JP2013011198A - エンジンシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】 高温燃焼を実現しつつ排気中の窒素酸化物を低減可能なエンジンシステムを提供する。
【解決手段】 エンジンシステム10では、EGR装置15から供給される排気と外気とがサージタンク23で混合され、エンジン11の気筒18に供給される。ECU17は、酸素ガス噴射弁装置49の作動を制御して酸素ガス供給装置16から第2通路36に供給する酸素ガス供給量を調整することでエンジン11の気筒18内の酸素濃度を調整する。この構成では、外気より窒素濃度が低い排気と外気とが混合され、適宜酸素ガスが付加された混合ガスをエンジン11の気筒18に取り込む。よって、エンジン11の気筒18に取り込まれるガス中の窒素量を外気より減らしつつ酸素量を増やすことが可能である。これにより、エンジン11の高温燃焼を実現しつつ排気中の窒素酸化物を低減することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、エンジンシステムに関する。
従来、過給や酸素富化を行うことでエンジンの高温燃焼を実現し、燃料消費の低減および排気中のスモークの低減を図る技術が知られている。
過給機は、外気を圧縮してエンジンの気筒に送り込む。また、特許文献1に開示された酸素富化装置は、酸素濃度が比較的高い酸素富化ガスをエンジンの気筒に送り込む。過給機を備える場合および酸素富化装置を備える場合の両者ともにエンジンの気筒に取り込まれる酸素量が増加する。そのため、エンジンの燃焼温度が上昇する。エンジンの燃焼温度が上昇することで燃料が完全燃焼し易くなる。よって、同じ出力を得るための燃料が少なくて済み、且つ、不完全燃焼に起因する黒煙等のスモークの発生が低減する。
特開2007−309213号公報
ところが、過給機を備える場合および酸素富化装置を備える場合の両者ともに、エンジンの気筒に取り込まれるガス中の窒素量は外気より増加するか或いは外気と略同じであるため、燃焼温度が上昇することで排気中の窒素酸化物(NOx)が増加するという問題があった。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、高温燃焼を実現しつつ排気中の窒素酸化物を低減可能なエンジンシステムを提供することである。
請求項1に記載の発明によるエンジンシステムは、第1通路部材、作動ガス供給手段、混合手段、第2通路部材、酸素ガス供給手段および酸素ガス供給量制御手段を備える。
外気を取り込み可能な第1通路部材は、取り込んだ外気が流れる第1通路を有する。作動ガス供給手段は、外気より窒素濃度が低い作動ガスを供給可能である。第1通路と作動ガス供給手段とを連通する連通室を有する混合手段は、第1通路から流入する外気と作動ガス供給手段から流入する作動ガスとを連通室で混合する。
混合手段の連通室とエンジンの気筒とを連通する第2通路を有する第2通路部材は、外気と作動ガスとの混合ガスをエンジンの気筒に導く。酸素ガス供給手段は、第2通路に酸素ガスを供給可能である。酸素ガス供給量制御手段は、酸素ガス供給手段から第2通路に供給される酸素ガス供給量を調整することでエンジンの気筒内の酸素濃度を調整する。
この構成では、外気より窒素濃度が低い作動ガスと外気とが混合された混合ガスをエンジンの気筒に取り込む。そのため、エンジンの気筒に取り込まれるガス中の窒素量を外気より減らすことができる。また、エンジンの気筒に取り込まれるガスに酸素ガスを加えることで、そのガス中の酸素量を増やすことが可能である。よって、エンジンの気筒に取り込まれるガス中の窒素量を外気より減らしつつ酸素量を増やすことが可能である。これにより、エンジンの高温燃焼を実現しつつ排気中の窒素酸化物を低減することができる。
請求項2に記載の発明では、酸素ガス供給手段は、酸素ガスを貯留する酸素ガスタンク、第3通路部材および第1アクチュエータを有する。第3通路部材は、酸素ガスタンク内と第2通路とを連通する第3通路を有する。第1アクチュエータは、第3通路を開閉可能である。これにより、酸素ガスタンクに貯留された酸素ガスを第3通路を経由して第2通路に供給可能である。
請求項3に記載の発明では、酸素ガス供給量制御手段は、エンジンの気筒内の酸素濃度が所定値になるように第1アクチュエータの開弁時間を制御する。このように第1アクチュエータの開弁時間を制御することで、第2通路に供給される酸素ガス量を微調整することができる。
請求項4に記載の発明では、酸素ガス供給量制御手段は、エンジンの負荷が高いほど所定値を大きく設定する。これにより、エンジンの負荷が高いほどエンジンの気筒内の酸素濃度が高くなり、エンジンの負荷に応じた適当な制御が可能となる。
請求項5に記載の発明では、酸素ガス供給量制御手段は、エンジンの運転状態が相対的に低負荷の低負荷領域にあるとき前記所定値を外気の酸素濃度以下に設定する。また酸素ガス供給量制御手段は、エンジンの運転状態が相対的に高負荷の高負荷領域にあるとき前記所定値を外気の酸素濃度以上に設定する。これにより、エンジンの負荷に応じた適当な制御が可能となる。
請求項6に記載の発明は、酸素ガス供給手段から第2通路への酸素ガス供給量の算出について具体的に示すものである。請求項6に記載の発明では、第1酸素濃度検出手段および第2酸素濃度検出手段を備える。第1酸素濃度検出手段は、混合手段の連通室の混合ガス、又は、第2通路のうち第2通路と第3通路との合流位置より上流を流れる混合ガスの酸素濃度を検出する。第2酸素濃度検出手段は、エンジンが排出する排気の酸素濃度を検出する。酸素ガス供給量制御手段は、前記所定値、混合ガスの酸素濃度、及び、排気の酸素濃度に基づき酸素ガス供給量を算出する。
請求項7に記載の発明は、気筒内の窒素濃度の算出について具体的に示すものである。請求項7に記載の発明では、二酸化炭素濃度検出手段、混合ガス窒素濃度算出手段および気筒内窒素濃度算出手段を備える。
二酸化炭素濃度検出手段は、混合手段の連通室の混合ガス、又は、第2通路のうち第2通路と第3通路との合流位置より上流を流れる混合ガスの二酸化炭素濃度を検出する。混合ガス窒素濃度算出手段は、第1酸素濃度検出手段が検出する混合ガスの酸素濃度、及び、二酸化炭素濃度検出手段が検出する混合ガスの二酸化炭素濃度に基づき混合ガスの窒素濃度を算出する。気筒内窒素濃度算出手段は、混合ガス窒素濃度算出手段が算出する混合ガスの窒素濃度と酸素ガス供給量とに基づき気筒内の窒素濃度を算出する。
一般に窒素濃度センサは感度が悪い。これに対し、上記構成によれば窒素濃度センサを用いなくても気筒内の窒素濃度を求めることができる。
請求項8に記載の発明では、気筒内の窒素濃度が所定の閾値を超えるとき、エンジンの吸入弁および排気弁の一方または両方の開閉タイミングを遅らせる遅角制御手段を備える。この遅角制御を実施することでエンジンの燃焼温度が低下し、排気中の窒素酸化物を低減することができる。
請求項9に記載の発明では、前記所定の閾値は10%に設定される。
請求項10に記載の発明では、作動ガス供給手段は、エンジンの排気通路と混合手段とを連通する排気還流通路を有する排気還流通路部材と、排気還流通路を開閉可能な第2アクチュエータと、を有するEGR装置から構成される。また、第2アクチュエータの作動を制御することで排気通路から排気還流通路を経由して混合手段に流入する排気量を調整する排気供給量制御手段を備える。
これにより、外気より窒素濃度が低い排気と外気とが混合された混合ガスをエンジンの気筒に取り込み、エンジンの気筒に取り込まれるガス中の窒素量を外気より減らすことができる。
請求項11に記載の発明では、排気供給量制御手段は、エンジンの運転状態が相対的に高負荷の高負荷領域にあるとき、気筒内の窒素濃度が5%以下になるように第2アクチュエータの作動を制御する。これにより、エンジンの気筒に取り込まれるガスを極低窒素濃度とし、排気中の窒素酸化物を大幅に減らすことができる。
請求項12に記載の発明では、作動ガス供給手段は、作動ガスを貯留する作動ガスタンクと、作動ガスタンク内と混合手段とを連通する第4通路を有する第4通路部材と、第4通路を開閉可能な第3アクチュエータとから構成される。また、第3アクチュエータの作動を制御することで作動ガスタンクから第4通路を経由して混合手段に供給する作動ガス量を調整する作動ガス供給量制御手段を備える。
これにより、外気より窒素濃度が低い作動ガスと外気とが混合された混合ガスをエンジンの気筒に取り込み、エンジンの気筒に取り込まれるガス中の窒素量を外気より減らすことができる。
請求項13に記載の発明では、作動ガスは、水蒸気、アルゴンガス又は二酸化炭素ガスである。これにより、エンジンの気筒に取り込まれるガス中の窒素量を外気より減らすことができる。特に、単原子分子であるアルゴンガスを用いる場合、エンジンの熱効率を大幅に改善することができる。
請求項14に記載の発明では、作動ガス供給量制御手段は、エンジンの運転状態が相対的に高負荷の高負荷領域にあるとき、気筒内の窒素濃度が5%以下になるように第3アクチュエータの作動を制御する。これにより、エンジンの気筒に取り込まれるガスを極低窒素濃度とし、排気中の窒素酸化物を大幅に減らすことができる。
請求項15に記載の発明では、混合手段の連通室は、第1通路の横断面積および第2通路の横断面積より大きい横断面積を有する。また、連通室の圧力を検出する圧力センサと、第1通路を開閉可能なスロットル弁と、連通室の圧力が一定値になるようにスロットル弁の開度を制御するスロットル開度制御手段とを備える。これにより、エンジンの気筒に安定的に混合ガスを供給することができる。
請求項16に記載の発明では、第1通路の途中に設けられる窒素吸着膜と、窒素吸着膜で吸着される窒素ガスを第1通路外に排出する窒素排出通路とを備える。これにより、酸素ガス供給量を比較的少なくしつつ排気中の窒素酸化物を低減可能である。
本発明の第1実施形態のエンジンシステムを示す概略図である。 図1の電子制御ユニットでエンジンの負荷状態を算出するために使用されるマップを示す図である。 図1の電子制御ユニットでエンジンの気筒内の酸素濃度の目標値を算出するために使用されるマップを示す図である。 図1の電子制御ユニットで酸素ガス噴射弁装置を開作動させるパルス幅を算出するために使用されるマップを示す図である。 図1の電子制御ユニットが通常モードから遷移モードに切り替えたときのエンジンのサイクル数と気筒内窒素濃度との関係を示す図である。 図1の電子制御ユニットの制御作動のうちメイン処理を示すフローチャート図である。 図1の電子制御ユニットの制御作動のうち酸素ガス供給量算出処理を示すフローチャート図である。 図1の電子制御ユニットの制御作動のうち気筒内窒素濃度算出処理を示すフローチャート図である。 本発明の第2実施形態のエンジンシステムを示す概念図である。 本発明の第3実施形態のエンジンシステムを示す概念図である。
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態のエンジンシステムを図1に示す。エンジンシステムは、車両用のものである。図1に示すように、エンジンシステム10は、エンジン11、吸気装置12、排気装置13、過給機14、EGR装置15、酸素ガス供給装置16および電子制御ユニット(Electric Control Unit;以下、「ECU」という)17等を備えている。
エンジン11は、例えばガソリン等を燃料として用い、車両の駆動力を発生させる内燃機関である。エンジン11は、空気を含む混合ガスと燃料とが混ざり合った燃料ガスを気筒18内に入れ、この燃料ガスをピストン19で圧縮した後に点火燃焼させる。そして、気筒18内で膨張する燃焼ガスにより押されるピストン19の力を運動エネルギーとして取り出す。この運動エネルギーが車両の駆動力として利用される。エンジン11には、吸気装置12および排気装置13が接続されている。なお、エンジン11は複数の気筒を有しているが、便宜上、図1には気筒18を1つだけ図示している。
吸気装置12は、エアクリーナ20、インタークーラ21、スロットル弁装置22、サージタンク23、吸気マニホールド24、及び、これらを接続する複数のインテークパイプ25、26、27、28から構成されている。インテークパイプ25は外気取込口29を有している。エアクリーナ20は、取り込んだ外気中の異物を除去するフィルタである。インタークーラ21は、インテークパイプ27とインテークパイプ28との間に設けられ、インテークパイプ27から流入する外気を冷却する熱交換器である。スロットル弁装置22は、インテークパイプ28の内部通路を開閉可能なスロットル弁30と、このスロットル弁30を駆動するスロットルアクチュエータ31とを有している。
インテークパイプ25、エアクリーナ20、インテークパイプ26、過給機14の図示しないコンプレッサホイールを収容するハウジング32、インテークパイプ27、インタークーラ21およびインテークパイプ28は、全体として外気の流通路としての第1通路33を形成している。インテークパイプ25、エアクリーナ20、インテークパイプ26、ハウジング32、インテークパイプ27、インタークーラ21およびインテークパイプ28は、特許請求の範囲の「第1通路部材」に相当する。
サージタンク23は、インテークパイプ28や吸気マニホールド24の内部通路の横断面積より大きい横断面積を有する連通室34を有する。サージタンク23は、インテークパイプ28から流入する外気と排気還流パイプ35から流入する排気とを混合する混合手段として機能する。
吸気マニホールド24は、サージタンク23とエンジン11とを接続し、サージタンク23の連通室34と各気筒18とを連通する第2通路36を有する分岐管である。吸気マニホールド24は、サージタンク23で混合された外気と排気との混合ガスを各気筒18に導く。吸気マニホールド24は、特許請求の範囲の「第2通路部材」に相当する。
排気装置13は、排気マニホールド37およびエキゾーストパイプ38等から構成されている。排気マニホールド37は、エンジン11の各気筒18から排出される排気を集合させる。エキゾーストパイプ38は、排気マニホールド37に接続され、排気マニホールド37が集合させた排気を大気中に放出する。排気マニホールド37の内部通路およびエキゾーストパイプ38の内部通路は互いに連通しており、排気を導く排気通路39を形成する
過給機14は、排気駆動式であり、排気により回される図示しないタービンホイールと、このタービンホイールと一体に回転し空気を圧縮する図示しないコンプレッサホイールと、これらタービンホイールおよびコンプレッサホイールを収容するハウジング32等から構成されている。過給機14は、外気を圧縮することによりエンジン11の各気筒18により多くの外気を送り込む、すなわち過給する装置である。
EGR(Exhaust Gas Recirculation)装置15は、排気還流パイプ35、排気用絞り弁装置40およびEGR弁装置41から構成されている。排気還流パイプ35は、エキゾーストパイプ38とサージタンク23とを接続し、排気通路39とサージタンク23の連通室34とを連通する排気還流通路40を有する。排気還流パイプ35は、特許請求の範囲の「排気還流通路部材」に相当する。
排気用絞り弁装置40は、エキゾーストパイプ38と排気還流パイプ35との接続位置の後流側に設けられ排気通路39を開閉可能な絞り弁43と、この絞り弁43を駆動するアクチュエータ44とを有する。排気用絞り弁装置40は、電動式であり、ECU17に作動が制御される。
EGR弁装置41は、排気還流通路40の途中に設けられ、排気還流通路40を開閉可能である。EGR弁装置41は、電磁駆動式であり、ECU17に作動が制御される。EGR弁装置41は、特許請求の範囲の「第2アクチュエータ」に相当する。
EGR装置15は、外気より窒素濃度が低い排気の一部をサージタンク23に戻すことでエンジン11が吸い込む混合ガスの窒素濃度を低下させる。これによりエンジン11の燃焼温度を下げる。第1実施形態では、EGR装置15は、特許請求の範囲の「作動ガス供給手段」に相当する。またエンジン11の排気は、特許請求の範囲の「作動ガス」に相当する。
ECU17は、排気用絞り弁装置40の作動を制御することでエキゾーストパイプ38から排気還流パイプ35へ送り出す排気量を調整し、EGR弁装置41の作動を制御することでサージタンク23に流入する排気量を調整する「排気供給量制御手段」として機能する。
酸素ガス供給装置16は、酸素ガスを貯留する酸素ガスタンク45、酸素ガス流通管46、サブタンク47、レギュレータ48および酸素ガス噴射弁装置49から構成されている。酸素ガス流通管46は、酸素ガスタンク45とサブタンク47とを接続する。レギュレータ48は、サブタンク47内の圧力を一定値に調整する。酸素ガス噴射弁装置49は、サブタンク47内の酸素ガスを吸気マニホールド24の第2通路に噴射する。酸素ガス噴射弁装置49は、電磁駆動式であり、ECU17に作動が制御される。酸素ガス噴射弁装置49は、特許請求の範囲の「第1アクチュエータ」に相当する。酸素ガス供給装置16は、特許請求の範囲の「酸素ガス供給手段」に相当する。
ECU17は、酸素ガス噴射弁装置49の作動を制御することで酸素ガス噴射弁装置49から第2通路36に供給する酸素ガス供給量を調整し、エンジン11の気筒18内の酸素濃度を調整する「酸素ガス供給量制御手段」として機能する。
ECU17は、図示しないCPU、ROMおよびRAMなどを有するマイクロコンピュータから構成されている。ECU17には、エンジン回転数センサ50、アクセル開度センサ51、タンク内圧力センサ52、タンク内温度センサ53、「第1酸素濃度検出手段」としてのタンク内酸素濃度センサ54、「二酸化炭素濃度検出手段」としてのタンク内二酸化炭素濃度センサ55、排気管内圧力センサ56、および、「第2酸素濃度検出手段」としての排気管内酸素濃度センサ57が電気的に接続している。ECU17は、各センサ50〜57から供給された種々の信号に基づき、ROMに記録されている所定の制御プログラムに従いスロットル弁装置22、排気用絞り弁装置40、EGR弁装置41、レギュレータ48および酸素ガス噴射弁装置49の作動を制御する。ECU17は、特許請求の範囲の「酸素ガス供給量制御手段」、「混合ガス窒素濃度算出手段」、「気筒内窒素濃度算出手段」、「遅角制御手段」、「排気供給量制御手段」および「スロットル開度制御手段」として機能する。
エンジン回転数センサ50は、エンジン回転数NE[rpm]を検出し、検出したエンジン回転数NEを電気信号としてECU17に出力する。
アクセル開度センサ51は、アクセルペダル58の操作量に対応するアクセル開度ACC[%]を検出し、検出したアクセル開度ACCを電気信号としてECU17に出力する。
タンク内圧力センサ52は、サージタンク23内の圧力すなわち連通室34の混合ガスの圧力P1[MPa]を検出し、検出した圧力P1を電気信号としてECU17に出力する。
タンク内温度センサ53は、サージタンク23内の温度すなわち連通室34の混合ガスの温度T[℃]を検出し、検出した温度Tを電気信号としてECU17に出力する。
タンク内酸素濃度センサ54は、サージタンク23内の酸素濃度すなわち連通室34の混合ガスの酸素濃度DO1[vol%]を検出し、検出した酸素濃度D1を電気信号としてECU17に出力する。タンク内酸素濃度センサ54は、特許請求の範囲の「第1酸素濃度センサ」に相当する。
タンク内二酸化炭素濃度センサ55は、サージタンク23内の二酸化炭素濃度すなわち連通室34の混合ガスの二酸化炭素濃度DCO[vol%]を検出し、検出した二酸化炭素濃度DCOを電気信号としてECU17に出力する。
排気管内圧力センサ56は、排気還流パイプ35内の圧力すなわち排気の圧力P2[MPa]を検出し、検出した圧力P2を電気信号としてECU17に出力する。
排気管内酸素濃度センサ57は、排気還流パイプ35内の酸素濃度すなわち排気の酸素濃度DO2[vol%]を検出し、検出した酸素濃度DO2を電気信号としてECU17に出力する。排気管内酸素濃度センサ57は、特許請求の範囲の「第2酸素濃度センサ」に相当する。
以下、ECU17の機能を詳しく説明する。
<エンジン負荷算出>
ECU17は、マップや演算式から例えばエンジントルクTE[N・m]およびエンジン回転数NEに基づき、エンジン11の負荷すなわちエンジン負荷LEを算出する。またECU17は、例えば図2に示すマップからエンジントルクTEおよびエンジン回転数NEに基づき、エンジン11の運転状態が図2のマップ上でどの負荷領域に属するかを算出する。この負荷領域は、図2に示すように縦軸がエンジントルクTE、横軸がエンジン回転数NEの二次元座標内で低負荷領域A1、中負荷領域A2および高負荷領域A3で表される。
低負荷領域A1は、エンジントルクTEが相対的に低く、エンジン回転数NEが相対的に低い領域である。高負荷領域A3は、エンジントルクTEが相対的に高く、エンジン回転数NEが相対的に高い領域である。中負荷領域A2は、低負荷領域A1と高負荷領域A3との間の領域である。
<目標気筒内酸素濃度算出>
ECU17は、例えば図3に示すマップからエンジン負荷LEに基づき、エンジン11の気筒18内の酸素濃度の目標値すなわち目標気筒内酸素濃度DTを決定する。図3に示すマップは、エンジン負荷LEが高いほど目標気筒内酸素濃度DTが大きくなるように定められている。目標気筒内酸素濃度DTは、特許請求の範囲の「所定値」に相当する。
ECU17は、エンジン11の運転状態が図2のマップ上で低負荷領域A1にあるとき目標気筒内酸素濃度DTを外気の酸素濃度以下に設定する。またECU17は、エンジン11の運転状態が高負荷領域A3にあるとき目標気筒内酸素濃度DTを外気の酸素濃度以上に設定する。
<酸素ガス供給量算出>
ECU17は、目標気筒内酸素濃度DT、混合ガスの酸素濃度DO1および排気の酸素濃度DO2に基づき、酸素ガス噴射弁装置49から第2通路36への酸素ガスの噴射量すなわち酸素ガス供給量SOを算出する。具体的には、ECU17は、先ず、気筒容積と、吸気圧すなわち混合ガスの圧力P1と、目標気筒内酸素濃度DTとに基づき、次のサイクルでエンジン11の全気筒18内に取り込む酸素量の目標値すなわち目標酸素量VOTを算出する。
次に、ECU17は、ストローク容積(ピストンストローク×ボア面積)と、混合ガスの圧力P1と、混合ガスの酸素濃度DO1とに基づき、次のサイクルでエンジン11の全気筒18内に取り込まれる混合ガスの酸素量VO1を算出する。
次に、ECU17は、燃焼室容積と、排気の圧力P2と、排気の酸素濃度DO2とに基づき、直前のサイクルでエンジン11の燃焼室に残留した酸素量VO2を算出する。
次に、ECU17は次式(1)から酸素ガス供給量SOを算出する。
SO = VOT − VO1 −VO2・・・(1)
<酸素ガス供給>
ECU17は、酸素ガス噴射弁装置49の作動を制御することで第2通路36に供給する酸素ガス供給量SOを調整する。具体的には、ECU17は、例えば図4に示すマップから酸素ガス供給量SOに基づき酸素ガス噴射弁装置49の開動作を制御するパルス幅を算出し、その開動作のパルス幅に基づき酸素ガス噴射弁装置49の作動を制御する。ECU17は、エンジン11の各気筒18内の酸素濃度が目標酸素濃度DTになるように酸素ガス噴射弁装置の開弁時間を制御する。
<作動ガス供給>
ECU17は、排気用絞り弁装置40の作動を制御することでエキゾーストパイプ38から排気還流パイプ35へ送り出す排気量を調整する。
またECU17は、EGR弁装置41の作動を制御することでサージタンク23に供給する排気量を調整する。サージタンク23に供給する排気量は、例えばエンジン負荷LE等に応じて変化させる。
<混合ガス窒素濃度算出>
ECU17は、サージタンク23内の混合ガスの酸素濃度DO1および二酸化炭素濃度DCOに基づきサージタンク23内の混合ガスの窒素濃度を算出する。具体的には、ECU17は、先ず、サージタンク23内の混合ガスの二酸化炭素濃度DCOに基づきサージタンク23内の二酸化炭素量を算出する。次に、ECU17は、サージタンク23内の二酸化炭素量と燃料組成とに基づきサージタンク23内の水蒸気量を算出する。次に、ECU17は、サージタンク23内の混合ガスの酸素濃度DO1に基づきサージタンク23内の酸素量を算出する。
次に、ECU17は、サージタンク23内の圧力P1および温度Tに基づきサージタンク内のガス総量を算出する。次に、ECU17は、サージタンク23内の二酸化炭素量、水蒸気量、酸素量およびガス総量に基づきサージタンク内の窒素量を算出する。次に、ECU17は、サージタンク内の窒素量およびガス総量に基づきサージタンク内の混合ガスの窒素濃度を算出する。
<気筒内窒素濃度算出>
ECU17は、混合ガスの窒素濃度と酸素ガス供給量SOとに基づきエンジン11の気筒18内の窒素濃度DNを算出する。
<通常モード作動>
ECU17は、エンジン11の運転状態が図2のマップ上で低負荷領域A1にあるとき、エンジンシステム10を通常モードで作動させる。この通常モードは、スロットル弁装置22を制御して外気を導入しつつEGR弁装置41を制御してエンジン11の排気の一部をサージタンク23に還流させる運転モードである。通常モードでは酸素ガスの供給が為されない。
<遷移モード作動>
ECU17は、エンジン11の運転状態が図2のマップ上で中負荷領域A2にあるとき、エンジンシステム10を遷移モードで作動させる。この遷移モードは、スロットル弁装置22を制御して外気を導入し、EGR弁装置41を制御してエンジン11の排気の一部をサージタンク23に還流させながら、酸素ガス噴射弁装置49を制御して第2通路36に酸素ガスを供給する運転モードである。例えば、遷移モードでは、通常モードに比べてスロットル弁開度を小さくしつつEGR率を20%にする。図5に示すように、通常モードから遷移モードに切り替わるとサージタンク23内の混合ガスの窒素濃度が約40サイクルで10%に収束する。
<高出力モード作動>
ECU17は、エンジン11の運転状態が図2のマップ上で高負荷領域A3にあるとき、エンジンシステム10を高出力モードで作動させる。この高出力モードは、スロットル弁装置22を全閉に近い状態とし、EGR弁装置41を制御してエンジン11の排気を比較的多くサージタンク23に還流させながら、酸素ガス噴射弁装置49を制御して第2通路36に酸素ガスを比較的多く供給する運転モードである。ECU17は、高出力モードでは各気筒18内の窒素濃度DNが5%以下の極低窒素濃度になるようにEGR弁装置41の作動を制御する。
<遅角燃焼制御>
ECU17は、気筒18内の窒素濃度DNが所定の閾値を超えるとき、エンジン11の吸入弁および排気弁の一方または両方の開閉タイミングを遅らせる。前記所定の閾値は例えば10%に設定される。
<スロットル弁制御>
ECU17は、サージタンク23内の圧力P1が一定値になるようにスロットル弁30の開度を制御する。
次に、ECU17の作動を図6〜図8に基づき説明する。
図6のフローはメイン処理の流れを示し、図7および図8のフローはそれぞれメイン処理のサブルーチン処理の流れを示している。図6に示すメイン処理は、エンジン11の作動している間、繰り返し実行される。その際ECU17は、随時各センサ値を読み込み、それら各センサ値を各処理で使用する。
図6のメイン処理が開始されると、先ずステップS101(以下、「ステップ」を省略し、単に記号「S」で示す。)では、ECU17はエンジン11の負荷を算出する。S101の後、処理は酸素ガス供給量算出処理としてのS200に移行する。
S200は、酸素ガス噴射弁装置49から第2通路36への酸素ガスの噴射量すなわち酸素ガス供給量SOを算出するための処理である。図7に示すように、S200が開始されると、処理は先ずS201に移行する。
S201では、ECU17は、目標気筒内酸素濃度DOTを決定する。S201の後、処理はS202に移行する。
S202では、ECU17は、次のサイクルでエンジン11の全気筒18内に取り込む目標酸素量VOTを算出する。S202の後、処理はS203に移行する。
S203では、ECU17は、次のサイクルでエンジン11の全気筒18内に取り込まれる混合ガスの酸素量VO1を算出する。S203の後、処理はS204に移行する。
S204では、ECU17は、直前のサイクルでエンジン11の燃焼室に残留した酸素量VO2を算出する。S204の後、処理はS205に移行する。
S205では、ECU17は、前記式(1)から酸素ガス供給量SOを算出する。S205の後、酸素ガス供給量算出処理(S200)を終了してメイン処理へ戻る。
図6に戻って、S200の後、処理は気筒内窒素濃度算出処理としてのS300に移行する。
S300は、エンジン11の気筒18内の窒素濃度DNを算出するための処理である。図8に示すように、S300が開始されると、処理は先ずS301に移行する。
S301では、ECU17は、サージタンク23内の二酸化炭素量を算出する。S301の後、処理はS302に移行する。
S302では、ECU17は、サージタンク23内の水蒸気量を算出する。S302の後、処理はS303に移行する。
S303では、ECU17は、サージタンク23内の酸素量を算出する。S303の後、処理はS304に移行する。
S304では、ECU17は、サージタンク内のガス総量を算出する。S304の後、処理はS305に移行する。
S305では、ECU17は、サージタンク内の窒素量を算出する。S305の後、処理はS306に移行する。
S306では、ECU17は、サージタンク内の混合ガスの窒素濃度を算出する。S306の後、処理はS307に移行する。
S307では、ECU17は、エンジン11の気筒18内の窒素濃度DNを算出する。S307の後、気筒内窒素濃度算出処理(S300)を終了してメイン処理へ戻る。
図6に戻って、S300の後、処理はS102に移行する。
S102では、ECU17は、エンジン11の運転状態が図2のマップ上で低負荷領域A1であるか否かを判定する。エンジン11の運転状態が図2のマップ上で低負荷領域A1であると判断した場合(S102:YES)、処理はS103へ移行する。一方、エンジン11の運転状態が図2のマップ上で低負荷領域A1にないと判断した場合(S102:NO)、処理はS104へ移行する。
S103では、ECU17は、エンジンシステム10を通常モードで作動させる。S103の処理が実行されると、処理はS107へ移行する。
S104では、ECU17は、エンジン11の運転状態が図2のマップ上で中負荷領域A2であるか否かを判定する。エンジン11の運転状態が図2のマップ上で中負荷領域A2であると判断した場合(S104:YES)、処理はS105へ移行する。一方、エンジン11の運転状態が図2のマップ上で中負荷領域A2にないと判断した場合(S104:NO)、処理はS106へ移行する。
S105では、ECU17は、エンジンシステム10を遷移モードで作動させる。S105の処理が実行されると、処理はS107へ移行する。
S106では、ECU17は、エンジンシステム10を高出力モードで作動させる。S106の処理が実行されると、処理はS107へ移行する。
S107では、ECU17は、エンジン11の気筒18内の窒素濃度DNが10[%]より小さいか否かを判定する。窒素濃度DNが10[%]より小さいと判断した場合(S107:YES)、処理はS108へ移行する。一方、窒素濃度DNが10[%]以上であると判断した場合(S107:NO)、処理はS109へ移行する。
S108では、ECU17は、エンジン11の吸入弁および排気弁の開閉タイミングを通常通り制御する。S108の処理が実行されると、メイン処理が終了する。
S109では、ECU17は、エンジン11の吸入弁および排気弁の一方または両方の開閉タイミングを遅らせる遅角制御を実施する。S109の処理が実行されると、メイン処理が終了する。
以上説明したように、第1実施形態のエンジンシステム10では、EGR装置15から供給される排気と外気とがサージタンク23で混合され、エンジン11の気筒18に供給される。また、酸素ガス供給装置16は、第2通路36の混合ガスに酸素ガスを供給可能である。ECU17は、酸素ガス噴射弁装置49の作動を制御して酸素ガス供給装置16から第2通路36に供給する酸素ガス供給量を調整することでエンジン11の気筒18内の酸素濃度を調整する。
この構成では、外気より窒素濃度が低い排気と外気とが混合された混合ガスをエンジン11の気筒18に取り込む。そのため、エンジン11の気筒18に取り込まれるガス中の窒素量を外気より減らすことができる。また、エンジン11の気筒18に取り込まれるガスに酸素ガスを加えることで、そのガス中の酸素量を増やすことが可能である。よって、エンジン11の気筒18に取り込まれるガス中の窒素量を外気より減らしつつ酸素量を増やすことが可能である。これにより、エンジン11の高温燃焼を実現しつつ排気中の窒素酸化物を低減することができる。
また、第1実施形態では、酸素ガス供給装置16は、酸素ガスタンク45に貯留された酸素ガスを酸素ガス流通管46およびサブタンク47を経由して酸素ガス噴射弁装置49から第2通路36に供給可能である。
また、第1実施形態では、ECU17は、エンジン11の気筒18内の酸素濃度が所定値になるように酸素ガス噴射弁装置49の開弁時間、すなわち開作動を制御するパルス幅を制御する。このように酸素ガス噴射弁装置49の開弁時間を制御することで第2通路36に供給される酸素ガス量を微調整することができる。
また、第1実施形態では、ECU17は、エンジン11の負荷が高いほど目標酸素濃度DTを大きく設定する。これにより、エンジン11の負荷が高いほどエンジン11の気筒18内の酸素濃度が高くなり、エンジン11の負荷に応じた適当な制御が可能となる。
また、第1実施形態では、ECU17は、エンジン11の運転状態が相対的に低負荷の低負荷領域にあるとき目標酸素濃度DTを外気の酸素濃度以下に設定する。またECU17は、エンジン11の運転状態が相対的に高負荷の高負荷領域にあるとき目標酸素濃度DTを外気の酸素濃度以上に設定する。これにより、エンジン11の負荷に応じた適当な制御が可能となる。
また、第1実施形態では、ECU17は、サージタンク23内の酸素濃度DO1および二酸化炭素濃度DCOに基づき気筒18内の窒素濃度DNを算出する。これにより、窒素濃度センサを用いなくても気筒18内の窒素濃度DNを求めることができる。
また、第1実施形態では、ECU17は、気筒18内の窒素濃度DNが所定の閾値を超えるとき、エンジン11の吸入弁および排気弁の一方または両方の開閉タイミングを遅らせる。前記所定の閾値は例えば10%に設定される。この遅角制御を実施することでエンジン11の燃焼温度が低下し、排気中の窒素酸化物を低減することができる。
また、第1実施形態では、ECU17は、エンジン11の運転状態が相対的に高負荷の高負荷領域にあるとき、気筒18内の窒素濃度DNが5%以下になるようにEGR弁装置41の作動を制御する。これにより、エンジン11の気筒18に取り込まれるガスを極低窒素濃度とし、排気中の窒素酸化物を大幅に減らすことができる。
また、第1実施形態では、サージタンク23の連通室34は、第1通路33の横断面積および第2通路36の横断面積より大きい横断面積を有する。また、ECU17は、連通室34の圧力が一定値になるようにスロットル弁30の開度を制御する。これにより、エンジン11の気筒18に安定的に混合ガスを供給することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態のエンジンシステムを図9に示す。第2実施形態では、第1実施形態の構成に加えて、アルゴンガス供給装置60を備える。アルゴンガス供給装置60は、特許請求の範囲の「作動ガス供給手段」に相当する。
アルゴンガス供給装置60は、「作動ガス」としてのアルゴンガスを貯留するアルゴンガスタンク61と、アルゴンガスタンク61内とサージタンク23とを連通する連通路を有するアルゴンガス供給管62と、アルゴンガス供給管62を開閉可能な電磁弁63とを有する。電磁弁63は、特許請求の範囲の「第3アクチュエータ」に相当する。
第2実施形態のECU64は、第1実施形態の機能に加え、アルゴンガス供給量制御手段として機能する。アルゴンガス供給量制御手段は、特許請求の範囲の「作動ガス供給量制御手段」に相当するものであり、電磁弁63の作動を制御することでアルゴンガスタンク61からアルゴンガス供給管62を経由してサージタンク23に供給するアルゴンガス量を調整する。ECU64は、エンジン11の運転状態が図2のマップ上で高負荷領域A3にあるとき、気筒18内の窒素濃度DNが5%以下になるように電磁弁63の作動を制御する。
第2実施形態では、外気より窒素濃度が低い排気、外気およびアルゴンガスが混合された混合ガスをエンジン11の気筒18に取り込み、エンジン11の気筒18に取り込まれるガス中の窒素量を外気より減らすことができる。
また、第2実施形態では、単原子分子であるアルゴンガスを混合ガスに付加することでエンジン11の熱効率を大幅に改善することができる。
(第3実施形態)
第3実施形態のエンジンシステムを図10に示す。第3実施形態では、第1実施形態の構成に加えて、窒素吸着膜70、窒素排出通路部材71および窒素排出弁装置73を備える。窒素吸着膜70は、インテークパイプ27の途中に設けられ、第1通路33を流れる外気の窒素を吸着する。窒素吸着膜70を通過した外気は窒素濃度が低下する。窒素排出通路部材71は、窒素吸着膜70で吸着される窒素ガスを第1通路33外すなわち大気に排出するための窒素排出通路72を有する。
第3実施形態のECU74は、第1実施形態の機能に加え、窒素排出弁装置73の作動を制御して窒素排出通路72を開放し、窒素吸着膜70で吸着される窒素ガスを大気に排出する機能を備えている。
第3実施形態では、インテークパイプ27の途中に設けられる窒素吸着膜70で窒素濃度が低下させられた外気がサージタンク23に供給されるので、酸素ガス供給装置16の酸素ガス供給量を比較的少なくしつつ排気中の窒素酸化物を低減可能である。
(他の実施形態)
また、本発明の他の実施形態では、サージタンクが設けられなくてもよい。その場合、インテークパイプおよびと排気還流パイプの下流側の端部が吸気マニホールドの上流側の端部に接続されればよい。
第3実施形態では、アルゴンガスが供給されるように構成されていた。これに対し、本発明の他の実施形態では、たとえば水蒸気や二酸化炭素ガスなどの他の作動ガスが供給されてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、ECUは、エンジンの運転状態が相対的に高負荷の高負荷領域にあるとき、必ずしも気筒内の窒素濃度が5%以下になるように制御する必要はない。
また、本発明の他の実施形態では、混合ガスの圧力、温度、酸素濃度および二酸化炭素濃度を検出する各センサが吸気マニホールドの第2通路のうち酸素ガス噴射弁装置の上流側に設けられてもよい。
また、第1〜第3実施形態における酸素濃度および二酸化炭素濃度を直接的に検出する各センサに代えて、本発明の他の実施形態では、他の情報に基づいて演算等で間接的に酸素濃度および二酸化炭素濃度を算出する濃度検出手段を設けてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、ECUは、必ずしもサージタンク内の圧力が一定値になるようにスロットル開度を制御する必要はない。
また、本発明の他の実施形態では、過給器やインタークーラが設けられなくてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、窒素濃度センサを用いても良い。
また、第1〜第3実施形態における酸素ガス噴射弁装置49およびEGR弁装置41、及び、第2実施形態における電磁弁63に代えて、本発明の他の実施形態では、例えばモータ等で作動する他のアクチュエータが用いられてもよい。
以上、本発明は、上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
10・・・エンジンシステム
11・・・エンジン
15・・・EGR装置(作動ガス供給手段)
16・・・酸素ガス供給装置(酸素ガス供給手段)
17・・・ECU(酸素ガス供給量制御手段)
18・・・気筒
20・・・エアクリーナ(第1通路部材)
21・・・インタークーラ(第1通路部材)
23・・・サージタンク(混合手段)
24・・・吸気マニホールド(第2通路部材)
25,26,27,28・・・インテークパイプ
32・・・ハウジング(第1通路部材)
33・・・第1通路
34・・・連通室
36・・・第2通路
60・・・アルゴンガス供給装置(作動ガス供給手段)

Claims (16)

  1. 外気を取り込み可能であり、取り込んだ外気が流れる第1通路を有する第1通路部材と、
    外気より窒素濃度が低い作動ガスを供給可能な作動ガス供給手段と、
    前記第1通路と前記作動ガス供給手段とを連通する連通室を有し、前記第1通路から流入する外気と前記作動ガス供給手段から流入する前記作動ガスとを前記連通室で混合する混合手段と、
    前記混合手段の前記連通室とエンジンの気筒とを連通する第2通路を有し、外気と前記作動ガスとの混合ガスを前記気筒に導く第2通路部材と、
    前記第2通路に酸素ガスを供給可能な酸素ガス供給手段と、
    前記酸素ガス供給手段から前記第2通路に供給される酸素ガス供給量を調整することで前記気筒内の酸素濃度を調整する酸素ガス供給量制御手段と、
    を備えることを特徴とするエンジンシステム。
  2. 前記酸素ガス供給手段は、
    酸素ガスを貯留する酸素ガスタンクと、
    前記酸素ガスタンク内と前記第2通路とを連通する第3通路を有する第3通路部材と、
    前記第3通路を開閉可能な第1アクチュエータと、
    を有することを特徴とする請求項1に記載のエンジンシステム。
  3. 前記酸素ガス供給量制御手段は、前記気筒内の酸素濃度が所定値になるように前記第1アクチュエータの開弁時間を制御することを特徴とする請求項2に記載のエンジンシステム。
  4. 前記酸素ガス供給量制御手段は、前記エンジンの負荷が高いほど前記所定値を大きく設定することを特徴とする請求項3に記載のエンジンシステム。
  5. 前記酸素ガス供給量制御手段は、前記エンジンの運転状態が低負荷領域にあるとき前記所定値を外気の酸素濃度以下に設定し、前記エンジンの運転状態が高負荷領域にあるとき前記所定値を外気の酸素濃度以上に設定することを特徴とする請求項4に記載のエンジンシステム。
  6. 前記連通室の混合ガス、又は、前記第2通路のうち当該第2通路と前記第3通路との合流位置より上流を流れる混合ガスの酸素濃度を検出する第1酸素濃度検出手段と、
    前記エンジンが排出する排気の酸素濃度を検出する第2酸素濃度検出手段と、
    をさらに備え、
    前記酸素ガス供給量制御手段は、前記所定値、前記混合ガスの酸素濃度、及び、前記排気の酸素濃度に基づき前記酸素ガス供給量を算出することを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載のエンジンシステム。
  7. 前記連通室の混合ガス、又は、前記第2通路のうち当該第2通路と前記第3通路との合流位置より上流を流れる混合ガスの二酸化炭素濃度を検出する二酸化炭素濃度検出手段と、
    前記第1酸素濃度検出手段が検出する前記混合ガスの酸素濃度、及び、前記二酸化炭素濃度検出手段が検出する前記混合ガスの二酸化炭素濃度に基づき前記混合ガスの窒素濃度を算出する混合ガス窒素濃度算出手段と、
    前記混合ガス窒素濃度算出手段が算出する前記混合ガスの窒素濃度と前記酸素ガス供給量とに基づき前記気筒内の窒素濃度を算出する気筒内窒素濃度算出手段と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載のエンジンシステム。
  8. 前記気筒内の窒素濃度が所定の閾値を超えるとき、前記エンジンの吸入弁および排気弁の一方または両方の開閉タイミングを遅らせる遅角制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載のエンジンシステム。
  9. 前記所定の閾値は10%であることを特徴とする請求項8に記載のエンジンシステム。
  10. 前記作動ガス供給手段は、前記エンジンの排気通路と前記混合手段とを連通する排気還流通路を有する排気還流通路部材と、前記排気還流通路を開閉可能な第2アクチュエータと、を有するEGR装置から構成され、
    前記第2アクチュエータの作動を制御することで前記排気通路から前記排気還流通路を経由して前記混合手段に流入する排気量を調整する排気供給量制御手段をさらに備え、
    前記作動ガスは前記エンジンの排気であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のエンジンシステム。
  11. 前記排気供給量制御手段は、前記エンジンの運転状態が相対的に高負荷の高負荷領域にあるとき、前記気筒内の窒素濃度が5%以下になるように前記第2アクチュエータの作動を制御することを特徴とする請求項10に記載のエンジンシステム。
  12. 前記作動ガス供給手段は、前記作動ガスを貯留する作動ガスタンクと、前記作動ガスタンク内と前記混合手段とを連通する第4通路を有する第4通路部材と、前記第4通路を開閉可能な第3アクチュエータと、を有し、
    前記第3アクチュエータの作動を制御することで前記作動ガスタンクから前記第4通路を経由して前記混合手段に供給する作動ガス量を調整する作動ガス供給量制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のエンジンシステム。
  13. 前記作動ガスは、水蒸気、アルゴンガス又は二酸化炭素ガスであることを特徴とする請求項1〜10、12のいずれか一項に記載のエンジンシステム。
  14. 前記作動ガス供給量制御手段は、前記エンジンの運転状態が相対的に高負荷の高負荷領域にあるとき、前記気筒内の窒素濃度が5%以下になるように前記第3アクチュエータの作動を制御することを特徴とする請求項12に記載のエンジンシステム。
  15. 前記連通室は、前記第1通路の横断面積および前記第2通路の横断面積より大きい横断面積を有し、
    前記連通室の圧力を検出する圧力センサと、
    前記第1通路の途中に設けられ、前記第1通路の開度を調整可能なスロットル弁と、
    前記連通室の圧力が一定値になるように前記スロットル弁の開度を制御するスロットル開度制御手段と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載のエンジンシステム。
  16. 前記第1通路の途中に設けられる窒素吸着膜と、
    前記窒素吸着膜で吸着される窒素ガスを前記第1通路外に排出する窒素排出通路と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載のエンジンシステム。
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