JP2013001747A - 発泡性樹脂組成物及び汚染物質吸着剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】放射性物質を高選択的に吸着して、優れた効率で汚染水を浄化可能であるとともに、吸着後の処理が容易な汚染物質吸着剤を製造することができる発泡性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】紺青、発泡剤、及び高分子化合物を含有する発泡性樹脂組成物を提供する。この発泡性樹脂組成物を用いれば、紺青と、紺青を担持する高分子化合物からなる発泡相と、を有する発泡体である汚染物質吸着剤を製造することができる。また、支持基材と、支持基材の少なくとも一部の表面上に配置された、紺青及びそれを担持する高分子化合物からなる発泡相と、を備えた汚染物質吸着剤を得ることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、発泡性樹脂組成物、及びそれを用いて得られる、放射線セシウム等の汚染物質を吸着可能な汚染物質吸着剤に関する。
従来、原子力発電所等の放射性物質を取り扱う施設から発生する放射性物質を含む廃液から、放射性物質を自然環境中に排出させないことが要求されている。例えば、γ線を放射する放射性セシウム137(137Cs、半減期:約30年)は、蓄積性及び水溶性の高い放射性物質である。このため、放射性セシウムが自然環境中に飛散したような場合には、体内被曝等の生体に対する悪影響が懸念される。
吸着剤である活性炭やゼオライトは、幅広い分野において汚染物質の吸着や浄化に活用されている。例えば、汚染物質が含まれる汚染水を活性炭やゼオライトで処理し、汚染物質を活性炭やゼオライトに吸着させて除去し、浄化水を得ることが一般的に行われている。また、活性炭やゼオライトは、放射性物質を吸着する性能をも有することが知られている。このため、活性炭やゼオライトは、原子力発電所等の施設から発生する放射性物質を含む汚染水を浄化するための材料としても有用である。
例えば、活性炭を充填した濾過槽に放射性物質を含有する汚染水を通過させ、放射性物質を活性炭に吸着させる浄化方法が開示されている(特許文献1参照)。また、放射性物質が溶解又は懸濁した汚染水にゼオライトを含む粒子を接触させ、放射性物質を粒子に吸着させる浄化方法が開示されている(特許文献2参照)。さらに、ゼオライト化発泡ガラスを用いて汚染土壌を浄化する方法が開示されている(特許文献3及び4参照)。
一方、特定の樹脂を濾材として用いる浄化方法等も知られている。例えば、界面活性剤が練り込まれたオレフィン系樹脂からなる発泡体の粉砕粒子を濾材として用いる方法が開示されている(特許文献5参照)。また、親水性の熱可塑性樹脂を用いて得られる多孔質又は表面に凹凸を有する水処理用の濾材が開示されている(特許文献6参照)。
特開2008−232773号公報 特開2005−177709号公報 特開2006−095385号公報 特開2006−110466号公報 特開2005−021842号公報 特開2000−107785号公報
活性炭やゼオライトは、一般的には可能な限り微細化して比表面積を増大させ、その吸着能力を向上させた状態で使用される。このため、汚染水を濾過して汚染物質を吸着した活性炭やゼオライトを除去しようとすると圧力損失が増大してしまい、処理効率が上がらないといった課題がある。
また、活性炭やゼオライトは、吸着能力が高い一方で選択性が若干乏しい。このため、本来除去する必要のない物質までをも吸着してしまう場合がある。このように、除去を必要としない物質まで吸着した活性炭等を処理するには、多大な労力とコストが必要とされるといった課題がある。さらに、カラム等に充填して放射性セシウム等を吸着させた微粒子状の吸着剤は、それ自体が微粒子状の放射性廃棄物である。このため、浄化処理後の吸着剤の回収方法や処理方法に課題がある。
また、ゼオライト化発泡ガラスを用いる浄化方法によれば、アンモニアや溶解性有機物を吸着して除去することが可能ではある。しかしながら、汚染物質が金属類である場合には、有効な浄化方法であるとは必ずしも言えない。また、ゼオライト化発泡ガラスは、疎水性が高く、吸着部分が限定されているので、吸着効率の点で改良の余地がある。また、特定の樹脂を濾材として用いる浄化方法は、様々な汚染物を除去して回収する方法として有効ではある。しかしながら、汚染物質が金属類である場合には、有効な浄化方法であるとは必ずしも言えない。特に、セシウムの除去を目的とする場合には、有効な浄化方法であるとは言えない。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、放射性物質を高選択的に吸着して、優れた効率で汚染水を浄化可能であるとともに、吸着後の処理が容易な汚染物質吸着剤を製造することができる発泡性樹脂組成物を提供することにある。
また、本発明の課題とするところは、放射性物質を高選択的に吸着して、優れた効率で汚染水を浄化可能であるとともに、吸着後の処理が容易な汚染物質吸着剤を提供することにある。
すなわち、本発明によれば、以下に示す発泡性樹脂組成物が提供される。
(1)紺青、発泡剤、及び高分子化合物を含有する発泡性樹脂組成物。
(2)前記発泡剤が、有機系発泡剤、無機系発泡剤、及び熱膨張性マイクロカプセルからなる群より選択される少なくとも一種である前記(1)に記載の発泡性樹脂組成物。
(3)前記高分子化合物が、親水性ポリマー、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、レーヨン、及びビニロンからなる群より選択される少なくとも一種である前記(1)又は(2)に記載の発泡性樹脂組成物。
(4)前記親水性ポリマーが、水酸基、アミノ基、及びカルボキシル基からなる群より選択される少なくとも一種の官能基を分子内に有するポリマーの架橋体である前記(3)に記載の発泡性樹脂組成物。
(5)金属石鹸、無機フィラー、界面活性剤、及びワックスからなる群より選択される少なくとも一種の結着剤をさらに含有するマスターバッチである前記(1)〜(4)のいずれかに記載の発泡性樹脂組成物。
(6)液状重合体と液状重合性モノマーの少なくともいずれかの結着剤をさらに含有する分散液である前記(1)〜(4)のいずれかに記載の発泡性樹脂組成物。
また、本発明によれば、以下に示す汚染物質吸着剤が提供される。
(7)紺青と、前記紺青を担持する高分子化合物からなる発泡相と、を有する発泡体である汚染物質吸着剤(以下、「第一の汚染物質吸着剤」とも記す)。
(8)発泡ビーズ、発泡粒子、発泡繊維、又は発泡成形体である前記(7)に記載の汚染物質吸着剤。
(9)支持基材と、前記支持基材の少なくとも一部の表面上に配置された、紺青及び前記紺青を担持する高分子化合物からなる発泡相と、を備えた汚染物質吸着剤(以下、「第二の汚染物質吸着剤」とも記す)。
(10)前記支持基材の形状が、粒状、繊維状、フィルム状、又はシート状である前記(9)に記載の汚染物質吸着剤。
(11)放射性セシウム吸着能を有する前記(7)〜(10)のいずれかに記載の汚染物質吸着剤。
本発明の発泡性樹脂組成物を用いれば、放射性物質を高選択的に吸着して、優れた効率で汚染水を浄化可能であるとともに、吸着後の処理が容易な汚染物質吸着剤を容易に製造することができる。また、本発明の汚染物質吸着剤は、紺青の吸着能が有効に発揮されうる。このため、本発明の汚染物質吸着剤を用いれば、放射性セシウム等の放射性物質を高選択的に吸着して、優れた効率で汚染水を浄化可能である。さらに、本発明の汚染物質吸着剤は、その浮遊効果により、汚染水等の浄化対象物から容易に分離して回収可能であるので、吸着後の処理が容易である。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。なお、以降、単に「汚染物質吸着剤」というときは、「第一の汚染物質吸着剤」と「第二の汚染物質吸着剤」のいずれをも意味する。
1.発泡性樹脂組成物
本発明の発泡性樹脂組成物は、紺青、発泡剤、及び高分子化合物を含有する。以下、その詳細について説明する。
(紺青)
紺青は、フェロシアン化第二鉄を主成分とする青色顔料である。フェロシアン化第二鉄は、下記一般式(1)で表される化合物である。なお、下記一般式(1)中、MはK、NH4、Na、又はFeを示し、nはMの価数を示す。
1/nFe[Fe(CN)6] ・・・(1)
紺青は、工業的に量産される、極めて微細な粒子状の顔料である。紺青は、一般的にはインキ、絵の具、化粧品等に広く使用されており、安全性の高いものである。そして、紺青は、その結晶構造が立方晶形であり、1価の陽イオン、なかでもセシウムイオン(Cs+)をその格子内に選択的に取り込むことができる。また、紺青は、安定同位体であるセシウム133(133Cs)だけでなく、放射性同位体であるセシウム137(137Cs)も吸着しうる。
発泡性樹脂組成物に含まれる紺青の量は、高分子化合物100質量部に対して1〜200質量部であることが好ましく、10〜50質量部であることがさらに好ましい。紺青の量が少な過ぎると、吸着能が低下する傾向にある。一方、紺青の量が多過ぎると、コスト面や、紺青の分散性の面で不利になる傾向にある。
(発泡剤)
発泡剤は、紺青と高分子化合物を含む混合物を発泡させて発泡体を形成しうる成分であれば、その種類は限定されない。発泡剤としては、例えば、有機系発泡剤、無機系発泡剤、及び熱膨張性マイクロカプセル等を挙げることができる。これらの発泡剤は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
有機系発泡剤の具体例としては、アゾジカルボアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、ベンゼンスルフォニルヒドラジド等を挙げることができる。無機系発泡剤の具体例としては、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、無水硝酸ナトリウム等を挙げることができる。熱膨張性マイクロカプセルとは、発泡成分と、この発泡成分を内包する熱可塑性樹脂からなる外殻とを有する。外殻を構成する熱可塑性樹脂の具体例としては、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、スチレン系モノマー等の構成単位を含むホモポリマー又はコポリマーを挙げることができる。また、熱可塑性樹脂は、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の架橋剤で架橋可能なものであることが好ましい。なお、上記の発泡剤とともに、尿素系、有機酸系、金属塩系等の発泡助剤を併用してもよい。これらの発泡助剤は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
発泡性樹脂組成物に含まれる発泡剤の量は、高分子化合物100質量部に対して2〜50質量部であることが好ましく、5〜20質量部であることがさらに好ましい。発泡剤の量が少な過ぎると、有効に発泡し難くなる傾向にある。一方、発泡剤の量が多過ぎると、コスト面や、発泡剤の分散性の面で不利になる傾向にある。
(高分子化合物)
高分子化合物としては、粒子状、繊維状、フィルム状、シート状、円筒状、及び金型にて賦形された所定形状を有する成形体に成形可能なものであれば特に限定されない。ただし、紺青の熱変性温度が180℃付近であることから、180℃以下の温度で成形可能な高分子化合物であることが好ましく、140℃以下の温度で成形可能な高分子化合物であることがさらに好ましい。なお、成形温度を好ましい温度(例えば180℃以下)とすべく、発泡性樹脂組成物に可塑剤を含有させることも好ましい。
高分子化合物としては、熱可塑性樹脂、ゴム状弾性体、セルロース系材料、及びその他の親水性ポリマー等を使用することができる。なお、これらの高分子化合物を、目的に応じて選択し、組み合わせて使用することもできる。高分子化合物としては、コスト、成形性、耐薬品性、及び機械強度等の面ではポリオレフィンが好ましい。また、汎用性面では塩化ビニルポリマー、及びポリウレタンが好ましい。さらに、繊維形成性の面ではレーヨン、及びビニロンが好ましい。
熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、ポリメチルメタクリレート、ビニロン等を挙げることができる。ゴム状弾性体の具体例としては、天然ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレンゴム、ニトリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム等を挙げることができる。また、セルロース系材料の具体例としては、銅アンモニアレーヨンやビスコースレーヨン等のレーヨン、テンセル(登録商標)、ポリノジック等を挙げることができる。
親水性ポリマーとしては、タンパク質や多糖類等の天然高分子化合物、セルロース誘導体、その他合成高分子化合物を用いることができる。また、親水性ポリマーは、その主鎖、側鎖、及び置換基の少なくともいずれかに親水性基を有するものが好ましい。親水性基としては、例えば、水酸基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、ポリオキシアルキレン基等を挙げることができる。このような親水性ポリマーを構成する単量体としては、メタクリル酸及びその塩、マレイン酸及びその塩、イタコン酸及びその塩、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−モノメチロールメタクリルアミド、スチレンスルホン酸及びその塩、ビニルスルホン酸及びその塩、ポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート、アリルアミン、ヒドロキシプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン等を挙げることができる。
親水性ポリマーは、親水性付与等の観点から、水酸基、アミノ基、及びカルボキシル基からなる群より選択される少なくとも一種の官能基を分子内に有するポリマーの架橋体であることが好ましい。このような親水性ポリマーを構成する重合性単量体の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和モノカルボン酸;フマル酸、イタコン酸及びその無水物、シトラコン酸及びその無水物等の不飽和ポリカルボン酸;アリルアミン、アミノアルキルアクリレート、アミノアルキルアクリルアミド、アミノアルキルアクリレート等のアミノ基含有単量体等を挙げることができる。
また、上記の重合性単量体とともに、架橋性単量体を用いることもできる。このような架橋性単量体の具体例としては、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−エチレンビスアクリルアミド、N,N’−エチレンビスメタクリルアミド、1,2−ジアクリルアミドエチレングリコール、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジアリルフタレート、ジアリルアジペートの他、エチレングリコール、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、トリメチロールプロパン等のジ(メタ)アクリル酸エステル又はトリ(メタ)アクリル酸エステル等を挙げることができる。
架橋方法には特に限定はなく、公知の架橋方法であればよい。例えば、一般的なラジカル重合開始剤を使用し、光、紫外線、温度、放射線、電子線等の照射下で架橋させることができる。重合開始剤としては、硫酸第一鉄等の還元剤、過酸化水素、アゾ系重合開始剤等を使用することができる。これら重合開始剤は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、親水性ポリマーとともに、親水性ポリマー中の官能基と反応しうる官能基を有する多官能性の架橋剤(多塩基酸、多価アルコール類、ジイソシアネート類、ジエポキシ類等)や、無機塩類(カルシウム、マグネシウム、リン酸等の塩)を添加することも好ましい。
(生分解性物質)
本発明の発泡性樹脂組成物には、生分解性物質を含有させることが好ましい。生分解性物質を含有する発泡性樹脂組成物を発泡させて得られる汚染物質吸着剤を汚染物(土壌、水等)に施工すると、汚染物質の吸着能が経時的に向上する。このように経時的に吸着能が向上する機構については、以下のように推測される。例えば、汚染物質吸着剤に含まれる生分解性物質が微生物により徐々に分解されると、生分解性物質が存在した箇所に微細な穴(空洞)が形成される。形成された微細な穴(空洞)が、水が流通しうる流通路として機能し、吸着成分である紺青と汚染物質との接触部位が広がるためであると推測される。また、回収後の保管期間中に樹脂が分解し、全体の体積が減少しやすくなるといった利点もある。
生分解性物質としては、キチン、キトサン、セルロース、でんぷん及びポリ乳酸等を挙げることができる。これらの生分解性物質は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。特に、これらの生分解性物質は、人体や環境に対する影響を考慮しても好適である。また、発泡性樹脂組成物に含まれる生分解性物質の割合は、発泡性樹脂組成物の全体に対して1〜40質量%とすることが好ましく、5〜20質量%とすることがさらに好ましい。生分解性物質の含有割合を上記の数値範囲内とすることで、得られる汚染物質吸着剤の吸着能をより効率的に発揮させることができる。
(その他の成分)
本発明の発泡性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて「その他の成分」を添加することができる。「その他の成分」としては、可塑剤、界面活性剤、低級・多価アルコール、グリセリン、無機フィラー、金属石鹸、無機・有機顔料、紫外線吸収剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、増粘剤、香料、油分等を挙げることができる。
可塑剤の具体例としては、パラフィンワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のワックス類;エチレングリコール、グリセリン、ヘキサンジオール等の脂肪族多価アルコール;ソルビトール、マンニトール、ペンタエリスリトール等の糖アルコール;流動パラフィン;鉱物油等を挙げることができる。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤等を挙げることができる。これらの界面活性剤は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
アニオン性界面活性剤の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジイソトリデシルスルホコハク酸ナトリウム等のジアルキルスルホコハク酸塩;ジ(ポリオキシエチレン2−エチルヘキシルエーテル)スルホコハク酸ナトリウム、ジ(ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテル)スルホコハク酸ナトリウム等のジポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、高級アルコール硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸塩;オレイン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、半硬化牛脂脂肪酸ナトリウム等の脂肪酸塩等を挙げることができる。
カチオン性界面活性剤の具体例としては、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩;塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム塩等のアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等を挙げることができる。
ノニオン性界面活性剤の具体例としては、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリル酸ジエタノールアミド等のアルキロールアミド;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のポリオキシアルキルフェニルエーテル;ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ジステアリン酸ポリエチレングリコール等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル;モノカプリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、ジステアリン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル;モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;グリコールエーテル等を挙げることができる。
両性界面活性剤の具体例としては、ヤシ油アルキルベタイン等のアルキルベタイン;ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルアミドベタイン;Z−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリームベタイン等のイミダゾリン類;ポリオクチルポリアミノエチルグリシン等のグリシン類等を挙げることができる。
無機フィラーの具体例としては、軽質炭酸カルシウム、重質又は微粉化炭酸カルシウム、霞石閃長石微粉末、モンモリロナイト、ベントナイト、シラン改質クレー、タルク、溶融シリカ、結晶シリカ、ケイ藻土、軽石粉、軽石バルーン、スレート粉、雲母粉、アルミナ、アルミナコロイド(アルミナゾル)、アルミナ・ホワイト、硫酸アルミニウム、沈降性硫酸バリウム、リトポン、硫酸カルシウム、二硫化モリブデン、グラファイト、ガラスフレーク、フライアッシュ球、カーボンナノチューブ、石炭粉末、石炭灰粉末、人造氷晶石(クリオライト)、酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、チタン酸カリウム、亜硫酸カルシウム、マイカ、ケイ酸カルシウム、アルミニウム粉、鉄黒、ガラスバルーン、プラスチックバルーン、硫化モリブデン、ゼオライト、ベンガラ、カーボンブラック等を挙げることができる。
金属石鹸の具体例としては、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸バリウム、ラウリン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸バリウム、2−エチルヘキサン酸亜鉛、リシノール酸バリウム、リシノール酸亜鉛等を挙げることができる。
なお、発泡性樹脂組成物には、紺青の吸着能に悪影響を与えない範囲内で、紺青以外の吸着成分を添加することも好ましい。このような吸着成分の具体例としては、活性炭、ゼオライト、シリカゲル、及び酸化チタンや酸化アルミニウム等の無機酸化物等を挙げることができる。なお、これらの吸着成分の添加量は、紺青の量よりも少なくすることが好ましい。
(マスターバッチ)
本発明の発泡性樹脂組成物を用いれば、後述する汚染物質吸着剤を製造することができる。なお、各成分の分散性を向上させるとともに、発泡ムラを低減させるべく、発泡剤を含有するマスターバッチ(以下、「発泡剤マスターバッチ」とも記す)を調製することが好ましい。発泡剤マスターバッチは、例えば、紺青、発泡剤、及び樹脂等の高分子化合物と、各種の結着剤とを、押出機やロール等の混練機を使用して混練することで得られる。 なお、すべての成分を同時に混合して混練もよいが、はじめに発泡剤以外の成分を混練しておき、その後に発泡剤を添加してさらに混練してもよい。結着剤としては、金属石鹸、無機フィラー、界面活性剤、及びワックス等を用いることができる。なかでも、結着剤としてはワックスが好ましい。なお、これらの結着剤は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
ワックス等の結着剤の量は、高分子化合物100質量部に対して2〜50質量部とすることが好ましく、10〜40質量部とすることが好ましい。結着剤の量が少な過ぎると、混練中に発生するせん断低減の効果が発揮されず、発泡剤への影響、分解等を抑えることが困難になる場合がある。一方、結着剤の量が多過ぎると、コストアップとなり実用的でない場合がある。
発泡剤マスターバッチの形状は、例えば、粉末状やペレット状等である。なかでも、発泡剤マスターバッチの形状はペレット状であることが、取り扱いやすいために好ましい。また、発泡剤マスターバッチを製造するにあたり、酸化防止剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、離型剤、染料や顔料等の着色剤、潤滑剤、可塑剤、結晶化促進剤、耐熱安定剤、耐候性安定剤、紫外線吸収剤、防錆剤、充填剤等の各種添加剤を添加してもよい。
(分散液)
また、本発明の発泡性樹脂組成物は、結着剤をさらに含有させて分散液とすることもできる。分散液とすることで、例えば支持基材等を含浸させ、又は支持基材等に塗布することにより、後述する汚染物質吸着剤を容易に製造することができる。結着剤としては、液状重合体、液状重合性モノマー、バインダー樹脂、金属石鹸、界面活性剤、及びワックス等を用いることができる。なかでも、結着剤としては液状重合体、液状重合性モノマーが好ましい。これらの結着剤は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
分散液に含まれる紺青の割合は、紺青と結着剤の合計を100質量%とする場合に、0.01〜80質量%であることが好ましく、0.1〜50質量%であることがさらに好ましい。紺青の含有割合0.01質量%未満であると、汚染物質の吸着効率が低下する傾向にある。一方、80質量%を超えると、紺青が支持基材から剥離又は離脱しやすくなる傾向にある。また、分散液に含まれる結着剤の割合は、紺青と結着剤の合計を100質量%とする場合に、20〜99.9質量%であることが好ましく、50〜99.9質量%であることがさらに好ましい。
分散液を調製するには、必要に応じて分散媒が使用される。分散媒としては、例えば水、及び有機溶媒を挙げることができる。有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ブチルセロソルブ、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、キシレン、トルエン、酢酸ブチル、酢酸エチル、エトキシエチルプロピオネート、メトキシプロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ブタノール等を挙げることができる。これらの分散媒は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。なお、結着剤が分散媒としての役割を有する場合には、分散媒を用いなくてもよい。なお、分散液に配合される分散媒の量は、紺青と結着剤の合計100質量部に対して、0〜900質量部とすることが好ましく、0〜400質量部とすることがさらに好ましい。
2.汚染物質吸着剤
上述の発泡性樹脂組成物を用いることで、本発明の汚染物質吸着剤を製造することができる。本発明の第一の汚染物質吸着剤は、紺青と、紺青を担持する高分子化合物からなる発泡相とを有する発泡体である。この第一の汚染物質吸着剤は、例えば、本発明の発泡性樹脂組成物を発泡させて発泡相を形成させることで得ることができる。また、本発明の第二の汚染物質吸着剤は、支持基材と、支持基材の少なくとも一部の表面上に配置された、紺青及び紺青を担持する高分子化合物からなる発泡相とを備えたものである。この第二の汚染物質吸着剤は、例えば、本発明の発泡性樹脂組成物に支持基材を含浸させる、或いは発泡性樹脂組成物を支持基材に塗布した後、発泡性樹脂組成物を発泡させて発泡相を形成することで得ることができる。
例えば、放射性セシウムを含有する大量の水の浄化を目的とする場合、汚染物質吸着剤の親水性を高めることが好ましい。具体的には、水等の汚染物が汚染物質吸着剤の内部へと侵入しやすく、吸着表面積が広範であるほど吸着能は向上する。このため、汚染物質の存在環境が、例えば水、大気、土壌、油等であることを考慮しつつ、汚染物質吸着剤の形状等を設計することが好ましい。
第一の汚染物質吸着剤の形状は、発泡ビーズ、発泡粒子、発泡繊維、又はフィルム状、シート状、円筒状若しくは塊状の発泡成形体であることが好ましい。これらの形状とすることで、放射性セシウムの吸着能がより有効に発揮される。なお、第一の汚染物質吸着剤の形状は、回収方法に応じて適宜選択すればよい。なかでも、粒径1μm以上の微粒子、又は最大径20cm以下の塊状体であることが好ましく、粒径1μm以上5cm以下の粒子であることがさらに好ましい。粒径が1μm未満であると、回収作業や取り扱いが困難であるとともに、製造面での課題が多くなる傾向にある。一方、最大径が20cmを超えると、回収作業、表面積、及び製造の面で不利な場合がある。
第一の汚染物質吸着剤を製造するには、前述の発泡剤マスターバッチを使用することが好ましい。具体的には、発泡剤マスターバッチを樹脂等の高分子化合物に添加及び混合して得られた組成物を発泡させることで、第一の汚染物質吸着剤を容易に製造することができる。使用する樹脂(高分子化合物)に特に限定はなく、熱可塑性樹脂、親水性樹脂、及びこれらの組み合わせ等を挙げることができる。水中の汚染物質の除去を目的とする場合には、高分子化合物として親水性樹脂を100%用いることも好ましい。なお、射出成形等の従来公知の成形方法によって、所望とする形状の第一の汚染物質吸着剤を製造することができる。
紡糸機、射出成形機、押出成形機、プレス成形機等の成形機を使用して発泡性樹脂組成物を成形すれば、発泡繊維やシート等の所定形状を有する第一の汚染物質吸着剤を製造することができる。発泡繊維とするには、例えば、ペレット状の発泡剤マスターバッチに高分子化合物や添加剤を加え、紡糸機で紡糸すればよい。発泡繊維の繊維径は、1〜1000μmであることが好ましく、1〜500μmであることがさらに好ましく、5〜200μmであることが特に好ましい。繊維径を小さくする、或いは高延伸することで、発泡繊維の表面に紺青が露出し、吸着能がさらに向上するために好ましい。発泡繊維状の第一の汚染物質吸着剤は、適宜の長さに裁断して使用してもよいし、束ねて繊維束として使用してもよいし、布や不織布に加工して使用してもよい。
第一の汚染物質吸着剤をシート状に成形するには、ペレット状の発泡剤マスターバッチに高分子化合物や添加剤を加え、一般的なフィルム成形方法やシート成形方法によって成形すればよい。成形方法としては、押出成形法、中空成形法、真空成形法、圧空成形法、圧縮成形法、カレンダー成形法等を挙げることができる。シートの厚みは、1μm〜5mmであることが好ましく、1〜500μmであることがさらに好ましく、5〜200μmであることが特に好ましい。シートの厚みを薄くする、或いは高延伸することで、シートの表面に紺青が露出し、吸着能がさらに向上するために好ましい。シート状の第一の汚染物質吸着剤は、適宜の大きさに裁断して使用することができる。
なお、スチレンモノマー、必要に応じて用いられるその他のオレフィン性不飽和モノマー、触媒、及び添加剤等を水に懸濁させ、定法に従って重合することで発泡ビーズ状の第一の汚染物質吸着剤を得ることができる。なお、発泡剤は、重合の間、又は重合後に工程で添加すればよい。発泡剤の添加量は、発泡ビーズの固体分に対して0.01〜2.0質量%とすることが好ましく、0.1〜0.6質量%とすることがさらに好ましい。また、発泡ビーズの粒径は200μm未満であることが好ましく、50μm未満であることがさらに好ましい。粒径が大き過ぎるものは、乳濁液の調製が困難な場合がある。また、発泡ビーズ状の第一の汚染物質吸着剤を疎水化剤で被覆することも好ましい。疎水化剤は、金属ステアラートやシリカ粉末等の対接着剤、離型時間短縮剤、グリセロールエステル、ヒドロキシカルボン酸エステルなどとともに用いることが好ましい。さらに、シリカ粉末等の多孔性粉末に5〜50質量%の割合で疎水化剤を吸収させたもので発泡ビーズ状の第一の汚染物質吸着剤をコーティングすることもできる。コーティングは、噴霧法、又は慣用のドラムを用いたドラムコーティング法により行われる。
第二の汚染物質吸着剤を製造するには、前述の発泡性樹脂組成物の分散液を使用することが好ましい。具体的には、まず、分散液に支持基材を含浸させる、或いは分散液を支持基材に塗布して支持基材の表面上に発泡性樹脂組成物からなる層を形成する。次いで、形成した発泡性樹脂組成物からなる層を発泡させることで、第二の汚染物質吸着剤を容易に製造することができる。支持基材の種類や大きさ等を適宜設定することで、汚染物質吸着後の回収を容易にすることができる。支持基材の形状は、用途等に応じて適宜選択すればよいが、粒状、繊維状、フィルム状、又はシート状であることが好ましい。また、支持基材の構成材料は、その表面上に発泡相を配置しうるものであればよい。支持基材の構成材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴム状弾性体、天然木、セルロース系材料、無機材料、及び金属材料等を挙げることができる。
熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、ポリメチルメタクリレート、ビニロン等を挙げることができる。熱硬化性樹脂の具体例としては、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等を挙げることができる。ゴム状弾性体の具体例としては、天然ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレンゴム、ニトリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム等を挙げることができる。セルロース系材料の具体例としては、銅アンモニアレーヨンやビスコースレーヨン等のレーヨン、テンセル(登録商標)、ポリノジック等を挙げることができる。無機材料の具体例としては、ゼオライト、クレー、タルク、ガラス等を挙げることができる。また、金属材料の具体例としては、鉄、銅、亜鉛、鉛等を挙げることができる。
また、レーヨン等のセルロース系材料やビニロンを支持基材の構成材料として使用する場合には、これらの構成材料の原液に発泡性樹脂組成物(分散液)を添加して得られた成形材料を紡糸することによって、繊維状の発泡成形体である汚染物質吸着剤を得ることができる。本発明の汚染物質吸着剤は、例えば、フィルター付容器に入れて汚染物を濾過処理することもできるし、そのまま廃液や排ガス中に入れて吸着処理することもできる。また、汎用マスクや防毒マスク等のマスクに装着する、或いは繊維状にしたもので防護服を製造することも好ましい。
(汚染物質吸着剤の使用方法及び施工方法)
例えば、放射性物質で汚染された汚染物(土壌、水等)を浄化する方法として、所定の浄化装置に汚染物を搬送及び導入して処理するとともに、処理後の土壌や水等を元の場所に戻す方法が考えられる。しかしながら、この方法では、一度に大量の汚染物を浄化するのは困難である。また、汚染物から除去した放射性物質を長期間にわたって保存する必要が生ずる場合もある。このため、大量の放射性物質が生ずるような場合には、保存場所の確保や保存中の管理等、事後処理が必ずしも実用的であるとはいえない。
これに対して、放射性物質による汚染の度合いが比較的低く、かつ、処理量が多い汚染土壌については、処理装置や施設等で浄化するのではなく、汚染表層土を除去するとともに、除去した汚染表層土と下層土とを入れ替える処理が有効であると考えられている。この処理は、実際に小学校の校庭等において試験的に行われていることがテレビ報道されている。この処理においては、入れ替えられて下側に配置された汚染表層土から、さらに深層側へと放射性物質が拡散するのを抑制することが望ましい。
そこで、汚染表層土を配置する前に、本発明の汚染物質吸着剤を配置(施工)しておき、その上に汚染表層土と下層土を順次配置すれば、更なる深層側への放射性物質の拡散を抑制することができる。また、本発明の汚染物質吸着剤は発泡相を有するので、内部に水が浸入しやすく、発泡相に担持された紺青と放射性物質が接触し易い。さらに、本発明の汚染物質吸着剤は、粉末状で粉舞いし易い紺青と異なり、取り扱いも容易であるとともに、施工後もその場に留まって分散し難い。このため、本発明の汚染物質吸着剤を上記の処理に組み込むことで、汚染土壌を効率的かつ簡便に浄化することができる。さらに、本発明の汚染物質吸着剤は発泡相を有するので、汚染水の浄化に用いた場合であっても、その浮遊効果により容易に処理対象物から分離して回収することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
紺青20質量部、分子量4000のポリエチレンワックス20質量部、低密度ポリエチレン40質量部、炭酸水素ナトリウム20質量部、及びフェノール系酸化防止剤0.2質量部をヘンシェルミキサーで混合した。二軸押出機を使用して140℃の成形温度でペレットを造粒し、発泡剤マスターバッチを得た。得られた発泡剤マスターバッチ5部、及びポリプロピレン45部を混合した後、溶融紡糸機を使用し、成形温度(溶融紡糸温度)140℃の条件で紡糸して太さ20μmの発泡繊維を得た。得られた発泡繊維には、2.0質量%の紺青が含有されていることを確認した。得られた発泡繊維を長さ10mmに切断し、内径12mmのカラムに30質量部充填した。硝酸セシウム70mg/L、及び硫酸ナトリウム200g/Lを含有する硝酸セシウム水溶液(中性)500mLを、2mL/分の速度でカラムに通過させた。カラムから流出した流出液のセシウム濃度を原子吸光分析装置(検出限界:0.006mg/L)を使用して測定した。下記式(2)に従って算出した除染係数は「5.5」であった。
除染係数=硝酸セシウム水溶液のセシウム濃度/流出液のセシウム濃度
・・・(2)
(実施例2)
低密度ポリエチレンに代えて、アクリル酸エチル単位の含有割合が10質量%のエチレンアクリル酸エチル共重合体40質量部を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして発泡剤マスターバッチを得た。また、実施例1と同様にして発泡繊維を得た。実施例1と同様にして測定及び算出した除染係数は「8.5」であった。
(実施例3)
ポリ乳酸10質量部、コーンスターチ70質量部、炭酸水素ナトリウム0.5質量部、モノステアリン酸ソルビタン0.1質量部、炭酸カルシウム1.2質量部、及び紺青10質量部をヘンシルミキサーで混合して発泡性樹脂組成物を得た。得られた発泡性樹脂組成物、及び水8質量部を二軸押出機に投入し、シリンダー温度を180℃として押出発泡して発泡体を得た。また、得られた発泡体を切断して試験用発泡体を得た。得られた試験用発泡体を使用し、前述の実施例1と同様にして測定及び算出した除染係数は「185.6」であった。
(比較例1)
紺青を用いなかったこと以外は、前述の実施例と同様にして発泡剤マスターバッチを得た。また、実施例1と同様にして発泡繊維を得た。実施例1と同様にして測定及び算出した除染係数は「1.1」であった。
以上の結果から、実施例で得た本発明の汚染物質吸着剤は、セシウムを効率よく吸着可能であることが分かった。なお、実施例で得た本発明の汚染物質吸着剤は発泡体であるため、水に浮遊させた浮遊物として容易に分離除去することができる。
本発明の汚染物質吸着剤は、放射性セシウムの吸着剤として極めて有用である。このため、本発明の汚染物質吸着剤は、原子力発電所等の放射性物質取扱施設から発生するセシウムを含む廃液や排ガスからセシウムを効率よく除去できる材料として好適である。また、防毒マスク等に用いれば、大気中に含まれるセシウムを効率的に除去することができる。なお、一般用マスク等にも好適に使用することができる。

Claims (11)

  1. 紺青、発泡剤、及び高分子化合物を含有する発泡性樹脂組成物。
  2. 前記発泡剤が、有機系発泡剤、無機系発泡剤、及び熱膨張性マイクロカプセルからなる群より選択される少なくとも一種である請求項1に記載の発泡性樹脂組成物。
  3. 前記高分子化合物が、親水性ポリマー、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、レーヨン、及びビニロンからなる群より選択される少なくとも一種である請求項1又は2に記載の発泡性樹脂組成物。
  4. 前記親水性ポリマーが、水酸基、アミノ基、及びカルボキシル基からなる群より選択される少なくとも一種の官能基を分子内に有するポリマーの架橋体である請求項3に記載の発泡性樹脂組成物。
  5. 金属石鹸、無機フィラー、界面活性剤、及びワックスからなる群より選択される少なくとも一種の結着剤をさらに含有するマスターバッチである請求項1〜4のいずれか一項に記載の発泡性樹脂組成物。
  6. 液状重合体と液状重合性モノマーの少なくともいずれかの結着剤をさらに含有する分散液である請求項1〜4のいずれか一項に記載の発泡性樹脂組成物。
  7. 紺青と、前記紺青を担持する高分子化合物からなる発泡相と、を有する発泡体である汚染物質吸着剤。
  8. 発泡ビーズ、発泡粒子、発泡繊維、又は発泡成形体である請求項7に記載の汚染物質吸着剤。
  9. 支持基材と、前記支持基材の少なくとも一部の表面上に配置された、紺青及び前記紺青を担持する高分子化合物からなる発泡相と、を備えた汚染物質吸着剤。
  10. 前記支持基材の形状が、粒状、繊維状、フィルム状、又はシート状である請求項9に記載の汚染物質吸着剤。
  11. 放射性セシウム吸着能を有する請求項7〜10のいずれか一項に記載の汚染物質吸着剤。
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