JP2012516951A - 光を分解するための布帛 - Google Patents

Abstract

【課題】 可視光線の透過を満足できる程度に許容する一方、赤外光を９８％まで反射させるための新しい布帛を提案する。
【解決手段】 支持体と光を分解するための一つの層とを備えた布帛であって、
前記層は、真珠層或いは、実質的に真珠層のそれに相当し、紫外線から赤外線までの範囲で光を回折する、若しくは虹色（変色現象）特性を有する物質を備える。
【選択図】 なし

Description

本発明は、支持体と光を分解するための層とからなる布帛（キャンバス）に係るものであり、特に、前記層は、真珠層、若しくは紫外線（ＵＶ）領域から赤外線（ＩＲ）領域の範囲で実質的に真珠層のそれと同等に光の回折する又は或いは虹色（変色現象）特性を有する材料（物質）からなるものである。本発明は、また、前記布帛の製造のための方法、及びブラインド用の覆い布を製造するための布帛の使用に関するものである。

覆い布は、現在、パラソル又はブラインドの形式で、太陽光から人々を守るために使われている。これらの技術的な覆い布は、理想的には、可視光の通過を許容する一方、赤外線と紫外線とを強力に退け（遮断し）なければならない。

現行では、このような覆い布に関する商業的に利用可能な解決策としては、ファイバグラス、アクリル、あるいはポリエステルで製造することである。この種の布帛は赤外光を５５％から６５％で反射するものである。「ブラインドフィルム」と呼ばれる製品は、アルミニウムの粒子を混合した、ポリエステル フィルムを成分とするものであり、赤外光を９４％まで反射することが知られている。これらのフィルムは、また、ガラス表面を覆うための粘着フィルムの態様でも販売されている。

また、顔料（色素、着色）により、より詳細には、メタリック顔料により処理された布地（織物）がある。一例として、溶融点が異なる各種成分（要素）からなる糸で製造された、布地の細片に関する提案の特許出願ＥＰ０９５５４０４があり、その表面は真珠層の色素又はこれと同等の、例えば二酸化チタンで被覆されたマイカ（雲母）の細かい斑等のようなもの、で覆われている。

米国特許第６１５９８７５号には、製品の両面が異なる顔料（色素）で処理されたことに特徴を有する、反射（ブロック）用の製品が記載されている。これらの顔料は、例えばマイカを基材とした顔料などのように、虹色（変色現象）を有するとともに、乳白色光を発するものからなる。

国際出願 ＷＯ ２００４０３５９１１には、複数の層又は染料において酸化シリコンを基礎とするメタリックな顔料が適用されているものからなる、織物（布地）繊維における材料の染色、或いは材料の印刷の方法について記載されている。

これらの覆い布の製造（生産）のために使用されるそれらの製品の性質は、使用範囲を制限している。同様に、たとえメタリックな粒子を含んだフィルムが適切に赤外線を遮断するとしても、これは、また可視光も遮断し、表面を過大に不透明に覆う。

従って、広範囲で使用する覆い布に対して、可視光に対してできるだけ干渉しないようにする一方、赤外線や紫外線の除去を許容するような、覆い布を必要としている。

そこで、本発明は、満足できる程度に可視光の透過を許容する一方、赤外光を９８％まで取除くための新しい覆い布を提案することを目的とするものである。本発明は、真珠層による光の回折性及び屈折性に基づいているものである。現行の方法においては、保護（防護）は、同様に可視光も遮断する、メタリックな粒子上での赤外線の反射によって得られる。本発明の布帛によれば、光の回折及び屈折作用によって行う光分解のための一つの層を備えている。ある光線は光源に戻り、またあるもの（光線）は接線方向に光を分解させる前記層に接触することで力を失って軌道がそれる。本発明の製品は、赤外光よりも大きな割合で可視光を通過させる。真珠層は光を分解する機能が著しく、その薄片（断片）の大きさは、目標となる光線や回折光の波長に近いものである。しかも、これらの薄片の無秩序な配置（配列）は、全方向における光線に対して新しい方向を与える。

このように、本発明は、特に一つの支持体と一つの光分解層とを備えた布帛を提供するものであって、前記光分解層は、真珠層、或いは実質的に真珠層と同等のものであって、UVからIRの範囲まで、光の回折又は虹色（変色現象）をもたらす特性を有する材料（物質）、を備えていることに特徴を有する。

各種の支持体が、本発明の範囲内で使用可能である。適切な支持体の選択は、より詳細には、好ましい使用と美的な効果によって決まるであろう。それ（支持体）は、特に、不織布或いは織物でもよい。好ましい実施例によれば、本発明の布帛は、支持体が不織布であるところが注目に値する。国際標準規格ＩＳＯ９０９２に定義されているように、不織布は、工業製品であり、任意の繊維で構成された織物、フリース（柔らかくけばのある布地）、或いはマットレスからなり、直接的に或いはランダムに、及び、内的な粘着（凝集力）で分布しており、この粘着（凝集力）は、機械的、物理的、或いは化学的、方法及び／又はこれらの方法の結合によって、保証（確保）されている（紙と、他の織り方によって得られる製品と、を除いて）。本発明の範囲内にある使用可能な不織布の例としては、全部（丸ごと）又は一部が鉱物性の繊維、動物に由来する繊維、植物性繊維、及び／又は化学繊維、で構成されている。より好ましい具体例によれば、前記不織布は、全部或いは一部が植物性繊維で構成され、さらにより好ましい具体例では不織布は、リネン（亜麻）の不織布である。

本発明の布帛に含まれるモルフォ溶解層は、連続性を有することができるといった事実によって、従来の覆い布では反射粒子の間にどうしても空間が残ってしまうといった理由から、従前の組織とは区別される。このように、本発明の覆い布での光分解層には、好ましい連続性を有している。

本発明の布帛は、光分解のための単一の層を有している。この層は、支持体の表面又は支持体の全体（大部分）の中に組み込まれている。
例えば好ましい実施例によれば、本発明は、支持体と光分解層とを備えた布帛に関するものであり、前記層が真珠層、或いは、ＵＶからＩＲの範囲で光の回折又は虹色（変色現象）を有し、実質的に真珠層と同等である、ある物質を備えているという点で際立っており、また、前記層が前記支持体の全体に組み込まれているという点で際立っている。

“真珠層”という用語は、異なる状態の真珠層にも言及しており、特に真珠層の粉の形でも、（真珠層に）言及している。これを明確にさせるために、“真珠層粉”という用語は“真珠層に似た粉”或いは“真珠層に似た顔料”という名で呼ばれることで知られている顔料に言及していない（触れていない）ことを明記しておきたい。後者２つの製品は、マイカと、例えばチタン、アルミニウム、ケイ素、カリウム、バリウムなどのような金属と、を含んだ顔料に相当する。現在、前記“真珠層に似た粉”或いは“真珠層に似た顔料”は、虹色の輝きを生み出すために、化粧及び塗装において使用されている。出願人は、赤外線を遮断するとともに、真珠層に似た顔料及び／又は金属的顔料からなる従来の覆い布よりもより多くの可視光を透過する機能が示された、本発明に係る覆い布を開示することができる。

本発明の好ましい実施形態によれば、前記真珠層は真珠層の粉である。本発明の範囲内で使用可能な真珠層の粉の例としては、特に、貝或いは軟体動物の内部（内臓、腹）を砕いたものから得られる真珠層の粉である。

本発明の好ましい他の実施形態によれば、光の回折或いは実質的に真珠層のそれと同等である、ＵＶの範囲からＩＲの範囲まで虹色（変色現象）の特性を有する物質は、少なくとも５０％のアラゴナイト（アラレ石）からなる成分である。

また、好ましい実施形態によれば、前記布帛は、いかなるメタリックな粒子も含まないである。

非常に好ましい実施形態によれば、前記布帛は、メタリックな粒子も含まないし、マイカも含まない。

本発明の布帛からの光分解層の存在に関連した特性は、従来の覆い布に使用するような、メタリックな粒子の存在によって寄与されるもの、と都合よく結合されることができることである。これらの特性は、特に少なくとも２つの異なる方法で結合されることができることである。

第１の実施形態によれば、本発明に係る布帛は、さらに、メタリックな粒子及び／又は研がれた石の粉からなる、一つの層を含む。この付加的な層は、光分解層に対して、上側或いは下側のどこにでも配置させることができる。第２の実施形態によれば、前記粒子及び／又は研がれた石の粉は、前記光分解層に含めることができる。
かくして、本発明に係る布帛に関連した本発明によれば、前記光分解層が、メタリックな粒子、或いは前記研がれた粉及び／又は小石によって製造されたようなメタリックな反射を伴う粒子、をさらに含むといったところが注目すべき（顕著な）点である。

本発明に係る覆い布によれば、若干の工業的工程によって用意（準備）できる。一つの実施形態によれば、本発明に係る覆い布は、真珠層溶液を支持体に浸み込ませるか、或いは紫外線から赤外線まで実質的に真珠層のそれと同等である光の回折又は虹色のきらめき（輝かしさ）の特性を備えた物質（材料）を注入する、一つのステップからなる方法によって製造される。この浸み込み（注入）は、前記溶液に支持体を浸漬することによって行うことができる。また、それは、前記支持体の表面に前記溶液を噴霧することによって得ることもできる。

もう一つの好ましい実施形態によれば、前記真珠層、又は、ＵＶからＩＲの範囲まで、実質的に真珠層のそれと同等である、光の回折或いは虹色のきらめきの特性を有する前記物質は、前記支持体を構成する主要な材料において、前記支持体を形成するのに先立ち、一体化される。麻屑或いは亜麻（リネン）において、粉（粉末）として単純に散布する（広がらせる）真珠層の粉は、使われていないもの（麻屑或いは亜麻（リネン））を梳かす（漉く）ことが非常に良好な結果をもたらすと、いうことがこの分析（試験）中に分かった。

本発明に係る製造方法の範囲内での使用に適した真珠層の溶液（溶解液）は、いろいろな濃度を有している。好都合なことに、この適用については、１０〜２０％の真珠層粉からなる真珠層粉の溶液を使用することで、特に効果的な結果を得ることが可能である、と述べることができる。

本発明に係る覆い布及び本発明に係る方法によって得られる覆い布は、非常に多くの製品を作るために使用できる。従って、本発明に係る布帛及び／又は本発明に係る方法によって得られる覆い布は、赤外光を遮断する製品、例えばブラインド用の覆い布（帆布）、テント用の覆い布及び衣類のような製品、を有利に作るために使用できる。

Claims (11)

1. 支持体と光を分解するための一つの層とを備えた布帛であって、
   前記一つの層は、
   真珠層或いは、
   実質的に真珠層のそれに相当し、紫外線から赤外線までの範囲で光を回折する、若しくは虹色（変色現象）特性を有する物質、
   を備える
   ことを特徴とする布帛。
2. 前記層は、前記支持体の全体（大部分）に含まれている、
   ことを特徴とする請求項１に記載の布帛。
3. 前記支持体は、不織布である、
   ことを特徴とする請求項１又は２に記載の布帛。
4. 前記不織布は、全部または一部が、鉱物性の繊維、動物に由来する繊維、植物性繊維、及び／又は化学繊維、で構成されている、
   ことを特徴とする請求項３に記載の布帛。
5. 前記不織布は、リネン（亜麻）の不織布である、
   ことを特徴とする請求項４に記載の布帛。
6. 前記光の分解用の層は、連続的である
   ことを特徴とする請求項１乃至５のいずれかに記載の布帛。
7. メタリックな粒子、及び／又は、
   研がれた石の粉及び／又は研がれた小石によって製造されたようなメタリックな反射を伴う粒子をさらに備えている、
   ことを特徴とする請求項１乃至６のいずれかに記載の布帛。
8. 光を分解するための前記層は、さらに、メタリックな粒子及び／又は研がれた石粉を備えた
   ことを特徴とする請求項１乃至６のいずれかに記載の布帛。
9. 単一の真珠層の溶液において、単一の支持体を浸み込ませることからなる、ステップを有する、
   請求項１〜８のいずれかに記載の布帛の製造方法。
10. 前記真珠層の溶液は、前記真珠層が１０〜２０％の真珠層粉からなる、
    請求項９に記載の布帛の製造方法。
11. 請求項１〜８のいずれかに記載の布帛の使用、
    又は、
    ブラインド用の覆い布、テント用及び衣類用の複数の布帛のような、赤外光を遮断する製品を作成するため、請求項９又は１０に記載の方法によって得られる単一の布帛。