JP2013016663A - 固体電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ESRの増加を抑制し、製造歩留まりを向上し、高い信頼性を備えた固体電解コンデンサおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】 前記導電性高分子層は第一の導電性高分子層3と第二の導電性高分子層10からなり、前記第一の導電性高分子層3が、前記底面および前記側面の少なくとも一部を覆って、かつ、前記導出面の少なくとも一部を開放して形成させ、前記第二の導電性高分子層10は、前記第一の導電性高分子層3と前記導出面を覆うように形成すること。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体電解コンデンサおよびその製造方法に関する。
従来から、タンタル、アルミニウム等を用いた固体電解コンデンサは、静電容量が大きく、周波数特性に優れていることから、携帯電子端末やパーソナルコンピュータ等の電子機器に広く使用されている。近年では、電子機器の高信頼性化や高性能化に伴って、漏れ電流(LC)の低減、低等価直列抵抗(低ESR)化などの要求がさらに高まってきている。
ここで、従来の固体電解コンデンサの構造を説明する。図2は、従来の固体電解コンデンサの断面図である。陽極体21は、タンタルやアルミニウム等の弁作用金属の微粉末を成型し焼結した、微小な多数の孔(多孔質層)を有した焼結体である。陽極体21とともに、陽極部となる陽極リード28は、弁作用金属のワイヤー等からなり、陽極体21の陽極リード導出面(導出面)から導出している。陽極体21の導出面、側面、底面および内部の多孔質層の表面には酸化皮膜による誘電体層22を形成している。さらに、誘電体層22の表面には固体電解質層23を形成している。絶縁部30は、エポキシ樹脂からなり、固体電解質層23が陽極リード28に接触して電気的短絡を生じないように配置している。
固体電解質層23の表面には、陰極部としてグラファイト層24、銀ペースト層25を形成し、コンデンサ素子を構成している。コンデンサ素子の陽極部と陰極部は、外部電極端子であるリードフレーム27に導電性接着剤26、または溶接で電気的に接続される。その後、外装樹脂29からなる外装を設けて固体電解コンデンサ120が完成する。
固体電解質層は、誘電体層と陰極部との間を電気的に接続させ、誘電体層のもつ静電容量を引き出す機能を有する。固体電解質層は、固体電解コンデンサの電気的特性を得る上で重要な構成部分の一つであり、構造や製造方法等の検討がなされている。近年においては、固体電解質層として導電性高分子からなる導電性高分子層を用いた固体電解コンデンサが製造されている。
導電性高分子層の形成には、従来、モノマー、触媒、ドーパントとなる酸化剤等を溶媒に添加した溶液に、誘電体層が形成された陽極体(陽極体素子)を浸漬させ、誘電体層の表面で重合させる、化学酸化重合法が用いられる。一般的に、化学酸化重合法では、浸透性が良く、多孔質層の細部まで入り込み易い溶液が用いられ、誘電体層と陰極部として形成する層との密着性を良好にする等の特徴を持つ導電性高分子層が得られる。
また、化学酸化重合法に加え、導電性高分子懸濁溶液による方法も用いられる。この導電性高分子懸濁溶液による方法(導電性高分子懸濁溶液法)とは、予め重合させた上でドーパントを添加した導電性高分子を含有する導電性高分子懸濁溶液に、陽極体素子を浸漬して含浸させ、それを引き上げた後に、加熱により乾燥させて導電性高分子層を形成する方法である。この方法で得られる導電性高分子層は、化学酸化重合法等で得られる導電性高分子層と比較して密度が高く、耐熱性が良いことや、導電性高分子層の形成が速い特徴がある。この方法に用いられる導電性高分子懸濁溶液(特許文献では導電性高分子化合物懸濁水溶液と記載。)および製造方法が、特許文献1の請求項2、3、段落0014〜0028に記載されている。
導電性高分子懸濁溶液法による導電性高分子層の誘電体層に対する形成の状態として、前述した図2に示すように、導出面の表面まで導電性高分子層(図2では固体電解質層)で覆っている場合がある。このような構造の固体電解コンデンサの例が特許文献2の図1、段落0016に記載されている。
また、導電性高分子懸濁溶液法による、特許文献2とは違う導電性高分子層の誘電体層に対する形成の状態として、導出面には導電性高分子層を形成せず、誘電体層を露出させる場合がある。このような構造の固体電解コンデンサの例が特許文献3の図1に記載されている。
特開平11−121281号公報 特開2010−3772号公報 特開2005−109252号公報
導電性高分子懸濁溶液法を用いて導電性高分子層を形成する工程では、導電性高分子懸濁溶液に陽極体素子を浸漬するため、陽極体素子の多孔質層に残存する空気や、多孔質層に浸透した導電性高分子懸濁溶液の溶媒である水分等が多孔質層内部に残留し易い。これらの残留物が十分放出されないまま、導電性高分子層が陽極体素子の表面全体を被覆した場合、前述の空気や水分等が乾燥時の加熱によって膨張する。この空気や水蒸気等に起因するガスが導電性高分子層と誘電体層の界面に微少な剥離を生じさせる場合がある。その結果、ESRが増加し、製造歩留まりが低下するという課題がある。
また、特許文献3の図1のように、陽極体素子の導出面において導電性高分子層で覆わない部分があると、導電性高分子懸濁溶液を含浸した陽極体素子を加熱する時に陽極体素子の外部にガスが放出されやすくなるが、外装を設けるまでに、外部からガスの侵入を受け易く、多孔質層内部の導電性高分子層が酸化される場合がある。その結果、ESRが増加し、信頼性が低下するという課題がある。
従って、本発明の目的は、上記課題を解決することによって、ESRの増加を抑制するとともに、製造歩留まりを向上し、高い信頼性を備えた固体電解コンデンサおよびその製造方法を提供することである。
本発明の固体電解コンデンサは、陽極リードを導出する導出面と、前記導出面に対向する底面と、前記導出面および前記底面に接する側面を備え、多孔質層を有した弁作用金属からなる陽極体と、前記陽極体の表面に形成された誘電体層と、前記誘電体層の表面に形成された導電性高分子層と、前記導電性高分子層の表面に順次形成されたグラファイト層および銀ペースト層とを備えたコンデンサ素子を有し、前記コンデンサ素子は外部接続端子と電気的に接続するとともに、絶縁材料により全面を覆う外装を備える固体電解コンデンサであって、前記導電性高分子層は第一の導電性高分子層と第二の導電性高分子層からなり、前記第一の導電性高分子層は、前記底面および前記側面の少なくとも一部を覆い、かつ、前記導出面の少なくとも一部を開放して成り、前記第二の導電性高分子層は、前記第一の導電性高分子層と前記導出面を覆って成ることを特徴とする。
本発明の固体電解コンデンサは、前記第一の導電性高分子層が前記側面の面積の少なくとも70%以上を覆うことが好ましい。
本発明の固体電解コンデンサは、前記第一の導電性高分子層および前記第二の導電性高分子層が、ガス遮断性を備えることを特徴とする。
本発明の固体電解コンデンサは、導電性高分子懸濁液法によって形成した前記第一の導電性高分子層および前記第二の導電性高分子層を備えることを特徴とする。
本発明の固体電解コンデンサは、前記誘電体層と前記第一の導電性高分子層の間、および前記導出面の少なくとも一部と前記第二の導電性高分子層の間に、ガス透過性と、前記誘電体層と前記第一の導電性高分子層の密着性、および前記誘電体層と前記第二の導電性高分子層の密着性を備える第三の導電性高分子層を有することを特徴とする。
本発明の固体電解コンデンサは、化学酸化重合法によって形成した前記第三の導電性高分子層を備えることを特徴とする。
本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、陽極リードを導出する導出面と、前記導出面に対向する底面と、前記導出面および前記底面に接する側面を備え、多孔質層を有した弁作用金属からなる陽極体を形成する工程と、前記陽極体の表面に酸化皮膜からなる誘電体層を形成する工程と、導電性高分子懸濁液に浸漬し乾燥して、前記底面、および前記側面の少なくとも一部を覆い、かつ、前記導出面の少なくとも一部を開放して第一の導電性高分子層を形成する工程と、前記第一の導電性高分子層と前記導出面を覆うように第二の導電性高分子層を形成する工程と、前記第二の導電性高分子層の表面にグラファイト層を形成後、銀ペースト層を形成し、陰極部を形成する工程と、前記陽極リードと前記陰極部を外部電極端子と電気的に接続し、絶縁材料でモールドする工程を含むことを特徴とする。
本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、前記誘電体層と前記第一の導電性高分子層の間、および前記導出面の少なくとも一部と前記第二の導電性高分子層の間に、化学酸化重合法によって、ガス透過性と、前記誘電体層と前記第一の導電性高分子層の密着性、および前記誘電体層と前記第二の導電性高分子層の密着性を備える第三の導電性高分子層を形成する工程を、さらに含むことを特徴とする。
なお、第一の導電性高分子層を形成する工程では、導電性高分子懸濁液への1回の浸漬で形成させる場合、浸漬の時間を制御して実施することや、陽極体素子を浸漬させる作業を複数回に分けて実施し、陽極体素子の側面を覆う面積の割合を徐々に大きくすること等によって、ガスの残留を十分少なくすことが可能となる。従って、第一の導電性高分子層を形成した後の陽極体素子からは、ESR等の増加に影響するようなガスの発生は抑制され、第二の導電性高分子層を形成しても、従来技術のような剥離が生じる問題は発生しない。
第一の導電性高分子層が、陽極体素子の底面、および側面の少なくとも一部を覆って、かつ、導出面の少なくとも一部を開放して形成されることにより、第一の導電性高分子層の形成時に多孔質層に残存するガスの放出を容易にする。これにより、乾燥時に加熱されも誘電体層と第一の導電性高分子層の剥離を抑制することが可能となる。さらに、第二の導電性高分子層で陽極体素子の表面全体を被覆することにより、外装を設けるまでの間に、導電性高分子層が形成されない部分からガスが侵入するのを抑制するため、多孔質層内部の導電性高分子層の酸化による劣化を防止する。これらにより、ESRの増加を抑制し、製造歩留まりを向上し、かつ、高信頼性を備えた固体電解コンデンサおよびその製造方法を提供することが可能となる。
本発明の固体電解コンデンサの構成を説明する概略断面図。 従来の固体電解コンデンサの構成を説明する概略断面図。
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の固体電解コンデンサの構成を説明する概略断面図である。本発明の固体電解コンデンサは、陽極リード8を導出する導出面を備え、多孔質層を有する弁作用金属の焼結体からなる陽極体1を有する。その多孔質層を有する陽極体1の表面には誘電体層2が形成される。絶縁部11は、エポキシ樹脂等を塗布し形成する。
陽極体1は、弁作用を有する金属微粒子からなる焼結体や、エッチングによって拡面処理され多孔質層化した弁作用金属などによって形成する。弁作用金属は、タンタル、アルミニウム、チタン、ニオブ、ジルコニウム、またはこれらの合金などから適宜選定する。
誘電体層2は、弁作用金属の表面を電解酸化させた膜であり、陽極体1の導出面、側面、底面および内部の多孔質層の表面に形成する。誘電体層2の厚みは、電解酸化の電圧によって適宜調整できる。
ここで本発明と従来技術の違いを説明する。本発明の固体電解コンデンサは、誘電体層を形成させた陽極体(陽極体素子)を導電性高分子懸濁液に浸漬して含浸させ、それを引き上げた後に加熱により乾燥させて形成する第一の導電性高分子層3を、陽極体素子の底面および側面を覆って、かつ導出面を開放して形成する。さらに、導出面と第一の導電性高分子層3を覆うように第二の導電性高分子層10を形成する。なお、第二の導電性高分子層10を形成する時の導電性高分子懸濁液の浸漬は、絶縁部11まで達し、かつ、陽極リード8には付着しないように実施する。
このように第一の導電性高分子層3を、陽極体素子の底面および側面を覆って、かつ、導出面を開放して誘電体層2の表面に形成することにより、第一の導電性高分子層3を形成する時に多孔質層に残存するガスの放出を容易にする。これにより、乾燥時に加熱されも誘電体層と第一の導電性高分子層の剥離を抑制することが可能となる。これにより、ESRの増加を抑制し、製造歩留まりを向上させた固体電解コンデンサおよびその製造方法を提供することが可能となる。
また、第一の導電性高分子層3は、多孔質層に残存するガスの放出を容易にし、かつ第二の導電性高分子層10を形成する際に多孔質層に入り込む溶媒の影響を低減するために、陽極体素子の側面の面積の少なくとも70%以上を覆っていることが好ましい。
なお、第一の導電性高分子層3は、導出面の全面を開放して形成しなくてもよく、ガスが放出可能であれば、前記導出面の一部だけを開放して形成してもよい。
さらに、第二の導電性高分子層10で第一の導電性高分子層3を形成した陽極体素子の表面全体を覆うことにより、外装樹脂9による外装を設けるまでの間に、第一の導電性高分子層3を形成していない部分からガスが侵入するのを防止する。特に、多孔質層内部の第一の導電性高分子層3に対して、ガスによる酸化での劣化を防止する。これにより高い信頼性を備えた固体電解コンデンサおよびその製造方法を提供することが可能となる。
導電性高分子懸濁液に用いられる導電性高分子としては、高い導電性を示すことから、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンおよびそれらの誘導体等から少なくとも一つ選ぶことが好ましく、ドーパントは上記導電性高分子の高い導電性を発現し、熱安定性を高める性質を持つ、ポリスチレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸およびそれらの誘導体等の少なくとも一つから選ぶことが好ましい。溶媒は、水と、アルコール、アセトン等の有機溶媒の混合溶媒でもよいが、導電性高分子懸濁液の乾燥工程で蒸発する溶媒蒸気の排気設備設置の容易さ、環境負荷の低さ、除去の容易さの観点から水のみであることがより好ましい。
なお、導電性高分子懸濁液における導電性高分子の含有量は、分散性または溶解を良好にすることから、溶媒である水100質量部に対して0.1質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
また、導電性高分子の結合性を向上させるために、ポリアクリルニトリル、メチルセルロース、ポリビニールアルコール等のバインダーを用いてもよい。
なお、第一の導電性高分子層3と第二の導電性高分子層10は、導電性高分子懸濁液法により形成する導電性高分子層に限定されるものではなく、ガスを遮断し、侵入を防止する機能を備える材質で形成する導電性高分子層であればよい。
また、本発明の固体電解コンデンサは、誘電体層2と第一の導電性高分子層3の間、および導出面の少なくとも一部と第二の導電性高分子層10の間に、ガス透過性と、前記誘電体層と前記第一の導電性高分子層の密着性、および前記誘電体層と前記第二の導電性高分子層の密着性を、さらに向上させることから、化学酸化重合法によって形成する第三の導電性高分子層(図示せず)を設けてもよい。
なお、この第三の導電性高分子層は、化学酸化重合法によって形成する導電性高分子層に限定されるものではなく、ガス透過性および密着性を備える材質で形成する導電性高分子層であればよい。
その後、第二の導電性高分子層10の表面に陰極部となるグラファイト層4、銀ペースト層5を形成し、コンデンサ素子を得る。最終的にコンデンサ素子と外部電極端子であるリードフレーム7とを導電性接着剤6または溶接で電気的に接続し、外装樹脂9による外装を設け、本発明の固体電解コンデンサ100が完成する。
導電性高分子懸濁溶液は、加熱のほかに紫外線照射で乾燥させることにより導電性高分子層を形成することができる。加熱で乾燥させる場合の加熱温度は、100℃以上250℃以下が好ましい。
その理由としては、100℃未満では溶媒の揮発が効率的ではなく、250℃を超えると導電性高分子の導電性が損なわれるおそれがあるためである。
以下に本発明の実施例を詳述する。
(実施例1)
本発明の実施例1の固体電解コンデンサは、実施の形態と同様の構造である。
陽極リードはタンタルワイヤーを用いた。タンタル微粉末を充填した成形金型において、陽極リードの導出面になる一つの面に、予め陽極リードを埋め込みプレス成形を行った。その成形体を焼結し、陽極リードを導出させた多孔質層を有した陽極体を得た。その後、陽極体をリン酸水溶液中で電解酸化し、誘電体層を形成した。陽極体の形状は、長さが3.5mm、幅が1.0mmであり、厚さは4.5mmである。導出面は、長さが3.5mm、幅が1.0mmの部分となる。絶縁部は、エポキシ樹脂を塗布し形成した。
次に、誘電体層が形成された陽極体(陽極体素子)の底面から側面にかけて導電性高分子懸濁溶液に浸漬し、かつ、導出面に導電性高分子懸濁溶液を付着させないように制御し、引き上げる工程を1回行った。この工程の浸漬時間は1分間とした。その後、125℃で1時間乾燥させて第一の導電性高分子層を形成した。第一の導電性高分子層の厚さは平均で10μmとなるように形成した。
続いて、導出面を含む陽極体素子の表面に導電性高分子懸濁溶液を付着させるため、絶縁部まで達するように浸漬し、引き上げを1回行った後、125℃で1時間乾燥させて第二の導電性高分子層を形成した。第二の導電性高分子層の厚さも平均で10μmとなるように形成した。
なお、第一の導電性高分子層および第二の導電性高分子層の形成は、導電性高分子であるポリチオフェンと、ドーパントとしてポリスチレンスルホン酸を、溶媒の水100質量部に対して10質量部になるよう含有した導電性高分子懸濁液を用いた。
その後、第二の導電性高分子層の上にグラファイト層と銀ペースト層からなる陰極部を形成しコンデンサ素子を得た。さらに、陽極リードと陰極部とを陽極側と陰極側のリードフレームに溶接と導電接着剤を用いて電気的に接続し、最後に外装樹脂でモールド成形し、定格電圧20V、容量22μFの固体電解コンデンサを得た。作製数量は200個とした。
作製した固体電解コンデンサにおける、周波数が100kHzの時のESRと、印加電圧20VでのLCの測定結果と、製品歩留まりおよび信頼性評価の結果を表1に示す。ESRとLCはJIS C 5101−1に順じて測定した。測定数は100個である。また、製造歩留まりはESRの判定基準値により合否判断をした。信頼性の評価は高温放置後(105℃、500時間、大気中)のESRの増加率を評価した。測定数は50個である。
(比較例1)
次に、比較例1として、陽極リードの導出面を含む陽極体素子の表面全体に導電性高分子懸濁溶液が付着するように、浸漬し、引き上げを行い、第一の導電性高分子層を形成した。その他の点に関しては、実施例1と同様とした。作製数量は200個とした。
作製した固体電解コンデンサのESR、LCの測定結果と、製造歩留まりおよび信頼性評価の結果を表1に示す。測定方法等は実施例1と同様である。
Figure 2013016663
(実施例2)
実施例2は、誘電体層の表面に化学酸化重合により、ガスが透過し、密着性が向上するような第三の導電性高分子層を形成した。その第三の導電性高分子層の表面に、ガスを放出させるために、導出面を開放して第一の導電性高分子層を形成した。
さらに、第一の導電性高分子層と開放した導出面の全面を覆うように第二の導電性高分子層を形成した。用いた導電性高分子懸濁液の成分や製造条件は、実施例1と同様とした。
なお、化学酸化重合では、モノマーであるチオフェンと、ドーパントをかねる酸化剤である芳香族スルホン酸鉄塩を、溶媒のエタノール100質量部に対して25質量部になるよう添加した導電性高分子液を用いた。
ESRおよびLCの測定結果と、製造歩留まりおよび信頼性評価の結果を表2に示す。測定条件等は実施例1と同様とした。
(比較例2)
誘電体層の表面に、実施例2と同様の液を用いて化学酸化重合により、ガスが透過し、密着性が向上するような第三の導電性高分子層を形成した。その他は、比較例1と同様とした。
ESRおよびLCの測定結果と、製造歩留まりおよび信頼性評価の結果を表2に示す。測定条件等は実施例1と同様とした。
Figure 2013016663
表1に示すように、実施例1で得られた固体電解コンデンサは、比較例1で得られた固体電解コンデンサよりもESRの増加が抑制された。また、製造歩留まりおよび信頼性試験の結果も改善している。また、表2に示すように、実施例2で得られた固体電解コンデンサは、比較例2で得られた固体電解コンデンサよりもESRの増加が抑制された。また、製造歩留まりおよび信頼性試験の結果も改善している。これらより、本発明の効果が確認できた。
以上、実施例を用いて、この発明の実施の形態を説明したが、この発明は、これらの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。すなわち、当業者であれば、当然なしえるであろう各種変形、修正もまた本発明に含まれる。
1、21 陽極体
2、22 誘電体層
3 第一の導電性高分子層
4、24 グラファイト層
5、25 銀ペースト層
6、26 導電接着剤
7、27 外部電極端子
8、28 陽極リード
9、29 外装樹脂
10 第二の導電性高分子層
11、30 絶縁部
23 固体電解質層
100、120 固体電解コンデンサ

Claims (8)

  1. 陽極リードを導出する導出面と、前記導出面に対向する底面と、前記導出面および前記底面に接する側面を備え、多孔質層を有した弁作用金属からなる陽極体と、前記陽極体の表面に形成された誘電体層と、前記誘電体層の表面に形成された導電性高分子層と、前記導電性高分子層の表面に順次形成されたグラファイト層および銀ペースト層とを備えたコンデンサ素子を有し、前記コンデンサ素子は外部接続端子と電気的に接続するとともに、絶縁材料により全面を覆う外装を備える固体電解コンデンサであって、前記導電性高分子層は第一の導電性高分子層と第二の導電性高分子層からなり、前記第一の導電性高分子層は、前記底面および前記側面の少なくとも一部を覆い、かつ、前記導出面の少なくとも一部を開放して成り、前記第二の導電性高分子層は、前記第一の導電性高分子層と前記導出面を覆って成ることを特徴とする固体電解コンデンサ。
  2. 前記第一の導電性高分子層は前記側面の面積の少なくとも70%以上を覆うことを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  3. 前記第一の導電性高分子層および前記第二の導電性高分子層は、ガス遮断性を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の固体電解コンデンサ。
  4. 導電性高分子懸濁液法によって形成した前記第一の導電性高分子層および前記第二の導電性高分子層を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
  5. 前記誘電体層と前記第一の導電性高分子層の間、および前記導出面の少なくとも一部と前記第二の導電性高分子層の間に、ガス透過性と、前記誘電体層と前記第一の導電性高分子層の密着性、および前記誘電体層と前記第二の導電性高分子層の密着性を備える第三の導電性高分子層を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
  6. 化学酸化重合法によって形成した前記第三の導電性高分子層を備えることを特徴とする請求項5に記載の固体電解コンデンサ。
  7. 陽極リードを導出する導出面と、前記導出面に対向する底面と、前記導出面および前記底面に接する側面を備え、多孔質層を有した弁作用金属からなる陽極体を形成する工程と、前記陽極体の表面に酸化皮膜からなる誘電体層を形成する工程と、導電性高分子懸濁液に浸漬し乾燥して、前記底面、および前記側面の少なくとも一部を覆い、かつ、前記導出面の少なくとも一部を開放して第一の導電性高分子層を形成する工程と、前記第一の導電性高分子層と前記導出面を覆うように第二の導電性高分子層を形成する工程と、前記第二の導電性高分子層の表面にグラファイト層を形成後、銀ペースト層を形成し、陰極部を形成する工程と、前記陽極リードと前記陰極部を外部電極端子と電気的に接続し、絶縁材料でモールドする工程を含むことを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  8. 前記誘電体層と前記第一の導電性高分子層の間、および前記導出面の少なくとも一部と前記第二の導電性高分子層の間に、化学酸化重合法によって、ガス透過性と、前記誘電体層と前記第一の導電性高分子層の密着性、および前記誘電体層と前記第二の導電性高分子層の密着性を備える第三の導電性高分子層を形成する工程を、さらに含むことを特徴とする請求項7に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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