JP2013000748A - 半導体ウエーハのレーザ加工方法、半導体発光チップの製造方法およびレーザ加工装置 - Google Patents

半導体ウエーハのレーザ加工方法、半導体発光チップの製造方法およびレーザ加工装置 Download PDF

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Abstract

【課題】基板の厚み方向に異なる距離に複数段にわたって脆弱領域を形成しても、半導体素子の特性の劣化を抑制できる半導体ウエーハのレーザ加工方法等を提供する。
【解決手段】第1のレーザ照射工程では、レーザ光45−1が基板110の裏面110bから入射され、開口数NA1の集光レンズ44−1により裏面110bから距離d1の位置に集光される。そして、吸着ステージ52の−X方向への移動とともに、複数の脆弱領域23が繰り返して形成される(図7(a1))。第2のレーザ照射工程では、レーザ光45−2が基板110の裏面110bから入射され、開口数NA2が開口数NA1より大きい集光レンズ44−2により裏面110bから距離d2の位置に集光される。そして、吸着ステージ52の−X方向への移動とともに、複数の脆弱領域24が繰り返して形成される(図7(b1))。
【選択図】図7

Description

本発明は、半導体素子が複数形成された半導体ウエーハ等の基板を薄片化(チップ化)する半導体ウエーハのレーザ加工方法、半導体発光チップの製造方法およびレーザ加工方法に関する。
電子回路、発光素子、受光素子などの半導体素子の製造では、まず、基板上の格子状に配列されたストリートと呼ばれる分割予定線によって区画された複数の領域にそれぞれ半導体素子が形成された半導体ウエーハが製造される。そして、半導体ウエーハを分割予定線に沿って切断することにより半導体素子が形成された領域が分割され、個々の半導体チップとなる。これらの半導体チップは、回路基板またはパッケージに実装され、半導体部品等として使用される。
半導体ウエーハを半導体チップに分割する方法として、基板に対して透光性のレーザ光を対物レンズ光学系で集光して基板内部に照射し、照射前に比べて強度が低い脆弱領域(変質領域)を、基板に想定された分割予定線に沿って形成するステルスダイシング法と呼ばれるレーザ加工方法がある。この方法では、この脆弱領域を起点として、基板を分割する。
特許文献1には、0.6(μJ)〜10(μJ)という小さいパルスエネルギーでフェムト秒領域の極めて短いパルス幅のパルスレーザ光線をサファイア基板の分割予定ラインに対応する内部に集光点を位置付けて照射して変質領域を形成することで、4×1013(W/cm)〜5×1015(W/cm)という高いピークパワー密度でもレーザ光線の照射が可能となり、サファイア基板内部の所望の集光点のみに変質領域を形成でき、窒化物半導体やサファイア基板に対するダメージを最小にして必要な加工を施すことができるようにしたサファイア基板の加工方法が記載されている。
特許文献2には、波長が1064nmのレーザ光線をウエーハの裏面側からウエーハの表面近傍に集光点を位置付けてストリートに沿って照射し、ウエーハの表面近傍にストリートに沿って第1の変質層を形成する第1の変質層形成工程と、波長が1342nmのレーザ光線をウエーハの裏面側から該第1の変質層よりウエーハの裏面側に集光点を位置付けてストリートに沿って照射し、該第1の変質層よりウエーハの裏面側にストリートに沿って第2の変質層を形成する第2の変質層形成工程とを含むウエーハのレーザ加工方法およびレーザ加工装置が記載されている。
特開2008−6492号公報 特開2008−131008号公報
ところで、レーザ光をサファイア等の基板の内部に照射して脆弱領域(変質領域(変質層))を形成するステルスダイシング法では、脆弱領域の形成に寄与しないレーザ光が、半導体素子に照射されることで、半導体素子の特性を劣化させるという現象が見られる。
特に、基板の厚み方向に異なる距離に複数段にわたって脆弱領域を形成する場合、第2段目以降の脆弱領域の形成において、例えば発光素子(LED)の逆方向電流IRが増加するなど、半導体素子の特性が顕著に劣化する現象が見られることが分かった。
本発明は、基板の厚み方向に異なる距離に複数段にわたって脆弱領域を形成しても、半導体素子の特性の劣化を抑制できる半導体ウエーハのレーザ加工方法、半導体発光チップの製造方法およびレーザ加工装置を提供することを目的とする。
本発明が適用される半導体ウエーハのレーザ加工方法は、板状の基板の表面に半導体素子を備える半導体ウエーハのレーザ加工方法であって、半導体ウエーハに想定された分割予定線に沿って、半導体ウエーハの基板の裏面から集光したレーザ光を照射し、基板の内部に1段目の脆弱領域を形成する第1のレーザ照射工程と、基板内において、1段目の脆弱領域より基板の裏面に近い位置に、第1のレーザ照射工程における集光レンズに比べ開口数の大きい集光レンズを用いてレーザ光を照射し、基板の内部に2段目の脆弱領域を形成する第2のレーザ照射工程とを含んでいる。
このような半導体ウエーハの基板は、サファイアであることを特徴とすることができる。
また、レーザ光は、波長355nm、532nmおよび1064nmからなる群から選ばれた1種の波長を有することを特徴とすることができる。
さらに、第1のレーザ照射工程における集光レンズの開口数は、0.5以上且つ0.7未満であって、第2のレーザ照射工程における集光レンズの開口数は、0.7以上且つ0.85以下であることを特徴とすることができる。
さらにまた、第1のレーザ照射工程における1段目の脆弱領域は、基板の裏面から65μm以上離れた位置に設けられることを特徴とすることができる。
また、本発明が適用される半導体チップの製造方法は、基板上にn型半導体層、発光層およびp型半導体層がこの順に積層された積層半導体層をエピタキシャル成長する工程と、基板上の積層半導体層により複数の発光素子を形成し半導体ウエーハとする工程と、半導体ウエーハを、上記の半導体ウエーハのレーザ加工方法によりレーザ加工する工程とを含んでいる。
また、他の観点から捉えると、本発明が適用されるレーザ加工装置は、開口数の異なる少なくとも2つの集光レンズを備えたレーザ加工装置であって、板状の基板の表面に半導体素子を備える半導体ウエーハに想定された分割予定線に沿って、半導体ウエーハの基板の裏面から、少なくとも2つの集光レンズのうち、開口数が小さい第1の集光レンズにより集光したレーザ光を照射し、基板の内部に1段目の脆弱領域を形成する第1のレーザ照射部と、基板内において、1段目の脆弱領域より基板の裏面に近い位置に、少なくとも2つの集光レンズのうち、第1の集光レンズに比べ開口数の大きい第2の集光レンズを用いてレーザ光を照射し、基板の内部に2段目の脆弱領域を形成する第2のレーザ照射部とを備えている。
本発明の半導体ウエーハのレーザ加工方法等によれば、基板の厚み方向に異なる距離に複数段にわたって脆弱領域を形成しても、半導体素子の特性の劣化を抑制できる。
本実施の形態が適用される半導体チップ(発光チップ)の一例を説明する断面図である。 図1のII方向からみた、半導体チップ(発光チップ)の上面図である。 複数の半導体素子が形成された半導体ウエーハの平面構成の一例を説明する図である。 半導体ウエーハユニットを説明する図である。 レーザ加工に用いられるレーザ加工装置の一例を説明する図である。 レーザ加工装置による半導体ウエーハの基板の内部への脆弱領域を形成するレーザ加工工程を説明する図である。 (a1)および(a2)は、基板の裏面から遠い距離の位置に脆弱領域を形成する第1のレーザ照射工程を示す。(b1)および(b2)は、基板の裏面に近い距離に脆弱領域を形成する第2のレーザ照射工程を説明する図である。 集光レンズとレーザ光との関係を説明する図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、添付図面では、半導体ウエーハ、半導体チップなどを模式的に表しており、縮尺は正確ではない。
なお、本明細書では、基板上に複数の半導体素子を備えるものを半導体ウエーハと呼び、それぞれが半導体素子を備えるように半導体ウエーハを分割したものを半導体チップと呼ぶ。
半導体素子には、発光素子、受光素子、集積回路、機構系を電子回路とともに組み込んだMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)などが含まれる。ここでは、半導体素子の一例として発光素子(LED)で説明する。すなわち、半導体チップは発光チップ(半導体発光チップ)として説明する。
[半導体チップ1(発光チップ)]
図1は本実施の形態が適用される半導体チップ1(発光チップ)の一例を説明する断面図である。なお、本実施の形態では、半導体チップ1の一例として発光チップで説明する。以下、半導体チップ1(発光チップ)と表記する。図2は、図1のII方向からみた、半導体チップ1(発光チップ)の上面図である。なお、図1は図2のI−I線での断面図である。
半導体チップ1(発光チップ)は化合物半導体にて構成されている。なお、半導体チップ1(発光チップ)を構成する化合物半導体としては、特に限定されるものではなく、例えば、III−V族化合物半導体、II−VI族化合物半導体、IV−IV族化合物半導体等が挙げられる。本実施の形態では、III−V族化合物半導体が好ましく、中でも、III族窒化物化合物半導体が好ましい。そして、以下では、III族窒化物化合物半導体を有する半導体チップ1(発光チップ)を例として説明する。なお、例として図1に示す半導体チップ1(発光チップ)は青色光を出力する。
基板110は、III族窒化物化合物半導体とは異なる材料から構成され、基板110上にIII族窒化物化合物半導体結晶がエピタキシャル成長される。基板110を構成する材料としては、例えば、サファイア、炭化珪素(シリコンカーバイド:SiC)、酸化亜鉛(ZnO)、シリコン、ゲルマニウム、溶融石英(石英)などのガラス等が挙げられる。ここでは、基板110は、一例として、透明で、良好な結晶が得られるサファイアであるとして説明する。なお、基板にエピタキシャル成長後、他の材質の基板に貼り付け、エピタキシャル成長させた基板を除去することで、他の材質の基板である貼り付けた基板を基板110とすることもできる。
この半導体チップ1(発光チップ)は、サファイアの基板110と、基板110上に積層される中間層120と、中間層120上に積層される下地層130と、下地層130上に積層されるn型半導体層140と、n型半導体層140上に積層される発光層150と、発光層150上に積層されるp型半導体層160とを備えている。
ここで、n型半導体層140は、下地層130側に設けられるn型コンタクト層140aと発光層150側に設けられるn型クラッド層140bとを有している。また、発光層150は、障壁層150aと井戸層150bとが交互に積層され、2つの障壁層150aによって1つの井戸層150bを挟み込んだ構造を有している。さらに、p型半導体層160は、発光層150側に設けられるp型クラッド層160aと最上層に設けられるp型コンタクト層160bとを有する。なお、以下の説明においては、n型半導体層140、発光層150およびp型半導体層160を、まとめて積層半導体層100と表記する。
半導体チップ1(発光チップ)においては、p型半導体層160のp型コンタクト層160bの上面160cに透明正極170が積層され、さらにその上にp電極190aが形成されている。さらに、n型半導体層140のn型コンタクト層140aに形成された半導体層露出面140cにn電極190bが積層されている。
さらにまた、半導体チップ1(発光チップ)は、p電極190aおよびn電極190bのそれぞれの表面の一部を除いて、透明正極170の表面、積層半導体層100の表面および側面、半導体層露出面140cを覆う保護層180を備える。
なお、基板110上の中間層120、下地層130、n型半導体層140、発光層150、p型半導体層160、透明正極170、p電極190a、n電極190bおよび保護層180をまとめて半導体素子200と表記する。発光層150は、発光効率の高いGaInNからなることが望ましい。
この半導体チップ1(発光チップ)においては、図1に示したp電極190aとn電極190bとを介して積層半導体層100(より具体的にはp型半導体層160、発光層150およびn型半導体層140)に電流を流すことで、発光層150が青色光を出射するようになっている。なお、発光層150は、透明正極170側に加えて、基板110側および側方(発光層150の層方向)にも青色光を発する。
次に、半導体チップ1(発光チップ)の平面形状を説明する。
図2に示すように、半導体チップ1(発光チップ)の平面形状は、例えば350μm×350μmの正方形である。なお、半導体チップ1(発光チップ)の平面形状は、正方形に限らず、長方形など、他の形状であってもよい。
半導体層露出面140cは、図2に示すように、半導体チップ1(発光チップ)の周縁を巡るように形成されている。なお、半導体層露出面140cは、正方形の1辺において、周縁から内側に向かって広がって設けられている。そして、n電極190bは、この広がって設けられた半導体層露出面140c上に設けられている。
一方、p電極190aは、p型半導体層160の上面160c上に設けられた透明正極170上に設けられている。半導体チップ1(発光チップ)は、発光層150から発光するため、透明正極170は面積が広いほど光量が大きくなる。よって、p電極190aは、透明正極170の一部に設けられている。
なお、p電極190aおよびn電極190bの形状および配置は、図2に示したものに限らず、他の形状および配置であってもよい。
[半導体ウエーハ30]
半導体チップ1(発光チップ)は、例えば円形の基板110上に複数の半導体素子200が形成された半導体ウエーハ30が分割されて構成される。なお、基板110、中間層120、下地層130、n型半導体層140、発光層150、p型半導体層160等の表記は、半導体チップ1(発光チップ)(図1、2参照)においても、分割される前の半導体ウエーハ30においても用いる。
図3は、複数の半導体素子200が形成された半導体ウエーハ30の平面構成の一例を説明する図である。
半導体ウエーハ30には、結晶方位を示すとともに、自動制御により半導体ウエーハ30の位置を定めるために用いられるオリエンテーションフラット(OF)が設けられている。なお、OFの代わりに切り込み(ノッチ)などが設けられていてもよい。
ここで、半導体チップ1が例えば図1に示す発光チップであるとし、図1を参照しつつ、半導体ウエーハ30の製造法を説明する。
まず、予め定められた直径と厚さとを有するサファイアの基板110上に、スパッタリング装置にて、中間層120および下地層130を形成する。
続いて、下地層130が形成された基板110上に、MOCVD装置により、n型コンタクト層140aを形成し、n型コンタクト層140aの上にn型クラッド層140bを形成する。さらに、n型クラッド層140bの上に発光層150すなわち障壁層150aと井戸層150bとを交互に形成し、発光層150の上にp型クラッド層160aを形成し、p型クラッド層160aの上にp型コンタクト層160bを形成する。n型半導体層140、発光層150、p型半導体層160の積層半導体層100はエピタキシャル成長される(エピタキシャル成長する工程)。
さらに、p型コンタクト層160bの上面160c上に透明正極170を積層する。また、エッチング等を用いてn型コンタクト層140aに半導体層露出面140cを形成する。そして、透明正極170上にp電極190aを、半導体層露出面140c上にn電極190bを設ける。
その後、基板110の下地層130の形成面とは反対の面を、予め定められた厚さ、例えば150μmまで研削および研磨する。これにより半導体ウエーハ30が完成する(半導体素子を形成し半導体ウエーハとする工程)。
以上説明したように、半導体ウエーハ30は、分割予定線H1〜H9、V1〜V9で区切られたそれぞれの領域(半導体チップ1(発光チップ)となる領域)に、半導体素子200(本実施の形態では発光素子)が形成される。半導体ウエーハ30は、分割予定線H1〜H9、V1〜V9で、半導体チップ1(発光チップ)に分割される。すなわち、分割予定線H1〜H9、V1〜V9は線として示しているが、半導体ウエーハ30の表面30aから裏面(基板110の裏面110b)(後述する図7参照)に延びた面(分割予定面)で切断されることになる。
ここで、分割予定線V1〜V9は間隔px、分割予定線H1〜H9は間隔pyで設けられている。半導体チップ1(発光チップ)の平面形状が350μm角の正方形である場合、間隔pxおよび間隔pyはそれぞれ350μmである。
なお、図3では、半導体ウエーハ30上に半導体チップ1(発光チップ)を一例として8×8(ただし、角の4個は設けていない。)に配列している。しかし、半導体ウエーハ30上の半導体チップ1(発光チップ)の個数は、半導体ウエーハ30の直径と、半導体チップ1(発光チップ)の間隔pxおよび間隔pyとによって決められる。
また、図3では間隔pxおよび間隔pyをそれぞれ分割予定線V1〜V9、H1〜H9の線間において等間隔として表記しているが、等間隔でなくともよい。
[半導体ウエーハユニット40]
次に、半導体ウエーハ30の基板110内に、分割予定線V1〜V9、H1〜H9に沿って、脆弱領域23、24(変質領域)(後述する図7参照)が形成(レーザ加工)される。
レーザ加工にあたって、半導体素子200が形成された半導体ウエーハ30は、周囲にウエーハリング16を備えるダイシングテープ15に、半導体素子200が形成された半導体ウエーハ30の表面30a側が貼り付けられる。以下では、ダイシングテープ15、ウエーハリング16および半導体ウエーハ30をまとめて半導体ウエーハユニット40と呼ぶ。
図4は、半導体ウエーハユニット40を説明する図である。図4は、半導体ウエーハ30を半導体素子200が形成された表面30a側から見た図を示している。よって、図4は、半導体ウエーハ30をダイシングテープ15を通して見た図となっている。
ダイシングテープ15は、例えばポリ塩化ビニル(PVC)、ポレオレフィン(PO)などの樹脂による、柔軟性を有するとともに常温または加熱状態において延伸(引き伸ばすことが)できるシート状の基材と、基材の一方の面上に設けられ、半導体ウエーハ30およびウエーハリング16を固定することができる接着剤(糊)とから構成されている。
ダイシングテープ15は、例えば、厚さ50〜150μmのポリ塩化ビニルテープが好適である。
接着剤(糊)は、紫外線(UV)照射によって、粘着力が照射前に比べ低下する性質を有するものが、作業効率が高いことおよび転写不良が発生しにくいことから望ましい。接着剤(糊)は、温度によって粘着力を制御できるものも望ましい。
ウエーハリング16は、半導体ウエーハ30の直径より大きい内径を有する、例えばステンレス鋼(SUS)から構成された板状である。なお、ウエーハリング16は、プラスチック材料で構成されていてもよい。
ウエーハリング16は、ウエーハリング16により半導体ウエーハ30の取り扱いを自動的に行えるよう、外周の一部が直線状に加工されているとともに、外周の一部にくぼみが設けられている。なお、直線状の加工およびくぼみはなくてもよい。
ウエーハリング16の一方の面は、ダイシングテープ15の糊が設けられた面15a(後述する図7(a1)参照)と貼りあわされている。
そして、半導体ウエーハ30の半導体素子200が形成された表面30aが、ダイシングテープ15の糊が設けられた面15aに貼りあわされている。
よって、ダイシングテープ15に対して、半導体ウエーハ30およびウエーハリング16は同じ側、すなわち糊が設けられた面15a上に貼り付けられている(後述する図7(a1)参照)。
なお、基板110の内部に脆弱領域23、24を形成するレーザ加工工程(レーザ加工する工程)の後、想定された分割予定線V1〜V9、H1〜H9に対してブレードを押し当てるなどにより、半導体ウエーハ30を半導体チップ1(発光チップ)に分割(切断)するブレーキング(ブレーキング工程)が行われる。ブレーキング工程において、半導体ウエーハ30は、脆弱領域23、24を起点として基板110にクラックが入ることにより、複数の半導体チップ1(発光チップ)に切断される。
その後、ダイシングテープ15を延伸する工程(延伸工程)により、それぞれの半導体チップ1(発光チップ)の隙間が広げられ、パッケージへのマウント作業を容易にする。
以上説明したように、ウエーハリング16およびダイシングテープ15は、レーザ加工工程、ブレーキング工程、延伸工程において、半導体ウエーハ30の固定治具として働くとともに、切断された半導体チップ1(発光チップ)の飛散を抑制する。
[レーザ加工装置50]
図5は、レーザ加工に用いられるレーザ加工装置50の一例を説明する図である。
レーザ加工装置50は、台等の上に設置されるための基体51、基体51上に設けられ、基体51上を左右方向(X方向と呼ぶ。)、前後方向(Y方向と呼ぶ。)、上下方向(Z方向と呼ぶ。)に移動可能で、さらに回転可能(回転方向をθ軸方向と呼ぶ。)な吸着ステージ52を備える。基体51は、吸着ステージ52をX方向、Y方向、Z方向に移動させるモータ、そしてθ軸方向に回転させるモータおよびこれらのモータを制御する電子回路を備える。
吸着ステージ52は、半導体ウエーハユニット40を真空吸着により固定する。ここでは、半導体ウエーハユニット40は、半導体ウエーハ30(図3、4参照)のx方向を基体51の−X方向に、半導体ウエーハ30のy方向を基体51のY方向に合致するように設置されている。すなわち、半導体ウエーハ30は、表面30aが吸着ステージ52に面するように配置されるとともに、OFが手前になるように吸着ステージ52に設置されている。
また、レーザ加工装置50は、基体51上に設けられた支持体55を備える。この支持体55は、レーザ光発生部41を支持する。図5では、レーザ光発生部41は、内部構造が分かるように一部を破線として示している。レーザ光発生部41は、例えばYAGレーザの第3高調波である波長355nmのパルスのレーザ光45を発生する。なお、レーザ光発生部41からのレーザ光45の波長として、第3高調波の波長355nm以外に、532nm(第2高調波)、1064nmを任意に選択することができる。レーザ光発生部41は、レーザ光45を90°折り曲げるためのダイクロイックミラー42を備える。さらに、レーザ光発生部41は、ダイクロイックミラー42で反射されたレーザ光45を集光し、基板110の内部に集光点を結ばせるための集光レンズ44−1、44−2を備える。すなわち、レーザ加工装置50は、第1の集光レンズの一例としての開口数NA1の集光レンズ44−1と、開口数NA1より大きい第2の集光レンズの一例としての開口数NA2の集光レンズ44−2とを交換することができるようになっている。集光レンズ44−1と集光レンズ44−2との交換は、図5に示すように矢印方向にスライドさせて行う方式であってもよく、顕微鏡に用いられている公知のレボルバにより行う方式であってもよい。
ここでは、集光レンズ44−1と集光レンズ44−2とを区別しないときは、集光レンズ44と表記する。そして、ここでの集光レンズ44は、複数のレンズが組み合わされて構成されたレンズ(対物レンズ)であってもよい。
なお、集光レンズ44−1を用いて集光したレーザ光45をレーザ光45−1と、集光レンズ44−2を用いて集光したレーザ光45をレーザ光45−2と表記し、レーザ光45−1とレーザ光45−2とを区別しないときはレーザ光45と表記する。
そして、レーザ加工装置50において、一例であるが、開口数NA1の集光レンズ44−1と、集光レンズ44−1を保持してレーザ光45−1を出射する部分とで第1のレーザ照射部を構成し、開口数NA2の集光レンズ44−2と、集光レンズ44−2を保持してレーザ光45−2を出射する部分とで第2のレーザ照射部を構成する。
そして、支持体55は、アーム56を支持する。そして、アーム56は、ダイクロイックミラー42を通して半導体ウエーハ30を観察するための撮像部62を備える。
さらに、レーザ加工装置50は、ロードカセットエレベータ57とアンロードカセットエレベータ58とを備える。ロードカセットエレベータ57は、レーザ加工を施す前の複数の半導体ウエーハユニット40を収容するロードカセット57aを収容する。そして、ロードカセット57aに収納された半導体ウエーハユニット40は、ロボットアーム(図示せず。)により移送され、吸着ステージ52上にセットされる。アンロードカセットエレベータ58は、レーザ加工が施された後の半導体ウエーハユニット40を収納するアンロードカセット58aを収容する。レーザ加工が施された後の半導体ウエーハユニット40は、ロボットアームにより吸着ステージ52から移送され、アンロードカセット58aに収納される。
さらに、レーザ加工装置50は、吸着ステージ52、レーザ光発生部41、ロードカセットエレベータ57およびアンロードカセットエレベータ58などの制御を行う制御部61を備える。そして、レーザ加工装置50は、撮像部62により撮像された半導体ウエーハ30の画像や、制御部61からの制御情報を表示するための表示部63を備える。
[レーザ加工工程]
図6は、レーザ加工装置50による半導体ウエーハ30の基板110の内部への脆弱領域23、24(後述する図7参照)を形成するレーザ加工工程を説明する図である。
ここでは、半導体ウエーハユニット40が、吸着ステージ52に設置されてからのレーザ加工について説明する。
本実施の形態のレーザ加工工程は、半導体ウエーハ30の裏面(基板110の裏面110b)を“0”(基準面)として、基板110の厚さ方向に裏面110bから遠い距離の位置(距離d1)にレーザ光45−1を照射する第1のレーザ照射工程と、それに比べて浅い距離の位置(距離d2)に集光したレーザ光45−2を照射する第2のレーザ照射工程とを含んでいる(d1>d2)。すなわち、第1のレーザ照射工程では、基板110の裏面110bから遠い距離d1の位置に脆弱領域23を形成し(後述する図7(a1)、(a2)参照)、第2のレーザ照射工程では、裏面110bに近い距離d2に脆弱領域24を形成する(後述する図7(b1)、(b2)参照)。すなわち、基板110の厚さ方向に2段にわたって、脆弱領域23、24が形成される。なお、前記距離d1および距離d2は、それぞれ脆弱領域23、24のほぼ中心に相当する。
図6は、レーザ光45が半導体ウエーハ30の基板110の裏面110bを走査する軌跡の一例を説明する図である。図6(a)、(b)は基板110の裏面110bから距離d1の位置に脆弱領域23(後述する図7参照)を形成する第1のレーザ照射工程のレーザ光45−1の走査の軌跡を示している。図6(c)、(d)は基板110の裏面110bから距離d2の位置に脆弱領域24(後述する図7参照)を形成する第2のレーザ照射工程のレーザ光45−2の走査の軌跡を示している。
本実施の形態におけるレーザ加工装置50では、レーザ光45の位置が固定されている。吸着ステージ52がX方向およびY方向に移動することにより、レーザ光45が基板110の裏面110bを走査する。
なお、図6では、レーザ光45の軌跡を明らかにするために、半導体ウエーハ30のみを示している。
図5、図6を参照しつつ、レーザ加工装置50の動作を説明する。
レーザ加工装置50は、ロボットアームにより、1枚目の半導体ウエーハユニット40をロードカセット57aから吸着ステージ52に移送し、設置する。次に、吸着ステージ52が半導体ウエーハユニット40を真空吸着する。このとき、レーザ加工装置50の制御部61は、吸着ステージ52をX方向、Y方向に移動し、かつθ軸方向に回転して、半導体ウエーハ30のx方向が吸着ステージ52の−X方向に向くように位置合わせする。
次に、制御部61は、半導体ウエーハ30とダイシングテープ15との合計の厚さを測定し、基板110の裏面110bを基準面(“0”)として設定する。
なお、半導体ウエーハ30とダイシングテープ15との合計の厚さは、半導体ウエーハユニット40の有無における、集光レンズ44−1または集光レンズ44−2により測定した集光点までの距離の差などにより求めることができる。
レーザ光45の照射位置と半導体ウエーハ30との精密な位置合わせ(アライメント)が行なわれる。ここでは、分割予定線V1〜V9、H1〜H9のいずれか1つとレーザ光45の照射位置とを一致させ、レーザ光45が、半導体ウエーハ30に想定された分割予定線V1〜V9、H1〜H9に沿って走査されるように、吸着ステージ52の位置がX方向、Y方向およびθ軸方向にわたって設定される。この設定は、レーザ加工装置50の運転者が目視で行ってもよく、制御部61が、撮像部62の撮像した半導体ウエーハ30の画像に基づいて、自動的に行ってもよい。
レーザ光45の照射位置と半導体ウエーハ30とが精密に位置合わせされていれば、制御部61が、半導体チップ1(発光チップ)のサイズ(図3に示す間隔pxおよび間隔py)に基づいて、吸着ステージ52を自動的にX方向およびY方向に移動させることで、レーザ光45を半導体ウエーハ30の分割予定線V1〜V9、H1〜H9に沿って照射することができる。
基板110の裏面110bから遠い距離d1の位置に脆弱領域23を形成する第1のレーザ照射工程を説明する(後述する図7(a1)、(a2)参照)。
まず、分割予定線H1〜H9に沿って、脆弱領域23を形成する場合を説明する。
制御部61は、レーザ光45−1の集光点の位置を、基板110の裏面110bを“0”として、距離d1に設定する。距離d1は、一例として70μmとすることができる。また、レーザ光45−1の出力は、一例として65mWとすることができる。そして、開口数NA1の集光レンズ44−1がセットされている。開口数NA1は、例えば0.6とすることができる。
図6(a)に示すように、半導体ウエーハ30を基板110の裏面110bから見たときに、左上の半導体ウエーハ30から外れたStart位置(半導体ウエーハ30の直径より外の位置)にレーザ光45−1が照射されるように、吸着ステージ52の位置を設定する。
そして、レーザ光45−1を照射しつつ、吸着ステージ52を−X方向に移動させて、分割予定線H1に沿って、脆弱領域23を形成する。
次に、レーザ光45−1の照射位置が半導体ウエーハ30から外れた位置(半導体ウエーハ30の直径より外の位置)で、吸着ステージ52をY方向に間隔pyずらす。そして、吸着ステージ52をX方向に移動させて、分割予定線H2に沿って、脆弱領域23を形成する。
同様に折り返しながら、分割予定線H3〜H9に沿って、半導体ウエーハ30から右下に外れたEnd位置まで脆弱領域23を形成する。
次に、分割予定線V1〜V9に沿って、脆弱領域23を形成する場合を説明する。
図6(b)に示すように、半導体ウエーハ30を基板110の裏面110bから見たときに、半導体ウエーハ30から左上に外れたStart位置(半導体ウエーハ30の直径より外の位置)にレーザ光45−1が照射されるように、吸着ステージ52の位置を設定する。
そして、レーザ光45−1を照射しつつ、吸着ステージ52をY方向に移動させて、分割予定線V1に沿って、脆弱領域24を形成する。
次に、レーザ光45−1の照射位置が半導体ウエーハ30から外れた位置(半導体ウエーハ30の直径より外の位置)で、吸着ステージ52を−X方向に間隔pxずらす。そして、吸着ステージ52を−Y方向に移動させて、分割予定線V2に沿って、脆弱領域23を形成する。
同様に折り返しながら、分割予定線V3〜V9に沿って、半導体ウエーハ30から右下に外れたEnd位置まで脆弱領域23を形成する。
基板110の裏面110bから近い距離d2の位置に脆弱領域24を形成する第2のレーザ照射工程を説明する(後述する図7(b1)、(b2)参照)。
まず、分割予定線H1〜H9に沿って、脆弱領域24を形成する場合を説明する。
制御部61は、レーザ光45−2の集光点の位置を、基板110の裏面110bを“0”として、距離d2に設定する。距離d2は、一例として38μmとする。また、レーザ光45の出力は、一例として65mWである。そして、開口数NA1より大きい開口数NA2の集光レンズ44−2がセットされている。開口数NA2は、例えば0.85とすることができる。
レーザ光45は、基板110の裏面110bを図6(c)に示すように走査して、基板110の裏面110bから近い距離d2の位置に脆弱領域24を形成する。走査の手順は、図6(a)と同様である。すなわち、基板110の裏面110bから遠い距離d1の位置に脆弱領域23が形成された分割予定線H1〜H9に沿って、脆弱領域24が形成される。よって、脆弱領域23、24が2段にわたって形成されることになる。
次いで、分割予定線V1〜V9に沿って、脆弱領域24を形成する第2のレーザ照射工程を説明する。
レーザ光45−2は、基板110の裏面110bを図6(d)に示すように走査して、基板110の裏面110bから近い距離d2の位置に脆弱領域24を形成する。走査の手順は、図6(b)と同様である。すなわち、基板110の裏面110bから遠い距離d1の位置に脆弱領域23が形成された分割予定線V1〜V9に沿って、脆弱領域24が形成される。よって、脆弱領域23、24が2段にわたって形成されることになる。
これで、1枚目の半導体ウエーハユニット40について、基板110の裏面110bから遠い距離d1の位置と浅い距離d2の位置とに、脆弱領域23、24を形成する第1のレーザ照射工程と第2のレーザ照射工程とが終了する。
すると、制御部61は、ロボットアームにより、半導体ウエーハユニット40を吸着ステージ52からアンロードカセット58aに移送する。
そして、制御部61は、ロードカセット57aに半導体ウエーハユニット40が残っているか否かを判別し、半導体ウエーハユニット40は残っていない(空)と判断した場合には、レーザ加工を終了する。制御部61は、ロードカセット57aに半導体ウエーハユニット40が残っていると判断した場合には、次の半導体ウエーハユニット40についてレーザ加工を行う。以下同様に、制御部61は、ロードカセット57aに収納されたすべての半導体ウエーハユニット40に対してレーザ加工を行なう。
以上説明した第1のレーザ照射工程および第2のレーザ照射工程では、レーザ光45は、半導体ウエーハ30の外部で折り返して、一筆書きの要領で走査されている。しかし、レーザ光45は、半導体ウエーハ30の一端部から他端部へ操作された後、レーザ光45を照射しないで一端部に戻ってから、再びレーザ光45を照射しながら他端部へと走査してもよい。
なお、X(−X)方向、Y(−Y)方向への吸着ステージ52の移動距離は、半導体ウエーハ30のサイズによって定められる。
そして、Start位置とEnd位置とは、例であって、レーザ加工装置50および半導体ウエーハ30のサイズ、半導体チップ1(発光チップ)のサイズによって変更しうる。
また、図6では、吸着ステージ52(後述する図7参照)を、分割予定線H1〜H9に沿って脆弱領域23、24を形成する場合は、X(−X)方向に移動させ、分割予定線V1〜V9に沿って脆弱領域23、24を形成する場合はY(−Y)方向に移動させた。分割予定線V1〜V9に沿って脆弱領域23、24を形成する場合は吸着ステージ52をθ方向に90°回転させた後、X(−X)方向に移動させて行ってもよい。
ここで、脆弱領域23、24を形成する第1のレーザ照射工程および第2のレーザ照射工程を断面図により詳細に説明する。
図7(a1)および(a2)は、基板110の裏面110bから遠い距離d1の位置に脆弱領域23を形成する第1のレーザ照射工程を説明する図である。図7(b1)および(b2)は、基板110の裏面110bに近い距離d2に脆弱領域24を形成する第2のレーザ照射工程を説明する図である。
そして、図7(a1)、(b1)は、図4に示す半導体ウエーハユニット40のA−A´線での断面図、すなわち分割予定線H5に沿った断面図を示している。一方、図7(a2)、(b2)は、図4に示す半導体ウエーハユニット40のB−B´線での断面図を示している。ただし、分割予定線H5、H4の部分のみを取り出して示している。
また、図7(a1)、(a2)では、分割予定線H5に沿って脆弱領域23を形成する第1のレーザ照射工程を示し、図7(b1)、(b2)では、分割予定線H5に沿って脆弱領域24を形成する第2のレーザ照射工程を示している。
以下、図7(a1)、(a2)を参照しつつ、第1のレーザ照射工程について説明する。
図7(a1)に示すように、レーザ光45−1は、基板110の裏面110bから入射され、開口数NA1の集光レンズ44−1により、基板110の裏面110bから距離d1の位置に集光される。そして、レーザ光45−1は、吸着ステージ52の−X方向への予め定められた速度での移動とともに、パルス発振に伴って、複数の脆弱領域23を繰り返して形成する。レーザ光45のパルス周波数は、例えば15,000〜30,000Hz、吸着ステージ52の移動速度は100〜500mm/secに設定することができる。
このようにして、分割予定線H5に沿って、半導体ウエーハ30の一端部から他端部まで、基板110の内部に脆弱領域23が形成される。
次に、図7(b1)、(b2)を参照しつつ、第2のレーザ照射工程について説明する。
図7(b1)に示すように、レーザ光45−2は、基板110の裏面110bから入射され、開口数NA2が開口数NA1より大きい集光レンズ44−2により、基板110の裏面110bから距離d2の位置に集光される。そして、レーザ光45は、吸着ステージ52の−X方向への予め定められた速度での移動とともに、パルス発振に伴って、複数の脆弱領域24を繰り返して形成する。レーザ光45のパルス周波数および吸着ステージ52の移動速度は上記の脆弱領域23の形成と同様であってもよく、異なってもよい。
なお、図7(b1)、(b2)に示された半導体ウエーハ30の基板110には、裏面110bから距離d1の位置にすでに脆弱領域23が形成されている。
以上説明したように、第1のレーザ照射工程および第2のレーザ照射工程により、半導体ウエーハ30に想定された分割予定線V1〜V9、H1〜H9に沿って、基板110の厚さ方向に裏面110bから距離の異なる2つの位置に、レーザ光45の集光点を結ぶようにして、脆弱領域23、24を形成している。すなわち、基板110内には脆弱領域23と脆弱領域24とが2段にわたって形成される。
脆弱領域23、24は、集光された強いレーザ光45により形成された変質領域であって、レーザ光45を照射しない領域に比べて、強度が低くなっている。よって、ブレーキング工程において、半導体ウエーハ30の分割予定線V1〜V9、H1〜H9に沿って、ブレードなどが押し当てられると、脆弱領域23、24は半導体ウエーハ30の切断が開始される起点となる。
また、本実施の形態では、基板110内に2段に脆弱領域23、24を形成することで、半導体ウエーハ30が半導体チップ1(発光チップ)に容易に切断されるようにしている。
次に、基板110の裏面110bから遠い距離d1の位置に脆弱領域23を形成する第1のレーザ照射工程には開口数NA1の集光レンズ44−1を用い、近い距離d2の位置に脆弱領域24を形成する第2のレーザ照射工程には、開口数NA1より大きい開口数NA2の集光レンズ44−2を用いる理由について説明する。
図8は、集光レンズ44とレーザ光45との関係を説明する図である。なお、図8および以下の説明では、第1のレーザ照射工程において、開口数NA1の集光レンズ44−1を用いた場合のレーザ光45−1をレーザ光45−1(NA1)と表記し、第2のレーザ照射工程において、開口数NA2の集光レンズ44−2を用いた場合のレーザ光45−2をレーザ光45−2(NA2)と表記する。なお、比較のため、第2のレーザ照射工程において、開口数NA1の集光レンズ44−1を用いた場合のレーザ光45−2をレーザ光45−2(NA1)と表記する。
第1のレーザ照射工程では、レーザ光45−1(NA1)は、集光レンズ44−1により集光され、基板110の裏面110bからの距離d1に集光される。そして、第2のレーザ照射工程では、レーザ光45−2(NA2)は、集光レンズ44−2により集光され、基板110の裏面110bからの距離d2に集光される。
レーザ光45−1およびレーザ光45−2は、それぞれ距離d1および距離d2の位置において、基板110の材料を溶解等により変質させ、それぞれ脆弱領域23および脆弱領域24を形成する。しかし、脆弱領域23および脆弱領域24の形成に寄与しなかったレーザ光45−1およびレーザ光45−2は、基板110を透過して、半導体素子200に照射されることになる。
半導体素子200に強いレーザ光45−1(NA1)またはレーザ光45−2(NA2)が照射されると、半導体素子200が劣化し、例えば発光素子(LED)である場合には、逆方向電流IRを増加させる。逆方向電流IRが増加すると、発光素子(LED)の寿命を短くしてしまう。
一般に、光をレンズで集光した場合、光は集光点までは逆円錐状に絞られるが、集光点より遠くなると、円錐状に広がっていく。さらに、レーザ光の断面を見ると、光の強度分布は、中央部が強く、周辺部にいくにしたがい弱くなるガウス分布等をなしている。
まず、脆弱領域23、24が形成されることを除外して、図8(a1)、(a2)により、本実施の形態におけるレーザ光45を説明する。
図8(a1)に示すように、集光レンズ44−1でレーザ光45−1(NA1)が逆円錐状に広がり角θ1で絞られていくとし、集光レンズ44−2でレーザ光45−2(NA2)が逆円錐状に広がり角θ2で絞られていくとする。広がり角θ1、θ2は、円錐の中心軸と円錐の側面とのなす角度である。
開口数NA1の値をNA1、開口数NA2の値をNA2とすると、NA1=n・sin(θ1)、NA2=n・sin(θ2)で表される。ここで、nは媒質の屈折率であって、本実施の形態における媒質はサファイアである。
開口数NA2は開口数NA1より大きいので、広がり角θ2が広がり角θ1より大きくなる(θ2>θ1)。
そして、図8(a2)に示すように、レーザ光45−1(NA1)は、集光点より遠くなるにしたがい円錐状に広がり、半導体素子200が設けられる基板110の表面110aでは照射面積S1となる。一方、レーザ光45−2(NA2)は、半導体素子200が設けられる基板110の表面110aでは照射面積S2となる。
レーザ光45−2(NA2)の広がり角θ2はレーザ光45−1(NA1)の広がり角θ1より大きい。しかも、レーザ光45−2(NA2)の集光点(基板110の裏面110bから距離d2)は、レーザ光45−1(NA1)の集光点(基板110の裏面110bからの距離d1)より、基板110の裏面110bに近く設けられている。よって、照射面積S2は、照射面積S1より大きくなる。
すなわち、基板110の表面110aでは、レーザ光45−2(NA2)がレーザ光45−1(NA1)より光のエネルギ密度が小さい。
次に、脆弱領域23、24が形成されることを除外して、図8(b1)、(b2)により、第1のレーザ照射工程と第2のレーザ照射工程とで、開口数NA1の集光レンズ44−1を使用した場合のレーザ光45を説明する。なお、レーザ光45は、レーザ光45−1(NA1)およびレーザ光45−2(NA1)である。そして、ともに広がり角θ1となる。
レーザ光45−1(NA1)は、半導体素子200が設けられる基板110の表面110aで照射面積S1となる。これは、図8(a1)の場合と同様である。一方、レーザ光45−2(NA1)は、半導体素子200が設けられる基板110の表面110aで照射面積S3となる。
照射面積S3は、集光点の距離d1とd2との差によって、照射面積S1より大きくなる。しかし、照射面積S3は、照射面積S2より小さい。すなわち、基板110の表面110aでは、レーザ光45−2(NA2)(照射面積S2)がレーザ光45−2(NA1)(照射面積S3)の場合より光のエネルギ密度が小さくなる。
さて次に、脆弱領域23、24が形成されることを考慮して、半導体素子200に対する影響を説明する。
まず、基板110の裏面110bから遠い距離d1の位置に脆弱領域23を形成する工程、すなわち1段目の脆弱領域23を形成する第1のレーザ照射工程を説明する。脆弱領域23の形成に寄与しなかったレーザ光45−1(NA1)は円錐状に広がって、半導体素子200に照射される。しかし、1段目の脆弱領域23を形成する第1のレーザ照射工程では、脆弱領域23が形成される前に、レーザ光45−1(NA1)の照射が終了すると考えられる。
よって、半導体素子200が設けられる基板110の表面110aでの照射面積S1内の光の強度分布は、中央部が強く、周辺部にいくにしたがい弱くなっていると考えられる。
中央部は、分割予定線V1〜V9、H1〜H9に対応する部分であって、半導体素子200の主要部(例えば発光層150)から離れている。よって、レーザ光45−1(NA1)が半導体素子200に照射されても、半導体素子200の特性の劣化が生じ難いと考えられる。
次に、基板110の裏面110bから近い距離d2に脆弱領域24を形成する工程、すなわち2段目の脆弱領域24を形成する第2のレーザ照射工程においても、開口数NA1の集光レンズ44−1を使用した場合を考える(図8(b1)、(b2)の場合)。この場合も、脆弱領域24の形成に寄与しなかったレーザ光45−2(NA1)が半導体素子200に照射される。
このとき、すでに脆弱領域23が形成されているので、脆弱領域24の形成に寄与しなかったレーザ光45−2(NA1)の進路上に脆弱領域23が存在する。前述したように、脆弱領域23は、溶融等による変質領域である。よって、脆弱領域23やその周囲には、空洞や屈折率のゆがみが存在する。
すると、脆弱領域24の形成に寄与しなかったレーザ光45−2(NA1)は、脆弱領域23やその周囲の空洞や屈折率のゆがみの影響を受けて、進路が曲げられ、強度の強い部分が半導体素子200の主要部(例えば発光層150)に照射されることが考えられる。
また、脆弱領域24の形成に寄与しなかったレーザ光45−2(NA1)が、空洞や屈折率のゆがみの影響を受けて強め合って、半導体素子200に照射されることがあると考えられる。
前述したように、開口数NA1の集光レンズ44−1を使用するので、レーザ光45−2(NA1)のエネルギ密度が高い。よって、2段目の脆弱領域24を形成する第2のレーザ照射工程において、半導体素子200の特性の劣化が生じやすく、好ましくない。
一方、図8(a1)、(a2)に示す本実施の形態では、2段目の脆弱領域24を形成する第2のレーザ照射工程に、第1のレーザ照射工程の開口数NA1に比べ大きい開口数NA2の集光レンズ44−2を用いる。このため、脆弱領域24の形成に寄与しなかったレーザ光45−2(NA2)がより広がりやすくなることで、エネルギ密度が小さくなり、半導体素子200の主要部に照射される光の強度を低減することができる。また、脆弱領域24の形成に寄与しなかったレーザ光45−2(NA2)のエネルギ密度が小さくなることで、強め合った場合でも、半導体素子200の主要部に照射される光の強度は低減している。これにより、半導体素子200の劣化を大きく抑制することができる。
なお、本実施の形態では、1段目の脆弱領域23を形成する第1のレーザ照射工程の集光レンズ44−1の開口数NA1を0.6とし、2段目の脆弱領域24を形成する第2のレーザ照射工程の集光レンズ44−2の開口数NA2を0.85とした。これにより、半導体素子200が発光素子である場合、逆方向電流IRが予め定められた値以上となって不良となる半導体チップ1(発光チップ)は見られなかった。
これに対し、2段目の脆弱領域24を形成する第2のレーザ照射工程の集光レンズを、1段目の脆弱領域23を形成する第1のレーザ照射工程の集光レンズと同じ44−1(開口数NA1は0.6)とした場合では、逆方向電流IRが不良となる半導体チップ1(発光チップ)が見られた。
一般に、レンズは開口数が大きくなると、焦点深度(ピントが合う焦点の範囲)が小さくなる。例えば、開口数が0.6のレンズの焦点深度は約1.4μmであるが、開口数が0.85のレンズの焦点深度は約0.5μmとなる。さらに、開口数を0.9とするとレンズの焦点深度は0.44μmとなる。また、開口数が大きくなると、レンズのワーキングディスタンス(WD)が極端に小さくなる。このため、レンズと被加工物(本実施の形態では基板110)との距離を小さく設定しなければならなくなる。
前述したように、2段目の脆弱領域24を形成する第2のレーザ照射工程の集光レンズ44−2の開口数NA2を大きくすることが好ましい。開口数NA2を大きくすると、集光レンズ44−2の焦点深度が小さくなり、脆弱領域24の基板110の厚さ方向に対する大きさを小さくできる利点がある。
しかし、集光レンズ44−2を基板110の裏面110bにより近づけることが必要となり、操作性が悪くなる。
よって、2段目の脆弱領域24を形成する場合の集光レンズ44−2の開口数NA2は、半導体素子200の特性の劣化の抑制効果と、操作性との関係で選択されることになる。なお、第2のレーザ照射工程における集光レンズ44−2の開口数NA2は0.7以上且つ0.85以下の範囲が好ましい。
一方、1段目の脆弱領域23を形成する第1のレーザ照射工程における集光レンズ44−1の開口数NA1は0.5以上且つ0.7未満の範囲が好ましい。
また、2段目の脆弱領域24の位置よりも、基板110の裏面110bに近い位置に不図示の3段目の脆弱領域、4段目の脆弱領域など、さらに複数段の脆弱領域を形成してもよい。これらの脆弱領域の形成には、2段目の脆弱領域24を形成する第2のレーザ照射工程における集光レンズ44−2の開口数NA2と同じであることが好ましい。しかし、半導体素子200の特性の劣化を生じなければ、1段目の脆弱領域23を形成する第1のレーザ照射工程における集光レンズ44−1の開口数NA1と同じであってもよい。
第1のレーザ照射工程における1段目の脆弱領域23(距離d1)は、基板110の裏面110bから65μm以上離れた位置(d1≧65μm)に設けられるのが好ましく、さらに、半導体素子200が形成された基板110の表面110aから10μmの位置までに設けられるのが望ましい。この範囲を超えて基板110の表面110aに近い領域に1段目の脆弱領域23を形成した場合には、半導体素子200(発光素子)の逆方向電流IRの劣化(IR不良)や半導体チップ1(発光チップ)周辺部の欠けによる不良(チッピング不良)を高い頻度で起こす可能性がある。
第2のレーザ照射工程における2段目の脆弱領域24(距離d2)は、基板110の裏面110bから20μm以上で、且つ1段目の脆弱領域23(距離d1)より裏面110b側に10μm以上離れた位置に設けられるのが好ましい。この範囲を超えて1段目の脆弱領域23(距離d1)に近い領域に2段目の脆弱領域24を形成した場合には、半導体素子200(発光素子)のIR不良や半導体チップ1(発光チップ)のチッピング不良を高い頻度で起こす可能性がある。
以下、本実施形態とする半導体素子200(発光素子)に関する実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみに限定されるものではない。
(実施例1)
以下に示すようにして、窒化ガリウム系化合物半導体からなる発光層150を有する半導体素子200(発光素子)(素子の形状は図1および図2に示す半導体チップ1(発光チップ)と同一)を作製した。
図1に示すようにC面サファイア単結晶の基板110に、AlNからなる中間層120を介してアンドープGaNからなる厚さ5μmの下地層130を形成した。そして、下地層130上にSiドープ(濃度1×1019/cm)GaNからなる厚さ3μmのn型コンタクト層140a、Siドープ(濃度1×1018/cm)In0.1Ga0.9Nからなる厚さ13nmのn型クラッド層140b(n型コンタクト層140aおよびn型クラッド層140bからn型半導体層140が構成される。)、GaNからなる厚さ16nmの障壁層150aとIn0.2Ga0.8Nからなる厚さ2.5nmの井戸層150bとを交互に5回積層させた後、最後に障壁層150aを設けた多重量子井戸構造の発光層150、Mgドープ(濃度1×1020/cm)Al0.07Ga0.93Nからなる厚さ3nmのp型クラッド層160aおよびMgドープ(濃度8×1019/cm)GaNからなる厚さ0.18μmのp型コンタクト層160b(p型クラッド層160aおよびp型コンタクト層160bによりp型半導体層160が構成される。)を順次積層して厚さ約9μmのIII族窒化物化合物半導体からなる積層半導体層100を形成した。
次に、積層半導体層100のp型コンタクト層160b上の所定の位置に公知のフォトリソグラフィ技術およびリフトオフ技術を用いて、IZOからなる透明正極170を形成した。
次に、透明正極170まで形成された積層半導体層100を、公知のフォトリソグラフィ技術および反応性イオンエッチング技術を用いて、n型コンタクト層140aを半円状に露出させ、半導体層露出面140cを形成した。次に、公知のフォトリソグラフィ技術を用い、透明正極170上にp電極190aを形成した。さらに、半導体層露出面140c上にn電極190bを形成し、保護層180をこの技術分野でよく知られた慣用の手段(WO/2009/154215号公報参照)で設けた。なお、p電極190aは、透明正極170側から厚さ200nmのAlからなる金属反射層と厚さ80nmのTiからなるバリア層と厚さ1100nmのAuからなるボンディング層とからなる3層構造とした。n電極190bは、半導体層露出面140c側からTi/Auの二層構造として形成した。
次に、基板110の裏面110bをラッピングおよびポリッシングすることで、中間層120、下地層130、積層半導体層100を加えた半導体層の厚みと基板110の厚みとを合わせた総厚が150μmとなるようにサファイア単結晶の基板110を薄板化した。
次に、前述のように、半導体ウエーハ30の両電極(p電極190aおよびn電極190b)が設けられた側にダイシングテープ15を貼り付け、レーザ加工装置50の吸着ステージ52上に載置した。次に、半導体チップ1(発光チップ)の平面サイズを350μm×350μmの正方形状とする分割予定線に沿って、半導体ウエーハ30の基板110内に脆弱領域23、24(変質領域)(図7参照)を形成(レーザ加工)した。レーザ光45としては、波長355nmのYAGレーザを使用し、基板110の裏面110bを“0”として、距離d1を70μmとした。さらに、レーザ光45の同じ波長を使用し、基板110の裏面110bを“0”として、距離d2を38μmとした。
次に、半導体ウエーハ30の両電極が設けられた側にダイシングテープ15を貼り付けたまま、ブレードを基板110の裏面110b側から押し込み、クラックを生じさせて分割することで、III族窒化物化合物半導体からなる半導体素子200(発光素子)を含む半導体チップ1(発光チップ)を作製した。そして、半導体チップ1(発光チップ)を発光装置のサブマウントに搭載してTO18に載せ、半導体チップ1(発光チップ)のp電極190aおよびn電極190bをそれぞれTO18の端子にワイヤーで接続した。
実施例1において得られた半導体チップ1(発光チップ)のLED特性は、順方向電流IFが20mAにおいて、順方向電圧VFが3.1V、発光波長が452nm、発光出力が22.5mWであった。
次に、1000個の半導体チップ1(発光チップ)について、逆方向電圧VRとして5Vを印加し、逆方向電流IRが2μA以上のものをIR不良(NG)とする評価を行った結果、IR不良の発生はなかった。また、半導体チップ1(発光チップ)の周辺部における欠けによる不良(チッピング不良)の発生もなかった。
(実施例2、比較例1〜4)
実施例2および比較例1〜4は、第1のレーザ照射工程における集光レンズ44−1の開口数(NA1)、距離d1、第2のレーザ照射工程における集光レンズ44−2の開口数(NA2)、距離d2を、表1に記載の条件に替えた以外は、実施例1と同様に実施し、表1に示すように、IR不良およびチッピング不良について評価した。なお、レーザ光45の波長は、第1のレーザ照射工程(レーザ光45−1)および第2のレーザ照射工程(レーザ光45−2)で同じとした(表1ではレーザ波長(nm)と表記する。)
表1は、実施例1、2および比較例1〜4における第1のレーザ照射工程および第2のレーザ照射工程において設定された開口数などの条件と、1000個の半導体チップ1(発光チップ)を対象としたIR不良(表1のチップのIR不良数)およびチッピング不良(表1のチップのチッピング不良数)の評価結果を示す。
Figure 2013000748
比較例1の条件では、2段目の脆弱領域24を形成する第2のレーザ照射工程により、半導体素子200(発光素子)のIR不良を高い比率(不良率)で起こすことがわかった。
また、比較例2の条件では、1段目の脆弱領域23を形成する第1のレーザ照射工程により、半導体素子200(発光素子)のIR不良を高い比率(不良率)で起こした。
さらに、比較例3の条件では、1段目の脆弱領域23および2段目の脆弱領域24が基板110の裏面110b側に近いために割れにくく、チッピング不良を起こすことがわかった。
そして、比較例4の条件では、2段目の脆弱領域24を形成する第2のレーザ照射工程により、半導体素子200(発光素子)のIR不良を高い比率(不良率)で起こすことがわかった。
これに対し、1段目の脆弱領域23を形成する第1のレーザ照射工程における集光レンズ44−1の開口数が0.5以上且つ0.7未満であって、2段目の脆弱領域24を形成する第2のレーザ照射工程における集光レンズ44−2の開口数が0.7以上且つ0.85以下であれば、IR不良やチッピング不良の発生は見られなかった。すなわち、第1のレーザ照射工程における集光レンズ44−1の開口数が0.5以上且つ0.7未満とし、第2のレーザ照射工程における集光レンズ44−2の開口数が0.7以上且つ0.85以下とすることで、IR不良やチッピング不良の発生を抑制できる。
1…半導体チップ、15…ダイシングテープ、16…ウエーハリング、23、24…脆弱領域、30…半導体ウエーハ、40…半導体ウエーハユニット、41…レーザ光発生部、42…ダイクロイックミラー、44、44−1、44−2…集光レンズ、45、45−1、45−2…レーザ光、50…レーザ加工装置、52…吸着ステージ、61…制御部、62…撮像部、63…表示部、100…積層半導体層、110…基板、120…中間層、130…下地層、140…n型半導体層、150…発光層、160…p型半導体層、170…透明正極、200…半導体素子、H1〜H9、V1〜V9…分割予定線

Claims (7)

  1. 板状の基板の表面に半導体素子を備える半導体ウエーハのレーザ加工方法であって、
    前記半導体ウエーハに想定された分割予定線に沿って、当該半導体ウエーハの前記基板の裏面から集光したレーザ光を照射し、当該基板の内部に1段目の脆弱領域を形成する第1のレーザ照射工程と、
    前記基板内において、前記1段目の脆弱領域より当該基板の裏面に近い位置に、前記第1のレーザ照射工程における集光レンズに比べ開口数の大きい集光レンズを用いてレーザ光を照射し、当該基板の内部に2段目の脆弱領域を形成する第2のレーザ照射工程と
    を含む半導体ウエーハのレーザ加工方法。
  2. 前記基板は、サファイアであることを特徴とする請求項1に記載の半導体ウエーハのレーザ加工方法。
  3. 前記レーザ光は、波長355nm、532nmおよび1064nmからなる群から選ばれた1種の波長を有することを特徴とする請求項1または2に記載の半導体ウエーハのレーザ加工方法。
  4. 前記第1のレーザ照射工程における集光レンズの開口数は、0.5以上且つ0.7未満であって、前記第2のレーザ照射工程における集光レンズの開口数は、0.7以上且つ0.85以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の半導体ウエーハのレーザ加工方法。
  5. 前記第1のレーザ照射工程における前記1段目の脆弱領域は、前記基板の裏面から65μm以上離れた位置に設けられることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の半導体ウエーハのレーザ加工方法。
  6. 基板上にn型半導体層、発光層およびp型半導体層がこの順に積層された積層半導体層をエピタキシャル成長する工程と、
    前記基板上の前記積層半導体層により複数の発光素子を形成し半導体ウエーハとする工程と、
    前記半導体ウエーハを、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の半導体ウエーハのレーザ加工方法によりレーザ加工する工程と
    を含む半導体発光チップの製造方法。
  7. 開口数の異なる少なくとも2つの集光レンズを備えたレーザ加工装置であって、
    板状の基板の表面に半導体素子を備える半導体ウエーハに想定された分割予定線に沿って、当該半導体ウエーハの前記基板の裏面から、前記少なくとも2つの集光レンズのうち、開口数が小さい第1の集光レンズにより集光したレーザ光を照射し、当該基板の内部に1段目の脆弱領域を形成する第1のレーザ照射部と、
    前記基板内において、前記1段目の脆弱領域より当該基板の裏面に近い位置に、前記少なくとも2つの集光レンズのうち、前記第1の集光レンズに比べ開口数の大きい第2の集光レンズを用いてレーザ光を照射し、当該基板の内部に2段目の脆弱領域を形成する第2のレーザ照射部と
    を備えるレーザ加工装置。
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