本目的は、異なる取り付けタイプを可能にするとともに、異なる取り付けタイプにおいても依然として良好なサウンド性能を与える、ディスプレイデバイスを提供することにある。
第1の態様において、本発明は、オーディオ及びビデオコンテンツを伴う入力信号を受信し、視覚的出力及び音響出力を適宜生成するように構成されたディスプレイデバイスであって、当該ディスプレイデバイスの異なる取り付けタイプのために設けられた異なる取り付けフィッティングを含むキャビネットと、前記視覚的出力を生成するように構成されたディスプレイと、前記音響出力を生成するように構成された、1又はそれ以上のラウドスピーカを含む音響システムと、当該ディスプレイデバイスの取り付けタイプを検出するように構成された取り付け検出部と、当該ディスプレイデバイスの検出された取り付けタイプに従って、当該ディスプレイデバイスからの前記音響出力を変更するように構成された補正手段とを含む、ディスプレイデバイスを提供する。
本発明のディスプレイデバイスは、このディスプレイデバイスの検出された取り付けタイプに従って音響出力を変更することにより、異なる取り付け状況、即ち、壁取り付けかスタンド取り付けにおいて良好なサウンド性能を得ることができる。例えば、変更により、斯様な異なる取り付け状況における音響性能の予め決められた見識に基づく取り付けタイプに従って電気信号がラウドスピーカに入力される。これは、音響出力の自動調節が、選択された取り付けタイプに適合することを可能にし、従って、ユーザの如何なる動作を伴うことなく、全ての許容できるサウンド性能を得ることができる。以下に示されるように、この音響補正は、例えば壁又はスタンド取り付けのための取り付けフィッティングを備えたフラットパネルTV装置で使用する低コスト部品で実装され得る。
一実施形態において、前記補正手段は、前記ラウドスピーカに適用される前のオーディオ信号を変更するように構成されたフィルタを含み、前記フィルタは、当該ディスプレイデバイスの検出された取り付けタイプに従って調節可能な周波数応答をもつ。これは、例えば、壁取り付け及びスタンド取り付けのような各取り付け状況におけるディスプレイデバイスの音響出力の測定に基づいて、選択された取り付けにおける実質的にフラット/自然な音響応答を与えるデジタルFIR又はIIRベースのフィルタ係数を格納することを可能にする。他の手法は、アナログフィルタを実装することができ、取り付けに従ってこれらの間を切り替えることができる。しかしながら、取り付け検出部は、直接的壁取り付け及びアームオンウォール(arm-on-wall)のような他のタイプの取り付けと区別することができる。特に、前記フィルタは、少なくとも低/中周波数範囲にあるような、当該ディスプレイデバイスの検出された取り付けタイプに従って音響応答に対して調節可能である周波数応答をもってもよいが、好ましくは、前記フィルタは、より大きな周波数範囲における周波数応答全体に影響を与え得る。前記フィルタは、当該ディスプレイデバイスの検出された取り付けタイプに従って、予め格納されたフィルタ設定のセットのうちの1つを選択することにより、例えば、各取り付けタイプのための予め決められたフィルタに従ってFIRフィルタ係数及び/又はIIRフィルタ係数を格納することにより、調節可能である。
前記取り付け検出部は、電気センサデバイスを含み、当該ディスプレイデバイスの取り付けタイプは、前記センサデバイスの状態を検知することにより検出される。特に、電気センサデバイスは、一の取り付けフィッティングが使用中であるかどうかを検知するために、キャビネットCの異なる取り付けフィッティングのうち少なくとも1つと接続して配置され得る。それ故、2つだけの可能な取り付けタイプの場合において、1つだけの電気センサデバイス、例えばマイクロスイッチは、どちらの取り付けタイプが用いられているかを決定し、それ故に音響出力の変更を適宜決定するために必要とされる。一の特定の実施形態において、前記電気センサデバイスは、壁取り付けフィッティング、及び、スタンド取り付けフィッティングのうち一方と接続して配置される。前記電気センサデバイスは、電気スイッチ、即ち、例えばマイクロスイッチにより取り付けのタイプを検出する機械的手法であってもよい。代わりに又は追加的に、電気センサは、取り付けタイプを検知するように構成された光学センサ、例えば赤外線LED及び光カプラを含んでもよい。更に代わりに又は追加的に、電気センサは、例えばキャビネットとそのキャビネットの背後の壁との間の近接(proximity)を検出するように配置された、電磁場の検出に基づく近接検出部を含んでもよい。
一実施形態において、前記取り付け検出部は、例えば当該ディスプレイデバイスの設定の間のセットアップメニューの表示の間による、ユーザからの入力に基づいて当該ディスプレイデバイスの取り付けタイプを検出するように構成され、ユーザは、当該ディスプレイの現在の取り付けタイプを入力することを要求される。
本ディスプレイデバイスは、前記ラウドスピーカからの前記音響出力を音響的に変更するために、前記ラウドスピーカに対して取り付けるように構成された機械的手段、例えば、前記ラウドスピーカの近くに配置されたバッフル(baffle)、ホーン(horn)又は同種のものの形式の特別に形成された音響反射部を含んでもよい。勿論、これは、検出された取り付けタイプに応答して特定の機械的手段を取り付けるために、例えばディスプレイを用いてユーザに伝えることによりユーザ動作を要求する。例えば、斯様な機械的手段は、電力を消費し歪みをもたらし得る過度の根音(radical)電気補正を伴うことなく、電気補正を支援し、それ故に良好なサウンド性能を得るために用いられ得る。例えば、斯様な機械的手段は、壁取り付けフィッティングと一体化されてもよく、それ故に、この壁取り付けフィッティングを用いることで、ユーザは、機械的手段を自動的に利用し、これにより、如何なる特別な動作を行う必要なく、ラウドスピーカからの音響出力の機械的な補正を利用するだろう。勿論、同じことが、前述したような、ラウドスピーカからの音響出力を補正するための機械的手段と一体化され得るスタンド取り付けフィッティングにも当てはまる。
好ましくは、前記補正手段は、当該ディスプレイデバイスの取り付けタイプに関わらず通常のユーザ位置での制限されたオーディオ周波数範囲における実質的にフラットな音響周波数応答を与えるために、当該ディスプレイデバイスの取り付けタイプに応じて、当該ディスプレイデバイスからの前記音響出力を変更するように構成される。
本ディスプレイは、特に、フラットパネルディスプレイであり得る。斯様なディスプレイタイプは、多くの場合、厳しい音響設計制限を与える小さなキャビネット内に取り付けられ、それ故、本発明のディスプレイデバイスは、斯様なディスプレイを備えたデバイスのサウンド性能を向上させることに特に関連する。本ディスプレイデバイスは、TV装置、コンピュータディスプレイ、プロジェクタデバイス等であってもよい。
第2の態様において、本発明は、ディスプレイデバイスの取り付けタイプに従って前記ディスプレイデバイスからの音響出力を調節する方法であって、前記ディスプレイデバイスは、前記ディスプレイデバイスの異なる取り付けタイプのために設けられた異なる取り付けフィッティングをもつキャビネット、視覚的出力を生成するように構成されたディスプレイ、及び、前記音響出力を生成するように構成されたラウドスピーカを含み、当該方法は、前記ディスプレイデバイスの取り付けタイプを検出するステップと、前記ディスプレイデバイスの検出された取り付けタイプに従って、前記ディスプレイデバイスからの前記音響出力を変更するステップとを含む、方法を提供する。
本発明は、図1を参照して、単なる例により説明されるだろう。
図1は、一の特定のディスプレイデバイスの実施形態を概略的な形式で示している。この実施形態におけるディスプレイデバイスは、オーディオビデオ入力信号AVSに応答して視覚的出力を与えるための、LCDディスプレイパネルのようなフラットパネルディスプレイFPDを有する。フラットパネルディスプレイは、キャビネットCに搭載される。更に、本デバイスは、1又はそれ以上のラウドスピーカLを含む音響システムを含む。斯様な音響システムは、ステレオラウドスピーカのセットL、例えば、2方向構成の、即ち、それぞれが所望のオーディオ周波数範囲をカバーするためにクロスオーバーネットワークを介して接続された2つのラウドスピーカドライバを備えた2つのラウドスピーカのセットを含んでもよい。一般に、ラウドスピーカLは、オーディオビジュアル入力信号AVSに応答してディスプレイデバイスからの音響出力を生成するために、キャビネット内に搭載されるだろう。ステレオラウドスピーカのセットLを含む音響システムの場合においては、別個のラウドスピーカドライバLは、典型的には、キャビネットCの横に設けられる。プロセッサPは、例えばアナログアンテナ入力信号又はデジタルTV信号の形式で、オーディオビジュアル入力信号AVSを受信する。それに応えて、プロセッサPは、ラウドスピーカLを駆動させるためのオーディオ信号AS、及び、フラットパネルディスプレイを駆動させるためのビデオ信号VSを生成する。
キャビネットCは、2組の取り付けフィッティングを有し、例えば、キャビネットCの背面への壁取り付けフィッティングのネジ取り付けを可能にするキャビネットの背面の幾つかのネジ穴の形式で、又は、後に壁に取り付けられ得るフィッティングプレート又はウォールブラケットの対面部分に取り付けるように設けられた、キャビネットCの背面の突起部の形式で、壁等にキャビネットを取り付けるための一組の取り付けフィッティングMWを有する。更に、キャビネットCは、例えば、取り付けフォークに接続されるキャビネットC及びスタンドプレートへの取り付けのための取り付けフォークの形式のような、キャビネットCをスタンドマウントに取り付けるための1又はそれ以上のネジ穴の形式で、それ故にディスプレイデバイスがテーブル等の上に立つことを可能にするスタンドフィッティングMSをキャビネットCの底部に有する。
ラウドスピーカに適用される前に、オーディオ信号ASは、壁取り付けフィッティングMWが用いられているかどうかを検知する、スイッチSWの形式の取り付け検出部からの入力に応じて選択されたオーディオフィルタリングを適用するように構成された調節可能なフィルタAFにより電気的に補正される。壁取り付けフィッティングMWが用いられている場合には、その後、一のオーディオフィルタリングが適用され、それ故、キャビネットCが壁に取り付けられる音響状況に応じてラウドスピーカLからの音響出力を補正するのに役立つ。スイッチSWが、壁取り付けフィッティングMWが用いられていないことを検知した場合には、その後、ディスプレイデバイスがスタンド取り付けであり、それ故に音響的に"自由な"環境にあることが推定され得る。従って、調節可能なフィルタAFは、音響出力をラウドスピーカLから"自由な"取り付けに補正するのに適した他のフィルタリングを選択する。
調節可能なフィルタAFにおける複数の調節可能なフィルタは、原理上、アナログ又はデジタル入力信号に対して作用し得る。しかしながら、IIRフィルタ又はFIRフィルタ等により、及び、メモリ内に格納された"壁フィルタ"及び"スタンドフィルタ"のためのフィルタ係数の別個のセットにより、デジタル領域でフィルタリングが実行されることが好ましい。これらのフィルタ係数は、用いられる特定のラウドスピーカLにより聴取位置で所望の周波数応答を得るために、例えば音響測定に基づいて、ディスプレイデバイスの設計段階で決定される。
スイッチSWは、好ましくは、例えば壁取り付けフィッティングMWに対してキャビネットCに取り付けられた単純なオン/オフマイクロスイッチであり、その起動部材は、壁取り付けフィッティングMWが用いられているときに活性化される(例えば押される)。勿論、斯様なスイッチSWは、追加的に又は代わりに、スタンド取り付けフィッティングMSが用いられていることを検知するように配置されてもよいことが理解される。しかしながら、単純な実施形態においては、壁取り付けとスタンド取り付けとの間の区別だけが考慮され、それ故に、1つのスイッチSWだけが取り付けタイプを検出するために必要である。より多くの取り付けタイプが音響補正に対して考慮される必要がある場合には、多数の予め格納されたフィルタ係数のうちの正確な一つを選択することを可能とするために、より多くのスイッチ又は他のタイプのセンサが、調節可能なフィルタAFに対する入力として用いられてもよい。取り付けタイプのより確実なセンシングを与えるために、2又はそれ以上のスイッチSWが、異なる位置で、例えばキャビネットCの背面上の2若しくはそれ以上の位置で、及び/又は、キャビネットCの背面と接続する2若しくはそれ以上の位置で、取り付けタイプを検知するために用いられてもよい。キャビネットCが、テーブル上に直接的に立たせるために、又は、天井ブラケット等に取り付けるために設けられたプロジェクタデバイスのような、内蔵型スタンドマウントを有する場合には、スタンドが表面上に配置されているか否かを単純に検出するために、1又はそれ以上のスイッチSWが斯様なスタンドの底部に配置されてもよい。
非常に簡素な実施形態において、電気的取り付け検出部が、例えばキャビネットCの壁取り付けMW又はスタンド取り付けMSに対して用いられる、取り付けネジと接触して設けられるセンサにより実装され得る。キャビネットCの金属筺体は、典型的には、取り付けネジの固定のためのネジ穴を含み、センサは、ネジが典型的には本デバイスの電気接地である筺体とセンサとの間の電気接触を確立するように配置され得る。これにより、ネジが取り付けられているかどうかを検出することが可能となり、それ故、取り付けタイプが適宜決定され得る。
調節可能なフィルタAFにおいて補正フィルタリングを実行するための所望の周波数範囲は、実際のラウドスピーカドライバL、及び、キャビネットCの外面上の音響出力ポートの位置に依存する。しかしながら、典型的なTV装置の場合において、最も重要な周波数範囲は、100〜8000Hz等であり、これは、取り付けタイプに起因して最も大きなバリエーションをもつ周波数範囲である。
ステレオラウドスピーカLを含む音響システムの場合においては、典型的には、音響出力の同一の補正が、2つのステレオチャネルに対して選択されるだろう。それ故、電気的補正の実装において、同一のフィルタ係数が双方のステレオチャネルにおける補正フィルタに対して用いられ得る。
要約すると、本発明は、オーディオAS及びビデオVSコンテンツを伴う入力信号AVSに応じて視覚的出力及び音響出力を生成するように構成されたディスプレイデバイスを提供する。本ディスプレイデバイスは、ディスプレイデバイスの異なる取り付けタイプのために設けられた異なる取り付けフィッティングMS,MWをもつキャビネットCを含む。ディスプレイFPD、ラウドスピーカL、取り付け検出部SW(例えばマイクロスイッチ)が、ディスプレイデバイスの取り付けタイプを検出するために設けられ、補正手段AFが、ディスプレイデバイスの検出された取り付けタイプに応じて、ディスプレイデバイスからの音響出力を変更するために設けられる。これにより、ディスプレイデバイスの取り付けタイプを検知することにより決定された音響環境に対応させるために、ラウドスピーカからの音響出力の周波数成分を例えば電気的に調節することが可能となる。例えば、一のマイクロスイッチは、壁取り付けとスタンド取り付けとを区別するために用いられ、IIR又はFIRフィルタのためのデジタル係数が、ディスプレイデバイスから所望の応答への音響出力を補正するために適宜選択され得る。これにより、典型的には斯様なデバイスが取り付けタイプに大いに依存するオーディオ性能を示すことから、特にフラットパネルディスプレイデバイスのサウンド性能を向上させることができる。
本発明は、特定の実施形態に関して述べられたが、これは、ここに記載された特定の形式に限定されることを意図するものではない。むしろ、本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定される。請求項において、"有する"という用語は、他の要素又はステップの存在を除外するものではない。追加的に、個々の特徴が異なる請求項に含まれ得るが、これらは、場合によっては有利に組み合わせられてもよく、異なる請求項への包含は、これらの特徴の組み合わせが実行可能ではない及び/又は有利ではないことを意味するものではない。加えて、単数表記は複数を除外するものではない。それ故、"第1","第2"等への言及は、複数を排除するものではない。更に、請求項中の参照符号は、その範囲を限定するものとして考慮されるべきではない。