JP2012505740A - プラスチック上への熱可塑性粉末のレーザークラッディング - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポリマー材料から作られた基板(11)上に熱可塑性材料の被覆(17)を付与する方法を提供する。
【解決手段】 前記熱可塑性材料と前記ポリマー材料は不相溶性であり、前記方法は、第一に基板と被覆の間の界面に相溶性を導入するプラズマ処理表面層(14)を得るために基板及び/または粉末をプラズマ放電(12)またはそれから得られる反応性ガス流に露出する工程、及び第二に基板上に被覆を形成するために基板上に粉末(16)をレーザークラッディング(15)する工程を含む。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ポリマー材料の表面上に熱可塑性粉末をレーザークラッディングすることにより前記表面上に被覆を付与する方法に関する。特に、前記プラスチック材料と前記熱可塑性粉末は相互に不相溶性プラスチックである。
レーザークラッディングは、金属基板上に金属系被覆を付与するための周知の技術である。それは、補修技術として及び/または要素の耐食性及び耐磨耗性を高めるために使用される。この方法はまた、例えば特許出願WO2007/009197から知られているようにポリマー被覆を付与するために使用されることができる。簡単に言えば、熱可塑性材料の被覆は、基板を、特にレーザー光線(レーザービームを基板上に走査する)により加熱することにより、そして同時に前記熱可塑性材料の粉末を加熱された基板上に供給することにより基板上に付与されることができる。粉末はレーザーエネルギーの一部を吸収するので、付与された熱可塑性粉末は溶融し、それにより被覆を形成する。その被覆は、被覆をさらに加熱することにより、特に被覆(被覆された表面)をレーザー光線に露出することにより(例えばレーザービームを被覆された基板上に二度走査することにより)緻密化されることができる。
しかし、基板と粉末がともに不相溶性プラスチックから作られている場合には、付与された被覆は基板への弱い付着性を示すであろう。かかる被覆は実用用途では推奨されない。
良好な付着を確保するために、基板と被覆の材料は、異なる材料のポリマー鎖が界面で互いに連結するように、界面でからみ合うようにすべきである。しかし、クラッディング時にからみ合わないかまたは不十分にからみ合うプラスチック材料が存在し、結果として付着しないかまたは非常に不十分な付着をもたらす。かかる材料は、不相溶性プラスチック材料または不相溶性プラスチックとして言及される。
不相溶性プラスチックは、結合及び/またはからみ合いに対して相互化学的または相互物理的な親和性を示さないプラスチックを指す。不相溶性プラスチックは異種プラスチック(異なる化学構造を持つプラスチック)であることができる。しかし、全ての異種プラスチックは必ずしも不相溶性ではない。不相溶性は、融点またはガラス転移温度に高い差を持つポリマー間に、または非晶質及び半結晶質ポリマー間において起こりやすい。
従って、従来技術の欠点を克服する、ポリマー基板材料上の熱可塑性被覆の付着または結合を可能にするかまたは高めるレーザークラッディングの改善された方法の必要性が業界にある。特に、本発明の目的は、前記ポリマー基板と熱可塑性被覆が結合及び/またはからみ合いに対して元来相互に不相溶性の材料であるにもかかわらず良好な付着及び/または結合をもたらす、かかる方法を提供することである。
本発明の目的は、結合強度が従来技術で得られた結果より優れているレーザークラッディングの方法を提供することである。
本発明の目的は、添付請求項に記載されたようなポリマー材料から作られた基板上に熱可塑性材料の被覆を付与する方法を提供することにより満たされる。
本発明の第一態様によれば、ポリマー材料から作られた基板上に熱可塑性材料の被覆を付与する方法が提供され、そこでは前記熱可塑性材料及び前記ポリマー材料は不相溶性であり、その方法は次の工程を含む。第一に、基板を第一プラズマ放電またはそれから得られる反応性ガス流に露出してプラズマ処理された基板を得る。この基板は少なくともその表面で露出され、前記表面が被覆との界面を構成する。第二に、プラズマ処理された基板を加熱するために前記プラズマ処理された基板(の露出された表面)上にラインに沿ってレーザービームを走査する。第三に、プラズマ処理された基板上に被覆を形成するために前記ライン上に前記熱可塑性材料の粉末を供給する。本発明の工程は同時に実行されることができる。
本発明の第二態様によれば、ポリマー材料から作られた基板上に熱可塑性材料の被覆を付与する方法が提供され、そこでは前記熱可塑性材料及び前記ポリマー材料は不相溶性であり、その方法は次の工程を含む。第一に、前記熱可塑性材料の粉末を第二プラズマ放電またはそれから得られる反応性ガス流に露出してプラズマ処理された粉末を得る。第二に、基板を加熱するために基板上のラインに沿ってレーザービームを走査する。第三に、基板上に被覆を形成するために前記ライン上に前記プラズマ処理された粉末を供給する。本発明の工程は同時に実行されることができる。
上記態様で特定されたように被覆を形成するために基板上にレーザービームを走査する工程及び粉末を供給する工程はレーザークラッディングによる被覆の付与と呼ぶ。
本発明の別の態様によれば、第一態様による方法と第二態様による方法が組み合わされる。
本発明の方法は、基板と被覆の間の界面に相溶性を導入するようにプラズマ形成ガスを選択することを含むことができる。従って、プラズマ形成ガスは、基板の表面層に熱可塑性材料と相溶性である化学基を得るように第一プラズマ放電のために選択されることが好ましい。プラズマ形成ガスは、熱可塑性材料の表面層に基板のポリマー材料と相溶性である化学基を得るように第二プラズマ放電のために選択されることが好ましい。
好ましくは、第一プラズマ放電は、空気、N,O,CO,H,NO,He,Ar及びそれらの混合物からなる群から選ばれたプラズマ形成ガスにより形成される。第二プラズマ放電は同じ群から選ばれたプラズマ形成ガスにより形成されることが好ましい。
好ましくは、基板を露出する工程及び/または粉末を露出する工程において、露出された材料の露出された表面は少なくとも一時的に少なくともそのガラス転移温度に、好ましくは少なくともその溶融温度に加熱される。
本発明の方法は有利には、露出工程の前に、第一プラズマ放電中にまたはそれから得られる反応性ガス流中に第一前駆物質を導入する工程を含むことができる。
本発明の方法は有利には、露出工程の前に、第二プラズマ放電中にまたはそれから得られる反応性ガス流中に第二前駆物質を導入する工程を含むことができる。
好ましくは、第一前駆物質と第二前駆物質は同じである。
第一前駆物質及び/または第二前駆物質は、基板と被覆の間の界面に相溶性を導入するように選ばれることができる。従って、第一前駆物質は、基板の表面層に熱可塑性材料と相溶性である化学基を得るように選ばれることが好ましい。第二前駆物質は、熱可塑性材料の表面層に基板のポリマー材料と相溶性である化学基を得るように選ばれることが好ましい。
第一前駆物質及び/または第二前駆物質はアリルアミンであることが好ましい。これに代えて、前駆物質はヒドロキシルエチルアクリレートであることが好ましい。前駆物質はこれに代えてアクリル酸であることができる。
第一前駆物質及び/または第二前駆物質はメタンであることが好ましい。これに代えて、前駆物質はプロパンであることができる。前駆物質はこれに代えてエチレンであることができる。前駆物質はこれに代えてアセチレンであることができる。
第一前駆物質及び/または第二前駆物質は水であることができる。それはこれに代えてアミノプロピルトリエトキシシランであることができる。
好ましくは、露出工程では化学基は少なくとも露出された材料上に(より好ましくは前記材料中にも)形成される。
前記化学基は、好ましくはアミン及びアミド基からなる群から選ばれ、より好ましくはイミド基からなる群から選ばれる。
前記化学基は、好ましくはカルボキシル、ヒドロキシル及びアミド基から群から選ばれ、より好ましくはヒドロキシル基である。
前記化学基は、好ましくはカルボキシル、アミン、ヒドロキシル、アミド、イミド、ニトリル、ジイミド、イソシアニド、カルボネート、カルボニル、パーオキシド、ヒドロパーオキシド、イミン、アジド、エーテル及びエステル基からなる群から選ばれる。
前記化学基は、好ましくはシロキサン基またはハロゲン基である。
好ましくは、露出工程において、(基板または粉末粒子のいずれか、または両方の)表面層は1オングストローム〜1000nmの範囲、好ましくは3オングストローム〜500nmの範囲、より好ましくは5オングストローム〜300nmの範囲に入る厚さを持つプラズマにより作用される。
好ましくは、本発明の方法はさらに、(被覆を緻密化するために)被覆上のラインに沿ってレーザービームを走査する工程を含む。
好ましくは、(基板の)前記ポリマー材料は熱可塑性材料である。
好ましくは、(基板の)前記ポリマー材料は熱硬化性材料である。
図1(A−D)は、本発明の一実施態様による方法の工程を示す。図1Aは、基板材料がプラズマジェットを用いてプラズマで処理される工程を示す。プラズマ処理された基板材料は図1Bに示される。図1Cは、レーザークラッディングにより熱可塑性粉末でプラズマ処理された基板を被覆する工程を示す。図1Dは、最終被覆基板を示す。
本発明は、本発明の範囲を限定すると考えられる添付図面に関して詳細に説明されるであろう。
用語「含む」は、その対象に掲げられた要素に限定されると解釈されるべきでないことは注目されるべきである。それは他の要素または工程を排除しない。
本発明の態様は、レーザークラッディングによりポリマー材料から作られた基板上に熱可塑性材料の被覆を付与する方法に関する。熱可塑性材料は、上に示されたように粉末形態で提供される。基板は特にプラスチック材料である。本発明の方法は、被覆材料と基板材料が不相溶性である場合に特に適している。
本発明を説明する際、用語「プラスチック」、「プラスチック材料」、及び「ポリマー材料」は、同じ材料を言うことを指し、従って交換可能に使用される。
不相溶性プラスチックは、結合及び/またはからみ合いに対して相互の化学的親和性を示されないだけでなく、相互の物理的親和性も示さないプラスチックを指す。結果として、被覆(レーザークラッディング)時に、結合及び/またはからみ合いが形成されないかまたは非常に弱い結合及び/またはからみ合いのみが形成され、被覆と基板の間の付着は実際の用途のためには不十分である。ほとんどの異質プラスチックは不相溶性である。
本発明によれば、少なくとも一つの材料(基板材料または粉末材料またはそれらの両方)は、被覆工程の前に、少なくともその表面をプラズマにより処理される。
プラズマへの露出は、それが表面に/表面上に形成される官能表面層を有利にもたらすように選択される。化学官能基はそれにより有利にポリマー材料の表面上にそしておそらく材料の深い所に付与またはグラフトされる。
表現「官能表面層」または「官能化領域」は、プラズマ処理された表面領域及びおそらく前記プラズマ処理により作用されたその下の深い所を指し、すなわち、それは容積または表面層を指す。
官能表面層は有利には官能基を含む。官能基は、官能化領域のプラズマ処理により官能化領域中に存在する化学基を指し、それらは、一つ以上の予め決められたプラスチック材料への結合に対する化学的及び/または物理的親和性を強化及び/または導入する。これらの官能基は、プラズマ形成ガスにより及び/または以下に示されるようにそのガスに添加される好適な前駆物質により提供されることができる。
従って、官能表面層が導入され、それは驚くべきことにレーザークラッディング工程時の材料の相溶性を強化する。
従って、プラズマ処理は、他のポリマー材料と相溶性のあるプラズマ処理された表面層のため、レーザークラッドされた被覆が強い結合を得られるように選ばれることができる。
ポリマー基板材料は好ましくは熱可塑性材料である。しかし、驚くべきことに、本発明がまた、熱硬化性基板材料上にレーザークラッディングを可能にすることが見出された。
熱可塑性材料の粉末、プラスチック基板材料のいずれかまたは両方が、官能表面層を作るためにプラズマにより処理されることができる。
図1Aを参照すると、本発明の方法は、プラズマが提供される工程を含む。プラズマはプラズマ放電であることができる。これに代えて、それはプラズマアフターグロー(プラズマジェット)であることができる。
プラズマは、N、空気、O,CO,NO,He,Arまたはそれらの混合物のようなガス13で形成される。最も普通に使用されるのは空気と窒素である。プラズマは、誘電体バリヤー放電、高周波(RF)、マイクロ波グロー放電、またはパルス放電のような従来公知の技術により形成されることができる。特に、プラズマジェット装置12が使用されることができる。これに代えて、プラズマ放電装置が使用されることができる。
プラズマ形成ガスは、ポリマー材料(熱可塑性粉末材料及び/またはポリマー基板材料)に依存して、前記ガスにより形成されたプラズマによるポリマー材料の処理が化学(官能)基の形成のためのような他のポリマー材料と相溶性である(官能)表面層をもたらすように、選ばれることができる。従って、官能(化学)基は、プラズマ形成ガスに由来することができる。
プラズマは好ましくは大気圧プラズマである。用途に依存して、大気圧の代わりに中間圧(0.1バール〜1バール)がプラズマを形成(放電)するために好ましいことがありうる。
前駆物質は、官能表面層を作るためにプラズマ放電またはそれから得られる反応性ガス(プラズマアフターグロー)中に導入されることができる。前駆物質はガスまたはエーロゾルの形で添加されることができる。それはプラズマエネルギーにより活性化される。前駆物質は有利には官能(化学)基を作るために添加される。
前駆物質は、ポリマー材料の(表面)相溶性を強化するために有利には一つ以上の選ばれた官能(または化学)基を含む化学化合物または分子である。これに代えて、プラズマと及び/またはプラズマの影響下のポリマー材料との前駆物質の反応はかかる官能(または化学)基の形成をもたらすことができる。官能(化学)基は、プラズマ処理を受けたポリマー材料の表面に/表面上に及びおそらくこの表面の下に存在することができ、従ってポリマー材料に浸透している。
ポリマー材料とプラズマの組み合わせに依存して、相溶性を強化するための予め決められた官能基の形成は、前駆物質の使用を必要とするかもしれないしまたは必要としないかもしれない。
被覆と基板の間(またはポリマー基板材料の及び粉末材料の表面間)の界面の相溶性を強化及び/または界面に相溶性を導入する前記官能化学基(単数または複数)は、カルボキシル、アミノ、ヒドロキシル、アミド、イミド、イミン、ニトリル、カルボニル、イソシアニド、アジド、パーオキシド、ヒドロパーオキシド、エーテル、ジイミド、カーボネート及びエステル基の非網羅的リストから選ばれることができる。化学基はハロゲン含有基であることができる。それは代替的にシロキサン基(例えばシリコーン類)であることができる。
プラスチック材料の予め決められた組み合わせに対して、異なる官能基が結合性に同じ強化を達成することができることは注目されるべきである。従って、本発明の方法では、熱可塑性粉末材料とポリマー基板材料の所定の組み合わせに対して、異なるプラズマ処理が同じ効果を達成することが可能でありうる。
アリルアミン、ヒドロキシルエチルアクリレート及びアクリル酸のような前駆物質は特別な化学基を提供することができる。典型的には、アリルアミン前駆物質により、アミド及び/またはアミン基が付着されることができる。アクリル酸前駆物質は、ヒドロキシル、カルボキシル及び/またはアミド基の付着に導くことができる。ヒドロキシルエチルアクリレート前駆物質により、付着されたヒドロキシル基を見出すことができる。
多くの場合、相溶性を導入するためにハイブリッド有機/無機前駆物質が使用されることができる。例えば、プラズマガス内の前駆物質としてのアミノプロピルトリエトキシシランは、このプラズマにより処理された材料の表面上にアミノ基を導入する。
プラズマ形成ガスはそれ自体、前駆物質の必要なしに官能基を導入することができる。窒素ガスは典型的には、アミド、アミン及びイミドのような官能基を導入することができる。ある量の水素またはNOの添加は典型的には、上述の導入された官能基の相対寄与度を変えることができる。プラズマ形成ガスとしての酸素の使用は通常、ヒドロキシル、カルボン酸、パーオキシド、ケトン及びアルデヒドのような官能基の導入をもたらすであろう。
例えば、アミン、イミド、またはアミド基を含む官能表面層をポリマー基板上に導入することにより、ポリアミド(PA)被覆は、ポリマー基板上のレーザークラッディングにより付与されることができる。かかる基は、基板を窒素ガスにより形成されたプラズマにより、または窒素ガスとCO,HまたはNOの混合物により形成されたプラズマにより処理することにより導入されることができる。同じ効果を得るために、ポリマー基板は、アミノ基(例えばアリルアミン)を持つ、アミド基を持つ、またはイミド基を持つ有機薬品、またはメタン、プロパン、エチレン、またはアセチレンのような有機前駆物質の一つ以上が導入されたプラズマガスにより処理されることができる。そうすることにより、PA粉末のアミド基との相溶性が得られることができる。
別の例では、ポリマー基板上にアミン基を含む表面層を導入することにより、ポリウレタン(PU)被覆がそのポリマー基板上にレーザークラッディングにより付与されることができる。アミン基は、基板を空気またはCOにより形成されたプラズマにより処理することにより導入されることができる。同じ効果を得るために、ポリマー基板は、アミノ基を持つ、アミド基を持つ、イミド基を持つ、ヒドロキシル基を持つ(水、アルコール、酸、ヒドロキシルエチルアクリレート等)、エーテル基を持つ、またはエステル基を持つ有機薬品、またはメタン、プロパン、エチレン、またはアセチレンのような有機前駆物質の一つ以上が導入されたプラズマガスにより同様に処理されることができる。これらの基はPU粉末と化学的及び物理的親和性を持つ。
ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)被覆をレーザークラッディングするために、PMMA材料のアクリル基との相溶性を確保するように、アクリル基を含む有機前駆物質(例えばアクリル酸)を使用することによりアクリル基がポリマー基板上の官能表面層に導入されることができる。
前述の説明から明らかな結果として、本発明は、レーザークラッディングで使用されるポリマー材料のどのような組み合わせの相溶性を強化するどのような種類の前駆物質を用いてまたは用いずにいかなるプラズマ処理の使用も企図する。従って、本発明は特定のプラズマ形成ガスに限定されないのみならず、またプラズマ処理で使用するための特定の前駆物質にも限定されない。
以下の工程では、図1を参照すると、被覆される基板11、及び/または被覆を形成するであろう粉末は、プラズマに、またはそれから得られる反応性ガス流(アフターグロー)に露出される。ポリマーをプラズマに露出する工程は従来周知であり、Alexander Fridman及びLawrence A.Kennedyによる2004年4月に米国Routledgeにより刊行された「Plasma Physics and Engineering」のような文献(ISBN:978−1−56032−848−3)に記載されている。
基板及び/または粉末は、予め決められた時間の間、プラズマ放電またはそのアフターグローと接触させられる。入射プラズマまたはアフターグローと基板の間の予め決められた相対速度(例えば表面に対するプラズマトーチの速度)はさらに選ばれることができる。処理(接触)時間は、用途に依存して1ms〜10分の範囲であることができる。特に好適な処理速度は0.00015m/分〜1000m/分の範囲であることができる。
粉末のプラズマ処理は従来公知である(Martin Karches,Philipp Rudolf von Rohr,「Microwave plasma characteristics of a circulating fluidized bed−plasma reactor for coating of powders」,Surface and Coatings Technology,Volumes 142−144,July 2001,頁28−33)。
基板と粉末の両方がプラズマ放電及び/またはアフターグローに露出されることができる。プラズマ形成ガスは、二つの材料に対し異なってもよく、または同じであってもよい。各材料のために、前駆物質なし、異なる前駆物質、または同じ前駆物質が使用されることができる。異なる前駆物質の組み合わせは、同様にプラズマ放電及び/またはアフターグローに導入されることができる。
プラズマ処理時に、露出された材料は、特にプラズマ作用領域(処理された表面層)が材料の深さ中に延びることが望ましい場合に、好適な温度に加熱されることができる。好ましくは、ポリマー材料の少なくともガラス転移温度、より好ましくは少なくともその溶融温度がプラズマ処理時に到達される。これに代えて、露出表面は、処理されるポリマー材料のガラス転移温度未満の温度に加熱される。
熱または高温度は、ポリマー鎖の移動度を強化することができ、それはまた、特に材料の深さ中への官能基の形成(グラフティング)を強化することができる。
結果として、表面を含む活性化容積(すなわち表面層)が得られることができ、それは冷却後であっても活性化されたままである。プラズマ処理の種類に依存して、処理されたプラスチックは、官能化領域の有意な劣化なしに、数秒、数時間、数日、数ヶ月、または数年であっても保たれることができ、かくしてかかる期間の間、活性化されたままである。前記期間は貯蔵条件により影響されることができる。
従って、(前駆物質の有りまたは無しでの)プラズマへの露出の結果として、プラズマ処理表面層14(または官能化領域)が形成され、それは上に示されたように一つ以上の官能(化学)基を備えることができる。かかる表面層、または官能化領域は表面積のみに限定されないことが好ましく、プラスチック材料の深さ中に延びることができる。かかる官能基は、ポリマー材料の露出表面のポリマー鎖にグラフトされることができる。
(官能)表面層の厚さは好適には1Å(オングストローム)〜1000nmの範囲に、好ましくは3Å〜500nmの範囲、より好ましくは5Å〜300nmの範囲である。
プラズマ処理後、レーザークラッディングが従来公知のように実施されることができる。まず、プラズマ処理されることができる基板が、その−おそらくプラズマ処理された−表面でレーザービーム15により走査される。プラズマ処理されることができる熱可塑性粉末が、図1Cに示されるように、粉末供給手段16により、おそらく入射レーザービームの場所に導入される。レーザーエネルギーは基板、粉末またはそれらの両方により吸収されることができる。これはレーザーエネルギーの熱への変換を起こす。従来公知であるように走査パターンが使用されることができる。粉末は、レーザーエネルギーの直接吸収のため、または間接的に加熱された基板との接触のため、または両方のため、溶融されることができる。熱は、粉末を溶融させかつ基板上に広げて、被覆17を形成する。
任意工程では、被覆された基板は、被覆を緻密化するためにレーザービームにより二度走査されることができる。これは、全ての粉末粒子が溶融すること、及び粉末粒子間に存在する多孔度が減少することを確保するためになされることができる。かかる走査は同じレーザービーム15により実施されることができる。
本発明によれば、プラズマ処理により、相溶性は、レーザークラッディングにより及び冷却後に材料間(基板と被覆の間)の強い付着が確立されるように当初不相溶性の材料に導入される。相溶性領域は、驚くべきことにプラズマにより付与された表面層(単数または複数)14を越えて及ぶことができる。
実施例1:アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)上へのポリアミド被覆のレーザークラッディング
レーザークラッディングの前に、大気圧で作動するPlasma−Spot(登録商標)(VITO、ベルギー)装置を用いて基板の活性化が実施される。選択されたガス混合物がプラズマ領域内でイオン化され、トーチから吹き出される。このようにして種々の種類の基板材料及び幾何学的形状の処理のために適したプラズマアフターグローが作られる。
窒素と二酸化炭素の混合物が、活性プラズマアフターグローを発生するためにPlasma−Spot(登録商標)内でイオン化された。電力供給は、DC出力を持つ整流器を含み、それは75kHzの周波数を持つAC信号に変換される。変圧器を用いて高電圧が作られる。消費電力は10W/cmに設定され、合計流は質量流制御器を用いて72/8slm N/COの比で1分当り80標準リットル(slm)に保たれた。
NBR基板の表面はPlasma−Spot(登録商標)から4mmの距離で処理された。平坦試料が8.2秒/cmの速度で処理された。
レーザークラッディング実験が連続150Wダイオードレーザー(940nm波長)により実行された。第一工程時に、大気圧プラズマ処理を受けさせたプラスチックNBR基板が、表面をレーザービームにより走査することにより加熱される。同時に、ポリアミド粉末が、1.5g/分の割合で加熱された表面上のレーザービーム内に10リットル/分の流量を持つ担体ガスとしてのアルゴンにより吹き込まれる。この工程は、レーザーにより加熱される領域の表面温度を連続的に測定する非接触式光学パイロメーターにより制御される。閉ループ制御のために、実際の表面温度の信号は調節変数として作用し、一方公称温度はコマンド変数として使用される。PID制御器の機構によれば、両信号は比較され、新しい出力値は両方の値間の差から計算される。レーザー出力は制御器出力のための好適な選択である。なぜならこれは(レーザー基板相対速度と比較して)最もフレキシブルな値であるからである。
ポリマー粉末は、レーザー加熱基板との接触及びレーザービームとの直接相互作用の結果として部分的に溶融される。レーザー及び粉末送出は2000mm/分の速度と1mmの処理工程幅で動く。ポリアミド粉末のために、基板はレーザーにより180℃〜400℃の温度に加熱され、その限界はそれぞれ粉末の溶融温度と粉末の劣化が起こる温度により規定される。100μmから400μm厚の粗い層が得られることができる。粉末添加なしの第二レーザー走査工程は、この上部層を再溶融しかつ表面粗さ及び多孔度を減少するために付与される。再溶融工程は典型的には750mm/分の速度で実施される。温度は150℃〜350℃である。
剥離試験は、基板の大気圧プラズマ処理が実施されるときにNBR基板への溶融ポリアミド層のより良い付着を示す。平均剥離強度は30N/mmから350N/mmに増加した。
実施例2:ポリプロピレン(PP)基板上へのポリアミド(PA)被覆のレーザークラッディング
大気圧でのプラズマアフターグローがプラズマジェット装置(PlasmaJet(登録商標)DC,Raantec,ドイツ)により得られる。使用されたプラズマ形成ガスは空気であった。空気流は(圧力制御された)約30リットル/分に保たれた。前駆物質は使用されなかった。電力は290ワットであった。かかるプラズマはPP表面上に極性化学基を導入する。これらの極性化学基はポリアミドのアミド基と相溶性である。
PP基板はここではXYテーブル上に配置され、大気圧プラズマアフターグローに露出された。PP基板は露出時に装置から10mmの距離に保たれた。処理速度は5m/分であった。
大気圧プラズマ処理後、レーザークラッディング実験が実施例1と同じ条件下に実施される。PP基板へのPA被覆のより良い付着が得られる。

Claims (14)

  1. ポリマー材料から作られた基板(11)上に熱可塑性材料の被覆(17)を付与する方法であって、前記熱可塑性材料と前記ポリマー材料が不相溶性である方法において、
    − 基板を第一プラズマ放電(12)またはそれから得られる反応性ガス流に露出してプラズマ処理基板(14)を得る、
    − プラズマ処理基板を加熱するために前記プラズマ処理基板上のラインに沿ってレーザービーム(15)を走査する、そして
    − プラズマ処理基板上に被覆(17)を形成するために前記ライン上に前記熱可塑性材料の粉末(16)を供給する、
    工程を含むことを特徴とする方法。
  2. ポリマー材料から作られた基板上に熱可塑性材料の被覆を付与する方法であって、前記熱可塑性材料と前記ポリマー材料が不相溶性である方法において、
    − 前記熱可塑性材料の粉末を第二プラズマ放電またはそれから得られる反応性ガス流に露出してプラズマ処理粉末を得る、
    − 基板を加熱するために基板上のラインに沿ってレーザービームを走査する、そして
    − 基板上に被覆を形成するために前記ライン上に前記プラズマ処理粉末を供給する、
    工程を含むことを特徴とする方法。
  3. 粉末が請求項2に記載のように露出されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 第一プラズマ放電及び/または第二プラズマ放電が、空気、N,O,CO,H,NO,He,Ar及びそれらの混合物からなる群から選ばれたプラズマ形成ガスにより形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
  5. 露出工程の前に、第一プラズマ放電中にまたはそれから得られる反応性ガス流中に第一前駆物質を導入する工程を含むことを特徴とする請求項1,3または4のいずれか一つに記載の方法。
  6. 露出工程の前に、第二プラズマ放電中にまたはそれから得られる反応性ガス流中に第二前駆物質を導入する工程を含むことを特徴とする請求項2〜5のいずれか一つに記載の方法。
  7. 第一前駆物質と第二前駆物質が同じであることを特徴とする請求項5または6に記載の方法。
  8. 第一前駆物質及び/または第二前駆物質がアリルアミン、ヒドロキシルエチルアクリレート、アクリル酸、メタン、プロパン、エチレン、アセチレン、アミノプロピルトリエトキシシラン及び水からなる群から選ばれることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一つに記載の方法。
  9. 露出工程において、化学基が、露出された材料上に形成され、その化学基がカルボキシル、アミノ、ヒドロキシル、アミド、イミド、ニトリル、ジイミド、イソシアニド、カーボネート、カルボニル、パーオキシド、ヒドロパーオキシド、イミン、アジド、エーテル、エステル、シロキサン及びハロゲン基からなる群から選ばれることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の方法。
  10. 露出工程において、表面領域が、1オングストローム〜1000nmの範囲、好ましくは3オングストローム〜500nmの範囲、より好ましくは5オングストローム〜300nmの範囲に入る厚さを持つプラズマにより作用されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の方法。
  11. 被覆上のラインに沿ってレーザービームを走査する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の方法。
  12. 前記ポリマー材料が熱可塑性材料であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載の方法。
  13. 前記ポリマー材料が熱硬化性材料であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載の方法。
  14. 基板の露出工程において及び/または粉末の露出工程において、露出された材料の露出された表面が少なくとも一時的にその少なくともガラス転移温度に、好ましくはその少なくとも溶融温度に加熱されることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一つに記載の方法。
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