本出願は、米国特許法第119条に従い、米国仮特許出願第61/116,074号の優先権を主張しており、その出願は、2008年11月19日に出願されるとともに、引用により全体的に本出願に合体する。
本出願は、さらに、同時に係属している米国特許出願第12/622,309号(米国特許出願公開公報第2010/0137862号)に関連しており、その出願は、2009年11月19日に出願され、かつ、発明の名称が「骨折部用髄内修復システム」であるとともに、引用により全体的に本出願細書に合体する。
図1は、骨インプラント組立体についての第1の実施形態を組立状態で示す平面図である。
図2は、前記第1の実施形態による前記骨インプラント組立体を、図1における2−2線に沿って取られた断面図として示す側面図である。
図2は、前記第1の実施形態による前記骨インプラント組立体を組立状態で示す底面図である。
図4A−図4Cは、髄内ロッドの自由端部についての複数の具体例をそれぞれ示す側面図であり、それら具体例における複数の自由端部は、互いに異なる特徴部を有する複数の骨接合用先端部を有する。図4Dは、図4Cに示す具体例を、図4Cにおける4D−4D線に沿って取られた断面図として示す端面図である。
図5は、下側プレートの内面を示す平面図である。
図6A−図6Cは、前記下側プレートについての互いに異なる複数の具体例をそれぞれ示す複数の断面図であって、図5における6−6線に沿って取られたものである。
図7は、上側プレートの内面を示す平面図である。
図8は、前記上側プレートを示す断面図であって、図7における8−8線に沿って取られたものである。
図9Aおよび図9Bはそれぞれ、髄内ロッドのうちのコネクタ側端部を拡大して示す底面図および平面図であり、前記コネクタ側端部は、図5−図8に関連して説明されるハブとの連結を行うためのものである。図9Cおよび図9Dはそれぞれ、図9Aおよび図9Bに示すコネクタ側端部を拡大して示す側面図および端面図である。
図10は、前記ハブについての別の具体例における前記下側プレートの内面を示す平面図である。
図11は、前記ハブについてのさらに別の具体例における前記下側プレートの内面を示す平面図である。
図12は、髄内ロッドのうちの前記コネクタ側端部を拡大して示す側面図であり、前記コネクタ側端部は、図10−図11に関連して説明されるハブとの連結を行うためのものである。
図13Aは、前記髄内ロッドの自由端部を、アンカが収納された状態で示す側面断面図である。図13Bおよび図13Cは、図13Aと共通するが、前記アンカの展開が進行中である点では異なる。
図14Aは、前記髄内ロッドの自由端部を、アンカが収納された状態で示す側面断面図である。図14Bは、図14Aと共通するが、前記アンカが最大展開状態にある点では異なる。
図15Aは、前記髄内ロッドの自由端部を示す側面図であり、その髄内ロッドは、拡径可能であるように構成されている。図15Bは、図15Aに示す髄内ロッドの自由端部を、その髄内ロッドを非拡径状態で示す側面断面図である。図15Cは、図15Bと共通するが、前記髄内ロッドが拡径状態にある点では異なる。
図16Aは、前記髄内ロッドの別の自由端部を示す側面図であり、その髄内ロッドも拡径可能であるように構成されている。図16Bは、図16Aに示す髄内ロッドの前記自由端部を、その髄内ロッドが非拡径状態で示す側面断面図である。図16Cは、図16Bと共通するが、前記髄内ロッドが拡径状態にある点では異なる。
図17は、骨折部を有する骨を示す平面図である。
図18は、図17に示す骨を図17と同様に示すが、前記骨において前記骨折部と同じ位置にアクセス窓が形成された後の状態で示す図である。
図19は、図18に示す骨を図18と同様に示すが、近位髄内ロッドが前記アクセス窓を経由して前記骨の内部に送給された後の状態で示す図である。
図20は、図19に示す骨を図19と概して同様に示すが、図19に示す複数の骨部が互いに分離し、かつ、遠位髄内ロッドが前記アクセス窓を経由して前記骨の内部に送給された後である点では異なる。
図21は、図20に示す骨を図20と同様に示すが、前記ハブの前記下側プレートが前記アクセス窓を経由して前記骨の内部に送給された後の状態で示す図である。
図22は、図20に示す骨を図20と概して同様に示すが、図20に示す複数の骨部がもはや互いに分離しておらず、かつ、前記複数本の髄内ロッドのコネクタ側端部が前記下側プレートに対し、目標通りに位置決めされた後である点では異なる。
図23は、図22に示す骨を図22と同様に示すが、前記ハブの前記上側プレートが前記アクセス窓を経由して前記骨の内部に送給された後の状態で示す図である。
図24は、図23に示す骨を図23と同様に示すが、前記インプラントが、剛性を有する骨インプラント組立体に組み立てられ、かつ、骨ペーストが供給された後の状態で示す図である。
図25は、近位固定プレートを示す平面図である。
図26は、遠位固定プレートを示す平面図である。
図27は、前記骨インプラント組立体の一部品として用いられる髄内ロッドを示す側面図である。
図28は、図27と同様な図であるが、前記髄内ロッドを、それのアンカが展開している状態で示す点では異なる。
図29は、前記骨インプラント組立体を、前記複数のプレートが一緒にスライドさせられつつある状態で示す側面図である。
図30は、前記骨インプラント組立体を組立完了状態で示す側面図である。
図31は、骨折部を有する骨を示す図である。
図32は、図31と同様な図であるが、前記遠位骨部分と近位骨部分とが互いに変位している点では異なる。
図33は、図32と同様な図であるが、前記近位固定プレートが埋め込まれている点では異なる。
図34は、図33と同様な図であるが、前記近位髄内ロッドが前記近位固定プレートに連結されているとともに前記近位骨部内に挿入されている点では異なる。
図35は、図34と同様な図であるが、前記アンカが近位アンカ上に展開されている点では異なる。
図36は、図35と同様な図であるが、前記遠位固定プレートが埋め込まれている点では異なる。
図37は、図36と同様な図であるが、前記遠位髄内ロッドが前記遠位固定プレートに連結されているとともに前記遠位骨部内に挿入されている点では異なる。
図38は、図37と同様な図であるが、前記アンカが遠位アンカ上に展開されている点では異なる。
図39は、図38と同様な図であるが、前記近位固定プレートおよび前記遠位固定プレートならびにそれぞれの骨部が、それら固定プレートが互いに固定されるべき位置に移動させられる点では異なる。
図40は、図39と同様な図であるが、前記近位固定プレートおよび前記遠位固定プレートが結合されて、剛性を有する一体的なインプラント組立体を構成する点では異なる。
図41は、図40と同様な図であるが、骨置換材料が前記骨折部内に投入されている点では異なる。
図42は、半径方向に延びる複数本の溝を有する上側プレートの内面を示す平面図である。
図43は、前記上側プレートを、図42における43−43線に沿って取られた断面図として示す側面図である。
図44は、ロッドのコネクタ側端部を示す側面図であり、そのコネクタ側端部は、複数本のリングと複数本の溝とを前記コネクタ側端部のシャフト部上に形成されたリング・溝付き構造部を有する。
図45は、上側プレートの溝に沿って延びるコネクタ側端部を、前記上側プレートおよび前記下側プレートがハブを構成するように組み立てられる場合について示す側面断面図である。
図46は、下側プレートの内面を示す平面図である。
図47は、前記下側プレートを、図46における47−47線に沿って取られた断面図として示す側面図である。
図48は、下側プレートの溝に沿って延びるコネクタ側端部を、前記上側プレートおよび前記下側プレートがハブを構成するように組み立てられるとともに、前記下側プレートが、半径方向に延びる複数本の溝と、複数本のリングが同心的に並んだものとの双方を有する場合について示す側面断面図である。
図49は、ハブについての別の具体例における下側プレートの内面を示す平面図である。
図50は、図49に示す下側プレートと一緒に使用される、ハブについての別の具体例における上側プレートの内面を示す平面図である。
図51Aは、図12と同様な図である。図51Bは、コネクタ側端部を示す端面図である。図51Cは、前記コネクタ側端部を示す横断面図であって、図51Aにおける51C−51C線に沿って取られたものである。
図52Aは、図11と同様な図であって、穴間隔を示すものである。図52Bは、ロッドのコネクタ側端部を示す図であり、そのコネクタ側端部は、図52Aにおいて、一対を成す穴列に沿って互いに異なる複数の位置にピンを有する。図52Cは、ロッドのコネクタ側端部であって、ノッチ間隔を有するものを示す図である。
図53は、プレートの内面であって凹凸表面を有する(textured)ものを示す平面図である。
図54は、ロッドのコネクタ側端部であって凹凸表面を有する(textured)ものを示す側面図である。
図55Aは、図53および図54に示すプレートおよびコネクタ側端部を用いる前記骨インプラント組立体を示す平面図である。図55Bは、前記骨インプラント組立体を示す、図55Aにおける55B−55B線に沿った取られた側面断面図である。
図56は、ロッドのコネクタ側端部であって、ボールエンド接続機構を有するものを示す側面図である。
図57は、図56と同様な図であるが、締付力が前記ボールエンド接続機構に作用している点では異なる。
図58A−図58Fは、図56および図57に示すボールエンド接続機構の別の態様についての複数の見え方と、その態様を構成する複数の部品を示す。
図59Aは、下側プレートであって、くさび型装着ポイントを搭載したものを示す平面図である。図59Bは、くさび型装着ポイント565を示す平面図である。図59Cは、下側プレートと、図59Bに示すくさび型装着ポイントとを示す側面図であり、それら下側プレートとくさび型装着ポイントとは、互いに平行である。図59Dは、図59Cと同様な図であるが、前記下側プレートおよび前記くさび型装着ポイントとが互いに平行ではない点では異なる。
図60は、髄内ロッドを示す縦断面図であり、その髄内ロッドは、テレスコピック的な構造部と、クリップまたはピンによって固定を行う構造部とを有する。
図61は、図60と同様な図であるが、クリンプによって固定を行う具体例を示す点では異なる。
図62Aおよび図62Bは、図61における62−62線に沿って取られた横断面図である。
図63は、それの内側シャフトをそれの長手方向に見て示す側面図である。
図64は、図63における64−64線に沿って取られた横断面図である。
図65は、前記内側シャフトをそれの長手方向に見て示す側面図であり、弾性クリップが、前記内側シャフトのための固定具の一部品として採用され、この弾性クリップは、ノッチに係合させられていない。
図66は、図65における66−66線に沿って取られた横断面図である。
図67は、前記内側シャフトをそれの長手方向に見て示す側面図であり、弾性クリップが、前記内側シャフトのための固定具の一部品として採用され、この弾性クリップは、ノッチに係合させられている。
図68は、図67における68−68線に沿って取られた横断面図である。
図69は、内側シャフト705上のスライド式ロックをそれの長手方向に見て示す断面図である。
図70Aおよび図70Bは、それの髄内ロッドを示す横断面図であり、ここに示される具体例は、前記髄内ロッドを固定するための回転運動を示している。
図71A−図71Dはそれぞれ、外側シャフトおよび内側シャフトを示す横断面図であり、それら外側シャフトおよび内側シャフトは、組み合わされて髄内ロッドを構成し、回転運動により、その髄内ロッドの拡径および/または固定が行われる。
図72は、前記外側シャフトおよび前記内側シャフトを、挿入されたピンによって互いに固定(結合)された状態で示す断面図である。
図73Aおよび図73Bは、前記髄内ロッドのうちの一部分をそれの長手方向に見て示す断面図であり、前記髄内ロッドの一部分は、変形可能である。
図74Aおよび図74Bは、図13Aおよび図13Bと同様な図であるが、別の具体例を示す点では異なる。
図75Aおよび図75Bは、図74Aおよび図74Bと同様な図であるが、別の具体例を示す点では異なる。
図76Aおよび図76Bは、図75Aおよび図75Bと同様な図であるが、別の具体例を示す点では異なる。図76Cおよび図76Dは、図76Aおよび図76Bと同様な図であるが、別の具体例を示す点では異なる。
図77は、キットであって、分解された骨インプラント組立体と、埋込み方法の解説書とを有するものを示す平面図である。
図78は、前記骨インプラント組立体を、骨折部に埋め込まれた状態で示す平面図であり、その骨インプラント組立体は、骨材料との係合を行うハブを用いる。
図79は、前記骨インプラント組立体を、骨折部に埋め込まれた状態で示す平面図であり、その骨インプラント組立体は、骨材料との係合を行うハブを用いる。
図80は、マルチハブ式の骨インプラント組立体についての実施形態を示す平面図である。
図81A−図81Cは、別のパターンであって、溝またはリッジが放射状に延びるものを有するプレートを示す平面図であり、その放射状に延びるパターンも、そのパターンに装着される状態での複数本のロッドも、前記プレートの中心から延びていない。
図82は、プレートに連結された複数本のロッドを示す平面図であり、それらロッドは、別のロッドに連結される。
図83Aおよび図83Bは、骨折した骨を示す側面図であり、その骨には、スナッププレートを備えた骨インプラント組立体が配備され、そのスナッププレートは、2つの部材を有し、それら部材は、軸方向に相対移動可能であるとともに、スナップアクションによって最終的な位置に到達して互いに係合して骨固定を実現することが可能である。
本明細書には、多用途型の骨インプラント組立体10が開示されており、この骨インプラント組立体10は、髄内(骨の内部での)固定を行うための複数の骨インプラント(骨充填材)の組立体であり、各骨インプラントは、モジュール式、テレスコピック式(前後移動式、伸縮式)、かつ、微調整式であり、この骨インプラント組立体10は、骨を復元するために、骨折部の位置においてかまたはその骨折部の内部において、部分的かまたは全体的に、外科医による最小侵襲手術によって骨内に送給されて組み立てられ、前記骨は、関節面の形状であって、骨折によって嵌入された(陥没した)形状を含む。この骨インプラント組立体10は、最小侵襲手術により骨折部に送給され、その骨折部の内部で組み立てられるため、患者の苦痛および軟部組織の損傷が最小限で済む。この骨インプラント組立体10は、髄内で使用されるため、荷重共有式であるが荷重遮断式ではないデバイスであり、骨折部の治癒後における骨の再造形作用が促進されるとともに、骨の組織の強度が長期間良好に維持されることにつながる。さらに、この骨インプラント組立体10は髄内で使用されるため、軟部組織に炎症が発生せず、また、再手術の必要性が低下する。この骨インプラント組立体10が、モジュール式、テレスコピック式、かつ、微調整式であるという特徴を有することに部分的に起因し、この骨インプラント組立体10は、位置、骨の種類および重症度に関して広範囲にわたる種々の骨折部に対して良好に適応可能である。例えば、この骨インプラント組立体10を埋め込むこの方法は、橈骨骨折という場面について後に説明されるが、この骨インプラント組立体10は、いかなる種類の骨におけるいかなる種類の骨折部についても容易に採用可能である。例えば、この骨インプラント組立体10は、長骨(例えば、上腕骨、尺骨、橈骨、大腿骨、脛骨等)の骨折部であって、その長骨の骨幹に沿ったいずれかの場所であるか、または長骨の関節(例えば、肩、肘、手首、ヒップ、膝、足首等)の近傍位置に発生したものについて採用可能である。この骨インプラント組立体10は、さらに、他の骨(例えば、指、足指、肋骨、椎骨、腰椎等)についての骨折部であって、それら骨の本体部内に存在するかまたはそれら骨の関節に近い部分に存在するものについて採用可能である。この骨インプラント組立体10がモジュール式および最小侵襲手術式であるという特徴により、骨折部を修復するために必要な外科的手術の工程数が、同じ骨折部を当業界において既に知られているプレートまたは髄内ロッドを用いて修復する場合に対して約50%減少し、それにより、患者にとっての外科的手術の回数(手術時間)、費用および、手術時間の長さが原因で患者に発生するリスクが軽減される。
本明細書に開示されている骨インプラント組立体10の一実施形態を詳細に説明するために、図1−図3が参照される。図1および図3はそれぞれ、骨インプラント組立体10の第1実施形態を組立状態で示す平面図および底面図である。図2は、骨インプラント組立体10の第1実施形態を示す側面図であって、図1における2−2線に沿った断面図でもある。
図1および図3から明らかなように、組立状態にある骨インプラント組立体10は、髄(骨の中央部)内に位置する複数の部材すなわち複数本のロッド15,16であって、中央ロック部材すなわちハブ20から放射状に延びるものを有する。骨インプラント組立体10を介して骨折部を固定したいといういくつかのニーズの内容に応じ、ハブ20から放射状に延びる少なくとも2本、3本またはそれより多数のロッド15,16が存在する。後に詳述するように、複数本のロッド15のうちの少なくとも1本は、ハブ20から骨折部の、一方の側の側面(例えば、骨折部のうちの遠位側面)に向かって延び、また、複数本のロッド16のうちの別の少なくとも1本は、ハブ20から骨折部の、他方の側の側面(例えば、骨折部の近位側面)に向かって延びている。別の実施形態においては、図78および図79に関して後に説明するように、骨インプラント組立体10は、1本、2本、3本またはそれより多数のロッド15,16を含み、それらロッド15,16は、ハブ20から延びている。例えば、ある実施形態においては、1本から5本のうちのいずれかの本数のロッド15,16が、単一のハブ20から延びている。
図80に関して後に説明するように、骨インプラント組立体10は、2個またはそれより多数のハブ20を含み、それらハブ20は、1本またはそれより多数のロッド15,16によって互いに連結されており、いくつかの実施形態においては、さらに、1本、2本、3本、4本またはそれより多数のロッド15,16を含み、それらロッド15,16は、さらに、複数個のハブ20から延びている。例えば、ある実施形態においては、2本から9本のうちのいずれかの本数のロッド15,16が、2個のハブ20から延びている。
いくつかの実施形態においては、ロッド15,16が、固定された長さを有し、また、別の実施形態においては、それらロッド15,16が、調整可能な長さを有する。いくつかの実施形態においては、骨インプラント組立体10が、固定された長さを有する固定長ロッドのみを用いるか、調整可能な長さを有する可変長ロッドのみを有するか、または、それら固定長ロッドと可変長ロッドとの組合せを用いる。
図1−図3に示すように、各ロッド15,16は、コネクタ側端部25と、自由端部30とを有する。骨インプラント組立体10の組立状態において、複数のコネクタ側端部(ハブ20との接続を行う端部)25は、ハブ20に、係合という方式かまたは連結という方式で受け入れられ、また、複数の自由端部(骨との係合を行う端部)30は、骨の組織と係合するように、ハブ20から離れる向きに放射状に延びている。
別の実施形態においては、図1−図3に示すように、ハブ20が、上側部材すなわちプレート35と、下側部材すなわちプレート36とを有する。それらプレート35およびプレート36は、本明細書においては、それぞれ、上側プレートおよび下側プレートと称されるが、それらプレート35,36は、そのときの実施形態に応じ、デザインにより、または、使用時に、互いに上下を逆さまにされる。固定部材(securing memeber)40(例えば、ねじ、ボルト、タブ(tab)等)は、それらプレート35,36のうちの一方から他方まで延びるとともに、そこを貫通するかまたは貫通せずに途中で止まり、それにより、それらプレート35,36を、互いに対向する姿勢で互いに固定(結合、締結、secure)し、その固定に際し、それらプレート35,36の間に、ロッド15,16のコネクタ側端部25を収容する空洞(void)すなわち領域45が形成される。いくつかの実施形態においては、1個、2個またはそれより多数の固定部材40が、ハブ20のプレート35,36を互いに結合するように用いられる。各プレート35,36は、それぞれの外面50、51と、それぞれの内面55,56とを含み、プレート35,36がねじ(固定部材)40によって互いに固定されて組み立てられている状態で、外面50,51は互いに逆向きを向いており、内面55,56は互いに同じ向きを向いており、それらの配置のため、互いに対向する内面55,56が、前記空洞すなわち領域45を形成し、その領域(空洞)45は、髄内ロッド15,16のコネクタ側端部25を収容する。
一実施形態においては、ハブ20のプレート35,36およびロッド15,16のコネクタ側端部25が、ロッド15,16およびプレート35,36の相互固定(インターロック機構、interlocking)すなわちかみ合い機構(インターデジテーション機構、interdigitation)を構成するように構成されている。以下に説明されるのは、その相互固定機構すなわちかみ合い機構を実現するための種々の実施形態である。例えば、いくつかの実施形態においては、かみ合い機構すなわち相互固定機構が、コネクタ側端部25をハブ20に固定するノッチ付き相互固定機構であり、そのノッチ付き相互固定機構は、いくつかの場合においては、ラチェット機構を有する形式である。このような実施形態の説明を始めるために、図5−図6Cが最初に参照され、図5は、下側プレート36の内面56を示す平面図であり、また、図6A−図6Cは、下側プレート36についての異なる複数の実施形態を示す、図5における6−6線に沿った断面図である。
図5に示すように、下側プレート36は、外縁部すなわち円周(外周縁)57と、中央穴58とを有し、その中央穴58は、ねじ40を収容するための穴である。下側プレート36の内面56は、その内面56上に同心的に形成された複数の同心リング60を有する。図6Aに示すように、それら同心リング60は、角型歯付断面(square toothed cross section)を有している。これに代えて、図6Bに示すように、それら同心リング60は、鋸歯状断面(saw toothed cross section)をそれぞれ有してもよく、ここにおいては、いったんロッド15,16が下側プレート36に固定されると、ロッド15,16が適切な位置に保持され、半径方向外向きに移動しないように、各鋸歯状歯形が構成される。一実施形態においては、それら同心リング60の各鋸歯状歯形が、三角形状断面を有している。別の実施形態においては、その三角形状断面が、直角三角形状断面であり、ここに、各同心リング60の断面のうちの直角部(直角に延びる辺)は、中央穴58の方向を向いている一方、各同心リング60の断面のうちの斜辺は、外縁部(外周縁)57を向いている。図6Aおよび図6Bに示す各同心リング60の断面構成は、プレート35,36からの圧縮荷重(厚さ方向荷重)に依存することなく、引張荷重(半径方向荷重)を直接的にプレート35,36に伝達する複数の特徴部を有しており、その結果、ロッド15,16をプレート35,36に固定するための望ましいかみ合い機構すなわち相互固定機構が得られる。
図6Cに示すように、別の実施形態においては、同心リング60の三角形状断面が、二等辺三角形状、正三角形または他の形状の三角形を成しており、ここに、各三角形状断面の斜辺であって中央穴58を向いているものは、各三角形状断面の斜辺であって外周縁57を向いているものと概して同じである。図6Cに示すこの種の三角形状断面は、プレート35,36の結合により、ロッド15,16を、ハブ20内の適切な位置において固定するための圧縮荷重が生成されるようになっている。このように、この種の構成は、かみ合い機構すなわち相互固定機構に依存するより、締め付けられるプレート35,36の圧縮力によって助長される摩擦嵌めにより多く依存する。
一実施形態においては、下側プレート36が、生体適合性金属材料、生体適合性ポリマまたは生体適合性セラミックを材料として機械加工したり、鋳造(molding)したり、成形(forming)したり、または、他の方法で製造することによって形成され、前記生体適合性金属材料は、例えば、ステンレス鋼、チタン、ジルコニウム、ニオブ、コバルト・クロムまたはニチノル(NITINOL、登録商標)であり、また、前記生体適合性ポリマは、例えば、PEEK(登録商標)、テフロン(TEFLON、登録商標)、 TYROSINE(登録商標)、POLYSULFONE(登録商標)、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル(polymethylmethacrylate)、 DELRIN(登録商標)またはポリフェニルサルフォン(polyphenylsulfone)であり、また、前記生体適合性セラミックは、例えば、 アルミナ、ジルコニア、リン酸カルシウム(calcium phosphate)または熱分解炭素(pyrolitic carbon)である。下側プレート36は、約0.05インチから約3インチまでの範囲内の直径と、約0.02インチから約0.5インチまでの範囲内の全体厚さとを有し、また、各同心リング60は、約0.01インチから約0.1インチまでの範囲内の高さを有する。下側プレート36は、約2本から約100本までの範囲内の本数の同心リング60を有する。それら同心リング60は、内面(下側プレート36の表面)56上において、等間隔で配置されるか、グループ分けされるかまたは不等間隔で配置される。いくつかの実施形態においては、上側プレート35および下側プレート36が概して同じ直径を有している。しかしながら、別のいくつかの実施形態においては、上側プレート35および下側プレート36が、それらプレート35,36の一方の外周縁65が他方の外周縁65を通過して延びるように、互いに異なる直径を有する。
図7は、上側プレート35の内面55を示す平面図であり、図8は、上側プレート35を、図7における8−8線に沿った断面図で示しており、図7および図8に示すように、上側プレート35は、外周縁(外縁部または外周部)65と、ねじ40を収容するための中央穴66とを有する。上側プレート35の内面55は、その内面55上に形成された、半径方向外向きに延びる複数本のリッジ(筋状突起、山部、峰部)70を有する。それらリッジ70は、中央穴66に近い位置から外周縁(外縁部または外周部)65に向かって半径方向外向きに延びるとともに、四角形状断面を有する。
一実施形態においては、上側プレート35が、生体適合性金属材料、生体適合性ポリマまたは生体適合性セラミックを材料として機械加工したり、鋳造(molding)したり、成形(forming)したり、または、他の方法で製造することによって形成され、前記生体適合性金属材料は、例えば、ステンレス鋼、チタン、ジルコニウム、ニオブ、コバルト・クロムまたはニチノル(NITINOL、登録商標)であり、また、前記生体適合性ポリマは、例えば、PEEK(登録商標)、テフロン(TEFLON、登録商標)、 TYROSINE(登録商標)、POLYSULFONE(登録商標)、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル(polymethylmethacrylate)、 DELRIN(登録商標)またはポリフェニルサルフォン(polyphenylsulfone)であり、また、前記生体適合性セラミックは、例えば、 アルミナ、ジルコニア、リン酸カルシウム(calcium phosphate)または熱分解炭素(pyrolitic carbon)である。上側プレート35は、約0.05インチから約3インチまでの範囲内の直径と、約0.02インチから約0.5インチまでの範囲内の全体厚さとを有し、また、半径方向に延びる各リッジ70は、約0.01インチから約0.1インチまでの範囲内の高さを有する。上側プレート35は、約2本から約360本までの範囲内の本数のリッジ70を有する。それらリッジ70は、内面(上側プレート35の表面)55上において、等角度間隔で配置されるか、グループ分けされるかまたは不等角度間隔で配置される。
髄内において使用される複数本のロッド15,16のコネクタ側端部25が、図5−図8を参照して一実施形態として前述されたハブ20により収容されるとともに、そのハブ20に連結されるという特徴を説明するために、図9A−図9Dが参照される。図9Aおよび図9Bはそれぞれ、髄内において使用される複数本のロッド15,16のコネクタ側端部25を拡大して示す底面図および平面図であり、図9Cおよび図9Dはそれぞれ、図9Aおよび図9Bに示すコネクタ側端部25を拡大して示す側面図および端面図である。
図9Aおよび図9Cに示すように、コネクタ側端部25の下側面部(すなわち、コネクタ側端部25のうち、そのコネクタ側端部25がハブ20の空洞(領域)45内に収容されるときに、下側プレート36の同心リング60に対向するもの)は、そのコネクタ側端部25に形成された複数の横溝または歯75を有する。それら横溝または歯75は、下側プレート36の同心リング60の曲率に合致する曲率を有してもよい。各歯75は、鋸歯状断面を有してもよく、その鋸歯状断面においては、各歯75が、直角三角形状断面を有しており、その直角三角形状断面のうちの直角部は、自由端部30に向かう方向を向いており、各歯断面のうちの斜辺は、自由端部30に向かう方向とは逆向き(すなわち、コネクタ側端部25の先端部80に向かう方向)を向いている。それら歯75によって形成される鋸歯状領域(歯部)は、ロッド15,16の長さ方向に、先端部80の近傍位置から自由端部30に向かって、約0.1インチから約1.5インチまでの範囲内の長さで延びている。前記相互固定機構すなわちかみ合い機構についての特徴部が、様々な複数本のロッド15,16のうちのそれぞれのコネクタ側端部25に位置するように図示されているが、いくつかの実施形態においては、その相互固定機構すなわちかみ合い機構についての特徴部が、複数本のロッド15,16のうちの一つもしくは複数の領域、または、複数本のロッド15,16のほぼ全表面に存在する。その相互固定機構すなわちかみ合い機構についての特徴部は、さらに、複数本のロッド15,16のうちの少なくとも一つの側面上に配置したり、複数本のロッド15,16の全表面の周りを周方向に延びる(周回する)ように配置してもよい。
図9Cおよび図9Dに示すように、前記歯部は、コネクタ側端部25から延びる弾性部材または変形可能部材(例えば、スプリング525)を有する。それらスプリング525および歯75は、下側プレート36の同心リング60と共同して、スプリング付きラチェット機構を構成する。
図9A−図9Dに示すように、コネクタ側端部25の上側面部(すなわち、コネクタ側端部25のうち、そのコネクタ側端部25がハブ20の空洞45内に収容されるときに、上側プレート35の、半径方向に延びる複数本のリッジ70に対向するもの)は、長さ方向に延びるスロット85を有し、そのスロット85は、先端部80から自由端部30に向かって、ロッド15,16の縦方向軸線に平行な方向に延びている。そのスロット85の長さは、約0.05インチから約1.5インチまでの範囲内の長さである。
一実施形態においては、複数本のロッド15,16が、生体適合性金属材料、生体適合性ポリマまたは生体適合性セラミックを材料として機械加工したり、鋳造(molding)したり、成形(forming)したり、または、別の方法で製造することによって形成され、前記生体適合性金属材料は、例えば、ステンレス鋼、チタン、ジルコニウム、ニオブ、コバルト・クロムまたはニチノル(NITINOL、登録商標)であり、また、前記生体適合性ポリマは、例えば、PEEK(登録商標)、テフロン(TEFLON、登録商標)、 TYROSINE(登録商標)、POLYSULFONE(登録商標)、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル(polymethylmethacrylate)、 DELRIN(登録商標)またはポリフェニルサルフォン(polyphenylsulfone)であり、また、前記生体適合性セラミックは、例えば、 アルミナ、ジルコニア、リン酸カルシウム(calcium phosphate)または熱分解炭素(pyrolitic carbon)である。一実施形態においては、コネクタ側端部25と下側プレート36の複数の同心リング60とのうちの少なくとも一方が、コネクタ側端部25とハブ20との間の接続をより確実にするために、変形するかまたはクリンプする(ひだ加工する、crimp)材料によって構成される。各ロッド15,16は、約0.01インチから約1.5インチまでの範囲内の直径と、約0.1インチから約30インチまでの範囲内の全長とを有する。各歯75は、約0.05インチから約0.25インチまでの範囲内の高さを有している。各ロッド15,16は、約2個から約150個までの範囲内の数の歯75を有している。各スロット85は、約0.005インチから約0.1インチまでの範囲内の幅と、約0.1インチから約0.005インチまでの範囲内の深さとを有する。
図5−図9Dから明らかなように、髄内において使用される複数本のロッド15,16のコネクタ側端部25が、図1−図3に示すように、ハブ20のプレート35,36間にある空洞45内に収容されるとき、複数本のロッド15,16のうち特定のもの(特定のロッド)のスロット85が、複数の半径方向リッジ70のうち特定のもの(特定のリッジ)を、特定のロッド15,16が特定のリッジ70に沿って、かつ、上側プレート35の中央穴66に向かうように変位可能であるように、収容するようにされる。その結果、特定のロッド15,16についてのコネクタ側端部25が、程度の差こそあれ、特定のスロット(特定のロッドに対応するスロット)85のうち、特定のリッジ(半径方向に延びるガイド)70に沿って半径方向内向きに延びる長さ(かみ合い長さ)に応じて、ハブ20内に収容されるようにされる。特定のリッジ70が特定のスロット85内に半径方向に長く収容されるほど、コネクタ側端部25がハブ20内に半径方向内向きにより長く収容されるとともに、特定のロッド15,16の自由端部30が上側プレート35の外周縁(外縁部または外周部)65に半径方向内向きにより接近する。このように、スロット85とそのスロット85内に収容されるリッジ70との間におけるスライド係合(sliding engagement)(スロット/リッジ係合部)のおかげで、自由端部30と外周縁(外縁部または外周部)65との間の距離が、ハブ20に対して相対的にテレスコピック的に調整可能である。また、図1−図3から分かるとともに、図2において矢印Aで示すスロット/リッジ係合部からより具体的であるように、上側プレート35の外周縁(外縁部または外周部)65に関する特定のロッド15,16の、半径方向の向き(角度)が、複数のリッジ70のうち、スロット85により収容されるものに応じ、選択されて維持される。要するに、スロット85と特定のリッジ70との係合およびその係合の程度(長さ)が、ロッド15,16の自由端部30を、その自由端部30の、ハブ20周りの角度方向位置と、自由端部30とハブ20の外周縁(外縁部または外周部)65との間の距離との両方に関して位置決めするために、使用される。
例えば、下側プレート36における複数の同心リング60により、髄内において使用される複数本のロッド15,16の複数のコネクタ側端部25を、下側プレート36に対して相対的に、いずれの角度でも位置決めすることが可能である。各ロッド15,16の長さ(有効長さ)は、下側プレート36における複数の同心リング60のうち、ロッド15,16のコネクタ側端部25の横溝または歯75と係合するものに応じ、固定された増分ずつ、テレスコピック的に調整可能である。上側プレート35上において半径方向に延びる複数本のリッジ70は、複数本のロッド15,16のコネクタ側端部25に横方向の安定性を与える。2枚のプレート35,36は、同心的な特徴部である同心リング60と、半径方向に延びる特徴部であるリッジ70とにより、複数本のロッド15,16の向き(角度)が決められてその向きに維持されるように、組み立てられる。
図5−図9Dから明らかなように、髄内において使用される複数本のロッド15,16のコネクタ側端部25の歯75およびスプリング525が上記のように構成される結果、ラチェット機構が、ハブ20の下側プレート36の、対応する複数の同心リング60との共同により、構成され、「発明を実施するための形態」の欄において後述されるように、ねじ40が、プレート35,36を結合するが、ハブ20がきつくコネクタ側端部25を把持して骨インプラント組立体10が実質的な剛体となることがないように、不完全にハブ20に締め付けられるとき、当該ラチェット機構が構成される。具体的には、柔軟なスプリング525が存在するという理由と、歯75の三角形状断面の斜辺は、ロッド15,16の先端部80の方向を向いており、歯75の三角形状断面の直角部は、自由端部30の方向を向いているという理由との少なくとも一方のおかげで、プレート35,36が、きつく締め付けられないねじ40により、概して緩く結合され、このとき、ロッド15,16の歯75と下側プレート36の同心リング60との間にラチェット機構が構成され、そのラチェット機構により、リッジ70がスロット85内に半径方向内向きに徐々に長く収容されるにつれて、コネクタ側端部25が空洞45内に半径方向内向きに徐々に長く進入することが可能となる。しかしながら、そのラチェット機構は、コネクタ側端部25が空洞45から離脱することを防止する。このように、コネクタ側端部25と同心リング60との間に位置するラチェット機構により、コネクタ側端部25がハブ20の空洞45内へ、スロット85とそのスロット85内に収容されるリッジ70との間における相互作用のおかげで可能となる最大の長さまで挿入されることが可能となる。しかしながら、そのラチェット機構は、コネクタ側端部25が空洞45から離脱することを防止し、それにより、そのラチェット機構は、コネクタ側端部25を、ハブ20内において、コネクタ側端部25がハブ20内に未だ、半径方向内向きにこれ以上長く受け入れられていない深さ(これまでに経験した深さのうち最大のもの)を最大深さとして、その最大深さに保持する。コネクタ側端部25がハブ20内に所望の深さまで収容されると、ねじ40が完全に締め付けられ、それにより、コネクタ側端部25がプレート35,36の間に強固に把持されるとともに、コネクタ側端部25がハブ20内において更なるラチェット運動(半径方向内向きへの一方向運動)および更なる変位を行うことが防止される。
一実施形態おいては、図7および図8に関連して説明した上側プレート35の、半径方向に延びる複数のリッジ70の代わりに、半径方向に延びる複数本の溝500が使用される。このような実施形態を説明するために図42および図43が参照される。図42は、上側プレート35を示す平面図である。図43は、上側プレート35を、図42における43−43線に沿った断面図として示す側面図である。図42に示すように、複数本の溝500は、中央穴66から外周縁65に向かって半径方向に延びており、上側プレート35の内面55上に形成されている。図43に示すように、溝500は、V字形断面、または、例えば、U字形、半円形、四角形状等の他の形状の断面を有してもよい。
図44は、ロッド15,16のコネクタ側端部25を示す側面図であり、図44に示すように、コネクタ側端部25は、そのコネクタ側端部25のシャフト部上に形成された複数本のリング505および溝510を有するリング・溝付き構造部505,510を有する。図45は、プレート35,36がハブ20を構成するように組み立てられたとき、上側プレート35の溝500に沿って延びるコネクタ側端部25を示す側面断面図であり、図45から明らかなように、各プレート35,36がハブ20を構成するように組み立てられると、下側プレート36の同心リング60がコネクタ側端部25の溝510内に受け入れられ、その溝510は、コネクタ側端部25において互いに隣接するリング505の間に形成される。したがって、上側プレート35の溝500により、コネクタ側端部25の角度が保持されるとともに、コネクタ側端部25の、リング505および溝510から成る構造部が下側プレート36の複数の同心リング60から成る構造部にかみ合うことにより、コネクタ側端部25が、上側プレート35の溝500に沿った方向における適切な位置に固定される。
一実施形態においては、半径方向に延びる溝500および複数の同心リング60が、プレート35,36のうちの1枚のプレートの内面上において、組み合わされるように構成される。このような実施形態を説明するために図46および図47が参照される。図46は、下側プレート36の内面56を示す平面図である。図47は、下側プレート36を、図46における47−47線に沿った断面図として示す側面図である。図46に示すように、溝500が、半径方向に中央穴66から外周縁65まで延びており、また、溝500が、上側プレート35の内面55上と、内面56の同心リング60上とに形成されている。図47に示すように、溝500は、V字形断面、または、例えば、U字形、半円形、四角形状等の他の形状の断面を有してもよい。溝500は、複数の同心リング60のみを用いて形成したり、下側プレート36の別の複数の部分をもさらに用いて形成することが可能である。
図48は、下側プレート36の溝500に沿って延びるコネクタ側端部25を示す側面断面図であり、図48から明らかなように、上側プレート35および下側プレート36がハブ20を構成するように組み立てられると、下側プレート36の同心リング60が、コネクタ側端部25の溝510内に受け入れられ、その溝510は、コネクタ側端部25において互いに隣接するリング505間に形成される。したがって、下側プレート36の溝500により、コネクタ側端部25の角度が保持されるとともに、コネクタ側端部25の、リング505および溝510から成る構造部が下側プレート36の複数の同心リング60から成る構造部にかみ合うことにより、コネクタ側端部25が、下側プレート36の溝500に沿った方向における適切な位置に固定される。このような実施形態においては、上側プレート35の内面55が、概して何らの特徴部も有しておらず、単にカップ(蓋)として作用し、そのカップによれば、ロッド15,16のコネクタ側端部25が、半径方向に延びる溝500内に収容されるとともに複数の同心リング60とかみ合う状態に維持される。
図42および図46から明らかなように、一実施形態においては、半径方向に延びる溝500は、概して平行な複数の側面部を有し、それら側面部により、溝500が、中央穴58の近傍位置と外周縁57の位置とにおいて同一の幅寸法を有する。別のいくつかの実施形態においては、半径方向に延びる溝500が、一方向に向かうにつれて幅が増加する複数の側面部を有しており、それら側面部により、溝500が、概して扇形を成し、その扇形は、外周縁57の位置において中央穴58の位置におけるより大きくなる幅を有している。溝500が扇形を成す結果、溝500により、ロッド15,16のコネクタ側端部25の角度の微調整が可能となり、それにより、ロッド15,16が溝500内において固定されているにもかかわらず、ロッド15,16の自由端部30の角度方向位置を少量変更することが可能となる。一実施形態のおいては、扇形を成す溝500が、くさび形(すなわち、溝500の、プレート35,36内へ向かう深さが、中央穴58,66から外縁部56,65に向かうにつれて増す)をも成す。このようなくさび形を溝500に用いると、ロッド15,16に隣接してそれらを固定する隣接ロックプレート36に対し、所定の角度を成して、その隣接ロックプレート36の面から傾斜する向きでロッド15,16を取り付けることが可能となる。
図7、図42および図46に示すいくつかの実施形態においては、リッジ70または溝500が、プレート35,36のうち対応するものに形成された、中央穴58,66のうち対応するものから半径方向外向きに延びるものとして説明されており、これは、すなわち、リッジ70または溝500が、対応するプレート35,36に形成された、対応する中央穴58,66と同じ直線上に位置することを意味するが、別のいくつかの実施形態においては、リッジ70または溝500が、それとは異なる配置態様(配置パターン、レイアウト)を有する。例えば、図81A−図81Cはそれぞれ、1枚のプレート35を示す平面図、ロッド15,16が連結されたプレート35,36を示す平面図、およびロッド15,16が連結されたプレート35,36を示す平面図であり、図81A−図81Cに示すように、上側プレート35が、複数本のリッジ70または溝500が放射状に延びるパターンを有しており、そのパターンは、放射状に外向きに延びるが、上側プレート35の中央穴66と同じ直線上に位置しない(図81A参照)。したがって、図81Bおよび図81C示すように、ロッド15,16は、上側プレート35に、それらロッド15,16が上側プレート35から放射状に外向きに延びるが、上側プレート35の中央穴66から延びる方向に並んでいないしその方向に延びてもいないように、連結される。すなわち、ロッド15,16の延びる方向が、対応するプレート35,36の中心点からずれているのである。
一実施形態においては、ハブ20が、さらに、プレート35,36間に位置する調整用カラーを有する。その調整用カラーは、プレート35,36を互いに締め付ける前に、ロッド15,16とプレート35,36との成す角度をセットするために用いることが可能である。前記調整用カラーがロッド15,16を所望角度で仮固定するように作用する状態で、プレート35,36およびロッド15,16が目標通りに位置決めされると、プレート35,36は、概して剛体であるハブ20を構成するように、互いに締め付けられる。
一実施形態においては、プレート35,36のうちの少なくとも一方が、単純なプレートであって、複数のスロットおよび/または穴が当該単純なプレートの表面を通過するものを有する。それらスロットおよび/または穴は、単純なロッド15,16にかみ合い(嵌り合い)、それら単純なロッド15,16は、それらの長手軸線に対して直角である複数のテーパ(先細り)穴を有する。ねじまたは他の締結具が、前記プレート内の前記スロットおよび/または穴を通過するとともに、ロッド15,16内に到達するように配置され、それにより、ロッド15,16が前記プレートに固定される。
一実施形態においては、プレート35,36のうちの少なくとも一方がある材料によって構成されることによって前記少なくとも一方のプレートが変形可能となっており、その材料は、例えば、2枚のプレート35,36を結合するためにねじを締め付けることによってプレート35,36が結合されると、前記少なくとも一方のプレート35,36がロッド15,16の周りを包囲するように変形する材料である。
プレート35,36およびハブ20は、概して円形を成す形状を有するものとして説明されるが、いくつかの実施形態においては、プレート35,36およびハブ20が、他の形状、例えば、長方形、正方形、三角形、五角形、半円形、楕円形、扇形などのような形状を有する。
一実施形態においては、ハブ20のプレート35,36およびロッド15,16のコネクタ側端部25が、そのコネクタ側端部25をハブ20に、穴または止めねじによって固定するインターロック機能を形成するように構成され、そのインターロック機能は、いくつかの場合において、バーニア・スケール(副尺)に似た方法で、分数で表される単位までさえも調整可能である。この種の実施形態の説明を始めるために図10が最初に参照され、図10は、下側プレート36の内面56を示す平面図である。
図10に示すように、下側プレート36は、外周縁57と、ねじ40を収容するための中央穴58とを有する。下側プレート36の内面56は、複数個の穴90を有し、それら穴90は、中央穴58と外周縁57との間においてらせん配列で並んでいる。図10に示すように、複数個の穴90についての各半径線95であって、中央穴58から外周縁57まで延びるものが少なくとも2個の穴90によって形成されるように、複数個の穴90が前記らせん配列で並んでいる。一実施形態においては、複数個の穴90についての各半径線95が、約5度ずつの増分で角度方向(回転方向)にすきまを隔てて並んでいる。一実施形態においては、複数個の穴90についての各半径線95が、約15度ずつの増分で角度方向(回転方向)にすきまを隔てて並んでいる。別のいくつかの実施形態においては、複数個の穴90についての互いに隣接した半径線95間の角度間隔が、5度より大きいかもしくは小さい角度または15度より大きいかもしくは小さい。
一実施形態においては、図10および後述の説明から明らかなように、ロッド15,16のそれぞれの自由端部30が目標位置に位置させられている状態でロッド15,16が骨内に埋め込まれるときに、複数個の穴90のうち、髄内において使用されるロッド15,16のコネクタ側端部25上のノッチ(切欠き、凹部)110,111のうち対応するものと位置が一致するものを決めるために、下側プレート36が回転させられる。したがって、複数個の穴90が前記らせん配列で並んでいるという理由で、そのらせん配列が回転させられると、ロッド15,16がハブ20に対して相対的に目標位置となるようにテレスコピック的に(前後方向に)位置させられ、複数個の穴90のらせん配列の回転により、ロッド15,16がハブ20から(テレスコピック的に)延び出す距離が微調整が可能となる。
一実施形態においては、図10に示す下側プレート36であって前記らせん配列を有するものが、それ自体、骨インプラント組立体10のハブ20を構成するように用いられる。具体的には、ロッド15,16が下側プレート36から半径方向に延び出る長さと、ロッド15,16が下側プレート36から突出するときの角度との双方が目標通りになるようにロッド15,16を下側プレート36に固定するために複数個の穴90のらせん配列が用いられるように、下側プレート36が骨内において、近位方向または遠位方向(半径方向)において位置決めされるとともに、角度方向(回転方向)において位置決めされる。
別のいくつかの実施形態においては、前記らせん配列を有する下側プレート(らせん配列型プレート)36が、他方のプレート35と共同して骨インプラント組立体10のハブ20を構成するように構成される。図49は、別の実施形態を示す点を除き、図10と同様な図であり、例えば、図49に示すように、図10を参照して説明した、前記らせん配列を有する下側プレート36が、さらに、このプレート36の外周縁57の近傍位置に位置合わせ穴(アラインメント穴)91を有する。一実施形態においては、複数個の位置合わせ穴91のうちのいずれかが、前記らせん配列において最後尾にかつ最も外側に位置する穴90に隣接するように配置される。別の位置合わせ穴91は、下側プレート36を真っ直ぐに横断して、外周縁57のうちの反対側の部分に配置することが可能である。それら位置合わせ穴91は、下側プレート36を、相手方のプレート(上側プレート)35に対して相対的に位置決めして固定するために用いられ、上側プレート35は、図50に示すように、上側プレート35の外周縁57に隣接する位置に、複数個のロック穴(インターロック穴)93を有する。すなわち、らせん状に配列された複数個の穴90を所望の位置に位置決めするために下側プレート36が所望の回転方向位置に位置決めされると、ピンまたは固定ねじが、下側プレート36内の位置合わせ穴91を通過して延びて、上側プレート35のロック穴93に到達するようにされ、それにより、互いに共同して骨インプラント組立体10のハブ20を構成するプレート35,36間における更なる回転変位が防止される。
一実施形態においては、このような下側プレート36が、生体適合性金属材料、生体適合性ポリマまたは生体適合性セラミックを材料として機械加工したり、鋳造(molding)したり、成形(forming)したり、または、他の方法で製造することによって形成され、前記生体適合性金属材料は、例えば、ステンレス鋼、チタン、ジルコニウム、ニオブ、コバルト・クロムまたはニチノル(NITINOL、登録商標)であり、また、前記生体適合性ポリマは、例えば、PEEK(登録商標)、テフロン(TEFLON、登録商標)、 TYROSINE(登録商標)、POLYSULFONE(登録商標)、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル(polymethylmethacrylate)、 DELRIN(登録商標)またはポリフェニルサルフォン(polyphenylsulfone)であり、また、前記生体適合性セラミックは、例えば、 アルミナ、ジルコニア、リン酸カルシウム(calcium phosphate)または熱分解炭素(pyrolitic carbon)である。下側プレート36は、約0.05インチから約3インチまでの範囲内の直径と、約0.02インチから約0.5インチまでの範囲内の全体厚さとを有し、また、各穴90は、約0.01インチから約0.1インチまでの範囲内の直径を有する。下側プレート36は、約1個から約500個までの範囲内の個数の穴90を有する。
下側プレート36の内面56を示す平面図である図11に示すように、下側プレート36は、外周縁57と、スクリュー40を収容するための中央穴58とを有する。下側プレート36の内面56は、複数個の穴105が半径方向に並んだ2本の列(穴列)が対を成すように構成された穴列対100を複数有している。複数個の穴105についての穴列対100は、中央穴58の近傍のあるポイントから外周縁57に向かって半径方向にまたは放射状に延びている。一実施形態においては、複数個の穴105についての複数の穴列対100が30度で等間隔に並んでおり、隣接する穴列対100間の角度間隔は、30度より大きい角度としたり30度より小さい角度とすることが可能である。
一実施形態においては、このような下側プレート36が、生体適合性金属材料、生体適合性ポリマまたは生体適合性セラミックを材料として機械加工したり、鋳造(molding)したり、成形(forming)したり、または、他の方法で製造することによって形成され、前記生体適合性金属材料は、例えば、ステンレス鋼、チタン、ジルコニウム、ニオブ、コバルト・クロムまたはニチノル(NITINOL、登録商標)であり、また、前記生体適合性ポリマは、例えば、PEEK(登録商標)、テフロン(TEFLON、登録商標)、 TYROSINE(登録商標)、POLYSULFONE(登録商標)、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル(polymethylmethacrylate)、 DELRIN(登録商標)またはポリフェニルサルフォン(polyphenylsulfone)であり、また、前記生体適合性セラミックは、例えば、 アルミナ、ジルコニア、リン酸カルシウム(calcium phosphate)または熱分解炭素(pyrolitic carbon)である。下側プレート36は、約0.05インチから約3インチまでの範囲内の直径と、約0.02インチから約0.5インチまでの範囲内の全体厚さとを有し、また、各穴105は、約0.01インチから約0.1インチまでの範囲内の直径を有する。下側プレート36は、約1個から約500個までの範囲内の個数の穴105を有し、また、約2個から約75個までの範囲内の個数の穴列対100を有し、また、各穴列対100当り、約2個から約50個までの範囲内の個数の穴105を有する。各穴列対100に沿って延びる複数個の穴105は、約0.02インチから約0.1インチまでの範囲内の間隔で概して等間隔に互いに並んでいる。
一実施形態においては、髄内において使用されるロッド15,16のコネクタ側端部25が、ピン、ねじまたは他の部材により、複数個の穴105についての穴列対100に連結される。図11に示す下側プレート36からロッド15,16が延び出る長さが、穴列対100上の複数の位置のうち、ロッド15,16が穴105に連結される位置に依存する。したがって、ロッド15,16が、程度の差こそあれ、下側プレート36から延び出すように、コネクタ側端部25が下側プレート36に連結可能となるように、複数個の穴105についての穴列対100が用いられる。一実施形態においては、ロッド15,16がハブ20の下側プレート36から所望の角度で延び出るようにするために、複数個の穴105についての穴列対100が、中央穴58,66を中心とする所望の回転位置に位置決めされるように、図11に示す下側プレート36が、図50に示す上側プレート35に、回転位置が適切となるように連結される。所望の位置決めが終了すると、図11に示す下側プレート36内の少なくとも1個の穴105が、図50に示す上側プレート35の外周縁57に隣接するロック穴93に、ピン、ねじまたは他の手段によって連結され、それにより、図11および図50に示すプレート35,36間における更なる回転変位が防止される。
別のいくつかの実施形態においては、図10、図11、図49、図50および図52Aに示す、プレート35,36についての種々のバリエーションが、前述のように組み合わされるか、または、別の態様で組み合わされる。例えば、いくつかの実施形態においては、図10または図49に示す下側プレート36が、図50に示す上側プレート35と一緒に使用される。これに代えて、例えば、いくつかの実施形態においては、図11または図52Aに示すプレート35,36が、図50に示す上側プレート35と一緒に使用される。これに代えて、例えば、3枚以上のプレートが使用されるいくつかの実施形態においては、それらプレートのうちのいずれかが、図10および図49に示すものであるとともに、そのプレートに連結されたロッド15,16を有し、また、別の1枚のプレートが、図11および図52Aに示すものであるとともに、そのプレートに連結された別のロッド15,16を有し、また、ロッド15,16およびそれらプレートが結合されて所望の位置に位置決めされたら、さらに別の1枚のプレートが、図50に示すように、3枚のプレートが相対的に回転することを防止する。これに代えて、例えば、3枚以上のプレートが使用されるいくつかの実施形態においては、それらプレートのうちの2枚が、図10および図49に示すものであり、それらプレートにおける2つのらせん配列のそれぞれは、それに連結されたロッド15,16を有し、また、3番目のプレートは、図50に示すものであり、ロッド15,16および3枚のプレートが結合されて所望の位置に位置決めされたら、3番目のプレートは、それら3枚のプレートが相対的に回転することを防止するために使用される。これに代えて、例えば、3枚以上のプレートが使用されるいくつかの実施形態においては、それらプレートのうちの2枚が、図11および図52Aに示すものであり、それらプレートにおける2つのらせん配列のそれぞれは、それに連結されたロッド15,16を有し、また、3番目のプレートは、図50に示すものであり、ロッド15,16および3枚のプレートが結合されて所望の位置に位置決めされたら、3番目のプレートは、それら3枚のプレートが相対的に回転することを防止するために使用される。
本明細書においては、種々のプレート35,36が上側プレートおよび下側プレートと呼称されるかまたは他の同様な用語で呼称されるが、ここに説明されるいずれのプレート35,36も、上側プレートであるように配置したり、下側プレートであるように配置することが可能であり、逆もまた同様である。また、プレートに関して互いに異なる種々の実施形態のうちのいずれも、プレートに関する別の実施形態と組み合わせ(例えば、上側プレート35として説明されているプレートを、上側プレートとして説明されている別のプレートと組み合わせたり、下側プレート36として説明されているプレートを、下側プレートとして説明されている別のプレートと組み合わせ)、それにより、ハブ20を構成することが可能である。また、種々の複数枚のプレートについての複数の特徴部を互いに組み合わせて1枚のプレートとして構成することが可能である。ハブ20は、1枚のプレートにより構成したり、2枚のプレートにより構成したり、3枚のプレートにより構成したり、4枚またはそれより多数枚のプレートにより構成することが可能であり、ハブ20における各プレートに、種類が同じロッド15,16を1本またはそれより多数本連結したり、特定の1本のロッドに、専ら、ハブ20の1枚のプレートとの連結を行わせることが可能である。
髄内において使用されるロッド15,16のコネクタ側端部25は、図10および図11を参照して種々の実施形態として上述されたハブ20によって収容されるとともにそれに連結される複数の特徴部を有し、それら特徴部を説明するために、図12が参照され、図12は、髄内において使用されるロッド15,16のコネクタ側端部25を拡大して示す側面図である。
図12に示すように、コネクタ側端部25の一側面部は、そのコネクタ側端部25に一体的に形成された複数のノッチ110を有する。各ノッチ110は、半円形状を成している。複数のノッチ110によって形成されたノッチ部は、ロッド15,16の長さ方向に沿って、先端部80の近傍位置から自由端部30に、約0.1インチから約1.5インチまでの範囲内の距離だけ延びている。
図12に示すように、コネクタ側端部25の他側面部は、そのコネクタ側端部25に一体的に形成された複数のノッチ111を有する。各ノッチ111は、半円形状を成している。複数のノッチ111によって形成されたノッチ部は、ロッド15,16の長さ方向に沿って、先端部80の近傍位置から自由端部30に、約0.1インチから約1.5インチまでの範囲内の距離だけ延びている。
図12と同様な図である図51Aに示すように、ロッド15,16のコネクタ側端部25は、前記一側面部と前記他側面部とのそれぞれの上に、複数のノッチ間すきま(ランド)を有し、それらノッチ間すきまは、前記一側面部と前記他側面部との間で、概して同じ形状を有するとともに、互いに同じ位置に配置される。コネクタ側端部25を示す端面図である図51Bに示すように、コネクタ側端部25は、平面部520を有し、その平面部520は、プレート35,36の内面55,56に当接する。図51Cは、コネクタ側端部25を、図51Aにおける51C−51C線に沿った横断面図で示しており、図51Cから明らかなように、ノッチ110,111は、コネクタ側端部25の前記一側面部および前記他側面部上に形成されており、それら側面部は、平面部520の横に位置する。
一実施形態においては、複数本のロッド15,16が、生体適合性金属材料、生体適合性ポリマまたは生体適合性セラミックを材料として機械加工したり、鋳造(molding)したり、成形(forming)したり、または、別の方法で製造することによって形成され、前記生体適合性金属材料は、例えば、ステンレス鋼、チタン、ジルコニウム、ニオブ、コバルト・クロムまたはニチノル(NITINOL、登録商標)であり、また、前記生体適合性ポリマは、例えば、PEEK(登録商標)、テフロン(TEFLON、登録商標)、 TYROSINE(登録商標)、POLYSULFONE(登録商標)、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル(polymethylmethacrylate)、 DELRIN(登録商標)またはポリフェニルサルフォン(polyphenylsulfone)であり、また、前記生体適合性セラミックは、例えば、 アルミナ、ジルコニア、リン酸カルシウム(calcium phosphate)または熱分解炭素(pyrolitic carbon)である。各ロッド15,16は、約0.01インチから約1.5インチまでの範囲内の直径と、約0.1インチから約30インチまでの範囲内の全長とを有する。各ノッチ110,111は、約0.005インチから約0.1インチまでの範囲内の深さと、約0.01インチから約0.25インチまでの範囲内の長さすなわちかみ合い表面積とを有している。各ロッド15,16は、約2個から約150個までの範囲内の数のノッチ110を前記一側面部上に有し、また、約2個から約150個までの範囲内の数のノッチ111を前記他側面部上に有する。一実施形態においては、図12に示すように、前記一側面部上における複数個のノッチ110が、約0.01インチから約0.25インチまでの範囲内の間隔で概して等間隔に互いに並んでいる。前記他側面部上における複数個のノッチ111は、約0.01インチから約0.25インチまでの範囲内の間隔で概して等間隔に互いに並んでいる。したがって、一実施形態においては、図12に示すように、前記一側面部上における複数個のノッチ110が、前記他側面部上における複数個のノッチ111とは異なる間隔(ノッチ間間隔)を有することが可能である。しかし、図51Aに示すように、各側面部上におけるノッチ110,111の間隔は、両者間で概して同じであり、また、各側面部上におけるノッチ110,111は、位置に関して両者間でずれていない。
図10および図12、または図49および図12から明らかなように、髄内において使用されるロッド15,16のコネクタ側端部25が、ハブ20のプレート35,36間の空洞45内に、図1−図3において示すのに類似する方法で収容されると、下側プレート36内の複数個の穴90のらせん配列が、ロッド15,16がハブ20から延び出す長さを種々の値に変更することを可能にするために使用される。すなわち、複数個の穴90のらせん配列は、自由端部30とハブ20の外周縁57との間の距離の長さを調整するために使用される。下側プレート36からのロッド15,16の延び出し長さが適切になるようにするための位置決めが終了すると、ロッド15,16をそれの半径方向(角度)の要求に応じて位置決めするために、下側プレート36が要求に応じて回転させられる。図50に示す上側プレート50は、その後、前述のように、図10または図40に示す上側プレート36であって前記らせん配列を有するものに固定され、それにより、それらプレート35,36が相対的に回転することが防止される。
図10、図12、図49、図50および図51Aから明らかなように、一実施形態においては、ピンまたは固定ねじ115が、前記らせん配列で並んだ複数個の穴90内に挿入され、それにより、対応するノッチ110,111との係合が行われ、それにより、コネクタ側端部25がハブ20内において固定される。プレート35,36は、図2に示すように、最終的に構成されるハブ20内においてコネクタ側端部25がプレート35,36によってサンドイッチされるように、相対的に位置決めされ、また、プレート35,36内の位置合わせ穴91およびロック穴93は、ピンによって結合され、それにより、プレート35,36が相対的に回転することが防止される。固定ねじ40は、その後、完全に締め付けられ、それにより、ハブ20と、そのハブ20から延び出すロッド15,16とが、全体的に剛体である骨インプラント組立体10を構成する。
図11および図52A−図52Cから明らかなように、穴列対100は、ロッド15,16を、ハブ20を中心とする角度方向位置と、ハブ20からのテレスコピック的な(伸縮可能な、増減可能な)延び出し長さとの双方に関して位置決めするために使用される。例えば、穴列対100は、各々、複数個の穴105が半径方向に並んだ2列が一対を成すものを有している。各組の穴列対100については、複数個の穴105が並んだ第1列と、複数個の穴105が並んだ第2列とが、穴位置に関して互いにずれている。図52Aにおいて矢印Rで示すように、第1列と第2列との間のずれRは、約0.02インチから約0.1インチまでの範囲内の値を有する。一実施形態においては、ずれRは、穴105間のピッチの約半分の値である。図52Aおよび図52Cにおいて矢印Tおよび矢印T’で示すように、コネクタ側端部25上において互いに隣接するノッチ110,110間の間隔T’は、約0.1インチから約0.4インチまでの範囲内の値を有しており、この間隔T’は、プレート35,36上の穴105間の間隔Tに相当する(例えば、間隔Tは、互いに隣接する4個の穴105を横切る長さに等しい)。
一実施形態においては、間隔Tが、2個の穴105の中心線間距離、すなわち、それら穴105間の隙間にほぼ等しい。穴105の大きさ(直径)は、約0.02インチから約0.08インチまでの範囲内の値を有することが可能である。それら穴105は、ねじ溝が形成されるかまたは形成されないことが可能である。ロッド15,16の同じ側面部上におけるホール(ノッチ110,111)間のピッチは、約0.1インチから約0.4インチまでの範囲内にあり、このとき、そのホール(ノッチ110,111)の大きさは、0.02インチから0.08インチまでの範囲内にあることが可能である。図52Cから明らかなように、ロッド15,16の一側面部上の溝(ノッチ110,111)位置は、同じロッド15,16の他側面部上の溝(ノッチ110,111)位置と一致しており、また、図52Aおよび図52Bから明らかなように、プレート35,36上の穴105についてのずれRにより、ロッド15,16が割り出されることが可能である。そのプレート上の穴105のずれRの量は、ロッド15,16上の溝(ノッチ110,111)が取るべき0.1インチから0.4インチまでの範囲の半分に等しいことが可能である。
図52Bにおいて矢印Zから明らかなように、特定のノッチ111が、穴列対100において一対を成す2列のうちの第1列に属する特定の穴105の位置と一致するように、コネクタ側端部25がプレート35,36上において位置決めされる。ピンまたはねじ115が、コネクタ側端部25を、矢印Zで示すピン固定状態で固定するために使用される。ロッド15,16の延び出し量(突出量)が、矢印Zで示すピン固定状態において許される延び出し量より大きくすることが必要である場合がある。この場合、コネクタ側端部25の他側面部上のノッチ110が、穴列対100のうちの第2列に属する複数個の穴105に嵌り入るように、矢印Xで示すように、ロッド15,16が穴列対100に沿って移動させられ、増分Wずつのインクリメンタル移動により、ロッド15,16の自由端部30の突出量が、矢印Yで示す状態において、矢印Zで示す状態より増加する。したがって、穴105およびノッチ110,111により構成される機構が、ロッド15,16の、ハブ20に対する前進・後退運動を、増分ずつ順次行うインクリメンタル方式で行うために用いられることが理解される。
図11および図52Aから明らかなように、一実施形態においては、半径方向に延びる穴列対100が、複数個の穴105が並んだ、互いに平行な複数の列(穴列)を有し、それにより、互いに隣接する穴列間に形成される隙間の幅が、中央穴58の近傍位置と外周縁57の位置とにおいて互いに同一となる。別のいくつかの実施形態においては、穴列対100において複数個の穴105が半径方向に並んだ一対の穴列間の間隔が一方向に向かうにつれて増加し、それにより、複数個の穴105の穴列対100が概して扇形を成し、その扇形は、外周縁57の位置において中央穴58の位置におけるより大きくなる幅を有している。複数個の穴105の穴列対100が扇形を成す結果、複数個の穴105の穴列対100により、ロッド15,16のコネクタ側端部25の角度の微調整が可能となり、それにより、ロッド15,16が穴105によって固定されているにもかかわらず、ロッド15,16の自由端部30の角度方向位置を少量変更することが可能となる。
上述したように、いくつかの実施形態においては、図10および図11にそれぞれ示すらせん配列および対配列がそれぞれ、図50に示すプレート35と共に、下側プレートまたは上側プレート上に配置され、ここに、図10または図11に示すプレートは、ロッド15,16をハブ20に関して位置決めするために用いられる位置決めプレートであり、また、図50に示すプレート35は、ハブ20を完成品にするために用いられる結合用プレートである。しかし、別のいくつかの実施形態においては、ハブ20が、図10または図11に示す位置決めプレートの一方を用いるのみであり、マルチプレート型のハブ20を構成しない(例えば、ハブ20が、図50に示す結合用プレートも用いない)。いくつかの実施形態においては、図10に示す穴105の配列と、図11に示す穴105の配列とが互いに組み合わされるか、または、それら配列を有するそれぞれのプレートの双方が、同じハブ20において、同じ複数本のロッド15,16に共通に、それらロッド15,16の固定および位置決めのために用いられる。いくつかの実施形態においては、図5−図8を参照して前述された、同心的なリング/溝構造物および/または図42−図48を参照して前述された、半径方向に延びるリング/溝構造物が、コネクタ側端部25の複数の特徴部のうち対応するものであって、それら構造物と一緒に機能するように構成されたものと一緒に、程度の差こそあれ、図10−図12および図49−図52Cを参照して前述されたノッチ/穴構造物と共に用いられる。
一実施形態においては、図50および図10にそれぞれ示す上側プレート35および下側プレート36が、単一のプレート組立体を構成するように、一緒に用いられる。具体的には、図10に示す下側プレート36が、ボルトまたは他の締結具であってプレート35,36それぞれの中央穴58を貫通するものにより、図50に示す上側プレート35に回動可能に(回転可能に)連結される。図10に示す下側プレート36が時計方向に回転するにつれて、複数個の穴90のらせん配列が、固定された半径線95上の複数個の穴90を、内向きに、かつ、下側プレート36の中心に向けて引っ張る。対応するコネクタ側端部25についてのノッチ110,111の係合位置が目標通りになるために必要な穴90および位置の組合せを実現するために複数個の穴90のらせん配列が回転させられると、締結具を、上側プレート35の位置合わせ穴91と、下側プレート36のロック穴93とに延びるように配置することにより、図10に示す下側プレート36が、図50に示す上側プレート35に対し、適切な回転位置にロックされる。この種のいくつかの実施形態においては、ハブ20が、図10に示す形式のプレート36を複数枚使用し、それらプレート36の各々は、専ら、1本のロッド15,16の位置決めを行う。
いくつかの実施形態においては、コネクタ側端部25が、ハブ20内において、表面凹凸による(textured)連結か摩擦による連結を行うように構成される。例えば、プレート35,36の内面55,56を示す平面図である図53に示すように、内面55,56が、表面粗さが大きく、摩擦係数が高い摩擦面を有するように、凹凸表面処理(例えば、ローレット加工(knurled、ぎざぎざ)または他の表面処理)を施される。コネクタ側端部25を示す側面図である図54に示すように、コネクタ側端部25が、同様に、表面粗さが大きく、摩擦係数が高い摩擦面を有するように、凹凸表面処理(例えば、ローレット加工(knurled、ぎざぎざ)または他の表面処理)を施される。骨インプラント組立体10を示す平面図である図55Aに示すように、種々のロッド15,16のコネクタ側端部25であって凹凸表面を有するものが、ハブ20内において固定される。図55Bは、骨インプラント組立体10を示す、図55Aにおける55B−55B線に沿った取られた側面断面図であり、図55Bに示すように、コネクタ側端部25が、プレート35,36によって適切な位置において固定的に保持されるように、凹凸表面を有する内面55,56がコネクタ側端部25に係合し、ここに、プレート35,36は、ねじ40によって結合されることにより、ハブ20および骨インプラント組立体10全体を構成する。実施形態として説明された、凹凸表面を有するプレート15,16および凹凸表面を有するコネクタ側端部25を用いることにより、ロッド15,16がハブ20内において、角度位置(回転位置)と延出し位置(長さ方向位置)との双方に関して位置決めされる複数の候補の数が、事実上、無数となる。
一実施形態においては、プレート35,36が、複数の部分に分割される分割型(例えば、1枚のプレートが、2個の半円形を成す分割部分、4分割された分割部分などを有する)とされる。それらプレート分割部分はそれぞれ個別に、1個のプレート分割部分が、他のプレート分割部分から独立する状態で締結されるように、締結される。その結果、少なくとも1本のロッド15,16が、1枚のプレートのうちの1個の分割部分に配置されて固定され(例えば、その1個のプレート分割部分が、そのプレート分割部分内に位置する前記少なくとも1本のロッド15,16の周辺において完全に締結され)、その後、残りのロッド15,16が、同じプレートのうちの残りのプレート分割部分内に配置されて固定される。
一実施形態においては、コネクタ側端部25およびプレート35,36またはそれらのうちのいくつかの部分が、ボールエンド接続機構を有するように構成される。例えば、コネクタ側端部25であって前記ボールエンド接続機構を有するものを示す側面図である図56に示すように、そのボールエンド接続機構は、ボール530を有し、そのボール530は、コネクタ側端部25が、矢印Nで示すように、テレスコピック的に(前進・後退が可能な状態で、前後方向に)貫通する穴535を有する。ボール530は、2個の半割部530’,530”という形態または他の形態であってボール530がコネクタ側端部25の周囲を締め付ける(constrict)ことが可能であるように構成されたものとして構成される。ボール530は、上側プレート35内の上側半球部540’と、下側プレート36内の下側半球部540”とにより形成された球状ネストまたはポット540内に収容される。このようなボールエンド接続機構のおかげで、プレート35,36が結合されるまでの間、ロッド15,16を前後方向においても回転方向においても位置決め可能であり、それにより、プレート35,36が締付力を作用させ(その締付力が作用している点を除き、図56と同様な図である図57において矢印Kで示す)、その締付力は、球状ネスト540の構成部品540’および540”が、半割部530’および530”を適切な位置において把持して保持することを可能にする。そのような把持および保持の結果、自由端部30の回転位置および前後方向位置が目標値となるようにロッド15,16がロックされる。
ハブ20を示す側面図である図58Aに示すように、球状ネスト540は、プレート35,36の内面55,56内に食い込むように一体的に形成されている。図58Bおよび図58Cはそれぞれ、ボールエンド(球状端部)550を有するコネクタ側端部25を有するロッド15,16を示す側面図、およびハブ20とボールエンド550とが結合されたものを示す図であり、図58Bおよび図58Cに示すように、ボールエンド550は、球状ネスト540内に固定される。プレート35,36が、図58Cに示すように、互いにクランプされるまでの間、図58Cと同様な図である図58Dに示すように、前記ボールエンド接続機構により、ロッド15,16が、矢印Qで示すように、ボール550の周りを回動することが可能となる。図58Bと同様な図である図58Eに示すように、ボールエンド550が、締結具が貫通する穴555を有する。したがって、図58A−図58Eに示すボールエンド接続機構を用いる骨インプラント組立体10を示す平面図である図58Fに示すように、締結具560が穴555を貫通させられ、それにより、矢印Gで示すように、プレート35,36の内面55,56に概して平行である平面上でのみ運動するように、ロッド15,16の運動範囲が制限される。球状ネスト540内においてボールエンド550を締結する作業は、プレート35,36が結合されて組み立てられるようになっていることと、締結具560を用いることとの組合せのおかげで容易となる。
一実施形態においては、下側プレート36を示す平面図である図59Aおよびびくさび型装着ポイント565(扇形プレート)を示す平面図である図59Bに示すように、くさび型装着ポイント565が下側プレート36の内面56に調節可能な状態で装着される。図59Bに示すように、くさび型装着ポイント565は、幅狭端部566と、幅広端部567と、開口部568とを有し、その開口部568は、それら両端部566,567間に配置されるとともに、わずかに円弧状を成している。図59Aに示すように、くさび型装着ポイント565は、幅狭端部566が中央穴58に近接する一方、幅広端部567が外周縁57に近接する姿勢で、内面56に搭載されている。締結部569が、内面56から延びて、開口部(スロット)568を貫通している。
一実施形態においては、下側プレート36とそれに搭載されたくさび型装着ポイント565とを示す側面図である図59Cおよび図59Dに示すように、コネクタ側端部25がくさび型装着ポイント565に連結されている。そのくさび型装着ポイント565は、下側プレート36に、それらの間に介在する複数枚のくさび型プレート600,601を媒介として支持されている。各くさび型プレート600,601は、くさび状に変化するくさび型厚さを有している。図59Cに示すように、それらくさび型プレート600,601が一回転方向に相対回転させられると、それぞれのくさび型厚さが互いに補完し合って打ち消しあい、それにより、くさび型装着ポイント565が、下側プレート36に対して概して平行となる。これに対し、図59Dに示すように、それらくさび型プレート600,601が逆回転方向に相対回転させられると、それぞれのくさび型厚さが互いに対称的に重なり合い、それにより、くさび型装着ポイント565が、下側プレート36に対して傾斜する。したがって、図59A−図59Dに示す実施形態においては、くさび型装着ポイント565により、ロッド15,16の角度を、下側プレート36に対して平行である平面内において変更することが容易となり、また、くさび型プレート600,601により、ロッド15,16の角度を、下側プレート36に対して傾斜した平面内において変更することが容易となる。それぞれの実施形態に依存するが、ロッド15,16は、図59Dに示すくさび型装着ポイント565(扇形プレート)に対して上方向にも下方向にも延びる。別のいくつかの実施形態においては、ロッド15,16が、図59Dに示すくさび型装着ポイント565(扇形プレート)に対して下方向には延びるが、上方向には延びない。
一実施形態においては、髄内において使用される特定のロッド(以下、単に「髄内ロッド」ともいう)15が、自由端部30を有し、その自由端部30は、骨折部と関節面との間に位置する皮質骨(または、他の骨材料であって、それぞれの状況に応じ、皮質骨(cortical bone)、綿状骨(海綿骨、cancellous bone)および/または髄骨(bone marrow)を含む)に接合(作用、係合、interface)される。例えば、橈骨遠位端骨折の場合には、特定の髄内ロッド15が、骨折部から遠位方向に離れた皮質骨に接合されるように構成される。大腿骨頚部骨折の場合には、特定の髄内ロッド15が、骨折部から近位方向に離れた皮質骨に接合されるように構成される。この種の髄内ロッド15のための自由端部30のいくつかの特徴部を説明するために、図4A−図4Dが参照される。図4A−図4Cは、それぞれ互いに異なる複数の実施形態としての複数の髄内ロッド15の自由端部30を示す側面図であり、ここに、それら自由端部30は、互いに異なる複数の特徴部を有する骨接合用先端部(bone interface tip)120を有する。図4Dは、図4Cに示す自由端部30を、図4Cにおける4D−4D線に沿った端面図である。
図4A−図4Cに示すように、それぞれ互いに異なる複数の実施形態としてのロッド15の自由端部30は、骨接合用先端部120を、貫入する(penetrating)という方式か他の接合方式で、皮質骨に装着するために有する。具体的には、髄内ロッド15の各自由端部30は、皮質骨内に貫入し、それにより、自由端部30を皮質骨に装着するための貫入用先端部を骨接合用先端部120として有する。一実施形態においては、骨接合用先端部120が、先端が尖っており、また、その骨接合用先端部120が皮質骨にねじ込み可能であるようにねじ山を有してもよい。別のいくつかの実施形態においては、骨接合用接合部120が、ねじ山を有しておらず、また、先端が尖っているかまたは尖っていない。一実施形態においては、尖っているとともにねじ山を有する骨接合用先端部120の長さが、約0.5mmから約15mmまでの範囲内にある。
いくつかの実施形態においては、物理的な障害物125が、自由端部30のうち、尖っているとともにねじ山を有する骨接合用先端部120のうちの最大幅部に直ぐに隣接した位置に存在する。例えば、図4Bに示すように、その物理的な障害物125は、球状バックストップ(ストッパ)という形態を有しており、その球状バックストップは、髄内ロッド15の直径を、約5%から約75%までの範囲内の比率で超える直径を有する。別の実施形態においては、図4Cおよび図4Dに示すように、物理的な障害物125が、カラー(collar)、リム(rim)、リップ(lip)または他の段付き遷移領域であって髄内ロッド15の直径が変化するものという形態を有しており、その遷移領域は、尖っているとともにねじ山を有する骨接合用先端部120のうちの最大幅部と、同じロッド15のうちの残りの部分との間に位置する。物理的な障害物125の形状の如何を問わず、物理的な障害物125のおかげで、骨接合用先端部120が十分に深く皮質骨内に貫入したことを外科医が感じる能力が、その外科医が骨接合用先端部120を過剰に挿入してしまうことが防止されつつ、向上させられる。すなわち、物理的な障害物125により、骨接合用先端部120が皮質骨内に、その骨接合用先端部120の長さを超えて貫入してしまうことが防止され、それにより、骨接合用先端部120が関節面から突出してしまうことが防止される。
図4Cおよび図4Dに示すように、一実施形態においては、ロッド15がさらに溝130をも有し、その溝130は、ロッド15内に延びるとともに、尖っているとともにねじ山を有する骨接合用先端部120のうちの最大幅部からコネクタ側端部25に向かって延びている。複数本の溝130は、物理的な障害物125(例えば、カラー(collar))のエッジの位置から、ロッド15内に切り込まれており、それにより、材料の、骨接合用先端部120から退避する向きの流れが促進される。それら溝130によれば、さらに、ロッド15を包囲する骨の切りくずを分散させることが支援されるとともに、ロッド15を包囲する皮質骨にロッド15が固定される性能が向上する。
いくつかの実施形態においては、自由端部30が、骨接合用先端部120を有しておらず、その代わりに、先端が尖っていない端部であって、骨材料内に貫入するようには構成されていないものを有する。
いくつかの実施形態においては、髄内ロッド15がさらにアンカ135を有し、そのアンカ135によれば、ひとたび骨接合用先端部120が皮質骨133内に固定されると、その骨接合用先端部120が皮質骨133から抜け出てしまうことが防止される。この種のアンカ135を説明するために図13A−図13Cが参照され、ここに、図13Aは、ロッド15の自由端部30を、アンカ135が収納された状態で示す側面断面図であり、図13Bおよび図13Cは、アンカ135が徐々に展開される点を除き、図13Aと同じ図である。図13Aから明らかなように、アンカ135は、骨接合用先端部120が骨内に埋め込まれる(例えば、骨接合用先端部120が皮質骨133内に完全に貫入する)まで、髄内ロッド15の内側に収納される。一実施形態においては、ロッド15が、そのロッド15を長さ方向に貫通する内部通路140を有する。アンカ135は、内部通路140を貫通するとともに、曲がった形状に変形するワイヤまたはストリップという形態を有し、その変形は、アンカ135の展開が終了するまで、内部通路140内においてアンカ135に弾性力が負荷されるように行われる。アンカ135が、図13Aに示すように、収納されると、アンカ先端部145が、内部通路140から離れるかまたは近づくとともに、内部通路140から延びて外側のロッド15に到達する出口開口部155から離れる向きに変形する。
アンカ135のうち、アンカ先端部145とは反対側の端部(基端部)160は、外科医がアンカ135を操作して展開することを可能にするアンカ駆動装置165に連結される。例えば、一実施形態においては、そのアンカ駆動装置165が、ロッド15に搭載された部材またはシリンダ165であって、ロッド15の周りに回転するとともにそのロッド15に沿って軸方向に移動するものである。したがって、図13Bから明らかなように、部材165を、矢印Bで示すように、ロッド15の周りに回転させることにより、アンカ先端部145が出口開口部155の近傍位置で停止するように、アンカ135が(例えば、180度だけ)内部通路140内において回転させられる。図13Cから明らかなように、部材165を、矢印Cで示すように、ロッド15に沿って軸方向に移動させることにより、アンカ先端部145が出口開口部155を貫通し、かつ、アンカ先端部145が骨133のうち、骨接合用先端部120に近い部分である近傍部内に延びている位置で停止するように、アンカ135が内部通路140内を軸方向に移動させられる。例えば、骨133の前記近傍部は、網状骨であり、そして、骨接合用先端部120は、皮質骨133内に貫入する。アンカ先端部145が出口開口部155を通過するプロセスは、アンカ135の曲率を適切にし、また、出口開口部155の近傍位置にガイド170を設置することにより、容易に達成可能となる。
アンカ駆動装置165は、ロッド15のコネクタ側端部25の先端部80の位置においてかまたはその位置から、回転させられる。これに代えて、アンカ駆動装置165を、ロッド15のうち、コネクタ側端部25と自由端部30との間の部分のいずれかの位置に配置することが可能である。別のいくつかの実施形態においては、アンカ駆動装置165が、単にアンカ135の基端部160であり、その基端部160は、先端部80内の開口部から突出するとともに、図13A−図13Cに示すように、アンカ先端部145の展開を実現するために把持されるとともに操作されることが可能である。アンカ135またはアンカ駆動装置165は、アンカ135が最大展開状態に至ると、それらアンカ135およびアンカ駆動装置165のうちの一方または両方が適切な位置でロックするように構成することが可能である。例えば、ノッチという形態を有するロック機構175がアンカ135上に形成され、そのノッチ175は、ガイド170またはガイドストップを通過すると、ラチェット運動(一方向運動、戻り防止)を行い、そのラチェット運動は、アンカ135が最大展開状態に至ると、アンカ135が収納されないように行われる。いくつかの実施形態においては、1個より多数のノッチ175がアンカ135上に形成され、それにより、複数のアンカ位置(係留位置)の実現が可能となる。
一実施形態においては、ロッド15が、外側シャフトと、内側シャフトとを有し、それらシャフトは、相対的に前後運動を行うように構成されており、この実施形態においては、アンカ135がロッド15内の出口開口部155から突出するように、アンカ135を外側シャフトに対して前進させることにより、アンカ135の展開が行われる。この運動は、内側シャフトを前進方向に押すという動作、外側シャフトを後退方向に引くという動作、またはそれら2つの動作の組合せにより、達成可能である。ロッド15の遠位端に位置する出口開口部155は、アンカ135の展開を促進するための形状を予め有するようにしてもよい。1本のロッド15に対し、1個、2個またはそれより多数のアンカ135を設けてもよく、それぞれ、1個、2個またはそれより多数のアンカ位置(係留位置)を実現する。
図13Aおよび図13Bとそれぞれ同様な図である図74Aおよび図74Bから明らかなように、アンカ135が、図74Bに示すように、最大展開状態に到達すると、アンカ135が、ロック機構により、適切な位置にロックされるようにすることが可能である。そのロック機能は、ワイヤ状のアンカ135上のノッチ700を有し、そのノッチ700は、突起(固定用バンプ)またはピン705を通過すると、ラチェット運動(一方向運動、戻り防止)を行い、その突起705は、内部通路140の内周面150上に、内部通路140から延びて外側のロッド15に到達する出口開口部155の近傍位置において形成されている。1個より多数のノッチ700をワイヤ状のアンカ135上に形成することが可能であり、それにより、複数のアンカ位置(係留位置)の実現が可能となる。いくつかの実施形態においては、内周面150上に突起705(固定用バンプ、ピン)を、クリンピング(ひだ加工、crimping)、ディンプリング(ディンプル加工、dimpling)または他の方法であってロッド15の外壁(外面)を内方に変形させて突起705を形成するものによって形成することが可能である。
図13A−図14B,図74Aおよび図74Bに示すように、ロッド15,16は、1個、2個、3個、4個またはそれより多数のアンカ135を用いることが可能である。
アンカ135をロックする別のいくつかの方法は、例えば、ロックピンまたはクランプを用いて、外側チューブである髄内ロッド15をクラッシュして(押し潰して)、内側にあるワイヤ状のアンカ135内の溝700内に入れることや、髄内ロッド15に対してクリンプ加工(ひだ加工)を施して、髄内ロッド15のシャフト部と、内側にあるワイヤ状のアンカ135との間に締まり嵌め部(圧入部、press-fit)を形成することにより、行うことが可能である。それらの方法においては、髄内ロッド15上のクラッシュ位置/クリンプ位置を、髄内ロッド15のうち、コネクタ側端部25から自由端部30の側にずれた位置に位置させ、それにより、中央ロック部であるハブ20に組み込むことが可能である。
アンカ135は、ニチノル(NITINOL、登録商標)またはそれと同種で別の、弾性を有するように焼戻しされた材料であって、アンカ135が、展開状態にいたると、予め定められた曲率に復元することを可能にするものによって構成することが可能である。
一実施形態においては、特定の髄内ロッド16が自由端部30を有し、その自由端部30は、骨に、骨折位置と骨の骨幹部との間の位置、または骨折位置と、骨のうち、関節面に関し、その骨折位置とは反対側の部分との間の位置において接合される。例えば、橈骨遠位端骨折の場合には、特定の髄内ロッド16の自由端部30が、骨のうち、骨折部から近位方向に離れた部分に接合されるように構成される。また、大腿骨頚部骨折の場合には、特定の髄内ロッド16が、骨のうち、骨折部から遠位方向に離れた部分に接合されるように構成される。この種の髄内ロッド16のための自由端部30のいくつかの特徴部を説明するために、図14Aおよび図14Bが参照される。図14Aは、ロッド16の自由端部30を、アンカ135が収納された状態で示す側面断面図であり、図14Bは、アンカ13が最大展開状態にある点を除き、図14Aと同様な図である。
図14Aおよび図14Bから明らかなように、実施形態としてのロッド16の自由端部30は、骨接合用先端部120を、貫入する(penetrating)という方式か他の接合方式で、骨に装着するために有する。具体的には、髄内ロッド16の各自由端部30は、骨内に貫入するために骨接合用先端部120を有し、それにより、自由端部30を骨に連結させる。一実施形態においては、骨接合用先端部120が、先端が尖っており、また、その骨接合用先端部120が骨にねじ込み可能であるようにねじ山を有してもよい。一実施形態においては、尖っているとともにねじ山を有する骨接合用先端部120の長さが、約0.5mmから約15mmまでの範囲内にある。
いくつかの実施形態においては、骨接合用先端部120が、物理的な障害物125および/または溝130であって図4A−図4Cを参照して前述されたものを有する。
図14Aおよび図14Bに示すように、ロッド16は、複数のアンカ135であって、図13A−図13C、図74Aおよび図74Bを参照して前述されたアンカ135と同様のものを備えている。具体的には、それらアンカ135は、ロッド16の内部通路140内において軸方向に変位させられて、それぞれの出口開口部155から外に出る。各アンカ135は、ロック機構175であって図13A−図13C、図74Aおよび図74Bを参照して前述されたものと同様のものを備えている。複数のアンカ135が最大展開状態に至ると、骨接合用先端部120が骨材料内に、具体的には、骨のうちの骨幹部内に係留されることが可能となる。したがって、複数のアンカ135(例えば、3つ、4つまたはそれより多数のアンカ)により、ロッド16の自由端部30が、長骨(例えば、橈骨、大腿骨または脛骨)のうちの骨幹部の内部に接触し、その接触は、骨折部のねじりおよび回転の安定性を増加させるために、少なくとも2箇所または3箇所の位置において行われる。図14Aおよび図14Bに示す複数のアンカ135は、図13A−図13C、図74Aおよび図74Bを参照して前述された複数の原理のうちのいずれかによって展開させることが可能である。
ロッド16の他のいくつかの実施形態においては、ロッド16の外壁(外側シャフト)180が、骨接合用先端部120の近傍位置において拡径させられ、それにより、骨接合用先端部120が自ら骨幹部内において固定される。例えば、ロッド16の自由端部30を示す側面図である図15Aに示すように、ロッド16の外壁すなわち外面(外側シャフト)180が、骨接合用先端部120の直ぐの近傍位置において、切れ目または裂け目185により、裂けている(切開されている、sectioned)。ロッド16の自由端部30を示す側面断面図である図15Bに示すように、内側シャフト190がロッド16の軸心を貫通しており、その内側シャフト190の一端部195は骨接合用先端部120に接続され、その内側シャフト190の他端部200は、外科医によって操作されるように構成されている。
図15Cに示すように、内側シャフト190は、矢印Dで示すように、ロッド16内において、骨接合用先端部120から離れる向きに変位させられ、それにより、外面180が折り畳まれる(例えば、紙製ちょうちんのように)ように骨接合用先端部120が、分断されている外面180に対抗する(逆らう、押す)ように作用することが可能である。したがって、矢印Dで示すように内側シャフト190をロッド16内において変位させると、外面180が、実質的に半径方向に拡張された拡径部205を形成し、その拡径部205は、骨接合用先端部120が骨幹部内に適切に位置決めされるときに、その骨接合用先端部120を骨幹部内において固定するために用いられる。この実施形態によれば、外科医は、内側シャフト190をロッド16に対して後退させるか、または、ロッド16を内側シャフト190に対して前進させることにより、内側シャフト190とロッド16との間の変位を行わせることができる。内側シャフト190は、ノッチ175(ロック機構)を有し、そのノッチ175は、ロッド16上のガイド(特徴部)170に係合し、そのガイド170は、拡径部205が骨幹部内の皮質骨133に接触すると、ロッド16と内側シャフト190とを適切な位置において固定するものである。この接触により、ロッド16の自由端部30の変位量が制限される。ロッド16と内側シャフト190とが相対的に、それぞれ特徴部であるガイド170およびノッチ175により、固定されると、拡径部205が非折畳み状態に戻ってしまうことが防止される。ロッド16と内側シャフト190とが相対的に固定される状態は、他の構造、例えば、ピン、スクリュまたは他の部材であってロッド16と内側シャフト190との間を延びるものにより、達成することが可能である。これに代えて、内側シャフト190の周りにおいてロッド16にクリンプ(ひだ)を形成し、それにより、ロッド16と内側シャフト190とを相対的に固定することが可能である。
ロッド16の別の実施形態においては、ロッド16の外壁(外面)180が、同様に、骨接合用先端部120の近傍位置において拡径させられ、それにより、骨接合用先端部120が自ら骨幹部内において固定される。例えば、ロッド16の自由端部30を示す側面図である図16Aに示すように、ロッド16の外壁すなわち外面180が、骨接合用先端部120の直ぐの近傍位置において、切れ目または裂け目185により、裂けている。ロッド16の自由端部30を示す側面断面図である図16Bに示すように、外面180が、骨接合用先端部120の直ぐの近傍位置において、厚肉部220を有する。すなわち、ロッド16の内部が、自由端部30から見える直径に関し、収縮しており(縮径しており)、それにより、くさび形状部225が、ロッド16のうち、縮径された内部表面に作用する。図16Bに示すように、内側シャフト190がロッド16の軸心を貫通しており、その内側シャフト190の一端部195はくさび形状部(くさび先端部)225を有し、その内側シャフト190の他端部200は、外科医によって操作されるように構成されている。骨接合用先端部120は、ロッド16のうちその骨接合用先端部120を除く部分に、各々、狭い幅寸法で長さ方向に延びる複数個の壁ストリップ(短冊状分割壁)を有しており、それら壁ストリップは、切れ目185の領域を通過して延びている。それら壁ストリップは、一定の壁厚さを有し、その壁厚さは、厚肉部220の領域を除き、ロッド16のうち骨接合用先端部120を除く部分の全長にわたって用いられる壁厚さと同じである。
図16Cに示すように、内側シャフト190は、矢印Eで示すように、ロッド16内において、骨接合用先端部120に接近する向きに変位させられ、それにより、厚肉部220が、外面180と骨接合用先端部120との接合点の近傍位置において外向きに膨出するようにくさび形状部(くさび先端部)225が厚肉部220に対抗する(逆らう、押す)ように作用する。したがって、矢印Eで示すように内側シャフト190をロッド16内において変位させると、外面180が拡径部205を形成し、その拡径部205は、骨接合用先端部120が骨幹部内に適切に位置決めされるときに、その骨接合用先端部120を骨幹部内において固定するために用いられる。くさび先端部225は、図16Cに示すように、骨接合用先端部120内に収容される。この実施形態によれば、外科医は、内側シャフト190をロッド16に対して後退させるか、または、ロッド16を内側シャフト190に対して前進させることにより、内側シャフト190とロッド16との間の変位を行わせることができる。内側シャフト190は、ノッチ175(ロック機構)を有し、そのノッチ175は、ロッド16上のガイド(特徴部)170に係合し、そのガイド170は、拡径部205が骨幹部内の皮質骨133に接触すると、ロッド16と内側シャフト190とを適切な位置において固定するものである。この接触により、ロッド16の自由端部30の変位量が制限される。ロッド16と内側シャフト190とが相対的に、それぞれ特徴部であるガイド170およびノッチ175により、固定されると、拡径部205が非膨出状態に戻ってしまうことが防止される。
図74Aおよび図74Bと同様な図である図75Aおよび図75Bから明らかなように、一実施形態においては、内側シャフト190が、ロッド15全体の自由端部30の骨接合用先端部120を形成し、その骨接合用先端部120は、スクリュ形状、丸形状、先細形状、平坦形状または他の形状を有することが可能である。内側シャフト190の骨接合用先端部120は、外面(外側シャフト)180から、自由端部30の位置において突出し、その外側シャフト180の、自由端部30における直径は、骨接合用先端部120の位置におけるより小径である。骨接合用先端部120のうち、その骨接合用先端部120と外側シャフト180の自由端部30との接合点に隣接する部分は、先細形状、丸形状または他の形状を有することが可能である。
図75Bから明らかなように、内側シャフト190を外側シャフト180に対して相対的に、矢印Lで示すように、コネクタ側端部25の方向に変位させると、内側シャフト190の骨接合用先端部120の大径部により、外側シャフト180が、自由端部30の位置において拡径し、それにより、自由端部30が皮質骨133内の領域内に固定されることが可能である。例えば、その拡径は、綿状骨内に到達するように行われ、骨接合用先端部120は、皮質骨133内に貫入する。拡径しているシャフト係留部材180Aを形成するために外側シャフト180を拡径することを容易にするために、外側シャフト180を裂いてリリーフ(分断促進部、relief)を形成してもよい。
図75Aおよび図75Bと同様な図である図76Aおよび図76Bから明らかなように、一実施形態においては、内側シャフト190が、複数個の特徴部190Xであって、拡径しているとともに、外側シャフト180の特徴部180Xに係合するものを有しており、それら特徴部190Xと180Xとの係合は、内側シャフト190が外側シャフト180に対して変位させられて骨接合用先端部120が外側シャフト180を拡径させてシャフト係留部材180Aを形成したときに行われる。したがって、それら特徴部190Xと180Xとの係合により、外側および内側シャフト180,190が適切な相対位置で保持され、それにより、骨接合用先端部120が、シャフト係留部材180Aを、図76Bに示すように、拡径かつ係留状態に維持するための位置に保持される。いくつかの実施形態においては、外側シャフト180の外径面上に、複数のディンプルを形成したり、円周方向に延びるクリンプ(ひだ)ラインを形成することにより、複数個の特徴部180Xが形成される。
図76Aおよび図76Bと同様な図である図76Cおよび図76Dから明らかなように、いくつかの実施形態においては、内側シャフト190および外側シャフト180が、互いに対向する固定用特徴部180X,190Xであって、それぞれの長さ方向に沿って形成されたものを有し、それら特徴部180X,190Xは、ディンプル加工またはクリンプ加工によって円周方向に延びるように形成された複数本の溝180X,190Xである。
いくつかの実施形態においては、髄内ロッド15,16が、それぞれの実際長さが可変であるように、テレスコピック的であるように構成される。したがって、骨インプラント組立体10についてのいくつかの実施形態であって、そのような可変長型ロッド15,16を用いるものにおいては、コネクタ側端部25とハブ20との取付構造であって、ロッド15,16の長さ方向に沿ってテレスコピック的であるもののおかげと、ロッド15,16のシャフト部自体のテレスコピック構造のおかげとの双方により、ロッド15,16が、ハブ20から見れば、テレスコピック的である(ハブ20からの長さが可変である)。テレスコピック・ロッド構造を説明するために図60が参照され、図60は、該当する種類のロッド15,16を示す縦断面図である。
図60に示すように、ロッド15,16は、外側シャフト700と、その外側シャフト700の内部に位置してテレスコピック的である(前後移動可能である)内側シャフト705とを有することが可能である。一実施形態においては、内側シャフト705が、一連の複数個の係合部710(横方向に延びる溝、リッジ、ノッチ、凹部、バンプその他)を有し、それら係合部710は、内側シャフト705の長さ方向に沿って概して等間隔で並んでいる。外側シャフト700は、係合部715を有しており、その係合部715は、内側シャフト705上の係合部710に係合可能であるように、外側シャフト700から半径方向内向きに突出している。係合部715が内側シャフト705上のいずれかの係合部710に係合すると、外側シャフト700内において内側シャフト705が、目標テレスコピック位置(テレスコピック方向における複数の位置のうち目標となるもの)においてロックされる。この実施形態によれば、外側シャフト700の係合部715が、外側シャフト700の一部として形成された弾性クリップであり、その弾性クリップは、ポール歯(係止歯)、タブまたは他の係合用特徴部であり、そのような係合用特徴部は、ロッド15,16の長さが目標値であるように調整された後、外側および内側シャフト700,705を相対的に固定するために係合部710が当該他の係合用特徴部に係合させられることを可能にするものである。いくつかの実施形態においては、係合部715が、内側シャフト705の複数個の係合部710と共同して、ラチェット機構を実現する。いくつかの実施形態においては、係合部715が、係合解除(リリース)不能な形式である。別のいくつかの実施形態においては、係合部715が、例えば、リリースレバーを有するかまたは内方に変形(変位)するタブを有するポール歯であって、内側シャフト705内の貫通穴に係合するものである場合に、係合解除(リリース)可能である。
いくつかの実施形態においては、外側および内側シャフト700,705間における係合構造部が、クリンプ(ひだ)構造部によって実現される。例えば、クリンプ構造部である点を除き、図60と同様な図である図61に示すように、内側シャフト705は、図60を参照して上述された係合部710と同じものを有する。しかし、外側シャフト710は、係合部を概して有しない。その代わり、ロッド15,16を示す横断面図であって、図61において62−62線に沿って取られたものである図62Aおよび図62Bに示すように、外側シャフト700は、内側シャフト705の係合部710に係合していないが、矢印N(図62B参照)においてクリンプされると、内側シャフト705の係合部710に係合し、それにより、外側および内側シャフト700,705が相互に固定される。
一実施形態においては、外側シャフト700の係合部715が、クリップ715という形態を有する。図63および図64はそれぞれ、内側シャフト705をそれの長手方向に見て示す側面図、および図63における64−64線に沿って取られた横断面図であり、係合部715がクリップ715という形態を有する種類の実施形態においては、図63および図64に示すように、内側シャフト705が、図60を参照して前述されたものと同様な複数個の係合部710を有する。外側シャフト700は、係合部715を、半径方向内向きに変形するクリップ715という形態で備えている。図65および図66はそれぞれ、内側シャフト705をそれの長手方向に見て示す側面図、および図65における66−66線に沿って取られた横断面図であり、図65および図66から明らかなように、内側シャフト705の係合部710の向きがクリップ715のレッグ部715a,715bと係合しない向きであるように内側シャフト705が回転させられると、内側シャフト705は、矢印Rで示すように、クリップ715に対して長さ方向(軸方向)に変位可能となる。図67および図68はそれぞれ、内側シャフト705をそれの長手方向に見て示す側面図、および図67における68−68線に沿って取られた横断面図であり、図67および図68から明らかなように、内側シャフト705の係合部710の向きがクリップ715のレッグ部715a,715bと係合する向きであるように内側シャフト705が回転させられると、内側シャフト705は、クリップ715に対して長さ方向(軸方向)に変位できず、固定される。
一実施形態においては、内側シャフト705上のスライド式ロック725を示すそれの長手方向に見て示す断面図である図69に示すように、外側および内側シャフト700,705が、スライド式ロック725により、相対的に固定されることが可能である。図69から明らかなように、一実施形態においては、ホルダ730が、外側シャフト700によって支持されるとともに、ハウジング732を有しており、そのハウジング732は、傾斜内面735と、複数個のボール740と、プランジャ745と、らせん状のスプリング750とを有する。複数個のボール740は、内側シャフト705の外面に隣接して配置されている。スプリング750は、内側シャフト705の周りを延びている。プランジャ745は、内側シャフト705の周りを、複数個のボール740とスプリング750との間において延びている。スプリング750は、ハウジング732とプランジャ745との間において作用する。ハウジング732は、外側シャフト700から延びるとともに、内側シャフト705の周りを延びている。外側シャフト700およびハウジング732は、矢印Sで示す方向において任意に変位させられ、それにより、スプリング750およびプランジャ745が、複数個のボール740を、同じ方向に、内側シャフト705に沿って移動させる。外側および内側シャフト700,705間の、テレスコピック的な移動方向に関する関係が目標通りとなると、傾斜内面735が複数個のボール740と共同して、内側シャフト705に対抗する(逆らう、押す)というくさび作用により、矢印Sで示す向きとは逆向きの変位が防止される。この実施形態によれば、ホルダ703が、外側シャフト700にではなく、内側シャフト705によって支持されるようにすることが可能である。さらに、ホルダ730を、一方向においてのみではなく、いずれの方向においても、移動およびロックを行うように構成することが可能である。
一実施形態においては、シャフト700,705の相対回転によりそれらシャフト700,705の軸方向相対移動が阻止されるように、それらシャフト700,705が構成されている。例えば、シャフト700,705を示す横断面図である図70Aおよび図70Bに示すように、少なくとも1個のボール740が、外側シャフト700の内側の周面760と、内側シャフト705の外側の周面765との間に配置されている。図70Aに示すように、特徴部770が、それら周面760,765の一方から延び出ており、その特徴部770は、矢印H’およびH”で示すように、シャフト700,705が相対回転するにつれて、周面760,765に沿ってボール740を移動させるために用いられる。図70Bに示すように、回転量が一定値に至ると、ボール740が、周面760,765間においてくさびとして作用してくさび止めを行い、それにより、シャフト700,705同士がロックしてそれらシャフト700,705の軸方向相対移動が阻止される。
いくつかの実施形態においては、シャフト700,705自体の構造により、それらシャフト700,705の軸方向相対移動が阻止されるか、および/または、前記構造により、シャフト700,705が拡径してそれらシャフト700,705がそれを包囲する骨材料内に係留されることが可能となる。例えば、シャフト700,705を示す横断面図である図71A−図71Dに示すように、外側シャフト700に対して内側シャフト705が相対的に回転すると、外側シャフト700が拡径する。この特徴は、シャフト700,705の軸方向相対移動が阻止されるようにそれらシャフト700,705をロックするために用いることが可能である。このことに追加されるかまたはこのことに代えて、同じ特徴は、シャフト700,705を拡径させてそれらシャフト700,705をそれを包囲する骨材料内に係留させるために用いることが可能である。一実施形態においては、図71Aに示すように、内側シャフト705が、非円形断面、例えば、長円状断面を有する。図71Bに示すように、外側シャフト700は、2つの分割部分700’,700”に分割され、その外側シャフト700内の内部空間770が、内側シャフト705の断面に対応する形状の断面、例えば、同じく、長円状断面を有する。内側シャフト705の長円状断面は、円弧状の凹部775であって、内部空間770の内面780上に形成されたものを有し、その凹部775は、長円状の内部空間770の主軸を概して横切るように配置される。
図71Cに示すように、内側シャフト705が外側シャフト700の内部空間770内に、内側シャフト705の長円状断面の主軸が、内部空間770の断面の主軸と一致するときには、2つの分割部分700’,700”が互いに接触する状態または他の非拡径状態に維持される。図71Dに示すように、内側シャフト705が外側シャフト700の内部空間770内に、内側シャフト705の長円状断面の主軸が、内部空間770の断面の主軸に対して交差するときには、内側シャフト705の長円状断面のうちの狭い両端部が凹部775内に収容され、2つの分割部分700’,700”が互いに離れる向きに拡径する。内側シャフト705の断面のうちの狭い長円状両端部が凹部775と相互作用することにより、外側シャフト700が拡径状態に維持される停止位置が形成される。外側シャフト700がそのような拡径状態にあると、外側シャフト700と内側シャフト705との間に十分な摩擦作用が発生し、それにより、それらシャフト700,705が互いにロックして、それらシャフト700,705の軸方向相対移動が阻止される。
一実施形態においては、ピン800または他の部材が外側シャフト700と内側シャフト705との間に挿入され、それにより、それらシャフト700,705がロックされてそれらシャフト700,705の軸方向相対移動が阻止される。例えば、シャフト700,705を示す断面図である図72に示すように、ピン800が内側シャフト705の外面と外側シャフト700の内面との間の空間内に挿入される。一実施形態においては、内側シャフト705の外面が、複数の山部805と、複数の谷部810とを有する。それら山部805は、外側シャフト700の内面に接触し、また、ピン800は、外側シャフト700の内面と、内側シャフト705の外面であって複数の谷部810によって形成されるものとの間の空間内に収容される。外側シャフト700と内側シャフト705との軸方向相対位置が目標通りとなると、ピン800が上述のようにして挿入される。一実施形態においては、ピン800がテーパ状断面を有し、そのテーパ状断面によれば、ピン800の幅狭端部が、そのピン800が谷部810内に挿入されるときにそのピン800の前端部を構成する。そのテーパ状のピン800が徐々に谷部810内に挿入されるにつれて、ピン800において増加する幅寸法のおかげで、ピン800と、内側シャフト705と、外側シャフト700との間の拘束力(拘束状態、bind)が生成され、その拘束力は、シャフト700,705を適切な位置において互いにロックするのに十分である。
一実施形態においては、ロッド15,16の一部が、外側および内側シャフト700,705間のロックを実現するかおよび/または外スリーブをそれを包囲する骨材料内に係留させるために、変形する。例えば、ロッド15,16の一部をそれの軸方向に見て示す断面図である図73Aおよび図73Bに示すように、ロッド15,16の一部は、折畳み可能であるかまたは他の方法によって変形可能であるスリーブ820を備えている。例えば、図73Aに示すように、スリーブ820は、外側および内側シャフト700,705の間に配置される。スリープ820に対抗する(逆らう、押す)力をいずれかのシャフト700,705によって加えると、スリーブ820が変形させられ(図73B参照)、それにより、スリーブ820が拡径して、そのスリーブ820と外側および内側シャフト700,705とが互いに拘束され、そして、外側および内側シャフト700,705の軸方向相対移動が阻止される。別の実施形態においては、外側および内側シャフト700,705のうちの一方により、スリーブ820を上述のようにして変形させ、それにより、シャフト700,705を互いに拘束する。これに追加されるかまたはこれに代えて、スリーブ820が拡径する結果、そのスリーブ820がそれを包囲する骨材料内に係留させられる。
既述のように、髄内ロッド15,16は、外側シャフト700と、その外側シャフト700内においてテレスコピック的に配置された内側シャフト705とを有する。そのようなテレスコピック的な構造により、ロッド15,16の長さが増加したり減少するようにし、それにより、それらロッド15,16の全長が目標値となるようにすることが可能である。したがって、それらロッド15,16がテレスコピック的であるという性質は、自由端部30を、ハブ20の端部からの距離が目標値となるように位置決めするために用いられる。図60−図72を参照して前述したことから明らかなように、シャフト700,705が長さ方向において相対的に位置決めされてロッド15,16の長さが目標値となると、前述の係合機構を用いてシャフト700,705が互いにロックされる。
別の実施形態としてのロッド15,16を示す平面図である図82から明らかなように、ロッド15,16は、別のロッド19がロッド15,16から延び出るように構成され、それらロッド15,16は、ハブ20を構成するために用いられる上側プレート35から延びている。別のロッド19は、ロッド15,16に、ピン、スクリュまたは他の結合部材もしくは結合構造1020を用いて連結される。一般に、別のロッド19は、本明細書に開示されている他のロッド15,16のうちのいずれかと同様に構成することが可能であるが、この別のロッド19が、ロッド15,16に連結されるとともにそれらロッド15,16に支持されるように構成されるという点は異なる。
骨折部を治療することを目的として図1−図16Cを参照して前述された骨インプラント組立体10を使用する方法を説明するために、次に、図17−図24が参照され、図17−図24は、一連の工程を経て、骨インプラント組立体10が骨折部290内において組み立てられる様子を図示している。図17に示すように、骨折部290が、骨300内に、その骨300の関節部305の近傍位置において発生しており、その結果、近位骨部分300aと遠位骨部分300bとが発生する。図17に示す骨折部290は、橈骨遠位端骨折についてのものであるが、図17−図24に示す方法および骨インプラント組立体10は、他の種類の骨(例えば、大腿骨、脛骨、上腕骨、尺骨、肋骨、鎖骨、腰椎、指、つま先、椎骨など)における他の種類の骨折部(例えば、骨の関節部に近い骨折部や関節部から離れた骨折部、多骨片骨折部(multi-bone fragment fractures)、らせん骨折部など)に対して容易に適用可能である。
図18に示すように、小さなアクセス窓(作業穴、挿入穴)310が、骨300内に、骨折部290を横切るように形成される。アクセス窓310は、骨300の背側面もくしは掌側面または骨300の別の表面上に形成される。アクセス窓310は、約0.05インチから約3インチまでの範囲内の直径を有することが可能である。アクセス窓310は、患者の軟部組織であって骨折部290の上方を(骨折部290を通過するように)延びるものにおいて、最小侵襲アクセスまたは経皮的アクセスにより、形成することが可能である。いくつかの実施形態および/またはいくつかの種類の骨折部においては、骨折部290自体を経由して骨300内に簡単に骨インプラント組立体10を送給できるため、アクセス窓310を形成することが必要ではない。いくつかの実施形態においては、後述のように、骨インプラント組立体10が、骨折部290内において、骨300の内部において組み立てられる。別のいくつかの実施形態においては、骨インプラント組立体10が、骨折部290上において、骨300の外部において組み立てられる。
図14A−図16Cを参照して前述したように、特定の髄内ロッド16は、自由端部30を有し、その自由端部30は、骨300に、その骨300のうち、骨折部290の位置と骨300の骨幹部との間の位置、または骨折部290の位置と、骨300のうち、関節面に関し、骨折部290とは反対側の部分との間の位置において接合される。橈骨遠位端骨折の場合には、そのような特定の髄内ロッド16が、骨折部290から近位方向に延びる近位髄内ロッド16であると考えられる。図19に示すように、アクセス窓310は、近位髄内ロッド16を近位骨部分300aの内部に挿入するために用いられ、その挿入は、自由端部30が近位骨部分300a内に深く位置し、また、コネクタ側端部25がアクセス窓310内に位置するとともに自身の端末が骨折部290の近傍位置に位置するように行われる。近位髄内ロッド16の自由端部30は、図4A−図4Cおよび図14A−図16Cを参照して前述した、先端部およびアンカに関する複数の構造のうちのいずれかを有することが可能である。したがって、自由端部30、具体的には、近位髄内ロッド16全体が、近位骨部分300aの内部に目標通りに位置決めされたなら、図14A−図16Cを参照して前述した係留機構(アンカ135および拡径部205)を展開させることにより、自由端部30を骨300の内部において適切な位置に固定することが可能である。注目すべきことは、1本の近位髄内ロッド16が、骨折部290の近位部に挿入されるように図示されているが、骨インプラント組立体10についてのいくつかの実施形態および/またはいくつかの種類の骨折部290の用途については、同種の近位髄内ロッド16を、2本、3本またはそれより多数の本数で、近位骨部分300aの内部に送給することが可能である。
図20に示すように、遠位骨部分300bおよび近位骨部分300aは、相対的に変位させられ(例えば、傾斜させられるか、相互に離れるように展開される)、それにより、ロッド15,16をアクセス窓310を通過させるかまたは骨折部290自身を通過させる作業が容易となる。いくつかの場合には、近位および遠位骨部分300a,300bのそのような相対変位が、ロッド15,16の送給を容易にするために不要である。
図4A−図4Cおよび図13A−図13Cを参照して前述したように、特定の髄内ロッド15は、自由端部30を有し、その自由端部30は、骨300のうち、骨折部290の位置と関節面との間の部分に接合される。橈骨遠位端骨折の場合には、そのような特定の髄内ロッド15が、骨折部290から遠位方向に延びる遠位髄内ロッド15であると考えられる。図20に示すように、アクセス窓310は、遠位髄内ロッド15を遠位骨部分300bの内部に挿入するために用いられ、その挿入は、自由端部30が遠位骨部分300b内に深く位置し、また、コネクタ側端部25がアクセス窓310内に位置するとともに自身の端末が骨折部290の近傍位置に位置するように行われる。遠位髄内ロッド15の自由端部30は、図4A−図4Cおよび図13A−図13Cを参照して前述した、先端部およびアンカに関する複数の構造のうちのいずれかを有することが可能である。したがって、自由端部30、具体的には、遠位髄内ロッド15全体が、遠位骨部分300bの内部に目標通りに位置決めされたなら、図13A−図13Cを参照して前述した係留機構(アンカ135)を展開させることにより、自由端部30を骨300の内部において適切な位置に固定することが可能である。注目すべきことは、2本の遠位髄内ロッド15が、骨折部290の遠位部に挿入されるように図示されているが、骨インプラント組立体10についてのいくつかの実施形態、および/または、いくつかの種類の骨折部290の用途については、同種の遠位髄内ロッド15を、1本、3本またはそれより多数の本数で、遠位骨部分300bの内部に送給することが可能である。
図21に示すように、下側プレート36は、図5−図6Cまたは図10を参照して前述された複数の特徴部を有しており、この下側プレート36は、それの内面56が上を向く姿勢でアクセス窓310内に送給される。図21には、下側プレート36の送給が、ロッド15,16の送給に後続して行われるように図示されているが、下側プレート36の送給は、ロッド15,16の送給に先行して行うか、または複数本のロッド15,16のそれぞれの送給の間に行うことが可能である。
図22に示すように、下側プレート36と、複数本のロッド15,16のコネクタ側端部25と、近位および遠位骨部分330a,330bとが、目標通りに相対的に位置決めされ、それにより、それら近位および遠位骨部分330a,330bの配列が、骨300を、骨折前における骨300の並び方および構造に復元するためのものとなる。図23に示すように、上側プレート35は、その後、それの内面55が下を向く姿勢で、下側プレート36の上方に、複数本のコネクタ側端部25に接合される状態で配置される。その工程中、コネクタ側端部25の種々の特徴部(例えば、図9A−図9Cにおける歯75およびスロッド85、または、図12におけるノッチ110、ノッチ111および固定ねじ115)が、ハブ20の上側および下側プレート35,36の、それぞれ対応する特徴部(例えば、図5−図8における同心リング60およびリッジ70、または、図10および図11における穴90、穴105)に、前述のように、接合される。
図24に示すように、その後、固定ねじ40が、ハブ20の中央穴58内に挿入され、それにより、複数本のロッド15,16のコネクタ側端部25を挟むようにハブ20のプレート35,36が結合される。固定ねじ40をねじ回し350を用いて締めると、図1−図3を参照して前述された剛性を有する骨インプラント組立体10(図5−図9Cを参照して前述されたいくつかの実施形態によるプレート35,36およびコネクタ側端部25の場合)またはそれに似た構造体(図10−図12を参照して前述されたいくつかの実施形態によるプレート35,36およびコネクタ側端部25の場合)が完成する。この剛性を有する骨インプラント組立体10は、近位骨部分300aを遠位骨部分300bに、骨300が治療されて骨折前の骨300の並び方および構造になると信じられている目標関係を有するように、固定される。シリンジ355から延び出るいくつかの矢印で示すように、骨ペースト、骨置換体または骨成長誘発剤が、骨折部290に、および、ハブ20の周辺に送給され、それにより、骨折部290の治癒と、骨インプラント組立体10を埋込み位置に固定することとが促進される。
以上説明した複数の工程は、骨インプラント組立体10の複数個の部品を骨内に送給する工程と、骨折部290内および骨300内において骨インプラント組立体10を組み立てる工程とを含むが、それら工程のすべてを、軟部組織に、骨折部290の近傍位置において、経皮的に形成されるか、または、最小侵襲手術および道具を用いて最小侵襲的に形成される開口部を介して実行することが可能である。
図24には、実施形態として、遠位骨部分300bと近位骨部分300aとが、ハブ20を有する骨インプラント組立体10を用いて、遠位髄内ロッド15および近位髄内ロッド16がそれぞれ遠位骨部分300b内および近位骨部分300a内に係留された状態で、結合されて保持されるが、別のいくつかの実施形態においては、骨インプラント組立体10が、近位髄内ロッド16または遠位髄内ロッド15のみを用い、ハブ20が、その代わりに、骨材料に係合するように構成される。例えば、骨インプラント組立体10を骨折部290内に埋め込まれた状態で示す平面図である図78に示すように、ハブ20は、骨折部290の一側にある(例えば、図78に示す実施形態による遠位骨部分300b上にある)骨材料に係留されるかまたは係合し、また、ロッド16は、骨折部290の反対側にある近位骨部分300a内に延びている。ハブ20は、係留部材1100、例えば、骨スクリュであって、ハブ20から遠位骨部分300bの骨材料のうちの隣接部分にまで延びるものを有しており、それにより、ハブ20を遠位骨部分300bに固定する。ロッド16は、前述のようにして、ハブ20から近位方向に延びて、近位骨部分300aの骨材料内に係留させられる。骨インプラント組立体10は、その後、骨折部290を治療するために用いられる。図78を参照して説明した実施形態は、ハブ20が遠位骨部分300bに係合するとともに、ロッド16が近位骨部分300aに係合することについて説明されているが、別のいくつかの実施形態および別の種類の骨折部290においては、その逆の組合せが妥当である。それぞれの実施形態の種類および骨折部290の種類に応じ、骨セメントを、骨スクリュ1100に代えて、またはそれと共に用いることが可能である。
図24には、実施形態として、1個のハブ20を有するとともに1個の骨折部290を治療する骨インプラント組立体10が図示されているが、別のいくつかの実施形態においては、骨インプラント組立体10が、2個以上のハブ20であって、少なくとも1本の中間ロッド17によって結合されるものを有する。例えば、マルチハブ式の実施形態である骨インプラント組立体10を示す平面図である図80に示すように、この骨インプラント組立体10は、第1および第2ハブ20,20を、概して互いに反対側に位置する両端部上に有し、それら第1および第2ハブ20,20は、少なくとも1本の中間ロッド17により、前述のものと同様なロッド/ハブ連結構造部を用いることにより、結合されている。近位ロッド16は、一方のハブ20から延びて、第1骨折部における骨材料に係合し、一方、遠位ロッド15は、他方のハブ20から延びて、第2骨折部における骨材料に係合する。したがって、例えば、大腿骨の如き長骨の二重骨折の場合であって、第1骨折部が大腿骨頭に位置する一方、第2骨折部が大腿骨内・外側顆に位置する場合、第1ハブ20は、第1骨折部に位置し、近位ロッド16は、その第1骨折部を横切るように延びて、大腿骨頭の領域に到達する。第2ハブ20は、第2骨折部に位置し、遠位ロッド15は、その第2骨折部を横切るように延びて、大腿骨内・外側顆に到達する。第1および第2ハブ20,20は、中間ロッド17によって結合され、その中間ロッド17は、大腿骨を長さ方向に通過するように延びている。中間ロッド17は、前述の複数のロッド/ハブ連結構造部のうちのいずれかにより、第1および第2ハブ20,20に連結され、また、この中間ロッド17は、固定長を有するか、または、残りのロッド15,16に関して前述された可変長を有する。いくつかの実施形態においては、第1および第2ハブ20,20の一方または両方が、図78を参照して前述したように、骨材料に直に係合するように構成される。
別の実施形態による、髄内において使用される骨インプラント組立体10を説明するために、図25が参照され、図25は、固定用の近位プレート36を示す平面図である。図25に示すように、近位プレート36は、複数個の穴400を有し、それら穴400は、近位髄内ロッド16のコネクタ側端部25を収容するとともにそのコネクタ側端部25に連結される。近位プレート36は、さらに、中央穴405と、その中央穴405に到達するスロット410とを有する。複数個の穴400は、中央穴405の周りに、かつ、近位プレート36の外周縁415の近傍位置において、等間隔で周方向に分布している。スロット410は、中央穴405と外周縁415とから延びている。スロット410および中央穴405は、近位プレート36を、後述のように、遠位プレート35に連結するために用いられる。
固定用の遠位プレート35を示す平面図である図26に示すように、遠位プレート35は、複数個の穴400を有し、それら穴400は、遠位髄内ロッド15のコネクタ側端部25を収容するとともにそのコネクタ側端部25に連結される。遠位プレート35は、さらに、中央ロックピン420を有する。複数個の穴400は、中央ロックピン420の周りに、かつ、遠位プレート35の外周縁415の近傍位置において、等間隔で周方向に分布している。中央ロックピン420は、スロット410を介して、中央穴405内までスライドさせられる。中央ロックピン420および中央穴405は、近位プレート36を、後述のように、遠位プレート35に連結するために、互いに固定される。
図27および図28は、骨インプラント組立体10の部品として用いられる髄内ロッド15,16を示す側面図であり、図27および図28から明らかなように、髄内ロッド15,16は、コネクタ側端部25と、自由端部30とを有する。コネクタ側端部25は、いずれかのプレート35,36内のいずれかの穴400内に固定的に連結されるように構成されている。それらコネクタ側端部25および穴400は、コネクタ側端部25を穴400に固定的に連結するための機械的係合構造部を有しており、その機械的係合構造部は、例えば、差込み式ロック(bayonet lock)、ねじ、締まり嵌め(圧入)、固定ねじ、ボールジョイント(例えば、図56および図57に示されているもの)、ボールとカップとの接続(例えば、図58A−図58Eに示されているもの)などである。ロッド15,16の骨接合用先端部120は、図4A−図4Cを参照して前述された複数の特徴部のうちの少なくとも一つを有することが可能である。図28から明らかなように、骨接合用先端部120は、図13A−図16Cを参照して前述された構成を有して展開を行うアンカ135を備えることが可能である。
骨インプラント組立体10を組立状態で示す側面図である図29および図30から明らかなように、遠位および近位ロッド15,16はそれぞれ、遠位および近位プレート35,36に、コネクタ側端部25が穴400内に機械的に連結されることにより、連結される。プレート35,36のそれぞれの面は互いに当接し、中央ロックピン420は、スロット410内に収容されるとともに、図29において矢印Fで示すように、中央穴405の方向にスライドさせられる。図30に示すように、中央ロックピン420が中央穴405内に完全に収容されると、機械式ロック部425(例えば、デテント、締まり嵌めなど)により、中央ロックピン520が、中央穴405内にロックされる。その結果、プレート35,36およびロッド15,16から、骨インプラント組立体10が、がっしりと、かつ、動かないように(剛体的にかつ固定的に)組み立てられる。
図25−図30を参照して前述された骨インプラント組立体10を用いて骨折部を修復するための方法を説明するために、図31−図41が参照され、図31−図41はいずれも、骨折部を有する骨を示す同様な図であって、骨インプラント組立体10が骨折部内において、経皮的または最小侵襲的に送給および組立てを行う方法により、組み立てられつつある状態で、骨を示している。図31に示すように、骨300(この例においては、橈骨遠位端)が、コーレス骨折部290を有しており、その結果、近位骨部分300aおよび遠位骨部分300bが発生している。もちろん、この骨インプラント組立体10および後述の方法は、広範囲にわたる骨および骨折部に適用可能であり、下記の説明のものに限定すべきではない。
図32に示すように、遠位骨部分300bが、近位骨部分300aの骨折面を露出するために、変位させられる。図33に示すように、近位プレート36が、柱状骨(trabecular bone)内に圧入され、その圧入は、近位プレート36が骨300の軸線に対して概して交差するように延び、また、近位プレート36の面が、近位骨部分300aの骨折面を向くように行われる。一実施形態においては、近位プレート36が骨折部290に対して平行となるように位置決めされる。近位プレート36は、近位ロッド16についてのテンプレートとして作用する。近位プレート36の、近位骨部分300aの骨折面に対する相対的な角度を決めるために、術前計画を必要とする。
図34に示すように、近位髄内ロッド16のコネクタ側端部25が、図29に示すように、近位プレート36の穴400に連結される。近位ロッド16は、穴400を貫通させられるとともに、柱状骨内に押し込まれ、その近位ロッド16は、自由端部30が皮質骨に接合されるまで、近位プレート36からテレスコピック的に押し出される。前述のように、自由端部30が完全に皮質骨に接合されたタイミングを外科医に伝えるとともに、必要以上に骨300内に貫入しないように、自由端部30の形状を構成することが可能である。図35に示すとともに、図28を参照して前述したように、アンカ135が、その後、展開させられ、それにより、近位ロッド16が抜去されてしまうことが防止される。アンカ135は、弾性を有するとともに、前述のように構成することが可能である。
図36に示すように、固定用の遠位プレート35が、柱状骨(trabecular bone)内に圧入され、その圧入は、遠位プレート35が骨300の軸線に対して概して交差するように延び、また、遠位プレート35の面が、遠位骨部分300bの骨折面を向くように行われる。遠位プレート35は、遠位ロッド15についてのテンプレートとして作用する。遠位プレート35の、遠位骨部分300bの骨折面に対する相対的な角度を決めるために、術前計画を必要とする。
図37に示すように、遠位髄内ロッド15のコネクタ側端部25は、図29に示すように、遠位プレート35の穴400に連結される。遠位ロッド15は、穴400を貫通させられるとともに、柱状骨内に押し込まれ、その遠位ロッド15は、自由端部30が皮質骨に接合されるまで、遠位プレート35からテレスコピック的に押し出される。前述のように、自由端部30が完全に皮質骨に接合されたタイミングを外科医に伝えるとともに、必要以上に骨300内に貫入しないように、自由端部30の形状を構成することが可能である。図38に示すとともに、図28を参照して前述したように、アンカ135が、その後、展開させられ、それにより、遠位ロッド15が抜去されてしまうことが防止される。アンカ135は、弾性を有するとともに、前述のように構成することが可能である。
図39に示すように、プレート35,36は、面同士が接触するように配置され、それにより、中央ロックピン420が、図29に示すように、スロット410に進入する。図40に示すように、中央ロックピン420が、図30に示すように、中央穴405内に収容されると、プレート35,36が互いに固定される。以上で、この骨インプラント組立体10が完全に完成して、剛性を有する完成品に至り、その完成品は、遠位および近位骨部分300b,300aの相対位置を、遠位および近位ロッド15,16により、目標位置に維持し、それら遠位および近位ロッド15,16は、遠位および近位プレート35,36によって結合される。図41に示すように、最後に、骨置換体450を、プレート35,36と骨折面との間に追加して、空洞を充填して安定性を向上させることが可能である。骨置換体450の材料は、骨300が治癒するにつれて再造形される。
以上説明した複数の工程は、骨インプラント組立体10の複数個の部品を骨内に送給する工程と、骨折部290内および骨300内において骨インプラント組立体10を組み立てる工程とを含むが、それら工程のすべてを、軟部組織に、骨折部290の近傍位置において、経皮的に形成されるか、または、最小侵襲手術および道具を用いて最小侵襲的に形成される開口部を介して実行することが可能である。
図30および図40には、実施形態として、遠位骨部分300bと近位骨部分300aとが、ハブ20を有する骨インプラント組立体10を用いて、遠位髄内ロッド15および近位髄内ロッド16がそれぞれ遠位骨部分300b内および近位骨部分300a内に係留された状態で、結合されて保持されるが、別のいくつかの実施形態においては、骨インプラント組立体10が、近位髄内ロッド16または遠位髄内ロッド15のみを用い、ハブ20が、その代わりに、骨材料に係合するように構成される。例えば、骨インプラント組立体10を骨折部290内に埋め込まれた状態で示す平面図である図79に示すように、ハブ20は、骨折部290の一側にある(例えば、図79に示す実施形態による遠位骨部分300b上にある)骨材料に係留されるかまたは係合し、また、ロッド16は、骨折部290の反対側にある近位骨部分300a内に延びている。ハブ20は、遠位骨部分300b内のポケット内に嵌り入るように構成され、その嵌り入りは、ハブ20を、骨300と概して交差する姿勢に配置するか、および/または骨折部290に対して概して平行である姿勢に配置することによって行われる。これに代えてまたはこれに加えて、ハブ20を、係留部材1100、例えば、骨スクリュであって、ハブ20から遠位骨部分300bの骨材料のうちの隣接部分にまで延びるものを有しており、それにより、ハブ20を遠位骨部分300bに固定することが可能である。ロッド16は、前述のようにして、ハブ20から近位方向に延びて、近位骨部分300aの骨材料内に係留させられる。骨インプラント組立体10は、その後、骨折部290を治療するために用いられる。図79を参照して説明した実施形態は、ハブ20が遠位骨部分300bに係合するとともに、ロッド16が近位骨部分300aに係合することについて説明されているが、別のいくつかの実施形態および別の種類の骨折部290においては、その逆の組合せが妥当である。それぞれの実施形態の種類および骨折部290の種類に応じ、骨セメントを、骨スクリュ1100に代えて、またはそれと共に用いることが可能である。
ハブ20およびロッド15を構成する材料と、ハブ20およびロッド15について用いられる実施形態と、ロッド15が把持されるかまたは別の方法でハブ20に装着される程度とに応じ、組み立てられた骨インプラント組立体10およびそれの複数の部分は、当該骨インプラント組立体10、ハブ20、ロッド15、ハブ20もしくはロッド15を構成するいくつかの要素、または当該骨インプラント組立体10を構成する複数の部品間の接続部に関して、概して剛体であるか固定的であるか、準剛体であるか固定的であるか、または、概して柔軟性を有するようにすることが可能である。
いくつかの実施形態においては、この骨インプラント組立体10が、骨内において(部分的にまたは完全に)組み立てられるとともに、骨(例えば、骨表面より下方に(sub bone surface))内に埋め込まれる。この種の実施形態においては、この骨インプラント組立体10が、骨の内側部から骨の外側部までの領域内で目的を達成するものであると言うことができる。骨の種類および骨インプラント組立体10を骨内に埋め込む方法に応じ、この種の実施形態においては、骨インプラント組立体10が、それが埋め込まれる骨の軸線に沿って作用するかおよび/または延びるものであると言うことができる。
別のいくつかの実施形態においては、骨インプラント組立体10を、一部は骨の内部に、残りの部分は骨の外部に(例えば、一部は骨表面より下方に、残りの部分は骨の外面上に)位置するように埋め込むことが可能である。さらに別のいくつかの実施形態においては、骨インプラント組立体10を、概して完全に骨の外部に(例えば、骨の外面上に)位置するように埋め込むことが可能である。
いくつかの実施形態においては、図77から明らかなように、骨インプラント組立体10が、キット1000という形態で提供される。例えば、骨インプラント組立体10を構成する複数の部品(例えば、ロッド15,16と、プレート35,36と、それらプレート35,36を結合するための固定ねじ40)が、殺菌されたパッケージ1005内に、埋込み方法を説明した解説書1010と一緒に提供される。これに代えて、解説書1010は、例えばインターネットによる方法など、他の方法によって提供してもよい。骨インプラント組立体10の前述の複数の構成部品は、キット1000内に、完全に組み立てられた状態(すなわち、骨インプラント組立体10が完全に組み立てられた状態)か、部分的に組み立てられた状態か、または、部分的に分解された状態で、提供される。キット1000は、異なる固定長を有する複数本のロッド15,16、または、複数の候補長さの範囲内で調整可能であるロッド15,16を有し、それにより、外科医が、この骨インプラント組立体10を用いて骨折部を整復するのに必要な長さのロッド15,16を選択することが可能となるようにしてもよい。
骨折部を示す側面図である図83Aに示すように、骨インプラント組立体10は、スナッププレート(首振りプレート)1040を用いることが可能である。少なくとも1本のロッド15が、そのスナッププレート1040から遠位方向に延びるとともに、そのスナッププレート1040に回動可能に連結されている。少なくとも1本のロッド16が、そのスナッププレート1040から近位方向に延びるとともに、そのスナッププレート1040に固定的に連結されている。骨インプラント組立体10は、骨折部290内にばらばらに(分解状態で)送給してそこで組み立てるか、または、実質的に組み立てられた状態で骨折部290内に送給することが可能である。例えば、図83Aに示すように、近位骨部分300aおよび遠位骨部分300bを、互いに異なる平面上に配置し、骨インプラント組立体10の複数の部品をそれら骨部分300a,300b内に配置することが可能である。例えば、遠位(近位)ロッド15を遠位(近位)骨部分300b内に配置し、近位(遠位)ロッド16を近位(遠位)骨部分300a内に、スナッププレート1040がその近位ロッド16に既に連結されているか、または次工程において追加される状態で、配置することが可能である。図83Aに示すように、近位ロッド16および遠位ロッド15がそれぞれ、近位骨部分300aおよび遠位骨部分300bに連結されるように骨インプラント組立体10が全体的に骨折部290内に配置されると、図83Bに示すように、遠位(近位)ロッド15のコネクタ側端部25がスナッププレート1040内に収容されて骨インプラント組立体10が組み立てられる。図83Aおよび図83Bから明らかなように、スナッププレート1040は、そのスナッププレート1040に連結されたロッド15,16が軸線に沿って複数の位置に相対移動し、それにより、ある位置では、ロッド15,16が互いに折れ曲がり得る状態となり、別の位置では、ロッド15,16がスナッププレート1040内に収容され得る状態となり、それにより、ロッド15,16が最終位置において互いに固定されて骨固定が実現されるように構成することが可能である。
以上、望ましいいくつかの実施形態を参照しながら本発明を説明したが、当業者であれば、本発明の主旨からも範囲からも逸脱することなく、形式(form)および詳細(detail)に関する変更を行うことが可能であることを認識するであろう。