JP2013000819A - ドリル用ブランクおよびドリル - Google Patents

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Abstract

【課題】 安定した製造が可能であるとともに、折損等が発生しにくく信頼性の高いドリル用ブランクおよびドリルを提供する。
【解決手段】 超硬合金からなり、一端が直径2mm以下で、該一端に対する長さの比が3以上の円柱長尺状であり、前記一端の直径が他端の直径よりも小さいドリル用ブランク1、2およびそれを加工して作製されたドリル10であり、ドリル用ブランク1、2の成形が容易で安定した製造が可能である。
【選択図】 図1

Description

本発明は孔開け加工に用いるソリッドドリルを作製するためのドリル用ブランクおよびドリルに関する。
孔開け加工に使用するドリルは、先端の刃先からフルート溝を形成したソリッドドリルが知られており、例えば電子部品を搭載する基板の孔開け加工用として用いられている。そして、電子部品の小型化に伴って加工する孔径が小さくなっていることから、ドリルの径も小さいものが要求されている。
かかるドリルを製造するには、例えば、特許文献1のように押出成形にて繊維状に成形した成形体を所定の長さに切断して焼成したブランクを作製し、このブランクに段加工やフルート溝等を施してドリルを完成させる方法が採用されている。また、ドリルの成形方法としては、特許文献2のようにプレス成形法も検討されている。
特開2003−277807号公報 特開2007−211259号公報
しかしながら、特許文献1のような押出成形では、上述したように繊維状の押出成形体から所定の長さに切断する必要があり、しかもこの切断面の形状が潰れてしまうので、切断した後に切断面から端部の所定の長さを焼成後に再度切断する必要があった。また、特許文献2の方法では、成形体密度の圧力ムラによってブランク形状が鼓状となってしまう。しかも、加圧した細長い形状の成形体を細長い下パンチで押し出す必要があるが、成形体の側面が金型に接触している面積が広いために下パンチにかかる負荷が大きくなり、さらに、成形体の直径が2mmφ以下と小さくなるにつれて金型の粉末充填部内に充填される粉末の充填密度ムラが大きくなって、成形体の最下部では金型への付着力が局所的に高くなりすぎてしまい、成形体を金型内から抜き出す際に下パンチが負荷に耐えきれず破損しやすくなるという問題があった。
そこで、本発明は、安定した成形が可能で、均一な密度を有するドリル用ブランクおよびドリルを提供することを目的とする。
本発明のドリル用ブランクは、超硬合金からなり、一端の直径が2mm以下で、該一端の直径に対する長さの比率が3以上の円柱長尺状で、前記一端の直径が他端の直径よりも小さいものである。
この形状からなるドリル用ブランクは、ブランク内の密度が均一でボイド等の欠陥が存在する可能性が低く、このブランクを用いて製造されたドリルは、折損等が発生しにくく信頼性の高いものとなる。また、上記ドリル用ブランクは、プレス成形する際に下パンチを破損させることを抑制でき、安定した製造が可能となる。
(a)は本発明のドリル用ブランクの一例についての概略断面図であり、(b)は本発明のドリル用ブランクの他の一例についての概略断面図であり、(c)は(a)または(b)を用いて作製されたドリルの一例についての概略断面図である。 (a)のドリル用ブランクを成形する方法について説明するための模式図である。
図1(a)は本発明のドリル用ブランクの一例についての概略断面図であり、(b)は本発明のドリル用ブランクの他の一例についての概略断面図であり、(c)は(a)または(b)を用いて作製されたドリルの一例についての概略断面図である。
図1(a)(b)のドリル用ブランク(以下、単にブランクと略す。)1、2は、超硬合金からなり、一端が直径(d)2mm以下で該一端の直径dに対する長さの比率(以下、アスペクト比と称す)が3以上の円柱長尺状であって、図1(a)(b)に示すようにドリルの先端となる一端Aの直径dが他端Bの直径dよりも小さくなっている。
この形状からなるブランク1、2は、ブランク1、2内の密度が均一でボイド等の欠陥が存在する可能性が低く、このブランク1、2を用いて製造された図1(c)のドリル10は、折損等が発生しにくく信頼性の高いものとなる。また、ブランク1、2は、プレス成形する際に下パンチを破損させることを抑制でき、安定した製造が可能となる。なお、ブランク1、2の寸法は、直径が0.3〜2mmで長さが3〜20mmのものが好適に採用される。さらに、直径dと直径dとの比(d/d)の望ましい範囲は、ブランク1、2からドリル10へ加工する際の削り代を小さくできる点で、1.02〜5、望ましくは1.05〜1.5である。
ここで、ブランク1の側面は、図1(a)のように一端Aに向かって先細りするテーパ形状であってもよいが、図1(b)のように、側面が段付き形状であってもよい。なお、テーパ形状の場合は、テーパ角度は0.1〜10°、特に0.5〜2°であることが、下パンチの破損を抑制できるとともに、ブランク1、2からドリル10へ加工する際の削り代を小さくできる点で望ましい。さらに、ブランク1の一端Aの角部にC面やR面等の面取りをつけてもよいが、削り代が増えないように最低限に止めたほうがよい。
なお、ブランク1、2は、プレス成形にて成形されていることが、工程が少なくて製造が容易であるとともに、ブランク1、2の成形体に対する焼成後のブランク1、2の寸法変化が小さいので、ブランク1、2をドリル10の形状に対して削り代を少ない形状とできる点で望ましい。
さらに、ブランク1、2において、一端A側におけるWC粒子の平均粒径が、他端B側におけるWC粒子の平均粒径よりも大きいことが、ドリル10のフルート溝形成部12の加工時における欠けを抑制できる点で望ましい。この構成は、dが1.7mmφ以下のブランク1、2においてはプレス成形時の上パンチ側と下パンチ側における圧力差が特に大きいために、焼成時にブランク1、2の一端A側のほうが他端B側よりも超硬合金の焼結が進むことによって調整できる。
また、図1(a)(b)においては、一端A側がドリル10の刃先11側で、他端B側がドリル10のシャンク15側となる態様について記載したが、本発明は上記態様に限定されるものではなく、一端A側がドリル10のシャンク15側で、他端B側がドリル10の刃先11側となる構成であってもよい。この構成によれば、刃先11における超硬合金のWC粒子の平均粒径が小さくなるので、刃先11の耐摩耗性が向上する。ドリル10の
刃先11側とシャンク15側をどちらにするかは、ドリル10が要求される性能やブランクの形状によって選択できる。
そして、ブランク1、2を削り出してドリル10が作製される。図1(c)のドリル10の形状は、一端A側に刃先11が形成され、刃先11と、それに続くフルート溝形成部12と、首部13とでボディ14を構成している。そして、ボディ14に続いてシャンク15が形成されている。ここで、刃先11は中心軸を有して回転しながら被削材に最初に接触する部分であり、高い耐チッピング性と耐摩耗性が要求される。フルート溝形成部12は加工によって発生する切屑を後方へ排出する機能を持ち、首部13はドリル10の加工径(フルート溝形成部12の直径)とシャンク15の直径とを調整するつなぎである。シャンク15はドリル10を加工機に固定する部分である。
また、上記ドリル用ブランクおよびドリルを作製する方法の一例について説明する。
まず、ブランクおよびドリルをなす超硬合金を作製するためのWC粉末等の原料粉末を調合し、これにバインダや溶媒を添加してスラリーを作製する。このスラリーを造粒して成形用粉末を作製する。
一方、図2に示すようなプレス成形金型(以下、単に金型と略す。)20を準備し、金型20のダイス21の空隙部22内に上記成形用粉末を充填する。そして、ダイス21の空隙部22内に充填された成形用粉末の上部から上パンチ24を下降させて加圧することにより成形体25を作製する。
ここで、図2によれば、空隙部22によって成形される成形体25の形状は、ブランク1、2の一端A側を形作る下パンチ23側の直径Dが他端B側を形作る上パンチ24側の直径Dよりも小さくなっている。これによって、下パンチ23が成形体を抜き出す際に破損することを抑制できるとともに、成形体25の密度を均一にすることができる。なお、図2では、製造効率を高めるために空隙部22が複数設けられている。
そして、成形体25は金型20から取り出され、焼成されることによってブランク1、2となる。さらに、ブランク1、2を所定の形状に加工することによって、ドリル10を作製することができる。なお、所望により、ドリル10の表面には被覆層(図示せず)を成膜することもできる。
また、首部13とシャンク15とを鋼、合金鋼またはステンレス鋼等の安価な材質で形成し、ブランク1、2を首部13の先端にロウ付けした構成とすることもできる。この構成であれば、首部13の先端にロウ付けされるブランク1、2の直径を刃先11側よりも大きくすることもでき、ロウ付け面積が広くなってロウ付け強度を高めることも可能である。なお、ドリルの刃先からシャンクまでをブランクで形成するものであってもよい。
平均粒径0.3μmの炭化タングステン(WC)粉末に対して、金属コバルト(Co)粉末を6質量%、炭化クロム(Cr)粉末を0.6質量%、炭化バナジウム(VC)粉末を0.3質量%の割合で調合し、バインダや溶媒を添加、混合して、スラリーを作製し、スプレードライヤにて平均二次直径が50μmの造粒粉末を作製した。
空隙部を4個有するダイスを備えた図2に示す金型を準備し、上記造粒粉末を用いてプレス成形し、表1に示す直径(D、D)の成形体を作製した。プレス成形の安定性を評価するために、成形体を100個作製し、不具合が発生するか否かを判断した。そして、この成形体を1400℃で焼成してブランクとした。
得られたブランクの一端側と他端側について寸法を測定し表1に記載した(d、d)。なお、ブランクの長さは8mmであり、表1にアスペクト比(8/d)も記載した。また、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて超硬合金を5000倍で組織観察して、ルーゼックス解析法によってWC粒子の平均粒径を算出した。結果は表1に示した。
そして、このブランクを用いて、ドリルを作製し、下記条件でドリル加工テストを行った。結果は表1に示した。
(ドリル加工テスト条件)
被削材 :FR4・6層板、1.6mm厚、3枚重ね
ドリル形状:φ0.3mmアンダーカットタイプ
回転数:120krpm
送り速度:2.4m/min.
表1より、dが2mmを超える試料No.7では、ブランクの直径が大きすぎてドリルを加工することが現実的でなく、ドリル作製を断念した。また、dとdが同じ試料No.6では、プレス成形が安定して行えず、下パンチが破損してしまった。これに対して、dが2mm以下でかつdよりも小さい試料No.1〜5では、下パンチが破損することもなく良好なブランクを作製できた。
1、2 ブランク(ドリル用ブランク)
10 ドリル
11 刃先
12 フルート溝形成部
13 首部
14 ボディ
15 シャンク
20 金型(プレス成形金型)
21 ダイス
22 空隙部
23 下パンチ
24 上パンチ
25 成形体
A 一端の直径d
B 他端の直径d
一端A側の直径
他端B側の直径
成形体の下パンチ側の直径
成形体の上パンチ側の直径

Claims (6)

  1. 超硬合金からなり、一端の直径が2mm以下で、該一端の直径に対する長さの比率が3以上の円柱長尺状で、前記一端の直径が他端の直径よりも小さいドリル用ブランク。
  2. 側面が前記一端に向かって先細りするテーパ形状である請求項1記載のドリル用ブランク。
  3. 側面が段付き形状である請求項1記載のドリル用ブランク。
  4. プレス成形にて成形することにより作製されている請求項1乃至3のいずれか記載のドリル用ブランク。
  5. 前記一端側におけるWC粒子の平均粒径が、前記他端側におけるWC粒子の平均粒径よりも大きい請求項1乃至4のいずれか記載のドリル用ブランク。
  6. 請求項1乃至5のいずれか記載のドリル用ブランクを加工して作製されたドリル。
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