JP2012507262A - 窒素の摂取と利用が強化されたグルタミン酸デカルボキシラーゼ(gad)トランスジェニック植物 - Google Patents

窒素の摂取と利用が強化されたグルタミン酸デカルボキシラーゼ(gad)トランスジェニック植物 Download PDF

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Abstract

本発明は、オリザ・サティバ(栽培品種Rasi)から単離されたグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)遺伝子配列および植物における改善された窒素利用効率という形質を付与するそれらの対応するコードポリペプチドに関する。本発明はさらに、改善された窒素利用効率を有するトランスジェニック植物、植物細胞、植物材料、または植物の種子の作製におけるこれらの核酸分子およびポリペプチドの使用に関する。
【選択図】なし

Description

オリザ・サティバ(Oryza sativa)から単離されたグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)遺伝子配列および植物の窒素摂取と窒素利用効率を強化する方法。
作物用植物は過去1万年にわたって開発されてきたが、この間ほとんど多量施肥されなかった。しかしながら、ここ50年で、世界中の作物用植物の窒素施肥が20倍を超えて増加している。この肥料の使用は、一般に非効率的であり、約50%しか収穫される作物中に回収されない。作物用植物は、窒素栄養が高い条件下で進化したものではなく、その機構の多くは、必ずしもそのような栄養下での成長に適しているとは限らない。それゆえ、我々の知識や今日我々に利用可能な実験技術に基づいて、作物用植物による窒素利用の効率を改善することができるのかという疑問が生じる。2つの方法が可能であるように思われる。1つ目は、遺伝子プール中の利用可能な窒素利用特性の変異を最大限に利用すること、2つ目は、その変異を増大させ得る新たな遺伝子を導入することである。
植物による窒素利用効率の増加は、いくつかの有益な効果を有するであろう。例えば、窒素利用効率の高い植物は、貧窒素土壌で従来の植物よりも良好に成長し、収穫をあげることができるであろう。窒素効率の高い植物を使用すれば、作物に窒素肥料を添加する必要性が減るであろう。施肥は作物生産に伴う費用のかなりの割合を占めるので、そのような肥料使用の減少は、直接的な金銭的節約となるであろう。
施肥の減少はまた、大々的な窒素肥料使用によって生じる環境被害を軽減させるであろう。こうした窒素肥料使用の環境への有害な影響は、富栄養化の増加、酸性雨、土壌酸性化、および温室効果という形で現れる。
従来技術
基礎的な植物生化学と植物生理学によって、N供給との関連で作物生産システムをより良く理解する手段が提供されている。二酸化炭素(CO)および硝酸(NO )の同化とそれらの動態の相互作用は、作物生産に決定的に重要である。NO の十分な供給、そのアミノ酸への同化(これには光合成炭素化合物が必要とされる)、およびそれらのタンパク質合成への利用可能性は、代謝に必要不可欠である。NO の十分な供給により、葉の成長と光合成が刺激されるが、前者は細胞の成長と分裂によって、後者は光反応のより多くの構成要素と、CO同化および関連プロセスのより多くの構成要素とによって行なわれる。しかしながら、代謝と収量の関連性は定量化しにくい。肥料Nの適用、Nの利用効率、および収量を改善するためには、生化学的特徴とシミュレーションモデルをよりうまく利用し、組み合わせなければならない。Nが十分にあり、遺伝的能力が十分に発揮されれば、単位N当たりより多くのC同化によって、バイオマスが増加するであろう。
遺伝的潜在能力は、環境的制約が取り除かれたときに、植物がバイオマスを形成するまたは収穫をあげる全能力として定義し得る。育種家および農学者は生産力と呼ぶことが多いが、いかにして作物の潜在的成長を増加させ得るかを考える場合は、総生産量の方がより関連性がある。生産力は、タンパク質の特性を特定する遺伝情報、それが決定する構造、成長や発達、およびその系が成長できる大きさの関数である。成長周期を通したこの最大限の大きさを遺伝的潜在能力と呼び得る。
本質的な点は、遺伝的潜在能力に達するのに必要とされるよりもN供給が少ないとき、より多くのバイオマスを得るために増加させなければならないのはN摂取であるということである。あるいは、蓄積したNの単位当たりのC同化を増加させることができ、その結果として、より少ないN蓄積からより多くのバイオマスが得られるであろう。バイオマスの遺伝的潜在能力を高めるのは、理論的には、C/N比の増加を犠牲にして、蓄積したN当たりのC同化を増加させることによって達成することができる。これは、十分な光エネルギーが利用可能であることを前提としたものである。C同化とのバランスを変化させずに、より多くのNが同化されるならば、これによって、理論的には、バイオマスが増加し、かつ現在のC/N比が維持されることになるであろう。
植物学者は、栄養をより効率的に吸収および利用する作物を開発する必要性を長く認識してきた。作物用植物での栄養利用効率(NUE)を増加させるために2つのアプローチが用いられている。1つ目は、伝統的な育種と、関与する遺伝子を同定するためのマーカー利用選抜の両方を含む。2つ目は、NUEの特定の側面を改善するように設計された新規の遺伝子コンストラクトを使用する。
硝酸還元酵素
窒素同化経路の2つの連続する酵素段階によって、硝酸がアンモニアに還元される。硝酸は、硝酸還元酵素(NR)によってまず亜硝酸に変換され、その後、亜硝酸は細胞質から葉緑体に移され、そこで亜硝酸還元酵素(NiR)によってアンモニアに還元される。NR遺伝子の発現は、植物中のいくつかの内在性因子と環境因子により影響を受け、転写レベル、翻訳レベル、および翻訳後レベルで高度に調節される。要するに、NRの過剰発現は、解析される組織中の硝酸のレベルを低下させるように思われる。植物中でのNR遺伝子またはNiR遺伝子のいずれかの過剰発現は、mRNAレベルを増加させることが示唆されており、N摂取に影響を及ぼすことが多い。 しかしながら、N摂取の増加は、利用可能な窒素源が何であれ、植物の生産量または成長を増加させないように思われる。これは、1つには、NRおよびその経路の調節が全体として複雑であることが原因であると考えられる。
グルタミン合成酵素およびグルタミン酸合成酵素
高等植物のアンモニア同化におけるグルタミン合成酵素(GS)とグルタミン酸合成酵素(GOGAT)という酵素対の主な役割の発見[Miflin & Lea,1976]の後、いくつかの研究室が、この経路の調節を制御するメカニズムを理解することに焦点を当てている[Harrison et al.,2000]。さらに、これらのタンパク質の植物発達への影響を明らかにするために、およびGS多重遺伝子ファミリーの異なるメンバーの発現を研究するために、GS/GOGATのレベルを変化させた突然変異体またはトランスジェニック植物が作製されている。いくつかの研究から、トランスジェニック植物におけるGS活性の増強とバイオマスまたは収量の直接的相関が示されている。GSに比べ、GOGAT遺伝子を過剰発現するトランスジェニック植物の産生を記載した報告はわずかしかない。アルファルファGOGAT遺伝子を過剰発現するトランスジェニック植物は、GOGATタンパク質含有量の増加を示したが、 この形質と関連する表現型を少しも示さなかった。
GABAシャント
γ−アミノ酪酸(GABA)は、細菌から植物および脊椎動物まで保存されている4炭素非タンパク質アミノ酸である。GABAは遊離アミノ酸プールの重要な成分である。GABAは、α−炭素上ではなくγ−炭素上にアミノ基を有し、非結合形態で存在する。GABAは水によく溶け、構造的には、プロリンに似た環状構造を含む、いくつかの立体構造を溶液中でとることができる柔軟な分子である。GABAは、生理的pH値(pK値4.03および10.56)で双性イオンとなる(正負両方の電荷を持つ)。
GABAは半世紀余り前に植物で発見されたが、GABAが脳で高レベルに生じ、神経伝達において大きな役割を果たすことが明らかになったとき、GABAへの関心は動物に移った。それ以来、脊椎動物のGABAに関する研究は、特に神経伝達における、シグナル伝達分子としてのその役割に主に焦点が当てられた。植物および動物において、GABAは、GABAシャントと呼ばれる、3つの酵素から構成される短い経路を介して主に代謝されるが、それは、この経路がトリカルボン酸(TCA)回路の2つの段階を迂回するからである。この経路は、細胞質酵素のグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)ならびにミトコンドリア酵素のGABAトランスアミナーゼ(GABA−T)およびコハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ(SSADH)から構成されている。この保存された代謝経路の調節は、植物の独自の特徴を有しているように思われる。
GABAを介してグルタミン酸をコハク酸に変換する経路はGABAシャントと呼ばれる。このシャントの第1の段階は、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD、EC 4.1.1.15)による直接的かつ不可逆的なグルタミン酸のα−脱カルボキシル化である。インビトロでのGAD活性は、多くの植物種および植物組織からの粗抽出物で特徴解析されている(Brown & Shelp,1989)。GADは、L−グルタミン酸に特異的であり、リピドキサル5’−リン酸依存的であり、スルフヒドリル基と反応することが知られている試薬によって阻害され、カルモジュリン結合ドメインを有し、約5.8のはっきりとした酸性至適pHを示す。ペチュニア(Baum et al.,1993)、トマト(Gallego et al.,1995)、タバコ(Yu & Oh,1998)、およびアラビドプシス(Zik et al.,1998)由来のGAD遺伝子が同定されている。GABAシャントに関与する第2の酵素であるGABAトランスアミナーゼ(GABA−T;EC 2.6.1.19)は、ピルビン酸またはα−ケトグルタル酸のいずれかをアミノ酸受容体として用いて、GABAのコハク酸セミアルデヒドへの可逆的変換を触媒する。粗抽出物では、インビトロでのGABA−T活性は、α−ケトグルタル酸よりもピルビン酸を好むように見える。しかしながら、別個のピルビン酸依存的活性とα−ケトグルタル酸依存的活性とがタバコ葉の粗抽出物中に存在しており、これらはイオン交換クロマトグラフィーで互いに分離することができる(Van Cauwenberghe & Shelp)。両活性とも、8〜10の幅広い至適pHを示す。約1000倍に精製された、タバコ由来のピルビン酸特異的ミトコンドリアGABA−Tのミカエリス定数(Km)は、GABAについては1.2mM、ピルビン酸については0.24mMである(Van Cauwenberghe & Shelp)。
GABAシャントの最後の段階は、コハク酸セミアルデヒドをコハク酸に不可逆的に酸化する、コハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ(SSADH;EC 1.2.1.16)によって触媒される。部分精製された植物酵素は、約9のアルカリ性至適pHを有し、活性は、NADを用いる方がNADPを用いるよりも最大20倍大きい(Shelp et al.,1995)。
実際のところ、植物のGABAシャントへの関心は、主に、GABAが生物ストレスと非生物ストレスに応答して大量にかつ速やかに産生されるという実験的観察から起こった。それ以来、GABAシャントは、細胞質pHの調節、TCA回路への炭素移動、窒素代謝、虫の抑止、酸化ストレスからの保護、浸透圧調節、およびシグナル伝達をはじめとする様々な生理的応答と関連付けられている。
本発明において、本発明者らは、植物でGABAが発見されて以来今日まで蓄積されてきたこれらのおよび他の知見と、主にアラビドプシスの機能ゲノミクスアプローチから得られた、植物でのシグナル分子としてのGABAの果たし得る役割、ならびに植物のストレス応答における役割および炭素:窒素(C:N)バランスにおける役割を指摘した最近の証拠とを結び付けている。
本発明は、グルタミン酸デカルボキシラーゼ遺伝子のアグロバクテリウム媒介性形質転換によって植物(単子葉植物および双子葉植物)における窒素利用効率を増加させる方法に関する。さらに、本発明は、植物を改変して窒素利用効率に関する遺伝子を発現させる方法、およびこの方法を用いて産生された植物に関する。
今回初めて、グルタミン酸デカルボキシラーゼ遺伝子を用いて植物の窒素摂取と窒素利用効率を増加させる方法が示されている。さらに、硝酸還元酵素、亜硝酸還元酵素、グルタミン合成酵素、またはグルタミン酸デヒドロゲナーゼのような遺伝子が用いられている。GABAシャント経路に関与する遺伝子、特にグルタミン酸デカルボキシラーゼを用いて植物の窒素利用効率を増加させる試みは今日まで行なわれていない。多くの研究が、植物の炭素・窒素バランスや窒素同化におけるグルタミン酸デヒドロゲナーゼ酵素の作用に焦点を当てており、グルタミン酸デヒドロゲナーゼの重要性が見直されている(Miflin & Habash 2002)。しかしながら、過去の試みは、イネ由来の2つのグルタミン酸デカルボキシラーゼ遺伝子であるOsGAD1とOsGAD2に対して行なわれたものであり、これらの遺伝子がアグロバクテリウムを介してイネカルスに同時に導入され、矮小発育、黄化葉、および不稔などの異常な表現型を有するイネ植物を産生するトランスジェニック細胞株が樹立された(Akama & Takaiwa,2007)。
それゆえ、低窒素条件下で成長するときに効率的に窒素を利用する必要性が存在する。
グルタミン酸デカルボキシラーゼをコードするDNA配列を有する植物形質転換ベクターを示す。 アグロバクテリウム媒介性遺伝子導入を介したGAD遺伝子によるタバコ葉の形質転換の様々な段階を示す。 様々なプライマー組合せ、すなわち、a)HygR遺伝子フォワードおよびリバースプライマー;b)遺伝子特異的フォワードおよびリバースプライマー、ならびにc)遺伝子フォワードおよびNOSリバースプライマーを用いて、GAD遺伝子で形質転換され、再生されたタバコのT0苗のPCRによる確認を示す。 GAD遺伝子特異的なフォワードプライマーとリバースプライマーを用いて、cDNAを鋳型とするRT-PCRを用いて解析されたGAD遺伝子を有するタバコのT0苗における導入遺伝子(GAD)の発現確認を示す。 対照植物と比較したT0世代の様々なトランスジェニック植物の葉における全体の窒素含有量パーセントを示す。 N源を含まないが、一方で、Nが様々な濃度の硝酸アンモニウム(2、4、および8mM)として個別に与えられる1/10 MS培地を補充して温室で成長させ、クロロフィル含有量について野生型と比較した3つのGADトランスジェニック体(D1A、E2、およびH1)由来のT1苗の植物N状態を示す。ミノルタSPADメーターを用いて測定し、SPAD単位として表した。これらの値は、5本の苗(生物学的試料)と各々の苗(実験試料)に対する3回の測定とから得られたものである。 N源を含まないが、一方で、Nが様々な濃度の硝酸カリウム(2、4、および8mM)として個別に与えられる1/10 MS培地を補充して温室で成長させ、クロロフィル含有量について野生型と比較した3つのGADトランスジェニック体(D1A、E2、およびH1)由来のT1苗の植物N状態を示す。ミノルタSPADメーターを用いて測定し、SPAD単位として表した。これらの値は、5本の苗(生物学的試料)と各々の苗(実験試料)に対する3回の測定とから得られたものである。 様々なレベルのN肥料(100%推奨用量(RD)、50%RD、および10%RD)と一定レベルのP肥料およびK肥料とを含む温室の植木鉢で成長させたときのハイグロマイシン耐性陽性のGADトランスジェニック体(H1)由来のT1苗と野生型苗の草高の比較を示す。 様々なレベルのN肥料(100%推奨用量(RD)、50%RD、および10%RD)と一定レベルのP肥料およびK肥料とを含む温室の植木鉢で成長させたときのハイグロマイシン耐性陽性のGADトランスジェニック体(H1)由来のT1苗と野生型苗の節間距離の比較を示す。 様々なレベルのN肥料(100%推奨用量(RD)、50%RD、および10%RD)と一定レベルのP肥料およびK肥料とを含む温室の植木鉢で成長させたときのハイグロマイシン耐性陽性のGADトランスジェニック体(H1)由来のT1苗と野生型苗の枝の数の比較を示す。 様々なレベルのN肥料(100%推奨用量(RD)、50%RD、および10%RD)と一定レベルのP肥料およびK肥料とを含む温室の植木鉢で成長させたときのハイグロマイシン耐性陽性のGADトランスジェニック体(H1)由来のT1苗と野生型苗の葉の数の比較を示す。 様々なレベルのN肥料(100%推奨用量(RD)、50%RD、および10%RD)と一定レベルのP肥料およびK肥料とを含む温室の植木鉢で成長させたときのハイグロマイシン耐性陽性のGADトランスジェニック体(H1)由来のT1苗と野生型苗の茎の周囲長の比較を示す。 様々なレベルのN肥料(100%推奨用量(RD)、50%RD、および10%RD)と一定レベルのP肥料およびK肥料とを含む温室の植木鉢で成長させたときのハイグロマイシン耐性陽性のGADトランスジェニック体(H1)由来のT1苗と野生型苗の葉面積の比較を示す。 様々なレベルのN肥料(100%推奨用量(RD)、50%RD、および10%RD)と一定レベルのP肥料およびK肥料とを含む温室の植木鉢で成長させたときのハイグロマイシン耐性陽性のGADトランスジェニック体(H1)由来のT1苗と野生型苗の乾燥重量ベースでの総バイオマス(葉、茎、および根)の比較を示す。 様々なレベルのN肥料(100%推奨用量(RD)、50%RD、および10%RD)と一定レベルのP肥料およびK肥料とを含む温室の植木鉢で成長させたときのハイグロマイシン耐性陽性のGADトランスジェニック体(H1)由来のT1苗と野生型苗の単位乾燥重量ベースでの葉の総N%の比較を示す。 様々なレベルのN肥料(100%推奨用量(RD)、50%RD、および10%RD)と一定レベルのP肥料およびK肥料とを含む温室の植木鉢で成長させたときのハイグロマイシン耐性陽性のGADトランスジェニック体(H1)由来のT1苗と野生型苗の単位乾燥重量ベースでの窒素利用効率(NUE)の比較を示す。 様々なレベルのN肥料(100%推奨用量(RD)、50%RD、および10%RD)と一定レベルのP肥料およびK肥料とを含む温室の植木鉢で成長させたときのハイグロマイシン耐性陽性のGADトランスジェニック体(H1)由来のT1苗と野生型苗の総穀粒収量の比較を示す。
以下の本発明の詳細な説明は、当業者が本発明を実施するのに役立つように提供されている。それでも、本明細書で論じられる実施形態の変更および改変が、本発明の精神または範囲から逸脱することなく当業者によってなされ得るので、以下の本発明の詳細な説明は、本発明を過度に限定するものとみなされるべきではない。
本発明は、グルタミン酸デカルボキシラーゼの特徴を有する精製および単離されたDNA配列に関する。
本発明によれば、この精製および単離されたDNA配列は、通常、グルタミン酸デカルボキシラーゼのヌクレオチド配列またはその断片からなる。
任意の手段で産生することができる、上記の配列または断片の相補配列も同様に、本発明に含まれる。
上記の配列の変異体、すなわち、1つ以上のヌクレオチドが同じ特徴を有する別のヌクレオチドにより置換される保存的ヌクレオチド置換によって参照配列と異なっているヌクレオチド配列が本発明に包含される。
本発明によれば、上記のヌクレオチド配列は、発現ベクター内でプロモーターと目的の遺伝子とを含む配列の5’末端と3’末端の両方に位置することができる。
本発明に含まれるのは、本発明の産生される植物の窒素利用効率を増加させるときの上記の配列の使用である。「窒素利用効率」とは、好適な条件下で宿主植物にDNA配列を導入した後、この配列が、該DNA配列をトランスフェクトしていない対照植物と比較して、植物中の窒素レベルを増大させることができることを意味する。
以下の定義は本発明の理解を助けるために用いられる。
「染色体」とは、細胞の内部に見られるDNAとタンパク質の組織化された構造体のことである。
「クロマチン」とは、真核細胞の核の内部に見られるDNAとタンパク質の複合体のことであり、これによって染色体が構成されている。
「DNA」またはデオキシリボ核酸は、遺伝情報を含む。これは、様々なヌクレオチドで構成されている。
「遺伝子」とは、所与の成熟タンパク質をコードするデオキシリボヌクレオチド(DNA)配列のことである。「遺伝子」は、RNA転写開始シグナル、ポリアデニル化付加部位、プロモーター、またはエンハンサーなどの、非翻訳隣接領域を含まないものとする。
「プロモーター」とは、遺伝子の発現を制御する核酸配列のことである。
「エンハンサー」とは、遺伝子の位置または方向とは無関係に遺伝子の転写を開始するように働く遺伝子の配列を指す。
本明細書における「ベクター」の定義は、その中に外来DNA断片を挿入し得るDNA分子を指す。ベクターは、通常、プラスミドから得られるが、これは、DNA断片を宿主細胞内に運ぶ「分子キャリア」のように機能する。
「プラスミド」とは、細菌やいくつかの他の生物に見られる小さいDNA環のことである。プラスミドは、宿主細胞染色体とは独立に複製することができる。
「転写」とは、DNA鋳型からのRNAの合成を指す。
「翻訳」とは、メッセンジャーRNAからのポリペプチドの合成を意味する。
「方向」とは、DNA配列中のヌクレオチドの順序を指す。
「遺伝子増幅」とは、他の遺伝子のコピー数を比例的に増加させることなく、特定の遺伝子を繰り返し複製することを指す。
「形質転換」とは、任意の導入手段によって外来遺伝物質(DNA)を植物細胞に導入することを意味する。様々な形質転換方法には、遺伝子銃による衝撃(バイオリスティック)、エレクトロポレーション、アグロバクテリウム媒介性形質転換などが含まれる。
「形質転換植物」とは、外来DNAが該植物に導入されている植物を指す。このDNAは宿主染色体の一部となる。
「安定な遺伝子発現」とは、目的の遺伝子を永久に発現する安定な形質転換植物の調製が、プラスミドの宿主染色体への安定な組込みに依存することを意味する。
本発明は、広く上で定義された通りのものであるが、本発明はそれらのものに限定されるものではないこと、および本発明は以下の説明によって例が示される実施形態も含むことが当業者には理解されるであろう。
実施例1
イネ由来のGAD遺伝子ヌクレオチド配列の単離および精製ならびに植物形質転換ベクターの構築
GAD遺伝子を35Sカリフラワーモザイクウイルスプロモーターの下流にクローニングし、NOSターミネーターで終結させる。これらのプロモーターおよびターミネーターは全て機能的に連結されている。
植物材料
オリザ・サティバ(栽培品種Rasi)を核酸の調製に使用した。発芽した後、種子を培養室の水耕溶液中で成長させた。苗を150mMのNaClで7〜16時間処理した。
RNA抽出およびESTライブラリー構築
RNAを苗全体から抽出した。塩ストレスを与えたRasiのcDNAのESTライブラリーを構築した。グルタミン酸デカルボキシラーゼとの同一性を示すESTをESTライブラリーから同定した。
GABAシャント内の遺伝子の同定および単離
高等植物では、酸性化、酸素欠乏、低温、熱ショック、機械的刺激、病原菌による攻撃、渇水、および塩ストレスなどの種々のストレスの発生後にGABAが蓄積する。GABAシャント内の遺伝子であるグルタミン酸デカルボキシラーゼは、塩ストレスを与えたO.サティバのライブラリーから単離された。
グルタミン酸デカルボキシラーゼ遺伝子のクローニング
グルタミン酸デカルボキシラーゼ遺伝子をクローニングベクターにクローニングし、構成的プロモーターの下にある植物形質転換ベクター(バイオリスティックおよびバイナリー)にもクローニングした。グルタミン酸デカルボキシラーゼ遺伝子の完全なコード配列をコードするcDNAを、BglII制限酵素部位およびEcoRI制限酵素部位(下線を付したヌクレオチド配列)でタグを付けた以下のプライマー対を用いてインディカイネ(栽培品種Rasi)のcDNAから増幅した。
フォワード:5'−GCGGATCCATGGTGCTCTCCAAGGCCGTCTC−3'
リバース:5'−GCGAATTCCTAGCAGACGCCGTTGGTCCTCTTG−3'
以下のPCR条件を用いる。94℃、1分;94℃、30秒;75℃、3分(5サイクル);94℃、30秒;68℃、3分(30サイクル)、最後の伸張は68℃、7分。
増幅されたcDNAは1479塩基対のヌクレオチドからなり、成熟グルタミン酸デカルボキシラーゼ酵素をコードする。
増幅された断片をpGEMT easyベクターにクローニングした。遺伝子をBamHI部位とEcoRI部位で制限消化し、バイオリスティックベクターpV1に連結した。このバイオリスティックベクターをBglII制限部位とEcoRI制限部位で切り出し(BglII酵素とBamHI酵素はアイソシゾマーである)、遺伝子の存在を確認した。遺伝子をシーケンシングでも確認した。得られたベクター(pV1−GAD)は、選択マーカーとしてのアンピシリン耐性遺伝子とともに、35Sカリフラワーモザイクウイルス(35S CaMV)プロモーターで駆動されるGAD遺伝子(1.479kb)とNOSターミネーターとを有する。
35S CaMVプロモーターで駆動され、NOSターミネーターによって終結させられる、pV1−GD由来のGAD遺伝子の遺伝子カセットをHindIII部位とBamHI部位で制限消化した。この遺伝子カセットを、HindIII部位とBamHI部位で制限消化したpCAMBIA 1390 pNG15に連結した。得られたベクター(pAPTV 1390−GAD)は、選択マーカーとしてのnptII(カナマイシン耐性)遺伝子およびhph遺伝子(ハイグロマイシン耐性)とともに、35Sカリフラワーモザイクウイルス(35S CaMV)プロモーターで駆動され、NOSターミネーターによって終結させられるGAD遺伝子(1.479kb)を有する(図1)。
実施例2
変化したGAD遺伝子を有し、より高いN含有量を有する植物の作製
植物形質転換
遺伝子が同定されたという考えを証明するために、アグロバクテリウムを介してグルタミン酸デカルボキシラーゼ遺伝子をタバコ(モデル植物)に形質転換した。
GAD遺伝子を含むバイナリーベクターによるタバコ葉外植片のアグロバクテリウム媒介性形質転換に関わる詳細な工程:
1.ベクター骨格がKan耐性遺伝子とRif耐性遺伝子(これらは1回で終わる二重選択としても機能する)からなるので、アグロバクテリウムの陽性コロニーを、50mg/Lのカナマイシン(Kan)と10mg/Lのリファマイシン(Rif)を含むLBブロスに播種した。
2.次に、このブロスを、シェーカー上で、28℃でインキュベートした。
3.午前中に、一晩成長させたコロニーを、50mg/LのKanと10mg/LのRifを含む50mLのLBブロスに播種し、28℃で3〜4時間インキュベートし、600nmでODをチェックし、ODが0.6〜1になるまで成長させ続けた。
4.ブロスが所要のODに達した時点で、このブロスを5000rpmで5分間遠心分離した。
5.上清を捨て、細胞ペレットをMurashige & Skooge(MS)液体培地(Agro−MSブロス)に溶かした。
6.タバコの葉を、中肋を取らずに四角い小片(これは外植片の役割を果たした)に切り、注意を払って、播種物の中心部分にあまり傷をつけないようにして、葉の四方に傷をつけた。
7.これらの葉試料をBODインキュベーター内のMS無添加培地中に2日間置いた。播種の2日後、これらの葉試料に、形質転換したアグロバクテリウム細胞(この時、これはAgro−MSブロス中に入れられている)を感染させた。
8.葉の外植片をこのAgro−MSブロス中に30分間置いた後、それらを共栽培培地(これは、MS+1mg/L 6−ベンジルアミノプリン塩酸塩(BAP)+0.2mg/L ナフタレン酢酸(NAA)+250mg/L セフォタキシムからなる)上に2日間置いた(図2a)。
9.共栽培の後、外植片を第1の選択培地(これは、MS+1mg/L BAP+0.2mg/L NAA+40mg Hyg+250mg/L セフォタキシムからなる)中で15日間維持し、カルスが隆起し始めたとき、カルスを十分成熟させるために、これらの外植片を第1の選択培地上で再び継代培養した(図2b)。
10.カルスが成熟したことが分かった時点で、これらのカルスを第2の選択培地(これは、MS+1mg/L BAP+0.2mg/L NAA+50mg Hyg+250mg/L セフォタキシムからなる)上に播種した。ハイグロマイシン濃度が増加しているので、第1の選択を逃れたものが抑制されるようになり、形質転換カルスのみがこの培地上で生存し始める。
11.その後、この第2の培地上で継代培養を10日間で1回行なった。
12.この時までに、小植物体がカルスから隆起し始めた。第2の選択から得た小植物体を採取し、発根培地(これは、1/2 MS+0.2mg/L インドール−3−酪酸(IBA)からなる)上に置いた。ここで、これらの小植物体は12〜15日までに根を突き出し始めた。逃れたものをこの段階でも同定することができるので、成熟根が形成された時点で、20mg/Lのハイグロマイシンを含む発根培地上で植物を継代培養した(図2c)。
13.この段階の植物を、植物がその成長室環境に適応するように瓶の蓋を2日間開けたままにして、環境に順応させた。その後、寒天培地から得た植物を取って、1/4 MS液体培地中に2日間置いた。これらの植物をさらにバーミキュライト上に移し、1週間毎日水をやった。
14.植物の状態に応じて、好適な植物を温室に移した。
15.植物を温室に移す前の環境順応期に、植物から古い葉を採集した。
16.それぞれの葉試料からDNAを抽出し、遺伝子特異的プライマーと、選択マーカー遺伝子、すなわち、ハイグロマイシンのプライマーとを用いてPCRを行なった。PCRで確認した陽性植物をさらに温室に移した。
導入GAD遺伝子を有する植物の確認
GADタバコトランスジェニック株のゲノムDNA抽出
トランスジェニックGADタバコ植物の葉試料を採集し、ゲノムDNAを抽出した。
ゲノムDNA抽出の手順:
・約1gmの葉を各植物から採集した。
・液体窒素を用いて乳棒と乳鉢で試料をすりつぶした。
・1mlの抽出バッファー(Extraction buffer)(0.2M Tris Cl pH8.0;2M NaCl;0.05M EDTA;2% CTAB)を試料に加え、13000rpmで10分間回転させた。
・上清を回収した。RNアーゼ[1mlに対して3μl(1mg/mL)]を加え、37℃で30分間インキュベートした。
・次に、等量のクロロホルム−イソアミルアルコールを加え、13000rpmで10分間回転させた。上清を新しいチューブに回収し、等量の冷イソプロパノールを加え、13000rpmで10分間回転させた。
・ペレットを70%アルコールで洗浄し、ペレットを乾燥させ、オートクレーブした温水30μlに溶かした。
・1μlのDNAを充填し、ゲル上でチェックした。
トランスジェニック植物を、様々なプライマー組合せを用いるPCRによって確認した:
1.ハイグロマイシンフォワード(Hyg F)プライマーとハイグロマイシンリバース(Hyg R)プライマーを用いるPCR:
Figure 2012507262

PCR条件:(エッペンドルフ装置)
Figure 2012507262
図3aに示すように、増幅産物を0.8%アガロースゲルで可視化した。
2.遺伝子特異的プライマーのGADフォワード(GD F)とGADリバース(GD R)を用いるPCR:
Figure 2012507262

PCR条件:(エッペンドルフ装置)
Figure 2012507262
増幅産物を0.8%アガロースゲルで可視化した(図3b)。
3.GD FとNos MRを用いるPCR:
Figure 2012507262

PCR条件:(エッペンドルフ装置)
Figure 2012507262
図3cに示すように、増幅産物を0.8%アガロースゲルで可視化した。
様々なPCR反応で使用されるプライマー配列を以下に列挙する:
Hyg F:5'−CTGAACTCACCGCGACGTCT−3'
Hyg R:5'−CCACTATCGGCGAGTACTTC−3'
GD F:5'−GCGGATCCATGGTGCTCTCCAAGGCCGTCTC−3'
GD R:5'−GCGAATTCCTAGCAGACGCCGTTGGTCCTCTTG−3'
NOS MR:5'−GATAATCATCGCAAGACCGGCAAC−3'
トランスジェニック植物における導入GAD遺伝子発現の確認
導入GAD遺伝子発現の確認は、RNA抽出、cDNA合成、および逆転写PCRのような工程を含んだ。
対照植物(野生型)とともにトランスジェニックGADタバコ植物のRNAを単離した。
RNA抽出に関わる詳細な工程:
1.500mgの葉組織を予冷した乳鉢にとり、液体窒素中ですり潰して、細かい粉末にした。
2.冷やしたスパチュラを用いて、粉末を予冷したエッペンドルフチューブに移した。
3.ホモジナイズした試料に1mlのTrizol溶液(Invitrogen)を加えた。よく混合し、室温(RT)で5分間インキュベートした。
4.これに200μlのクロロホルムを加え、15秒間激しく振盪させ、室温で5分間インキュベートした。
5.試料を13000rpmで15分間、4℃にて遠心分離した。
6.上部の水相を新しいチューブに回収した(約60%、すなわち、600μl)。
7.回収した上部相に500μlの冷イソプロパノールを加え、RTで10分間インキュベートした。
8.試料を13000rpmで15分間、4℃にて遠心分離した。
9.上清をデカントで捨て、ペレットを500ulの70%アルコール(DEPC HO)で洗浄し、10000rpmで5分間、4℃にて遠心分離した。
10.上清をデカントで捨て、ペレットをRTで15分間乾燥させた。
11.ペレットを、55℃に設定された加熱式のウォーターバスまたはドライバス中で20μlのDEPC処理HOに溶かした。
12.2μlの試料をゲルに充填した。試料をさらに使用するまで−80℃で保存した。
cDNA合成に関わる詳細な工程:
野生型とともにトランスジェニックGADタバコ植物のcDNA合成を行なった。
1.構成要素を以下に示す順序で加えた。
トータルRNA :4ul(1ug)
オリゴdT :0.5ul
0.1%DEPC/ヌクレアーゼフリー水 :6.5ul
合計 :11ul
2.内容物を70℃で5分間、PCR装置で加熱し、氷中で素早く冷却した。
3.一方、以下の構成要素を別のチューブに加えることにより、次の混合物を調製した。
5×反応バッファー :4ul
dNTP(10mM) :2ul
RNアーゼ阻害剤(20U/ul) :0.5ul
0.1%DEPC/ヌクレアーゼフリー水 :2ul
合計 :8.5ul
4.この8.5ulの混合物を、素早く冷却したPCRチューブ中の内容物に加え、穏やかにタッピングして混合した。
5.内容物を、PCRチューブ中、37℃で5分間、PCR装置でインキュベートした。
6.0.5ulのM−MuLV RT酵素をチューブに加え、PCR装置で設定されたプログラムを継続した(25℃、10分;37℃、60分、および70℃、10分)。
7.PCRでさらに使用するまでcDNAを−20℃で保存した。
RT−PCRによるトランスジェニックタバコ植物における導入GAD遺伝子発現の解析
タバコにおける導入GAD遺伝子の発現をチェックするために、GADトランスジェニックタバコおよび野生型植物由来のcDNA試料を、遺伝子特異的プライマーを用いるPCRで解析した。
遺伝子特異的プライマーを用いるcDNAのPCR:
Figure 2012507262

PCR条件:(エッペンドルフ装置)
Figure 2012507262
図4に示すように、増幅産物を0.8%アガロースゲルで可視化した。
T0植物中の窒素の測定
葉の窒素含有量について、野生型とともにT0 GADタバコ植物の解析を行なった。成熟植物から葉を採集し、熱風炉で乾燥させた。乾燥した葉を粉末にし、ケルダール法を用いてN含有量を測定した。ケルダール法は標準的な窒素測定法である。この方法は、3つの基本的な工程、すなわち、1)触媒による硫酸中での試料の消化(これにより、窒素がアンモニアに変換される);2)アンモニアのトラッピング溶液への蒸留;および3)標準溶液を用いた滴定によるアンモニアの定量からなる。
手順
消化
1.挽いて粉末にした約0.200gの葉試料を消化フラスコに量り入れ、0.1mg単位まで四捨五入して、重量(W)を記録した。
2.3.5gの消化混合物を加え、その後、10mlの硫酸を加えた。42℃のBIOKJELの予熱バーナーの上にフラスコを置いた。
3.BIOSCRUBユニットのチューブを消化フラスコに連結し、加熱しながら煙を回収した。
4.消化混合物の色が薄緑色に変わるまで、チューブ/フラスコ内の混合物を約60〜90分間加熱した。
5.消化後、冷却するために、消化チューブをスタンドに置いた。
蒸留および滴定
1.消化チューブを蒸留装置のBIODISTに移し、受ける側に三角フラスコを置いて、蒸留を実行した。
2.薄いピンク色が現れて色が変化しなくなるまで、三角フラスコの内容物を0.1N HCLで滴定した。
計算
窒素(N)パーセントを以下のように計算した。
%N=[S−B]×0.1×14×100
W×1000
(式中、S=試料の滴定値;B=ブランクの滴定値;14=窒素の当量;0.1=HCLの規定度;W=試料のグラム量である。)
全10種のトランスジェニック体は、対照と比較してより高いN含有量レベルを示した(図5)。最も高いN含有量はH2(3.4%)で観察されたが、これは、野生型よりも41%多かった。最も少ないN含有量の増加はJ2(2.5%)で観察され、これは、野生型よりも4.1%多かった。このように、よく似た栄養含有量の土壌で成長させたとき、GAD遺伝子を有するT0トランスジェニック体は、(GAD導入遺伝子を持たない)野生型と比較したとき、N含有量の増加を示した。
この性質が世代を超えて安定であるかどうかを明らかにするために、窒素摂取を次世代(T1)でさらに研究した。植物の幼苗期と全生活環の両方での効果を研究するために実験を行なった。
実施例3
GADトランスジェニック植物がT1世代でより良好なN状態を示す証拠
トランスジェニック体に対する成長培地中の様々な窒素レベルの効果を研究するために、2つの異なる窒素源、すなわち、硝酸アンモニウムと硝酸カリウムを、2、4、および8mM濃度で使用し、一方、成長培地中の他の栄養素(PおよびK)または微量栄養素のレベルは変化させなかった。
植物材料
T1トランスジェニックタバコGAD植物を、異なる窒素源(硝酸アンモニウムおよび硝酸カリウム)の下でのそれらの窒素状態について解析した。
ハイグロマイシンを含むペトリ皿の上にT1種子を播き、様々なレベルの窒素を用いるN2摂取研究のような、温室でのさらなる研究のために陽性植物を前もって採取した。
様々なレベルの硝酸アンモニウム下での植物N状態
ハイグロマイシン処理培地上で生き残った3つのGADトランスジェニック体(D1A、E2、およびH1)由来のT1苗を取り、N源を含まない1/10 MS培地を補充した温室内の小さいカップに移植した。Nを様々な硝酸アンモニウム濃度(2、4、および8mM)で個別に与え、クロロフィル含有量について野生型と比較した。Minolta SPADメーターを用いて記録し、SPAD単位として表した(図6)。成長培地中の窒素レベルが低下するにつれて、野生型植物は、その成長にとってのN欠乏の指標となる、植物N含有量のレベルの低下を示した。しかしながら、トランスジェニック植物は、より低い窒素利用可能性の下で植物N状態のわずかな低下を確かに示したが、N含有量は、野生型植物よりも高く、野生型と比較してより良好な成長状態を示した。
様々なレベルの硝酸カリウム下での植物N状態
ハイグロマイシン処理培地上で生き残った3つのGADトランスジェニック体(D1A、E2、およびH1)由来のT1苗を取り、N源を含まない1/10 MS培地を補充した温室内の小さいカップに移植した。Nを様々な硝酸カリウム濃度(2、4、および8mM)で個別に与え、クロロフィル含有量について野生型と比較した。Minolta SPADメーターを用いて記録し、SPAD単位として表した(図7)。トランスジェニック植物は、様々な硝酸カリウム濃度の全てにおいて野生型と比較してより高い植物N含有量を示し、野生型と比較してより良好な窒素摂取を示した。
GAD遺伝子を有するトランスジェニック植物は、供給された様々な窒素源の下だけでなく、N欠乏条件の下でもより良好な植物N状態を示した。
実施例4
GADトランスジェニック植物が、N欠乏土壌条件下におけるより良好な窒素利用効率(NUE)とより高い収穫指数を示す証拠
トランスジェニック体の成長と発達に対する土壌中の様々な窒素レベルの効果を研究するために、様々な窒素レベル、すなわち、100%推奨用量、50%推奨用量、および10%推奨用量を使用し、一方、土壌中の他の栄養素(PおよびK)または微量栄養素のレベルは変化させなかった。尿素か、硝酸アンモニウムカルシウム(CAN)か、リン酸二アンモニウム(DAP)のいずれかを適用することによって、様々レベルのNを外部から供給した。
野生型タバコとトランスジェニックタバコを用いて実験を行なった。ハイグロマイシン処理培地上で生き残った3つのGADトランスジェニック体(H1)由来のT1苗を取り、温室内の小さいカップに移植した。苗を温室で、野外土壌と堆肥(FYM)の混合物を含む植木鉢の中で栽培した。肥料の外部適用なしで、植物に普通の水をやった(肥料スケジュールは表1に記載されている)。2つの遺伝子型(野生型とH1トランスジェニックタバコ)で3つの処理と3つの複製を伴って実験を行なった(表2)。必要な肥料の用量は以下の通りに計算された。様々な肥料を用いた実際の用量を表3、4、および5に示す。
GADトランスジェニック体タバコに対する肥料適用
FCVタバコに対するN推奨用量 20Kg N/Ha
Bidiタバコに対するN推奨用量 180Kg N/Ha
− ローム質土壌の場合、60Kg N、80Kg P2O5、80〜100Kg K2O、および15Kg MgO/ha
− 砂質土壌の場合、70Kg N、60Kg P2O5、100〜120Kg K2O、および15Kg MgO/haが推奨される。
表1:単肥が適用される場合のタバコ植物用の肥料スケジュール
Figure 2012507262
10,000〜12,000苗/Ha、したがって、1苗/m(1Ha=10,000m)の植え付け密度がタバコ栽培に推奨され、それゆえ、植物当たりのNの推奨用量は、6gm N/苗(60,000gm N/Ha(10,000m)、すなわち、60,000gm N/10,000苗)である。したがって、様々な肥料を用いる用量は、以下のように計算された。
尿素(N含有量46%):
尿素肥料(N 46%)、すなわち、46Kg N/100Kg尿素(4.6gm N/10gm尿素)
13gm尿素/植物(推奨用量の通り、6gm N/植物を供給することになる)
25%の第1用量(3.25gm尿素)(10 DAT)
50%の第2用量(6.5gm尿素)(2〜3週間 DAT)
25%の第3用量(3.25gm尿素)(40 DAT)
CAN(N含有量25%):
60,000gm N/Ha(10,000m)、すなわち、60,000gm N/10,000苗
6gm N/苗(推奨用量)
CAN肥料(N 25%)、すなわち、25Kg N/100Kg CAN(2.5gm N/10gm CAN)
25gm CAN/植物(推奨用量の通り、6gm N/植物を供給することになる)
25%の第1用量(6.25gm尿素)(10 DAT)
50%の第2用量(12.5gm尿素)(2〜3週間 DAT)
25%の第3用量(6.25gm尿素)(40 DAT)
SSP(P 含有量18%):
80,000gm P/Ha(10,000m)、すなわち、80,000gm P/10,000苗
8gm P/苗(推奨用量)
SSP肥料(P 18%)、すなわち、18Kg P/100Kg SSP(1.8gm N/10gm SSP)
44.5gm SSP/植物(推奨用量の通り、8gm P/植物を供給することになる)
100%の第1用量(44.5gm SSP)(10 DAT)
DAP:(N含有量18%およびP含有量46%)
80,000gm P/Ha(10,000m)、すなわち、80,000gm P/10,000苗
8gm P/苗(推奨用量)
DAP肥料(P 46%)、すなわち、46Kg P/100Kg SSP(4.6gm N/10gm DAP)
17.4gm DAP/植物(推奨用量の通り、8gm P/植物を供給することになる)
100%の第1用量(17.4gm DAP)(10 DAT)
これはまた、6gm/苗が推奨用量とされる場合、3.1gm Nを供給することになる、すなわち、尿素から3gm補充する必要がある
尿素肥料(N 46%)、すなわち、46Kg N/100Kg尿素(4.6gm N/10gm尿素)
6.5gm尿素/植物(推奨用量の半分である、3gm N/植物を供給することになる)
第1用量(DAPを与える場合、尿素なし)(10 DAT)
25%の第2用量(3.25gm尿素)(2〜3週間 DAT)
25%の第3用量(3.25gm尿素)(40 DAT)
MOP(K O含有量60%):
100,000gm KO/Ha(10,000m)、すなわち、100,000gm KO/10,000苗
10gm KO/苗(推奨用量)
MOP肥料(KO 60%)、すなわち、60Kg KO/100Kg MOP(6gm KO/10gm MOP)
16gm MOP/植物(推奨用量の通り、10gm KO/植物を供給することになる)
50%の第1用量(8gm MOP)(10 DAT)
50%の第2用量(8gm MOP)(2〜3週間 DAT)
表2:窒素摂取研究の実験設計。比較のために、2つの遺伝子型について3つの処理と3つの複製を用いた。
Figure 2012507262

表3:尿素、SSp、およびMOPを肥料として用いた場合、以下の用量に従った
Figure 2012507262

表4:尿素、DAP、およびMOPを肥料として用いた場合、以下の用量に従った
Figure 2012507262

表4:CAN、SSP、およびMOPを肥料として用いた場合、以下の用量に従った
Figure 2012507262
表現型評価:
表現型の特徴を観察し、草高、節間距離、枝の数、葉の数、葉面積、茎の太さ(周囲長)、総バイオマス、穀粒収量などのようなパラメータを記録した。
草高
トランスジェニック植物と野生型植物(導入されたグルタミン酸デカルボキシラーゼ遺伝子を持たない植物)で植物の高さを測定した。定規を用いて地面から花と枝を含む植物の先端までの草高を測定した。トランスジェニック体は、より低い土壌Nレベル(10%RD)で草高の増加を示した(図8)。
節間距離
トランスジェニック植物と野生型植物(導入されたグルタミン酸デカルボキシラーゼ遺伝子を持たない植物)で茎上の2つの節間の距離を測定した。第5葉および第6葉と第6葉および第7葉の間で節間距離を測定した。完全に広がった葉を葉番号1とみなして、先端から葉を計数した。スレッドを用いて距離を測定し、その後、定規でスレッド長を測定して、cmで表した。トランスジェニック体は、より低い土壌Nレベル(10%RD)で節間距離の増加を示した(図9)。
枝の数
トランスジェニック体は、十分な土壌N条件(100%RD)だけでなく、土壌Nが欠乏した条件(50%RD)でも枝の数の増加を示した(図10)。
葉の数
十分な土壌N条件(100%RD)下での葉の数の増加は、野生型と比較したとき、トランスジェニック体においてほぼ2倍であった。一方、土壌Nが欠乏した条件(50%および10%RD)下でも、トランスジェニック体は、野生型植物よりも多くの葉の数を有することが観察された(図11)。
茎の周囲長(外周または茎の太さ)
トランスジェニック植物と野生型植物(導入されたグルタミン酸デカルボキシラーゼ遺伝子を持たない植物)で茎の太さを測定した。地面から5〜6cmの高さで茎の周囲長を測定した。スレッドを用いて、適当な高さで茎の周りを囲み、その後、定規でスレッドの長さを測定して、cmで表した。トランスジェニック体は、100%RD条件下でより太い茎を示したが、50%および10%RD条件下では、茎の太さに有意な差は観察されなかった(図12)。
葉面積
トランスジェニック植物と野生型植物(導入されたグルタミン酸デカルボキシラーゼ遺伝子を持たない植物)で葉の大きさを測定した。葉を節から葉の先端まで垂直に測定し、葉の長さとみなした。葉の幅を、最も幅が広い位置で水平に測定し、葉の幅とみなした。葉面積を長さ×幅(cm−2単位で表す)として計算した。十分な土壌N条件(100%RD)下で、トランスジェニック体と野生型の間に葉面積の差はないが、土壌Nが欠乏した条件(50%および10%RD)下では、トランスジェニック体は野生型と比較して葉面積の増加を示した(図13)。
植物バイオマス
トランスジェニック植物と野生型植物(導入されたグルタミン酸デカルボキシラーゼ遺伝子を持たない植物)で生成されるバイオマスを測定した。植物バイオマスを植物の総乾燥重量として測定した。植物バイオマスを様々な窒素処理下で測定した。トランスジェニック体の総バイオマスは、Nが十分な(100%RD)条件とNが欠乏した(50%RD)条件の両方で、野生型と比較して有意により高かった(P≦0.005)(図14)。
純窒素摂取
植物による総窒素摂取(%葉の乾燥重量)を測定した。通常の条件と様々な環境ストレス条件下で、対照植物とトランスジェニック植物の純摂取を比較した。
T1植物での窒素測定
葉の窒素含有量について、野生型とともにT1 GADタバコ植物の解析を行なった。成熟植物から葉を採集し、熱風炉で乾燥させた。乾燥した葉を粉末にし、先に記載したケルダール法を用いてN含有量を測定した。トランスジェニック体由来の総植物N含有量は、Nが十分な(100%RD)条件で、野生型と比較して有意により高かったが(P≦0.005)、Nが欠乏した(50%および10%RD)条件では、野生型とトランスジェニック体の植物N含有量に有意な差はなかった(図15)。
窒素利用効率(NUE)
窒素利用効率(NUE)を以下のように計算した。
窒素利用効率は、組織中に存在するNの単位当たりに産生される乾燥物質の量として表される。栄養効率値は、葉組織のN含有量から次の方程式によって導き出される:
窒素利用効率(mg乾燥物質/mg N)= 1000
mg N/g乾燥wt
または
NUE=総バイオマス(mg単位での乾燥重量)/バイオマス中のNの量(mg単位)
または
NUE=産生されたバイオマス/土壌に適用された窒素
光合成によるN利用効率は、単位葉面積または単位葉質量中のNの単位当たりに固定されるCOと定義される。
トランスジェニック体の窒素利用効率(総バイオマスとバイオマス中のN含有量の関数)は、Nが欠乏した(50%RD)条件で野生型と比較したとき、より高かった(図16)。
穀粒収量
総穀粒収量は、Nが十分な(100%RD)条件とNが欠乏した(10%RD)条件の両方で、野生型よりもトランスジェニック体で高かった(図17)。これは、バイオマスの増加が実際に、植物の収量の増加の一因にもなっており、またバイオマスの増加による収量ペナルティーがないことを示している。
GADトランスジェニック植物は、植物の様々な農学的状態および栄養状態について、Nが欠乏した条件下で野生型植物よりも優れた性能を発揮し、したがって、Nが欠乏した条件下でのトランスジェニック植物の優れた性能に対するGAD遺伝子の役割が示された。これは、野生型よりもトランスジェニック体による、適用されたNの摂取または同化が増加したことが原因である可能性があった。
配列番号1は、オリザ・サティバのグルタミン酸デカルボキシラーゼ遺伝子の核酸配列を示す。開始コドンと終止コドンは、イタリック体で示されている。
配列番号2は、オリザ・サティバのグルタミン酸デカルボキシラーゼ遺伝子のアミノ酸配列を示す。アステリスクは終止コドンを表す。

Claims (16)

  1. 増大した窒素含有量または窒素利用効率を示す形質転換植物を作製するための方法であって、機能的なグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)酵素をコードするヌクレオチド配列に機能的に連結されたプロモーターを含むDNAコンストラクトを植物のゲノムに組み込むことを含む、方法。
  2. 前記機能的なグルタミン酸デカルボキシラーゼ酵素をコードするヌクレオチド配列が配列番号1に示すヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記プロモーターが、配列番号1に示すヌクレオチド配列に機能的に連結された構成的プロモーター、誘導性プロモーター、組織特異的プロモーター、および細胞型特異的プロモーターからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記選択されたプロモーターが誘導性プロモーター由来であり、かつ栄養枯渇、機械的衝撃、湛水、塩、渇水、暑さ、寒さ、損傷、酸素欠乏、病原菌、紫外線B、開花シグナル、結実シグナル、細胞特化、およびそれらの組合せからなる群から選択されるシグナルに応答する、請求項3に記載の方法。
  5. 選択されたプロモーターが組織特異的プロモーター由来であり、葉、茎、根、花、花弁、葯、胚珠など、およびそれらの組合せからなる群から選択される植物組織で発現する、請求項3に記載の方法。
  6. 選択されたプロモーターが細胞型特異的プロモーター由来であり、柔組織、葉肉、木部、師部、孔辺細胞、気孔細胞など、およびそれらの組合せからなる群から選択される植物細胞で発現する、請求項3に記載の方法。
  7. 前記グルタミン酸デカルボキシラーゼ酵素が配列番号2に示すアミノ酸配列を含む、請求項2に記載の方法。
  8. 前記配列番号2に示すアミノ酸配列が、グルタミン酸からγ−アミノ酪酸(GABA)への反応を触媒するのに効果的である、請求項7に記載の方法。
  9. 前記形質転換植物が、同じ種の形質転換されていない植物によって同じ条件下で発現されるGAD遺伝子のレベルよりも高いレベルで配列番号1に示すグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)遺伝子を発現する、請求項1に記載の方法。
  10. 標的植物が、単子葉植物、双子葉植物、穀草類、飼料作物、マメ科植物、豆類、野菜、果物、油糧種子、繊維作物、観賞用草花、園芸植物、薬用植物、および芳香植物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  11. 前記DNAコンストラクトを植物のゲノムに組み込むことが、
    (i)宿主植物由来の細胞、組織、または器官を前記DNAコンストラクトで形質転換すること、
    (ii)前記DNAコンストラクトを含む形質転換細胞、細胞カルス、体細胞胚、または種子を選択すること;
    (iii)前記選択された形質転換細胞、細胞カルス、体細胞胚、または種子から全植物を再生すること;および
    (iv)ポリヌクレオチドを発現する再生された全植物を選択すること
    を含む、請求項1に記載の方法。
  12. 宿主植物由来の細胞組織または器官が、パーティクルガン、バイオリスティック、またはアグロバクテリウムを用いて伝達されるDNAコンストラクトで形質転換される、請求項11に記載の方法。
  13. 請求項1〜12に記載の得られた形質転換植物およびその子孫。
  14. 前記配列番号1に示すDNAコンストラクトが、ヘテロ接合またはホモ接合の状態で植物に組み込まれている、請求項13に記載の形質転換植物。
  15. 前記植物が、栄養枯渇、機械的衝撃、湛水、塩、渇水、暑さ、寒さ、損傷、酸素欠乏、病原菌、およびそれらの組合せからなる群から選択される環境ストレス下で顕著に増大した窒素含有量または窒素利用効率を示す、請求項1〜14に記載の形質転換植物。
  16. GAD酵素をコードするポリヌクレオチドに機能的に連結された構成的プロモーターを含むベクターで形質転換した植物、またはその子孫であって、前記植物が前記ポリヌクレオチドを発現し、前記植物が、形質転換されていない植物と比較して、顕著に改善された窒素含有量、窒素利用効率、成長特性、収量、生殖機能、または他の形態学的もしくは農学的特徴を示す、植物、またはその子孫。
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