JP2012509371A - 表面処理されたプラスチック用二酸化チタン顔料、及びその製造法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、工業用プラスチックでの使用に特に適した耐候性二酸化チタン顔料、及びその製造方法に関する。前記二酸化チタンは、内側から外側に向かって緻密なSiO2層、Al23層、及び有機層を有する表面被覆を備えており、ここで粒子の全Al23含分は全顔料に対して最大2.4質量%であり、かつ前記有機層はH−シロキサン、シリコーンオイル、及び有機官能化されたポリシロキサンの群からの化合物を少なくとも1つ含む。本製造方法は、Alドープされた二酸化チタン粒子の水性懸濁を撹拌ミルで粉砕し、それからバッチ法で緻密なSiO2層及びAl23層を施与し、引き続きH−シロキサン、シリコーンオイル、及び有機官能化されたポリシロキサンの群からの化合物を少なくとも1つ含む有機層を施与することにより特徴付けられる。

Description

発明の技術分野
本発明は、プラスチックでの使用に特に適した二酸化チタン顔料、当該二酸化チタン顔料の製造方法、並びに当該顔料を含むプラスチック組成物に関する。
本発明の技術的背景
プラスチックは様々な多数のポリマーを含み、とりわけ材料プラスチック(Massenkunststoff)、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、又はポリウレタンは、工業用プラスチックと区別される。工業用プラスチックは、特別な機械的及び熱的特性によって、化学的安定性と僅かな発火性によって特徴付けられる。工業用プラスチックに該当するのは例えば、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、ポリオキシメチレン、及びアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンである。
ポリカーボネートは、その特性に基づき多様に使用される工業用プラスチックであり、例えば自動車分野、電気工学、コンパクトディスク(CD)、日用品、電子部材を製造する際、及び他の多くの分野で使用される。
ポリカーボネートは主に、非晶質の透明な硬質弾性プラスチックであり、このプラスチックは吸水性が僅かなため、とりわけ精密部材用材料として適している。これに加えてポリカーボネートは、特に良好な基本特性、例えば高い粘性及び熱変形耐性、並びに良好な加工性によって特徴付けられる。
添加剤を添加することによって、プラスチック特性はかなり制御可能である。ポリカーボネートを着色するため、従来の多色顔料、二酸化チタン顔料、及びエフェクト顔料が使用される。顔料含有ポリカーボネート着色の際に重要な役割を果たすのは、顔料表面上のOH基である。と言うのもこれらのOH基は、工業用プラスチック製造の際、若しくはそのさらなる加工の際に、顔料及びポリカーボネートを乾燥させた後も、ポリカーボネートに悪影響を与えかねないからである。このような場合にはH−シロキサンの添加によって、ポリカーボネートへの悪影響に対抗可能なことが公知である。市販で通常の安定剤、例えばホスファイト、エポキシドなどは、ポリマー分解を完全には防止できない。
TiO2顔料を工業用プラスチック、とりわけポリカーボネートで適用するための需要が、プラスチックの良好な加工特性及び良好な熱安定性における光学特性に加えて存在する。ポリカーボネートでの適用のために、H−シロキサンで官能化された顔料表面をもたらす一連の市販顔料、例えばKRONOSの顔料番号K2230又はK2233がある。ただしこれらは耐候性が低いという特徴がある。
TiO2顔料の耐候性を、緻密なSiO2被膜(Huelle)、及び場合によりさらなるAl23被膜を施与することにより改善させることは、公知である。従来のTiO2表面処理法はバッチ法で行われ、ここで水性TiO2粒子懸濁液は、撹拌槽で被覆物質溶液と混合され、pH値が相応して調整され、これにより前記物質が粒子表面に沈殿する。このような方法は例えば、US 3,437,502、又はEP 0 409 879 B1から公知である。ポリマーへの着色のため、顔料粒子表面は通常、さらに有機物質で処理し、分散性と加工性を改善させる(例えばUS 7011 ,703 B1)。
WO 2008/071382 A1は、緻密なSiO2被膜及び後続のAl23被膜によって無機表面被覆を製造するための代替的な方法を教示している。この方法の実施に従えば、TiO2基体の砂粉砕の間に緻密なSiO2被膜を、連続的な方法で粒子表面に堆積させ、これによって非常に均一な被膜(僅かな比表面積)、及び顔料の改善された白色度(着色価(tinting strength))が達成される。他方、WO 2008/071382 A1に記載の方法は、顔料フィルターケーキの濾過の際に欠点を有する。
EP 1 760 116 A1は、特に工業用プラスチックでの適用のための二酸化チタン顔料を記載しており、この顔料はSiO2被覆、並びに有機被覆を有するものである。ここで有機被覆は、SiO2被覆に直接施与されている。SiO2被覆と有機被覆との間のAl23層は不利とみなされ、このことは相応する比較例によって実証されている。有機被覆物質として挙げられるのは、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、4〜10個の炭素原子を有するアルキルシラン、ポリジメチルシロキサン、及びポリメチル水素シロキサンである。ポリカーボネートでの適用ではとりわけ、有機被覆がポリメチル水素シロキサンから成る。当該TiO2顔料で製造されたプラスチックの耐候性は、とりわけ有利と判明している。ポリカーボネートでの特別な適用では、熱による変色が起こらないことが有利である。
本発明の課題設定及び要約
本発明は、とりわけ工業用プラスチックでの使用の際にプラスチックの良好な加工安定性と、目的生成物の良好な特性につながる、良好な光学特性及び高い耐候性を有する二酸化チタン顔料を提供するという課題に基づく。本発明はさらに、前記二酸化チタン顔料の製造方法を提供するという課題に基づく。
この課題の解決は、表面処理された二酸化チタン顔料にあり、この顔料は、顔料粒子の表面に、内側から外側に向かってSiO2層、Al23層、及び有機層が施与されており、ここで前記有機層が、H−シロキサン、シリコーンオイル、及び有機官能化されたポリシロキサンの群からの化合物を少なくとも1つ含み、かつ粒子の全Al23含分が、全顔料に対して最大2.4質量%であることを特徴とする。
前記課題の解決はさらに、表面処理された二酸化チタン顔料粒子の製造方法にあり、この製造方法は以下の工程
a)未処理の二酸化チタン粒子の水性懸濁液を撹拌粉砕にかける工程、
b)引き続き、バッチ法で緻密なSiO2層及びAl23層を連続して二酸化チタン粒子に施与する工程、ここで粒子の全Al23含分が、全顔料に対して最大2.4質量%であり、
c)引き続き、H−シロキサン、シリコーンオイル、及び有機官能化されたポリシロキサンの群からの化合物を少なくとも1つ含む有機層を、二酸化チタン粒子に施与する工程
を含むことを特徴とする。
上記課題の解決はさらに、表面処理された二酸化チタン粒子を工業用プラスチックに用いる使用にあり、ここで、粒子表面には、内側から外側に向かって連続してSiO2層、Al23層、及び有機層が施与されており、ここで前記有機層が、H−シロキサン、シリコーンオイル、及び有機官能化されたポリシロキサンの群からの化合物を少なくとも1つ含み、かつ粒子の全Al23含分が、全顔料に対して最大2.4質量%であることを特徴とする。
本発明の更に有利な実施形態は従属請求項に記載されている。
本発明の記述
本発明の対象は、良好に分散可能で、プラスチック、とりわけ工業用プラスチックでの使用に適した耐候性二酸化チタン顔料である。
本発明の範囲において工業用プラスチックとは例えば、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリアミド、ポリエステル、及びアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンと理解されるが、これらは限定的に理解されるべきではない。本発明の範囲ではさらに酸化物とは、SiO2、Al23など、またそれぞれの水含有酸化物と理解される。
以下で開示するpH値、温度、質量%又は体積%で示す濃度等に関するすべての記載には、当業者に公知のそれぞれの測定精度の範囲内にある全ての値が含まれていると理解されるべきである。
本発明による顔料粒子は、内側から外側に向かってSiO2層、Al23層、及び有機層を有する。SiO2層は好ましくは、SiO2が全顔料に対して0.5〜5.0質量%の量、とりわけ2.0〜2.5質量%の量で存在する。SiO2層はいわゆる緻密なSiO2被膜として存在し、ここで「緻密なSiO2被膜」とは、硫酸溶解性試験によって特徴付けられ、例えばHelmut Weber著、"Kieselsaeure als Bestandteil der Titandioxid-Pigmente" (Kronos Information 6.1 , 1978)の文献に記載されている。これによれば緻密なSiO2被膜の硫酸溶解性は、約10質量%より低いのが好ましい。
顔料の総アルミニウム含分は、全顔料に対してAl23として計算して最大2.4質量%、好ましくは最大2.0質量%、及びとりわけAl23が1.6〜1.8質量%である。Al23が2.4質量%より高いアルミニウム含分は、プラスチック加工安定性の悪化、並びに目的生成物の特性悪化につながる。
本発明によるTiO2顔料粒子は外側に、H−シロキサン、シリコーンオイル、及び有機官能化されたポリシロキサンの群からの化合物を少なくとも1つ含む有機層を有する。適切なH−シロキサンは例えば、ポリメチル水素シロキサンである。本発明の範囲においてシリコーンオイルとは、例えばポリジメチルシロキサン、C2〜C14アルキル基を有するポリメチルアルキルシロキサン、又はポリメチルフェニルシロキサン、並びに例えばC2〜C14アルキル基を有するメチルアルキルシロキサン及びメチルフェニルシロキサンとの、ジメチルシロキサンベースのコポリマーと理解される。有機官能化されたポリシロキサンとは、本発明の範囲では、有機基、例えばアルキル基、アルコキシ基、ビニル基、又はアミノ基を有するポリシロキサンと理解される。しかしながらこの例示的な列挙は、本発明の制限と理解されるべきではない。
本発明の特に好ましい態様では、有機層はポリメチル水素シロキサン及びポリジメチルシロキサンからなる。
本発明による方法は、未処理の二酸化チタン粒子(TiO2基体)の水性懸濁液から出発する。この粒子は好ましくは、TiO2製造のための塩素法(Chloridverfahren)に由来し、好ましくはアルミニウムドープされている。アルミニウムドープは通常、Al23として計算して約0.8〜1.5質量%であり、好ましくはAl23が約1.2質量%である。
二酸化チタン粒子の水性懸濁液は、当業者に公知の方法で撹拌ミルで粉砕する。粉砕前に例えば、pH値を約11に調整する。
粉砕された懸濁液は撹拌槽に移し、約40〜90℃、好ましくは60〜80℃の温度に加熱する。引き続き、粒子にはバッチ法で緻密なSiO2被膜が、そして後続のAl23被膜が備えられる。懸濁液にまずアルカリ金属ケイ酸塩を、ナトリウム水ガラス又はカリウム水ガラスの形で添加する。この添加は1段階、又は多段階で公知の技術法により行う。全顔料に対して好ましくはSiO2が0.5〜5.0質量%、とりわけSiO2が2.0〜2.5質量%添加されている。pH値は引き続き、適切な物質の添加により約3〜8、好ましくは約4に低下させる。当業者には、pH値低下のための相応して適切な物質、例えばHClは公知である。
この後にAl23前駆体化合物、例えばアルミン酸ナトリウムを懸濁液に添加する。この添加は1段階、又は多段階で公知の技術法により行う。好ましい実施態様は、酸性化合物、例えばHCl又は硫酸アルミニウムの並行添加による、固体のpH値範囲、好ましくは4〜7の範囲でのアルカリ金属のAl化合物、例えばアルミン酸ナトリウムの添加である。好ましくは、全顔料に対してAl23を0.1〜約1.0質量%、とりわけAl23を0.2〜0.6質量%添加する。必要に応じて引き続き、pH値を4〜8、好ましくはNaOH/HClで、又はアルミン酸ナトリウム/硫酸アルミニウムで調整する。Al23の全量(基体のアルミニウムドープを含む)は、全顔料に対して2.4質量%を越えないのが好ましい。
引き続き、表面処理されたTiO2顔料粒子を懸濁液の濾過により分離し、そしてフィルターケークを任意で洗浄し、このフィルターケークから水溶性塩を取り除く。その後で、この顔料を技術的に公知の乾燥機(例えばスプレー乾燥機、トレー乾燥機など)で乾燥させる。これに任意で、200〜600℃の温度、好ましくは300〜500℃の温度で、通常の装置、例えば回転管での熱処理が続く。
引き続き、有機被膜をTiO2顔料粒子に施与する。有機被膜は、H−シロキサン、シリコーンオイル、及び有機官能化されたポリシロキサンの群からの少なくとも1つの化合物を含む。適切なH−シロキサンは例えば、ポリメチル水素シロキサンである。シリコーンオイルとして使用可能なのは例えば、ポリジメチルシロキサン若しくはC2〜C14アルキル基を有するポリメチルアルキルシロキサン、又はポリメチルフェニルシロキサン、並びに例えばC2〜C14アルキル基を有するメチルアルキルシロキサン及びメチルフェニルシロキサンとの、ジメチルシロキサンベースのコポリマーである。適切な有機官能化されたポリシロキサンは例えば、ビニル基、アルキル基、アルコキシ基、又はアミノ基が官能化されたシランである。しかしながらこの例示的な列挙は、本発明の制限と理解されるべきではない。本発明の特別な態様では、ポリメチル水素シロキサン及びポリジメチルシロキサンを使用する。
有機被覆は有利には、顔料微粉砕(通常は蒸気ジェットミルで行われる)の間に行うが、また有機被覆用の他の適切な装置で行うこともできる。蒸気ジェットミルによる有機被覆では、有機被覆物質を顔料と同時に蒸気ミルに導入する。完成顔料は炭素を、全顔料に対して好ましくは0.05〜1質量%、とりわけ0.1〜0.6質量%含む。
同量のSiO2及びAl23で表面被覆されたWO 2008/071382 A1に記載のTiO2顔料と比較して、本発明により処理された顔料は、より良好なフィルターケーク濾別性を有しており、これによってより高い濾過性能が実現可能となる。
フィルターケーク形成性濾過で達成可能な処理量のための基準としては、フィルターケーク抵抗が適しており、これはVDIガイドライン2762(1997年2月)を援用して、実験室試験により測定できる。このような試験の構想と評価についての概観は、J.W. Tichy "Ausgelegt und optimiert. Genaue Filterversuche zur Fest-Fluessig-Trennung" (CITplus 10/2005, p. 62-63)に開示されている。一定圧力及び一定固体含分での濾過のためには、時間的な濾過経過の説明が通例である。図1は、本発明による方法を適用する際の濾過経過の一部を、WO 2008/071382 A1に記載された方法を適用する場合と比較して示す。直線は、濾過理論(J.W. Tichy, p. 63参照)に従って、フィルターケーク抵抗に比例して上昇する。つまり本発明による方法は、フィルターケーク抵抗が僅かであることにより特徴付けられる。
意外なことに本発明による製造されるTiO2顔料粒子は濾別性が良好なだけではなく、これに加えて工業用プラスチック、とりわけポリカーボネートでの使用の際、プラスチックの光学特性又は熱安定性に関して、WO 2008/071382 A1に従って製造された顔料と比べて全く欠点がない(実施例4、及び比較例2参照)。
内側から外側に向かって緻密なSiO2層、Al23層、及び有機層を有する二酸化チタン顔料粒子は、工業用プラスチック、とりわけポリカーボネートでの使用に良好に適しており、ここで前記有機層は、H−シロキサン、シリコーンオイル、及び有機官能化されたポリシロキサンの群からの少なくとも1つの化合物を含み、ここで粒子の全Al23含分は、全顔料に対して最大2.4質量%である。
本発明による方法を適用する際の濾過経過の一部を表す図である。
実施例
以下に、本発明をいくつかの実施例に基づいて詳説するが、これらは本願発明を制限するものとして考慮してはならない。量の記載は特に記載のない限り、その都度TiO2基体に対する。
実施例1(SiO2とAl23でのみ被覆)
砂で粉砕したTiO2基体の水性懸濁液(Al23含分が約1.2質量%、塩素法で製造したもの、TiO2濃度は350g/l)を70℃で、NaOHによりpH値11に調整した。撹拌しながら、この懸濁液にSiO2 2.2質量%をナトリウム水ガラスとして添加した。15分の撹拌時間後、撹拌しながらpH値を70分以内に4に下げた。
さらに15分の撹拌時間後、Al230.4質量%をアルミン酸ナトリウムとして添加し、ここでpH値はHClの並行添加により4に保った。さらに15分の撹拌時間後、pH値はアルミン酸ナトリウムとして0.1質量%で5.5に調整した。
さらに30分の撹拌時間後、TiO2懸濁液を濾過し、洗浄により水溶性塩を除去した。洗浄したフィルターペーストをトレー乾燥機で160℃で乾燥させ、引き続き2時間、420℃で熱処理した。
比表面積(BET)の試験のため、生成物を乳鉢ミル(Pulverisette)で10g/10分で粉砕した。
実施例2
砂で粉砕したTiO2基体の水性懸濁液(Al23含分が約1.2質量%、塩素法で製造したもの、TiO2濃度は350g/l)を70℃で、NaOHによりpH値11に調整した。撹拌しながら、この懸濁液にSiO2 2.2質量%をナトリウム水ガラスとして添加した。15分の撹拌時間後、撹拌しながらpH値を70分以内に4に下げた。
さらに15分の撹拌時間後、Al230.4質量%をアルミン酸ナトリウムとして添加し、ここでpH値はHClの並行添加により4に保つ。さらに15分の撹拌時間後、pH値はアルミン酸ナトリウムとしてのAl230.1質量%で5.5に調整した。
さらに30分の撹拌時間後、TiO2懸濁液を濾過し、洗浄により水溶性塩を除去した。洗浄したフィルターペーストをスプレー乾燥機で110℃で乾燥させ、引き続き2時間、420℃で熱処理した。熱処理された生成物を、引き続きポリメチル水素シロキキサンを添加しながら、蒸気粉砕にかけた。TiO2粒子の炭素含分は、顔料に対して0.2質量%であった。
実施例3
砂で粉砕したTiO2基体の水性懸濁液(Al23含分が約1.2質量%、塩素法で製造したもの、TiO2濃度は350g/l)を70℃で、NaOHによりpH値11に調整した。撹拌しながら、この懸濁液にSiO2 2.2質量%をナトリウム水ガラスとして添加した。15分の撹拌時間後、撹拌しながらpH値を70分以内に4に下げた。
さらに15分の撹拌時間後、Al230.4質量%をアルミン酸ナトリウムとして添加し、ここでpH値はHClの並行添加により4に保つ。さらに15分の撹拌時間後、pH値はアルミン酸ナトリウムとしてのAl230.1質量%で5.5に調整した。
さらに30分の撹拌時間後、TiO2懸濁液を濾過し、洗浄により水溶性塩を除去した。この洗浄したフィルターペーストをトレー乾燥器で、160℃で乾燥させた。引き続きポリメチル水素シロキサン(顔料に対してCが0.3質量%)、及びポリジメチルシロキサン(顔料に対してCが0.1質量%)を添加しながら、乾燥させた生成物を蒸気粉砕にかけた。TiO2粒子の炭素含分は、顔料に対して0.4質量%であった。
実施例4
砂で粉砕したTiO2基体の水性懸濁液(Al23含分が約1.2質量%、塩素法で製造したもの、TiO2濃度は350g/l)を70℃で、NaOHによりpH値11に調整した。撹拌しながら、この懸濁液にSiO2 2.2質量%をナトリウム水ガラスとして添加した。15分の撹拌時間後、撹拌しながらpH値を70分以内に4に下げた。
さらに15分の撹拌時間後、Al230.4質量%をアルミン酸ナトリウムとして添加し、ここでpH値はHClの並行添加により4に保った。さらに15分の撹拌時間後、pH値はアルミン酸ナトリウムとしてのAl230.1質量%で5.5に調整した。
さらに30分の撹拌時間後、TiO2懸濁液を濾過し、洗浄により水溶性塩を除去した。この洗浄したフィルターペーストをトレー乾燥器で、160℃で乾燥させた。引き続きポリメチル水素シロキサン(顔料に対してCが0.3質量%)、及びポリジメチルシロキサン(顔料に対してCが0.3質量%)を添加しながら、乾燥させた生成物を蒸気粉砕にかけた。TiO2粒子の炭素含分は、顔料に対して0.6質量%であった。
比較例1
砂で粉砕したTiO2基体の水性懸濁液(Al23含分が約1.2質量%、塩素法で製造したもの、TiO2濃度は350g/l)を70℃で、NaOHによりpH値11に調整した。撹拌しながら、この懸濁液にSiO2 2.2質量%をナトリウム水ガラスとして添加した。15分の撹拌時間後、撹拌しながらpH値を70分以内に4に下げた。
さらに15分の撹拌時間後、NaOHでpH値を7に調整した。TiO2懸濁液を濾過し、洗浄により水溶性塩を除去した。この洗浄したフィルターペーストをトレー乾燥器で、160℃で乾燥させた。
比表面積(BET)の試験のため、生成物を乳鉢ミル(Pulverisette)で10g/10分で粉砕した。
比較例2
TiO2基体の水性懸濁液(Al23含分が約1.2質量%、塩素法で製造したもの、TiO2濃度は500g/l)を、NaOHによりpH値11.5に調整した。撹拌しながら、この懸濁液にSiO2 0.5質量%をナトリウム水ガラスとして添加した。引き続きこの懸濁液を垂直サンドミル(PM5型, Draiswerke GmbH)で5kg/hで粉砕した。
引き続きこの懸濁液を水を用いて350g/lに希釈し、70℃に加熱し、SiO2 1.7質量%をナトリウム水ガラスとして添加し、撹拌しながらHClを用いて70分間のうちにpH値4に調整した。
さらに15分の撹拌時間後、Al230.4質量%をアルミン酸ナトリウムとして添加し、ここでpH値はHClの並行添加により4に保った。さらに15分の撹拌時間後、pH値はアルミン酸ナトリウムとしてのAl230.1質量%で5.5に調整した。
さらに30分の撹拌時間後、TiO2懸濁液を濾過し、洗浄により水溶性塩を除去した。この洗浄したフィルターペーストをトレー乾燥器で、160℃で乾燥させた。引き続きポリメチル水素シロキサン(顔料に対してCが0.3質量%)、及びポリジメチルシロキサン(顔料に対してCが0.1質量%)を添加しながら、乾燥させた生成物を蒸気粉砕にかけた。TiO2粒子の炭素含分は、顔料に対して0.4質量%であった。
比較例3
砂で粉砕したTiO2基体の水性懸濁液(Al23含分が約1.2質量%、塩素法で製造したもの、TiO2濃度は350g/l)を70℃で、NaOHによりpH値11に調整した。撹拌しながら、この懸濁液にSiO2 2.2質量%をナトリウム水ガラスとして添加した。15分の撹拌時間後、撹拌しながらpH値を70分以内に4に下げた。
さらに15分の撹拌時間後、Al231.9質量%をアルミン酸ナトリウムとして添加し、ここでpH値はHClの並行添加により4に保った。さらに15分の撹拌時間後、pH値はアルミン酸ナトリウムとしてのAl230.1質量%で5.5に調整した。
さらに30分の撹拌時間後、TiO2懸濁液を濾過し、洗浄により水溶性塩を除去した。この洗浄したフィルターペーストをトレー乾燥器で、160℃で乾燥させた。引き続きポリメチル水素シロキサン(顔料に対してCが0.3質量%)、及びポリジメチルシロキサン(顔料に対してCが0.3質量%)を添加しながら、乾燥させた生成物を蒸気粉砕にかけた。TiO2粒子の炭素含分は、顔料に対して0.6質量%であった。
試験方法
硫酸溶解性:
顔料のSiO2被覆の性質のための基準としては、硫酸溶解性試験を考慮する。500mgの顔料を25mlの濃硫酸(96%)に入れた懸濁液を、60分間175℃に維持する。濾過後に、濾液中の溶解したTiO2を、ICP原子発光分光分析を用いて測定する。溶解したTiO2の濃度が減少するほど、顔料表面のSiO2被膜はより緻密である。
BETによる比表面積(Brunauer-Emmett-Teller):
顔料のBET表面積はMicromeritics社のTristar 3000を用いて静的で容量的な原理に従い測定する。
ポリカーボネートの光学特性及び体積流動指数
ポリカーボネートの加工安定性への、並びに目的生成物の特性へのTiO2顔料の影響を試験するため、顔料着色レベルがTiO2顔料5質量%のポリカーボネート射出成形体を製造する。色の測定(L*、b*)、及び溶融粘度(MVR)の測定により、加水分解や酸化性の化学反応により引き起こされるポリマーの分子量変化について記述することができる。ポリカーボネートとしては、Makrolon 2408を使用する。顔料とポリカーボネート粉末でプレミックスを300g製造し、これを1時間真空炉(400mbar)で120℃で乾燥させ、それから射出成形機(Arburg Allrounder 270U)で加工する。
光学特性L*及びb*は、射出成形体についてGretagMacbethスペクトル計(d/8°、D65)で測定する。L*値の減少若しくはb*値の増加は、ポリマー分子量の変化を示唆する。体積流動指数MVR(MeIt Volume Rate)の測定はDIN EN ISO 1133に従って、微粉砕されたポリカーボネート射出成形部材を用いて行うのだが、ただし300℃ではなく280℃で加熱する。MVR値の増加は、ポリマー分解の増大、ひいては目的生成物の特性悪化を意味する。
試験結果
Figure 2012509371
硫酸溶解性及び比表面積BETに対する試験結果が表1に示してあり、SiO2とAl23で被覆された顔料(実施例1)は、SiO2のみで被覆された比較顔料(比較例1)と比べてより緻密な被覆、ひいては改善された耐候性を有する。
Figure 2012509371
表2は、ポリカーボネート特性についての試験結果を示す。本発明による顔料で顔料着色されたポリカーボネート(実施例2、3、4)の色調b*は、市販のポリカーボネート顔料Kronos 2233に比べてやや改善されており、体積流動指数MVRについても同様である。サンドミルで表面処理されたTiO2顔料(比較例2)に比べて、本発明による顔料によって同じく良好なポリカーボネート特性が達成される。しかしながら顔料製造の際に、濾別性について利点がある(図1参照)。Al23含分が2.4質量%超の顔料で顔料着色したポリカーボネート(比較例3)は、光学特性(b*)及び加工安定性(MVR)がより悪い。
本発明による表面被覆を有する二酸化チタン顔料は、市販の顔料に比べてより耐候性であり、工業用プラスチック、とりわけポリカーボネートの加工安定性を改善する。無機表面被覆を施与するための本発明による方法は同時に、サンドミルでの被覆法に比べて、濾別性において利点を有する。

Claims (14)

  1. 表面処理された二酸化チタン顔料粒子において、
    前記顔料粒子の表面に、内側から外側に向かってSiO2層、Al23層、及び有機層が施与されており、ここで前記有機層が、H−シロキサン、シリコーンオイル、及び有機官能化されたポリシロキサンの群からの化合物を少なくとも1つ含み、かつ粒子の全Al23含分が、全顔料に対して最大2.4質量%であることを特徴とする、前記二酸化チタン顔料粒子。
  2. 粒子の全Al23含分が、全顔料に対して最大2.0質量%、好ましくは1.6〜1.8質量%である、請求項1に記載の表面処理された二酸化チタン顔料粒子。
  3. 前記SiO2層がSiO2を、全顔料に対して0.5〜5.0質量%、好ましくは2.0〜2.5質量%含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の表面処理された二酸化チタン顔料粒子。
  4. 前記有機層が、ポリメチル水素シロキサン及びポリジメチルシロキサンから成ることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の表面処理された二酸化チタン顔料粒子。
  5. 前記有機層が炭素を、全顔料に対して0.05〜1.0質量%、好ましくは0.1〜0.6質量%含むことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の表面処理された二酸化チタン顔料粒子。
  6. 表面処理された二酸化チタン顔料粒子の製造方法において、
    以下の工程
    a)未処理の二酸化チタン粒子の水性懸濁液を撹拌粉砕にかける工程、
    b)引き続き、バッチ法でSiO2層及びAl23層を二酸化チタン粒子に施与する工程、ここで粒子の全Al23含分が、全顔料に対して最大2.4質量%であり、
    c)引き続き、H−シロキサン、シリコーンオイル、及び有機官能化されたポリシロキサンの群からの化合物を少なくとも1つ含む有機層を、二酸化チタン粒子に施与する工程
    を有することを特徴とする、前記製造方法。
  7. Al23層がAl23を、全顔料に対して0.1〜約1.0質量%、とりわけ0.2〜0.6質量%含むことを特徴とする、請求項6に記載の表面処理された二酸化チタン顔料粒子の製造方法。
  8. 粒子の全Al23含分が、全顔料に対して最大2.0質量%、好ましくは1.6〜1.8質量%であることを特徴とする、請求項6又は7に記載の表面処理された二酸化チタン顔料粒子の製造方法。
  9. SiO2層がSiO2を、全顔料に対して0.5〜5.0質量%、とりわけ2.0〜2.5質量%含むことを特徴とする、請求項6から8までのいずれか1項に記載の表面処理された二酸化チタン顔料粒子の製造方法。
  10. 前記有機層が、ポリメチル水素シロキサン及びポリジメチルシロキサンから成ることを特徴とする、請求項6から9までのいずれか1項に記載の表面処理された二酸化チタン顔料粒子の製造方法。
  11. 前記有機層が炭素を、全顔料に対して0.05〜1.0質量%、好ましくは0.1〜0.6質量%含むことを特徴とする、請求項6から10までのいずれか1項に記載の表面処理された二酸化チタン顔料粒子の製造方法。
  12. 二酸化チタン粒子を工程c)の前に、約200〜600℃、好ましくは約300〜500℃で熱処理にかけることを特徴とする、請求項6に記載の表面処理された二酸化チタン顔料粒子の製造方法。
  13. 請求項1から12までのいずれか1項に記載の表面処理された二酸化チタン粒子を、工業用プラスチックに用いる使用。
  14. 工業用プラスチック及び請求項1から12までのいずれか1項に記載の表面処理された二酸化チタン粒子を含有する、ポリマー組成物。
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