インクジェット、レーザー印刷およびトナーを使う電子写真式(electrophotographic)印刷を含め、印刷方法は、多くの媒体においてモノクロおよびフルカラーの印刷をいずれも許容するまでに進化してきた。色の印刷、特により写実的な色の印刷の発達および印刷品質の鮮鋭さの改善とともに、より多くの写真画像がこれらの技法によって印刷されるようになっている。
特に、電子写真式印刷はテキストおよび画像を印刷するために人気がある。これは非常にコスト効率のよい印刷方法に留まっている。さらに、多くの異なるサイズ、仕上げおよび組成のメディア〔媒体〕を扱うことのできる電子写真式プリンタが存在している。これは、さまざまなサイズのテキスト文書、混合されたテキストおよび画像ならびに画像をさまざまなフォーマットで印刷することを可能にする。電子写真式印刷は、たとえば、片面および両面プリントを含む、テキスト文書、画像、カレンダー、混合フォーマットのプレゼンテーション・レイアウト、広告コピー、フライヤー、パンフレット、グリーティング・カード、フォトアルバム、モンタージュおよびコラージュを制作できる。印刷技術の進歩とともに、縁なしプリントが、特に写真または混合された画像およびテキストのプリントでは、ますます望まれている。さらに、これらの型のプリントを制作することはまた、光沢、つやなしまたはテクスチャーのある仕上げといったさまざまな仕上げをも要求することがある。しかしながら、電子写真式プリントの縁なし印刷は難しい。
2006年8月22日に発行されたHouselに対する米国特許第7,095,526号は、縁なしプリントを与えるための裁ち切り(full-bleed)印刷のためのレイアウトを決定する方法を論じている。Houselは、印刷後のトリミングを最小限にするよう媒体上に画像を配置することを教示している。Houselは、印刷された媒体の少なくとも一つの辺がまだトリミングを必要とすることを前提としている。Houselは完全にトリミングをなくすわけではないので、縁なしプリントを生成するのではない。Houselの方法は追加的な制作ステップを導入する。操作者が印刷後(post-printing)トリミング・デバイスをセットアップして、印刷された出力を所望の寸法にトリミングすることを必要とするので、労働コストおよび制作時間を増し、操作者の誤りの可能性を導入し、部材を浪費し、トリミング・デバイスのような追加的な設備を必要とする。
Houselは、ある種のハイエンドのプリンタおよびコピー機は「裁ち切り」印刷する、すなわち媒体の端まで印刷することが可能にできることを論じているが、品質上の懸念のため、多くの電子写真式プリンタは裁ち切り印刷を許容しないと教示している。その品質問題は、先導端(leading edge)の、ニップまたは溶融器ローラーとの相互作用から帰結する画像欠陥である。これは先導端にマーク、汚れまたは他の望ましくない結果を引き起こしうる。
1993年8月10に発行されたAslam et al.への米国特許第5,234,782号は、電子写真法の先導端画像欠陥の問題に関するさらなる情報を提供する。Aslam et al.に記載され、当技術分野において知られているように、電子写真式印刷において、表面上にトナーをもつ媒体が一対の動く圧力部材、典型的には加熱されたローラーのニップ中に供給される。それらの圧力部材はニップ中の印刷される媒体上に実質的な圧力、たとえば100ポンド毎平方インチまで、あるいはそれ以上の圧力を生じるよう十分な力をもって互いに押しつけられる。これはしばしば、結果として得られる印刷された画像の先導側の8分の1インチにおける画像欠陥につながる。具体的には、先導端はそれに接触する加熱されたローラー上にオフセットする傾向があり、最終的なプリントに目に見える跡を残し、加熱されたローラーのクリーニングを必要とする。Aslam et al.はこの問題を、トナーを保持するために使われる熱可塑性層を媒体の先導端までずっとコーティングすることはせず、先導端を白いボーダーとしておくか先導端をトリミングして縁なしプリントを形成することによって解決する。
Aslam et al.は、印刷される媒体が、溶融ローラーとも呼ばれる加熱されたローラーにはいる前にトナーと反対側で印刷される媒体を予熱する予熱装置を使うことを教示している。予熱装置は、媒体のトナー側の熱可塑性層の温度をそのガラス転移温度よりわずかに上に上げ、それによりトナーが熱可塑性層に埋め込まれることができる。Aslam et al.は、このプロセスでは、加熱されるローラーへの先導端のオフセットのために、プリントの先導端における画像欠陥、特に最終的な画像の最初の1ミリメートルにおける実質的な跡が生じることを記している。
Aslam et al.は、予熱があってさえ、先導端欠陥を引き起こしうる三つの現象を十全に記述している。第一に、媒体に接触する加熱されたローラーがわずかに過熱されると、媒体と接触した際に若干冷めるが熱輸送を生じ、そのため、媒体の先導端が過熱され、熱可塑性層を溶かす。第二に、媒体がニップ中に係合されるとき、ローラー・ドライバは媒体の駆動に付随する初期慣性を克服しなければならない。ローラーは一瞬遅くなり、媒体の他のいかなる領域に係合するよりも長い時間期間にわたって媒体の先導端と接触を維持し、先導端の過熱につながる。第三に、媒体の厚さのため、媒体の上コーナー端は二つのローラー間の接触点、あるいはニップよりもわずかに上流の位置においてローラーの一方に係合する。媒体が進むにつれ、媒体はローラー間隔を広げるが、先導端は、ニップに到達し、通過するまで第一のローラーに接触を続ける。このため、媒体の先導端が過熱する。媒体の残りの部分は、ニップにおいていずれかのローラーに接触するだけなので、ローラーの熱に対してさらされるのがより短くなる。
オフセットを防止するための溶融前の媒体の加熱は、Baxterらへの米国特許第5,112,717号でも、印刷される表面に光沢またはテクスチャーを付与するために熱可塑性層を軟らかくする手段として、論じられている。
Aslam et al.への米国特許第5,234,782号に記され、当業界において一般に知られているように、そのような予熱は、電子写真式プリントにおける先導端欠陥を防止しはしない。再び、前述したHouselへの米国特許第7,095,526号を参照するに、先導端は印刷もトリミングもされない。
本発明は、媒体上に電子写真式の印刷された像を生成する装置および方法に関する。明確のため、媒体の四つの辺は本稿では、プリンタを通って進む方向に関して先導端、後端および二つの側辺と称されることがある。印刷された出力は、仕上げられた印刷された生成物の長さおよび幅によって定義されるプリント領域という用語で言及される。
電子写真式縁なしプリントを形成する方法は、媒体をプリンタ中に挿入する段階と;プリンタに印刷データを提供する段階と;媒体種別を判別する段階と;判別された媒体種別に基づいて縁なし印刷が可能であるかどうかを判定する段階とを含む。欠陥のない縁なし印刷を可能にするため、縁なし印刷が典型的には先導端画像欠陥を引き起こす場合には、プリンタは、媒体がプリンタ中の溶融領域にはいる前に媒体の先導端を予熱する。
一般に、電子写真式印刷は、受け手〔被印刷媒体〕または受領シートとも称される媒体へのトナー像の直接的および間接的な転写を含むいくつかの仕方で行われることができる。典型的には、電子写真式プリンタでは、帯電ステーションにおいて光伝導性ドラムが一様に帯電させられる。光伝導性ドラムはレーザー、LEDまたは露出ステーションに位置される他の任意の光露出装置によって像の形で露光される。帯電させられた光伝導性ドラムは次いで、静電引力によってトナーを像の形で一つまたは複数のトナー・ステーションから受け容れる。二つ以上のカラー・トナーが使用される場合、各色で一つの相続く像が形成され、転写ステーションにおいて、位置合わせされて受け手の表面に転写される。受け手は典型的には転写ローラーまたはベルトに付着させられ、トナーでコーティングされた光伝導性ドラムと転写関係に持ち込まれ、受け手上にトナー像が形成される。これは、すべての所望されるトナー色が転写されるまで繰り返される。
多色像は、光伝導性ドラムと受け手の間の中間ドラムまたはウェブを使って形成されることもできる。この場合、二つ以上のカラー・トナーが中間ドラムまたはウェブに位置合わせされて転写され、位置合わされた色が中間ドラムまたはウェブから単一の多色像として受け手に転写される。あるいはまた、受け手は単独の転写において、光伝導性ドラムから直接、多色像を受け取ることができる。ここで、多色像は、既知のプロセスによって光伝導性ドラム上に形成され、二つ以上の露光および対応するカラー像が光伝導性ドラム上に直接形成される。
トナー粒子は典型的には非常に細かく、乾燥しているので、化学的に調製されたか粉砕されたかに関わりなく、転写ステーションにおける光伝導性ドラムから受け手または中間ドラムもしくはウェブへの粒子の転写は、トナーおよび受け手両方を加熱することによって補助されることができる。受け手は、トナー粒子を受け容れることのできる熱可塑性物質をコーティングされた基材、たとえば紙であることができる。受け手の熱可塑性物質およびトナーは、トナーと光伝導性ドラムの間の付着に比べて、トナーを受け手に対して優先的に付着させるよう加熱されることができる。受け手の加熱は、受け手が置かれる転写ローラーまたはベルトを加熱することなどによる間接的なものであってもよいし、あるいは受け手は放射熱によって加熱されることもできる。受け手上の熱可塑性層をそのガラス転移温度まで加熱することは、トナーの熱可塑性層への少なくとも部分的な埋め込みを容易にする。
ひとたび受け手が一つまたは複数のトナーでコーティングされたら、受け手は溶融領域に渡される。溶融領域は、二つ以上のローラー、ウェブ、シュー、単一のローラーと静的な表面またはそれらの何らかの組み合わせであることができ、その間を受け手が通過する。溶融ステーションはトナーをコーティングされた受け手に圧力および熱を加え、トナーを受け手上の熱可塑性層中に埋め込む。
光沢の所望されるレベルに依存して、前記一つまたは複数の着色トナー後にクリア・トナーが適用されてもよい。クリア・トナーは、前記他の一つまたは複数のトナー色をもつ媒体の熱可塑性層に融着されることができる。クリア・トナーは、画像の全表面に適用されてもよいし、あるいは画像の逆マスクとして適用されてもよい、すなわち最終的な印刷生成物の寸法の境界内の非画像スペースに適用されてもよい。つや消しの、半光沢の、または光沢の仕上げをなすクリア・コートは、光沢レベルを高めるために再び加熱されてもよく、特殊効果または所望されるつや消しもしくは光沢レベルを形成するためにエンボスされてもよい。
上記し、当技術分野において他の点では知られているような電子写真式プリンタおよびシステムは、これから記載される本発明を達成するために修正されることができる。
フルブリード(full-bleed)・プリントとしても知られる縁なしプリントは、これまでも静電写真式システムから生成されていたが、印刷後に先導端をトリミングすることによってのみであった。よって、印刷された段階では、従来は、静電写真式のプリントはプリント時に真に縁なしではなく、縁なしの生成物を生じるために修正を必要としていた。本稿の他所で論じたように、フルブリード印刷は、媒体の側辺の間でおよび後端ではなされていたが、画像欠陥の可能性が高いため、先導端では行われていなかった。
発明者は、縁なし印刷における先導端画像欠陥のキーとなる原因を同定するに至った。本稿の他所で述べたように受け手の加熱から帰結する先導端画像欠陥は、受け手のビーム強さ(beam strength)に依存する。受け手が高いビーム強さをもてば、トナーが受け手から除去されて溶融領域に残されるホット・オフセットのために画像欠陥が起こりうる。受け手が低いビーム強さをもてば、受け手は溶融ローラーにくっつくことがあり、紙詰まり、受け手の焼け(burning)または火を引き起こす。これは修復が高価になりうる。
プリント上につやなしまたは光沢の仕上げを形成するクリア・トナーはさらに、画像欠陥なしで縁なしプリントが形成されることができるかどうかを実施することができる。クリア・トナーの追加は、溶融するためのより厚いトナー層を生成し、溶融領域において設備への追加的な粘着を生成することがある。さらに、クリア・トナーによって覆われる表面領域に依存して、追加的なトナー量が、媒体の先導端上での粘着を引き起こすことがある。クリア・トナーは、特に高い光沢レベルが要求される場合、厚いコートで適用されることができる。
これらの問題を防ぐため、プリンタまたは印刷システムは、プリンタ中に置かれた媒体の種別を判別する媒体検出器と、媒体が縁なし、フルブリードまたは縁から縁への印刷を維持することができるかどうかを、媒体種別だけに基づいて、あるいはプリンタによって受領される印刷データとの組み合わせで判定する縁なしプリント判定器を含むことができる。
媒体検出器は、ユーザーが媒体種別に対応するコードを入力することによってまたは媒体のリストから選択することによって使用される媒体種別を指示する、ユーザー入力パネルであってもよい。媒体検出器は、媒体上のマークを見出して解釈することのできる視覚的見きわめ装置、たとえばバーコード読み取り器、UV検出器またはスキャナであってもよい。媒体は、人間に可読なマーク、バーコード、UVインク・マーク、透かし〔ウォーターマーク〕または他の任意の形の印(indicia)の形の媒体種別の指標をもつことができる。媒体検出器は、媒体の厚さ、ビーム強さまたは媒体の硬さ(stiffness)を判別することのできる測定装置であってもよい。
媒体の厚さは、プリンタによって、紙トレイ内の媒体の高さの測定値をトレイ中のシート枚数で割ったものに基づいて決定されることができる。トレイ中のシート枚数は、ユーザーによって入力された数であることができ、あるいはプリンタは用紙を通して回してシートを計数し、計数されたシートを同じまたは異なる紙トレイに戻すこともできる。
媒体検出器によって得られた情報は、媒体が縁なし印刷を受けられるかどうかを判定するために縁なしプリント判定器に提供されることができる。媒体種別についての情報に加えて、既知であれば、最終的なプリント生成物の所望される光沢レベルが縁なしプリント判定器に提供されることができる。光沢レベルは印刷データの一部として提供されることもできるし、あるいはユーザーによってプリンタ・ユーザー・インターフェース上のメニューから選択されることもできる。縁なしプリント判定器はルックアップ・テーブル、論理テーブルまたは他のフォーマットの、縁なし印刷が画像欠陥なしにできるかどうかの判定を可能にする事前設定された条件を含むことができる。縁なしプリント判定器は、論理回路、コンピュータ・チップ、メモリ、コンピュータ処理ユニットまたはデータを比較するための他の既知の装置またはシステムであることができる。あるいはまた、ルックアップ・テーブルまたは媒体種別についての他のガイドラインがユーザーに提供されることもでき、そうすれば、提供された情報に基づいて、ユーザーが縁なしプリント判定器のはたらきをすることができる。
プリンタによって決定される、プリンタ中に事前プログラムされるあるいはユーザーによって入力されることができ、縁なしプリントを作成できるかどうかを判断する際に縁なしプリント判定器によって使用されることのできる他のシステム属性は、プリンタ仕様、トナー仕様、媒体仕様または周辺条件を含むことができる。たとえば、プリンタ仕様は、プリンタ搬送スピード、溶融領域ニップ幅、溶融領域ニップ出口角度、溶融装置が媒体のトナーを帯びた側に接触できるところで溶融装置上にコーティングがあるか、あるとしたらどの型か、媒体上のトナーに隣接しない側の溶融装置のコンプライアンス(compliance)を含むことができる。トナー属性は、融点温度およびガラス移転点温度を含むことができる。媒体属性は、媒体組成、密度および含水量を含むことができる。周辺条件は、一つまたは複数のプリンタ・センサーによって決定される、ユーザーによって入力される、あるいはリモート装置によって決定されプリンタに中継されることができ、相対湿度、気温および気圧を含むことができる。
縁なしプリントが成功するかどうかの判定は、媒体のビーム強さ、媒体の重さ、所望される光沢レベルまたは他のシステム属性の任意の一つもしくは複数に、単独であるいは組み合わせで基づいてできる。縁なし印刷を可能にするために、媒体は約600〜800mN以上のビーム強さ(beam strength)または硬さ(stiffness)をもつことができる。縁なし印刷のために好適な媒体は250gsm(grams per square meter[グラム毎平方メートル])以上の重さをもつことができる。そのような媒体は本稿では「重い媒体(heavy media)」と称される。典型的には、そのような重い媒体は縁なし印刷において画像欠陥を経験しない。媒体の重さが250gsmより軽い場合には(「軽い媒体」)、縁なし印刷がプリントの最初の数ミリメートルにおいて欠陥を生じる可能性が高くなる。こうして、250gsmに満たない重さをもつ軽い媒体は縁なし印刷のためには望ましくない。レベルやつやなしか半光沢か高光沢かに拘わらず光沢仕上げを加えることは、軽い媒体を溶融器領域にくっつかせることになって画像欠陥を生じさせる。クリア・コート、テキストあるいは画像のいずれからであろうと先導端にまたは先導端近くにトナー・ロードをもついかなる型の媒体も、加えられるトナーの厚みのために溶融領域におけるくっつきを引き起こしうる。
ひとたび媒体種別に基づいて欠陥のない縁なし像が印刷できるかどうかが判定されたら、プリンタまたは印刷システムはユーザーに通知することができる。通知は、媒体検出に基づいて縁なし印刷が勧められない場合、プリント・オプションとして縁なし印刷をユーザーに提供しないという形であることもできる。通知は、媒体検出がそのような印刷を支持する場合にユーザーに縁なし印刷をオプションとして提供するという形であることもできる。通知は、画像欠陥の可能性の警告とともに縁なし印刷をオプションとしてユーザーに提供するという形であることもできる。縁なし印刷の要求を含む印刷データがすでにプリンタに与えられている場合には、プリンタは、縁なし印刷が利用可能でないというメッセージを表示する、あるいは画像欠陥が起こる可能性があることを警告することができる。後者の場合、プリンタは、ユーザーが欠陥がある可能性のある画像プリントを進めたいという確認を要求することができる。
本稿でこれまで述べてきたように、媒体がある種の条件を満たさないと判定されるときは、典型的なプリンタにおける縁なし印刷は、無効にされるか警告を与えるべきである。しかしながら、本発明者は、縁なし印刷を可能にするためにそのような媒体に印刷する方法を判別するに至った。
媒体は、溶融器領域にはいるまえに予熱されることができる。予熱の目的は、媒体の温度を十分に高めて、媒体が溶融領域にはいる前に媒体の熱可塑性層中にトナーが融け込むようにすることである。トナーが媒体にしっかりくっつけば、溶融器ローラーやウェブにくっつかない。予熱される必要があるのは、溶融領域に最初に接触する、よって媒体の残りの部分に比べて追加的な加熱時間を経験する先導端の長さに対応する最初の数ミリメートルだけである。
予熱ヒーターは、媒体のトナー側または基材側に位置されることができる。媒体のトナー側に位置される場合、予熱ヒーターは放射ヒーター、たとえばこれに限られないが赤外熱源、レーザーまたは他の非接触熱源であることができる。予熱ヒーターが基材側に位置される場合、予熱ヒーターは接触型または非接触型ヒーターであることができる。ただし、非接触型ヒーターは媒体を裏まで通して加熱するために十分なエネルギーである必要があるであろう。好適なヒーターの例は、これに限られないが、オンデマンド・ヒーターおよびインパルス・ヒーターを含むことができ、それはセラミック・ヒーター、タングステン・ヒーター、レーザー、赤外線ヒーター、ニクロム・ヒーターおよびその他の既知の熱源を含むことができる。好ましくは、予熱ヒーターは、異なるハウジングを要求したり既存の機械的構成に干渉したりすることなく既存のプリンタ中に納めることができる小型のものである。予熱ヒーターは、プリンタ中で溶融領域の直前に挿入されることができる。予熱ヒーターは、片面または両面プリントとともに使われることができる。両面プリントを縁なしとする場合には、予熱ヒーターは、媒体の非溶融トナーと反対側の接触予熱ヒーターであることができる。予熱ヒーターは非溶融トナーと接触すべきではない。
予熱ヒーターは、媒体上の熱可塑性層にトナーをくっつかせるのに十分な熱生成能力のものであるべきである。典型的には、これは、媒体をくっつけるまたは焼結させるのに十分な熱を必要とする。各トナーは異なる融点をもち、必要とされる厳密な熱量はトナーの種別に依存する。必要とされる熱は、所与のプリンタについて、トナー種別に基づいて決定でき、必要とされる熱エネルギーに対応する熱源が予熱ヒーターとして設けられることができる。
動作について見てみると、ひとたび縁なし印刷が画像欠陥なしには実行できないと判定されると、縁なし印刷の要求は予熱ヒーターの動作をトリガーすることができる。予熱ヒーターは、媒体がプリンタ中にはいることによって、あるいは媒体ピッカーによる媒体のピックアップによって作動されることができる。予熱ヒーターは、プリンタ機構のスピードと調整されて、媒体の最初の数ミリメートルが通過するのに十分な時間の間だけ熱を生成するようタイミング回路に基づくことができる。予熱ヒーターは、媒体の後端がプリンタにはいるまたはプリンタの紙入力領域にある媒体センサーを通過する際にオフにされるよう、使われることができる。予熱ヒーターは、直前にまたは該予熱ヒーター上に、物理的または光学的な予熱ヒーター媒体センサーをもつことができ、それにより該センサーによる媒体の検出が予熱ヒーターをオンにするようにできる。予熱ヒーターは、所定の時間後、ある量の媒体が通過したのち、あるいは後端が紙入力センサーまたは予熱ヒーター媒体センサーを通過したときにオフになる。予熱ヒーターは、媒体を損なうことなく、常時オンにされることができる。