JP2012514089A - ポリカーボネート組成物 - Google Patents

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Abstract

ポリカーボネート組成物を開示する。本組成物は、少なくとも3種の異なるモノマーから誘導される繰り返し単位を有するポリカーボネートポリマー(A)であって、1種のモノマーが、2-フェニル-3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フタルイミジン(PPPBP)であり、残りの2種のモノマーが式(I)(式中、Rは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、C1〜10炭化水素基、またはハロゲン置換C1〜10炭化水素基であり、nは0〜4である)を有するポリカーボネートポリマー(A)と、耐衝撃性改良剤(B)とを含む。得られる組成物は、改良された耐熱性および耐化学性、特に燃料C(Fuel C)に対する耐化学性を有する。

Description

本開示は、改良された耐熱性を有する熱可塑性ポリカーボネート組成物に関する。特に、本開示は、改良された耐熱性、改良された衝突性能、および流動特性を有するポリカーボネート組成物に関する。これらの組成物の製造方法および/または使用、例えば、物品の形成なども含まれる。
ポリカーボネート(PC)は、ビスフェノールと、ホスゲンもしくはその誘導体とから誘導される合成熱可塑性樹脂である。これらは、炭酸の線状ポリエステルであり、ジヒドロキシ化合物とカーボネートジエステルとから、あるいはエステル交換反応によって、形成させることができる。重合法は、水性の界面法であっても、非水性溶液法であってもよい。ポリカーボネートは、多くの望ましい性質を有する有用な部類のポリマーである。これらは、光学的な透明性、高い耐衝撃性、および室温およびそれ以下での延性において高く評価されている。
耐衝撃性改良剤は、それを含む樹脂から作製される最終物品の衝撃強度を改良するためにポリマー樹脂に組み込まれる。例示的な耐衝撃性改良材は、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)ポリマーおよびメタクリレート-ブタジエン-スチレン(MBS)ポリマーである。ABSポリマーおよびMBSポリマーは、それぞれ、ブタジエンの存在下で、アクリロニトリルまたはメタクリレートをスチレンと重合させることによって製造される合成熱可塑性樹脂である。ABSおよびMBSの性質は、塩基性成分の相対的な割合、グラフト化の程度、分子量などを変化させることによって改質することができる。総じて、ABSおよびMBSは、一般に、強く、軽量な熱可塑性物質である。
ポリカーボネートとABSまたはMBSとのブレンド、すなわちPC/ABSブレンドまたはPC/MBSブレンドも周知である。例えば、SABIC Innovative Plastics社は、商標名CYCOLOY(登録商標)の下でこのようなブレンドを市販している。これらのアモルファス熱可塑性ブレンドは、高い衝撃強度、耐熱性、良好な加工性、耐候性および耐オゾン性、良好な延性、電気抵抗性、審美的特性などを含む、多くの望ましい性質および/または特性を有している。これらは、自動車業界、家電製品および電子部品の製造、医療器具、およびオフィスおよびビジネス用品(例えば、コンピュータハウジングなど)に広く用いられている。
米国特許第4,746,701号明細書
改良された耐熱性および耐化学性を有する熱可塑性ポリカーボネート組成物に対する必要性が、依然として存在する。このような材料の望ましい特徴は、とりわけ、優れた機械的特性、製造容易性、および透明性である。
多様な実施態様において、改良された特性の組合せを有するポリカーボネート組成物を開示する。これらのブレンドは、耐熱性を有し、その機械的特性および/または加工特性も適切に維持している。これらの製造方法および/または使用、例えば物品の形成も開示する。
1つの実施態様では、本熱可塑性組成物は、
− 少なくとも3種の異なるモノマー(I)、(II)、および(III)から誘導される繰り返し単位を有するポリカーボネートポリマー(A)であって、
モノマー(I)が、2-フェニル-3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フタルイミジン(PPPBP)であり、
モノマー(II)および(III)が、それぞれ、式(I):
Figure 2012514089
(式中、Rは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、C1〜10炭化水素基、またはハロゲン置換C1〜10炭化水素基であり、nは0〜4である)
のジヒドロキシ化合物であり、モノマー(II)はモノマー(III)とは異なる、ポリカーボネートポリマー(A)と、
−耐衝撃性改良剤(B)と
を含む。
1つの特定の実施態様では、モノマー(II)はメチルヒドロキノンであり、モノマー(III)は、ヒドロキノンである。1つの他の実施態様では、モノマー(I)と、モノマー(II)および(III)の合計との比が、約20:80〜約40:60である。ポリカーボネートポリマー(A)は、ターポリマーであってよい。一部の実施態様では、モノマー(II)はメチルヒドロキノンであり、かつ、ポリカーボネートポリマーが、少なくとも17モル%のモノマー(I)および少なくとも25モル%のモノマー(II)を含む。
耐衝撃性改良剤(B)は、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)ポ樹脂、メタクリレート-ブタジエン-スチレン(MBS)樹脂、およびこれらの混合物からなる群から選択することができる。
ポリカーボネートポリマー(A)は、組成物の約60〜約80質量%を占めていてよい。耐衝撃性改良剤(B)は、組成物の約20〜約40質量%を占めていてよい。
熱可塑性組成物は、タルク充填剤(C)をさらに含んでいてよい。このタルク充填剤(C)は、組成物の約5〜約20質量%を占めていてよい。熱可塑性組成物がタルク充填剤を含まない一部の実施態様では、ISO1133に準拠して260℃、5kgで測定して約4〜約10cc/10分のメルトボリュームレート(MVR)を有する場合がある。
熱可塑性組成物は、スチレン-アクリロニトリルポリマー(D)(すなわち、フリーのSAN)を、熱可塑性組成物の約5〜約10質量%の量でさらに含んでいてよい。
熱可塑性組成物は、ISO4599に準拠して、燃料Cに0.5%の歪みで2日間曝露した後に、少なくとも50パーセントの引張り伸び保持率を有し;ISO1133に準拠して260℃、5kgで測定して15cc/10分以下のメルトボリュームレート(MVR)を有し;約160℃〜約195℃のガラス転移温度を有し;ASTMD648に準拠して測定して少なくとも130℃の熱変形温度を有し;かつ/あるいは、ISO306に準拠して測定して少なくとも150℃のビカットB50軟化点を有する。
一部の実施態様では、本ポリカーボネートポリマーは、ビスフェノールAである第四のモノマー(IV)をさらに含む。
1つの他の実施態様では、本熱可塑性組成物は、
− 少なくとも3種の異なるモノマー(I)、(II)、および(III)から誘導される繰り返し単位を有するポリカーボネートポリマー(A)であって、
モノマー(I)が、2-フェニル-3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フタルイミジン(PPPBP)であり、
モノマー(II)および(III)が、それぞれ、式(I):
Figure 2012514089
(式中、Rは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、C1〜10炭化水素基、またはハロゲン置換C1〜10炭化水素基であり、nは0〜4である)
のジヒドロキシ化合物であり、モノマー(II)はモノマー(III)とは異なる、ポリカーボネートポリマー(A)と、
− アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂、メタクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(MBS)樹脂、およびこれらの混合物から選択される耐衝撃性改良剤(B)と
を含む熱可塑性組成物であって、
前記熱可塑性組成物が、ISO4599に準拠して、燃料Cに0.5%の歪みで2日間曝露した後に、少なくとも50パーセントの引張り伸び保持率を有する。
さらに他の実施態様では、熱可塑性組成物は、
− 少なくとも3種の異なるモノマー(I)、(II)、および(III)から誘導される繰り返し単位を有するポリカーボネートポリマー(A)であって、前記3種の異なるモノマーが、2-フェニル-3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フタルイミジン(PPPBP)、ヒドロキノン、およびメチルヒドロキノンである、ポリカーボネートポリマー(A)と、
− 耐衝撃性改良剤(B)と
を含み、この熱可塑性組成物が、ISO75に準拠して測定して、少なくとも130℃の熱変形温度を有する。
また、少なくとも3種の異なるモノマー(I)、(II)、および(III)から誘導される繰り返し単位を有するポリカーボネートポリマーであって、
モノマー(I)が、2-フェニル-3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フタルイミジン(PPPBP)であり、
モノマー(II)および(III)が、それぞれ、式(I):
Figure 2012514089
(式中、Rは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、C1〜10炭化水素基、またはハロゲン置換C1〜10炭化水素基であり、nは0〜4である)
のジヒドロキシ化合物であり、モノマー(II)はモノマー(III)とは異なる、ポリカーボネートポリマーも開示する。
具体的な実施態様では、モノマー(II)および(III)は、ポリカーボネートポリマーの少なくとも60モル%、または少なくとも80モル%を占める。モノマー(II)と、モノマー(III)との比は、約3:4〜約4:3であってもよい。ポリカーボネートポリマーは、ISO4599に準拠して、燃料Cに0.5%の歪みで2日間曝露した後に、少なくとも80パーセントの引張り伸び保持率を有し得る。
さらに他の実施態様では、少なくとも3種の異なるモノマー(I)、(II)、および(III)から誘導される繰り返し単位を有するポリカーボネートポリマーであって、モノマー(I)が、2-フェニル-3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フタルイミジン(PPPBP)であり;モノマー(II)がメチルヒドロキノンであり;モノマー(III)がヒドロキノンであり;モノマー(I)が、前記ポリカーボネートポリマーの少なくとも17モル%を占め;モノマー(II)が、前記ポリカーボネートポリマーの少なくとも25モル%を占め;かつ、モノマー(II)およびモノマー(III)が、合わせて、前記ポリカーボネートポリマーの少なくとも60モル%を占める、ポリカーボネートポリマーを開示する。
本明細書に記載する熱可塑性組成物から形成される物品も開示する。
本発明のこれらのおよび他の非限定的な特徴または特性を、さらに以下に記述する。
本出願の明細書および特許請求の範囲中の数値、特にポリマーおよびポリマー組成物に関する数値は、さまざまな特性の個々のポリマーを含有し得る組成物の平均値を反映する。さらに、特にこれに反する指定が無い限り、数値は、有効数字を考慮し、かつ本出願において記載した種類の従来の測定技術において測定値を得るための実験誤差の範囲内で異なる数値を相殺すると同じとなる数値を含むと理解されるべきである。
本発明は、以下の詳細な望ましい実施態様の記述およびこれらの実施態様に含まれる実施例を参照することによってより容易に理解できるであろう。以下の明細書、およびこれに続く特許請求の範囲において、以下の意味を有することを定義するいくつかの語を参照されたい。
文脈において明確にそれ以外の記述が内限り、単数を示し得る語は複数をも包含する。本明細書において開示する全ての範囲は、記載した端点を方眼紙、独立に組み合わせることができる(例えば、「2グラム〜10グラム」の範囲は、端点2グラムおよび10グラムを包含し、間の全ての値を包含する)。
量に関連して用いる修飾語「約」は、記述した値を包含し、文脈により指示される意味を有する(例えば、少なくとも、具体的な量の測定に伴う誤差範囲を包含する)。修飾語「約」は、2つの端点の絶対値によって定義される範囲を開示するものと理解されるべきである。例えば、表現「約2〜約4」は、範囲「2〜4」も開示する。
用語「整数」は、全数を意味し、ゼロを含む。例えば、表現「nは、0〜4の整数である」は、nが、0を含む、0から4の任意の全数であってよいことを意味する。
化合物は、標準的な命名法を用いて記述する。例えば、指示されたいかなる基によっても置換されていない位置は、指示された基または水素原子によってその原子価が満たされているものと理解される。2つの文字または記号の間にないダッシュ(「−」)を、置換基が結合する位置を示すために用いる。例えば、アルデヒド基-CHOは、カルボニル(C=O)基の炭素を介して結合する。
用語「脂肪族」は、環状ではない直鎖状または分岐状の一連の炭素原子であって、少なくとも1個の価数を有するものを指す。脂肪族基は、少なくとも1個の炭素原子含むものと定義される。一連の原子は、ヘテロ原子、例えば、窒素、硫黄、ケイ素、セレニウム、および酸素などを含んでいてよく、あるいは、炭素および水素だけ(「アルキル」)からなっていてもよい。脂肪族基は、置換されていても置換されていなくてもよい。例示的な脂肪族基には、これらだけに限定されないが、メチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、クロロメチル、ヒドキシメチル(-CH2OH)、メルカプトメチル(-CH2SH)、メトキシ、メトキシカルボニル(CH3OCO-)、ニトロメチル(-CH2NO2)、およびチオカルボニルが含まれる。
用語「アルキル」は、炭素および水素だけからなる直鎖状または分岐状の一連の炭素原子を指す。この一連の炭素原子は、単結合、二重結合、または三重結合を含んでいてよい(典型的には、アルカン、アルケン、またはアルキンと呼ばれる)。アルキル基は、置換されていても置換されていなくてもよい。例示的なアルキル基には、これらだけに限定されないが、メチル、エチル、イソプロピルが含まれる。
用語「芳香族」は、少なくとも一価の価数を有し、少なくとも1個の芳香族基を有する一連の原子を指す。一連の原子は、ヘテロ原子、例えば、窒素、硫黄、セレニウム、ケイ素、および酸素などを含んでいてよく、あるいは、炭素および水素だけからなっていてもよい。芳香族基は、非芳香族成分を含んでいてもよい。例えば、ベンジル基は芳香族基であり、フェニル環(芳香成分)と、メチレン基(非芳香族成分)とを含む。例示的な芳香族基には、これらだけに限定されないが、フェニル、ピリジル、フラニル、チエニル、ナフチル、ビフェニル、4-トリフルオロメチルフェニル、4-クロロメチルフェニ-1-イル、および3-トリクロロメチルフェニ-1-イル(3-CCl3Ph-)が含まれる。
用語「脂環式」は、環状であるが芳香族性がない一連の原子を指す。この脂環式基には、ヘテロ原子、例えば、窒素、硫黄、セレニウム、ケイ素、および酸素などを含んでいてよく、あるいは、炭素および水素だけからなっていてもよい。脂環式基は、1個以上の非脂環式成分を含んでいてよい。例えば、シクロヘキシルメチル基(C6H11CH2)は脂環式官能基であり、シクロヘキシル環(環状であるが芳香族性がない一連の原子)と、メチレン基(非脂環式成分)とを含む。例示的な脂環式基には、これらだけに限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、1,1,4,4-テトラメチルシクロブチル、ピペリジニル、および2,2,6,6-テトラメチルシピペリジニルが含まれる。
実施例において、本開示の熱可塑性組成物は、以下にさらに特定するとおりの少なくとも3種の異なるモノマーから誘導される繰り返し単位を有するポリカーボネートポリマー(A)と、耐衝撃性改良剤(B)とを含む。この熱可塑性組成物は、成分(A)および(B)のブレンドである。
ポリカーボネートポリマー(A)は、少なくとも3種の異なるモノマー(I)、(II)、および(III)から誘導される繰り返し単位を有する。モノマー(I)は、式(A):
Figure 2012514089
を有する2-フェニル-3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フタルイミジン(PPPBP)である。PPPBPのパラ-パラ形態(ヒドロキシルがパラ位にある形態)は、望ましくない副生成物であるオルト-パラ形態よりも好ましい。
モノマー(II)および(III)は、互いに異なり、それぞれ、式(I):
Figure 2012514089
(式中、Rは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、C1〜10炭化水素基、またはハロゲン置換C1〜10炭化水素基であり、nは0〜4である)
のジヒドロキシ化合物である。
特定の実施態様では、1つのモノマーはヒドロキノン(HQ)であり、他のモノマーは、メチルヒドロキノン(MeHQ)である。ヒドロキノンは、1,4-ジヒドロキシベンゼン;1,4-ベンゼンジオール;1,4-ジヒドロベンゾキノン;4-ヒドロキシフェノール;p-ジヒドロキシベンゼン;p-ヒドロキシフェノール;またはキノールとしても知られている。メチルヒドロキノンは、2-メチル-1,4-ベンゼンジオール; 1,4-ジヒドロキシ-2-メチル-ベンゼン;2、5-ジヒドロキシトルエン;2,5-トルエンジオール;p-トルヒドロキノール;ピロリン;またはトリルヒドロキノンとしても知られている。例えば、これら構造を以下に示す。
Figure 2012514089
一部の実施態様では、モノマー(I)と、モノマー(II)および(III)の合計との比は、約5:95〜約95:65である。より特定の実施態様では、この比は、約20:80〜約40:60である。モノマー(II)と、モノマー(III)とのモル比は、一般に、約3:4〜約4:3(約1:1を含む)である
特定の実施態様では、ポリカーボネートポリマーは、組み合わせたモノマー(II)および(III)を60モル%以上含有していなければならない。このようなポリカーボネートは、良好な耐化学性および高いガラス転移温度を有する。特定の実施態様では、ポリカーボネートポリマーは、組み合わせたモノマー(II)および(III)を66モル%有し、いくつか実施態様では、組み合わせたモノマー(II)および(III)を80モル%有する。ヒドロキノン含量が高いと、ポリカーボネートポリマーの良好な耐化学性が損なわれる。ポリカーボネートポリマー(A)が40モル%を超えるヒドロキノンを含有すると、ポリカーボネートポリマーは、結晶化する傾向がある。このようなポリカーボネートは、165℃以上のガラス転移温度(Tg)を有し得、これにより、ポリカーボネートが高熱用途に適したものとなる。ポリカーボネート(A)は、ポリスチレン標準に対して測定して、19,000以上、あるいは20,000以上の質量平均分子量を有していてもよい。他の実施態様では、ポリカーボネートポリマーは、少なくとも15モル%のPPPBPと、少なくとも25モル%のメチルヒドロキノンとを含む。他のさらなる実施態様では、ポリカーボネートポリマーは、少なくとも15モル%のPPPBPと、少なくとも25モル%のメチルヒドロキノンとを含み、組み合わせたメチルヒドロキノンおよびヒドロキノンを、少なくとも60モル%含む。
所望であれば、ポリカーボネート(A)は、追加の繰り返し単位を含有していてよい。一部の実施態様では、ポリカーボネート(A)は、ビスフェノールA(4,4’-ジヒドロキシ-2,2-ジフェニルプロパンとしても知られている)である第四のモノマー(IV)を有していてよい。ビスフェノールAは、ポリカーボネートポリマーの約10〜約20モル%を占めていてよい。しかし、特定の実施態様では、ポリカーボネート(A)は、モノマー(I)、(II)、および(III)の繰り返し単位を有するターポリマーである。
所望する場合、本組成物は、ポリカーボネート(A)に加えて、追加のポリカーボネートポリマーを含んでいてよい。本明細書において、「ポリカーボネート」および「ポリカーボネートポリマー」は、式(1):
Figure 2012514089
(式中、R1の合計数の60%以上のR1基は、芳香族有機基であり、その残りは、脂肪族基、脂環式基、または芳香族基である)
の繰り返し構造カーボネート単位を有する組成物を意味する。1つの実施態様では、各R1は、芳香族有機基、例えば、式(2):
Figure 2012514089
(式中、A1およびA2の各々は、単環式二価アリール基であり、Y1は、A1をA2から隔てる1個または2個の原子を有する架橋基である)
の基である。1つの例示的な実施態様では、1個の原子がA1をA2から隔てる。この種の基の具体的な非限定的例は、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、−C(O)−、メチレン、シクロヘキシル−メチレン、2−[2.2.1]−ビシクロヘプチリデン、エチリデン、イソプロピリデン、ネオペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロペンタデシリデン、シクロドデシリデン、およびアダマンチリデンである。この架橋基Y1は、炭化水素基であっても、メチレン、シクロヘキシリデン、もしくはイソプロピリデンなどの飽和炭化水素基であってもよい。
ポリカーボネートは、式:HO−R1−OH(式中、R1は、上述により定義したとおりである)を有するジヒドロキシ化合物の界面反応によって製造することができる。界面反応に適するジヒドロキシ化合物には、式(A)のジヒドロキシ化合物、および式(3):
Figure 2012514089
(式中、Y1、A1、およびA2は、上述したとおりである)
のジヒドロキシ化合物が含まれる。また、一般式(4):
Figure 2012514089
[式中、RaおよびRbは、それぞれ、ハロゲン原子または一価炭化水素基を表し、同じであっても異なっていてもよく;pおよびqは、それぞれ独立に、0から4の整数であり、Xaは、式(5):
Figure 2012514089
(式中、RcおよびRdは、それぞれ独立に、水素原子または一価の直鎖もしくは環式の炭化水素基であり、Reは、二価炭化水素基である)
の基の1つを表す]
のビスフェノール化合物も含まれる。
好適なジヒドロキシ化合物のいくつかの例示的で非限定的な例には以下が含まれる:レゾルシノール、4−ブロモレゾルシノール、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルメタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、1,1−ビス(ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)イソブテン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、trans−2,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブテン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンチン、アルファ,アルファ’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)トルエン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アセトニトリル、2,2−ビス(3−メチルー4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−n−プロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1−ジブロモ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1−ジクロロ−2,2−ビス(5−フェノキシ−4−ヒドロキシフェニル)エチレン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)2−ブタノン、1,6−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,6−ヘキサンジオン、エチレングリコールビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,7−ジヒドロキシピレン、6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチルスピロ(ビス)インダン(「スピロビインダン ビスフェノール」)、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタリド、2,6−ジヒドロキシジベンゾ−p−ジオキシン、2,6−ジヒドロキシチアンスレン、2,7−ジヒドロキシフェノキサシン、2,7−ジヒドロキシ−9,10−ジメチルフェナジン、3,6−ジヒドロキシジベンゾフラン、3,6−ジヒドロキシジベンゾチオフェン、2,7−ジヒドロキシカルバゾールなど、および前述のジヒドロキシ化合物の少なくとも1種を含む組合せ。
式(3)で表すことができるビスフェノール化合物の種類の具体的な例には、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下「ビスフェノールA」または「BPA」と称する)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−1−メチルフェニル)プロパン、および1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパンが含まれる。前述のジヒドロキシ化合物の少なくとも1種を含む組合せを使用することもできる。
分岐ポリカーボネート、ならびに線状ポリカーボネートと分岐ポリカーボネートとのブレンドも有用である。分岐ポリカーボネートは、重合中に分岐剤を添加することによって製造することができる。これらの分岐剤には、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボン酸無水物、ハロホルミル、および前述の官能基の混合から選択される少なくとも3個の官能基を有する多官能性有機化合物が含まれる。具体的な例には、トリメリット酸、トリメリット酸無水物、トリメリット酸トリクロライド、トリス−p−ヒドロキシフェニルエタン、イサチン−ビス−フェノール、トリス−フェノールTC〔1,3,5−トリス((p−ヒドロキシフェニル)イソプロピル)ベンゼン〕、トリス−フェノールPA〔4(4(1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−エチル)アルファ,アルファ−ジメチルベンジル)フェノール〕、4−クロロホルミルフタル酸無水物、トリメシン酸、およびベンゾフェノンテトラカルボン酸が含まれる。分岐剤は、約0.05質量%〜約2.0質量%の濃度で添加することができる。あらゆる種類のポリカーボネート末端基は、末端基が熱可塑性組成物の所望の特性に重大な影響を与えないという条件で、本熱可塑性組成物において有用であることが企図される。
適切なポリカーボネートは、界面重合および溶融重合などの方法によって製造することができる。界面重合の反応条件はさまざまであってよいが、例示的な方法は一般に、2価フェノール反応物を苛性ソーダまたはカリの水溶液に溶かすかまたは分散させる工程、得られた混合物を水に非混和性の適切な溶媒媒体に加える工程、および、制御されたpH条件(例えば、約8から約10びpH)の下で、適切な触媒(例えば、トリエチルアミン、または相間移動触媒)の存在下に、これらの反応物をカーボネート前駆体と接触させる工程を含む。最も広く使用される水に非相溶な溶媒には、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、トルエンなどが含まれる。適切なカーボネート前駆体には、例えば、カルボニルブロマイドまたはカルボニルクロライドなどのカルボニルハライド、あるいは、2価フェノールのビスハロホルメート(例えば、ビスフェノールA、ヒドロキノンなどのビスクロロホルメート)またはグリコールのビスクロロホルメート(例えば、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコールなどのビスハロホルメート)などのハロホルメートが含まれる。これらのタイプのカーボネート前駆体の少なくとも1種を含む組合せを使用することもできる。
ジカルボン酸自体を用いるよりも、対応する酸ハライド、特に酸ジクロライドおよび酸ジブロマイドなどの、酸の反応性誘導体を用いることが可能であり、時には好ましくさえある。こうして、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、またはこれらの混合物を用いる代わりに、イソフタロイルジクロライド、テレフタロイルジクロライド、およびこれらの混合物を用いることができる。
用いることができる相間移動触媒として、式(R3)4Q+Xの触媒があり、式中、各R3は同じであるかもしくは異なり、C1〜10アルキル基であり;Qは窒素原子またはリン原子であり;Xはハロゲン原子またはC1〜8アルコキシ基またはC6〜18アリールオキシ基である。好適な相間移動触媒には、例えば、[CH3(CH2)3]4NX、[CH3(CH2)3]4PX、[CH3(CH2)5]4NX、[CH3(CH2)6]4NX、[CH3(CH2)4]4NX、CH3[CH3(CH2)3]3NX、および、CH3[CH3(CH2)2]3NXが含まれ、式中、XはCl-、Br-、C1〜8アルコキシ基、またはC6〜18アリールオキシ基である。相間移動触媒の有効量は、ホスゲン化混合物中のビスフェノールの質量に基づいて、約0.1から約10質量%であってよい。別の実施態様では、相間移動触媒の有効量は、ホスゲン化混合物中のビスフェノールの質量に基づいて、約0.5から約2質量%であってよい。
別法として、溶融法をポリカーボネートの製造に用いてもよい。一般に、溶融重合法では、ポリカーボネートは、Banbury(商標)ミキサー、二軸押出機などにおいて、エステル交換触媒の存在下に、(複数の)ジヒドロキシ反応物とジアリールカーボネートエステル(例えば、ジフェニルカーボネート)を溶融状態において共反応させることによって均一な分散体を生成させることによって製造することができる。揮発性の1価フェノールを、蒸留によって溶融反応物から蒸留によって除去し、ポリマーを溶融残留物として単離する。
実施態様において、ジアリールカーボネートエステルが活性化カーボネートである。本明細書において、用語「活性化カーボネート」は、エステル交換反応に対してジフェニルカーボネートより反応性が高いジアリールカーボネートとして定義される。このような活性化カーボネートは、下記一般式:
Figure 2012514089
を有し、式中、Q及びQは、独立に、活性化基であり;Ar及びAr’は、独立に、芳香環であり;n及びn’は、0から、芳香環Ar及びAr’上に置換している置換可能な水素基の数までの値を有し、n+n’は、1以上であり;R及びR’は、独立に、1個〜30個の炭素原子を有する、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリール、アルキルアリール、シアノ、ニトロ、ハロゲンおよびカルボアルコキシから選択される。R基の数は、整数であり、0から、芳香環Ar上の置換可能な水素原子の数からnを引いた数までの数であってよい。R’基の数は、整数であり、0から、芳香環Ar’上の置換可能な水素原子の数からn’を引いた数までの数であってよい。芳香環Ar及びAr’上のR及びR’置換基の数および種類は、それらがカーボネートを不活性化し、ジフェニルカーボネートより反応性が低いカーボネートをもたらさない限り、制限されない。典型的には、R及びR’置換基は、パラ、オルト、またはこれらの2種の位置の組み合わせである。
適切な活性化基Q及びQの非限定的な例は、アルコキシカルボニル基、ハロゲン、ニトロ基、アミド基、スルホン基、スルホキシド基、イミン基、およびシアノ基である。
活性化カーボネートの具体的かつ非限定的な例には、ビス(o-メトキシカルボニルフェニル)カーボネート、ビス(o-クロロフェニル)カーボネート、ビス(o-ニトロフェニル)カーボネート、ビス(o-アセチルフェニル)カーボネート、ビス(o-フェニルケトンフェニル)カーボネート、ビス(o-ホルミルフェニル)カーボネート、およびビス(o-シアノフェニル)カーボネートが含まれる。Ar及びAr’上の置換数及び種類が異なる、これらの構造の非対称組合せを、カーボネート前駆体として使用することもできる。
とりわけ望ましいエステル置換ジアリールカーボネートは、以下の構造:
Figure 2012514089
(式中、R1は、独立に、C1〜20アルキル基、C4〜20シクロアルキル基、またはC4〜20芳香族基であり、R2は、独立に、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C1〜20アルキル基、C4〜20シクロアルキル基、C4〜20芳香族基、C1〜20アルコキシ基、C4〜20シクロアルコキシ基、C4〜20アリールオキシ基、C1〜20アルキルチオ基、C4〜20シクロアルキルチオ基、C4〜20アリールチオ基、C1〜20アルキルスルフィニル基、C4〜20シクロアルキルスルフィニル基、C4〜20アリールスルフィニル基、C1〜20アルキルスルホニル基、C4〜20シクロアルキルスルホニル基、C4〜20アリールスルホニル基、C1〜20アルコキシカルボニル基、C4〜20シクロアルコキシカルボニル基、C4〜20アリールオキシカルボニル基、C2〜60アルキルアミノ基、C6〜60シクロアルキルアミノ基、C5〜60アリールアミノ基、C1〜40アルキルアミノカルボニル基、C4〜20シクロアルキルアミノカルボニル基、C4〜40アリールアミノカルボニル基、またはC1〜40アシルアミノ基であり、bは、出現するごとに独立に、0〜4の整数である)
を有する。置換基-CO2R1の少なくとも1個は、カーボネート基に対してオルトの位置に結合していることが好ましい。
例示的なエステル置換ジアリールカーボネートには、これらだけに限定されないが、ビス(メチルサリチル)カーボネート(BMSCとも称される)(CAS登録番号82091-12-1)、ビス(エチルサリチル)カーボネート、ビス(プロピルサリチル)カーボネート、ビス(ブチルサリチル)カーボネート、ビス(ベンジルサリチル)カーボネート、ビス(メチル-4-クロロサリチル)カーボネートなどが含まれる。典型的には、ビス(メチルサリチル)カーボネートが、溶融ポリカーボネート合成において用いるために望ましい。これは、ビス(メチルサリチル)カーボネートが、より高価ではない材料から製造されること、分子量がより低いこと、及び蒸気圧がより高いことによる。
特定のジアリールカーボネートが活性化されているか活性化されていないかを決定する1つの方法は、この特定のジアリールカーボネートとフェノール(例えば、パラ-クミルフェノールなど)との間のモデルエステル交換反応を実施する方法である。パラ-クミルフェノールが好ましいのは、1つの反応性部位のみを有し、低い揮発性を有し、ビスフェノールAと同等の反応性を有しているからである。このモデルエステル交換反応を、特定のジアリーリカーボネートおよびパラ-クミルフェノールの融点より高い温度で、かつ、エステル交換触媒の存在下で実施する。エステル交換触媒は、通常、水酸化ナトリウムまたはナトリウムフェノキシドの水溶液である。エステル交換触媒の好ましい濃度は、フェノールまたはジアリールカーボネートのモル数に基づいて、約0,001モル%である。好ましい反応温度は、200℃である。条件および触媒濃度の選択を、反応物質の反応性および反応物質の融点に応じて調節して、都合のよい反応速度にすることができる。反応温度についての唯一の制限は、反応物質の分解温度未満の温度でなければならないことである。反応温度が反応物質の揮発を引き起こして反応物質のモルバランスに悪影響を与える場合には、密封管を用いることができる。反応物質の平衡濃度の決定は、反応の途中で反応試料を採取し、次いで、この反応混合物の分析を、当業者に公知の検出方法、例えば、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)を用いて行うことによって達成する。試料を反応槽から取り出した後で、反応が継続しないように、特別の注意を払う必要がある。これは、試料を氷浴中で冷却し、かつ、HPLC溶媒系の水相に酢酸などの反応を停止させる酸を採用して組み入れることによって達成することができる。反応を停止させる酸を反応試料に導入すると共に、反応混合物を冷却することも望ましい。HPLC溶媒系の水相中の酢酸の望ましい濃度は、0.05容積%である。平衡定数を、平衡に達した後の反応物質濃度および生成物濃度から決定することができる。平衡は、反応混合物中の成分の濃度が反応混合物の試料採取によってもはや変化しないかわずかしか変化しなくなった時に達成されたと考える。平衡定数は、当業者に良く知られている方法によって、平衡時の反応物質濃度および生成物濃度から決定することができる。1より大きい平衡定数を有するジアリールカーボネートは、ジフェニルカーボネートより有利な平衡を有し、活性化カーボネートであると考えられ、1以下の平衡定数を有するジアリールカーボネートは、ジフェニルカーボネートより不利な平衡を有し、活性化カーボネートではないと考えられる。一般に、エステル交換反応を行う場合にジフェニルカーボネートと比較して非常に高い反応性を有する活性化カーボネートを採用することが好ましい。好ましい活性化カーボネートは、ジアリールカーボネートの平衡定数より少なくとも10倍大きな平衡定数を有するカーボネートである。
カーボネート基のオルト位に存在するときに、活性化カーボネートを生じないと予想される非活性化基の幾つかの非限定的な例は、アルキル基およびシクロアルキル基である。非活性化カーボネートの幾つかの具体的な非限定的な例は、ビス(o-メチルフェニル)カーボネート、ビス(p-クミルフェニル)カーボネート、ビス(p-(1,1,3,3-テトラメチル)ブチルフェニル)カーボネートである。これらの構造の非対称の組合せを、非活性化カーボネートとして使用することもできる。
本明細書において用いる「ポリカーボネート」および「ポリカーボネートポリマー」には、さらに、ポリカーボネートと、カーボネート鎖単位を含む他のコポリマーとのブレンドを含む。例示的なコポリマーは、ポリエステルカーボネートであり、コポリエステルポリカーボネートとしても知られている。このようなコポリマーは、式(1)の繰り返しカーボネート鎖単位に加えて、式(6):
Figure 2012514089
(式中、Dは、ジヒドロキシ化合物から誘導される二価の基であり、例えば、C210アルキレン基、C620脂環式基、C620芳香族基、または、アルキレン基が2から6個の炭素原子、特に2、3、もしくは4個の炭素原子を含むポリオキシアルキレン基であってよく;Tは、ジカルボン酸から誘導される二価の基であり、例えば、C210アルキレン基、C620脂環式基、C620アルキル芳香族基、またはC620芳香族基であってよい)
の繰り返し単位をさらに含む。
1つの実施態様では、DはC26アルキレン基である。別の実施態様では、Dは式(7):
Figure 2012514089
(式中、各Rkは、独立に、ハロゲン原子、C110炭化水素基、またはC110ハロゲン置換炭化水素基であり、nは0から4である)
の芳香族ジヒドロキシ化合物から誘導される。ハロゲンは、通常は臭素である。式(7)によって表され得る化合物の例には、レゾルシノール、置換レゾルシノール化合物(例えば、5−メチルレゾルシノール、5−エチルレゾルシノール、5−プロピルレゾルシノール、5−ブチルレゾルシノール、5−t−ブチルレゾルシノール、5−フェニルレゾルシノール、5−クミルレゾルシノール、2,4,5,6−テトラフルオロレゾルシノール、2,4,5,6−テトラブロモレゾルシノールなど);カテコール;ヒドロキノン;置換ヒドロキノン(例えば、2−メチルヒドロキノン、2−エチルヒドロキノン、2−プロピルヒドロキノン、2−ブチルヒドロキノン、2−t−ブチルヒドロキノン、2−フェニルヒドロキノン、2−クミルヒドロキノン、2,3,5,6−テトラメチルヒドロキノン、2,3,5,6−テトラ−t−ブチルヒドロキノン、2,3,5,6−テトラフルオロヒドロキノン、2,3,5,6−テトラブロモヒドロキノンなど);または前述の化合物の少なくとも1種を含む組合せが含まれる。
これらのポリエステルを製造するために使用し得る芳香族ジカルボン酸の例には、イソフタル酸もしくはテレフタル酸、1,2−ジ(p−カルボキシフェニル)エタン、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ビス安息香酸、および前述の酸の少なくとも1種を含む混合物が含まれる。1,4−、1,5−、または2,6−ナフタレンジカルボン酸などのように、縮合環を有する酸も存在しうる。具体的なジカルボン酸は、テトラフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、またはその混合物である。特定のジカルボン酸には、テレフタル酸対イソフタル酸の質量比が約10:1から約0.2:9.8であるイソフタル酸とテレフタル酸との混合物が含まれる。別の特定の実施態様では、Dは、C26アルキレン基であり、Tは、p−フェニレン、m−フェニレン、ナフタレン、二価の脂環式基、またはこれらの混合物である。このクラスのポリエステルには、ポリ(アルキレンテレフタレート)が含まれる。
他の実施態様では、ポリ(アルキレンテレフタレート)を使用することができる。好適なポリ(アルキレンテレフタレート)の具体的な例は、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)(PBT)、ポリ(エチレンナフトエート)(PEN)、ポリ(ブチレンナフトエート)(PBN)、ポリ(プロピレンテレフタレート)(PPT)、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート(PCT)、および前述のポリエステルの少なくとも1種を含む組合せである。上述したポリエステルであって、少量、例えば、0.5質量%〜10質量%の脂肪族二酸および/または脂肪族ポリオールを含むものも、コポリエステルを製造するための脂肪族ポリオールとして企図する。
アルキレンテレフタレート繰り返しエステル単位を他のエステル基と共に含むコポリマーも有用である。有用なエステル単位には、さまざまなアルキレンテレフタレート単位が含まれ、これらの単位は個々の単位としてポリマー鎖内に存在しうるか、あるいは、ポリ(アルキレンテレフタレート)のブロックとして存在することができる。このようなコポリマーの具体例には、ポリ(シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)-コ-ポリ(エチレンテレフタレート)が含まれ、ポリ(エチレンテレフタレート)を50モル%以上含むこのポリマーはPETGと略され、ポリ(1,4-シクロヘキサンジジメチレンテレフタレート)を50モル%以上含むこのポリマーはPCTGと略される。
ポリ(シクロアルキレンテレフタレート)には、ポリ(アルキレンシクロヘキサンジカルボキシレート)も含まれ得る。この中で、特定の例、はポリ(1,4-シクロヘキシレンジメタノール-1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート)(PCCD)であり、式(8)の繰り返し単位を有する。
Figure 2012514089
この場合、式(6)を用いて記述すると、Rは、1,4-シクロヘキシレンジメタノールから誘導された1,4-シクロヘキサンジメチレン基であり、Tは、シクロヘキサンジカルボキシレートまたはその化学的等価体から誘導されたシクロヘキサン環であって、シス異性体であっても、トランス異性体であっても、前述した異性体の少なくとも1種を含む組合せであってもよい。
別の例示的なコポリマーは、ポリカーボネートブロックと、ポリシロキサンブロックとを含むコポリマー(ポリカーボネート−ポリシロキサンコポリマーとしても知られている)である。このコポリマー中のポリカーボネートブロックは、上述した式(1)の繰り返し構造単位(例えば、Rが上述した式(2)であるもの)を含む。これらの単位は、上述した式(3)のジヒドロキシ化合物の反応から誘導することができる。
ポリジオルガノシロキサンブロックは、式(9):
Figure 2012514089
の繰り返し構造単位を含む(本明細書において「シロキサン」と称する場合がある)。式中、Rは、出現ごとに同じであっても異なっていてもよく、C1〜C13有機基である。例えば、Rは、C1〜C13アルキル基、C1〜C13アルコキシ基、C2〜C13アルケニル基、C2〜C13アルケニルオキシ基、C3〜C6シクロアルキル基、C3〜C6シクロアルコキシ基、C6〜C10アリール基、C6〜C10アリールオキシ基、C7〜C13アラルキル基、C7〜C13アラルコキシ基、C7〜C13アルカリール基、またはC7〜C13アルカリールオキシ基であることができる。前述のR基の組合せを、同じコポリマー内で使用することができる。
式(9)におけるDの値は、熱可塑性組成物中の各成分の種類および相対的量、組成物の所望の特性、ならびに同様の考慮事項に依存して広範に変わりうる。一般に、Dは、2から約1,000、特に約2から約500、より特に約5から約100の平均値を有することができる。1つの実施態様では、約Dは10から約75の平均値を有し、なお別の実施態様では、Dは約20から約60の平均値を有する。Dが比較的低い値、例えば、40未満である場合、ポリカーボネート−ポリシロキサンコポリマーの比較的多い量を使用することが望ましい場合がある。逆に、Dが高い値、例えば、約40を超える場合、ポリカーボネート−ポリシロキサンコポリマーの比較的少ない量を使用することが必要である場合がある。
第1および第2の(またはさらなる)ポリカーボネート−ポリシロキサンコポリマーの組合せを使用することができ、ここで第1のコポリマーのDの平均値は、第2のコポリマーのDの平均値より小さい。
1つの実施態様では、ポリジオルガノシロキサンブロックは、式(10):
Figure 2012514089
(式中、Dは上述したとおりであり;各Rは、同じであるかまたは異なり、上述により定義したとおりであり;Arは、同じであるかまたは異なり、置換または非置換のC6〜C30アリーレン基であり、式中、結合は芳香族部分に直接結合している)
の繰り返し構造単位によって与えられる。式(10)における好適なAr基は、C6〜C30ジヒドロキシアリーレン化合物、例えば、上述した式(3)、(4)、または(7)のジヒドロキシアリーレン化合物から誘導することができる。上述したジヒドロキシアリーレン化合物の少なくとも1種を含む組合せも使用することができる。好適なジヒドロキシアリーレン化合物の特定の例は、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−1−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニルスルフィド)、および1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパンである。前述のジヒドロキシ化合物の少なくとも1種を含む組合せも使用することができる。
このような単位は、式(11):
Figure 2012514089
(式中、ArおよびDは、上述により定義したとおりである)
の相当するジヒドロキシ化合物から誘導することができる。このような化合物は、Kressらの米国特許第4,746,701号にさらに記載されている。式(11)の化合物は、相間移動条件下でジヒドロキシアリーレン化合物と、例えば、アルファ、オメガ−ビスアセトキシポリジオルガノシロキサンとを反応させることによって得ることができる。
別の実施態様では、ポリジオルガノシロキサンブロックは、式(12):
Figure 2012514089
の繰り返し構造単位を含む。式(12)において、RおよびDは、上述により定義したとおりである。式(12)中のRは、二価のC2〜C8脂肪族基である。式(14)における各Mは、同じであるかまたは異なり、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1〜C8アルキルチオ、C1〜C8アルキル、C1〜C8アルコキシ、C2〜C8アルケニル、C2〜C8アルケニルオキシ基、C3〜C8シクロアルキル、C3〜C8シクロアルコキシ、C6〜C10アリール、C6〜C10アリールオキシ、C7〜C12アラルキル、C7〜C12アラルコキシ、C7〜C12アルカリール、またはC7〜C12アルカリールオキシであってよく、ここで、各nは、独立に、0、1、2、3、または4である。
1つの実施態様では、Mは、ブロモもしくはクロロ、アルキル基(例えば、メチル、エチル、またはプロピルなど)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、またはプロポキシなど)、またはアリール基(例えば、フェニル、クロロフェニル、またはトリルなど)であり;R2は、ジメチレン基、トリメチレン基、またはテトラメチレン基であり;Rは、C18アルキル、ハロアルキル(例えば、トリフルオロプロピルなど)、シアノアルキル、またはアリール(例えば、フェニル、クロロフェニル、またはトリルなど)である。別の実施態様では、Rは、メチル、またはメチルとトリフルオロプロピルとの混合、またはメチルとフェニルとの混合である。なお別の実施態様では、Mはメトキシであり、nは1であり、R2は二価C1〜C3脂肪族基であり、Rはメチルである。
これらの単位は、相当するジヒドロキシポリジオルガノシロキサン(13):
Figure 2012514089
(式中、R、D、M、R2、およびnは、上述したとおりである)
から誘導することができる。
このようなジヒドロキシポリシロキサンは、式(14):
Figure 2012514089
(式中、RおよびDは、上述により定義したとおりである)
の水素化シロキサンと、脂肪族不飽和一価フェノールとの間の白金触媒付加反応によって製造することができる。好適な脂肪族不飽和の一価フェノールには、例えば、オイゲノール、2−アルキルフェノール、4−アリル−2メチルフェノール、4−アリル−2−フェニルフェノール、4−アリル−2−ブロモフェノール、4−アリル−2−t−ブトキシフェノール、4−フェニル−2−フェニルフェノール、2−メチル−4−プロピルフェノール、2−アリル−4,6−ジメチルフェノール、2−アリル−4−ブロモ−6−メチルフェノール、2−アリル−6−メトキシ−4−メチルフェノール、および2−アリル−4,6−ジメチルフェノールが含まれる。前述の少なくとも1種を含む混合物を使用することもできる。
ポリカーボネート−ポリシロキサンコポリマーは、ジフェノール性ポリシロキサン(13)とカーボネート源及び式(3)のジヒドロキシ芳香族化合物との反応によって、場合により上述した相間移動触媒の存在下で製造することができる。適切な条件はポリカーボネートを形成する際に有用な条件と類似である。例えば、コポリマーは、0℃未満〜約100℃、好ましくは約25〜約50℃の温度でホスゲン化により製造される。この反応は発熱であるので、ホスゲン添加の速度を用いて反応温度を制御することができる。必要とされるホスゲンの量は、一般に、二価の反応体物質の量に依存する。別法として、ポリカーボネート‐ポリシロキサンコポリマーは、上述したエステル交換触媒の存在下で、ジヒドロキシモノマーと、ジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネートエステルとを溶融状態で同時に反応させることによって製造することができる。
ポリカーボネート‐ポリシロキサンコポリマーの製造の際、ジヒドロキシポリジオルガノシロキサンの量は、コポリマー中に所望の量のポリジオルガノシロキサン単位が得られるように選択する。ポリジオルガノシロキサン単位の量は広く変化させることができ、すなわち、約1質量%〜約99質量%のポリジメチルシロキサン、または等モル量の別のポリジオルガノシロキサンであり得、残りがカーボネート単位である。従って、使用する特定の量は、熱可塑性組成物の所望の物理的性質、Dの値(2〜約1000の範囲内)、ならびに、熱可塑性組成物中の各成分の種類と相対量(ポリカーボネートの種類と量を含む)、衝撃改良剤の種類と量、ポリカーボネート‐ポリシロキサンコポリマーの種類と量、およびその他の添加剤の種類と量に応じて決定される。ジヒドロキシポリジオルガノシロキサンの適切な量は、当業者が本明細書に教示されている指針を用いて必要以上の実験をすることなく決定することができる。例えば、ジヒドロキシポリジオルガノシロキサンの量は、約1質量%〜約75質量%、または約1質量%〜約50質量%のポリジメチルシロキサン、または等モル量の別のポリジオルガノシロキサンを含むコポリマーが生成するように選択され得る。1つの実施形態では、コポリマーは、約5質量%〜約40質量%、場合により約5質量%〜約25質量%のポリジメチルシロキサン、または等モル量の別のポリジオルガノシロキサンを含み、残りの量がカーボネート単位であってよい。特定の実施例では、コポリマーは約20質量%のシロキサンを含んでいてよい。
本熱可塑性組成物は、熱可塑性組成物の衝撃強度を高めるために1種以上の耐衝撃性改良剤(B)をさらに含む。耐衝撃性改良剤には、エラストマー改質グラフトコポリマーが含まれる。このエラストマー改質グラフトコポリマーは、(i)10℃未満、より特に−10℃未満、またはより特に−40℃から−80℃のTgを有するエラストマー性(例えば、ゴム状)ポリマー基材と、(ii)このエラストマー性ポリマー基材にグラフトした硬質ポリマー上層とを含むコポリマーを含む。知られているとおり、エラストマー改質グラフトコポリマーは、最初にエラストマー性ポリマーを製造し、次いで、このエラストマーの存在下で剛性相の構成モノマーを重合させて、グラフトコポリマーを得ることによって製造することができる。グラフトは、グラフト分岐として結合していても、エラストマーコアに対するシェルとして結合していてもよい。シェルは、物理的にコアを被包しているだけでもよく、あるいは、シェルは、部分的もしくは実質的に完全にコアにグラフトしていてもよい。
エラストマー相として使用するために好適な材料には、例えば、共役ジエンゴム;共役ジエンと50質量%未満の共重合性モノマーとのコポリマー;オレフィンゴム〔例えば、エチレン−プロピレンコポリマー(EPR)またはエチレン−プロピレン−ジエンモノマーゴム(EPDM)など〕;エチレン−酢酸ビニルゴム;シリコ−ンゴム;エラストマー性C18アルキル(メタ)アクリレート;C18アルキル(メタ)アクリレートと、ブタジエンおよび/またはスチレンとのエラストマー性コポリマー;または前述したエラストマーの少なくとも1種を含む組合せが含まれる。本明細書において、用語「(メタ)アクリレートモノマー」は、アクリレートモノマーおよびメタクリレートモノマーを総称して指す。
エラストマー相を製造するための適切な共役ジエンモノマーは、式(15)のモノマーである。
Figure 2012514089
式中、各Xbは独立に、水素、C1〜C5アルキルなどである。使用することができる共役ジエンモノマーの例は、ブタジエン、イソプレン、1,3-ヘプタジエン、メチル-1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-エチル-1,3-ペンタジエン、1,3-および2,4-ヘキサジエンなど、ならびに、前述した共役ジエンモノマーの少なくとも1種を含む混合物である。特定の共役ジエンホモポリマーには、ポリブタジエンおよびポリイソプレンが含まれる。
共役ジエンゴムのコポリマー(例えば、共役ジエンと、共役ジエンと共重合可能な1種または複数種のモノマーとの水性乳化ラジカル重合によって製造されるコポリマー)を用いることもできる。共役ジエンとの共重合に適したモノマーには、縮合芳香環構造を有するビニル芳香族モノマー(例えば、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンなど)、または式(16)のモノマーが含まれる。
Figure 2012514089
式中、各Xcは独立に、水素、C1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、C6〜C12アリール、C7〜C12アリールアルキル、C7〜C12アルキルアリール、C1〜C12アルコキシ、C3〜C12シクロアルコキシ、C6〜C12アリールオキシ、クロロ、ブロモ、またはヒドロキシであり、Rは、水素、C1〜C5アルキル、ブロモ、またはクロロである。使用し得る適切なモノビニル芳香族モノマーには、スチレン、3-メチルスチレン、3,5-ジエチルスチレン、4-n-プロピルスチレン、α-メチルスチレン、α-メチルビニルトルエン、α-クロロスチレン、α-ブロモスチレン、ジクロロスチレン、ジブロモスチレン、tetra-クロロスチレンンなど、および前述した化合物の少なくとも1種を含む組合せが含まれる。スチレンおよび/またはα-メチルスチレンは、共役ジエンモノマーと共重合可能なモノマーとして使用することができる。
共役ジエンと共重合し得る他のモノマーは、モノビニルモノマー、例えば、イタコン酸、アクリルアミド、N-置換アクリルアミド、またはメタクリルアミド、無水マレイン酸、マレイミド、N-アルキル-、アリール-、もしくはハロアリール-置換マレイミド、グリシジル(メタ)アクリレート、および一般式(17)のモノマーなどである。
Figure 2012514089
式中、Rは、水素、C1〜C5アルキル、ブロモ、またはクロロであり、Xdは、シアノ、C1〜C12アルコキシカルボニル、C1〜C12アリールオキシカルボニル、ヒドロキシカルボニルなどである。式(17)のモノマーの例には、アクリロニトリル、エタクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、β-クロロアクリロニトリル、α-ブロモアクリロニトリル、アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートなど、およびこれらのモノマーの少なくとも1種を含む組合せが含まれる。例えば、n-ブチルアクリレート、エチルアクリレート、および2-エチルへキシルアクリレートなどのモノマーは、共役ジエンモノマーと共重合可能なモノマーとして広く用いられている。これらのモノビニルモノマーとモノビニル芳香族モノマーとの混合物を用いてもよい。
ポリマー骨格の存在下で重合することができるグラフトモノマーの第二の種類は、式(18)のアクリル酸モノマーである。
Figure 2012514089
式中、Xbは前述したとおりであり、Y2は、シアノ、C1〜C12アルコキシカルボニルなどである。このようなアクリルモノマーの例には、アクリロニトリル、エタクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、β-クロロアクリロニトリル、α-ブロモアクリロニトリル、β-ブロモアクリロニトリル、メチルアクリレート、前述したモノマーの少なくとも1種を含む組合せが含まれる。
エラストマー相として使用するのに適する適切な(メタ)アクリレートモノマーは、架橋して、C1〜C8アルキル(メタ)アクリレート、特に、C4〜6アルキルアクリレート(例えば、n-ブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートなど)、およびこれらのモノマーの少なくとも1種を含む組合せの、微粒子状乳化ホモポリマーまたはコポリマーを形成することができる。C1〜C8アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、任意選択で、最高で15質量%までの式(15)、(16)、(17)、または(18)のコモノマーと混合して重合してもよい。例示的なコモノマーには、これらだけに限られないが、ブタジエン、イソプレン、スチレン、メチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、フェネチルメタクリレート、N-シクロヘキシルアクリルアミド、ビニルメチルエーテル、またはアクリロニトリル、および前述したコモノマーの少なくとも1種を含む混合物が含まれる。任意選択で、最高で5質量%までの多官能架橋性コモノマー、例えば、ジビニルベンゼン、アルキレンジオールジ(メタ)アクリレート(例えば、グリコールビスアクリレート)、アルキレントリオールトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ビスアクリルアミド類、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、アリル(メタ)アクリレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート、ジアリルアジペート、クエン酸のトリアリルエステル、リン酸のトリアリルエステルなど、ならびに前述した架橋剤の少なくとも1種を含む組合せが存在してもよい。
エラストマー相は、塊状、乳化、懸濁、溶液法、または塊状-懸濁、乳化-塊状、塊状-溶液などの組み合わせた方法、あるいは他の技法によって、連続式、半回分式、または回分式で重合することができる。エラストマー基質の粒径は重要ではない。エマルジョン系重合ゴムラテックスでは、例えば、約0.001から約25マイクロメートル、特に、約0.01から約15マイクロメートル、さらに特に、約0.1から約8マイクロメートルの平均粒径を用いることができる。塊状重合ゴム基質では、約0.5から約10マイクロメートル、特に、約0.6から約1.5マイクロメートルの粒径を用いることができる。粒径は、簡単な光透過法またはキャピラリーハイドロダイナミッククロマトグラフィー(CHDF)によって測定することができる。エラストマー相は、微粒子状の、中程度に架橋された共役ブタジエンゴムまたはC4〜6アルキルアクリレートゴムであってよく、70%より高いゲル含量を有することが好ましい。ブタジエンゴムと、スチレンゴムおよび/またはC4〜6アルキルアクリレートゴムとの混合物も好適である。
エラストマー相は、全グラフトコポリマーの約5から約95質量%を占め、さらに特に、エラストマー改質グラフトコポリマーの約20から約90質量%、なお一層特に、約40から約85質量%を占め、残りの部分は剛性グラフト相である。
エラストマー改質グラフトコポリマーの剛性相は、モノビニル芳香族モノマーと、任意選択で1種以上のコモノマーとを含む混合物を、1種以上のエラストマーポリマー基質の存在下でグラフト重合することによって形成させることができる。式(16)の上述したモノビニル芳香族モノマーを剛性グラフト相に用いることができ、これらには、スチレン、α-メチルスチレン、ハロスチレン(例えば、ジブロモスチレン)、ビニルトルエン、ビニルキシレン、ブチルスチレン、パラ-ヒドロキシスチレン、メトキシスチレンなど、またはこれらのモノビニル芳香族モノマーの少なくとも1種を含む組合せが含まれる。適切なコモノマーには、例えば、前述したモノビニルモノマーおよび/または一般式(17)のモノマーが含まれる。1つの実施態様において、Rは水素またはC1〜C2アルキルであり、XdはシアノまたはC1〜C12アルコキシカルボニルである。剛性相に使用するのに適するコモノマーの具体例には、アクリロニトリル、エタクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレートなど、および前述したコモノマーの少なくとも1種を含む組合せが含まれる。
剛性グラフト相におけるモノビニル芳香族モノマーとコモノマーとの相対比は、エラストマー基質のタイプ、モノビニル芳香族モノマーのタイプ、コモノマーのタイプ、および耐衝撃性改良剤の所望の性質に応じて広く変わり得る。剛性相は、一般に、最高で100質量%までのモノビニル芳香族モノマー、特に、約30質量%〜約100質量%、さらに特に、約50質量%〜約90質量%のモノビニル芳香族モノマーを含んでいてもよく、残りの部分がコモノマーである。
存在するエラストマー改質ポリマーの量に応じて、グラフトされていない剛性ポリマーもしくはコポリマーの分離したマトリックスもしくは連続相が、エラストマー改質グラフトコポリマーと共に、同時に得られ得る。典型的には、このような耐衝撃性改良剤は、耐衝撃性改良剤の合計質量に基づいて、約40質量%〜約95質量%のエラストマー改質グラフトコポリマーと、約5質量%〜約65質量%のグラフト(コ)ポリマーとを含む。別の実施態様において、このような耐衝撃性改良剤は、耐衝撃性改良剤の合計質量に対して、約50質量%〜約85質量%、さらに特に、約75質量%〜約85質量%のゴム改質グラフトコポリマーを、約15質量%〜約50質量%、さらに特に、約15質量%〜から約25質量%のグラフト(コ)ポリマーと共に含む。
エラストマー改質耐衝撃性改良剤の別の種類は、少なくとも1種のシリコンゴムモノマー;式:H2C=C(R)C(O)OCH2CH2(式中、Rは水素またはC1〜C8線状もしくは分岐のヒドロカルビル基であり、Rは分岐のC3〜C16ヒドロカルビル基である)を有する分岐アクリレートゴムモノマー;第1のグラフト結合モノマー;重合性アルケニル含有有機物質;および第2のグラフト結合モノマーから誘導される構造単位を含む。シリコーンゴムモノマーは、例えば、環状シロキサン、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、(アクリルオキシ)アルコキシシラン、(メルカプトアルキル)アルコキシシラン、ビニルアルコキシシラン、または、アリルアルコキシシラン、例えば、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、および/またはテトラエトキシシランを、単独でもしくは組み合わせて含み得る。
例示的な分岐状アクリルゴムモノマーには、イソオクチルアクリレート、6-メチルオクチルアクリレート、7-メチルオクチルアクリレート、6-メチルヘプチルアクリレートなどが、単独でもしくは組み合わせて含まれる。重合性アルケニル含有有機物質は、単独でもしくは組み合わせて、例えば、式(16)または(17)のモノマー〔例えば、スチレン、α-メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、または、非分岐(メタ)アクリレート(例えば、メチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレートなど)〕であってよい。
少なくとも1種の第1のグラフト連結モノマーは、単独でもしくは組み合わせて、(アクリルオキシ)アルコキシシラン、(メルカプトアルキル)アルコキシシラン、ビニルアルコキシシラン、または、アリルアルコキシシランであってよい。例えば、(γ-メタクリルオキシプロピル)(ジメトキシ)メチルシランおよび/または(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシランである。少なくとも1種の第2のグラフト連結モノマーは、単独でもしくは組み合わせて、少なくとも1個のアリル基を有するポリエチレン性不飽和化合物、例えば、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、またはトリアリルイソシアヌレートである。
これらのシリコーン-アクリレート耐衝撃性改良剤組成物は乳化重合によって製造することができ、この場合、例えば、少なくとも1種のシリコーンゴムモノマーを、少なくとも1種の第1のグラフト連結モノマーと、例えばドデシルベンゼンスルホン酸などの界面活性剤の存在下、約30℃から約110℃の温度で反応させて、シリコーンゴムラテックスを生成させる。別法として、例えばシクロオクタメチルテトラシロキサンなどの環状シロキサンと、テトラエトキシオルソシリケートとを、例えば(γ-メタクリルオキシプロピル)メチルジメトキシシランなどの第1のグラフト連結モノマーと共に反応させて、約100ナノメートルから約2ミクロンの平均粒径を有するシリコーンゴムを得てもよい。次いで、少なくとも1種の分岐状アクリレートゴムモノマーを、このシリコーンゴム粒子と、過酸化ベンゾイルなどのフリーラジカル発生重合触媒の存在下で、任意選択で架橋モノマー(例えば、アリルメタクリレート)の存在の下で重合させる。次に、このラテックスを、重合性アルケニル含有有機物質および第2のグラフト連結モノマーと反応させる。このシリコーン-アクリレートのグラフトゴムハイブリッドのラテックス粒子を、凝集により(凝結剤による処理により)水性相から分離し、乾燥し微粉末にして、シリコーン-アクリレートゴム耐衝撃性改良剤組成物を形成させることができる。この方法は一般に、約100ナノメートルから約2マイクロメートルの粒径を有するシリコーン-アクリレート耐衝撃性改良剤を製造するために用いることができる。
前述したエラストマー改質グラフトコポリマーを形成させるための公知の方法には、連続式、半回分式、または回分式を用いる、塊状法、乳化法、懸濁法、溶液法、または、塊状-懸濁、乳化-塊状、塊状-溶液のような組み合わせた方法、あるいは他の技法が含まれる。
所望であれば、上述した種類の耐衝撃性改良剤を、C6〜C30脂肪酸のアルカリ金属塩(例えば、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸リチウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウムなど)、アルカリ金属カーボネート、アミン(例えば、ドデシルジメチルアミン、ドデシルアミンなど)、およびアミン類のアンモニウム塩などの塩基性物質、または他の物質(例えば、酸、分解触媒を含有する酸)を全く含まないエマルジョン重合法によって製造することができる。このような物質は、一般に、エマルジョン重合における界面活性剤として使用され、ポリカーボネートのエステル交換および/または分解を触媒し得る。変わりに、イオン性スルフェート、スルホネート、またはホスホネートの界面活性剤を、耐衝撃性改良剤、特に、耐衝撃性改良剤のエラストマー性基質部分の製造において使用することができる。適切な界面活性剤には、例えば、C1〜C22アルキルまたはC7〜C25アルキルアリールスルホネート、C1〜C22アルキルまたはC7〜C25アルキルアリールスルフェート、C1〜C22アルキルまたはC7〜C25アルキルアリールホスフェート、置換シリケート、およびこれらの混合物が含まれる。特定の界面活性剤は、C6〜C16、特にC8〜C12のアルキルスルホネートである。このエマルジョン重合法は、Rohm & Haas社およびSABIC Innovative Plastics社(旧General Electric Company社)などの会社のさまざまな特許および文献に記載および開示されている。実施においては、脂肪酸のアルカリ金属塩、アルカリ金属カーボネート、および他の塩基性物質を含まない限り、任意の上述した耐衝撃性改良剤を使用することができる。
この種類の特定の耐衝撃性改良剤は、ブタジエン基質が上述したスルホネート、スルフェート、またはホスフェートを使用して調製される、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン(MBS)耐衝撃性改良剤である。他の例示的なエラストマー改質グラフトコポリマーには、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、アクリロニトリル−スチレン−ブチルアクリレート(ASA)、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(MABS)、およびアクリロニトリル−エチレン−プロピレン−ジエン−スチレン(AES)が含まれる。
いくつかの実施態様では、耐衝撃性改良剤は、高ゴム含量(すなわち、グラフトポリマーの50質量%以上、場合により60質量%以上のゴム含量)を有するグラフトポリマーである。ゴムは、グラフトポリマーの95質量%以下、場合により90質量%以下の量で存在することが好ましい。
特定の実施例では、耐衝撃性改良剤(B)を、ABS、MBS、およびこれらの組み合わせから選択する。好適なABS樹脂は、SABIC Innovative Plastics社からBLENDEX(登録商標)のグレード131、336、338、360、および415として市販されている。
所望する場合、本熱可塑性組成物は、タルク充填剤(C)をさらに含んでいてよい。一般に、タルクは、繊維状、モジュール状(modular)、針状、ラメラ状を含む如何なる形態のものであってもよい。所望する場合、タルクは、導電性を容易にするために金属材料の層でコーティングされていてもよく、あるいは、ポリマーマトリックス樹脂との接着性および分散性を高めるためにシランで表面処理されていてもよい。タルクは、酸または酸の塩(例えば、亜リン酸またはリン酸など)で処理されていてもよい。このような実施態様では、酸のタルクに対する質量比、すなわち酸:タルク質量比は、約0.02〜約0.04であってよい。
いくつかの実施態様では、本熱可塑性組成物は、約45質量%〜約98質量%のポリカーボネートポリマー(A);および約2質量%〜約40質量%の耐衝撃性改良剤(B)を含む。充填剤(C)が存在する場合、組成物の0〜約25質量%を占めていてよい。他の実施態様では、タルク充填剤は、組成物の5〜約20質量%を占める。
追加的な実施態様では、本熱可塑性組成物は、スチレン-アクリロニトリル(SAN)ポリマー(D)を、熱可塑性組成物の約5質量%〜約10質量%の量でさらに含む。このSANポリマーは、ポリマー成分(A)および(B)を相溶化させ、熱可塑性組成物の流動性を高める働きをすることができる。耐衝撃性改良剤(B)として用いることができるABSポリマーおよび他のゴムをベースとするポリマーは、「フリーの(free)」スチレン-アクリロニトリルコポリマーを、ABSポリマーの製造の際のブタジエンとの不完全な重合の結果として含み得ることに注目されたい。この「フリーの」SAN含量は、ABSポリマーの1桁の%〜50%までの範囲であり得る。ABSポリマー中もしくはゴムをベースとするポリマー中のこの「フリーの」SAN含量は、不純物または副生成物とみなし、SANポリマー(D)とはみなさないべきである。
得られる熱可塑性組成物は、改良された耐熱性および耐化学性を含む、所望の特性の組み合わせを有し、良好な機械的特性を維持する。本熱可塑性組成物は、ISO4599に準拠して、燃料Cに0.5%の歪みで2日間曝露した後に、少なくとも50パーセントの引張り伸び保持率を有し;ISO11357に準拠して、約160℃〜約195℃のガラス転移温度を有し;ISO75に準拠して測定して、少なくとも130℃の熱変形温度を有し;ISO306に準拠して測定して、少なくとも150℃のビカットB50軟化温度を有し;ISO527に準拠して測定して、少なくとも3500MPaの引張弾性率を有し;あるいは、ISO1133に準拠して260℃、5kgで測定して、15cc/10分以下のメルトボリュームレート(MVR)を有する。他の実施態様では、本熱可塑性組成物はこれらの要求の2つまたは3つを満足し、いくつかの実施態様では、本熱可塑性組成物はこれらの要求の4つを満足する。タルク充填剤を含有しない実施態様では、MVRは、ISO1133に準拠して260℃、5kgで測定して、約4〜約10cc/分であり得る。タルク充填剤を含有しない実施態様では、MVRは、ISO1133に準拠して260℃、5kgで測定して、特に、約7〜約15cc/分であり得る。いくつかのより特定の実施態様では、本熱可塑性組成物は、ISO4599に準拠して、燃料Cに0.5%の歪みで2日間曝露した後に、少なくとも50パーセントの引張り伸び保持率を有する。
熱変形温度およびビカット軟化温度については、より高い値がより良好な耐熱性を示す。耐化学性については、より高い値がよりよい耐化学性を示す。
本熱可塑性組成物は、さまざまな添加剤を含んでいてもよいが、これらの添加剤が、熱可塑性組成物の所望の特性に悪影響を及ぼさないことを条件とする。添加剤の混合物を用いることもできる。このような添加剤は、組成物を形成させるために成分を混合する際の適切な時期に混合することができる。
本組成物に含ませることができる添加剤のさらなる非限定的な例には、光学効果充填剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、離型剤、潤滑剤、帯電防止剤、難燃剤、滴下防止剤、ガンマ線安定剤、または前述の添加剤の少なくとも1種を含む組み合わせが含まれる。これらの添加剤はそれぞれ、熱可塑性組成物の総質量に基づいて約0.0001質量%〜約10質量%の量で存在していてよい。
本熱可塑性組成物は、当分野で一般的に利用可能な方法によって製造することができる。例えば、1つの実施態様では、1つの製造方法において、ポリマー成分(A)および(B)ならびに任意の他の成分(例えば、酸化防止剤、離型剤など)を、Henschel(登録商標)高速ミキサーまたは他の適切なミキサー/ブレンダー内で、最初にブレンドすることができる。他の低剪断方法、これらだけに限定されないが、手動による混合で、この混合を達成することもできる。次いで、このブレンドを、ホッパーを介して2軸押出機のスロートに投入する。あるいは、1種以上の成分を、スロートで、および/またはサイドスタッファー(side stuffer)を通して下流で、押出機に直接供給することによって組成物に組み込むことができる。こうした添加剤は、所望のポリマー樹脂を用いてマスターバッチにコンパウンドして、押出機に供給することもできる。押出機は、一般に、組成物の流動を引き起こすために必要とされる温度より高い温度で操作する。押出物は、即座に水浴でクエンチし、ペレット化する。こうして調製したペレットは、押出物を切断する場合には、所望により1/4インチ以下の長さであってよい。このようなペレットは、その後、成型、形作り、または成形工程に使用することができる。
本熱可塑性組成物の耐熱性が高められたことにより、組成物の、高熱製品への使用、塗料などの工業用の用途への使用、および高温環境における使用が可能になる。
本発明の熱可塑性組成物を含む成形、賦形、またはモールド成形された物品も提供する。本発明の熱可塑性組成物は、様々な手段(例えば、射出成形、押出、回転成形、ブロー成形および熱成形)によって、有用な成形物品、例えば、コンピュータおよび事務機器のハウジング(例えば、モニタのハウジング)、ハンドヘルド電子デバイスのハウジング(例えば、携帯電話のハウジング)、電気コネクター、医療デバイス、膜デバイス、および照明取付け具の部品、装飾品、家庭用器具、屋根、温室、サンルーム、水泳プールエンクロージャなどの物品にモールド成形できる。加えて、本ポリカーボネート組成物は、自動車パネルおよびトリムなどの用途に用いることができる。好適な物品の例は、これらだけに限定されないが、航空機、自動車、トラック、軍用運搬手段(自動車、航空機、および水上運搬手段が含まれる)、およびオートバイの内装および外装部品(パネル、クォーターパネル、ロッカーパネル、トリム、フェンダー、ドア、デッキリッド、トランクリッド、フード、ボンネット、ルーフ、バンパー、フェイシア、グリル、ミラーハウジング、ピラーアップリケ、クラッド、ボディサイドモールディング、ホイールカバー、ハブキャップ、ドアハンドル、スポイラー、ウィンドウフレーム、ヘッドライトベゼル、ヘッドライト、テールライト、テールライトハウシング、テールライトベゼル、ナンバープレートエンクロージャ、ルーフラックおよびラニングボードが含まれる);屋外運搬手段およびデバイスのエンクロージャ、ハウジング、パネル、およびパーツ;電気通信デバイスのエンクロージャ:屋外家具;ボートおよびマリン設備(トリム、エンクロージャ、およびハウジングが含まれる);船外機ハウジング;測深機のハウジング、パーソナルウォータークラフト;ジェットスキー;プール;スパー;ホットタブ;ステップ;ステップの覆い;建築用品、例えば、グレージング(glazing)、屋根、窓、床、装飾窓の備品もしくは演出;写真、絵画、ポスターおよびディスプレイ品目などの演出ガラスカバー;光学レンズ;眼用レンズ;補整用眼科用レンズ;移植眼用レンズ;壁パネル、およびドア;保護グラフィックス;屋外および屋内の標識;現金自動預け払い機(ATM)のエンクロージャ、ハウジング、パネル、およびパーツ;芝および庭用トラクター、芝刈り機、および道具(芝および庭用の道具が含まれる)のエンクロージャ、ハウジング、パネル、およびパーツ;窓およびドアのトリム;スポーツ用品および玩具;スノーモビルのエンクロージャ、ハウジング、パネル、およびパーツ;レクリエーション用運搬手段のパネルおよび部品;運動場の備品;プラスチック-木材の組合せで製造される物品;ゴルフコースマーカー;ユーティリティーピットカバー;コンピータのハウジング;デスクトップコンピュータのハウジング;ポータブルコンピュータのハウジング;ラップトップコンピュータのハウジング;パームヘルド(palm held)コンピュータのハウジング;モニタのハウジング;プリンタのハウジング;キーボード;FAXマシンのハウジング;コピー機のハウジング;電話機のハウジング;携帯電話のハウジング;ラジオ発信機のハウジング;ラジオ受信機のハウジング;じか付け照明器具;照明装置;ネットワークインターフェイスデバイスのハウジング;トランスフォーマーのハウジング;空調機のハウジング;公共の乗物の被覆材または座席;列車、地下鉄、またはバスの被覆材または座席;計測器のハウジング;アンテナのハウジング;パラボラアンテナの被覆材;コ―ティイングヘルメットおよび個人用保護備品;合成もしくは天然のコーティングテキスタイル;コーティング写真フィルムおよび写真プリント;コーティング印刷物品;コーティング染色物品;コーティング蛍光物品;コーティング発泡物品;などの用途が含まれる。さらなる製造操作、例えば、これらに限らないが、モールディング、インモールド加飾、ペイントオーブン中での焼付け、ラミネーション、および/または熱成形を物品に実施することができる。本発明の組成物から製造される物品は、自動車産業、家庭用器具、電子機器、および電気通信機器において幅広く利用することができる。
以下の例は本明細書に開示したポリカーボネートの組成物、物品、及び方法を説明するために提供する。これらの例は単に説明に過ぎず、開示したものをここで説明した材料、条件、又はプロセスパラメータに限定することを意図していない。
機械特性は以下のISO規格に準拠して測定した。以下のとおりである。
Figure 2012514089
耐化学薬品性は、引張伸びのパーセント保持率の尺度である。耐化学薬品性は、例の組成物から作った射出成形された引張試験用棒(ISO527によって試験される4mmの厚さの成形引張試験用棒)を用い、ISO4599にしたがって評価した。引張試験用棒を半円形のジグにクランプで固定して、0.5%の一定に適用した歪みを加えた。その歪みをかけた棒を、次に、所定の化学薬品に、その化学薬品及び所望する試験に応じて所定の時間曝した。曝した後、引張試験用棒をISO527に準拠して引張負荷をかけて試験をした(引張破断時伸びは、ISO527によって試験される4mm厚さの成型引張試験用棒を用いて、1%歪みまでは1mm/分の引張速度、次にサンプル破壊まで50mm/分の速度によって測定した)。上記の曝した棒の破壊までの引張伸びを、曝露していない棒の破壊までの引張伸びと比較した。したがって伸びの保持を測定した。より高い値は、より良好な耐化学薬品性を示す。
ここで議論する例は、それらの組成に以下の成分を用いた。
Figure 2012514089
[実施例1]
6つの比較組成物CE1〜CE6を作り、試験した。3つの組成物はポリカーボネートホモポリマーのみを用い、一方3つの組成物はHQ/MeHQ/BPAターポリマーを含んでいた。ターポリマーを用いているものは「TP」と印を付ける。組成物のうち4つはフィラーを使用した。組成物のうち2つはフィラーを含んでいなかった。その組成及び結果を下の表1に示す。組成は質量%で示す。
Figure 2012514089
上記の結果は、ターポリマーを含むブレンド物は、ポリカーボネートホモポリマーのみしか含まないブレンド物(CE1、CE3、及びCE5)と比較してより良好な耐化学薬品性を有することを示した。しかし、フィラーを含む2つのターポリマーブレンド物(CE2及びCE4)は、それらの対応品(CE1及びCE3)と比較して向上した引張弾性率を有するが、フィラーを含まないターポリマーブレンド物(CE6)はそうではない。さらに、全ての3つのターポリマー含有ブレンド物(CE2、CE4、及びCE6)は、比較的低い熱たわみ温度、比較的低いビカット温度、及びより高いMVRをもっていた。
[実施例2]
1つの追加の比較組成物CE7及び3つの実施例組成物E1〜E3を作った。この例の組成物は、HQ/MeHQ/BPAに代えてHQ/MeHQ/PPPBPターポリマーを用いた点で異なっていた。その組成及び結果を下の表に示す。さらに、表2は比較の目的のためにCE2、CE4、及びCE6を含んでいる。
Figure 2012514089
この結果は、一般的に、E1〜E3は、同じ量のフィラーを含むCE2と比較して高い引張弾性率をもっていることを示した。例E1〜E3も、向上した耐化学薬品性を保っていた。さらに、HDT及びビカット温度は、CE7と比較してCE2、CE4、及びCE5についてはより低かったが、E1〜E3はより高いHDTとビカット温度をもっている。CE7、CE2、及びCE3と比較した例E1〜E3のMVRの低下も認められる。
[実施例3]
4つの例の組成物E4〜E7及び5つの比較組成物CE8〜CE12を作った。この4つの例の組成物は全て3種のモノマーの量及び比率が異なるHQ/MeHQ/PPPBPポリマーを含んでいた。1つの比較組成物はBPA−PPPBPコポリマーであり、一つの比較例はBPA/HQ/MeHQターポリマーだった。その他の3つの比較組成物は、Ultem(登録商標)1000、アモルファス熱可塑性ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、PC−3、及びRadel(登録商標)R−5800ポリフェニルスルホン樹脂(射出成形用の透明で高流動性樹脂)だった。耐化学薬品性を上述したように試験した。組成及び結果を下の表3に示す。耐化学薬品性は、引張伸びのパーセント保持率として示している。通常、このパーセント保持率が高いほど良く、80%以上のパーセント保持率が望ましい。
Figure 2012514089
E4、E5、E6、及びE7を比較すると、PPPBP含有量が大きいほど、Tgもまた高くなるが、増大したPPPBP含有量はWindex、洗剤、及びintralipidに対する耐化学薬品性にも悪影響を及ぼすようにみえる。E5は高いTgと良好な耐化学薬品性の最良のバランスをもっている。興味深いことに、燃料Cに対する耐化学薬品性は、PPPBP含有量と相関がなかった。驚くべきことに、燃料Cに対する耐化学薬品性はE5で最大となった。
ここに開示した熱可塑性組成物を例示の態様を参照して説明している。明らかに、上の詳細な説明を読み且つ理解することで、その他のものに対して変更及び改変が生じるであろう。添付した特許請求の範囲又はその等価物の範囲内に入る限り、例示の態様は、全てのそのような変更及び改変を含むものと解釈されることを意図している。

Claims (20)

  1. − 少なくとも3種の異なるモノマー(I)、(II)、および(III)から誘導される繰り返し単位を有するポリカーボネートポリマー(A)であって、
    モノマー(I)が、2-フェニル-3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フタルイミジン(PPPBP)であり、
    モノマー(II)および(III)が、それぞれ、式(I):
    Figure 2012514089
    (式中、Rは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、C1〜10炭化水素基、またはハロゲン置換C1〜10炭化水素基であり、nは0〜4である)
    のジヒドロキシ化合物であり、モノマー(II)はモノマー(III)とは異なる、ポリカーボネートポリマー(A)と、
    − アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂、メタクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(MBS)樹脂、およびこれらの混合物から選択される耐衝撃性改良剤(B)と
    を含む熱可塑性組成物であって、
    前記熱可塑性組成物が、ISO4599に準拠して、燃料Cに0.5%の歪みで2日間曝露した後に、少なくとも50パーセントの引張り伸び保持率を有する、熱可塑性組成物。
  2. モノマー(II)がメチルハイドロキノンであり、モノマー(III)がハイドロキノンである、請求項1に記載の熱可塑性組成物。
  3. モノマー(II)がメチルハイドロキノンであり、前記ポリカーボネートポリマーが、少なくとも17モル%のモノマー(I)および少なくとも25モル%のモノマー(II)を含む、請求項1または2に記載の熱可塑性組成物。
  4. モノマー(I)と、モノマー(II)および(III)の合計との比が、約20:80〜約40:60である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱可塑性組成物。
  5. ポリカーボネートポリマー(A)がターポリマーである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱可塑性組成物。
  6. ポリカーボネートポリマー(A)が組成物の約60〜約80質量%を占め、耐衝撃性改良剤(B)が組成物の約2〜約40質量%を占める、請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱可塑性組成物。
  7. 組成物の約5〜約20質量%を占めるタルク充填剤(C)をさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱可塑性組成物。
  8. 前記熱可塑性組成物がタルク充填剤を含まず、ISO1133に準拠して260℃、5kgで測定して約4〜約10cc/10分のメルトボリュームレート(MVR)を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の熱可塑性組成物。
  9. 前記熱可塑性組成物が、ISO4599に準拠して、燃料Cに0.5%の歪みで2日間曝露した後に、少なくとも80パーセントの引張り伸び保持率を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の熱可塑性組成物。
  10. 前記熱可塑性組成物が、ISO1133に準拠して260℃、5kgで測定して15cc/10分以下のメルトボリュームレート(MVR)を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の熱可塑性組成物。
  11. 前記熱可塑性組成物が、ISO75に準拠して測定して、少なくとも130℃の熱変形温度を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の熱可塑性組成物。
  12. 前記熱可塑性組成物が、ISO306に準拠して測定して、少なくとも150℃のビカットB50軟化温度を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の熱可塑性組成物。
  13. スチレン-アクリロニトリルポリマー(D)を、熱可塑性組成物の約5〜約10質量%の量でさらに含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の熱可塑性組成物。
  14. 前記ポリカーボネートポリマーが、ビスフェノールAである第四のモノマー(IV)をさらに含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の熱可塑性組成物。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の熱可塑性組成物から形成される物品。
  16. − 少なくとも3種の異なるモノマーから誘導される繰り返し単位を有するポリカーボネートポリマー(A)であって、前記3種の異なるモノマーが、2-フェニル-3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フタルイミジン(PPPBP)、ヒドロキノン、およびメチルヒドロキノンである、ポリカーボネートポリマー(A)と、
    − 耐衝撃性改良剤(B)と
    を含む熱可塑性組成物であって、
    前記熱可塑性組成物が、ISO75に準拠して測定して、少なくとも130℃の熱変形温度を有する、熱可塑性組成物。
  17. 少なくとも3種の異なるモノマー(I)、(II)、および(III)から誘導される繰り返し単位を有するポリカーボネートポリマーであって、
    モノマー(I)が、2-フェニル-3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フタルイミジン(PPPBP)であり、
    モノマー(II)および(III)が、それぞれ、式(I):
    Figure 2012514089
    (式中、Rは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、C1〜10炭化水素基、またはハロゲン置換C1〜10炭化水素基であり、nは0〜4である)
    のジヒドロキシ化合物であり、モノマー(II)はモノマー(III)とは異なる、ポリカーボネートポリマーであって、
    前記ポリカーボネートポリマーが、ISO4599に準拠して、燃料Cに0.5%の歪みで2日間曝露した後に、少なくとも50パーセントの引張り伸び保持率を有する、ポリカーボネートポリマー。
  18. モノマー(II)と、モノマー(III)との比が、約3:4〜約4:3である、請求項17に記載のポリカーボネートポリマー。
  19. モノマー(II)がメチルヒドロキノンであり、
    モノマー(III)がヒドロキノンであり、
    モノマー(I)が、前記ポリカーボネートポリマーの少なくとも17モル%を占め、
    モノマー(II)が、前記ポリカーボネートポリマーの少なくとも25モル%を占め、かつ、
    モノマー(II)およびモノマー(III)が、合わせて、前記ポリカーボネートポリマーの少なくとも60モル%を占める、請求項17または18に記載のポリカーボネートポリマー。
  20. 前記ポリカーボネートポリマーが、ISO4599に準拠して、燃料Cに0.5%の歪みで2日間曝露した後に、少なくとも80パーセントの引張り伸び保持率を有する、請求項17〜19のいずれか一項に記載のポリカーボネートポリマー。
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