JP2009520059A - 低光沢を有する熱可塑性ポリカーボネート組成物、それより作製される物品および製造の方法 - Google Patents
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Abstract
ポリカーボネートと、衝撃改質剤と、芳香族ビニルコポリマーと、官能性コポリマーとを含む熱可塑性組成物は、適切な低光沢性能に加えて、優れた機械特性を有する。物品は、物品を形成するかかる組成物を成形、押出し、成型または形成することによって形成し得る。
Description
本発明は、芳香族ポリカーボネートを含む熱可塑性組成物、詳細には、低光沢を有する熱可塑性ポリカーボネート組成物を対象とする。
低光沢仕上げを有する熱可塑性プラスチックは、自動車部品から装飾物品、コンピュータのような電子機器向けの筺体までの広範囲の用途向けの物品および部品を製造するのに有用である。プラスチック物品向けの低光沢仕上げは、多様な方法を使用して得ることができる。プラスチック表面に機械的に模様を付けることは、古くから用いられているが、この種の表面仕上げは、磨耗しやすく、究極的に使用とともに光沢が増加する。さらに、機械的な模様付けによって、加工工程が加わり、製造コストが増加する。したがって、成形可能な熱可塑性組成物自体を改変することが望ましく、そのようにすると、物品は、適切な低光沢組成物の成形、鋳込み、押出しまたは圧延のようなプロセスの直後に低光沢表面を得ることができる。これらの用途で使用するための低光沢熱可塑性組成物では、優れた機械特性も望まれる。
優れた機械特性を有するポリカーボネートを、上記のような用途において使用することができる。粒状シリカや光沢低減機能を有する樹脂のような光沢低減フィラーおよび添加剤を添加することによって、ポリカーボネートに対する低光沢仕上げを実現することができる;しかし、かかるブレンドの有用性は、例えば、衝撃強度、延性保持、モジュラス、引張り強度および粘度の増加のような機械特性が低減または損失することによって低減する場合がある。
米国特許第4746701号
米国特許第4154775号
米国特許第5530062号
したがって、ポリカーボネートを含む低光沢熱可塑性組成物に対する必要性が当技術分野で依然として存在する。
かかる材料の望ましい特徴は、優れた機械特性と製造の容易さの双方を含む。低光沢熱可塑性組成物の機械特性は、望ましくは、高光沢ポリカーボネートの機械特性に匹敵する。
上記の必要性は、ポリカーボネートと、衝撃改質剤と、芳香族ビニルコポリマーと、官能性コポリマーとを含む樹脂組成物を含む熱可塑性組成物によって満たされ、ここで熱可塑性組成物はGardner Gloss Meterおよび3mmのカラーチップを使用してASTM D2457に従って60°で平滑表面において測定されたとき、50より小さい、詳細には30より小さい表面光沢値を有する。多様な表面が市販されており、当技術分野において周知である。
他の実施態様では、物品は上記の熱可塑性組成物を含む。
物品を形成するための1つの方法は、物品を形成するための組成物を成形、押出し、成型または形成することを含む。
上記および他の特徴は、以下の詳細な説明によって例示される。
ポリカーボネートと、衝撃改質剤と、芳香族ビニルコポリマーと、官能性コポリマーとを含む熱可塑性組成物は、適切な低光沢性能に加えて優れた機械特性を有する。
熱可塑性組成物は、ポリカーボネートを含む。ここでは、「ポリカーボネート」および「ポリカーボネート樹脂」という用語は、式(1)のカーボネート構造反復単位を有する組成物を意味する
[式中、R1基の全数の少なくとも60%が芳香族有機基であり、その残りが脂肪族、脂環式、または芳香族基である]。ある実施態様では、それぞれのR1は、芳香族有機基、例えば、式(2)の基である
[式中、A1およびA2はそれぞれ、単環状で二価のアリール基であり、Y1は、A1をA2から隔てる1つもしくは2つの原子を有するは架橋基である]。例示的な実施態様では、1原子が、A1をA2から隔てる。この種の基の例示的な非限定例は、-O-、-S-、-S(O)-、-S(O2)-、-C(O)-、メチレン、シクロヘキシルメチレン、2-[2.2.1]-ビシクロヘプチリデン、エチリデン、イソプロピリデン、ネオペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロペンタデシリデン、シクロドデシリデン、およびアダマンチリデンである。架橋基Y1は、メチレン、シクロヘキシリデン、またはイソプロピリデンのような炭化水素基もしくは飽和炭化水素基でよい。
ポリカーボネートを、式(3)のジヒドロキシ化合物を含む
[式中、Y1、A1、およびA2は、上記で説明したとおりである]、式HO-R1-OHを有するジヒドロキシ化合物の界面反応によって製造してよい。一般式(4)のビスフェノール化合物も含まれる
[式中、RaおよびRbはそれぞれ、ハロゲン原子、または一価炭化水素基を表し、同じでも異なっていてもよく、pおよびqは、それぞれ独立に、0から4の整数であり、Xaは、式(5)の基の1つを表す
{式中、RcおよびRdは、それぞれ独立に、水素原子、または一価直鎖もしくは環状の炭化水素基を表し、Reは、二価の炭化水素基である}]。
適切なジヒドロキシ化合物の一部の例示的な非限定例は、以下:レゾルシノール、4-ブロモレゾルシノール、ヒドロキノン、4,4'-ジヒドロキシビフェニル、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-ナフチルメタン、1,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(3-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)プロパン、1,1-ビス(ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)イソブテン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、trans-2,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブテン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)アダマンチン、(α,α'-ビス(4-ヒドロキシフェニル)トルエン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)アセトニトリル、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-n-プロピル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-イソプロピル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-sec-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1-ジクロロ-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1-ジブロモ-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1-ジクロロ-2,2-ビス(5-フェノキシ-4-ヒドロキシフェニル)エチレン、4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、1,6-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,6-ヘキサンジオン、エチレングリコールビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フッ素、2,7-ジヒドロキシピレン、6,6'-ジヒドロキシ-3,3,3',3'-テトラメチルスピロ(ビス)インダン("スピロビインダンビスフェノール")、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フタリド、2,6-ジヒドロキシジベンゾ-p-ジオキシン、2,6-ジヒドロキシチアントレン、2,7-ジヒドロキシフェノキサチン、2,7-ジヒドロキシ-9,10-ジメチルフェナジン、3,6-ジヒドロキシジベンゾフラン、3,6-ジヒドロキシジベンゾチオフェン、および2,7-ジヒドロキシカルバゾール、およびその類似物、ならびに前記ジヒドロキシ化合物の少なくとも1つを含む組合せを含む。
式(3)によって表されてよいビスフェノール化合物の種類の具体的な例は、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(以後、「ビスフェノールA」もしくは「BPA」)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-l-メチルフェニル)プロパン、および1,1-ビス(4-ヒドロキシ-t-ブチルフェニル)プロパンを含む。前記ジヒドロキシ化合物の少なくとも1つを含む組合せも使用してよい。
分枝ポリカーボネート、ならびに線状ポリカーボネートと分枝ポリカーボネートのブレンドも有用である。分枝ポリカーボネートは、重合中に分枝剤を添加することによって調製してよい。これらの分枝剤は、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボン酸無水物、ハロホルミル、および前記官能基の混合物から選択される少なくとも3つの官能基を含有する多官能性有機化合物を含む。具体的な例は、トリメリト酸、トリメリト酸無水物、トリメリト酸トリクロリド、トリス-p-ヒドロキシフェニルエタン、イサチン-ビスフェノール、トリスフェノールTC(1,3,5-トリス((p-ヒドロキシフェニル)イソプロピル)ベンゼン)、トリスフェノールPA(4(4(1,1-ビス(p-ヒドロキシフェニル)-エチル)α,α-ジメチルベンジル)フェノール)、4-クロロホルミルフタル酸無水物、トリメシン酸、およびベンゾフェノンテトラカルボン酸を含む。分枝剤は、約0.05重量%から約2.0重量%の値で添加してよい。ポリカーボネート末端基の種類はすべて、こうした末端基が、熱可塑性組成物の所望の特性に著しい影響を与えないという条件で、ポリカーボネート組成物中で有用であることが企図されている。
ここで使用される「ポリカーボネート」および「ポリカーボネート樹脂」は、ポリカーボネートと、カーボネート鎖単位を含む他のコポリマーのブレンドをさらに含む。具体的で適切なコポリマーは、コポリエステルポリカーボネートとしても知られるポリエステルカーボネートである。かかるコポリマーは、式(1)のカーボネート鎖の反復単位に加えて、式(6)の反復単位を含有する
[式中、Dはジヒドロキシ化合物に由来する二価基であり、例えば、C2〜10アルキレン基、C6〜20脂環式基、C6〜20芳香族基、または、アルキレン基が炭素原子2から約6個、詳細には、炭素原子2、3、または4個を含有するポリオキシアルキレン基でよく、Tは、ジカルボン酸に由来する二価基であり、例えば、C2〜10アルキレン基、C6〜20脂環式基、C6〜20アルキル芳香族基、またはC6〜20芳香族基でよい]。
ある実施態様では、Dは、C2〜6アルキレン基である。他の実施態様では、Dは、式(7)の芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する
[式中、Rfは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、C1〜10炭化水素基、またはC1〜10ハロゲン置換炭化水素基であり、nは、0から4である]。ハロゲンは通常臭素である。式(7)で表されてよい化合物の例は、レゾルシノール、5-メチルレゾルシノール、5-エチルレゾルシノール、5-プロピルレゾルシノール、5-ブチルレゾルシノール、5-t-ブチルレゾルシノール、5-フェニルレゾルシノール、5-クミルレゾルシノール、2,4,5,6-テトラフルオロレゾルシノール、2,4,5,6-テトラブロモレゾルシノール、およびその類似物のような置換レゾルシノール化合物;カテコール;ヒドロキノン;2-メチルヒドロキノン、2-エチルヒドロキノン、2-プロピルヒドロキノン、2-ブチルヒドロキノン、2-t-ブチルヒドロキノン、2-フェニルヒドロキノン、2-クミルヒドロキノン、2,3,5,6-テトラメチルヒドロキノン、2,3,5,6-テトラ-t-ブチルヒドロキノン、2,3,5,6-テトラフルオロヒドロキノン、2,3,5,6-テトラブロモヒドロキノン、およびその類似物のような置換ヒドロキノン;または前記化合物の少なくとも1つを含む組合せを含む。
ポリエステルを調製するために使用してよい芳香族ジカルボン酸の例は、イソフタルまたはテレフタル酸、1,2-ジ(p-カルボキシフェニル)エタン、4,4'-ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4'-ビス安息香酸、および前記酸の少なくとも1つを含む混合物を含む。1,4-、1,5-、または2,6-ナフタレンジカルボン酸のような縮合環を含有する酸も存在することができる。特定のジカルボン酸は、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、またはそれらの混合物である。特定のジカルボン酸は、イソフタル酸とテレフタル酸の混合物を含み、テレフタル酸とイソフタル酸の重量比は、約10:1から約0.2:9.8である。他の特定の実施態様では、Dは、C2〜6アルキレン基であり、Tは、p-フェニレン、m-フェニレン、ナフタレン、二価の脂環式基、またはそれらの混合物である。この種類のポリエステルは、ポリ(テレフタル酸アルキレン)を含む。
特定の実施態様では、ポリカーボネートは、A1およびA2それぞれがp-フェニレンであり、Y1がイソプロピリデンである、ビスフェノールAに由来する直鎖状のホモポリマーである。
適切なポリカーボネートは、界面重合および溶融重合のような方法によって製造することができる。界面重合に対する反応条件は、変動してよいが、例示的な方法は、一般に、二価フェノール反応物質をカセイソーダもしくは炭酸カリウム水溶液に溶解または分散させ、生成混合物を適切な水不混和性溶媒媒体に加え、およびpHを制御した条件下、例えば、約8から約10で、トリエチルアミンまたは相間移動触媒のような適切な触媒の存在下で、反応物質をカーボネート前駆体と接触させることを含む。最も一般に使用される、水不混和性溶媒は、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、トルエン、およびその類似物を含む。適切なカーボネート前駆体は、例えば、臭化カルボニルや塩化カルボニルのようなハロゲン化カルボニル、または二価フェノールのビスハロギ酸(例えば、ビスフェノールA、ヒドロキノン、およびその類似物のビスクロロギ酸)やグリコール(例えば、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、およびその類似物のビスハロギ酸)のようなハロギ酸を含む。前記の種類であるカーボネート前駆体の少なくとも1つを含む組合せも使用してよい。
使用されてよい相間移動触媒の中に、式(R3)4Q+Xの触媒があり、式中、R3はそれぞれ、同じでも異なっていてもよく、C1〜10アルキル基であり;Qは、窒素もしくはリン原子であり;Xは、ハロゲン原子、またはC1〜8アルコキシ基もしくはC6〜188アリールオキシ基である。適切な相間移動触媒は、例えば、[CH3(CH2)3]4NX、[CH3(CH2)3]4PX、[CH3(CH2)5]4NX、[CH3(CH2)6]4NX、[CH3(CH2)4]4NX、CH3[CH3(CH2)3]3NX、およびCH3[CH3(CH2)2]3NXを含み、ここでXは、Cl-、Br-、C1〜8アルコキシ基、またはC6〜188アリールオキシ基である。相間移動触媒の有効量は、ホスゲン化混合物中のビスフェノールの重量に対して約0.1重量%から約10重量%でよい。他の実施態様では、相間移動触媒の有効量は、ホスゲン化混合物中のビスフェノールの重量に対して約0.5重量%から約2重量%でよい。
あるいは、溶融法を使用してポリカーボネートを作製してもよい。一般に、溶融重合法では、ポリカーボネートは、バンバリー(登録商標)ミキサー、2軸押出機、またはその類似物においてエステル交換触媒の存在下、溶融状態でジヒドロキシ反応物質(複数可)と、ジフェニルカーボネートのようなジアリールカーボネートエステルとを共反応させて均一な分散物を形成することによって調製してよい。揮発性一価フェノールは、蒸留によって溶融反応物質から除去され、ポリマーは、溶融残渣として単離される。
ポリカーボネート樹脂は、界面重合によっても調製してよい。ジカルボン酸それ自体を利用するよりは、対応する酸ハロゲン化物、特に酸ジクロリドおよび酸ジブロミドのような酸の反応性誘導体を用いることが可能であり、好ましい場合もある。したがって、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸またはそれらの混合物を使用する代わりに、二塩化イソフタロイル、二塩化テレフタロイルおよびそれらの混合物を使用することが可能である。
上記のポリカーボネートに加えて、ポリカーボネートと、他の熱可塑性ポリマーの組合せ、例えば、ポリカーボネートおよび/またはポリカーボネートコポリマーとポリエステルとの組合せを使用することも可能である。ここで「組合せ」は、混合物、ブレンド、合金、およびその類似物すべてを含む。適切なポリエステルは、式(6)の反復単位を含み、例えば、ポリ(アルキレンジカルボキシレート)、液晶性ポリエステル、およびポリエステルコポリマーでよい。その中に、分枝剤、例えば、3個以上のヒドロキシル基を有するグリコール、または三官能性もしくは多官能性カルボン酸が組み込まれている分枝ポリエステルを使用することもまた可能である。さらに、組成物の究極の最終使用に応じて、多様な濃度の酸およびヒドロキシル末端基をポリエステル上に有することが望ましい場合もある。
ある実施態様では、ポリ(アルキレンテレフタレート)が使用される。適切なポリ(アルキレンテレフタレート)の特定の例は、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(1,4ーブチレンテレフタレート)(PBT)、ポリ(エチレンナフタノエート)(PEN)、ポリ(ブチレンナフタノエート)(PBN)、(ポリプロピレンテレフタレート)(PPT)、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート(PCT)、および前記ポリエステルの少なくとも1つを含む組合せである。コポリエステルを作製するために、脂肪族二酸および/または脂肪族ポリオールに由来する、少量、例えば約0.5重量%から約10重量%の単位を含む上記のポリエステルもまた企図されている。
1を超えるポリカーボネートのブレンドおよび/または混合物も使用してよい。例えば、高フローおよび低フローのポリカーボネートは一緒にブレンドしてよい。
熱可塑性組成物は、熱可塑性組成物の耐衝撃性を増加させるために、1つまたは複数の衝撃改質剤組成物をさらに含む。これらの衝撃改質剤は、(i)約10℃より低い、より詳細には約-10℃より低い、より詳細には-40℃から-80℃のTgを有するエラストマー性(すなわち、ゴム状の)ポリマー基材と、(ii)エラストマー性ポリマー基材にグラフト化された剛性ポリマー基材とを含むエラストマー修飾グラフトコポリマーを含む。周知のように、エラストマー修飾グラフトコポリマーは、最初にエラストマー性ポリマーを供与し、次いでエラストマーの存在下で剛性相の成分モノマー(複数可)を重合させることによってグラフトコポリマーを得るスことによって調製してよい。グラフトは、エラストマーコアに対してグラフト分枝またはシェルとして結合してよい。シェルは、コアを単に物理的に封入してもよいし、またはシェルは、部分的もしくは本質的に完全にコアにグラフト化されてもよい。
エラストマー相としての使用に適した材料は、例えば、共役ジエンゴム;共役ジエンと約50重量%より少ない共重合可能なモノマーのコポリマー;エチレンプロピレンコポリマー(EPR)やエチレン-プロピレン-ジエンモノマーゴム(EPDM)のようなオレフィンゴム;エチレン-酢酸ビニルゴム;シリコーンゴム;エラストマー性C1〜8アルキル(メタ)アクリレート;C1〜8アルキル(メタ)アクリレートとブタジエンおよび/またはスチレンのエラストマー性コポリマー;または前記エラストマーの少なくとも1つを含む組合せを含む。
エラストマー相を調製するために適した共役ジエンモノマーは、式(8)である
[式中、Xbは、それぞれ独立に、水素、C1〜C5アルキル、またはその類似物である]。使用してよい共役ジエンモノマーの例は、ブタジエン、イソプレン、l,3-ヘプタジエン、メチル-l,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-エチル-1,3-ペンタジエン;1,3-および2,4-ヘキサジエン、およびその類似物、ならびに前記共役ジエンモノマーの少なくとも1つを含む混合物である。特定の共役ジエンホモポリマーは、ポリブタジエンおよびポリイソプレンを含む。
共役ジエンゴムのコポリマー、例えば、共役ジエンおよびそれらと共重合可能な1つまたは複数のモノマーの水性ラジカルエマルジョン重合によって製造されるものも使用してよい。共役ジエンと共重合するのに適したモノマーは、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、およびその類似物のような芳香族縮合環構造を含有するモノビニル芳香族モノマー、または式(9)のモノマー
[式中、Xcは、それぞれ独立に、水素、C1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、C6〜C12アリール、C7〜C12アラルキル、C7〜C12アルカリール、C1〜C12アルコキシ、C3〜C12シクロアルコキシ、C6〜C12アリールオキシ、クロロ、ブロモ、またはヒドロキシであり、Rは、水素、C1〜C5アルキル、ブロモ、またはクロロである]を含む。使用してよい適切なモノビニル芳香族モノマーは、スチレン、3-メチルスチレン、3,5-ジエチルスチレン、4-n-プロピルスチレン、α-メチルスチレン、α-メチルビニルトルエン、α-クロロスチレン、α-ブロモスチレン、ジクロロスチレン、ジブロモスチレン、テトラクロロスチレン、およびその類似物、ならびに前記化合物の少なくとも1つを含む組合せを含む。スチレンおよび/またはα-メチルスチレンを、共役ジエンモノマーと共重合可能なモノマーとして使用してよい。
共役ジエンと共重合してよい他のモノマーは、イタコン酸、アクリルアミド、N-置換アクリルアミドもしくはメタクリルアミド、無水マレイン酸、マレイミド、N-アルキル-、アリール-、またはハロアリール置換マレイミド、(メタ)アクリル酸グリシジル、および一般式(10)のモノマーのようなモノビニル性モノマーである
[式中、Rは、水素、C1〜C5アルキル、ブロモ、またはクロロであり、Xdは、シアノ、C1〜C12アルコキシカルボニル、C1〜C12アリールオキシカルボニル、ヒドロキシカルボニル、またはその類似物である]。式(10)のモノマーの例は、アクリロニトリル、エタクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、β-クロロアクリロニトリル、α-ブロモアクリロニトリル、アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、およびその類似物、および前記モノマーの少なくとも1つを含む組合せを含む。アクリル酸n-ブチル、アクリル酸エチル、およびアクリル酸2-エチルヘキシルのようなモノマーは、共役ジエンモノマーと共重合可能なモノマーとして通常使用される。前記モノビニルモノマーとモノビニル芳香族モノマーの混合物も使用してよい。
エラストマー相としての使用に適した適切な(メタ)アクリレートモノマーは、(メタ)アクリル酸C1〜8アルキル、詳細にはアクリル酸C4〜6アルキル、例えば、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸2-エチルヘキシル、およびその類似物、ならびに前記モノマーの少なくとも1つを含む組合せの架橋した粒子状エマルジョンホモポリマーまたはコポリマーでよい。(メタ)アクリル酸C1〜8アルキルモノマーは、最高15重量%の式(8)、(9)、または(10)のコモノマーの混合物において任意選択で重合してよい。コモノマーの例は、限定されないが、ブタジエン、イソプレン、スチレン、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸フェニル、メタアクリル酸フェネチル、N-シクロヘキシルアクリルアミド、ビニルメチルエーテル、またはアクリロニトリル、および前記コモノマーの少なくとも1つを含む混合物を含む。任意選択で、最高5重量%の多官能性架橋コモノマー、例えば、ジビニルベンゼン、ビスアクリル酸グリコールのようなジ(メタ)アクリル酸アルキレンジオール、トリ(メタ)アクリル酸アルキレントリオール、ジメタアクリル酸ポリエステル、ビスアクリルアミド、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、(メタ)アクリル酸アリル、マレイン酸ジアリル、フマル酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、クエン酸のトリアリルエステル、リン酸のトリアリルエステル、およびその類似物、ならびに前記架橋剤の少なくとも1つを含む組合せが、存在してよい。
エラストマー相は、バルク-懸濁液、エマルジョン-バルク、バルク-溶液、または他の技法のようなマス、エマルジョン、懸濁液、溶液、または組合せ法によって、連続、セミ回分式、または回分法を使用して重合されてよい。エラストマー基材の粒径は、重要でない。エマルジョン系重合ゴム格子では、例えば、約0.001マイクロメートルから約25マイクロメートル、詳細には約0.01マイクロメートルから約15マイクロメートル、さらにより詳細には約0.1マイクロメートルから約8マイクロメートルの平均粒径を使用してよい。バルク重合ゴム基材には、約0.5マイクロメートルから約10マイクロメートル、詳細には約0.6マイクロメートルから約1.5マイクロメートルの粒径を使用してよい。粒径は、簡単な光透過率法、または毛細管流体力学クロマトグラフィー(CHDF)によって測定してよい。エラストマー相は、粒状の中位架橋共役ブタジエン、またはアクリル酸C4〜6アルキルゴムでよく、好ましくは70重量%を超えるゲル含有量を有する。ブタジエンと、スチレンおよび/またはアクリル酸C4〜6アルキルゴムとの混合物も適している。
エラストマー相は、全グラフトコポリマーの約5重量%から約95重量%、より詳細には、約20重量%から約90重量%、さらにより詳細には、エラストマー修飾グラフトコポリマーの約40重量%から約85重量%を供与してよく、その残りは、剛性グラフト相であってよい。
エラストマー修飾グラフトコポリマーの剛性相は、1つまたは複数のエラストマー性ポリマー基材の存在下で、モノビニル芳香族モノマー、および任意選択で1つまたは複数のコモノマーとを含む混合物をグラフト重合させることによって形成してよい。スチレン、α-メチルスチレン、ジブロモスチレンのようなハロスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、ブチルスチレン、パラヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、またはその類似物、または前記モノビニル芳香族モノマーの少なくとも1つを含む組合せを含めての、式(9)の上記モノビニル芳香族モノマーは、剛性グラフト相において使用してよい。適切なコモノマーは、例えば、上記モノビニル性モノマーおよび/または一般式(10)のモノマーを含む。ある実施態様では、Rは、水素またはC1〜C2アルキルであり、Xdは、シアノまたはC1〜C12アルコキシカルボニルである。剛性相においての使用に適したコモノマーの具体的な例は、アクリロニトリル、エタクリロニトリル、メタクリロニトリル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、およびその類似物、および前記コモノマーの少なくとも1つを含む組合せを含む。
剛性グラフト相におけるモノビニル芳香族モノマーとコモノマーの相対的な比は、エラストマー基材の種類、モノビニル芳香族モノマー(複数可)の種類、コモノマー(複数可)の種類、および衝撃改質剤の所望の特性に応じて、広範に変わり得る。剛性相は、一般に、最高100重量%のモノビニル芳香族モノマー、詳細には約30重量%〜約100重量%、より詳細には約50重量%〜約90重量%のモノビニル芳香族モノマーを含んでよく、残りはコモノマー(複数可)であってよい。
存在するエラストマー修飾ポリマーの量に応じて、独立マトリックスあるいは非グラフト化剛性ポリマーまたはコポリマーの連続相を、エラストマー修飾グラフトコポリマーとともに同時に取得してよい。典型的には、かかる衝撃改質剤は、衝撃改質剤の全重量に対して、約40重量%から約95重量%のエラストマー修飾グラフトコポリマーと、約5重量%から約65重量%のグラフト(コ)ポリマーとを含む。他の実施態様では、かかる衝撃改質剤は、衝撃改質剤の全重量に対して、約15重量%から約50重量%、より詳細には約15重量%から約25重量%のグラフト(コ)ポリマーと一緒に、約50重量%から約85重量%、より詳細には約75重量%から約85重量%のゴム修飾グラフトコポリマーを含む。
他の具体的な種類のエラストマー修飾衝撃改質剤は、シリコーンゴムモノマー、式H2C=C(Rg)C(O)OCH2CH2Rhを有する分枝アクリレートゴムモノマーの少なくとも1つに由来する構造単位を含み、式中、Rgは、水素またはC1〜C8直鎖もしくは分枝ヒドロカルビル基であり、Rhは、C3〜C16分枝ヒドロカルビル基;第1のグラフトリンクモノマー;重合可能なアルケニル含有有機材料;および第2のグラフトリンクモノマーである。シリコーンゴムモノマーは、例えば、環状シロキサン、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、(アクリロキシ)アルコキシシラン、(メルカプトアルキル)アルコキシシラン、ビニルアルコキシシラン、あるいはアリルアルコキシシランを単独または組み合わせて含むことができ、例えば、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサンおよび/またはテトラエトキシシランを含んでよい。
分枝アクリレートゴムモノマーの例は、単独または組み合わせて、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸6-メチルオクチル、アクリル酸7-メチルオクチル、アクリル酸6-メチルヘプチル、およびその類似物を含む。重合可能なアルケニル含有有機材料は、例えば、式(9)または(10)のモノマー、例えば、単独または組み合わせて、スチレン、α-メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、またはメタアクリル酸メチル、メタアクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピルのような非分枝(メタ)アクリレートであってよい。
少なくとも1つの第1のグラフトリンクモノマーは、単独または組み合わせて、(アクリロキシ)アルコキシシラン、(メルカプトアルキル)アルコキシシラン、ビニルアルコキシシラン、またはアリルアルコキシシランでよく、例えば、(γ-メタクリロキシプロピル)(ジメトキシ)メチルシランおよび/または(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシランでよい。少なくとも1つの第2のグラフトリンクモノマーは、単独または組み合わせて、メタアクリル酸アリル、シアヌル酸トリアリル、またはイソシアヌル酸トリアリルのような少なくとも1つのアリル基を有するポリエチレン性不飽和化合物である。
シリコーン-アクリレート衝撃改質剤組成物は、エマルジョン重合によって調製することができ、例えば、少なくとも1つのシリコーンゴムモノマーを、ドデシルベンゼンスルホン酸のような界面活性剤の存在下で、約30℃から約110℃の温度で少なくとも1つの第1のグラフトリンクモノマーと反応させることによってシリコーンゴムラテックスを形成する。あるいは、シクロオクタメチルテトラシロキサン、テトラエトキシオルトシリケートのような環状シロキサンを(γ-メタクリロキシプロピル)メチルジメトキシシランのような第1のグラフトリンクモノマーと反応させることによって約100ナノメートルから約2マイクロメートルの平均粒径を有するシリコーンゴムを得てもよい。次いで、少なくとも1つの分枝アクリレートゴムモノマーを、過酸化ベンゾイルのようなフリーラジカル発生重合触媒の存在下で、任意選択でメタクリル酸アリルのような架橋モノマーの存在下で、シリコーンゴム粒子と反応させる。次いで、このラテックスを、重合可能なアルケニル含有有機材料および第2のグラフトリンクモノマーと反応させる。グラフトシリコーン-アクリレートゴムハイブリッドのラテックス粒子は、凝固(凝固剤による処理によって)を介して水相から分離され、微粉末になるまで乾燥されることによってシリコーン-アクリレートゴム衝撃改質剤組成物を製造する。この方法を、約100ナノメートルから約2マイクロメートルの粒径を有するシリコンアクリレート衝撃改質剤を製造するために一般に使用することができる。
前記エラストマー修飾グラフトコポリマーを形成するための周知の方法は、連続、セミ回分式、または回分法を使用する、バルク-懸濁液、エマルジョン-バルク、バルク-溶液、または他の技法のようなマス、エマルジョン、懸濁液、および溶液法を含む。
所望であれば、前記の種類の衝撃改質剤を、例えば、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸リチウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、およびその類似物のようなC6〜30脂肪酸のアルカリ金属塩;アルカリ金属炭酸塩、ドデシルジメチルアミン、ドデシルアミン、およびその類似物のようなアミン;ならびにアミンのアンモニウム塩のような塩基性材料、または劣化用触媒を含有する、酸のような任意の他の材料を含まないエマルジョン重合法によって調製してよい。かかる材料は、エマルジョン重合において界面活性剤として通常使用され、ポリカーボネートのエステル交換および/または劣化を触媒してよい。代わりに、イオン性サルフェート、スルホネート、またはホスフェート界面活性剤は、衝撃改質剤、特に衝撃改質剤のエラストマー性基材部分を調製する際に使用してよい。適切な界面活性剤は、例えば、スルホン酸C1〜22アルキルまたはC7〜25アルキルアリール、硫酸C1〜22アルキルまたはC7〜25アルキルアリール、リン酸C1〜22アルキルまたはC7〜25アルキルアリール、置換シリケート、およびそれらの混合物を含む。具体的な界面活性剤は、スルホン酸C6〜16、詳細にはC8〜12アルキルである。このエマルジョン重合法は、Rohm & HaasおよびGeneral Electric Companyのような会社の多様な特許および文献中に記載および開示されている。実用上、脂肪酸のアルカリ金属塩、アルカリ金属炭酸塩、および他の塩基性材料を含まなければ、任意の上記衝撃改質剤を使用してよい。
この種の具体的な衝撃改質剤は、メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレン(MBS)衝撃改質剤であり、ブタジエン基材は、界面活性剤として上記のスルホネート、サルフェート、またはホスフェートを使用して調製される。ABSおよびMBSの他に、エラストマー修飾グラフトコポリマーの他の例は、限定されないが、アクリロニトリル-スチレン-アクリル酸ブチル(ASA)、メタクリル酸メチル-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(MABS)、およびアクリロニトリル-エチレン-プロピレン-ジエン-スチレン(AES)を含む。
一部の実施態様では、衝撃改質剤は、大きなゴム含有量、すなわち、グラフトポリマーの約50重量%より大きいまたは等しい、任意選択で約60重量%より大きいまたは等しい含有量を有するグラフトポリマーである。ゴムは、好ましくは、グラフトポリマーの約95重量%より小さいまたは等しい、任意選択で約90重量%より小さいまたは等しい量で存在する。
ゴムは、グラフトポリマーの主鎖を形成し、好ましくは、式(11)を有する共役ジエンのポリマーである
[式中、Xeは、水素、C1〜C5アルキル、塩素または臭素である]。使用してよいジエンの例は、ブタジエン、イソプレン、1,3-ヘプタジエン、メチル-1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-エチル-1,3-ペンタジエン、1,3-および2,4-ヘキサジエン、ジクロロブタジエン、ブロモブタジエン、ジブロモブタジエンのようなクロロおよびブロモ置換ブタジエン、前記ジエンの少なくとも1つを含む混合物、およびその類似物である。好ましい共役ジエンは、ブタジエンである。共役ジエンと他のモノマーのコポリマー、例えば、ブタジエン-スチレン、ブタジエン-アクリロニトリルコポリマー、およびその類似物も使用してよい。あるいは、主鎖は、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、前記の少なくとも1つを含む混合物、およびその類似物に基づくもののようなアクリレートゴムであってよい。加えて、少量のジエンをアクリレートゴム主鎖中で共重合させることによってグラフト部分を改良してよい。
主鎖ポリマーを形成した後、グラフトモノマーを主鎖ポリマーの存在下で重合させる。1つの好ましい種類のグラフトモノマーは、式(12)を有するモノビニル芳香族炭化水素である
[式中、Xbは、上記で定義した通りであり、Xfは、水素、C1〜C10アルキル、C1〜C10シクロアルキル、C1〜C10アルコキシ、C6〜C18アルキル、C6〜C18アラルキル、C6〜C18アリールオキシ、塩素、臭素、およびその類似物である]。例は、スチレン、3-メチルスチレン、3,5-ジエチルスチレン、4-n-プロピルスチレン、α-メチルスチレン、α-メチルビニルトルエン、α-クロロスチレン、α-ブロモスチレン、ジクロロスチレン、ジブロモスチレン、テトラクロロスチレン、前記化合物の少なくとも1つを含む混合物、およびその類似物を含む。
ポリマー主鎖の存在下で重合されてよい第2の種類のグラフトモノマーは、式(13)のアクリルモノマーである
[式中、Xbは既に定義した通りであり、Y2は、シアノ、C1〜C12アルコキシカルボニル、またはその類似物である]。かかるアクリルモノマーの例は、アクリロニトリル、エトアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、β-クロロアクリロニトリル、α-ブロモアクリロニトリル、β-ブロモアクリロニトリル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、前記モノマーの少なくとも1つを含む混合物、およびその類似物を含む。
グラフトコポリマーを提供するために、グラフトモノマーの混合物も使用されてよい。好ましい混合物は、モノビニル芳香族炭化水素とアクリルモノマーとを含む。好ましいグラフトコポリマーは、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)およびメタクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(MBS)樹脂を含む。適切な高ゴムアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂が、BLENDEX(登録商標)等級131、336、338、360および415としてGeneral Electric Companyから入手可能である。
組成物は、芳香族ビニルコポリマー、例えば、スチレン性コポリマー(「ポリスチレンコポリマー」とも呼称される)をも含んでよい。ここで使用される用語「芳香族ビニルコポリマー」および「ポリスチレンコポリマー」および「スチレン性コポリマー」は、少なくとも1つのモノビニル芳香族炭化水素を用いるバルク、懸濁液およびエマルジョン重合を含めての当技術分野で周知の方法によって調製されるポリマーを含む。ポリスチレンコポリマーは、ランダム、ブロックまたはグラフトコポリマーでよい。モノビニル芳香族炭化水素の例は、アルキル-、シクロアルキル-、アリール-、アルキルアリール-、アラルキル-、アルコキシ-、アリールオキシ-および他の置換ビニル芳香族化合物、ならびにそれらの組合せを含む。具体的な例は、スチレン、4-メチルスチレン、3,5-ジエチルスチレン、4-n-プロピルスチレン、α-メチルスチレン、α-メチルビニルトルエン、α-クロロスチレン、α-ブロモスチレン、ジクロロスチレン、ジブロモスチレン、テトラクロロスチレン、およびその類似物、ならびにそれらの組合せを含む。使用される好ましいモノビニル芳香族炭化水素は、スチレンおよびα-メチルスチレンである。
組成物は、芳香族ビニルコポリマーをさらに含有する。芳香族ビニルコポリマーは、ビニルモノマー、アクリルモノマー、無水マレイン酸および誘導体、ならびにその類似物、ならびにそれらの混合物のようなコモノマーを含有する。ここでの定義では、ビニルモノマーは、少なくとも1つの重合可能な炭素-炭素二重結合を有する脂肪族化合物である。2つ以上の炭素-炭素二重結合が存在する場合、相互に共役していても、していなくてもよい。適切なビニルモノマーは、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン(1-ブテン、2-ブテンおよびイソブテンを含めて)、ペンテン、ヘキセン、およびその類似物;1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)、1,4-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン、およびその類似物;ならびにそれらの組合せを含む。
アクリルモノマーは、例えば、アクリロニトリル、エトアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、β-クロロアクリロニトリル、α-ブロモアクリロニトリルおよびβ-ブロモアクリロニトリル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、およびその類似物、およびそれらの混合物を含む。
無水マレイン酸およびその誘導体は、例えば、無水マレイン酸、マレイミド、N-アルキルマレイミド、N-アリールマレイミドまたはアルキル-もしくはハロ-置換N-アリールマレイミド、およびその類似物、およびそれらの組合せを含む。
芳香族ビニルコポリマー中に存在するコモノマー(複数可)の量は変動することができる。しかし、濃度は、一般的に、約2%から約75%のモルパーセンテージで存在する。この範囲内で、コモノマーのモルパーセンテージは、詳細には、少なくとも4%、より詳細には、少なくとも6%であってよい。やはりこの範囲内で、コモノマーのモルパーセンテージは、詳細には、約50%まで、より詳細には、約25%まで、さらにより詳細には、約15%までであってよい。具体的なポリスチレンコポリマー樹脂は、通常「SMA」と呼称されるポリ(スチレンマレイン酸無水物)および通常「SAN」と呼称されるポリ(スチレンアクリロニトリル)を含む。
ある実施態様では、芳香族ビニルコポリマーは、(a)芳香族ビニルモノマー成分と、(b)シアニドビニルモノマー成分とを含む。(a)芳香族ビニルモノマー成分の例は、a-メチルスチレン、o-、m-、またはp-メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、フルオロスチレン、p-tert-ブチルスチレン、エチルスチレンおよびビニルナフタレンを含み、これらの物質を、個別にもしくは組み合わせて使用してよい。(b)シアニドビニルモノマー成分の例は、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルを含み、これらを、個別にもしくは2つ以上を組み合わせて使用してよい。これらの芳香族ビニルコポリマー中の(a)と(b)の組成物比に対する特定の制限はなく、この比は、当該用途に従って選択されるべきである。任意選択で、芳香族ビニルコポリマーは、芳香族ビニルコポリマー中の(a)+(b)の重量の約95重量%から約50重量%の(a)、任意選択で、約92重量%から約65重量%の(a)を含有することができ、対応して、芳香族ビニルコポリマー中の(a)+(b)の重量の約5重量%から約50重量%の(b)、任意選択で、約8重量%から約35重量%の(b)を含有することができる。
ゲル透過クロマトグラフィーによって測定された芳香族ビニルコポリマーの重量平均分子量(Mw)は、30,000から200,000、任意選択で30,000から110,000でよい。
芳香族ビニルコポリマーを製造するための方法は、バルク重合、溶液重合、懸濁液重合、バルク懸濁液重合、およびエマルジョン重合を含む。さらに、個別の共重合樹脂は、ブレンドされてもよい。芳香族ビニルコポリマーのアルカリ金属含有量は、芳香族ビニルコポリマーの重量の約1ppm以下、任意選択で約0.5ppm以下、例えば、約0.1ppm以下でよい。さらに、アルカリ金属の中でも、成分(b)中のナトリウムおよびカリウムの含有量は、約1ppm以下、任意選択で約0.5ppm以下、例えば、約0.1ppm以下でよい。
ある実施態様では、芳香族ビニルコポリマーは、「遊離の」スチレンアクリロニトリルコポリマー(SAN)、すなわち、別のポリマー鎖上にグラフト化されていないスチレン-アクリロニトリルコポリマーを含む。特定の実施態様では、遊離のスチレンアクリロニトリルコポリマーは、ポリスチレン標準分子量スケールで50,000から約200,000の分子量を有してよく、スチレンとアクリロニトリルの多様な割合を含んでよい。例えば、遊離SANは、遊離SANコポリマーの全重量に対して、約75重量%のスチレンと、約25重量%のアクリロニトリルとを含み得る。遊離SANは、グラフト化ゴム衝撃改質剤を添加することによって遊離SANを含有する組成物中に任意選択で存在してもよく、および/または遊離SANは、衝撃改質剤と無関係に組成物中に存在してもよい。
組成物は、ここで実施例中に示された組成物の重量の、約1重量%から約50重量%の遊離のSAN、任意選択で、約2重量%から約25重量%の遊離のSANを含み得る。
組成物は、また官能性コポリマーを含んでよい。官能性コポリマーは、α-オレフィンと、(メタ)アクリレートとを含むコポリマー、またはα-オレフィンと、(メタ)アクリレートと、α,β-エチレン性不飽和アクリレートとを含むコポリマーを含む。
ここで「コポリマー」という用語は、2つ以上の異なるモノマーを有するポリマーを意味する。やはりここで「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの双方を含む。
α-オレフィンは、一般式(14)を有する
[式中、Rは、水素または一価C1〜C8炭化水素である。使用するのに適したα-オレフィンの例は、限定されないが、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセンおよびオクテンを含む]。
適切な(メタ)アクリレートは、限定されないが、アクリル酸メチル(R1が水素であり、R2がメチルである)、メタクリル酸メチル(R1とR2の双方がメチルである)、アクリル酸エチル(R1が水素であり、R2がエチルである)、メタクリル酸エチル(R1がメチルであり、R2がエチルである)、アクリル酸ブチル(R1が水素であり、R2がブチルである)、およびメタクリル酸ブチル(R1がメチルであり、R2がブチルである)を含む。α,β-エチレン性不飽和アクリレートの例は、限定されないが、エチレン/アクリル酸n-ブチル/グリシジルターポリマー、エチレン/アクリル酸n-ブチル/一酸化炭素ターポリマー、およびその類似物を含む。
組成物中で使用するためのコポリマーの例は、限定されないが、エチレンアクリル酸メチル(EMA)、エチレンアクリル酸エチル(EEA)、エチレンアクリル酸ブチル(EBA)、エチレンアクリル酸ヘキシル(EHA)、エチレンアクリル酸ブチルメタクリル酸グリシジル、エチレン酢酸ビニル(EVA)および官能化EPDMを含む。コポリマーは、例えば、Elvaloy(登録商標)エチレンコポリマーとしてDuPontから、およびSantoprene(商標)熱可塑性エラストマーとしてAkzo Nobelから市販されている。
フィラーおよび/または補強材を、組成物を分解したり、または組成物に悪い影響を与えたりしない限り、所望であれば使用してよい。適切なフィラーまたは補強剤は、これらの使用が周知である任意の材料を含む。例えば、適切なフィラーおよび補強材は、ケイ酸アルミニウム(ムライト)、合成ケイ酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、溶融シリカ、結晶性シリカ、黒鉛、天然ケイ砂、またはその類似物のようなシリケートおよびシリカ粉末;窒化ホウ素粉末、ホウ素-シリケート粉末、またはその類似物のようなホウ素粉末;TiO2、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、またはその類似物のような酸化物;硫酸カルシウム(その無水物、二水和物または三水和物として);チョーク、石灰石、大理石、合成沈降性炭酸カルシウム、またはその類似物のような炭酸カルシウム;繊維状、モジュラー状、針状、層状タルク、またはその類似物を含めてのタルク;ウォラストナイト;表面処理ウォラストナイト;中空および密実ガラス球、シリケート球、セノ球、アルミノシリケート(アルモ球)、またはその類似物のようなガラス球;硬質カオリン、軟質カオリン、仮焼カオリン、ポリマーマトリックス樹脂との適合性を促進するための当技術分野で周知の多様な被覆を含むカオリン、またはその類似物を含めてのカオリン;炭化ケイ素、アルミナ、炭化ホウ素、鉄、ニッケル、銅、またはその類似物のような単結晶繊維または「ウイスカー」;アスベスト、炭素繊維、E、A、C、ECR、R、S、D、またはNEガラス、またはその類似物のようなガラス繊維のような繊維(連続およびチョップド繊維を含めて);硫化モリブデン、硫化亜鉛、またはその類似物のようなスルフィド;チタン酸バリウム、バリウムフェライト、硫酸バリウム、重晶石、またはその類似物のようなバリウム化合物;粒状または繊維状アルミニウム、ブロンズ、亜鉛、銅およびニッケル、またはその類似物のような金属および金属酸化物;ガラスフレーク、フレーク状炭化ケイ素、二ホウ化アルミニウム、アルミニウムフレーク、スチールフレーク、またはその類似物のようなフレーク状フィラー;繊維状フィラー、例えば、ケイ酸アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、および硫酸カルシウム半水和物、またはその類似物の少なくとも1つを含むブレンドに由来するもののような無機短繊維;木材を粉砕することによって得られる木材粉のような天然フィラーおよび補強材、セルロース、綿、サイザル麻、ジュート、でんぷん、コルク粉、リグニン、粉砕ナッツ殻、コーン、米穀類モミ、またはその類似物のような繊維状生成物;ポリテトラフルオロエチレンのような有機フィラー;ポリ(エーテルケトン)、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリ(フェニレンスルフィド)、ポリエステル、ポリエチレン、芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル酸樹脂、ポリ(ビニルアルコール)、またはその類似物のような繊維の形成が可能な有機ポリマーから形成される補強用有機繊維状フィラー;ならびに雲母、粘土、長石、煙道ダスト、フィライト、石英、ケイ岩、パーライト、トリポリ、珪藻土、カーボンブラック、またはその類似物のような追加のフィラーおよび補強材、あるいは前記フィラーまたは補強剤の少なくとも1つを含む組合せを含む。
フィラーおよび補強材は、導電性を増進するために金属材料の層によって被覆されてもよく、または、ポリマー性マトリックス樹脂に対する接着性および分散性を改善するためにシランによって表面処理されてもよい。さらには、補強用フィラーは、モノフィラメントもしくはマルチフィラメント繊維の形態で供給されてもよく、単独で、または、例えば、共織りまたはコア/シース、サイド-バイ-サイド、オレンジタイプまたはマトリックスおよびフィブリル構造、あるいは繊維製造の技術分野で当業者に周知の他の方法を介して他の種類の繊維と組み合わせて使用されてよい。適切な共織り構造は、例えば、ガラス繊維-カーボン繊維、カーボン繊維-芳香族ポリイミド(アラミド)繊維、および芳香族ポリイミドファイバーガラス繊維、またはその類似物を含む。繊維状フィラーは、例えば、0度〜90度織物、またはその類似物のようなロービング、繊維状補強織物;連続ストランドマット、チョップドストランドマット、ティッシュー、紙およびフェルト、またはその類似物のような不織繊維状補強材;あるいは組み紐、またはその類似物のような三次元補強材の形態で供給されてよい。フィラーは、ポリカーボネート樹脂、衝撃改質剤、および芳香族ビニルコポリマーの100重量部に対して、約0重量部から約50重量部、任意選択で約1重量部から約20重量部、一部の実施態様では、約4重量部から約15重量部の量において一般に使用される。
組成物は、ポリカーボネート-ポリシロキサンコポリマー、エステル、およびその類似物のような他のポリカーボネートブレンドおよびコポリマーを任意選択で含んでよい。
加えて、熱可塑性組成物は、熱可塑性組成物の所望の特性に著しく悪い影響を添加剤が与えないように好ましくは添加剤が選択される限り、この種の樹脂組成物中に通常組み込まれる多様な添加剤を含んでよい。添加剤の混合物を使用してよい。かかる添加剤を、組成物を形成するために成分を混合する間、適切な時間混合してよい。
組成物は、ポリカーボネートブロックと、ポリジオルガノシロキサンブロックとを含むポリカーボネート-ポリシロキサンコポリマーを任意選択で含んでよい。コポリマー中のポリカーボネートブロックは、例えば、R1が上記の式(2)である上記の式(1)の構造反復単位を含む。これらの単位は、上記式(3)のジヒドロキシ化合物の反応に由来してよい。ある実施態様では、ジヒドロキシ化合物は、AlおよびA2がそれぞれp-フェニレンであり、Y1がイソプロピリデンであるビスフェノールAである。
ポリジオルガノシロキサンブロックは、式(16)の構造反復単位(ここでは「シロキサン」と呼称される場合もある)を含む
[式中、Rはそれぞれ、同じでも異なっていてもよく、一価C1〜13有機基である]。例えば、Rは、Cl〜Cl3アルキル基、C1〜C13アルコキシ基、C2〜C13アルケニル基、C2〜C13アルケニルオキシ基、C3〜C6シクロアルキル基、C3〜C6シクロアルコキシ基、C6〜C10アリール基、C6〜C10アリールオキシ基、C7〜C13アラルキル基、C7〜C13アラルコキシ基、C7〜C13アルカリール基、またはC7〜C13アルカリールオキシ基であってよい。前記R基の組合せを、同じコポリマー中で使用してもよい。
式(16)中のDの値は、熱可塑性組成物におけるそれぞれの成分の種類および相対量、組成物の所望の特性、および類似の考察事項に応じて広範囲に変わってもよい。一般に、Dは、2から約1,000、詳細には約2から約500、より詳細には約5から約100の平均値を有してよい。ある実施態様では、Dは、平均値約10から約75であり、さらなる他の実施態様では、Dは、平均値約40から約60である。Dがより小さい値、例えば、約40より小さい値の場合、比較的多量のポリカーボネート-ポリシロキサンコポリマーを使用することが望ましくてもよい。反対に、Dがより大きい値、例えば、約40を超える場合では、比較的小量のポリカーボネート-ポリシロキサンコポリマーを使用することが必要であってよい。
第1および第2(またはそれを超える)のポリカーボネートコポリマー-ポリシロキサンコポリマーの組合せを使用してもよく、第1コポリマーのDの平均値は、第2コポリマーのDの平均値より小さい値である。
ある実施態様では、ポリジオルガノシロキサンブロックは、式(17)の反復構造単位により供与される
[式中、Dは、上記で定義した通りであり、Rは、それぞれ独立に、同じでも異なっていてもよく、上記で定義した通りであり、Arは、同じであっても異なっていてもよく、置換または非置換C6〜C30アリーレン基であり、その結合は、芳香族部分に直接結合されている]。式(17)中の適切なAr基は、C6〜C30ジヒドロキシアリーレン化合物、例えば、上記式(3)、(4)、または(7)のジヒドロキシアリーレン化合物から誘導してもよい。前記のジヒドロキシアリーレン化合物の少なくとも1つを含む組合せも使用してよい。適切なジヒドロキシアリーレン化合物の特定の例は、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-1-メチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4-ヒドロキシフェニルスルフィド)、および1,1-ビス(4-ヒドロキシ-t-ブチルフェニル)プロパンである。前記のジヒドロキシ化合物の少なくとも1つを含む組合せを使用してもよい。
かかる単位は、以下の式(18)の対応するジヒドロキシ化合物に由来してよい
[式中、ArおよびDは、上記の通りである]。かかる化合物は、Kressらの米国特許第4746701号にさらに記載されている。この式の化合物を、相間移動条件下で、ジヒドロキシアリーレン化合物を、例えば、α,ω-ビスアセトキシポリジオルガノシロキサンと反応させることによって取得してよい。
他の実施態様では、ポリジオルガノシロキサンブロックは、式(19)の反復構造単位を含む
[式中、RおよびDは、上記の通りである]。式(19)中のR2は、二価のC2〜C8脂肪族基である。式(19)中のそれぞれのMは、同じでも異なっていてもよく、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1〜C8アルキルチオ、C1〜C8アルキル、Cl〜C8アルコキシ、C2〜C8アルケニル、C2〜C8アルケニルオキシ基、C3〜C8シクロアルキル、C3〜C8シクロアルコキシ、C6〜C10アリール、C6〜C10アリールオキシ、C7〜C12アラルキル、C7〜C12アラルコキシ、C7〜C12アルカリール、またはC7〜C12アルカリールオキシでよく、nは、それぞれ独立に、0、1、2、3、または4である。
ある実施態様では、Mは、ブロモもしくはクロロ、メチル、エチル、またはプロピルのようなアルキル基、メトキシ、エトキシ、またはプロポキシのようなアルコキシ基、フェニル、クロロフェニル、またはトリルのようなアリール基;R2は、ジメチレン、トリメチレン、またはテトラメチレン基である;および、Rは、C1〜8アルキル、トリフルオロプロピル、シアノアルキルのようなハロアルキル、あるいはフェニル、クロロフェニル、またはトリルのようなアリールである。他の実施態様では、Rは、メチル、またはメチルとトリフルオロプロピルとの混合物、またはメチルとフェニルとの混合物である。さらなる他の実施態様では、Mはメトキシ、nは1、R2は、二価のC1〜C3脂肪族基、およびRはメチルである。
かかるジヒドロキシポリシロキサンを、式(21)のシロキサンヒドリドと、脂肪族部分が不飽和の一価フェノールの間で白金触媒付加を促進することによって作製することができる
[式中、RおよびDは、既に定義した通りであり、脂肪族部分が不飽和の一価フェノールである]。適切な脂肪族部分が不飽和の一価フェノールは、例えば、オイゲノール、2-アルキルフェノール、4-アリル-2-メチルフェノール、4-アリル-2-フェニルフェノール、4-アリル-2-ブロモフェノール、4-アリル-2-t-ブトキシフェノール、4-フェニル-2-フェニルフェノール、2-メチル-4-プロピルフェノール、2-アリル-4,6-ジメチルフェノール、2-アリル-4-ブロモ-6-メチルフェノール、2-アリル-6-メトキシ-4-メチルフェノール、および2-アリル-4,6-ジメチルフェノールを含む。前記の少なくとも1つを含む混合物も使用されてよい。
ポリカーボネート-ポリシロキサンコポリマーは、任意選択で上記の相間移動触媒の存在下で、ジフェノールポリシロキサン(20)をカーボネート源および式(3)のジヒドロキシ芳香族化合物と反応させることによって製造してよい。適切な条件は、ポリカーボネートを形成する際に有用である条件に類似している。例えば、コポリマーは、0℃未満から約100℃、好ましくは、約25℃から約50℃の温度でホスゲン化によって調製される。反応は発熱であるので、反応温度を制御するためにホスゲン添加の速度を使用してよい。必要とされるホスゲン量は、一般に、二価反応物質の量によるであろう。あるいは、ポリカーボネート-ポリシロキサンコポリマーは、上記のエステル交換触媒の存在下で、ジヒドロキシモノマーと、ビフェニルカーボネートのようなジアリールカーボネートエステルとを溶融状態で共反応させることによっても調製し得る。
ポリカーボネート-ポリシロキサンコポリマーの製造において、ジヒドロキシポリジオルガノシロキサンの量は、コポリマー中に所望の量のポリジオルガノシロキサン単位が提供されるように選択される。ポリジオルガノシロキサン単位の量は、広く変化してよく、すなわち、約1重量%から約99重量%のポリジメチルシロキサン、または当量のモル量の他のポリジオルガノシロキサンでよく、残りはカーボネート単位である。したがって、使用される特定の量は、ポリカーボネートの種類および量、衝撃改質剤の種類および量、ポリカーボネート-ポリシロキサンコポリマーの種類および量、ならびに任意の他の添加剤の種類および量を含めて、熱可塑性組成物の所望の物理特性、Dの値(2から約1000の範囲内)、および熱可塑性組成物中の各成分の種類および相対量に応じて決定される。ジヒドロキシポリジオルガノシロキサンの適切な量を、過度の実験を行うことなく、ここで教示されたガイドラインを使用して当業者が決定することができる。例えば、ジヒドロキシポリジオルガノシロキサンの量は、約1重量%から約75重量%または約1重量%から約50重量%のポリジメチルシロキサン、または当量のモル量の他のポリジオルガノシロキサンを含むコポリマーが製造されるように選択されてよい。ある実施態様では、コポリマーは、約5重量%から約40重量%、任意選択で約5重量%から約25重量%のポリジメチルシロキサン、または当量のモル量の他のポリジオルガノシロキサンを含み、残りはポリカーボネートである。特定の実施態様では、コポリマーは、約20重量%のシロキサンを含んでよい。
多様な実施態様では、熱可塑性組成物は、約25重量%から約90重量%のポリカーボネート樹脂;任意選択で約50重量%から約80重量%のポリカーボネート;任意選択で約55重量%から70重量%のポリカーボネートを含む。熱可塑性組成物は、約0重量%から60重量%の芳香族ビニルコポリマー;任意選択で約5重量%から約30重量%の芳香族ビニルコポリマー;および一部の実施態様では、約15重量%から約25重量%の芳香族ビニルコポリマーを含むことができる。組成物は、約1重量%から30重量%の衝撃改質剤、任意選択で約5重量%から約25重量%の衝撃改質剤、および一部の実施態様では、約8重量%から約20重量%の衝撃改質剤をもさらに含んでよい。組成物は、約1重量%から約20重量%の官能性コポリマー、任意選択で約1重量%から約10重量%の官能性コポリマー、および一部の実施態様では、約3重量%から約8重量%の官能性コポリマーをさらに含む。例示的な実施態様では、組成物は、約50重量%から約80重量%の1つまたは複数のポリカーボネート樹脂と、約5から約30重量%のSANと、約1重量%から約30重量%のHRGのような衝撃改質剤と、約1重量%から約20重量%のエチレン/アクリル酸n-ブチル/メタクリル酸グリシジルコポリマーのような官能性コポリマーとを含み得る。
ここで記述された組成物は、主たる酸化防止剤または「安定剤」(例えば、ヒンダードフェノールおよび/または第二級アリールアミン)および任意選択で二次酸化防止剤(例えば、ホスフェートおよび/またはチオエステル)を含み得る。適切な酸化防止剤は、例えば、亜リン酸トリス(ノニルフェニル)、亜リン酸トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスフィット、ジステアリルペンタエリトリトールジホスフィット、またはその類似物のようなオルガノホスフィット;アルキル化モノフェノールまたはポリフェノール;ポリフェノールとテトラキス[メチレン(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン、またはその類似物のようなジエンのアルキル化反応生成物;パラクレゾールまたはジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物;アルキル化ヒドロキノン;ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル;アルキリデンービスフェノール;ベンジル化合物;β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一価または多価アルコールのエステル;β-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロピオン酸と一価または多価アルコールのエステル;β-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロピオン酸と一価または多価アルコールのエステル;チオプロピオン酸ジステアリル、チオプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジトリデシル、プロピオン酸オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)、プロピオン酸ペンタエリトリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)、またはその類似物のようなチオアルキルまたはチオアリール化合物のエステル;プロピオン酸β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)のアミド、またはその類似物、あるいは前記酸化防止剤の少なくとも1つを含む組合せを含む。酸化防止剤は、ポリカーボネート樹脂、芳香族ビニルコポリマー、衝撃改質剤および官能性コポリマー100重量部に対して、約0.01重量部から約1重量部、任意選択で約0.05重量部から約0.5重量部の量で一般に使用される。
適切な熱安定剤は、例えば、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリス-(2,6-ジメチルフェニル)、亜リン酸トリス-(混合モノ-およびジノニルフェニル)、またはその類似物のようなオルガノホスフィット;ホスホン酸ジメチルベンゼン、またはその類似物のようなホスホネート;リン酸トリメチル、またはその類似物のようなホスフェート;または前記熱安定剤の少なくとも1つを含む組合せを含む。熱安定剤は、一般に、ポリカーボネート樹脂、芳香族ビニルコポリマー、衝撃改質剤および官能性コポリマー100重量部に対して約0.01重量部から約5重量部、任意選択で約0.05重量部から約0.3重量部の量において使用される。
光安定剤および/または紫外光(UV)吸収剤をまた使用してもよい。適切な光安定剤は、例えば、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、および2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、またはその類似物のようなベンゾトリアゾール、または前記光安定剤の少なくとも1つを含む組合せを含む。光安定剤は、一般に、ポリカーボネート樹脂、芳香族ビニルコポリマー、衝撃改質剤および官能性コポリマー100重量部に対して約0.01重量部から約10重量部、任意選択で約0.1重量部から約1重量部の量において使用される。
適切なUV吸収剤は、例えば、ヒドロキシベンゾフェノン;ヒドロキシベンゾトリアゾール;ヒドロキシベンゾトリアジン;シアノアクリレート;オキサニリド;ベンゾオキサジノン;2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール(CYASORB(商標)5411);2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシベンゾフェノン(CYASORB(商標)531);2-[4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-(オクチルオキシ)-フェノール(CYASORB(商標)1164);2,2'-(1,4-フェニレン)ビス(4H-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)(CYASORB(商標)UV-3638);1,3-ビス[(2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリロイル)オキシ]-2,2-ビス[[(2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル]プロパン(UVINUL(商標)3030);2,2'-(1,4-フェニレン)-ビス(4H-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン);1,3-ビス[(2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリロイル)オキシ]-2,2-ビス[[(2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル]プロパン;すべてが約100ナノメートルより小さい粒径を有する、酸化チタン、酸化セリウム、および酸化亜鉛、またはその類似物のようなナノサイズの無機材料;または類似物、あるいは前記UV吸収剤の少なくとも1つを含む組合せを含む。UV吸収剤は、一般に、ポリカーボネート樹脂、芳香族ビニルコポリマー、衝撃改質剤および官能性コポリマー100重量部に対して約0.1重量部から約5重量部の量において使用される。
可塑剤、潤滑剤、および/または離型剤用添加剤をまた使用してもよい。これらの種類の材料の間にはかなりのオーバーラップが存在し、それらは、例えば、ジオクチル-4,5-エポキシ-ヘキサヒドロフタレートのようなフタル酸エステル;トリス-(オクトキシカルボニルエチル)イソシアヌレート;トリステアリン;レゾルシノールテトラフェニルジホスフェート(RDP)、ヒドロキノンのビス(ジフェニル)ホスフェート、およびビスフェノール-Aのビス(ジフェニル)ホスフェートのような二官能性または多官能性芳香族ホスフェート;ポリα-オレフィン;エポキシ化大豆油;シリコーン油を含めてのシリコーン;エステル、例えば、アルキルステアリルエステル、例えば、ステアリン酸メチルのような脂肪酸エステル;ステアリン酸ステアリル、ペンタエリトリトールテトラステアレート、およびその類似物;ステアリン酸メチルと、ポリエチレングリコールポリマー、ポリプロピレングリコールポリマーおよびそれらのコポリマーを含む親水性および疎水性ノニオン界面活性剤との混合物、例えば、適切な溶媒中のステアリン酸メチルとポリエチレン-ポリプロピレングリコールコポリマーの混合物;ミツロウ、モンタンロウ、パラフィンロウ、またはその類似物のようなロウを含む。かかる材料は、一般に、ポリカーボネート樹脂、芳香族ビニルコポリマー、衝撃改質剤および官能性コポリマー100重量部に対して約0.1重量部から約20重量部、任意選択で約1重量部から約10重量部の量において使用される。
「帯電防止剤」という用語は、導電特性および全体の物理性能を改良するために、ポリマー樹脂に加工および/もしくは材料または物品上にスプレーされることができるモノマー性、オリゴマー性、またはポリマー性材料を指す。モノマー性帯電防止剤の例は、モノステアリン酸グリセリン、ジステアリン酸グリセリン、トリステアリン酸グリセリン、エトキシル化アミン、第一級、第二級および第三級アミン、エトキシル化アルコール、硫酸アルキル、硫酸アルキルアリール、リン酸アルキル、硫酸アルキルアミン、スルホン酸ステアリルナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、またはその類似物のようなスルホン酸アルキル塩、第四級アンモニウム塩、第四級アンモニウム樹脂、イミダゾリン誘導体、ソルビタンエステル、エタノールアミド、ベタイン、またはその類似物、または前記モノマー性帯電防止剤の少なくとも1つを含む組合せを含む。
ポリマー性帯電防止剤の例は、ある種のポリエステルアミド、ポリエーテル-ポリアミド(ポリエーテルアミド)ブロックコポリマー、ポリエーテエステルアミドブロックコポリマー、ポリエーテルエステル、またはポリウレタンを含み、それぞれが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、およびその類似物のようなポリアルキレングリコール部分を含有する。かかるポリマー性帯電防止剤は、例えば、Pelestat(登録商標)6321(Sanyo)、Pebax(登録商標)MH1657(Atofina)、ならびにIrgastat(商標)P18およびP22(Ciba-Geigy)のように市販されている。帯電防止剤として使用されてよい他のポリマー性材料は、高温での溶融加工後それらの固有導電性の一部を保持しているポリアニリン(PanipolからPANIPOL(登録商標)EBとして市販)、ポリピロールおよびポリチオフェン(Bayerから市販)のような固有に導電性であるポリマーである。ある実施態様では、カーボン繊維、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、または前記の任意の組合せは、組成物を静電気的に散逸性にする化学的な帯電防止剤を含有するポリマー樹脂中で使用されてよい。帯電防止剤は、一般にポリカーボネート樹脂、芳香族ビニルコポリマー、衝撃改質剤および官能性コポリマー100重量部に対して約0.1重量部から約10重量部の量において使用される。
顔料および/または染料添加剤のような着色剤も存在し得る。適切な顔料は、例えば、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化鉄、またはその類似物のような金属酸化物および混合金属酸化物、またはその類似物のような無機顔料;硫化亜鉛、またはその類似物のようなスルフィド;アルミネート;ナトリウムスルホシリケートサルフェート、クロメート、またはその類似物;カーボンブラック;亜鉛フェライト;ウルトラマリンブルー;茶色顔料24;赤色顔料101;黄色顔料119;アゾ、ジアゾ、キナクリドン、ペリレン、ナフタレンテトラカルボン酸、フラバントロン、イソインドリノン、テトラクロロイソインドリノン、アントラキノン、アンタントロン、ジオキサジン、フタロシアニン、およびアゾレーキのような有機顔料;青色顔料60、赤色顔料122、赤色顔料149、赤色顔料177、赤色顔料179、赤色顔料202、紫色顔料29、青色顔料15、緑色顔料7、黄色顔料147、および黄色顔料150、または前記顔料の少なくとも1つを含む組合せを含む。顔料は、一般に、ポリカーボネート樹脂、芳香族ビニルコポリマー、衝撃改質剤および官能性コポリマー100重量部に対して約0.01から約10重量部の量において使用される。
適切な染料は、一般に、有機材料であり、例えば、クマリン460(青)、クマリン6(緑)、ナイル赤、またはその類似物のようなクマリン染料;ランタニド錯体;炭化水素および置換炭化水素染料;多環状芳香族炭化水素染料;オキサゾールまたはオキサジアゾール染料のような蛍光染料;アリール-またはヘテロアリール置換ポリ(C2〜8)オレフィン染料;カルボシアニン染料;インダントロン染料;フタロシアニン染料;オキサジン染料;カルボスチリル染料;ナフタレンテトラカルボン酸染料;ポルフィリン染料;ビス(スチリル)ビフェニル染料;アクリジン染料;アントラキノン染料;シアニン染料;メチン染料;アリールメタン染料;アゾ染料;インジゴイド染料、チオインジゴイド染料、ジアゾニウム染料;ニトロ染料;キノンイミン染料;アミノケトン染料;テトラゾリウム染料;チアゾール染料;ペリレン染料、ペリノン染料;ビスベンゾオキサゾリルチオフェン(BBOT);トリアリールメタン染料;キサンテン染料;チオキサンテン染料;ナフタルイミド染料;ラクトン染料;近赤外波長を吸収し、可視波長を発光するアンチストークスシフト染料、またはその類似物のようなフルオロフォア;7-アミノ-4-メチルクマリンのような発光染料;3-(2'-ベンゾチアゾリル)-7-ジエチルアミノクマリン;2-(4-ビフェニリル)-5-(4-t-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール;2,5-ビス-(4-ビフェニリル)-オキサゾール;2,2'-ジメチル-p-クアテルフェニル;2,2-ジメチル-p-ターフェニル;3,5,3"",5""-テトラ-t-ブチル-p-キンクフェニル;2,5-ジフェニルフラン;2,5-ジフェニルオキサゾール;4,4'-ジフェニルスチルベン;4-ジシアノメチレン-2-メチル-6-(p-ジメチルアミノスチリル)-4H-ピラン;1,1'-ジエチル-2,2'-カルボシアニンヨウ化物;3,3'-ジエチル-4,4',5,5'-ジベンゾチアトリカルボシアニンヨウ化物;7-ジメチルアミノ-l-メチル-4-メトキシ-8-アザキノロン-2;7-ジメチルアミノ-4-メチルキノロン-2;2-(4-(4-ジメチルアミノフェニル)-1,3-ブタジエニル)-3-エチルベンゾチアゾリウムパークロレート;3-ジエチルアミノ-7-ジエチルイミノフェノキサゾニウムパークロレート;2-(1-ナフチル)-5-フェニルオキサゾール;2,2'-p-フェニレン-ビス(5-フェニルオキサゾール);ローダミン700;ローダミン800;ピレン;クリセン;ルブレン;コロネン、またはその類似物、または前記染料の少なくとも1つを含む組合せを含む。染料は、一般に、ポリカーボネート樹脂、芳香族ビニルコポリマー、衝撃改質剤および官能性コポリマーの重量に対して約0.1から約10ppmの量において使用される。
添加されてよい適切な難燃剤は、リン、臭素、および/または塩素を含む有機化合物でよい。非臭素化および非塩素化リン含有難燃剤、例えば、有機ホスフェートおよびリン-窒素結合を含有する有機化合物が、法規制の理由からある種の用途で好ましい場合がある。
1つの種類の有機ホスフェートの例は、式(GO)3P=Oの芳香族ホスフェートであり、Gは、それぞれ独立に、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルカリール、アルキルアリール、またはアラルキル基であるが、ただし、少なくとも1つのGは、芳香族基である。G基のうち2つは、一緒に結合することによって環状基、例えば、米国特許第4154775号においてAxelrodによって記載のジフェニルペンタエリトリトールジホスフェートを提供してよい。他の適切な芳香族ホスフェートは、例えば、リン酸ビス(ドデシル)フェニル、リン酸ビス(ネオペンチル)フェニル、リン酸ビス(3,5,5'-トリメチルヘキシル)フェニル、リン酸エチルジフェニル、リン酸2-エチルヘキシルジ(p-トリル)、リン酸ビス(2-エチルヘキシル)p-トリル、リン酸トリトリル、リン酸ビス(2-エチルヘキシル)フェニル、リン酸トリ(ノニルフェニル)、リン酸ビス(ドデシル)p-トリル、リン酸ジブチルフェニル、リン酸2-クロロエチルジフェニル、リン酸ビス(2,5,5'-トリメチルヘキシル)p-トリル、リン酸2-エチルヘキシルジフェニル、およびその類似物でよい。特定の芳香族ホスフェートは、それぞれのGが、芳香族であるもの、例えば、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレシル、リン酸イソプロピル化トリフェニル、およびその類似物である。
二官能性または多官能性芳香族リン含有化合物、例えば、以下の式の化合物もまた有用である
[式中、G1は、それぞれ独立に、炭素原子1から30個を有する炭化水素であり;G2は、それぞれ独立に、炭素原子1から約30個を有する炭化水素またはヒドロカルボノキシであり;Xaは、それぞれ上記で定義した通りであり;Xは、それぞれ独立に、臭素または塩素であり;mは、0から4であり、nは、1から約30である]。適切な二官能性または多官能性芳香族リン含有化合物の例は、それぞれ、レゾルシノールテトラフェニルジホスフェート(RDP)、ヒドロキノンのリン酸ビス(ジフェニル)、およびビスフェノールAのリン酸ビス(ジフェニル)、それらのオリゴマー性およびポリマー性対応物、およびその類似物を含む。
リン-窒素結合を含有する適切な難燃剤化合物の例は、ホスホニトリル酸クロリド、リンエステルアミド、リン酸アミド、ホスホン酸アミド、ホスフィン酸アミド、トリス(アジリジニル)ホスフィンオキシドを含む。
ハロゲン化材料、例えば、式(21)のハロゲン化化合物および樹脂も、難燃剤として使用し得る
[式中、Rは、アルキレン、アルキリデン、または脂環式結合基、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、イソプロピリデン、ブチレン、イソブチレン、アミレン、シクロヘキシレン、シクロペンチリデン、またはその類似物;あるいは、酸素エーテル、カルボニル、アミン、またはイオウ含有結合基、例えば、スルフィド、スルホキシド、スルホン、またはその類似物である]。Rは、芳香族、アミノ、エーテル、カルボニル、スルフィド、スルホキシド、スルホン、またはその類似物のような基によって結合された2つ以上のアルキレンまたはアルキリデン結合基からなる場合もある。
式(21)中のArおよびAr'は、それぞれ独立に、フェニレン、ビフェニレン、ターフェニレン、ナフチレン、またはその類似物のようなモノ-またはポリ炭素環状芳香族基である。
Yは、有機、無機、または有機金属基、例えば、(1)ハロゲン、例えば、塩素、臭素、ヨウ素、フッ素、または(2)Eが、Xに類似した一価炭化水素基である一般式EOのエーテル基、または(3)Rによって表される種類の一価炭化水素基、または、(4)他の置換基、例えば、ニトロ、シアン、およびその類似物であり、ただし、アリール核当たり少なくとも1個、任意選択で2個のハロゲン原子が存在する限りにおいて、前記置換基は本質的に不活性である。
存在する場合、Xは、それぞれ独立に、一価炭化水素基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、デシル、またはその類似物のようなアルキル基;フェニル、ナフチル、ビフェニル、キシリル、トリル、またはその類似物のようなアリール基;およびベンジル、エチルフェニル、またはその類似物のようなアラルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、またはその類似物のような脂環式基である。一価炭化水素基は、それ自体が不活性な置換基を含有してもよい。
dは、それぞれ独立に、1から、ArまたはAr'を含む芳香族環上で置換された置換可能な水素数に等しい最大値までである。eは、それぞれ独立に、0から、R上の置換可能な水素数に等しい最大値までである。a、b、およびcは、それぞれ独立に、0を含む整数である。bが0でない場合、aもcも0になることができない。そうでなければ、aまたはcのいずれかは、0になることができるが、両方は不可能である。bが0である場合、芳香族基は、炭素-炭素直接結合によって結合される。
芳香族基、ArおよびAr'上のヒドロキシルおよびY置換基は、芳香族環上でオルト、メタ、またはパラ位に変わることができ、基は、相互に任意の可能な幾何学的関係にあり得る。
上記の式の範囲内に含まれるのは、以下が代表的なビスフェノールである。すなわち:2,2-ビス-(3,5-ジクロロフェニル)-プロパン;ビス-(2-クロロフェニル)-メタン;ビス(2,6-ジブロモフェニル)-メタン;1,1-ビス-(4-ヨードフェニル)-エタン;1,2-ビス-(2,6-ジクロロフェニル)-エタン;1,1-ビス-(2-クロロ-4-ヨードフェニル)エタン;1,1-ビス-(2-クロロ-4-メチルフェニル)-エタン;1,1-ビス-(3,5-ジクロロフェニル)-エタン;2,2-ビス-(3-フェニル-4-ブロモフェニル)-エタン;2,6-ビス-(4,6-ジクロロナフチル)-プロパン;2,2-ビス-(2,6-ジクロロフェニル)-ペンタン;2,2-ビス-(3,5-ジブロモフェニル)-ヘキサン;ビス-(4-クロロフェニル)-フェニル-メタン;ビス-(3,5-ジクロロフェニル)-シクロヘキシルメタン;ビス-(3-ニトロ-4-ブロモフェニル)-メタン;ビス-(4-ヒドロキシ-2,6-ジクロロ-3-メトキシフェニル)-メタン;および2,2-ビス-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)-プロパン2,2-ビス-(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)-プロパン。上記の構造式内に以下も含まれる:1,3-ジクロロベンゼン、1,4-ジブロモベンゼン、1,3-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゼン、ならびに2,2'-ジクロロビフェニル、多臭素化1,4-ジフェノキシベンゼン、2,4'-ジブロモビフェニル、および2,4'-ジクロロビフェニルのようなビフェニル、ならびにデカブロモジフェニルオキシド、およびその類似物。
ビスフェノールAと、テトラブロモビスフェノールAと、カーボネート前駆体、例えば、ホスゲンとのコポリカーボネートのようなオリゴマー性およびポリマー性ハロゲン化芳香族化合物もまた有用である。金属共力剤、例えば、酸化アンチモンも難燃剤とともに使用してよい。
無機難燃剤、例えば、ペルフルオロブタンスルホン酸カリウム(リマール塩)、ペルフルオロクタンスルホン酸カリウム、ペルフルオロヘキサンスルホン酸テトラエチルアンモニウム、およびジフェニルスルホンスルホン酸カリウム、およびその類似物のようなスルホン酸C2〜16アルキル塩;例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムおよびバリウム)と、無機酸複合体、例えば、Na2CO3、K2CO3、MgCO3、CaCO3、およびBaCO3のような、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の炭酸塩のようなオキソ-アニオンと、あるいは、Li3A1F6、BaSiF6、KBF4、K3AIF6、KAlF4、K2SiF6、および/またはNa3AIF6、またはその類似物のようなフルオロ-アニオン複合体とを反応させることによって形成される塩も使用し得る。
ドリップ防止剤、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなフィブリル形成または非フィブリル形成フルオロポリマーも使用してよい。ドリップ防止剤は、上記したような剛性コポリマー、例えば、SANによって封入されてよい。SAN中に封入されたPTFEは、TSANと呼ばれる。封入フルオロポリマーは、フルオロポリマーの存在下で、例えば、水性分散において封入用ポリマーを重合させることによって、作製されてよい。TSANは、組成物中により容易に分散し得るという点で、PTFEよりも著しく優れた利点を提供してよい。適切なTSANは、封入フルオロポリマーの全重量に対して、例えば、約50重量%のPTFEと約50重量%のSANとを含んでよい。SANは、コポリマーの全重量に対して、例えば、約75重量%のスチレンと約25重量%のアクリロニトリルとを含んでよい。あるいは、フルオロポリマーは、例えば、芳香族ポリカーボネート樹脂やSANのような第2のポリマーと何らかの仕方で予備ブレンドすることによって、ドリップ防止剤として使用するための凝集材料を形成してもよい。封入フルオロポリマーを製造するために、いずれの方法を使用してもよい。
発泡体が所望である場合、適切な発泡剤は、例えば、低沸点のハロ炭化水素および二酸化炭素を発生するもの;アゾジカルボンアミド、アゾジカルボンアミドの金属塩、4,4'-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、またはその類似物のような、室温で固体であり、分解温度を超える温度まで加熱されると窒素、二酸化炭素、アンモニアガスのようなガスを発生する発泡剤;前記発泡剤の少なくとも1つを含む組合せを含む。
熱可塑性組成物を、当技術分野で一般に利用される方法で製造してよい。例えば、ある実施態様では、1つの進め方として、粉末ポリカーボネート樹脂、鉱物フィラー、酸または酸塩、任意選択の衝撃改質剤、任意選択の芳香族ビニルコポリマー、および任意の他の任意選択の成分を、Henschel(商標)高速ミキサーまたは他の適切なミキサー/ブレンダで、任意選択で他のフィラーとともに最初にブレンドする。限定されないが、ハンドミキシングを含めての他の低せん断法もこのブレンディングを実施してよい。次いで、ブレンドをホッパーを介して二軸押出機の投入口に供給する。あるいは、1つまたは複数の成分は、投入口および/または下降部でサイドスタッファーから押出機に直接供給することによって組成物中に組み込んでもよい。かかる添加剤は、所望のポリマー性樹脂とともに混ぜ合わせてマスターバッチにして、押出機に供給してもよい。押出機は、一般に、組成物を流動させるのに必要とされるより高い温度で操作される。押出物は、水バッチ内で直ちに急冷され、ペレット化される。こうして調製されたペレットは、押出物を切断する場合、長さ1/4インチでよく、所望であればより短くてもよい。かかるペレットを、次の成形、成型、または形成のために使用してよい。
ポリカーボネート組成物を含む成型、形成、または成形品も提供される。ポリカーボネート組成物は、射出成形、押出、回転成形、ブロー成形、および熱成形のような多様な手段によって有用な成型品に成形することによって、例えば、モニター用の筺体のようなコンピュータおよびビジネス機械用の筺体、携帯電話、電気接続器、および照明器具部品用の手持ち電子デバイス筺体、装飾品、家庭用品、屋根、温室、サンルーム、スイミングプール用エンクロージャ、電子デバイス用ケースおよび標識、およびその類似物のような物品を形成してよい。加えて、ポリカーボネート組成物は、自動車用パネル、自動車用トリムのような用途のために使用し得る。適切な物品の例は、限定されないが、パネル、クオータパネル、ロッカーパネル、トリム、フェンダー、ドア、デッキリッド、トランクリッド、フード、ボンネット、ルーフ、バンパー、ファシア、グリル、ミラー筺体、ピラーアプリケ、クラッディング、ボディサイドモールディング、ホイールカバ、ハブキャップ、ドアハンドル、スポイラ、ウインドフレーム、ヘッドランプベゼル、ヘッドランプ、テールランプ、テールランプ筺体、テールランプベゼル、ライセンスプレート入れ、ルーフラック、およびランニングボードを含めての、航空機、自動車、トラック、軍用車(自動車、航空機、および水上用車を含めて)、スクータ、および電動自転車用の外装、および内装部品;アウトドア車およびデバイス用のエンクロージャ、筺体、パネルおよびパーツ;電気および通信デバイス用のエンクロージャ;アウトドア家具;トリム、エンクロージャおよび筺体を含めての、ボートおよびマリン器具;アウトボードモータ筺体;潜水鏡筺体;パーソナル水上艇;ジェットスキー;プール;温泉;温水タブ;階段;階段覆い;グレージング、ルーフ、窓、床、装飾窓付属品またはトリートメントのようなビルディングおよび施工物用途;写真、絵画、ポスターおよび類似の展示物品用の処理ガラスカバー;壁パネル、およびドア;カウンター頂部;保護されたグラフィック作品;屋外および屋内標識;現金自動払出機(ATM)用のエンクロージャ、筺体、パネルおよびパーツ;コンピュータ;デスクトップ型コンピュータ;携帯型コンピュータ;ラップトップ型コンピュータ;手持ちコンピュータ用筺体;モニター;プリンタ;キーボード;FAX機;コピー機;電話;電話ベゼル;携帯電話;ラジオ送信機;ラジオ受信機;芝生およびガーデン用道具を含めて、芝生およびガーデン用トラクター、芝刈り機、および道具向けのエンクロージャ、筺体、パネルおよびパーツ;窓およびドアトリム;スポーツ器具および玩具;スノーモービル用エンクロージャ、筺体、およびパネル;レクリエーション車両用パネルおよび部品;遊園地用器具;靴紐;プラスチック-木材組合せ材料から作製される物品;ゴルフコース標識;ユーティリティーピットカバー;照明器具;照明用品;ネットワークインターフェースデバイス筺体;変圧器筺体;空調機筺体;公共輸送機関用クラッディングまたはシーティング;列車、地下鉄またはバス用のクラッディングまたはシーティング;メーター用筺体;アンテナ用筺体;サテライトディッシュ用クラッディング;被覆ヘルメットおよび個人用保護器具;合成もしくは天然被覆生地;被覆塗装物品;被覆染色物品;被覆蛍光物品;被覆発泡物品;ならびに類似の用途を含む。本発明は、限定されないが、成形、インモールドデコレーション、塗装オーブン内のベーキング、ラミネーションおよび/または熱成形のような前記物品に関する追加の製造操作をさらに企図するものである。本発明の組成物から作製された物品を、自動車産業、家庭用品、電気部品および通信において広く使用してよい。
組成物は、表1に記載の成分から調製された以下の非限定的実施例によってさらに例示される。
試料組成物のそれぞれを、表2の配合物に従って調製した。別段の注記がなければ、量はすべて重量%である。試料1は、市販の低光沢熱可塑性組成物(Cycoloy(登録商標)LG9000)の対照試料である;試料2は、光沢低減剤を含まない試料1の対照試料である;および試料3から9は、異なる量の官能性コポリマー光沢低減剤を含む本発明の実施例である。それぞれの実施例では、公称溶融温度約275℃、真空度約1バール、および約300rpmで、Werner & Pfleiderer(商標)25mm共回転二軸押出機を用いて溶融押出しによって試料を調製した。押出物をペレット化し、80℃で少なくとも4時間乾燥させた。試験用供試体を作製するために、乾燥ペレットを、公称溶融温度約275℃で、射出成形機のバレル温度が約260℃から約295℃まで変わる100トン射出成形機によって射出成形した。
表2の組成物を、光沢、MVR、粘度、引張り強度、破断時の引張り伸びおよびノッチ付アイゾット衝撃強度について試験した。実施例において使用されたこれらの試験の詳細は、当業者には周知であり、以下のように要約し得る。
アイゾット衝撃強度ISO180(「NII」)を使用することによってプラスチック材料の耐衝撃性を比較する。アイゾット衝撃を厚さ4mmのノッチ付アイゾット衝撃(INI)用成形バーを使用して測定した。ISO180/1Aに従って決定された。ISO規格は、供試体の種類およびノッチの型を反映する:ISO180/1Aは、供試体のタイプ1およびノッチ型Aを意味する。ISO180/1Uでは、供試体は同じタイプ1であるが、逆からクランプされる(ノッチなしを示す)。ISOの結果は、試験用供試体を破壊するのに使用された衝撃エネルギー(ジュール)をノッチ部の供試体面積で除したものとして定義される。結果をkJ/m2で報告する。
厚さ4mmの引張り用成形バーを使用して、ISO527に従い、1%歪むまで引張り速度1mm/分で引っ張った後、試料が破壊するまで速度50mm/分で引っ張って引張り強度、破壊時の引張り伸びのような引張り特性を測定した。特定の用途に対して所望であれば、5mm/分で測定することも可能であるが、今回の実験で測定された試料は50mm/分で測定された。引張り強度結果をMPaで報告し、破壊時の引張り伸びをパーセンテージで報告する。
Gardner Gloss Meterおよび3mmカラーチップを使用して、ASTM D2457に従い、20°、60°および85°で平滑表面において表面光沢を試験し、標準黒色ガラスチップの光沢水準を100GUとして光沢単位(GU)で報告する。
ASTM D1238に従って、6分間の予熱を行い、5キログラムの錘を使用して260℃でメルトボリュームレート(MVR)を決定した。
溶融粘度(MV)は、分子鎖が相互に移動できる所与の温度でのポリマーの指標である。溶融粘度は、分子量が大きいほど、絡み合いが強く、溶融粘度が大きいという点で分子量に依存し、したがって、熱可塑性プラスチックの劣化の程度を求めるのに使用することができる。劣化した材料は、一般に、粘度が増加し、物理特性が低下する恐れがあろう。溶融粘度を、多様なせん断速度で測定し、好都合にはIS011443によって測定してよい。溶融粘度を、せん断速度1000s-1、2000s-1、3000s-1、4000s-lおよび5000s-1で260℃で測定した。
試験の結果を以下の表3に示す。
表3の結果は、3重量%から8重量%間の官能性コポリマーを添加すると、ノッチ付アイゾット衝撃を同時に維持または改良する一方、試料の光沢水準が著しく減少することを示す。
上記の表2からの一部の試料について追加試験を実施した。結果を以下の表4に示す。
上記の表2の試料1、2および5について、異なるせん断速度で溶融粘度を測定した。結果を以下の表5に示す。
上記の表4および5の結果は、本発明の組成物が、機械特性、ならびに流動性および粘度を維持または大抵の場合改良する一方、20°、60°および85°での光沢水準を効果的に低減することを示す。流動性および粘度の改良によって組成物の加工可能性が改良される。
ここで「第1の」、「第2の」および類似した用語は、いかなる順序または重要性を示すものではなく、1つの要素を他から区別するために使用され、「その(the)」、「1つの(a)」および「1つの(an)」という用語は、量の限界を示すものでなく、少なくとも1つの参照アイテムの存在を示す。同じ特性または量に対してここで開示される範囲はすべて、末端を包含し、末端はそれぞれ独立に組合せ可能である。引用特許、特許出願および他の参考文献は、その全体が参照によりここに組み込まれている。
量に関連して使用される「約」という修飾語は、記載される値を包含し、文脈によって記載された意味を有する(すなわち、特定の量を測定するときに伴う誤差の程度を含む)。
「任意選択の」または「任意選択で」とは、次いで記載される事象もしくは状況が起こっても起こらなくてもよい、あるいは次いで同定される物質が存在しても存在しなくてもよい、ならびに記載が、事象または状況が起こる、あるいは物質が存在する場合、および事象または状況が起こらない、あるいは物質が存在しない場合を含むことを意味する。
典型的な実施態様が例示のために記載されたが、前記記述は、本発明の範囲に対する制限であると見なされるべきではない。したがって、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、多様な改変形態、適応形態および代替形態が当業者によって行われてよい。
Claims (24)
- ポリカーボネートと、
衝撃改質剤と、
芳香族ビニルコポリマーと、
官能性コポリマー添加剤と
を含み、α-オレフィンと(メタ)アクリレートとを官能性コポリマーが含み、Gardner Gloss Meterおよび3ミリメートルカラーチップを使用してASTM D2457に従って60°で平滑表面において測定されたとき、50より小さい表面光沢値を有する、熱可塑性樹脂組成物。 - 官能性コポリマーが、α,β-エチレン性不飽和アクリレートコポリマーをさらに含む、請求項1に記載の熱可塑性組成物。
- α-オレフィンが式R-CH=CH2を有し、Rが水素または一価C1〜C8炭化水素である、請求項1に記載の熱可塑性組成物。
- ポリカーボネート、衝撃改質剤、芳香族ビニルコポリマー、および官能性コポリマーを合わせた重量の3重量%から8重量%の量で樹脂組成物中に官能性コポリマーが存在する、請求項1に記載の熱可塑性組成物。
- α-オレフィンがエチレンであり、(メタ)アクリレートがアクリル酸ブチルである、請求項1に記載の熱可塑性組成物。
- 官能性コポリマーが、メタクリル酸グリシジルをさらに含む、請求項6に記載の熱可塑性組成物。
- 官能性コポリマーが、エチレン/アクリル酸n-ブチル/メタクリル酸グリシジルコポリマーである、請求項2に記載の熱可塑性組成物。
- 芳香族ビニルコポリマーがSANを含む、請求項1に記載の熱可塑性組成物。
- 熱可塑性組成物を含む厚さ3.2mmの成形試料が、23℃でISO180Uに従って決定される、約20kJ/mより大きいまたは等しいノッチ付アイゾット衝撃強度を有する、請求項1に記載の熱可塑性組成物。
- Gardner Gloss Meterおよび3ミリメートルカラーチップを使用してASTM D2457に従って60°で平滑表面において測定されたとき、30より小さい表面光沢値を有する、請求項1に記載の熱可塑性組成物。
- 熱可塑性組成物を含む厚さ3.2mmの成形試料が、23℃および-30℃でISO180Uに従って決定される、少なくとも約50%のノッチ付アイゾット衝撃強度を保持している、請求項1に記載の熱可塑性組成物。
- 請求項1に記載の組成物を成形、押出しまたは成型することを含む、物品を製造する方法。
- 請求項1に記載の組成物を含む物品。
- 成形される、請求項14に記載の物品。
- ポリカーボネート、衝撃改質剤、芳香族ビニルコポリマーおよび官能性コポリマーを合わせた重量に対して、
55重量%から70重量%のポリカーボネートと、
8重量%から20重量%の衝撃改質剤と、
15重量%から25重量%の芳香族ビニルコポリマーと、
3重量%から8重量%の官能性コポリマー添加剤と
を含む樹脂組成物を含み、α-オレフィンと(メタ)アクリレートとを官能性コポリマーが含み、Gardner Gloss Meterおよび3ミリメートルカラーチップを使用してASTM D2457に従って60°で平滑表面において測定されたとき、50より小さい表面光沢値を有する熱可塑性組成物。 - 官能性コポリマーが、α,β-エチレン性不飽和アクリレートコポリマーをさらに含む、請求項16に記載の熱可塑性組成物。
- α-オレフィンが式R-CH=CH2を有し、Rは水素または一価C1〜C8炭化水素である、請求項16に記載の熱可塑性組成物。
- α-オレフィンがエチレンであり、(メタ)アクリル酸アルキルがアクリル酸ブチルである、請求項16に記載の熱可塑性組成物。
- 官能性コポリマーがメタクリル酸グリシジルをさらに含む、請求項16に記載の熱可塑性組成物。
- 官能性コポリマーがエチレン/アクリル酸n-ブチル/メタクリル酸グリシジルコポリマーである、請求項17に記載の熱可塑性組成物。
- Gardner Gloss Meterおよび3ミリメートルカラーチップを使用してASTM D2457に従って60°で平滑表面において測定されたとき、30より小さい表面光沢値を有する、請求項16に記載の熱可塑性組成物。
- 熱可塑性組成物を含む厚さ3.2mmの成形試料が、23℃でISO180Uに従って決定される、約20kJ/mより大きいまたは等しいノッチ付アイゾット衝撃強度を有する、請求項16に記載の熱可塑性組成物。
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