCD、カラー撮像管素子、有機ELディスプレイおよび電子ペーパーに用いるカラーフィルター;PDPに用いるカットフィルター(例えば、波長590nmのNe光カットフィルター);光学センサー(人体、放射温度計、測長、振動など)に用いる光学フィルター;ならびに可視光通信システムにおけるアイソレーター、反射防止フィルム、WDM用フィルターである。
本発明の光学フィルターは、本発明の着色樹脂組成物を用いて公知の方法により製造できる。例えば、(1)基体の表面に本発明の着色樹脂組成物を塗布し、(2)塗布した着色樹脂組成物を加熱乾燥して、基体の表面に塗膜を形成し(プリベーク)、(3)形成した塗膜を加熱(熱処理)して当該膜を硬化させ、TCBイオンをアニオンとするカチオン染料を含む硬化膜を形成すればよい(ポストベーク)。ステップ(2)と(3)との間に、必要に応じて、フォトリソグラフィーを適用することで、パターンを有する硬化膜を得てもよい。この場合、硬化膜のパターンに従った着色パターンを有する光学フィルターが得られる。光学フィルターの種類によっては、上述した各工程以外の工程が実施される。例えば、PDPに用いるNe光カットフィルターでは、熱処理により形成した硬化膜と、ガラス基板とを貼り合わせる工程が実施される。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。
(染料の耐熱性)
TCBイオンをアニオンとするカチオン染料と、カチオンは同一であるが塩化物イオンをアニオンとするカチオン染料との間で耐熱性を比較した。耐熱性は、双方の染料を加熱したときの重量変化(熱重量変化)および可視光に対する吸収スペクトルの変化により評価した。
塩化物イオンをアニオンとするカチオン染料は、市販の2種類の染料を準備した。一つは(サンプルA)、以下の式(11)に示す構造式を有する「ローダミンB(ベーシックバイオレット10)」であり、一つは(サンプルB)、以下の式(12)に示す構造式を有する「アストラゾンオレンジR(ベーシックオレンジ22)」とした。
Figure 2013020000
Figure 2013020000
TCBイオンをアニオンとするカチオン染料は、このサンプルA,Bに対して、以下の式(13),(14)に示すイオン交換(アニオン交換)を行って製造した。
Figure 2013020000
Figure 2013020000
ローダミンBのアニオンを塩化物イオンからTCBイオンに交換した染料(サンプル1)は、以下のようにして得た。攪拌装置を備えた容量100mLのビーカーにローダミンB0.21g(0.45mmol)を加え、これに31mLのイオン交換水をさらに加えた後、ローダミンBが溶解するまで溶液を攪拌してローダミンB水溶液を得た。これとは別に、容量50mLのビーカーにLiTCB(リチウムテトラシアノボレート)0.06g(0.47mmol)およびイオン交換水12mLを加えて、予めLiTCB水溶液を調製しておき、当該水溶液をローダミンB水溶液に、室温において撹拌しながら滴下し、滴下後、5分間攪拌した。このようにして得た反応混合物から沈殿物を濾別し、得られた固体を100mLの酢酸エチルに溶解させ、30mLのイオン交換水で分液洗浄を行なった後、溶媒を留去した。残留物を50℃に保持した減圧乾燥機で3日間乾燥することで、赤色固体(ローダミンB−TCB塩)0.24g(0.43mmol)を得た。収率は95%であった。得られた塩に対する1H−NMRおよび11B−NMRの評価結果を以下に示す。1H−NMR(solv.DMSO−d6):δ1.15(t,12H,J=2.8Hz),δ3.59(d,8H,J=2.8Hz),δ6.99(m,6H),δ7.45(m,1H),δ7.81(m,2H),δ8.20(m,1H),δ13.11(s,1H)。11B−NMR(solv.DMSO−d6):δ−38.5(s)。
アストラゾンオレンジRのアニオンを塩化物イオンからTCBイオンに交換した染料(サンプル2)は、以下のようにして得た。撹拌装置を備えた容量100mLのビーカーにアストラゾンオレンジR0.42g(0.99mmol)を加え、これに62mLのイオン交換水をさらに加えた後、アストラゾンオレンジRが溶解するまで溶液を攪拌して、アストラゾンオレンジR水溶液を得た。これとは別に、容量50mLのビーカーにLiTCB(リチウムテトラシアノボレート)0.13g(1.03mmol)およびイオン交換水12mLを加えて、予めLiTCB水溶液を調製しておき、当該水溶液をアストラゾンオレンジR水溶液に、室温において撹拌しながら滴下し、滴下後、5分間攪拌した。このようにして得た反応混合物から沈殿物を濾別し、得られた固体を100mLの酢酸エチルに溶解させ、30mLのイオン交換水で分液洗浄を行なった後、溶媒を留去した。残留物を60℃に保持した減圧乾燥機で乾燥することで、赤色固体(アストラゾンオレンジR−TCB塩)0.35gを得た。収率は84.0%であった。
サンプル1,2,A,BをそれぞれTG−DTA(示差熱−熱重量)同時測定装置(セイコーインスツルメンツ製「EXSTAR6000 TG/DTA」)にセットし、測定条件1に従って、加熱時における各サンプルの重量変化を測定した。その際、2%重量減少温度、5%重量減少温度、230℃60分間保持後の重量減少率を評価した。測定条件1は、「30℃で10分間保持→昇温速度10℃/分で230℃まで昇温→230℃で60分間保持」とした。
評価結果を以下の表1に示す。
Figure 2013020000
表1に示すように、TCBイオンをアニオンとするサンプル1,2の耐熱性は、塩化物イオンをアニオンとするサンプルA,Bよりも高かった。サンプル1,2では、2%重量減少温度が210℃以上であった。
次に、熱重量変化の試験前後における可視光吸収スペクトルを、島津製作所製、紫外可視分光光度計UV−1800を用いて評価した。可視光吸収スペクトルは、各サンプルをクロロホルムに溶解し、λmaxでの吸光度が1になるように溶液の濃度調整をして測定した。評価結果を図1,2に示す。熱重量変化の試験は測定条件1に従った。
図1,2に示すように、TCBイオンをアニオンとするサンプル1,2では、塩化物イオンをアニオンとするサンプルA,Bに比べて吸収スペクトルの変化が少なかった。サンプル1,2では、熱を加えた後も染料色素の骨格が保持されていると考えられる。
(染料の溶解性)
サンプルB(アストラゾンオレンジR)およびサンプル2(アストラゾンオレンジRのTCB塩)の各種溶剤に対する溶解度を評価した。評価は、以下のように行った。
各サンプル10mgをバイヤル瓶に採取し、室温(20℃)下、各サンプルを収容したバイヤル瓶に溶剤を加えて、採取したサンプルを溶解する最小の溶剤重量を求めた。求めた溶剤の重量から各サンプルの濃度(重量%)を算出し、これを溶解度とした。溶剤には、プロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート(PGMEA)、シクロヘキサノン(CHN)、N−メチルピロリドン(NMP)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)を用いた。評価結果を以下の表2に示す。
Figure 2013020000
表2に示すように、アニオンがTCBイオンである方が溶解度が高かった。
(着色樹脂組成物の塗膜の耐熱性)
着色剤としてサンプル2(アストラゾンオレンジRのTCB塩)と、溶剤としてPGMEAと、バインダー樹脂としてアクリル系樹脂(日本触媒製、メタクリル酸/メタクリル酸エステル/ベンジルマレイミドなどからなる共重合体)と、架橋性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、共栄社化学製)と、重合開始剤(チバ・ジャパン製、イルガキュア369)とを以下の表3に示す分量で混合して、着色樹脂組成物を調製した。表3の「アストラゾンオレンジRのTCB塩」の欄における括弧内の数値は、調製した着色樹脂組成物における当該TCB塩の含有率である。なお、サンプル2は、室温における混合のみによって、溶剤であるPGMEAに溶解した。
Figure 2013020000
これとは別に、着色剤としてサンプル2の代わりにサンプルB(アストラゾンオレンジR)を含む着色樹脂組成物を調製した。着色樹脂組成物の調製に用いたバインダー樹脂、架橋性モノマーおよび重合開始剤は、サンプル3−1〜3−4と同じとした。ただし、サンプルBはPGMEAに不溶であるため、溶剤にはNMPを用いた。着色樹脂組成物の調製に用いた各材料の分量を以下の表4に示す。表4の「アストラゾンオレンジR」の欄における括弧内の数値は、調製した着色樹脂組成物におけるアストラゾンオレンジRの含有率である。
Figure 2013020000
これとは別に、着色剤としてサンプル2を含み、着色剤ではないTCBオニウム塩(トリエチルメチルアンモニウム−TCB塩:TEMA−TCB)をさらに含む着色樹脂組成物を調製した。着色樹脂組成物の調製に用いた溶剤、バインダー樹脂、架橋性モノマーおよび重合開始剤は、サンプル3−1〜3−4と同じとした。着色樹脂組成物の調製に用いた各材料の分量を以下の表5に示す。表5の「アストラゾンオレンジRのTCB塩」の欄における括弧内の数値は、調製した着色樹脂組成物における当該TCB塩の含有率である。
Figure 2013020000
次に、5cm角のガラス基板(TOSHIN RIKO製)上に、調製した着色樹脂組成物(3−1〜5−4)のそれぞれをスピンコート法(1600rpm、1.5秒)により塗布した後、全体を100℃で10分間プリベークして、着色樹脂組成物の塗膜を形成した。ここで、島津製作所製、紫外可視分光光度計UV−1800を用いて、形成した塗膜の可視光吸収スペクトルを評価した。次に、塗膜を形成したガラス基板を230℃で30分間ポストベークして、塗膜に含まれる架橋性モノマーの重合を進行させ、着色硬化膜とした。その後、上記分光光度計を用いて、形成した硬化膜の可視光吸収スペクトルを評価した。評価結果を以下の表6に示す。なお、表6におけるΔEは、プリベーク後の塗膜に対して測定した吸収スペクトルにおける波長400〜600nmの範囲の面積(サンプル2は、およそこの波長範囲の光を吸収する)をPr、ポストベーク後の硬化膜に対して測定した吸収スペクトルにおける波長400〜600nmの範囲の面積をPosとして、式(Pr−Pos)/Pr×100(%)によって与えられる値である。ΔEが小さいほど、着色樹脂組成物としての耐熱性が高い。ΔEabは、上記分光光度計を用いて評価したプリベーク後の塗膜のL***値(CIE1976色空間(CIELAB)によるL***値)と、ポストベーク後の硬化膜のL***値とから、式{(硬化膜のL*−塗膜のL*2+(硬化膜のa*−塗膜のa*2+(硬化膜のb*−塗膜のb*21/2によって与えられる値である。ΔEabが小さいほど、着色樹脂組成物としての耐熱性が高い。
評価結果を以下の表6に示す。
Figure 2013020000
表6に示すように、アニオンが塩化物イオンであるサンプルB(アストラゾンオレンジR)よりも、アニオンがTCBイオンであるサンプル2(アストラゾンオレンジRのTCB塩)の方が樹脂組成物中における耐熱性が高かった。また、着色樹脂組成物にTEMA−TCBを添加することによって、樹脂組成物中におけるサンプル2の耐熱性がさらに向上した。
本発明の着色樹脂組成物は、各種の光学フィルター、例えば、LCDなどの画像表示装置におけるカラーフィルター、の製造に使用できる。

Claims (4)

  1. 着色剤と、前記着色剤を溶解する溶剤と、バインダー樹脂と、架橋性モノマーと、前記モノマーの重合開始剤と、を含み、
    前記着色剤が、テトラシアノボレートイオンをアニオンとするカチオン染料である、光学フィルター用着色樹脂組成物。
  2. 前記バインダー樹脂が、(メタ)アクリル系樹脂である請求項1に記載の光学フィルター用着色樹脂組成物。
  3. 前記溶剤が、プロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテートである請求項1に記載の光学フィルター用着色樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルター用着色樹脂組成物の硬化膜を有する光学フィルター。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013076006A (ja) * 2011-09-30 2013-04-25 Jsr Corp 着色組成物、カラーフィルタ及び表示素子
JP2014240935A (ja) * 2013-06-12 2014-12-25 Jsr株式会社 カラーフィルタ用着色組成物、カラーフィルタ及び表示素子
JP2015001667A (ja) * 2013-06-17 2015-01-05 東洋インキScホールディングス株式会社 カラーフィルタ用着色組成物及びカラーフィルタ
JP2016045391A (ja) * 2014-08-25 2016-04-04 富士フイルム株式会社 組成物、硬化膜、近赤外線吸収フィルタ、固体撮像素子、赤外線センサ、色素

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