JP2012504161A - 放射線被曝の処置のための組成物および方法 - Google Patents
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Abstract
【選択図】なし
Description
本明細書全体において、先行技術の考察はいずれも、そのような先行技術が広く知られていることまたはこの分野に共通の一般的知識の一部を形成することを認めるものとは決してみなすべきでない。
本発明の好ましい態様を、例示のみを目的とする添付の図面を参照して以下に記載する。
プロピオニバクテリウム−アシニ(Propionibacterium acini)から単離したムラミルジペプチド(MDP)の多重反復配列が、この実施例のMDPマイクロ粒子キャリヤー複合体のコア構造を形成した。好ましいモノマーサブユニットの化学組成は下記のものである:
リガンドを使用する場合、MDPマイクロ粒子へのリガンドの共有結合は、二官能性クロスリンカーにより、あるいはこの実施例に開示するように炭水化物部分のアルデヒド酸化生成物に対して行なうことができる;Current Protocols In Immunology; Series Editor: Richard Coico (Cornell University) Published by John Wiley & Sons, Inc.に記載。
MDPマイクロ粒子は希釈した全血においてGM−CSF分泌を誘導することが示された(図1)。20μg/mlのMDPマイクロ粒子でインビトロ刺激した後、T=24および88時間目に、GM−CSFレベルを標準フローサイトメトリービーズアレイ法により測定した(Becton Dickinson、米国サンノゼ)。PMA(25nM)およびイオノマイシン(ionomycin)(1μg/ml)を比較のために含めた。
MDPマイクロ粒子は単離したPBMCの刺激アッセイにおいてGM−CSF分泌を誘導することが示された(図2)。5または1μg/mlのMDPマイクロ粒子、または比較のための108粒子/mlのHKSA(熱死滅(heat killed)黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus))でインビトロ刺激した後、T=24および72時間目にGM−CSFレベルを測定した。
MDPマイクロ粒子は、ウサギに500μgのMDPマイクロ粒子を静脈内ボーラス投与した7日後にウサギにおいて血小板増加を誘導することが示された(図3)。この処理により血小板数が73%増加した(非処理対照と対比してp=0.03)。
MDPマイクロ粒子による処理は、GM−CSF、およびGM−CSFと協同作用することが知られている他の造血サイトカインであるIL−3のレベルの上昇をもたらすことが2患者の血清において認められた。1患者(図4)には5mg用量のMDPマイクロ粒子を投与した(0.2mL生理食塩水中で静脈内投与)。5mgのMDPマイクロ粒子を静脈内送達した後、T=0、24および48時間目に、造血サイトカインレベルを標準フローサイトメトリービーズアレイ法により測定した(Becton Dickinson、米国サンノゼ)。
いずれか特定の機序または理論により拘束されたくはないが、インビトロ細胞サブセット取り込みデータならびにインビトロおよびインビボ広域サイトカイン誘導分析に基づけば、これらのデータは、MDPマイクロ粒子が細網内皮系内の細胞を刺激して、骨髄回復を促進できるサイトカインまたは致死量の放射線から防護できるサイトカインを分泌させる作用をすることを指摘する。MDPマイクロ粒子は、脊髄回復に関連するGM−CSFの産生のほか、IL−1、IL−6およびTNFα、すなわち相乗的な放射線防護をもたらすことが知られているサイトカインの産生を誘導することも示された(図6)。20μg/mlのMDPマイクロ粒子でインビトロ刺激した後、T=24および72時間目に、サイトカインレベルを標準フローサイトメトリービーズアレイ法により測定した(Becton Dickinson、米国サンノゼ)。
異なる放射線量を用いて2つの実験を行なった−コバルト60源からの7.2Gyおよび9.0Gyのガンマ線。この放射線源およびタイプは有用かつ簡便な放射線発生源として使われ、これは、有効に利用できる、あるいは環境において遭遇する可能性がある、または治療その他の目的に使用できる放射線の他の線源を適切に代表および例示する。
24匹のC57Bl/6マウスを、対照マウス12匹およびMDPマイクロ粒子処理マウス12匹の2グループに分けた。次いで致死量下の7.2Gyの放射線を0日目に付与した。マウスを0、4、8、10、11、14、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、28および30日目に体重測定した。
実験1と同様に、24匹のC57Bl/6マウスを、対照マウス12匹およびMDPマイクロ粒子処理マウス12匹の2グループに分けた。次いで致死量の9Gyの放射線を0日目に付与した。マウスを0、4、6、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、24、26および28日目に体重測定し、生存をモニターした(図8)。図9は、対照マウスと対比したワクチン接種マウスの体重の平均を示す。致死量の放射線に被曝した後、MDPマイクロ粒子による処理が対照マウスと比較して体重減少を阻止したことが明らかである。
実験1
CD2F1雄マウス(12〜14週齢)を体重測定した。低体重および高体重の動物を排除した。残りの動物をランダムに処理グループに分けた(グループ当たり16匹の動物)。動物に飼料(Harlan,IN)および酸性化した水(pH2.5〜3.0)を任意に与えた。MDPマイクロ粒子原液(5mg/mL)の部分試料を注射の当日に生理食塩水中に希釈し、10mg/kgを0.1mL/マウスでip(腹腔内)経路により送達した。被験動物に9.0Gyの全身照射を0.6Gy/分の線量率のコバルト60ガンマ線で行なった。薬物処理マウスには、10mg/kgのMDPマイクロ粒子を全身照射の時点に対して−24時間目および+1時間目に腹腔内投与した。
C57BL/6マウス(10〜12週齢)を体重測定し、雌および雄の平均体重を判定した。動物をランダムに処理グループに分けた(グループ当たり30匹)。動物に飼料(Harlan 2018C)および酸性化した水(pH2.0〜3.0)を任意に与えた。MDPマイクロ粒子(MIS416)を生理食塩水中1mg/mLで投与した。すべての雌マウスに雌の平均体重に基づいて投薬し、すべての雄マウスに雄の平均体重に基づいて投薬した。MDPマイクロ粒子を腹腔内注射経路により投与した。下記の投与計画を実施した:
a)1回、12.5mg/Kg(250μg/20gのマウス)、照射の14日+6時間前;
b)1回、5mg/Kg(100μg/20gのマウス)、照射の24±4時間前;
c)1回、5mg/Kg(100μg/20gのマウス)、照射の24±4時間後;
d)2回、5mg/Kg(100μg/20gのマウス)、照射の24±4時間前と24±4時間後。
Claims (42)
- 放射線被曝または放射線被毒を予防処置または治療処置する方法であって、その処置を必要とする対象に、有効量のMDPマイクロ粒子、またはMDPマイクロ粒子を含む組成物を投与することを含む、前記方法。
- 放射線に被曝した対象または放射線被毒を伴う対象において骨髄回復を促進する方法であって、その処置を必要とする対象に、有効量のMDPマイクロ粒子、またはMDPマイクロ粒子を含む組成物を投与することを含む、前記方法。
- 放射線に被曝した対象または放射線被毒を伴う対象において脊髄回復を促進する方法であって、その処置を必要とする対象に、有効量のMDPマイクロ粒子、またはMDPマイクロ粒子を含む組成物を投与することを含む、前記方法。
- 放射線に被曝した対象または放射線被毒を伴う対象においてサイトカインの放出を刺激する方法であって、その処置を必要とする対象に、有効量のMDPマイクロ粒子、またはMDPマイクロ粒子を含む組成物を投与することを含む、前記方法。
- 放射線に被曝した対象または放射線被毒を伴う対象において血小板増加を誘導する方法であって、その処置を必要とする対象に、有効量のMDPマイクロ粒子、またはMDPマイクロ粒子を含む組成物を投与することを含む、前記方法。
- 放射線が電離性放射線であり、あるいは放射線被毒が電離性放射線により起きるものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 放射線が、宇宙線、電波、電磁波、赤外線、可視光線、紫外線、アルファ線、ベータ線、陽子ビーム、重粒子ビーム、X線、ガンマ線、電子ビームおよび中性子ビームから選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- MDPマイクロ粒子、またはMDPマイクロ粒子を含む組成物を、静脈内、経口、筋肉内、鼻腔内、直接に肺の気道または鼻粘膜への噴霧吸入または乾燥粉末投与により投与する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
- MDPマイクロ粒子、またはMDPマイクロ粒子を含む組成物を、約1μgから約20mg/Kg体重の用量で投与する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
- MDPマイクロ粒子、またはMDPマイクロ粒子を含む組成物を、約1μg〜約150μg/Kg体重、もしくは約1μg〜約15μg/Kg体重の投与量範囲から;または約1、5、10もしくは15mg/Kg体重から選択される用量で投与する、請求項9に記載の方法。
- MDPマイクロ粒子、またはMDPマイクロ粒子を含む組成物に、医薬的に許容できるキャリヤーを配合する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
- 放射線被曝が放射線療法により起きる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
- MDPマイクロ粒子またはその組成物を、放射線療法の最高7日前に投与する、請求項12に記載の方法。
- MDPマイクロ粒子またはその組成物を、放射線療法の少なくとも24時間前に投与する、請求項12に記載の方法。
- MDPマイクロ粒子またはその組成物を、放射線療法の少なくとも30分前に投与する、請求項12に記載の方法。
- MDPマイクロ粒子またはその組成物を、放射線療法開始前のいずれかの時点、放射線療法開始の時点、または放射線療法中に投与する、請求項12に記載の方法。
- MDPマイクロ粒子または組成物を、放射線療法のコースが終了した患者に投与する、請求項12に記載の方法。
- MDPマイクロ粒子を放射線被曝の直後に投与する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
- MDPマイクロ粒子を放射線源被曝の後、約1分から約2時間までに投与する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
- MDPマイクロ粒子を、放射線被曝の少なくとも5分以内に投与する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
- MDPマイクロ粒子を、放射線被曝の後、少なくとも24時間以内に投与する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
- 放射線被曝または放射線被毒が、吸入、経口摂取による放射能被曝、または外部直接被曝により起きる、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
- MDPマイクロ粒子を、マイクロ粒子と結合または会合した、免疫調節サイトカインを刺激することができる少なくとも1種類の免疫刺激リガンドと組み合わせる、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
- リガンドが、TLR1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、NOD−1またはNOD−2を含む病原性分子パターン認識受容体から選択される、請求項23に記載の方法。
- 少なくとも1種類の免疫刺激リガンドが、MDPマイクロ粒子の表面と架橋しているか、または会合している、請求項23または24に記載の方法。
- MDPマイクロ粒子が、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)の産生を刺激する、請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。
- MDPマイクロ粒子が、GM−CSFおよびインターロイキン−3(IL−3)両方の産生を刺激する、請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。
- MDPマイクロ粒子が、インターロイキン−1(IL−1)、インターロイキン−6(IL−6)および腫瘍壊死因子−α(TNFα)の産生をも刺激する、請求項1〜27のいずれか1項に記載の方法。
- MDPマイクロ粒子が、白血球および血小板の産生を増大させることにより造血再構成をも刺激する、請求項1〜28のいずれか1項に記載の方法。
- MDPマイクロ粒子が、赤血球の産生を増大させることにより赤血球産生をも刺激する、請求項1〜28のいずれか1項に記載の方法。
- MDPマイクロ粒子を、放射線被曝または放射線被毒の処置のための1種類以上の他の薬剤と組み合わせて使用する、請求項1〜30のいずれか1項に記載の方法。
- 放射線被曝または放射線被毒の処置のための1種類以上の他の薬剤が、不溶性プルシアンブルー、Ca−DTPA、Zn−DTPA、フィルグラスチム、骨髄移植、輸血、またはホルモンおよびサイトカインから選択される、請求項31に記載の方法。
- サイトカインが、IL−1、IL−3、IL−6、GM−CSFまたはTNFαから選択される、請求項23〜32のいずれか1項に記載の方法。
- MDPマイクロ粒子を、放射線被曝または放射線被毒の処置のための1種類以上の他の薬剤と組み合わせる共療法として使用する、請求項1〜33のいずれか1項に記載の方法。
- 放射線被曝または放射線被毒の処置のための1種類以上の他の薬剤を、補助療法としてMDPマイクロ粒子と共に使用できる、請求項34に記載の方法。
- 療法が、他の薬剤およびMDPマイクロ粒子を同時または逐次投与することを含む、請求項35に記載の方法。
- 逐次投与を、数分、数時間、数日または数週間のいずれか適切な時間枠で間隔をおくことができる、請求項36に記載の方法。
- 放射線に被曝した対象または放射線被毒を伴う対象における放射線被曝または放射線被毒の予防処置または治療処置のための、MDPマイクロ粒子、またはMDPマイクロ粒子を含む組成物。
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