JP2012508247A - 蛋白尿腎疾患の病因における可溶性uPARの役割 - Google Patents

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Abstract

足細胞のウロキナーゼ受容体(uPAR)を特異的に阻害する組成物、可溶性ウロキナーゼ受容体(suPAR)を変調するか又は阻害する組成物、uPARが関連づけられる経路を変調し、腎疾患又は腎障害から保護する組成物。in vivoでの治療法は1種類又は2種類以上の組成物の使用を含む。
【選択図】なし

Description

本発明の実施態様は、腎臓でのウロキナーゼ受容体(uPAR)の発現、機能、活性を変調する組成物を含む。
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が引用により本明細書に取り込まれる、2008年11月6日出願
の米国仮特許出願第61/111,873号を基礎とする優先権を主張する。
腎移植後の糸球体腎臓疾患が手術後数時間以内に再発する場合があるという事実は、膨大な課題を抱える医学の未解明の謎の1つである。過去数十年は足細胞生物学において多くの進歩が見られたが、ほとんどの蛋白尿腎疾患の根本的な正確な病因は未だに全く明らかになっていない。このことは巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)にも当てはまる。ポドシンか、ネフリンか、アルファ−アクチニンか、TRPC6かを含む特定の分子の突然変異がいくつかの家族性FSGSの原因であると主張されてきたが、後天性FSGSの病因に関してはほとんど知られていない。FSGSは末期腎不全を頻繁に引き起こし、移植された腎臓の30−60%で顕著な再発を引き起こす。
この概要は、本発明の性質及び実体を簡潔に表すための本発明の概要を示すために提供される。概要は、特許請求の範囲又は意味を解釈するか、あるいは限定するために用いられないであろうとの理解のもとに提示される。
本発明の実施態様は、例えば蛋白尿症のような腎疾患又は腎障害を治療するための組成物を対象とする。
本発明の他の局面は以下に説明される。
suPARがαβインテグリンを活性化し、マウスの足突起の消失と蛋白尿症とを誘発することを示す図。図1Aは、suPARタンパク質が培養足細胞のαβインテグリンを活性化することを示す画像。完全に分化したマウスの足細胞は1−5μg/mlのsuPARタンパク質で、37℃で24時間インキュベーションされ、AP5抗体で染色された。図1Bは、suPARのPlaur−/−マウスへの注射が蛋白尿症を誘発することを示すグラフ。suPARタンパク質がPlaur−/−マウス(n=6)に尾静脈から1mg/kg注射され、対照マウス(n=6)は同量のBSAを注射された。注射前、注射8時間後及び注射24時間後の尿がブラッドフォードアッセイ(Bradford assay)のために採取された。suPAR注射後24時間対suPAR注射後0時間と、suPAR注射後24時間対全てのBSA群とで、pは0.03未満であった。図1Cは、suPAR注射後に、suPARが足細胞内に蓄積されたことを示す画像。Synpoは、シナプトポジン。図1Dは、suPAR注射が足細胞のαβインテグリンを活性化したことを示す画像。図1E、図1Fは、腎臓相互移植後の画像。図1Eは、Plaur−/−マウスから右腎臓が57BL/6マウスに移植され、そしてLPS(右画像)又はPBS(左画像)で処理された結果を示す画像。図1Fは、57BL/6マウスから右腎臓がPlaur−/−マウスに移植され、そしてLPS又はPBSで処理された結果を示す画像。
FSGS再発患者の血清が高レベルのsuPARを有し、足細胞内のαβインテグリンを活性化することを示す図。図2Aは、FSGS再発患者は非再発患者及び正常被験者よりも高レベルの血清suPARを有することを示すグラフ。図2Bは、再発FSGS血清は培養足細胞内のαβインテグリンを活性化したことを示す画像。
腎臓の相互移植及び足細胞のsuPARを示す図。図3Aは、相互移植の概略図。図3Bは、suPARが移植されたPlaur−/−マウスの足細胞に蓄積されたことを示す画像。移植及びLPS処理後、腎臓切片に免疫染色が行われた。Synpoは、シナプトポジン。図3Cは、LPS処理されたPlaur−/−マウスにおいて、移植された57BL/6腎臓で発現の増加が見られたが、天然のPlaur−/−腎臓の足細胞ではuPARが全く見られなかったことを示す画像。
WT B6マウス内への電気穿孔法(EP)によるsuPARの皮下遺伝子送達が蛋白尿症を誘発することを示すグラフ(矢印はEPが行われた時を示す)。
WT Balb/cマウスにおいて、電気穿孔法(EP)によるsuPARの皮下遺伝子送達が蛋白尿症を誘発することを示すグラフ(矢印はEPが行われた時を示す)。図4及び図5はどちらも、蛋白尿症及び糸球体腎臓疾患の発症時の可溶性ウロキナーゼ受容体の役割を示す。図4及び図5は、マウスの皮下組織における、GFPでタグ化された可溶性uPARの発現を示す。そこから、可溶性uPARは血流中で生成及び分泌され、蛋白尿症を引き起こす。
uPARノックアウトマウス内への電気穿孔法(EP)によるsuPARの皮下遺伝子送達が蛋白尿症を誘発することを示すグラフ(矢印はEPが行われた時を示す)。uPARノックアウトマウス皮下(SC)へのsuPAR−GFP遺伝子送達(EP)24時間後、マウスは免疫蛍光顕微鏡で観察された。結果は、GFPでタグ化されたsuPARがuPARノックアウトマウスの皮下領域で発現したことを示した。
図7は、野生型及びuPARノックアウトマウスにおける遺伝子電気穿孔法後の可溶性uPARの血清発現を示すイムノブロット写真。図7Aは、電気穿孔法による皮膚へのsuPARの遺伝子送達が、野生型マウス内で循環するsuPARレベルを増大させることを示すイムノブロット写真。皮膚へのsuPAR遺伝子ベクターの電気穿孔の24時間後に、前記レベルが測定された。 図7Bは、電気穿孔法による皮膚へのsuPARの遺伝子送達がuPARノックアウトマウス内で循環するsuPARを生成することを示すイムノブロット写真。皮膚へのsuPAR遺伝子ベクターの電気穿孔の24時間後に、前記レベルが測定された。
詳細な説明
本発明の実施態様は、ウロキナーゼ受容体(uPAR)、特に、可溶性ウロキナーゼ受容体(suPAR)を変調及び/又は抑制する薬剤を含む発見に関する。したがって、本発明の方法は、例えば、蛋白尿症によって特徴づけられる腎臓疾患又は障害を治療するために用いられる場合がある。
本発明の多くの局面が、例示のための応用例に関連して以下に説明される。多数の具体的な詳細、相互関係及び方法が、本発明の完全な理解を提供するために列挙されると理解されるべきである。しかし、当業者は、本発明が1つ又は2つ以上の具体的な詳細なしにか、あるいは別の方法とともに実施される場合があると容易に認識するであろう。本発明は、いくつかの作業が、異なる順番で、及び/又は、別の作業又は事象と同時に起こる場合があるように、作業又は事象の図示された順番によって限定されない。さらに、図示された作業又は事象の全てが、本発明による方法を実行するために必要とされるわけではない。
本明細書で説明された全ての遺伝子と、遺伝子名と、及び遺伝子産物は、本明細書で説明された組成物及び方法が適用可能であるためのいずれかの種からのホモログに対応するように意図されている。したがって、用語はヒト及びマウスからの遺伝子及び遺伝子産物を含むが、これらに限られない。特定の種からの遺伝子又は遺伝子産物が説明されている際に、当該説明は模範的なもののみが意図され、状況が明示される場合を除いて限定的なものとして解釈されないと理解される。したがって、例えば、本明細書で説明された遺伝子に関しては、いくつかの実施態様において、哺乳類の核酸配列及びアミノ酸配列に関するものは、その他の哺乳類と、魚類と、両生類と、爬虫類と、鳥類とを含むが、限定されないその他の動物からのホモログ及び/又はオーソログ遺伝子及び遺伝子産物を含むことが意図される。好ましい実施態様では、遺伝子又は核酸配列がヒトである。
定義
本明細書で用いられる用語は、特定の実施態様をただ説明するだけの目的であり、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で用いられるところの単数形の「1つ(a)」、「1つ(an)」及び「前記又は該(the)」は、状況が別に明示される場合を除いて、複数形も含むことが意図される。さらに、詳細な説明及び/又は特許請求の範囲のいずれかで用いられる「含む(including)」、「含む(includes)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「有する(with)」又はそれらの変形(variants)の用語である限り、かかる用語は前記用語の「含む」と類似するやり方で含むことが意図される。
「約(about)」又は「おおよそ(approximately)」という用語は、当業者によって決定されるときの特定の値についての許容可能な誤差範囲を意味し、該誤差範囲は、どのように前記値が測定されるか、決定されるか、すなわち、測定システムの限界に部分的に依存するであろう。例えば、「約」は、本技術分野における実務の上で、標準偏差の1倍以上の範囲内を意味する場合がある。代替的に、「約」は、特定の値の20%までの範囲を意味する場合があり、10%までが好ましく、5%までがより好ましく、1%までがさらにより好ましい。代替的に、特に生物学的システム又は過程に関して、前記用語は、10倍以内(order of magnitude)を意味する場合があり、値の5倍以内が好ましく、2倍以内がより好ましい。特定の値が、明細書及び特許請求の範囲に記載されるとき、別に記載される場合を除いて、前記特定の値についての許容可能な誤差範囲を意味する「約」という前記用語は推定されるべきである。
本明細書で用いられるところの「安全かつ有効な量」又は「治療量」という用語は、本発明のやり方で用いられた際に、妥当な利益/リスク割合に相応の(毒性、刺激作用又はアレルギー応答のような)不適切で有害な副作用なしに所望の治療応答を生じさせるのに十分な成分量を指す。「治療上の有効量」とは、所望の治療応答を生じさせるのに有効な本発明の化合物量を意味する。特定の安全かつ有効な量か、治療上の有効量かは、治療されている特定の条件と、患者の身体の状態と、治療されている哺乳類又は動物のタイプと、治療の持続期間と、(存在する場合には)同時療法の性質と、供された特定の製剤かつ化合物又はその誘導体の構造とのようなかかる因子で変わるであろう。
本明細書で用いられるところの「蛋白尿」とは、例えば、足細胞傷害のある足細胞を介して通過する多量のタンパク質か、通常ではタンパク質の通過が全く不可能であった足細胞を介する障壁(podocyte mediated barrier)を介して通過する多量のタンパク質かを指す。in vivoシステムでは、「蛋白尿」という用語は尿中に血清タンパク質が過剰量存在することを指す。蛋白尿は、腎臓(腎臓)、尿、膵臓障害、ネフローゼ症候群(すなわち、1日あたり3.5グラムよりも多い蛋白尿)、子癇、腎臓の毒性病変のいずれかのうちの特徴的な徴候であり、糖尿病の徴候が頻繁である。重度の蛋白尿とともに、一般的な低蛋白血症が発生する場合があり、膠質浸透圧の低下(腹水症、水腫、水胸症)を引き起こす。
「特異的な結合」か、「特異的である」か、「特異的な免疫反応」かという文言は、抗体を指す時、タンパク質その他の生体分子の不均一な集団の存在下で当該タンパク質の存在を決定する結合反応を指す。したがって、指定されたイムノアッセイ条件下において、特異的な抗体は特定のタンパク質に結合するが、試料中に存在する他のタンパク質には十分な量で結合しない。かかる条件下でのタンパク質への特異的な結合は、特定のタンパク質に対する特異性のために選択される抗体を必要とする場合がある。
本明細書で用いられるところの「アプタマー」又は「選択された核酸結合種」という用語は、改変されていないか、あるいは化学的に改変されたRNA又はDNAを含む場合がある。選択方法はアフィニティークロマトグラフィーの場合があるがこれに限られず、増幅方法は、逆転写(RT)又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の場合がある。
本明細書で用いられるところの、in vivoでの遺伝子量において、「変調」は発現における増大(刺激)か、低下(抑制)かのいずれかを意味する。この用語は、正常対照と比較した、in vivoでのいずれかの量、機能及びそれらに類するものとを含む。用語は例えば、増加されるか、増大されるか、増加されるか、刺激されるか、促進されるか、低下されるか、減少されるか、抑制されるか、阻害されるか、拮抗されるかことを意味する。変調は、基線値を超えて、1倍、2倍、3倍、5倍、10倍、100倍などよりも高く活性又は量を増加する場合がある。変調は、基線値未満にその活性を低下させる場合もある。
「バリアント」という用語とは、ポリヌクレオチド配列に関して用いられる際には、野生型遺伝子に関するポリヌクレオチド配列を含む場合がある。この定義は、例えば、「アレル」、「スプライシング」、「種」又は「多型」のバリアントも含む場合がある。スプライシングバリアントは参照分子と顕著な同一性を有する場合があるが、mRNAのプロセッシング中にエキソンのスプライシングが交互に起こるために、より大きいか、あるいはより小さいポリヌクレオチドであることが一般的である。対応するポリペプチドは、追加の機能的ドメインを有するか、あるいはドメインを有しない場合がある。種バリアントは、1種類の種からもう1種類の種に変化するポリヌクレオチド配列である。本発明で特に有用なものは、野生型遺伝子産物のバリアントである。バリアントは核酸配列の少なくとも1個の突然変異から生じる場合があり、構造又は機能が変化されるか、あるいは変化されない場合がある、改変型mRNA又はポリペプチドを生じる場合がある。特定の天然遺伝子又は組換え遺伝子のいずれかは、アレル型を、全く有しないか、1個有するか、あるいは多数有する場合がある。バリアントを生じる通常の突然変異の変化は、ヌクレオチドの天然の欠失、付加又は置換が原因であることが一般的である。これらの変化タイプのそれぞれは、特定の配列において1回又は2回以上、単独か、別の変化タイプとの組み合わせかで生じる場合がある。
産生されるポリペプチドは、互いに顕著なアミノ酸の同一性を有することが一般的であろう。多型バリアントは、個別の特定の種間における特定の遺伝子のポリヌクレオチド配列の変化である。多型バリアントは「一塩基多型」(SNPs)、すなわち、前記ポリヌクレオチド配列が1つの塩基によって変化する一塩基突然変異を含む場合もある。SNPsの存在が、例えば、ある疾患になりやすい傾向、すなわち、抵抗性に対して感受性を有する特定の集団を示す場合がある。
「ポリヌクレオチド誘導体」は、化学修飾、例えば、アルキル基、アシル基又はアミノ基による水素の置換を受けた核酸を含む。誘導体、例えば、オリゴヌクレオチド誘導体は、改変型糖原子団か、糖間(inter−sugar)結合かのような非天然の一部分を含む場合がある。これらのうちで模範的なものは、ホスホロチオエート(phosphorothioate)と、当業者に知られるその他の硫黄を含む化学種とである。核酸誘導体は、放射性ヌクレオチド、酵素、蛍光剤、化学発光剤、発色剤、基質、補因子、阻害剤、磁性粒子等を含む、標識を含む場合もある。
ポリペプチド又はペプチドの「誘導体」は、例えば、グリコシル化、ペグ化、リン酸化、硫酸化、還元/アルキル化、アシル化、化学共役又は軽いホルマリン処理によって改変されたものである。誘導体は、放射性同位元素、蛍光及び酵素の標識を含むがこれらに限定されない、直接的又は間接的のいずれかの検出可能な標識を含むために改変される場合もある。
本明細書で用いられるところの「断片又はセグメント」という用語は、核酸配列、遺伝子又はポリペプチドに適用される際には、長さが、少なくとも約5個の連続的な(核酸配列又は遺伝子の)核酸塩基か、(ポリペプチドの)アミノ酸かとなることが通常であり、少なくとも約10個の連続的な核酸塩基又はアミノ酸となることが典型的であり、少なくとも約20個の連続的な核酸塩基又はアミノ酸となることがより典型的であり、少なくとも約30個の連続的な核酸塩基又はアミノ酸となることが通常であり、少なくとも約40個の連続的な核酸塩基又はアミノ酸となることが好ましく、少なくとも約50個の連続的な核酸塩基又はアミノ酸となることがより好ましく、少なくとも約60個ないし80個か、あるいはそれ以上の連続的な核酸塩基又はアミノ酸となることがさらにより好ましい。本明細書で用いられるところの「重なっている断片」は、核酸又はタンパク質のアミノ末端で開始し、核酸又はタンパク質のカルボキシ末端で終了する、連続的な核酸又はペプチドの断片を指す。核酸又はペプチドの断片それぞれは、次の核酸又はペプチドの断片と共通する少なくとも1個の連続的な核酸又はアミノ酸を有し、少なくとも約3個の連続する核酸塩基又はアミノ酸の部位が共通であることがより好ましく、少なくとも約10個の連続的な核酸塩基又はアミノ酸の部位が共通であることが最も好ましい。
「生体分子」又は「マーカー」という用語は、本明細書で互換的に用いられ、DNA、(mRNA、rRNA、tRNA及びtmRNAを含む)RNA、ヌクレオチド、ヌクレオシド、類似体、ポリヌクレオチド、ペプチド及びこれらのいずれかの組み合わせを指す。
第1の試料での遺伝子又はバイオマーカーの「発現レベル/量」が、第2の試料又は正常な試料での遺伝子又はバイオマーカーの「発現レベル/量」の少なくとも約1倍、1.2倍、1.5倍、1.75倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍の場合に、前記第1の試料での遺伝子、生体分子又はバイオマーカーの前記発現/量は、前記第2の試料でのレベルよりも「より大きな」前記レベルである。発現レベル/量は、mRNA、cDNA、タンパク質、タンパク質断片及び/又は遺伝子複製物を含むが、これらに限られない、当業者に知られるいずれか適切な基準にもとづいて決定される場合がある。発現レベル/量は、定性的及び/又は定量的に決定される場合がある。
「検出すること(detecting)」か、「検出する(detect)」か、「同定する」か、「定量化する」という用語は、トランスクリプトームのバイオマーカーか、該バイオマーカーを含む生体分子の組み合わせかと、同様のものとの有無を、アッセイ、定量化、画像化その他確立することか、腎疾患、腎障害又は腎臓の状態の予後及び/又は診断を、アッセイ、画像化、確認、確立その他決定することかを含む。
「患者」又は「被験者」は、哺乳類を指し、ヒト及び獣医学の被験者を含む。
本明細書で用いられるところの「これらを必要とする患者」とは、蛋白尿を特徴とする疾患に冒されている任意の患者を指す。本発明の1つの局面では、「これらを必要とする患者」とは、蛋白尿を特徴とする疾患を有するか、あるいは有するリスクがある患者のいずれかを指す。
本明細書で用いられるところの「試験物質」と、「候補治療剤」と又は「薬剤」という用語は本明細書で互換的に用いられ、前記用語は、疾患その他の医学上の症状を予防するか、軽減するか、あるいは治療することが可能な分子、化合物(chemical entity)、組成物、薬物、治療剤、化学療法剤又は生物製剤のいずれかを含むことを意味する。前記用語は、低分子化合物、アンチセンス試薬、siRNA試薬、抗体、酵素、ペプチド、有機分子又は無機分子、天然又は合成化合物及びそれらに類するものを含む。試験物質又は薬剤は、臨床治験中か、試行前の試験中か、あるいはFDAの承認後のいずれかの段階で本発明の方法に従ってアッセイされる場合がある。
本明細書で用いられるところの「診断(diagnostic)」という用語は、病状の存在又は性質を同定することを意味する。診断方法は、感度及び特異度に違いがある。診断アッセイの前記「感度」は、試験結果が陽性の患者の百分率である(「真の陽性」の百分率)。前記アッセイによって検出されない患者は「偽陰性」である。前記アッセイで、病気ではなく、かつ、試験結果が陰性である被験者は「真の陰性」と称される。診断アッセイの前記「特異度」は、1から偽陽性度を減算した差であり、前記「偽陽性」度は、試験結果が陽性であるが、その疾患を有しない被験者の割合として定義される。特別な診断方法が症状の決定的な診断を提供しない場合があるが、前記方法は診断の目的とする陽性指標を提供すれば十分である。
本明細書で用いられるところの「診断する(diagnosing)」という用語は、疾患又は徴候を分類すること、疾患の重症度を決定すること、疾患の進行を監視すること、疾患の予後(outcome)及び/又は回復の見込みを予測することを指す。「検出」という用語は、上記のいずれかを任意に含む場合もある。本発明による疾患の診断は、前記被験者から得られた生物学的試料中で本発明のポリヌクレオチド又はポリペプチドのレベルを測定することによって達成される場合があり、測定されたレベルは、前記疾患の素因か、有無かと関係づけられる場合がある。「前記被験者から得られた生物学的試料」は、以下により詳細に説明されるように、前記被験者から物理的に除去されない試料を任意に含む場合もあると特筆されるべきである。
本明細書で定義されているところの、化合物の治療上の有効量(すなわち、有効投与量)は治療上(例えば、臨床的に)望ましい結果をもたらすために十分な量を意味する。組成物は1日に1回又は2回以上から1週間に1回又は2回以上投与される場合があり、一日おきに1回投与される場合もある。疾病又は障害の重症度と、以前の治療と、被験者の全体的な健康及び/又は年齢と、及び現在におけるその他の疾患とを含むがこれらに限定されない特定の因子が、被験者を効果的に治療するために必要とされる投与量及びタイミングに影響を及ぼす場合があることを当業者は理解するであろう。さらに、本発明の化合物の治療上の有効量を用いた被験者の治療は一つの処置又は一連の処置を含む場合がある。
「試料」という用語は、その最も広範な意味で本明細書で用いられる。「試料」とは、例えば、個々の患者又は細胞培養成分から単離された(血漿と、血清と、全血と、脳脊髄液と、リンパと、涙と、尿と、唾液と、母乳と、膿と、組織滲出液及び分泌物とを含むが、これらに限られない)1種類又は2種類以上の細胞、組織又は体液と、例えば、検査手技から得られた試料とのような生物学的試料を指す。生物学的試料は、細胞から単離された染色体(例えば、分裂中期染色体の展開)、細胞から単離された細胞小器官又は膜、全ての細胞又は組織、溶液中のゲノムDNA又はサザン解析のためのような固体支持体に結合したゲノムDNAのような核酸、溶液中のRNA又はノーザン解析のためのような固体支持体に結合したRNA、溶液中のcDNA又は固体支持体に結合したcDNA、溶液中のオリゴヌクレオチド又は固体支持体に結合したオリゴヌクレオチド、溶液中のポリペプチド又はペプチドか、あるいは固体支持体に結合したポリペプチド又はペプチド、組織、組織付着痕(tissue print)等を含む場合がある。
組織又は体液の周知慣例の採取方法の多くが、前記被験者で興味のあるバリアントのDNA、RNA及び/又はポリペプチドのレベルを測定するために、前記被験者から前記生物学的試料を採取するために利用される場合がある。例は、細針生検と、針生検と、太針生検(core needle biopsy)及び外科生検(例えば、脳生検)と、洗浄とを含むが、これらに限られない。供された手法にかかわらず、生検/試料が得られるとすぐに、前記バリアントの前記レベルが測定される場合があり、したがって、診断が行われる場合がある。
「ウロキナーゼ受容体分子」、「uPAR」という用語は可溶性、膜結合型、バリアント(variants)、断片、全てのファミリーメンバー、アイソフォーム、前駆体、変異体、アレル、断片、種、センス及びアンチセンスのポリヌクレオチド鎖等を含むことを意味する。
「中和」という用語は、例えば抗体のような標的結合剤に関するとき、抗体が標的抗原の活性を除去する能力か、有意に減少させる能力かに関する。したがって、本発明の「中和」抗uPAR抗体は、uPARの活性を除去すること又は有意に減少させることが可能である。中和uPAR抗体は、例えば、uPAがその受容体であるuPARに結合することを阻害することによって作用する場合がある。この結合を阻害することにより、uPAが仲介するプラスミノーゲン活性化は有意に又は完全に除去される。
uPARポリペプチドに関する「活性型」又は「活性」は、天然のuPARポリペプチドの生物学的活性又は免疫学的活性を有するuPARポリペプチドの一部を指す。本明細書中で用いられるところの「生物学的」は、天然のuPARポリペプチドの活性によって生じる生物学的機能を指す。
組成物
蛋白尿症は、濾過の細胞機構に含まれる構造タンパク質の変化によって、主に引き起こされる場合がある。蛋白尿症の病態生理学的原因は、(1)糸球体基底膜、足細胞又はスリット膜のような「糸球体濾過ユニット」を形成する構造の遺伝的に決定された障害か、(2)自己免疫過程により直接的に生じたか、細菌により間接的に誘発されたかのいずれかによる炎症過程か、(3)薬剤により生じた糸球体の損傷か、(4)進行性尿細管間質性傷害の最終結果として、最終的に生じるネフロン全体の機能の喪失かの主要なグループに大別される。
足細胞内のウロキナーゼ受容体(uPAR)シグナリングが糸球体疾患の原因であることが近年明らかになった。以下の実施例では、腎移植のマウスモデル及び患者からの血清において、可溶性ウロキナーゼ受容体(suPAR)が腎臓に蓄積され、蛋白尿腎疾患の原因となる場合がある。内因性足細胞uPARのように、suPARはαβインテグリンを細胞外において依存的方法で活性化する。これらの研究は最初の循環糸球体疾患因子(the first circulating glomerular disease factor)を同定する。移植生存と同様に、このタンパク質の除去又は遮断は天然の器官を維持するための有望な見通しである。
uPARは3個の細胞外ドメインを有するグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカー型タンパク質である。GPIアンカーの開裂はsuPARを生成する。HIVと、リウマチ疾患又は神経疾患と、血液悪性腫瘍と、上皮癌との患者の血清において、suPARが高いことが発見された。本明細書における結果は、特に、uPARの可溶性型も、膜アンカー型と同様に蛋白尿腎疾患の一因となることを示す。
LPS又はPANのような蛋白尿刺激に応答して、足細胞内でuPARが誘発され、活性化され、in vitroでの足細胞の運動性の増加と、in vivoでのFPの消失及び蛋白尿症の増加とが引き起こされる。脂質ラフト結合uPARはβ3インテグリンと複合体を形成し、これにより、β3インテグリンの活性化が引き起こされる。この結果、Cdc42及びRac1シグナリングが促進され、これにより足細胞のFPの消失及び蛋白尿症が引き起こされる。uPAR−β3インテグリンシグナリングに起因する蛋白尿症は、αβインテグリンの選択的阻害剤、42の環状RGDfVによって予防され、軽減される場合がある。ヒト免疫不全ウイルス関連腎症及びRhoGDIアルファノックアウトマウスでは、足細胞におけるRac1シグナリングの活性化も蛋白尿症の一因となる。Rac1誘発蛋白尿症は、Rac1の抑制か、その下流標的のアルドステロンの阻害かによって阻害される場合がある。したがって、足細胞でのCdc42及びRac1の遊走前(Promigratory)シグナリングの活性化はFPの消失及び蛋白尿症の広汎な原因である。
PKA又はCaMKIIによるシナプトポジンのリン酸化は、CatL仲介開裂からシナプトポジンを保護する14−3−3結合を促進し、この結果シナプトポジンを定常状態レベルに安定させる。シナプトポジンはIRSp53を抑制し(Cdc42及びMenaのIRSp53への結合を阻害することによるMena仲介糸状仮足)、シナプトポジンはSmurf−1を仲介したRhoAのユビキチン化を競合阻害することによりストレスファイバーを誘発する。また、シナプトポジンはCatLを介したダイナミンの分解を防ぐ。シナプトポジンは、足細胞アクチン細胞骨格が遊走表現型に再組織化することを阻害することにより腎臓の濾過を安定させる。カルシニューリンによるシナプトポジンの脱リン酸化は14−3−3との相互作用を破壊する。このことはシナプトポジンのCatL切断箇所を接近可能にし、シナプトポジンの分解を促進する。LPS又はさまざまなその他の近接したシグナルが足細胞でのB7−1及びCatLの発現を誘発し、シナプトポジン及びダイナミンの分解が増加することにより、蛋白尿症が引き起こされる。同時に、LPS又はその他の近接したシグナルは、uPAR(β3インテグリンのシグナリング)を介するか、シナプトポジンを仲介したCdc42シグナリングの抑制の消失を介するか、Nef(Srcを仲介したRac1の活性化)を介するかにより、Cdc42及びRac1を活性化する場合もある。従って、足細胞のアクチン細胞骨格が静止状態(stationary)から遊走性表現型へと変わることにより、足突起の消失及び蛋白尿症が引き起こされる。CsA及びE64は、足細胞内のシナプトポジン及びダイナミンを定常状態のタンパク質レベルに安定化することにより蛋白尿症を予防し、Cdcd42:IRSp53:Menaシグナリングを阻害することによりFP(4)−Mitoを予防し、uPAR:β3インテグリンシグナリングを阻害することにより環状RGDfVを保護し、Rac1を阻害することによりNSC23766を保護し、及びアルドステロンシグナリングを阻害することによりエプレレノン(epleronone)を保護する。
LPS又はPANのような蛋白尿刺激に応答して、足細胞内でuPARが活性化され、in vitroでの足細胞の運動性の増加と、in vivoでのFPの消失及び蛋白尿症の増加とにつながり、uPAR欠損マウスはLPS誘発蛋白尿症から保護される。脂質ラフトにおいて、活性化されたuPARはβ3インテグリンと会合しており、これにより、β3インテグリンの活性化が引き起こされる。活性化されたβ3インテグリンは、次に、Cdc42及びRac1の遊走前(promigratory)シグナリングを誘導し、この結果、足細胞FPの消失及び蛋白尿症が引き起こされる。uPAR(β3インテグリンシグナリング開始蛋白尿症)は、αβインテグリンの選択的阻害剤である環状RGDfVにより阻害される場合がある。興味深いことに、ヒト免疫不全ウイルス関連腎症及びRhoGDIアルファノックアウトマウスにおいて、足細胞でのRac1シグナリングの活性も蛋白尿症の一因である。Rac1誘発蛋白尿症は、Rac1の抑制又はその下流の標的のアルドステロンの阻害によって阻害される場合がある。したがって、足細胞でのRhoGTPases Cdc42及びRac1の遊走前(Promigratory)の活性化は、蛋白尿症の広汎な原因である。
したがって、好ましい実施態様では、組成物は膜の発現、活性及び/又は可溶性ウロキナーゼ受容体分子の活性を変調する。好ましくは、薬剤は可溶性ウロキナーゼ受容体分子を変調する。前記薬剤は、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、抗体、低分子及びこれらに類するもの等のウロキナーゼ受容体分子の発現又はウロキナーゼ受容体分子の活性を変調する任意の薬剤である場合がある。
好ましい実施態様では、前記薬剤はウロキナーゼ受容体分子の発現、機能及び/又は活性を正常対照と比較して約5%、好ましくは約10%、好ましくは約50%、好ましくは80%、90%又は100%変調又は抑制する。例えば、可溶性ウロキナーゼ受容体分子の発現又は量の変調は、例えばαβインテグリン活性化の減少と、蛋白尿症等の腎疾患の治療とをもたらす。
他の好ましい実施形態では、薬剤は活性化されたuPAR−β3インテグリンシグナリングと、足細胞FP過剰動態(hypermotility)とを抑制又は阻害する。このことは、uPAR活性の一例であるだろう。
他の好ましい実施形態では、薬剤はuPAR分子の分解及び/又は分解率を正常対照と比較して約5%、好ましくは約50%、好ましくは80%、90%又は100%変調する。
他の好ましい実施形態では、uPARの活性及び/又は発現を変調する薬剤はオリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、抗体、アプタマー、低分子、有機分子、無機分子又はこれらの組み合わせを含む。
他の好ましい実施形態では、組成物はin vivoでのuPARの発現、活性及び/又は機能を変調する、1種類又は2種類以上の薬剤を含む。例えば、ある薬剤はウロキナーゼ受容体分子の活性を直接的に抑制する。他の例では、薬剤はそのリガンドへのuPARの結合を直接的に抑制する。他の好ましい実施形態では、uPARリガンドの模倣剤はuPARに結合する。他の好ましい実施形態では、組成物は例えばウロキナーゼ受容体に結合することによりウロキナーゼ受容体分子を直接的に標的にする薬剤を含み、該薬剤は例えば抗体か、ウロキナーゼ受容体分子発現を抑制するアンチセンスオリゴヌクレオチドか、ウロキナーゼ受容体分子合成経路におけるもう一つの分子を標的にする第2の薬剤か、例えばGTPase等のウロキナーゼ受容体分子に関連する経路における分子かである。
他の好ましい実施形態では、病理学的にウロキナーゼ受容体分子の発現及び/又は活性に関連する疾患又は障害を治療する方法は、in vivoで該障害を治療するために、ウロキナーゼ受容体分子の活性、機能及び/又は発現を変調する薬剤の有効量を必要とする患者に投与するステップを含む。前記疾患又は障害は、例えば蛋白尿症等の足細胞疾患又は足細胞障害。
例えば、薬剤はuPAR分子変異体を発現するベクターである場合があり、in vivoでのuPARの産生を減少させるuPAR核酸を標的にする薬剤である場合がある。
他の好ましい実施形態では、uPARの発現、機能及び/又は活性を変調する、及び/又はuPAR分解を変調する、薬剤の組み合わせが、例えば、蛋白尿症を特徴とする疾患又は障害、及び/又は足細胞疾患又は障害の治療において患者に投与される。
好ましい実施態様では、蛋白尿症を特徴とする疾患又は障害は、糸球体疾患、膜性糸球体腎炎、巣状分節性糸球体腎炎、微小変化群、ネフローゼ症候群、子癇前症、子癇、腎臓損傷、膠原病性血管疾患、ストレス、激しい運動、良性起立性(体位性)蛋白尿症、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、IgA腎症、IgM腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、膜性腎症、サルコイドーシス、アルポート症候群、糖尿病、薬物による腎臓損傷、ファブリー病、感染、アミノ酸尿症、ファンコニー症候群、高血圧性腎硬化症、間質性腎炎、鎌状赤血球貧血、血色素尿症、多発性骨髄腫、ミオグロビン尿、癌、ウェゲナー肉芽腫症又は糖原病I型を含む。
他の好ましい実施形態では、足細胞関連障害又は足細胞関連疾患の治療において、uPARの発現、機能、活性等の変調は、薬剤により変調される。本発明の目的のために、「足細胞疾患」及び「足細胞障害」という用語は互換可能であり、疾患か、障害か、症候群か、異常か、病変か、足細胞の異常状態か、その構成部分の構造又は機能の異常状態かのいずれかを意味する。
他の好ましい実施形態では、病理学的にウロキナーゼ受容体分子の発現及び/又は活性と関連する足細胞疾患又は足細胞障害を治療する方法は、in vivoで該足細胞疾患又は足細胞障害を治療するために、ウロキナーゼ受容体分子の活性、機能及び/又は発現を変調する薬剤の有効量を必要とする患者に投与するステップを含む。
かかる障害又は疾患は、足細胞の喪失(足細胞の減少(podocytopenia))か、足細胞の突然変異か、足突起の幅の増大か、スリット膜の長さの低下かを含むが、これらに限定されない。1つの局面では、足細胞関連疾患又は足細胞関連障害は、足細胞の密度の消失又は減少である場合がある。1つの局面では、足細胞密度の減少は、例えば、アポトーシスか、剥離か、増殖の欠乏か、DNA損傷又は肥大かによる足細胞数の減少が原因である場合がある。
1の実施態様では、足細胞関連疾患又は足細胞関連障害は、足細胞傷害が原因である場合がある。1つの局面では、例えば、高血圧(high blood pressure)、高血圧(hypertension)又は虚血などの機械的ストレスか、酸素供給の欠乏か、有害物質か、内分泌的障害か、感染か、造影剤か、機械的外傷か、細胞毒性薬(シスプラチナム、アドリアマイシン、ピューロマイシン)か、カルシニューリン阻害剤か、(例えば、感染、外傷、酸素欠乏、閉塞又は虚血が原因となる)炎症か、放射線か、感染(例えば、細菌性、真菌性又はウイルス性)か、免疫系の機能障害(例えば、自己免疫疾患、全身性疾患又はIgA腎症)か、遺伝子障害か、薬剤(例えば、抗細菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、免疫抑制剤、抗炎症剤、鎮痛剤又は抗癌剤)か、臓器不全か、臓器移植か、尿路疾患かが足細胞傷害の原因となる場合がある。1つの局面では、虚血は鎌状赤血球貧血か、血栓か、移植か、閉塞か、ショックか血液喪失かである場合がある。1つの局面では、前記遺伝子障害は、Finnish型先天性ネフローゼ症候群か、胎生膜性腎症か、例えばα−アクチン−4、ポドシン及びTRPC6などの足細胞特異性タンパク質での突然変異かを含む場合がある。
1つの局面では、足細胞関連疾患又は足細胞関連障害は、例えばポドシン、ネフリン、CD2APなどのスリット膜タンパク質と、例えばTRPC6などの細胞膜タンパク質と、例えばシナプトポジン、アクチン結合タンパク質、lambファミリー(lamb families)及びコラーゲンなどの細胞骨格の構成に含まれるタンパク質との異常発現又は異常機能である場合がある。他の局面では、足細胞関連疾患又は足細胞関連障害は、GBMの障害と、糸球体間質細胞機能の障害と、抗原−抗体複合体及び抗足細胞抗体の蓄積とに関連している場合がある。他の局面では、足細胞関連疾患又は足細胞関連障害は、管萎縮である場合がある。
好ましい実施態様では、足細胞関連疾患又は足細胞関連障害は、微量アルブミン尿か、マクロアルブミン尿かなどの蛋白尿症を含む。したがって、いくつかの好ましい実施態様では、uPARの発現か、機能か、活性か、分解か、分解率及び/又は発現の抑制率か、ウロキナーゼ受容体分子の活性かを変調する1種類又は2種類以上の薬剤は、足細胞疾患又は足細胞障害のいずれかを治療するために用いられる1種類又は2種類以上の他の化学療法化合物と組み合わされる場合がある。
多種類の薬剤は、uPAR、特にウロキナーゼ受容体分子を標的にするために用いられる場合がある。これらの薬剤は、ウロキナーゼ受容体分子の発現及び/又は活性を減少させるin vivoでの活性を有することにより、uPARを標的にするために設計される場合がある。
前記薬剤は、cDNA又はウロキナーゼ受容体分子の調節領域に基づいて、ウロキナーゼ受容体分子を調節する場合がある。例えば、アンチセンス阻害剤及びリボザイムなどのDNAを利用した薬剤が、RNAレベルと同様にuPAR遺伝子のイントロン及びエクソンの両方を標的にするために利用される場合がある。
また、前記薬剤は、ウロキナーゼ受容体分子のプロ断片(propieces)及び/又は三次元タンパク質構造を含むアミノ酸配列に基づいて、ウロキナーゼ受容体分子を標的にする場合がある。例えばヒト抗体、非ヒトモノクローナル抗体及びヒト化抗体などのタンパク質を利用した薬剤が、ウロキナーゼ受容体分子の異なるエピトープを特異的に標的にするために用いられる場合がある。ペプチド又はペプチド模倣物は、特定のuPARの活性部位に特異的に結合するための高親和性阻害剤として機能する場合があり、これにより、uPARのin vivo活性を抑制する。また、低分子がuPARを標的にするために供される場合があり、特に低分子はウロキナーゼ受容体分子への高選択性を有する。
ウロキナーゼ受容体分子を標的にすることに加えて、ウロキナーゼ受容体の天然のリガンドと競合することにより、ウロキナーゼ受容体分子を競合的に抑制する薬剤が用いられる場合がある。
他の実施態様では、前記薬剤の1つは、ウロキナーゼ受容体分子に対して特異的なプロテアーゼ阻害剤である場合がある。
抗体:本明細書に記載される本発明の別の実施態様では、uPARに結合し、uPAR機能に影響を与える標的結合剤(targeted binding agent)に関する。例としては、uPARに結合し、uPAR機能に影響を与えるモノクローナル抗体が挙げられる。他の実施態様は、uPARへの高い結合親和性と、in vitro及びin vivoでuPARを中和する能力と、uPARの発現及び/又は機能を抑制する能力とを有する抗uPAR抗体に関する。
他の好ましい実施形態では、本発明はuPARへの高い結合親和性、in vitro及びin vivoでuPARを中和する能力を含む、治療的観点から望ましい特性を有する完全ヒト抗uPAR抗体に関する。
1の実施態様では、本発明は、非常に高い親和性(Kd)を有するuPARへ結合する抗体を含む。例えば、10−5Mか、10−6Mか、10−7Mか、10−8Mか、10−9Mか、10−10Mか、10−11Mか、これらの範囲又は値かのいずれか以下だがこれらに限定されないKdを有するuPARに結合することができるヒト、ウサギ、マウス、キメラ又はヒト化抗体。親和性及び/又は結合力(avidity)の測定は、KinExA(商標)及び/又はBIACORE(商標)によって測定される場合がある。
本発明の1の実施態様は、uPARと結合する単離された抗体か、それらの抗体の断片かを含む。当技術分野において公知であるように、前記抗体は、例えば、ポリクローナル、オリゴクローナル、モノクローナル、キメラ、ヒト化及び/又は完全ヒト抗体である場合がある。また、本明細書に記載される本発明の実施態様は、これらの抗体を産生するための細胞を提供する。
本発明の実施態様は、特定の抗体の形態か、特定の作成又は産生方法かに限定されないと理解される場合がある。例えば、本発明の抗uPAR抗体は、(例えば、インタクトなヒトFc領域を有する)完全長の抗体又は抗体の断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’).sub.2、Fv又はDab(Dabはヒト抗体の最小機能結合単位))である場合がある。加えて、前記抗体は、抗体を分泌するハイブリドーマか、遺伝子又は抗体をエンコードする遺伝子により形質転換又はトランスフェクションされた組み替えで生成された細胞かから産生される場合もある。
本発明の他の実施態様は、標的結合薬剤か、本明細書に記載されるような抗体又はこれらの断片か、抗uPAR抗体をエンコードする単離された核酸分子を有するベクターか、かかる核酸分子のいずれかで形質転換された宿主細胞かのいずれかをエンコードする、単離された核酸分子を含む。加えて、本発明の1の実施態様は抗体を産生させた後に続いて抗体を回収するために核酸分子が発現する条件下で、宿主細胞を培養することによる、本発明の抗uPAR抗体を産生する方法である。また、本発明の実施態様は、抗体の産生のために宿主細胞へトランスフェクションするときに、抗体又はこれらの断片の産生を増大させるために最適化された核酸配列を含む本発明の抗体か、抗体の断片かをエンコードする任意の核酸分子を含むと理解されるべきである。
更なる実施態様は、ヒトuPARを有する哺乳類を免疫化することによりuPARに高親和性の抗体又はそれらの断片と、1個又は2個以上のオーソログ配列又はそれらの断片とを産生する方法を含む。
本発明の他の実施態様は、患者試料中のuPARレベルを検出するために本明細書に記載されるように調製された抗体が利用される、疾患又は状態を診断する方法含む。1の実施態様では、患者試料は血液又は血清である。追加の実施態様では、抗uPAR抗体を用いたuPARの過剰発現の同定を含む、危険因子と、疾患の診断と、疾患のステージとの同定のための方法が示されている。
1.本発明の他の実施態様は、標的結合剤又は本発明の抗uPAR抗体を用いて血清又は細胞と接触させ、その後、uPARの存在の検出することにより、細胞中のuPARの発現と関連した状態を診断するための方法を含む。好ましい状態は、足細胞疾患又は足細胞障害、蛋白尿症、糸球体疾患、膜性糸球体腎炎、巣状分節性糸球体腎炎、微小変化群、ネフローゼ症候群、子癇前症、子癇、腎臓損傷、膠原病性血管疾患、ストレス、激しい運動、良性起立性(体位性)蛋白尿症、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、IgA腎症、IgM腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、膜性腎症、サルコイドーシス、アルポート症候群、糖尿病、薬物が原因である腎臓損傷、ファブリー病、感染、アミノ酸尿症、ファンコニー症候群、高血圧性腎硬化症、間質性腎炎、鎌状赤血球貧血、血色素尿症、多発性骨髄腫、ミオグロビン尿、糖尿病性腎症(DN)、ループス腎炎、ウェゲナー肉芽腫症又は糖原病I型を含む腎臓疾患を含む。
他の実施態様では、本発明は、uPAR関連疾患をスクリーニングするための哺乳類組織、細胞又は体液内のuPARを検出するためのアッセイキットを含む。前記キットは、uPARに結合する標的結合剤又は本発明の抗体、及び、もし存在すれば、uPARと抗体との反応を示す手段を含む。ある実施態様では、抗体はモノクローナル抗体である。他の実施態様では、uPARと結合する抗体は、標識化される。さらに他の実施態様では、抗体は非標識1次抗体であり、キットはさらに該1次抗体を検出する手段を含む。1の実施態様では、検出する手段は、抗免疫グロブリンである標識化された2次抗体を含む。抗体は、蛍光色素と、酵素と、放射性核種と、放射線不透性物質とからなるグループから選択されるマーカーで標識化される場合がある。
本発明の他の実施態様は薬学的に許容される担体又は希釈剤の混合物中に、本発明の標的結合剤又は抗uPAR抗体の有効量を有する医薬品組成物を含む。さらに他の実施態様では、本発明の標的結合剤又は抗uPAR抗体か、その断片かは、治療薬とコンジュゲートされる。治療剤は、例えば、毒物又は放射性同位体である場合がある。
1.さらに他の実施態様は、本発明の標的結合剤又は抗uPAR抗体の有効量を患者に投与することによって、患者における、uPARの発現に関連する疾患又は状態を治療する方法を含む。標的結合剤又は本発明の抗uPAR抗体は、単独か、追加抗体又は化学療法剤又は放射線治療との組み合わせかで投与される場合がある。例えば、uPAR抗体のモノクローナルか、オリゴクローナルか、ポリクローナルかの混合物は、それらに関連した疾患の状態又は疾患の兆候を抑制することを示す薬剤と組み合わせて投与される場合がある。前記方法はin vivoで行われる場合があり、前記患者は好ましくはヒト患者である。好ましい実施態様では、前記方法は、足細胞疾患又は足細胞障害、蛋白尿症、糸球体疾患、膜性糸球体腎炎、巣状分節性糸球体腎炎、微小変化群、ネフローゼ症候群、子癇前症、子癇、腎臓損傷、膠原病性血管疾患、ストレス、激しい運動、良性起立性(体位性)蛋白尿症、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、IgA腎症、IgM腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、膜性腎症、サルコイドーシス、アルポート症候群、糖尿病、薬物が原因である腎臓損傷、ファブリー病、感染、アミノ酸尿症、ファンコニー症候群、高血圧性腎硬化症、間質性腎炎、鎌状赤血球貧血、血色素尿症、多発性骨髄腫、ミオグロビン尿、糖尿病性腎症(DN)、ループス腎炎又はウェジナー肉芽腫症又は糖原病I型を含む腎臓疾患の治療に関する。
いくつかの実施態様では、本発明の標的結合剤又は抗uPAR抗体は患者に投与され、続いて、過剰に循環している抗体を血液から取り除くための除去剤が投与される。
核酸を利用した薬剤:核酸を利用した薬剤、例えばアンチセンス分子及びリボザイムが、その遺伝子発現を抑制するRNAレベルと同様にuPAR遺伝子のイントロン及びエキソンの両方を標的にするために利用される場合があり、この結果、標的にされたuPARの活性を抑制する。さらに、uPAR遺伝子の活性の抑制に、3重らせん分子が利用される場合もある。かかる分子は野生型uPAR遺伝子か、適切であれば、uPAR遺伝子活性の変異体かのいずれかを減少又は抑制するために設計される場合がある。かかる分子の産生及び使用の手法は当業者に周知であり、以下で簡潔に説明する。
他の好ましい実施形態では、uPAR分子の発現及び/又は活性に含まれる核酸配列を標的にすることにより、uPAR遺伝子が変調される。例えば、調節領域は、uPARの発現を低下させるための標的である場合がある。
アンチセンスRNA及びDNA分子は、標的にされたmRNAにハイブリダイゼーションし、タンパク質翻訳を阻害することにより、mRNAの翻訳を直接的に阻害するように作用する。アンチセンスアプローチは標的遺伝子mRNAと相補的なオリゴヌクレオチドの設計を含む。前記アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的遺伝子mRNA転写物と相補的に結合し、翻訳を予防する。完全な相補性が好ましいが、必要とされない。
本明細書で用いられるところのRNAの一部に「相補的な」配列とは、該RNAとハイブリダイゼーションし、安定した2本鎖を形成するのに十分な相補性を有する配列を意味し、2本鎖アンチセンス核酸の場合、2本鎖DNAの1本鎖がテストされる場合があるか又は3本鎖の形成がアッセイされる場合がある。ハイブリダイゼーションする能力は、相補性の程度及びアンチセンス核酸の長さの両方に依存するであろう。一般に、ハイブリダイゼーションする核酸が長いほど、その核酸中にRNAとの塩基不対合が多く含まれる場合があるにもかかわらず、安定した2本鎖(又は3本鎖の場合がある)を形成する場合がある。ハイブリダイゼーションされた複合体の融点を決定するための標準的な手法を用いることにより、当業者は不対合の耐えうる(tolerable)程度を確かめる場合がある。
メッセージの5’末端(例えば、5’非翻訳配列からAUG開始コドンを含む配列まで)に相補的なオリゴヌクレオチドは、翻訳を抑制するために最も効果的に作用する場合がある。しかし、mRNAの3’非翻訳配列に相補的な配列が同様にmRNAの翻訳の抑制に効果的であることが示された。Wagner(1994) Nature 372:333−335。例えば、ウロキナーゼ受容体分子のヒト又はマウス遺伝子の5’又は3’側のいずれかの非翻訳、非コード領域に相補的なオリゴヌクレオチドをアンチセンスアプローチに使用して内在性ウロキナーゼ受容体分子mRNAの翻訳を抑制する場合がある。
他の好ましい実施形態では、前記アンチセンスアプローチは、uPAR発現及び/又は機能の負の調節因子(negative regulators)を標的にするために用いる場合がある。
mRNAの5’非翻訳領域に相補的なオリゴヌクレオチドは、AUG開始コドンの相補体を含む場合がある。mRNAコード領域に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドはより効果の少ない翻訳阻害剤であるが、本発明に従って使用される場合がある。標的遺伝子mRNAの5’か、3’か、コード領域かにハイブリダイズするように設計されていても、アンチセンス核酸は好ましくは少なくとも6ヌクレオチドの長さであり、より好ましくは6から約50ヌクレオチドの長さのオリゴヌクレオチドである。特定の態様においては、オリゴヌクレオチドは少なくとも10ヌクレオチド、好ましくは少なくとも17ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも25ヌクレオチド及び最も好ましくは少なくとも50ヌクレオチドである。
また、アンチセンス分子は、翻訳領域、すなわちuPAR遺伝子のcDNAを標的にするために設計される場合がある。例えば、完全にコードする配列を標的にするアンチセンスRNA分子又は成熟マウスウロキナーゼ受容体分子の一部(Kirschkeら(2000)Euro.J.Cancer36:787−795)は、ウロキナーゼ受容体分子の発現を抑制するために利用される場合があり、これにより、その酵素活性が減少する。また、完全長の又は部分的ウロキナーゼ受容体分子cDNAは反転配向で、pcDNA−3発現ベクターにサブクローニングされる場合があり、かかるコンストラクトは例えばウロキナーゼ受容体分子のようなuPARの内因性翻訳を阻害するアンチセンスポリRNAを生成するために、細胞へトランスフェクションされる場合があり、これにより、uPARの発現を抑制する。
In vitro研究が、遺伝子発現を抑制するアンチセンスオリゴヌクレオチドの能力を定量化するために行われる場合がある。これらの研究は、アンチセンス遺伝子抑制とオリゴヌクレオチドの非特異的生物学的影響とを区別する対照を利用することが好ましい。また、これらの研究は、標的RNA又はタンパク質のレベルを内的対象RNA又はタンパク質のレベルと比較するのも好ましい。さらに、アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いて得られた結果が、対照オリゴヌクレオチドを用いて得られた結果と比較されることが想定される。対照オリゴヌクレオチドは、テストオリゴヌクレオチドとおおよそ同じ長さであり、標的配列への特異的なハイブリダイゼーションを予防するのに必要な程度を超えずに、オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列はアンチセンス配列と異なることが好ましい。
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1本鎖又は2本鎖のDNA又はRNAか、それらのキメラ混合物か、それらの誘導体か、それらの改変されたものかである場合がある。オリゴヌクレオチドは、例えば、分子、ハイブリダイゼーションなどの安定性を改善するために塩基部分、糖部分又はリン酸骨格が改変される場合がある。オリゴヌクレオチドは、例えばペプチドか、細胞膜又は血液脳関門を横切る輸送を促進する薬剤(Letsinger(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 86:6553−6556などを参照せよ)か、ハイブリダイゼーション誘発切断剤(Krol(1988)Bio.Techniques 6:958−976などを参照せよ)か、挿入剤(Zon(1988)Pharm.Res.5:539−549などを参照せよ)かなどの他の追加のグループを含む場合がある。オリゴヌクレオチドは他の分子、例えばペプチド、ハイブリダイゼーション誘発架橋剤、輸送剤、ハイブリダイゼーション誘発切断剤等とコンジュゲートされる場合がある。
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β−D−ガラクトシルクエオシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルクエオシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン、シュードウラシル、クエオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w及び2,6−ジアミノプリンを含むグループから選択される少なくとも1つの改変された塩基部分を含む場合があるが、これらに限定されない。
また、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、アラビノース、2−フルオロアラビノース、キシルロース及びヘキソースからなるが、これらに限定されないグループから選択される少なくとも1つの改変された糖部分を含む場合がある。
さらに他の実施態様では、前記アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホラミドチオエート、ホスホラミデート、ホスホルジアミデート、メチルホスホネート、アルキルホスホトリエステル及びホルムアセタール、又はそれらの類似体からなるグループから選択される少なくとも1つの修飾されたリン酸骨格を含む。
また、標的遺伝子mRNA翻訳を触媒的に切断するように設計されたリボザイム分子は、標的遺伝子mRNAの翻訳と、それ故に、標的遺伝子産物の発現とを防止するために用いられる場合がある。Sarverら(1990)Science247:1222−1225を参照せよ。
リボザイムはRNAの特異的な切断を触媒することができる酵素的RNA分子である。リボザイム作用の機構は、リボザイム分子の相補的な標的RNAへの配列特異的なハイブリダイゼーションと、それに続くエンドヌクレオチド分解的な切断事象とを含む。リボザイム分子の組成物は標的遺伝子mRNAと相補的な1個又は2個以上の配列を含む場合があり、mRNA切断の原因となる周知の触媒の配列を含む場合がある。
特異的な認識部位でmRNAを切断するリボザイムが、標的遺伝子mRNAを破壊するために使用される場合があるが、ハンマーヘッドリボザイムの使用が好ましい。ハンマーヘッドリボザイムは、標的mRNAと相補的な塩基対を形成する隣接領域によって決定される位置でmRNAを切断する。唯一の条件は、標的mRNAが2塩基配列5’−UG−3’を有することである。ハンマーヘッドリボザイムの構築及び生産は当該分野において周知である。
また、標的相同的組換えを用いた標的uPAR遺伝子又はそのプロモーターを不活性化又は「ノックアウト」することによって、内因的uPAR遺伝子の発現を減少させる場合がある。Smithiesら(1985)Nature317:230−234、Thomas及びCapecchi(1987)Cell51:503−512及びThompsonら(1989)Cell5:313−321。
また、uPAR遺伝子の調節領域(すなわち、標的遺伝子のプロモーター及び/又はエンハンサー)に相補的なデオキシリボヌクレオチド配列を標的化して、体内の標的細胞中の標的遺伝子の転写を妨害する3重らせん構造を形成することによって、内因的uPAR遺伝子の発現を減少させる場合がある。一般的に、Helene(1991)Anticancer Drug Des.6:569−584、Heleneら(1992)Ann.N.Y.Acad.Sci.660:27−36及びMaher(1992)Bioassays14:807−815を参照せよ。
転写を阻害するための3重らせんの形成において用いられる核酸分子は、1本鎖で、デオキシヌクレオチドから構成される場合がある。これらのオリゴヌクレオチドの塩基組成は、フーグスティーン(Hoogsteen)塩基対合のルールにより、3重らせんの形成を促進するように設計しなくてはならない。このルールは、一般に、プリン又はピリミジンの大きなストレッチが2重らせんのうちの1本の鎖上に存在することを要する。ヌクレオチド配列はピリミジンをベースとする場合があり、これは生ずる3重らせんの3つのアソシエートする鎖を横切るTAT及びCGCのトリプレットを生ずる場合がある。ピリミジンに富んだ分子は、その鎖に対して平行な向きに2重らせんの1本鎖のプリンに富んだ領域に対して相補的な塩基を提供する。さらに、プリンに富んだ、例えば、G残基のストレッチを含有する核酸分子を選択することができる。これらの分子はGC残基に富んだDNA2重らせんと3重らせんを形成し、ここでプリン残基の大部分はターゲッテッド2重らせんの1本鎖上に位置し、トリプレックス中の3本の鎖を横切ってGGCトリプレットを生ずる。
バイオマーカー
好ましい実施態様では、蛋白尿症を特徴とする疾患又は障害の診断のためのバイオマーカー及び/又は蛋白尿症を特徴とする疾患又は障害を発症するリスクを有する人の同定のためのバイオマーカーはuPARか、ダイナミンか、シナプトポジンか、それらのバリアント(variants)、変異体又は断片かを含む。
バイオマーカーは互いに関連する発現において、増加又は低下する場合がある。バイオマーカー発現プロファイルの画像は正常な対照と比較される。別の例では、疾患の進行と共に、細胞内局在が変化する。
他の好ましい実施形態では、蛋白尿症を特徴とする疾患又は障害を発症するリスクを有する人の同定は、少なくとも1個のバイオマーカー又はその断片を検出する。
他の好ましい実施形態では、蛋白尿症を特徴とする疾患又は障害の発症は、uPARの増加と関連づけられる。
候補治療薬剤
好ましい実施態様では、モジュレーター、すなわち、uPAR発現、機能分解を変調し、及び/又はウロキナーゼ受容体分子の活性又は発現か、その合成経路かに直接的に作用する、候補又は試験化合物か、候補又は試験薬剤(例えば、タンパク質、ペプチド、ペプチドミメティクス、ペプトイド、小分子、類似物又はその他の薬物)かを同定するための方法(本明細書中、「スクリーニングアッセイ」とも称される)が提供される。このように同定された化合物は、標的遺伝子産物の活性を変調するか、タンパク質又はペプチドの半減期を延長するか、細胞分裂を調節するか等のため用いられる場合があり、治療プロトコルにおいては、標的遺伝子産物の生物学的機能を詳しく述べるためか、標的遺伝子相互作用を破壊する化合物を同定するためかに用いられる場合がある。
他の好ましい実施形態では、ハイスループットスクリーニングアッセイ(HTS)スクリーニングアッセイがメンバー化合物の様々なライブラリーをスクリーニングするために用いられる。「化合物」、「候補治療薬」又は「候補薬」は、有機、無機、低分子、タンパク質、抗体、アプタマー、核酸分子又は合成化合物のいずれかの場合がある。
他の好ましい実施形態では、候補薬は経路に含まれるuPAR酵素、前駆体又は分子を変調する。好ましくは、前記酵素はウロキナーゼ受容体分子である。これらの酵素は、例えば、ユビキチン、酵素経路、タンパク質輸送経路、代謝経路、シグナル伝達経路及びこれらに類する経路の合成経路、分解経路等のさまざまな生化学的経路に含まれる場合がある。
他の好ましい実施形態では、前記ハイスループットアッセイは、ウロキナーゼ受容体分子の病理学的発現又は活性に含まれる経路を標的及び変調する候補薬剤を同定する。前記候補薬剤は、例えば蛋白尿症などの足細胞疾患又は障害の治療のための新規薬剤を開発及び同定するのに有用である場合がある。
ある実施態様では、本発明は、例えば循環するuPARを含むuPAR分子の分解、分解率、活性、発現及び/又は機能を変調する、候補又は試験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。
他の実施態様では、本発明は、ウロキナーゼ受容体分子タンパク質又はウロキナーゼ受容体分子ポリペプチドか、その生物学的活性部位か、その変異体、断片又は融合タンパク質かと結合するか、又はウロキナーゼ受容体分子タンパク質又はウロキナーゼ受容体分子ポリペプチドか、その生物学的活性の一部か、その変異体、断片又は融合タンパク質の活性を変調する候補又は試験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。
候補薬剤は、典型的には、低分子有機化合物を含む有機化合物と、オリゴヌクレオチドを含む核酸と、ペプチドとであるが、多数の化学種を含む。低分子有機化合物は、例えば、約40又は50以上で約2,500未満の分子量を適切に有する場合がある。候補薬剤は、タンパク質及び/又はDNAと相互作用する化学官能基を含む場合がある。
本発明の試験化合物は、生物学的ライブラリー;ペプトイドライブラリー(ペプチドの機能を有するが、酵素的分解に抵抗性であるにもかかわらず生物活性を維持している新規な非ペプチド骨格を有する分子のライブラリー;例えば、Zuckermann,R.N.ら(1994)J.Med.Chem.37:2678−85を参照);空間アドレス可能な平行固相又は液相ライブラリー;デコンボリューションを必要とする合成ライブラリー法;「1ビーズ1化合物」ライブラリー法;及びアフィニティークロマトグラフィー選択を用いた合成ライブラリー法を含む、当業者に周知のコンビナトリアルライブラリー法における多数のアプローチのいずれかを用いて得られる場合がある。生物学的ライブラリー及びペプトイドライブラリーによるアプローチはペプチドライブラリーに限定されるのに対し、他の4つのアプローチはペプチド、非ペプチドオリゴマー又は化合物の低分子ライブラリーに適用可能である(Lam(1997)Anticancer Drug Des.12:145)。
分子ライブラリーの合成方法の例は本技術分野において、例えば、DeWitt et al.(1993) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90: 6909; Erb et al.(1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 11422; Zuckermann et al.(1994). J. Med. Chem. 37: 2678; Cho et al.(1993) Science 261: 1303; Carrell et al.(1994) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33: 2059; Carell et al.(1994) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33: 2061;及び、Gallop et al.(1994) J. Med. Chem. 37: 1233において見られる場合がある。
化合物のライブラリーは、溶液中に(例えば、Houghten,1992.Biotechniques 13:412−421)、又はビーズ上に(Lam,1991.Nature 354:82−84)、チップ上に(Fodor,1993 Nature 364:555−556)、細菌に(Ladner、米国特許第5,223,409号公報明細書)、胞子に(Ladner、米国特許第5,233,409号公報明細書)、プラスミドに(Cullら、1992.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:1865−1869)又はファージ上に(Scott及びSmith,1990.Science 249:386−390;Devlin,1990.Science 249:404−406;Cwirlaら、1990.Proc.Natl Acad Sci.U.S.A.87:6378−6382;Felici,1991.J.Mol.Biol 222:301−310;Ladner、米国特許第5,233,409号公報明細書)存在する場合がある。
他の好ましい実施形態では、候補治療薬剤は、タンパク質、ペプチド、有機分子、無機分子、核酸分子及びこれらに類するものを含む。これらの分子は例えば、植物、菌類、細菌由来の天然物か、合成物(synthesized)又は人工物(synthetic)かである場合がある。
原型化合物は、当業者が入手可能な任意の情報に基づき治療上の活性を有すると考えられる場合がある。例えば、原型化合物はPhysician’s Desk Referenceに含まれる情報に基づいて治療上の活性を有すると考えられる場合がある。加えて、限定のない例として、化合物は、臨床医の経験か、化合物の構造か、構造活性関連データか、EC50アッセイデータか、IC50アッセイデータか、動物又は臨床研究か、任意のその他の基礎か、かかる基礎の組み合わせかに基づいて治療上の活性を有すると考えられる。
治療上の活性を有する化合物は、例えば、被験者に投与又はin vitroで試験されるときに特異的な反応を誘発する化合物の能力を含む治療上の活性を有する化合物である。治療上の活性は、予防及び改善の処置を含む疾患又は状態の治療を含む。疾患又は状態の治療は、疾患又は状態の予防と、改善と、除去とを含む、疾患又は状態の何らかの程度の改善を含む。治療上の活性は、蛋白尿症に関連する任意の疾患又は障害に対する好ましい実施態様に含まれる、任意の疾患又は状態に対して行われる場合がある。治療上の活性を決定するために、化合物の治療上の活性が評価される場合がある任意の方法が用いられる場合がある。例えば、臨床上の評価と、EC50及びIC50アッセイと、用量反応曲線とを含む、in vivo及びin vitroの方法が用いられる場合がある。
本発明のアッセイで用いられる候補化合物か、本発明のアッセイで有用な医薬品製剤として同定される候補化合物かは、既に当業者に周知の医薬品製剤又はこれらの変形であるか、任意の薬理学的活性を有することが以前に周知ではない化合物であるかの場合がある。候補化合物は、天然に存在するか、実験室内で設計されるかの場合がある。候補化合物は1個のジアステレオマー又は2個以上のジアステレオマーか、1個の鏡像異性体又は2個以上の鏡像異性体かを含む場合がある。
候補化合物は例えば微生物、動物又は植物から単離される場合と、組み替えで生成されるか、当業者に周知な化学的方法により合成されるかの場合とがある。所望の場合は、本発明の候補化合物は、生物学的ライブラリー;空間アドレス可能な平行固相又は液相ライブラリー;デコンボリューションを必要とする合成ライブラリー法;「1ビーズ1化合物」ライブラリー法;及びアフィニティークロマトグラフィー選択を用いた合成ライブラリー法を含むがこれらに限定されない、当業者に周知の多数のコンビナトリアルライブラリー法のいずれかを用いて得られる場合がある。生物学的ライブラリーによるアプローチはポリペプチドライブラリーに限定される。他の4つのアプローチはポリペプチド、非ペプチドオリゴマー又は化合物の低分子ライブラリーに適用可能であり、本発明での好ましいアプローチである。Lam Anticancer Drug Des. 12:145−167(1997)を参照せよ。
1の実施態様では、本発明は候補化合物を適切なプロドラッグとして同定する方法を提供する。適切なプロドラッグは、本発明の方法により同定される場合がある任意のプロドラッグ含む。当業者に明らかな任意の方法が、適切なプロドラッグとして候補化合物を同定するために用いられる場合がある。
他の局面では、本発明は、治療薬剤としての適合性について候補化合物をスクリーニングする方法を提供する。治療薬剤の適合性のスクリーニングは、治療薬剤としての化合物の能力に影響を与える場合がある化合物に関する1種類か、数種類か、多種類かの基準の評価を含む場合がある。例えば、有効性、安全性、効率性、保持率、局在性、組織選択性、分解又は細胞内残留性といった因子が考慮される場合がある。ある実施態様では、適切なプロドラッグとして同定される候補化合物を提供するステップと、候補化合物の治療上の活性を決定するステップと、候補化合物の細胞内残留性を決定するステップとを含む、治療薬剤としての適合性について候補化合物をスクリーニングする方法が提供される。細胞内残留性は、例えば、放射性トレーサー、重同位体標識又はLCMSなどの当業者に明らかな任意の手法により測定される場合がある。
治療薬剤としての適合性について化合物をスクリーニングする際に、候補化合物の細胞内残留性が評価される。好ましい実施態様では、薬剤は、例えば、候補治療薬剤に対する応答の際、ある期間にわたっての細胞内pHの評価を含む場合があるように、細胞内pHを変調する能力について評価される。好ましい実施態様では、ヒト組織内における候補治療化合物の有無における足細胞内pHが決定される。細胞内pHを決定するために当業者に周知の任意の手法が本発明で用いられる場合がある。以下の実施例における実験上の詳細も参照せよ。
本発明の追加の局面は、疾患又は状態を有すると考えられる試料又は被験者を本発明の化合物によって同定されるプロドラッグで処置するステップを含む、蛋白尿症に関連する状態又は疾患の活性を抑制する方法に関する。本発明の組成物は、疾患又は状態に対する治療上の活性を有するプロドラッグを同定するもの(identifiers)として作用する。好ましい局面では、本発明の組成物は、例えば、蛋白尿症に関連する状態を含む状態に対して治療上の活性を示す薬物を同定するものとして作用する。
ある実施態様では、スクリーニングアッセイは、細胞のpH値の増減に対するウロキナーゼ受容体分子の活性が測定される細胞を利用したアッセイである。例えば、蛍光、タンパク質アッセイ、ブロット及びこれらに類するものを含むさまざまな方法によってpHを調節する試験化合物の能力を決定することと、ウロキナーゼ受容体分子の活性を決定することとである。細胞は、例えば、ヒトなどの哺乳類由来の場合がある。
他の好ましい実施形態では、スクリーニングアッセイはハイスループットスクリーニングアッセイである。uPARの分解、発現、機能等を変調、及び/又はウロキナーゼ受容体分子の発現及び/又は活性を変調する化合物の能力は、以下の実施例において詳細に説明されるように評価される場合がある。
他の好ましい実施形態では、単離されたタンパク質、変異体又はこれらの生物学的活性の一部の可溶性及び/又は膜結合型が、所望の場合は、アッセイに用いられる場合がある。膜結合型のタンパク質が用いられる場合、可溶化剤を用いることが好ましい場合がある。かかる可溶化剤の例には、非イオン性の界面活性剤、例えばn−オクチルグルコシド、n−ドデシルグルコシド、n−ドデシルマルトシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、デカノイル−N−メチルグルカミド、TRITON(商標)X−100、TRITON(商標)X−114、THESIT(商標)、イソトリドデシポリ(エチレングリコールエーテル)n、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアミニオ]−1−プロパンスルホネート(CHAPS)、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアミニオ]−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホネート(CHAPSO)、又はN−ドデシル=N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネートが含まれる。
また、無細胞アッセイが用いられる場合があり、該無細胞はアッセイ試験薬剤の値及び濃度の範囲にわたり、継時的なウロキナーゼ受容体分子の活性等の測定を可能にするための条件及び期間において、ウロキナーゼ受容体分子と試験化合物とを含む反応混合物を調製することを含む。
例えば、蛍光エネルギー移動(FET)を利用して酵素活性が検出される場合もある(例えば、Lakowiczら、米国特許第5,631,169号公報明細書、Stavrianopoulosら、米国特許第4,868,103号公報明細書を参照せよ)。第1「ドナー」分子の蛍光色素分子標識は、その放射蛍光エネルギーが第2「アクセプター」分子の蛍光標識に吸収され、この吸収されたエネルギーにより蛍光を発することができるように選択される。また、「ドナー」タンパク質分子は、トリプトファン残基の天然蛍光エネルギーを容易に利用することができる。「アクセプター」分子標識を「ドナー」の分子標識から識別できるように、異なる波長の光を放射する標識が選択される。標識間のエネルギー伝達の効率は分子間の距離に関連するので、分子間の空間的関係が評価される場合がある。分子間に結合が生じる状況において、アッセイ中の「アクセプター」分子標識の蛍光放射は最大になる場合がある。FET結合事象は、当業者に周知である標準的蛍光分析検出手段により(例えば蛍光光度計を用いて)好適に測定される場合がある。
他の実施態様では、酵素(例えばウロキナーゼ受容体分子)の結合能又は標的分子(uPAR)をその結合箇所に「ドッキング(dock)」する能力を決定することが、リアルタイム生体分子相互作用分析(Biomolecular Interaction Analysis,BIA)を用いて遂行される場合がある(例えばSjolander,S.及びUrbaniczky,C.(1991)Anal.Chem.63:2338−2345、及びSzaboら(1995)Curr.Opin.Struct.Biol.5:699−705)を参照)。「表面プラズモン共鳴」又は「BIA」は、反応体を何も標識しなくても、リアルタイムで生体特異的相互作用を検出する(例えば、BIAcore)。結合表面(結合事象を示す)での質量の変化により、表面付近の光の屈折率が変化し(表面プラズモン共鳴(SPR)の視覚現象)、その結果、生体分子間のリアルタイムな反応の指標として使用可能な検出シグナルが生じる。
ある実施態様では、標的産物又は試験物質は固相上に固定される。固相に固定された標的産物/試験化合物複合体は反応の終点で検出される場合がある。好ましくは、標的産物は、固体表面上に固定される場合があり、(固定されていない)試験化合物は本明細書中で議論された検出可能な標識を用いて、直接的か間接的かのいずれかで標識化される場合がある。
候補薬剤は、合成又は天然の化合物のライブラリーを含む広範な供給源から得られる場合がある。例えば、ランダム化されたオリゴヌクレオチドの発現を含む広範な有機化合物及び生体分子のランダム合成と指向型合成とのために、多くの方法が利用される。また、例えば、細菌、真菌、植物及び動物の抽出物の形状の天然化合物ライブラリーが利用されるか、あるいは容易に作成される。
化学ライブラリー
コンビナトリアルケミストリーの開発は、数百個ないし数千個の個々の化合物の迅速で、経済的な合成を可能にする。これらの化合物は、有効性のスクリーニングのために設計された低分子の中規模のライブラリーで配置されることが典型的である。コンビナトリアル法は、新規化合物を同定するために適切な偏りのないライブラリーを作成するために用いられる場合がある。さらに、作成される場合がある低分子の多様性のないライブラリーは、以前に決定された生物学的活性を有する片親の化合物に由来する。どちらの場合にも、重要な酵素の阻害剤のようなコンビナトリアルケミストリーによって作成される、治療上の適切な生体分子を特異的に標的化するための有効なスクリーニングシステムを欠くことが、それらの資源を最適に使用することを妨げる。
コンビナトリアルケミストリーのライブラリーは、化学合成又は生合成のいずれかにより、試薬のような多数の化学「構成要素」を組み合わせることによって作成された多種類の化学化合物の収集物である。例えば、ポリペプチドライブラリーのような線形コンビナトリアルケミストリーのライブラリーは、特定の化合物の長さ(例えば、ポリペプチド化合物のアミノ酸の数)に対し、多数の組み合わせと、潜在的に可能なあらゆる方法とで、一組の化学構成要素(アミノ酸)を組み合わせることによって形成される。数百万の化学化合物は、化学構成要素のかかるコンビナトリアル混合を通して合成される場合がある。
「ライブラリー」は、2種類ないし50,000,000種類までの多様な化合物メンバーを含む場合がある。ライブラリーは少なくとも48種類の多様な化合物を含むことが好ましく、96種類又は97種類以上の多様な化合物であることが好ましく、384種類又は385種類以上の多様な化合物であることがより好ましく、10,000種類又は10,001種類以上の多様な化合物であることがより好ましく、10,000種類よりも多い多様なメンバーであることが好ましく、1,000,000種類よりも多い多様な化合物メンバーであることが最も好ましい。「多様な」とは、ライブラリーの化合物の50%よりも多くが、前記ライブラリーの別のメンバーと全く同一ではない化学構造を有することを意味する。ライブラリーの化合物の75%よりも多くが、前記収集物の別のメンバーと全く同一ではない化学構造を有することが好ましく、90%よりも多いことがより好ましく、約99%よりも多いことが最も好ましい。
コンビナトリアルケミストリーのライブラリーの調製は当業者に周知である。総説として、Thompsonら、Synthesis and application of small molecule libraries、Chem Rev 96:555−600、1996と、Kenanら、Exploring molecular diversity with combinatorial shape libraries、Trends Biochem Sci 19:57−64、1994と、Janda、Tagged versus untagged libraries: methods for the generation and screening of combinatorial chemical libraries、Proc Natl Acad Sci USA. 91:10779−85、1994と、Leblら、One−bead−one−structure combinatorial libraries、Biopolymers 37:177−98、1995と、Eichlerら、Peptide, peptidomimetic, and organic synthetic combinatorial libraries、Med Res Rev. 15:481−96、1995と、Chabal、Solid−phase combinatorial chemistry and novel tagging methods for identifying leads、Curr Opin Biotechnol. 6:632−9、1995と、Dolle、Discovery of enzyme inhibitors through combinatorial chemistry、Mol Divers. 2:223−36、1997と、Fauchereら、Peptide and nonpeptide lead discovery using robotically synthesized soluble libraries、Can J. Physiol Pharmacol. 75:683−9、1997と、Eichlerら、Generation and utilization of synthetic combinatorial libraries、Mol Med Today 1:174−80、1995と、Kayら、Identification of enzyme inhibitors from phage−displayed combinatorial peptide libraries、Comb Chem High Throughput Screen 4:535−43、2001とを参照せよ。
多様な化学ライブラリーを作成するための別の化学法が用いられる場合もある。かかる化学法は、ペプチド(国際公開第WO91/19735号公報明細書)、エンコードされたペプチド(国際公開第WO93/20242号公報明細書)、ランダムなバイオオリゴマー(国際公開第WO92/00091号公報明細書)、ベンゾジアゼピン(米国特許第5,288,514号公報明細書)、ヒダントイン(hydantoins)、ベンゾジアゼピン及びジペプチドのようなダイバーソマー(diversomers)(Hobbsら、Proc. Nat. Acad. Sci. USA、90:6909−6913(1993))、ビニル性ポリペプチド(Hagiharaら、J. Amer. Chem. Soc. 114:6568(1992))、ベータ−D−グルコースの足場(scaffolding)を有する非ペプチド性ペプチド模倣物(Hirschmannら、J. Amer. Chem. Soc、114:9217−9218(1992))、低分子の化合物ライブラリーの類似体有機合成物(Chenら、J. Amer. Chem. Soc、116:2661(1994))、オリゴカルバミン酸塩(Choら、Science、261:1303(1993))及び/又はぺプチジルホスホン酸塩(Campbellら、J. Org. Chem. 59:658(1994))、核酸ライブラリー(上述のAusubel、Berger及びSambrookを参照せよ。)、ペプチド核酸ライブラリー(例えば、米国特許第5,539,083号公報明細書を参照せよ。)、抗体ライブラリー(例えば、Vaughnら、Nature Biotechnology、14(3):309−314(1996)と、国際出願PCT/US96/10287号公報明細書とを参照せよ。)、炭水化物ライブラリー(例えば、Liangら、Science、274:1520−1522(1996)と、米国特許第5,593,853号公報明細書とを参照せよ。)、有機低分子ライブラリー(例えば、ベンゾジアゼピン、Baum C&E News、1月18日、33頁(1993)を参照せよ。)、イソプレノイド(米国特許第5,569,588号公報明細書)、チアゾリジノン及びメタチアザノン(米国特許第5,549,974号公報明細書)、ピロリジン(米国特許第5,525,735号公報明細書及び米国特許第5,519,134号公報明細書)、モルフォリノ化合物(米国特許第5,506,337号公報明細書)、ベンゾジアゼピン(米国特許第5,288,514号公報明細書)及びこれらに類するものを含むが、これらに限られない。
コンビナトリアルライブラリーを調製するためのデバイスが商業的に入手可能である(例えば、357 MPS、390 MPS、Advanced Chem. Tech、ケンタッキー州ルイスビルと、シンフォニー、レイニン、マサチューセッツ州ウォバーンと、433A アプライドバイオシステムズ、カリフォルニア州フォスターシティー、9050と、ミリポア、マサチューセッツ州ベッドフォードとを参照せよ。)。さらに、コンビナトリアルライブラリーの多くは、それ自体を商業的に入手可能である(例えば、コムジェネックス、ニュージャージー州プリンストン、アシネックス、ロシア国モスクワ、トリポス社、ミズーリ州セントルイス、ケムスター社、ロシア国モスクワ、3Dファーマシューティカルズ、ペンシルバニア州エクストン、マーテック(Martek)バイオサイエンス、メリーランド州コロンビア等を参照せよ。)
低分子
低分子テスト化合物は、最初は有機又は無機の化学ライブラリーのメンバーの場合がある。本明細書で用いられるところの「低分子」は、約3,000ダルトン未満の分子量の有機又は無機の低分子を指す。前記低分子は、天然物又はコンビナントリアル化学ライブラリーのメンバーとなる。多様な分子のセットは、電荷、芳香族性、水素結合、可動性、サイズ、側鎖の長さ、疎水性及び剛性のような様々な作用を網羅するために用いられるべきである。低分子を合成するのに適切なコンビナントリアル法は、Obrecht及びVillalgordo、Solid−Supported Combinatorial and Parallel Synthesis of Small−Molecular−Weight Compound Libraries、Pergamon−Elsevier Science 有限会社(1998)に示されるように当業者に知られ、「スプリット・アンド・プール(split and pool)」合成法又は「パラレル(parallel)」合成法と、固相及び液相法と、エンコード法(例えば、Czarnik、Curr. Opin. Chem. Bio., 1:60 (1997)を参照せよ。)とのようなものを含む。さらに、低分子ライブラリーの多くは商業的に入手可能である。
手順全てが完全に自動化される場合がある。例えば、試料物質の試料採取は、試料容器から試料を取り出すステップと、取り出された試料の少なくとも一部をテストプラットフォームに送達するステップとを含む、複数のステップで達成される場合がある。試料採取は、追加のステップ、特に好ましくは試料調製のステップを含む場合もある。あるアプローチでは、1回につき1種類の試料のみがオート・サンプラー・プローブ(auto−sampler probe)に吸い込まれ、1回につき1種類の試料のみが前記プローブに存在する。他の実施態様では、多種類の試料が、溶媒によって分離されるオート・サンプラー・プローブに吸い込まれる場合がある。さらに別の実施態様では、多数のプローブが自動試料採取のために平行して用いられる場合がある。
一般的な場合には、試料採取は、手動か、半自動のやり方か、自動のやり方かで達成される場合がある。試料は、例えば、ピペットか、注射器型の手動式プローブかを用いて、手動で試料容器から取り出され、その後、評価システムの充填口又は注射口に手動で送達される場合がある。半自動のプロトコルでは、該プロトコルの局面のいくつかが自動で達成される(例えば、送達される)が、別の局面のいくつかは手動操作(例えば、作業制御工程からの試料の取り出し)を必要とする。しかし、前記試料は、例えば、オート・サンプラーを用いる完全に自動化されたやり方で、試料容器から取り出され、評価システムに送達されることが好ましい。
1つの実施態様では、自動採取は、マイクロプロセッサーで制御する自動化システムを用いて行われる場合がある。前記マイクロプロセッサーは、試料の変化する配置(例えば、n、m、r及びsが整数である、横「n行」縦「n列」の正方形のアレイ、横「n行」縦「m列」の長方形のアレイ、丸形のアレイ、一辺が「r」の正三角形のアレイ、底辺が「r」であり、斜辺が「s」である二等辺三角形等)の試料ライブラリーに適応するために使用者がプログラム可能であることが好ましい。
試料物質の自動試料採取は、加熱された注入プローブ(チップ)を有するオート・サンプラーで任意に達成される場合がある。かかるオート・サンプラーの1つの例は、(引用により取り込まれた)米国特許第6,175,409 Bl号公報明細書で開示される。
本発明によれば、1種類又は2種類以上のシステム、方法又はこれら両方が、複数の試料物質を同定するために用いられる。手動又は半自動のシステム及び方法が可能であるが、自動化システム又は方法が用いられることが好ましい。さまざまなロボット又は自動のシステムは、予定されたプロトコルに従って、固体状、液体状又はガス状の物質の取扱い、接触、分注その他の操作のための予定された動作を、自動的か、あるいはプログラム可能に提供するステップを利用可能である。かかるシステムは、物質の機械的性質を決定する前記システムを補助するためのさまざまなハードウェア、ソフトウェア又は両方を含むように適合されるか、あるいは増大される場合がある。ロボットシステムを増大するためのハードウェア及びソフトウェアは、センサー、変換器、データ取得及び操作ハードウェア、データ取得及び操作ソフトウェア等を含むが、これらに限られない場合がある。模範的なロボットシステムは、CAVROサイエンティフィックインストルメント(例えば、モデル第RSP9652番)又はバイオドット(マイクロドットモデル3000)から商業的に入手可能である。
前記自動化システムは、情報、例えば、基板に関して配置された物質ライブラリーに関連する、合成、組成、位置の情報その他の情報でプログラムされる場合がある、適切なプロトコル設計及び実行ソフトフェアを含むことが一般的である。前記プロトコル設計及び実行ソフトフェアは、ロボットその他の自動化装置又はシステムを制御するためのロボット制御ソフトフェアと通信することが典型的である。前記プロトコル設計及び実行ソフトフェアは、応答を測定するハードウェアからの収集データのためのデータ取得ハードフェア/ソフトフェアとも通信する。いったん前記データがデータベースに収集されると、解析ソフトフェアは、前記データを解析するために、より好ましくは候補薬物の性質を決定するために用いられる場合があり、すなわち、前記データは手動で解析される場合がある。
データ及び解析
本発明の実行は、従来の生物学の方法、ソフトフェア及びシステムを用いる場合もある。本発明のコンピューターソフトフェア製品は、本発明の前記方法の論理ステップを実施するためのコンピューターで実行可能な命令を有する、コンピューターで読取り可能な媒体を含むことが典型的である。適切なコンピューターで読取り可能な媒体は、フロッピーディスク、CD−ROM/DVD/DVD−ROM、ハードディスクドライブ(hard−disk drive)、フラッシュメモリ(flash memory)、ROM/RAM、磁気テープ等を含む。前記コンピューターで実行可能な命令は、適切なコンピューター言語か、複数の言語の組み合わせかで書き込まれる場合がある。基本的な計算生物学の方法は、例えば、Setubalら、Introduction to Computational Biology Methods(PWS出版社、ボストン、1997)と、Salzbergら(編)、Computational Methods in Molecular Biology(Elsevier、アムステルダム、1998)と、Rashidi及びBuehler、Bioinformatics Basics:Application in Biological Science and Medicine(CRC出版、ロンドン2000)と、Ouelette及びBzevanis Bioinformatics:A Practical Guide for Analysis of Gene and Proteins(Wiley&Sons社、第2版、2001)とに説明される。米国特許第6,420,108号公報明細書を参照せよ。
本発明は、プローブ設計、データ管理、解析及び機器操作のようなさまざまな目的のためにさまざまなコンピュータープログラム製品及びソフトフェアを使用する場合もある。米国特許第5,593,839号公報明細書、米国特許第5,795,716号公報明細書、米国特許第5,733,729号公報明細書、米国特許第5,974,164号公報明細書、米国特許第6,066,454号公報明細書、米国特許第6,090,555号公報明細書、米国特許第6,185,561号公報明細書、米国特許第6,188,783号公報明細書、米国特許第6,223,127号公報明細書、米国特許第6,229,911号公報明細書及び米国特許第6,308,170号公報明細書を参照せよ。
さらに、本発明は、インターネットのようなネットワーク上で遺伝情報を提供するための方法を含む実施態様に関する。
患者への組成物の投与
本明細書中で説明された方法により同定された組成物又は薬剤は、任意の適切な処方でヒトを含む動物に投与される場合がある。例えば、タンパク質分解を変調するための組成物は、薬学的に許容可能な担体か、生理食塩水又は緩衝塩水溶液のような希釈剤かで処方される場合がある。適切な担体及び希釈剤は、投与の様式及び経路と、標準的な薬務とにもとづいて選択される場合がある。典型的な薬学的に許容可能な担体及び希釈剤と、医薬品の処方とは、レミントンの薬学と、この分野の標準的な教科書と、UPS/NFとで知られる場合がある。別の物質が、前記組成物を安定化及び/又は保護するために組成物に添加される場合がある。
本発明の前記組成物はいずれかの従来手法によって動物に投与される場合がある。前記組成物は、例えば、体内又は体外の標的部位への外科的な送達か、あるいは血管による到達可能な部位へのカテーテルによって直接的に標的部位に投与される場合がある。送達の別の方法、例えば、リポソーム送達か、前記組成物で満されたデバイスからの拡散かが当業者に知られる。前記組成物は、単回ボーラス投与か、複数回注射か、持続投与(例えば、静注)かで投与される場合がある。非経口投与のために、前記組成物は、パイロジェンを含まない殺菌された剤形で処方されることが好ましい。
化合物は1つ又は2つ以上の治療で投与される場合がある。化学療法薬剤はメトロノーム投与計画(metronomic regimen)下で投与される場合がある。本明細書で用いられるところの「メトロノーム」療法は、治療薬の低投与量の連続投与を指す。
かかる化合物の毒性及び治療有効性用量、すなわち、LD50(集団の50%に対して致命的な用量)及びED50(集団の50%において治療的に有効な用量)は、細胞培養又は実験動物において標準的な医薬的手順によって決定される場合がある。毒性効果と治療効果の間の用量比は、治療指数であり、LD50/ED50比として表す場合がある。大きな治療指数を示す抽出物が好ましい。毒性の副作用を示す化合物が用いられる場合がある間は、非感染細胞へダメージを与える可能性を最小化し、この結果、副作用を減少するために、かかる化合物を標的にし患部組織の場所へ送達するシステムを設計するのに注意を払う場合がある。
細胞培養アッセイ及び動物実験から得られるデータは、ヒトにおいて使用するための投与量の範囲を説明する際に用いられる場合がある。かかる化合物の投与量は、好ましくはほとんど又は全く毒性のないED50を含む循環濃度の範囲内である。用量は、採用される投与形態及び用いられる投与経路に応じて、この範囲内で変化する場合がある。本発明の方法において用いられるいずれかの化合物に関して、治療有効用量は、まず細胞培養アッセイから推定される場合がある。用量は、細胞培養で決定されるIC50(すなわち、症状の抑制が最大値の半分に達するときの試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成する動物モデルにおいて説明される場合がある。かかる情報を使用して、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定するために用いられる場合がある。血漿中のレベルを、例えば、HPLCによって測定される場合がある。
本明細書で定義されているところの化合物の治療上の有効量(すなわち、有効投与量)は、治療上(すなわち、臨床的に)望ましい結果をもたらすために十分な量を意味する。組成物は日に1度又は2度以上から週に1度又は2度以上投与される場合があり、1日おきに1度を含む。疾病又は障害の重症度と、以前の処置と、被験者の一般的健康及び/又は年齢と、現在におけるその他の疾患とを含むがこれらに限られない特定の因子が、被験者を効果的に処置するのに必要とされる投与量及びタイミングに影響を及ぼす場合があることを当業者は理解する場合がある。さらに、本発明の化合物の治療上の有効量を用いた被験者の治療は、1回の治療又は一連の治療を含む場合がある。
処方
組成物を単独で投与することを可能にする一方、医薬品の処方として提供することが好ましい。活性成分が、前記処方の10重量%であるが、好ましくは5重量%を超えない量であり、より好ましくは0.1重量%から1重量%程度の量を含む場合があるが、局所投与では、0.001重量%から10重量%まで、例えば、処方の1重量%から2重量%までを含む場合がある。本発明の局所処方は1種類又は2種類以上の許容されるこれらの担体と及び任意の別の治療成分とともに活性成分を含む。担体は、処方のその他の成分と適合する意味で「許容され」、受容者に無害でなければならない。
局部投与のための適切な剤形は、眼、耳又は鼻への投与に適切な塗布剤と、ローション剤と、クリーム剤と、軟膏剤又はペースト剤と、ドロップ剤とのような治療が必要とされる部位に皮膚を介する浸透のための適切な液体又は半液体の調製物を含む。本発明に応じるドロップ剤は、滅菌水又は油性水溶液又は懸濁液を含む場合があり、殺菌剤及び/又は殺真菌剤及び/又はいずれかの別の適切な保存剤の適切な水溶液に活性成分を溶解することによって調製される場合があり、かつ、界面活性剤を含むことが好ましい。その後、結果として生じる溶液は濾過によって浄化及び滅菌され、無菌的手法によって容器に移される場合がある。ドロップ剤に含有するのに適切な殺菌剤及び殺真菌剤の例は、硝酸フェニル水銀又は酢酸フェニル水銀(0.002%)、塩化ベンザルコニウム(0.01%)及び酢酸クロルヘキシジン(0.01%)である。油性水溶液の調製物のための適切な溶媒は、グリセロール、希釈アルコール及びプロピレングリコールを含む。
本発明に従うローション剤は、皮膚又は眼に投与するのに適切なそれらのものを含む。眼用ローション剤は、任意に殺菌剤を含む滅菌水性溶液を含む場合があり、ドロップ剤の調製のためのこれらと類似した方法で調製する場合がある。皮膚への投与のためのローション剤又は塗布剤は、皮膚を急速に乾燥し、冷却する例えばアルコール又はアセトンなどの薬剤、及び/又は、例えばグリセロールか、例えばヒマシ油又は落花生油などの油かなどの保湿剤を含む場合がある。
本発明によるクリーム剤、軟膏剤又はペースト剤は、外服用の有効成分の半固体剤形である場合がある。これらは、微細化又は微粉末形状の有効成分を単独か、あるいは水性又は非水性流体の溶液又は懸濁液中に、適当な装置の助けを借りて、グリース状又は非グリース状の基剤と混合するかで製造される場合がある。基剤は、炭化水素、例えば、固形か、流動か又は液体パラフィン、グリセロール、蜜蝋、金属石けん;粘液;天然源の油、例えば、アーモンド、コーン、落花生、ヒマシ又はオリーブ油;プロピレングリコール又はマクロゲル(macrogels)などのアルコールと一緒にした羊毛脂又はその誘導体、あるいはステアリン酸又はオレイン酸などの脂肪酸からなる場合がある。前記剤形は、アニオン性界面活性剤か、カチオン性界面活性剤か、例えばソルビタンエステル又はそのポリオキシエチレン誘導体などの非イオン性界面活性剤かなどの任意の適当な界面活性剤を配合される場合がある。例えば天然ガムか、セルロースか、例えばケイ化シリカなどの無機材料かなどの沈殿防止剤と、例えばラノリンなどの他の成分とが含まれる場合がある。
本発明のさまざまな実施態様が以上に説明されたが、これらは、例示目的のために提供され、限定的に解釈するものではないと理解されるべきである。開示された実施態様についての多くの変更が、本発明の趣旨又は技術的範囲から逸脱することなしに本明細書に応じて行われる場合がある。したがって、本発明の技術的範囲は、上記の実施態様のいずれかによって限定されるべきではない。
本明細書で言及された文献全てが引用により取り込まれる。本出願で引用された全ての刊行物及び特許文献は、あたかも刊行物又は特許文献の各々が個別に表示されるように、同一の程度に全ての目的のために引用により取り込まれる。本明細書においてさまざまな引用文献を引用することによっては、特定の引用文献が本発明に対して「先行技術」でない旨を本発明の出願人は認める。本発明の組成物及び方法の実施態様は、以下の実施例で例示される。
実施例
以下の非限定的な例は、本発明の選択された実施態様を例示するために役立つ。比率の変化と、示された構成要素の要素の変更とが当業者に明らかとなるであろうし、本発明の実施態様の技術的範囲内であると理解されるであろう。
実施例1:可溶性uPARは糸球体疾患再発因子である。
材料及び方法:
抗体:抗活性型β3インテグリン(AP5)、(GTI);uPAR(FL−290)(Santa Cruz Biotechnology);シナプトポジンマウスモノクローナル抗体(Gl), シナプトポジンウサギポリクローナル(NT);QuantikineヒトuPARイムノアッセイキット(R&D Systems);suPARタンパク質。
動物及び処置:動物研究全ては、マサチューセッツ総合病院の研究動物管理小委員会によって承認され、プロトコル番号は2004N000289/2であった。Plaur−/−マウスはベルギーのルーベン大学から得られた;57BL/6マウスはジャクソン研究所から購入された。LPSマウスモデルは以前に説明されたように利用された(Reiser,J.ら,J.ClinInvest.113,1390−7(2004)。in vivo suPARタンパク質送達が体重1kgあたり1mg、尾静脈を介して雌のPlaur−/−マウス(n=6)に行われた。対照マウス(n=6)は同量のBSAを受けた。suPAR又はBSA注射前、注射8時間後及び注射24時間後の尿が採取された。尿タンパク質濃度はブラッドフォードアッセイ(Sigma)によって決定された。
右腎臓相互移植:本研究では、同一の週齢及び同一の体重域(7−8週齢、15−18g)6匹の57BL/6雌マウス及び6匹のPlaur−/−雌マウスがランダムに採用された。Plaur−/−マウスからの右腎臓が57BL/6マウスの右側へ移植され、その逆も同様に行われた。腎臓移植は、以前に説明されたように行われた(Coffman,T.ら,J.Immunol.151,425−435(1993);Han,W.R.,Murray−Segal,LJ.及びMottram,PX.Microsurgery.19,272−274(1999))。手術からの回復後、マウスはランダムに体重1kgあたり10mgのLPSで処置されたか、又は同量のPBSが対照に処理された。LPS注射の24時間後、マウスは屠殺され、腎臓は更なる分析のために取り出された。
患者:FSGS再発及び非再発患者は、マサチューセッツ総合病院腎臓移植センター及びジャクソン記念病院の患者である。募集に先行して、肉親からインフォームド・コンセントが得られ、本研究はそれぞれの治験審査委員会により同意された。
血清suPARの決定:血清suPAR濃度は、QuantikineヒトuPARイムノアッセイキットにより、以下の製造者のプロトコルで測定された。
免疫細胞化学:足細胞は以前に報告された通りに培養された(Sever,S.ら、J Clin. Invest.117,2095−2104(2007))。処置後、記載されたように、完全に分化した足細胞が固定され、免疫標識された。
透過型電子顕微鏡(TEM):TEMが標準プロトコルに従って行われた(Sever,S.ら、J Clin.Invest.117,2095−2104(2007))。
統計解析:統計解析は対応のある又は対応のないステューデントt検定を用いて行われた。帰無仮説が0.05レベルで棄却された。測定値は平均値±標準偏差値として提示される。
結果:
蛋白尿腎疾患における可溶性型uPARの役割が調べられた。培養足細胞に及ぼす精製されたsuPARタンパク質の影響がまず調べられた。完全に分化したマウス足細胞は1mlあたり1−5μgのヒトsuPARで24時間処置され、活性型αβインテグリンの抗体であることが実証されているAP5で細胞が染色された。ごく僅かなAP5染色を有する、PBS処置された対照細胞と対照的に、ヒトsuPARタンパク質で処理された細胞は、膜アンカーuPARと同様に、膜の上、特に先端において(図1A)、suPARタンパク質がαβインテグリンを活性化することを示す強いAP5染色を有する。
次に、suPARタンパク質の蛋白尿症発生に与える影響について調べられた。suPARタンパク質は体重1kgあたり1mgを尾静脈を介してPlaur−/−マウスに送達された。尿はsuPAR注射前(0時間)、注射8時間後及び注射24時間後に採取され、ブラッドフォードアッセイにより総タンパク質が測定された。図1Bで見られるように、尿タンパク質の増加レベルはsuPAR注射8時間後及びsuPARタンパク質送達24時間後までで観察され、マウスは著しい蛋白尿症を発生した。対照的に、同量のウシ血清アルブミン(BSA)を受けた対照マウスは全く蛋白脳症を発生しなかった。いずれかのsuPARが腎臓に蓄積するかどうかを見るために、Plaur−/−マウスが屠殺され、腎臓が凍結切片のため取り出され、免疫組織化学の処理がされた。広範なuPAR発現がsuPARタンパク質送達で処置された腎臓で見られた。広く用いられる足細胞マーカーであるシナプトポジンでの二重免疫染色はsuPARが主に足細胞に局在することを示した(図1E)。BSAで処置された対照腎臓でのuPAR発現又は沈殿物はなかった(図1E)。これらはsuPARタンパク質の送達は足細胞に沈殿することがあり、より重大なことには、そのことがPlaur−/−マウスにおいて蛋白尿症を誘発する場合があるということの根拠となる。suPARタンパク質送達をされた32837マウスの足細胞において、AP5及びシナプトポジンによる抗体二重免疫染色により、αβインテグリンの活性も調べられ、腎臓においては最小の活性化αβインテグリンのみ観察され、さらに足細胞ではより少数しか観察されなかった(図1D)BSA処置された対照と比較して、顕著に増加されていることが見られた。この発見は、その膜形態型のようなsuPARはαβインテグリンを活性化し、その結果、おそらくDOCK180を含む経路を介して低分子GTPase、Racを活性化することの根拠となっている上記のin vitroの研究と一致している。
さらに、蛋白尿症発生及び腎臓疾患におけるsuPARの役割を確かめるために、相互腎臓移植が行われ、内因性可溶性型uPARの影響が調べられた。右の腎臓が正常57BL/6マウスから摘出され、Plaur−/−マウスの右側に移植され、その逆も同様に行われた(図3A)。手術から回復した後、蛋白尿症を誘発するためのリポ多糖(LPS)を受けるか、又は対照のためPBSを受けるかのために、マウスはランダムに選択された。LPSで処置された57BL/6マウスでは、天然の57BL/6マウス腎臓(図1E)において、重要な足突起の消失が見られ、さらに興味深いことに、移植されたPlaur−/−マウス腎臓においても同様に(図1E)、大量の足突起の消失が観察された。PBSで処置された57BL/6マウスでは、しかし、移植されたPlaur−/−マウス腎臓又は天然の57BL/6マウス腎臓(図1E)のいずれにおいても足突起の消失が見られなかった。LPSで処理されたPlaur−/−マウスでは、移植された57BL/6マウス腎臓において、足突起の消失は容易に観察されるが、天然のPlaur−/−マウス腎臓では観察されない(図1F)。対照的に、PBS対照マウスの天然のPlaur−/−マウス腎臓又は移植された57BL/6マウス腎臓のいずれにおいても、足突起の消失は見られなかった(図1F)。これらのデータはLPSで処置された57BL/6マウスにおける移植されたPlaur−/−マウス腎臓で観察された足突起の消失が、手術自体が原因となるか、又は直接のLPSが原因となるかいずれでもないが、いくつかの循環する特別な腎臓因子が原因となっていることの根拠を構成する。suPARがその現象の原因となっているかどうかを決定するために、天然の及び移植された腎臓切片の両方がuPAR抗体で免疫染色された。PBS処置された57BL/6マウス腎臓足細胞で、最小のuPAR発現が見られたが、PBS処置されたPlaur−/−マウス腎臓では見られなかった。LPS処置された57BL/6マウスにおいて、天然の57BL/6マウス腎臓で、増加した足細胞uPAR発現が観察され、興味深いことに、移植されたPlaur−/−マウス腎臓の足細胞において、明らかなuPAR発現又は沈殿も観察された(図3B)。LPS処置されたPlaur−/−マウスにおいて、移植された57BL/6マウス腎臓で、増加したuPAR発現が見られたが、天然のPlaur−/−マウス腎臓の足細胞において、uPAR発現は全く見られなかった(図3E)。電子顕微鏡解析を組み合わせると、これらの結果は膜結合型uPARに加えて、LPSも、その結果腎臓へ行き、足細胞中に沈殿し、より重大な足突起の消失を誘発するsuPARの作成を誘発する場合があるということを示す。
足細胞生物学においては、ここ数十年多くの進歩を経験したが、ほとんどの蛋白尿腎疾患の基礎となる正確な病因は、これまで明らかではなかった。このことは巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)にも当てはまる。ポドシンか、ネフリンか、アルファ−アクチニン4か、TRPC6かを含む特定の分子の突然変異がいくつかの家族性FSGSの原因であると主張されてきたが、後天性FSGSの病因に関してはほとんど知られていなかった。FSGSは末期腎不全を頻繁に引き起こし、移植された腎臓の30−60%で顕著な再発を引き起こす。本明細書において、57BL/6マウス及びPlaur−/−マウスにおいて、suPAR足突起の消失及び蛋白尿症を誘発する場合があることが見られた。このことは、FSGS患者におけるsuPAR評価のための実験を次のセット(set)へ導く。FSGSのsuPARの血清レベルが患者において移植前に測定され、再発FSGS患者(n=14、5469±1837pg/ml)が非再発患者(n=4、3586±976pg/ml、P<0.022対再発)、及び正常被験者(n=8、1673±395pg/ml、P<0.001対再発)(図2A)よりも有意に高いsuPARレベルを有することが見られ、再発FSGSにおいて、suPARが原因因子である根拠づけとなっている。suPARの豊富なFSGS血清による影響についてさらに検討するため、血清が培養足細胞とともにインキュベーションされ、再発患者からのFSGS血清がαβインテグリンを活性化するが、正常被験者からの血清はαβインテグリンを活性化しない(図2B)ことがわかり、この結果は精製されたsuPARでも観察された(図1A)。
要約:57BL/6又はPlaur−/−マウスにおいて、αβインテグリン経路を活性化することを介してsuPARは足突起の消失と蛋白尿症とを誘発する。非再発FSGS及び正常被験者と比較して、再発FSGSでは、suPARレベルがより高い。精製されたsuPARタンパク質と同様に、suPARが豊富なFSGS血清はαβインテグリンを活性化することができた。suPARの小分子質量を考慮すると、これらの発見は、suPARがFSGS再発因子であることの根拠となる。suPARを除去又は阻害することが可能である場合は、移植生存を増強することを期待できる戦略を保証する。
本発明は、1つ又は2つ以上の実施態様に関して図示され、説明されたが、均等の変化及び改変は、この明細書及び添付図面を読み、理解することで当業者が想到するであろう。さらに、本発明の特定の特徴が多数の実施態様のうち1つのみに関して開示される場合がある際に、かかる特徴は、特定又は特別な用途のいずれかのために所望され、長所となる場合に、別の実施態様の1つ又は2つ以上の別の特徴と組み合わされる場合がある。
要約書の意図は、読者に技術的開示内容の性質を素早く確かめることができるようにすることである。要約書は、以下の請求項の範囲又は意味を解釈するか、あるいは限定するために用いられないであろうとの理解のもとに提示される。

Claims (28)

  1. 可溶性ウロキナーゼ受容体(suPAR)の活性及び/又は機能を抑制する、及び/又は、可溶性及び/又は膜結合型ウロキナーゼ受容体(uPAR)の発現及び/又はin vivoでウロキナーゼ受容体と関連する経路を変調する、薬剤の有効量を必要とする患者に投与するステップと、腎疾患又は腎障害を治療するステップとを含むことを特徴とする、腎疾患又は腎障害を治療する方法。
  2. 前記腎疾患又は腎障害は、足細胞疾患又は足細胞障害、蛋白尿症、糸球体疾患、膜性糸球体腎炎、巣状分節性糸球体腎炎、微小変化群、ネフローゼ症候群、子癇前症、子癇、腎臓損傷、膠原病性血管疾患、ストレス、激しい運動、良性起立性(体位性)蛋白尿症、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、IgA腎症、IgM腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、膜性腎症、サルコイドーシス、アルポート症候群、糖尿病、薬物が原因である腎臓損傷、ファブリー病、感染、アミノ酸尿症、ファンコニー症候群、高血圧性腎硬化症、間質性腎炎、鎌状赤血球貧血、血色素尿症、多発性骨髄腫、ミオグロビン尿、糖尿病性腎症(DN)、ループス腎炎、ウェゲナー肉芽腫症又は糖原病I型を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 可溶性及び/又は膜結合型ウロキナーゼ受容体の活性、発現及び/又は機能の阻害剤は、核酸、ウロキナーゼ受容体変異体、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、抗体、低分子、有機分子又は無機分子を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  4. ウロキナーゼ受容体変異体は、野生型可溶性ウロキナーゼ受容体分子の発現か、機能か、活性かを阻害することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  5. 前記可溶性ウロキナーゼ受容体阻害剤は、抗体か、アプタマーか、アンチセンスオリゴヌクレオチドか、天然の薬剤か、合成薬剤か、これらの組み合わせかを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  6. アンチセンスオリゴヌクレオチドは、アンチセンスRNAか、アンチセンスDNAか、キメラアンチセンスオリゴヌクレオチドか、改変された結合を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドか、干渉RNA(RNAi)か、短鎖干渉RNA(siRNA)か、マイクロ干渉RNA(miRNA)か、短鎖の一過的(temporal)RNA(stRNA)又は短鎖のヘアピンRNA(shRNA)か、低分子RNA誘導型の遺伝子活性化(RNAa)か、低分子活性化RNAs(saRNAs)か、これらの組み合わせかを含むことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
  7. 可溶性ウロキナーゼ受容体に特異的である抗体は、可溶性ウロキナーゼ受容体の機能又は活性を阻害又は抑制することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  8. 関連する経路における可溶性ウロキナーゼ受容体の活性、発現及び/又は機能の抑制は、αβインテグリン活性化、GTPase、Rac及び/又はその他の関連する分子及び経路を抑制することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  9. in vivoで、可溶性ウロキナーゼ受容体、機能及び/又は活性を変調する薬剤を同定する方法であって、
    前記可溶性ウロキナーゼ受容体を1種類又は2種類以上の薬剤と接触させるステップと、
    前記可溶性ウロキナーゼ受容体分子の物理的変化又は化学的変化を測定するステップと、
    in vivoで、uPAR−Lの発現、機能及び/又は活性を変調する薬剤を同定するステップとを含むことを特徴とする、方法。
  10. 物理的変化は、前記suPAR分子への結合か、suPAR分子における立体配座の変化か、1種類又は2種類以上の分子への結合活性の消失か、これらの組み合わせかを含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
  11. 化学的変化は、核酸の修飾か、アミノ酸の修飾か、スプライシングか、断片化(fragmenting)か、グリコシル化か、分解か、結合形成か、結合切断か、これらの組み合わせかを含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
  12. 正常対照と比較して、前記薬剤がin vivoでのsuPARの活性又は発現を低下させることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
  13. 可溶性ウロキナーゼ受容体分子(suPAR)の発現、機能及び/又は活性を変調する薬剤を同定する方法であって、
    腎臓細胞又は腎臓細胞株を培養するステップと、
    前記細胞を1種類又は2種類以上の薬剤と接触させるステップと、
    suPAR、発現、機能又は活性を測定するステップと、
    可溶性ウロキナーゼ受容体分子(suPAR)、発現、機能及び/又は活性を変調する薬剤を同定するステップとを含むことを特徴とする、方法。
  14. 正常対照と比較して、前記可溶性ウロキナーゼ受容体分子(suPAR)が薬剤によって少なくとも10%抑制されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
  15. 正常対照と比較して、前記可溶性ウロキナーゼ受容体分子(suPAR)が薬剤によって少なくとも約50%抑制されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
  16. 正常対照と比較して、前記可溶性ウロキナーゼ受容体分子(suPAR)が薬剤によって100%抑制されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
  17. 正常対照と比較して、前記薬剤が、可溶性ウロキナーゼ受容体分子(suPAR)の発現、機能及び/又は活性を少なくとも約1倍低下させることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
  18. 正常対照と比較して、前記薬剤が、可溶性ウロキナーゼ受容体分子(suPAR)の発現、機能及び/又は活性を少なくとも約5倍低下させることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
  19. 正常対照と比較して、前記薬剤が、可溶性ウロキナーゼ受容体分子(suPAR)の発現、機能及び/又は活性を1000倍まで低下させることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
  20. 医薬品組成物、及び/又は、1種類又は2種類以上の可溶性ウロキナーゼ受容体分子(suPAR)阻害剤、及び/又は、可溶性ウロキナーゼ受容体分子(suPAR)の発現、機能及び/又は活性の低下を抑制する薬剤を治療上の有効量含むことを特徴とする組成物。
  21. 蛋白尿を特徴とする疾患又は障害の診断、及び/又は、蛋白尿を特徴とする疾患又は障害を発症するリスクを有する人の同定のためのバイオマーカーであって、
    可溶性又は膜結合型ウロキナーゼ受容体分子(suPAR)か、そのバリアント、変異体又は断片かを含むことを特徴とする、バイオマーカー。
  22. 蛋白尿を特徴とする疾患又は障害を発症するリスクを有する人の同定は、少なくとも1つのバイオマーカーか、その断片かを検出することを特徴とする、請求項21に記載のバイオマーカー。
  23. 正常対照と比較して、蛋白尿を特徴とする疾患又は障害の発症が、可溶性ウロキナーゼ受容体(suPAR)分子の増大と関連づけられることを特徴とする、請求項21に記載のバイオマーカー。
  24. ウロキナーゼ受容体(suPAR)か、その変異体、バリアント、断片、誘導体又は類似体かに特異的であることを特徴とする、抗体又はアプタマー。
  25. 患者からの生物学的試料を、検出可能な標識抗suPAR抗体と接触させるステップと、患者の可溶性ウロキナーゼ受容体(suPAR)を測定するステップとを含むことを特徴とする、患者の可溶性ウロキナーゼ受容体(suPAR)を測定するためのアッセイ。
  26. 患者の可溶性suPARは、足細胞疾患又は足細胞障害、蛋白尿症、糸球体疾患、膜性糸球体腎炎、巣状分節性糸球体腎炎、微小変化群、ネフローゼ症候群、子癇前症、子癇、腎臓損傷、膠原病性血管疾患、ストレス、激しい運動、良性起立性(体位性)蛋白尿症、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、IgA腎症、IgM腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、膜性腎症、サルコイドーシス、アルポート症候群、糖尿病、薬物が原因である腎臓損傷、ファブリー病、感染、アミノ酸尿症、ファンコニー症候群、高血圧性腎硬化症、間質性腎炎、鎌状赤血球貧血、血色素尿症、多発性骨髄腫、ミオグロビン尿、糖尿病性腎症(DN)、ループス腎炎、ウェゲナー肉芽腫症又は糖原病I型を含む疾患の発症と関係づけられることを特徴とする、請求項25に記載のアッセイ。
  27. 患者又は患者の試料の可溶性uPARを検出するステップと、患者又は患者の試料のsuPAR量を腎臓疾患又は足細胞の消失と関係づけるステップと、腎臓疾患の患者を診断するステップとを含むことを特徴とする、腎臓疾患の患者を診断する方法。
  28. 前記腎臓疾患は、足細胞疾患又は足細胞障害、蛋白尿症、糸球体疾患、膜性糸球体腎炎、巣状分節性糸球体腎炎、微小変化群、ネフローゼ症候群、子癇前症、子癇、腎臓損傷、膠原病性血管疾患、ストレス、激しい運動、良性起立性(体位性)蛋白尿症、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、IgA腎症、IgM腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、膜性腎症、サルコイドーシス、アルポート症候群、糖尿病、薬物が原因である腎臓損傷、ファブリー病、感染、アミノ酸尿症、ファンコニー症候群、高血圧性腎硬化症、間質性腎炎、鎌状赤血球貧血、血色素尿症、多発性骨髄腫、ミオグロビン尿、糖尿病性腎症(DN)、ループス腎炎、ウェゲナー肉芽腫症又は糖原病I型を含むことを特徴とする、請求項27に記載の方法。
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