JP2012500241A - ケラチンの非永久的染色のためのハイドロフォビンの使用 - Google Patents

ケラチンの非永久的染色のためのハイドロフォビンの使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、ケラチン及びケラチン含有物質、特に毛髪の非永久的染色のためのハイドロフォビンの使用、及びケラチン及びケラチン含有物質、特に毛髪の非永久的染色のための対応する方法に関する。本発明は更に、ハイドロフォビンを含有する、ケラチン及びケラチン含有物質、特に毛髪の非永久的染色のための手段に関する。

Description

本発明は、ケラチンおよびケラチン含有物質(特に毛髪)の非永久的染色のためのハイドロフォビンの使用、ならびにケラチンおよびケラチン含有物質(特に毛髪)の非永久的染色のための対応する方法に関する。本発明はさらに、ハイドロフォビンを含む、ケラチンおよびケラチン含有物質(特に毛髪)の非永久的染色のための手段に関する。
染毛組成物すなわちヘアカラー組成物は、堅牢度(fastness)によって分類される。様々な分類法が知られている。ほとんどの場合、3つのクラスに細分類される:1〜2回の洗髪のみで落ちる一時染毛組成物(狭い意味での着色料(colorations))(クラス1)、約6〜10回の洗髪後に染め直さなければならないセミパーマネント染毛組成物(クラス2)、および洗っても落ちない永久的染毛組成物(狭い意味での染毛剤(hair dying))(クラス3)。同じように一般的な他の細分類法では、洗ったら落ちてしまうものから10回の洗髪までもつ全ての染毛組成物は着色料(クラス1)としてまとめられ(subsummed)、クラス2は、24回の洗髪までもつデミパーマネント染毛料をさし、クラス3は、同じく永久的染毛組成物をさす。さらに、4つのクラスへの細分化も文献中に見られる:着色料(1〜2回の洗髪で落ちる)、セミパーマネント(semi-permanent)染料(6〜10回の洗髪で落ちる)、デミパーマネント(demi-permanent)染料(24回の洗髪までもつ)、および永久的染料(洗っても落ちない)。
全ての分類法のクラス1および2の組成物は、共通して、洗い流せるものを言っているので、これらの組成物を以下、洗い流せる染料または非永久的染料とまとめて呼ぶ。セミパーマネントおよびデミパーマネント染料は、以下、クラス2の染料としてまとめ、1〜2回の洗髪のみで落ちてしまうような染料をクラス1の着色料と呼ぶ。
毛髪の永久的染色のためのクラス3の全ての市販品は、「顕色剤(developer)」(一般には酸化作用を持つ化学物質(oxidizing chemical))を含む一方で、他方では、染料ペーストの一部としてアルカリ成分(通常はアンモニアまたは例えばモノエタノールアミン等のアンモニア置換体)を含む。これらの化合物は、毛髪繊維のクチクラ層(cuticula)に無色の染料前駆体が入り込み易くすることによって、最終染料を毛髪中で発色させ易くする機能を有すると同時に、過酸化物の影響によって髪を明るくする。アルカリ成分を含む染料ペーストが顕色剤と接触するとすぐに過酸化水素が脱プロトン化され、クチクラを通過して拡散し、毛髪の内部に届き、そこでメラニンに出会う。アルカリ過酸化物はメラニンを破壊し、最初は無色であった染料前駆体を酸化し、最終的な染料分子を作るが、この分子は大きすぎて毛髪から出られない。この化学的プロセスにより、永久的染毛組成物は、酸化型染毛組成物とも呼ばれる。原理的には、空気中の酸素により酸化されるいわゆる「自己酸化型染毛剤」は、永久的染毛剤に属する。
一時的およびセミパーマネント染毛組成物(以下まとめて非永久的染毛組成物と呼ぶ)は、一般には非酸化的には機能しない。染料の分子はケラチン表面上に整列するか、または縁からわずかな距離だけ髪の中に浸透する。これらの分子は大きすぎて毛髪の中に完全に入り込むことができない。このように形成された染料層は、ヘアシャンプーで洗浄することにより落とすことができる。
一般に、毛髪に対して低い親和性しかなく、むしろ毛髪表面に付着するような酸性染料は、クラス1の一時的染毛組成物(同義語:着色料、直接染色組成物(direct dyeing compositions))において使用される。
着色料中の染料は、一般には正電荷を帯びたものであって毛髪表面の負電荷を帯びた基に結合するものであるか、またはクチクラ層に浸透することができる小さな分子である。一時的染毛料は、毛幹自体には浸透しない。その代わりに、染料はクチクラ層に結合したままであり、1回の洗髪で大抵落とすことができる。
これに対し、セミパーマネント染毛料(しばしば俗に着色料、インテンシブカラー(intensive coloration)、または直接的染色料(direct dying agent)と呼ばれる)は、一時的な毛髪着色料(hair coloration)に比べて小さな染料分子を含むので、毛髪中に浸透することができる。従って、セミパーマネント染毛料は、一時的な着色料に比べて長持ちするが、一般的には8〜10回の洗髪のみで再度適用しなければならない。デミパーマネント染毛料(染料がより毛髪の中に浸透する)は、かなり長持ちするものであり、多くの場合は最大24回の洗髪までもつ。
これらのすすぎ洗い性(rinsability)に基づいて、セミパーマネント染料およびデミパーマネント染料はいずれも製造業者によって着色料、しばしばクラス1の着色料とも呼ばれるが、これらはクラス2に分類するのがより妥当であろう。
染毛組成物は、通常はできるだけ濃縮された水溶液またはエマルジョンの形態で販売されており、実際の染料に加えて例えば脂肪酸アルコールおよび/または他の油性成分、乳化剤ならびに界面活性剤および任意でアルコールを含む。着色料およびセミパーマネント染毛組成物は、様々な製品の形態、中でもペースト、コンディショナー、シャンプー、ゲルおよびスプレーといった形で入手可能である。
非永久的染毛組成物は、永久的染毛剤に比べて市場でのシェアは小さい。にもかかわらず、これらは永久的染毛剤に比べて髪への影響が少なく、漂白剤やアンモニアを含まないので、大きな経済的関心がある。さらに、永久的染毛剤はその成分のうちの幾つか(特に過酸化水素およびアンモニア)により、度々非難されてきた。EUでは適合性に関して検査されていない永久的染毛剤は将来禁止されるであろう。さらに、永久的染毛組成物は、毛髪の保護層に浸透しなければならないため、毛髪の構造に影響を及ぼす。さらに、永久的染毛剤は、膀胱癌を引き起こすことが疑われている(A. Andres: Int J Cancer 2004; 109: 581-586)。
これにより、永久的染毛組成物に代わる非永久的染毛組成物への関心が高まっている。しかし、消費者はたいてい、着色料は1回の洗髪のみで落ちてしまうし、クラス2の染毛料は数回洗っただけで色あせてしまうことを欠点だと考えている。
従って、毛髪の非永久的着色における既存の組成物および方法に代わる物またはそれらを改良した物であって、特に、できれば同時に毛髪にダメージを与えることなく、染料を毛髪により安定に付着させる非永久的染毛組成物およびそれに対応する方法が必要である。
ハイドロフォビンは、天然では糸状菌中にのみ生じる約100〜150アミノ酸長の小さなシステインに富むタンパク質のクラスである。これらは両親媒性であり、対象物の表面上に非水溶性層を形成することができる。これらのもともとの機能としては、菌類胞子が互いにくっつくのを防ぐための菌類胞子のコーティング、水の表面張力を低下させて水を取り込み易くするための気中菌糸(air hyphae)のコーティング、およびおそらく菌類とその環境との間のシグナル伝達が挙げられる(Whiteford, J.F. Spanu, P.D. (2001), Fungal Genet. Biol. 32(3): 159-168; Wostenら(1999) Current Biol. 19: 1985-88; Bellら(1992), Genes Dev. 6: 2382-2394)。
ハイドロフォビンは、1999年にスエヒロタケ(Schizophyllum commune)において最初に発見および精製された。一方、子嚢菌類(ascomycetes)、不完全菌類(deuteromycetes)および担子菌類(basidiomycetes)においてハイドロフォビン遺伝子が同定された。様々な菌類が、2種以上のハイドロフォビン遺伝子を含む(例えばスエヒロタケ、ヒトヨタケ(Coprinus cinereus)およびアスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)等)。
ハイドロフォビンの疎水性および生物物理学的特性における差に基づいて、これらはクラスIおよびIIの2つのカテゴリーに分類された。相補性実験により、一方のクラスのハイドロフォビンが他方のクラスのハイドロフォビンに機能的に取って代わることがある程度できることが証明された。様々なハイドロフォビンは、菌類における異なる発達段階に関与するようであり、その中で異なる機能を発揮すると思われる(van Wetterら(2000) Mol. Microbiol. 36:201-210; Kershawら(1998) Fungal Genet. Biol. 23: 18-33)。
一般に、ハイドロフォビンは8つのシステインユニットを有する。これらは天然源から単離してもよいが、例えばWO2006/082251号および第WO2006/131564号等に記載されているように、遺伝子工学的プロセスによって得ることもできる。
化粧用調製物におけるハイドロフォビンの使用自体は公知である。US 2003/0217419 A1号は、ケラチン含有物質のトリートメントのためのスエヒロタケのハイドロフォビンSC3の使用について記載している。これにより、数回のシャンプー洗髪に耐え得るコスメティック・デポー(cosmetic depot)が形成される。ハイドロフォビンは、化粧的活性成分と同時か、またはその後に塗布されるが、化粧的活性成分の前には塗布されない。
WO2006/136607 A2号は、ヘアケア用の化粧料におけるハイドロフォビンおよびハイドロフォビンコンジュゲートの使用について記載している。WO2006/136607号によると、ハイドロフォビンは、セミパーマネント染毛料または永久的染毛料と結合して、皮膚および毛髪におけるそれらの濃度、及び影響を高めることができる。永久的染毛料の場合、2つの染料成分のうちの一方をハイドロフォビンに結合させ、他方の成分はコンジュゲートを毛髪に塗布してから加えられる。次に、両成分の酸化的結合が毛髪上で直接起こる。クラス1の一時的染毛組成物と一緒にハイドロフォビンを使用することは、WO2006/136607号には記載されていない。
WO2006/082251号は、ハイドロフォビンタンパク質、これらの製造、および表面のコーティングにおけるこれらの使用について記載している。
WO96/41882号は、とりわけ疎水性表面を親水性にするための界面活性剤として、親水性基質の耐水性を向上させるため、ならびにヘアシャンプーおよびコンディショナーの製造において、ハイドロフォビンを使用することを提案している。
発明の目的
本発明の目的は、ケラチンおよびケラチン含有物質(例えば毛髪、皮膚、爪等だけでなく、羊毛やレザーおよび他のケラチン含有繊維等)、特に毛髪の非永久的染色、特に着色またはセミパーマネント染色をサポートするための方法および組成物を提供することである。
更なる目的は、ケラチンの染色のため、特に毛髪の染色のための方法であって、ケラチン繊維のダメージを最小限に止めることを特徴とする方法を提供することである。本発明によれば、ケラチンの染色は、好ましくは非永久的なものとすべきであるが、その堅牢度および/または色強度(color intensity)の点からみて現在入手可能な非永久的染毛料、特に一時的染毛料を凌ぐものとすべきである。
従来の非永久的染毛組成物により達成されるケラチンの染色を改善すること、特に酸化型染料の適用を要することなく着色料の色強度および/または堅牢度を増強すること、すなわち洗髪に耐え得る染料を提供することが、さらなる目的である。好ましくは、この目的は、着色料およびセミパーマネント染毛料のためのものである。これにより、永久的染毛剤に代わる、これらの染毛組成物の欠点を持たない代替物を確立するものである。
これらの目的および本明細書中以下の発明の説明から分かるであろう他の目的は、独立請求項に従って解決される。本発明の具体的な実施形態は、従属請求項、発明の説明、および実施例から分かるであろう。さらに、本発明はこれらの好適な実施形態の組合せも含む。
発明の簡単な説明
本発明は、ケラチンまたはケラチン含有物質、特に毛髪の、非永久的染色のためのハイドロフォビンおよびハイドロフォビン含有組成物の使用に関する。本発明はさらに、ケラチンの染色、特に着色およびセミパーマネント染色のための対応する組成物に関する。ハイドロフォビンを用いたケラチンの染色のための対応する方法も提供される。
ハイドロフォビンを用いることにより、好ましくは色強度が増し、洗い流しによる染料の色落ちまでの期間が長くなる。このことは、非永久的染料のケラチン内/中への取り込みおよび/または付着が良くなることを示す。これは、特に親水性染料に関する。染料はこのようにして、色強度が増し、および/または色持ちがより長くなる。
ハイドロフォビンの使用はさらに、(非永久的染料に加えて)他の化粧成分のケラチン内/中への取り込みおよび/または付着を改善させることになり得る。これは好ましくは親水性の化粧的活性成分(パンテノール等)に関係する。これにより、活性成分はより強力に働く。なぜなら、活性成分がより高い局所濃度でケラチンに到達および/または浸透し、ならびに/あるいはこれらの活性成分が完全に洗い流されるまでの期間が長くなるからである。中でも特に、これは、処理したケラチンの毛髪の太さ、引裂き強度(tear strength)(引裂き力(tear force)の改善)、櫛通りのよさ(combability)、コーミングフォース(combing force)、柔軟性(lissomnes)、および他の特性に対して影響を及ぼし得る。個々の化粧成分および適用分野によって、それぞれの量的効果および質的効果が決まる。
特にハイドロフォビンの存在により、染料以外の着色料/染毛料の追加の成分(例えばコンディショニング剤等)はより強力に働き得る。
詳細には、本発明はそれぞれ以下の主題および実施形態に関する。
(1)ケラチンまたはケラチン含有物質の非永久的染色方法であって、該ケラチンまたはケラチン含有物質に少なくとも1種の非永久的染料と、少なくとも1種の構造式(I)のハイドロフォビンとを適用することを含む、上記方法。
(2)ケラチンまたはケラチン含有物質の非永久的染色のための組成物であって、
(i)構造式(I)を有する少なくとも1種のハイドロフォビン、および
(ii)少なくとも1種の非永久的染料
を含有する、上記組成物。
(3)ケラチンまたはケラチン含有物質の非永久的染色のためのキットであって、2個の別個の化粧用組成物、すなわち
(i)構造式(I)を有する少なくとも1種のハイドロフォビンを含有する組成物、および
(ii)少なくとも1種の非永久的染料を含有する組成物
を含有する、上記キット。
(4)非永久的染色の強度および/または非永久的染色の洗い流しに対する堅牢度を高めるためにケラチンまたはケラチン含有物質を非永久的に染色するための、構造式(I)を有するハイドロフォビンの使用。
定義
以下の用語、定義、および略語を使用する。
一般的な3文字コードまたは1文字コードでアミノ酸およびヌクレオチドを表す。
本発明の文脈において、単数形「a(n)」は、文脈上違った意味にならない限り、対応する複数形も含む。従って、「ハイドロフォビン(a hydrophobin)」という用語は、2以上のハイドロフォビン分子(すなわち1つのタイプの2、3、4、5個等のハイドロフォビン分子)も含み得る。
「少なくとも1つ」とは「1以上」を意味し、「少なくとも」の後に数値が続いた場合は、「その数値またはそれより高い数値」を意味する。
文脈上数値に関してまたはパラメータの領域の境界内で、「約」または「およそ」という用語は、当業者の理解によれば、問題となっている特徴の技術的効果がなお保証されている偏差領域(area of deviation)を指す。典型的には、この用語は、示された数値から+/−10%、好ましくは+/−5%の偏差を意味する。
特に断らない限り、酸はその遊離形態で、すなわち遊離酸として、または酸の部分的もしくは完全な塩として、または酸およびその塩の混合物として、存在する。逆に、塩基、特にアミンは、遊離塩基の形態で、または塩基の部分的もしくは完全な塩として、または塩基およびその塩の混合物として存在し得る。
「天然の」とは、「野生型」および「天然に(生じる)」と同義語である。2つのポリペプチド間で「天然に」生じる結合とは、自然界、すなわち例えば野生型タンパク質において見られる結合である。野生型もしくは天然のタンパク質またはポリペプチドとは、特に断らない限り、前記タンパク質/ポリペプチドの通常生じる形態である。
本発明の文脈において、「組換え」とは、「遺伝子工学的方法を使って、またはその結果産生された」という意味である。
アミノ酸配列の「フラグメント」は、それぞれの元の配列のN-および/またはC-末端で1以上の連続したアミノ酸が失われることによってできる。
本発明に従ったアミノ酸配列の「相同体」とは、1以上のアミノ酸の置換によりその元の配列とは異なるタンパク質またはポリペプチドである。好ましくは、当該タンパク質の機能および/またはコンフォメーションは、前記置換によっては影響されない。特に好ましくは、アミノ酸置換は保存的アミノ酸交換(exchange)であり、従って、交換されるアミノ酸は同じような化学的特性を持つアミノ酸により置換される(例えばValはAlaにより置換される)。
特に好適な保存的アミノ酸交換は、以下のグループのメンバー間で起こる:
-酸性アミノ酸(アスパラギン酸およびグルタミン酸);
-塩基性アミノ酸(リシン、アルギニン、ヒスチジン);
-疎水性アミノ酸(ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、アラニン);
-親水性アミノ酸(セリン、グリシン、アラニン、トレオニン);
-脂肪族側鎖を持つアミノ酸(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン);
-ヒドロキシ脂肪族(hydroxyaliphatic)側鎖を持つアミノ酸(セリン、トレオニン);
-側鎖中にアミド基を持つアミノ酸(アスパラギン、グルタミン);
-芳香族側鎖を持つアミノ酸(フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン);
-側鎖中に硫黄を持つアミノ酸(システイン、メチオニン)。
特に好適な保存的アミノ酸交換は以下の通りである:
元のアミノ酸 置換体
Ala Ser
Arg Lys
Asn Gln; His
Asp Glu
Cys Ser
Gln Asn
Glu Asp
Gly Pro
His Asn; Gln
Ile Leu; Val
Leu Ile; Val
Lys Arg; Gln; Glu
Met Leu; Ile
Phe Met; Leu; Tyr
Ser Thr
Thr Ser
Trp Tyr
Tyr Trp; Phe
Val Ile; Leu
「単離された」という用語は、「起源生物から分離または精製された」という意味である。従って、単離されたハイドロフォビンはもはや、それが天然で見られる菌類の一部ではない。組換えにより生成したハイドロフォビンも、「単離された」ハイドロフォビンである。
「色強度」(同義語:「染色強度(intensity of dying)」)は、目視検査に基づき(任意で染色されていない基準物と比較した)主観的な評価によって認められ得る、または光学的な測定データの比較で決定され得る、観察された彩度(colorfulness)である。
このような測定データは、例えばKonica Minolta CR-300、CR-310、CR-311 (コニカミノルタセンシング株式会社、大阪府)等の従来の光度計または比色計、好ましくはCR-300を用いて決定することができる。次に、測定データを例えばa-b-L-系 (同義語:Lab-系、CIELAB-系; L:明度(brightness);a:色調;b:彩度(saturation))に従って、またはL*a*b*-系 (CIE 1976)に従って、好ましくはL*a*b*-系に従って、評価することができる。L*a*b*-系に従った評価は、例えばKonica Minolta CR-300、CR-310、CR-311 (コニカミノルタセンシング株式会社、大阪府)の使用説明書の独語版(バージョン番号527 349/9.99)に記載されている。
「非永久的染料」という用語は、ケラチンに対するその染色効果が、1回または繰り返し洗浄することにより元に戻り得る染料、すなわちケラチンの非永久的染色のための染料をさす。
本発明の文脈において、「非永久的/洗い流せる染色」および「非永久的/洗い流せる染(毛)料」という用語はそれぞれ、ケラチンの着色、セミ-およびデミパーマネント的染色、ならびにそのための染料(つまりそれぞれ、ケラチンから洗い流すことができ、永久的染毛剤ではないあらゆる染色および染色組成物である)を含む。
本発明の文脈において、「着色料」という用語は、「一時的な着色料」、「一時的な染料」、「一時的な色」、「一時的な染料(dyestuff)」の同義語として使用される。製造業者による不統一な言葉の言い回し(前掲「背景」)のために、この用語はその広い意味において、あらゆる非永久的な洗い流せる染毛組成物、さらには一時的な染色組成物(その用語の適切な意味での着色料)、セミ-およびデミパーマネント染色組成物を含む。
より狭く且つ好適な意味において、この用語は着色料およびセミパーマネント染色組成物を含み、最も好適且つ最も狭い意味において、この用語はその言葉の適切な意味での着色料を含む。この言葉の適切な意味において、着色料は、1〜2回の洗髪で洗い流されるような毛髪の非永久的染色のための染色組成物である。更なる定義および説明は、「背景」の節に書かれている。
「ΔE」(同義語:「デルタE」)はそれぞれ、サンプル色と比較色とのおよび2色間の色差(difference in color)ならびに色距離(color distance)(DIN 5033-1: 1979-03)の測定値である。ΔEは、様々な工業規格に従って光度測定により、通常は規格DIN5033に従った測定およびDIN 6174に従ったΔEの計算により、決定することができる。測定データは、a-b-L-系 (同義語:Lab-系、CIELAB-系; L:明度;a:色調;b:彩度)に従って、またはL*a*b*-系(CIE 1976)に従って、評価することができる。好適な方法は、CIE 1976で定義されたL*a*b*色空間に基づくものである。本発明の目的では、ΔEは、好ましくは規格DIN 5033-Part 1およびDIN 6174に従って、すなわちL*a*b*色空間に基づいて、例えば実施例6に記載される方法に従って、Konica Minolta CR-300、CR-310、CR-311 (コニカミノルタセンシング株式会社、大阪府)等の比色計、好ましくはCR-300を用いて、Konica Minolta CR-300、CR-310、CR-311 (コニカミノルタセンシング株式会社、大阪府)の使用説明書の独語版、バージョン番号527/349/9.99に記載された方法に従って、決められる。
一般に、知覚できる色差のΔE値は2〜5の間であり、非常に良い結果の場合は5を超え、これは、裸眼で知覚できる有意な色差(異なる色の存在)を示す(http://de.wikipedia.org/wiki/Delta E)。
Figure 2012500241
「親水性」および「疎水性」という用語は、化学用語で一般的に使用される意味を有する。従って、「親水性」染料は、好ましくは水または極性溶剤に溶解する染料である。親水性染料は、典型的にはイオン性であるか、双極子モーメントを有するか、および/または電気陰性の基を含む、極性化合物である。他方、「疎水性」染料は、好ましくは非極性媒体に溶解し、イオン性官能基を持たず、弱い電気陰性官能基のみを有する。
発明の詳細な説明
本発明は、ケラチンおよびケラチン含有物質の非永久的染色のためのハイドロフォビンの使用、ならびに対応するハイドロフォビン含有化粧品組成物およびキットに関する。
驚くべきことに、本発明に従ってハイドロフォビンを使用することにより、特に実施形態(1)に従った方法で使用することにより、前記ハイドロフォビンを使用していない非永久的染料と比べて、非永久的染料の強度および/または洗浄に対する非永久的染料の堅牢度が強化されることが分かった。これは、非永久的染料を適用する前に、ハイドロフォビン含有組成物を用いた、染色しようとするケラチンの前処理に特に適用される。ハイドロフォビンで処理した染色済み毛髪とハイドロフォビンで処理しなかった染色済み毛髪との色差は、ΔEで表され、例えばKonica Minolta CR-300、CR-310、CR-311 (コニカミノルタセンシング株式会社、大阪府)の使用説明書の独語版、バージョン番号527 349/9.99(「定義」の節および実施例6を参照されたい)に記載された方法に従って、好ましくはDIN 5033に従って決定され、および/またはDIN 6174に従って算出され、2を超える、好ましくは4を超える、特に好ましくは5を超えるものであり得る。ハイドロフォビンのこの効果は、おそらくハイドロフォビンがケラチン含有表面、特に毛髪の表面の親水性を高めることができるという事実に基づくものである。
実施形態(1)の方法、実施形態(2)および(3)の組成物、ならびに実施形態(4)の使用は、好ましくはケラチンを化粧目的で染色するためのものであり、ヒトまたは動物の身体を治療するためのものではない。
本発明の主題は、ケラチンの染色において役立つものである。ケラチンは、純粋なケラチンとして存在するものであってもよいし、またはケラチン含有物質の一部として存在する。好適なケラチンおよびケラチン含有物質は、皮膚、毛髪、爪、角、羊毛、皮革、動物の毛(coat)、毛皮および羽毛である。特に好適なものは、ケラチン性繊維(keratinaceous fibers)、特に毛髪および羊毛である。
特に好ましくは、実施形態(1)の方法は、毛髪、特に頭皮に生えた毛髪の染色のために使用され、実施形態(2)および(3)の組成物ならびに使用(4)は、毛髪、特に頭皮に生えた毛髪の染色に適している。
本発明に従って染色されるケラチンは、ヒト起源のものであっても動物起源のものであってもよく、好ましくはヒト起源のものである。
本発明の実施形態(1)に従った方法および実施形態(4)に従った使用は、染色しようとするケラチン上への少なくとも1種のハイドロフォビンの塗布を必要とする。この少なくとも一種のハイドロフォビンは、好ましくは化粧品として許容される追加の成分を含む組成物の成分である。
本発明の全ての実施形態の文脈において、「ハイドロフォビン」(単数および複数いずれも)という用語は、好ましくは以下の一般式(I)で表されるポリペプチドを示す。
Xn-C1-x1-50-C2-X0-5-C3-X1-100-C4-X1-100-C5-X1-50-C6-X0-5-C7-X1-50-C8-Xm (I)
[式中、Xは20種の天然に生じるアミノ酸(Phe、Leu、Ser、Tyr、Cys、Trp、Pro、His、Gln、Arg、Ile、Met、Thr、Asn、Lys、Val、Ala、Asp、Glu、Gly)を表す。ここで、X-残基はそれぞれ同じものであっても異なるものであってもよい。また、Xの横の添え字は、対応する部分配列Xの中のアミノ酸の数を示す。]
添え字nおよびmは互いに独立して、自然数を表す。一般に、mもnも0ではなく、原則として1以上を表す。例えばmおよびnは互いに独立して、1〜500であり得る。好ましくはmおよびnは互いに独立して、15〜300である。
C1〜C8で示されたアミノ酸は好ましくはシステインであるが、同様の空間体積(space volume)を有する他のアミノ酸、好ましくはアラニン、セリン、トレオニン、メチオニン、またはグリシンで置換されてもよい。しかし、位置C1〜C8までの少なくとも4つ、好ましくは少なくとも5つ、特に好ましくは少なくとも6つ、非常に好ましくは少なくとも7つがシステインであるのが良い。
本発明のタンパク質において、位置C1〜C8にあるシステインは、還元されていてもよく、または互いにジスルフィド結合を形成していてもよい。
好ましいのは、C-C結合の分子間形成であり、特に少なくとも1つ、好ましくは2つ、特に好ましくは3つ、および非常に好ましくは4つの分子間ジスルフィド結合の形成である。上記のような同様の空間体積を有するアミノ酸によるシステインの交換において、好ましくは、Cysがそれぞれの位置で存在することを条件として、ジスルフィド結合を形成することができるC位置のものが対で交換される。
もしシステイン、セリン、アラニン、グリシン、メチオニンまたはトレオニンがXで示される位置にも存在する場合、ハイドロフォビンの一般式中の個々のC位置の数もそれに従って変化し得る。X位置の追加的なシステインも、ジスルフィド結合を形成することができる。
本発明の実施にあたり、以下の一般式(II)で表されるハイドロフォビンが好ましく使用される:
Xn-C1-X3-25-C2-X0-2-C3-X5-50-C4-X2-35-C5-X2-15-C6-X0-2-C7-X3-35-C8-Xm (II)
[式中、XおよびCならびにXの横の添え字は、上記意味を有する。]添え字nおよびmは0を含む自然数を表す。一般にmもnもゼロではなく、原則として1以上である。例えば、mおよびnは、互いに独立して1〜500であり得る。
好ましくは、mおよびnは、互いに独立して15〜300である。さらに、好ましくはCで示される残基のうちの少なくとも6つはシステインであり、特に好ましくは各残基Cはシステインである。特に好ましくはこれらのシステインの少なくとも1対は、ジスルフィド結合を形成し、2以上のジスルフィド結合の形成、すなわち2、3または4つのこれらの結合の形成が最も好ましい。
本発明を実施する際には、特に好ましくは、以下の一般式(III)で表されるハイドロフォビンが使用される:
Xn-C1-X5-9-C2-C3-X11-39-C4-X2-23-C5-X5-9-C6-C7-X6-18-C8-Xm (III)
[式中、XおよびCならびにXに付随する添え字は、上記と同じ意味を有する。]特に、添え字nおよびmは、1〜200の自然数を表す。一般に、「C」で示される残基のうちの少なくとも6つは、システインである。特に好ましくは各C-残基はシステインである。これらのシステインの少なくとも1対がジスルフィド結合を形成するのが非常に好ましく、2以上のジスルフィド結合の形成、すなわち2、3または4つのこれらの結合の形成が最も好ましい。
一般式(I)〜(III)の全てにおいて、XnおよびXmとして表される基は、自然界においてハイドロフォビンの他の成分に結合しているペプチド配列であってもよい。また、一方または両方の基が、自然界においてハイドロフォビンの他の成分に結合していないペプチド配列であることも可能である。これらのことから、タンパク質中で天然に生じるペプチド配列が、タンパク質中で天然に生じないペプチド配列によって伸長されているような基Xnおよび/またはXmもあることが理解される。
基Xnおよび/またはXmは、全体または一部がハイドロフォビンタンパク質中で天然には生じないペプチド配列を含み得る。
基Xnおよび/またはXmが部分的または全体的に存在し得る、タンパク質中に天然に存在しないペプチド配列を、以下融合パートナーと呼ぶ。一般に、これらの融合パートナーは少なくとも20、好ましくは少なくとも35アミノ酸長である。これらは例えば20〜500個、好ましくは30〜400個、および特に好ましくは35〜100個のアミノ酸からなる配列であり得る。
適切な融合パートナーは、例えばWO2006/082251号、WO2006/082253号、WO2006/131564号およびWO2007/014897号に開示されている。本発明の文脈において、これらの融合パートナーは、好適な融合パートナーである。融合パートナーは、複数のタンパク質から選択することができる。1つの融合パートナーのみが、ポリペプチドの残部に結合してもよいし、または2以上の融合パートナーが、融合タンパク質の残部に結合してもよい。例えば、2つの融合パートナーが位置XnまたはXmの一方でポリペプチドの残部に結合してもよいし、または1以上の融合パートナーがこれら2つの位置のそれぞれに存在しても良い。
特に適切な融合パートナーは、微生物中、好ましくは原核生物、特に大腸菌(Escherichia coli)や枯草菌(Bacillus subtilis)中に天然に生じるタンパク質である。特に適切な融合パートナーの例としては、配列yaad (WO2006/082251号の中の配列番号16;WO2007/014897号の中のそれぞれ配列番号15および16)、yaae (WO2006/082251号の中の配列番号18) を有するポリペプチド、ユビキチンおよびチオレドキシンである。特に適切な融合パートナーは、yaadおよびそれから末端切断された配列(例えば本明細書中に記載されるものやWO2006/082251 号およびWO2007/014897号に記載されたもの等)である。非常に適切なのは、yaadおよびyaad40である。
また、上記配列のフラグメントまたは相同体であって、記載した配列のアミノ酸の、例えば70〜99%、好ましくは5〜50%、および特に好ましくは10〜40%の連続的な一部分のみを含むもの、または記載した配列と比較して個々のアミノ酸(対応してヌクレオチド)が改変されたものも非常に適しており、ここでパーセンテージはそれぞれアミノ酸の完全な数を指す。好適な交換は「定義」の中に記載してある。
更に好適な実施形態において、ハイドロフォビンは、任意で好ましくは既に記載した融合パートナーのうちの一方以外にも、基XnもしくはXmの一方として、またはこれらの基のうちの一方の末端成分として、いわゆる親和性ドメイン(親和性タグ/親和性テイル)を有する。これは、原則的に公知であるアンカー基であって、決まった相補的な基と相互作用してタンパク質を提供および精製し易くするアンカー基をさす。このような親和性ドメインの例には、(His)k-、(Arg)k-、(Asp)k-、(Phe)k-または(Cys)k-基(kは一般に1〜10の自然数を表す)が含まれる。好ましくは、これは、(His)k-基(kは4〜6のいずれかの数を表す)である。ここで、基Xnおよび/またはXmは、このような親和性ドメインのみ、あるいはそのポリペプチドの残部および前記親和性ドメインに天然にもしくは非天然に結合したアミノ酸またはポリペプチドのみからなるものであってもよい。
更に好適な実施形態において、ハイドロフォビンは、例えばグリコシル化、アセチル化、またはグルタルアルデヒドを用いた化学的な架橋によって更に改変されたポリペプチド配列を有する。
ハイドロフォビン、それらの配列、およびそれらの製造方法は、例えばWO2006/082251号に開示されており、その内容を参照によりそれぞれ本発明に明白に組み込むこととする。WO2006/082251号に記載されたハイドロフォビンは、本発明を実施するにあたり好ましい。本発明の実施において特に好適なハイドロフォビンは、タイプdewA、rodA、hypA、hypB、sc3、basfl、basf2のハイドロフォビン、非常に好ましくはタイプdewA (実施例の中のそれぞれ融合タンパク質「ハイドロフォビンA」および「ハイドロフォビンB」に含まれる)、hypAおよびhypBのハイドロフォビン、特にタイプdewAのハイドロフォビンである。
これらのハイドロフォビンおよびそれらの配列は、例えばWO2006/082251号およびWO2007/014897号に開示されており、対応する内容は、本発明に明白に組み込まれる。特に断らない限り、以下の配列名および配列番号は、WO2006/082251号に開示された配列をいう。配列番号の概要を含む表は、WO2006/082251号の第20頁に記載されている。
本発明によれば、ハイドロフォビンは、括弧内に示されたポリペプチド配列を有するXa-dewA-his (配列番号20)、yaad-Xa-rodA-his (配列番号22)およびyaad-Xa-basfl-his (配列番号24)、ならびにこれをコードする核酸配列、特に配列番号19、21、23の配列からなる群より選択される。特に好ましくは、yaad-Xa-dewA-his(WO2006/082251号の中の配列番号20ならびにWO2007/014897号の中の配列番号19および20)を使用することができる。更に、配列番号20、22、または24に示されるポリペプチド配列に基づき、全てのアミノ酸の中の少なくとも1つ、好ましくは5%まで、特に好ましくは10個まで、非常に好ましくは5個までのアミノ酸の置換、挿入または欠失により生じたタンパク質であって、起源タンパク質の生物学的特性を少なくとも50%維持しているタンパク質が、特に好適な実施形態である。タンパク質の生物学的特性として、接触角の変化および/またはケラチンに対する効果(以下に記載)が理解される。
本発明を実施するにあたり特に適切なハイドロフォビンには、yaad-Xa-dewA-his (配列番号20)、yaad-Xa-rodA-his (配列番号22)またはyaad-Xa-basfl-his (配列番号24)からyaad-融合パートナーの末端切断により得られるハイドロフォビンもある。
末端切断型yaad-残部は、294個のアミノ酸からなる完全なyaad-融合パートナー(配列番号16)の代わりに都合よく使用することができる。
ただし、末端切断型の残部は、yaad-配列の少なくとも20個、好ましくは少なくとも35個の連続アミノ酸を含むものとする。例えば、20〜293個、好ましくは25〜250個、特に好ましくは35〜150個、および非常に好ましくは35〜100個のアミノ酸を有する末端切断型の残部を使用することができる。特に適したタンパク質は、yaad40-Xa-dewA-his (WO2007/014897号の中の配列番号25および26)であり、これはアミノ酸数40個に末端切断されたyaad-残部を有する。
1以上の融合パートナーとポリペプチドの残部との間の切断部位を利用して(例えばメチオニンでのBrCN切断や、因子Xa-、 エンテロキナーゼ-、トロンビン-、TEV-切断等により)、融合パートナーを切り離すことができる。特に、Xa-切断部位、例えば実施例で使用されるハイドロフォビンの切断部位が好ましい。
先に記載したように、ハイドロフォビンは表面活性ポリペプチドである。これらは天然源から単離することができ、また遺伝子工学的方法を用いて得ることもできる。原理的には、これらの起源のいずれのハイドロフォビンも、本発明を実施するのに適している。
本発明に従って使用されるハイドロフォビンは、ペプチド合成等の公知の手法により、例えばメリフィールドの固相合成法により化学的に作製されたものであってもよい。
天然に生じるハイドロフォビンは、天然源から単離することができる。例えばWostenら, Eur. J Cell Bio. 63, 122-129 (1994)またはWO96/41882号を参照することができる。
融合パートナーを含まない、タラロマイセス・サーモフィラス(Talaromyces thermophilus)からのハイドロフォビンの遺伝子工学的生成法は、例えばUS 2006/0040349号に記載されている。
融合パートナーを含むハイドロフォビンの作製は、好ましくは遺伝子工学的方法によって行うことができる。この遺伝子工学的方法において、1つの核酸配列(特にDNA配列)は融合パートナーをコードし、また1つの核酸配列(特にDNA配列)はポリペプチドの残部をコードし、これらは、組み合わされた核酸配列の遺伝子発現によって所望のタンパク質が宿主生物中で産生されるように組み合わされている。それぞれの産生方法は、例えばWO2006/082251号またはWO2006/082253号に開示されている。融合パートナーは、ハイドロフォビンの産生を非常に容易にする。遺伝子工学的プロセスにおいて、融合パートナーを含むハイドロフォビンは、融合パートナーを含まないハイドロフォビンに比べて著しく高い収量で得られる。
遺伝子工学的方法に従って宿主生物によって産生されるハイドロフォビンは、原理的に公知である方法によってプロセッシングすることができ、また公知のクロマトグラフィー的方法によって精製してもよい。一般に、本発明を実施するためには、単離された、特に精製されたハイドロフォビンが使用される。
好適な実施形態において、WO2006/082253号の11/12頁に開示されている簡易化された製造および精製方法を使用することができる。
このために、発酵させた細胞をまず発酵ブロスから分離し、分解し、細胞屑を封入体(inclusion body)から分離する。後者のステップは、遠心分離により行うことが有利であろう。最後に、原理的に公知である方法を用いて(例えば酸、塩基、および/または洗浄剤を用いて)封入体を分解し、ハイドロフォビンを放出させることができる。一般に、本発明に従って使用されるハイドロフォビンを有する封入体は、0.1 M NaOHを約1時間用いて完全に溶解することができる。
このように得られた溶液は、任意で所望のpH値に調節された後、本発明を実施する際に更に精製することなく使用することができる。ハイドロフォビンはこの溶液から固体としても単離することができる。好ましくは、WO2006/082253号の12頁に記載されているような噴霧造粒または噴霧乾燥を用いて単離が行われる。この簡易化されたプロセシングおよび精製方法に従って得られた産物は、細胞屑の残渣に加えて、一般に約80〜90重量%のタンパク質を含む。一般に、発酵条件に応じて、ハイドロフォビンの量は、タンパク質の総量に対して30〜80重量%である。
単離されたハイドロフォビン含有産物は固体として保存してもよい。
本発明を実施する際、ハイドロフォビンは、そのまま使用してもよいし、または融合パートナーを切断および分離した後に使用してもよい。切断は、好ましくは封入体を単離し、これらを分解した後に行われる。
ハイドロフォビンの生物学的特性は、表面(例えばガラス表面)がハイドロフォビンタンパク質でコーティングされる場合、表面活性の修飾である。表面特性の改変は、例えばタンパク質で表面をコーティングする前とした後の水滴の接触角を測定することによって実験的に決定することができ、この2つの測定値の差を決定する。
接触角の測定の実現は、当業者に原理的に公知である。測定は、室温にて5μlの水滴を用い、ガラスプレートを基板として用いて行われる。接触角の測定のための模範となる適切な方法の正確な実験条件は、WO2006/136607号の実施例10に記載されている。
そこに記載されている条件下において、使用されるハイドロフォビンは、接触角度を増大し得る。つまり、ハイドロフォビンは、それぞれコーティングしていないガラス表面を使用した場合の同じサイズの水滴の接触角と比較して、例えば接触角度を少なくとも20°、好ましくは少なくとも25°、特に好ましくは少なくとも30°、少なくとも40°、少なくとも45°、特に少なくとも50°増大させ得る。
本発明は、着色料およびセミパーマネント染料の中の染料の毛髪への付着に対してハイドロフォビンが及ぼす影響に関する。皮膚および毛髪へのハイドロフォビンの付着は、実施例1〜4(WO2006/136607号の実施例11〜14と同じ)に記載されるようにして試験することができる。
本発明の実施形態(2)および(3)の組成物ならびに実施形態(1)の方法で使用するための組成物(4)は、組成物全体に対してハイドロフォビンを好ましくは0.001〜5重量%の濃度で、特に好ましくは0.005〜3重量%の量で、非常に好ましくは総量0.01〜1重量%で含む。最も好ましいハイドロフォビン濃度は、最大0.2重量%、特に0.01〜0.05重量%、最も好ましくは0.025重量%である。ハイドロフォビンの総量とは、組成物中の1以上のタイプのハイドロフォビン分子からなるハイドロフォビン分子の全量である。これらの濃度範囲は、ハイドロフォビンが実施形態(1)記載の方法でケラチンまたはケラチン含有物質に適用される好適な濃度も示している。
示されたハイドロフォビン濃度は、本発明の実施形態(2)および(3)記載の組成物ならびに実施形態(1)記載の方法で使用される組成物(4)中における濃度であるか、または組成物の使用前に濃縮物を希釈して得られるものである。
本発明に従って使用するために、ハイドロフォビンは、好ましくは化粧品として許容されるキャリア媒体(carrier medium)も含む組成物の中に存在するのが有利である。前記組成物は1種のハイドロフォビンのみを含むものであってもよいが、異なるハイドロフォビンを組み合わせて含むものであってもよい(例えば2種または3種のハイドロフォビンを含む組成物等)。
本発明に従ったケラチンの非永久的染色はさらに、染色しようとするケラチンへの少なくとも1種の非永久的染料、より具体的には非永久的ケラチン染料の適用を必要とする。好ましくは、非永久的染料は、前記染料を含む組成物の成分(染色料)として適用される。実施形態(2)の組成物および実施形態(3)のキットも、このような染色料と関係する。
前記染色料は、1種もしくは数種の非永久的染料、典型的には数種の非永久的染料、好ましくは2〜20種、またはこの範囲内の自然数(特に好ましくは4〜10種)の非永久的染料を含む。通常売買されている着色料および非永久的染色料は、所定の色の濃さ(shade of color)を得るために、通常は4種以上の異なる非永久的染料を含む(実施例で使用される染色料を参照されたい)。
本発明で適用することができる染色料の中の非永久的染料に関しては、以下を参照されたい:「皮膚科学(Dermatology)」シリーズ(Ch. CulnanおよびH. Maibachら編), Verlag Marcel Dekker Inc., New York, Basel, 1986の中でVol. 7として出版されたCh. Zviak, The Science of Hair Care, 第7章 (248-250頁;直接的な染色料)のモノグラフ;欧州連合のオンライン・データベース「Coslng」 (http://ec.europa.eu/enterprise/cosmetics/cosing/)(これは欧州連合により編集された「ヨーロッパの化粧品原料一覧(European Inventory of Raw materials in Cosmetics)」を含む);および前記データベース中、特に「染毛(Haar Dyeing)」機能を有する化合物、ならびに「ヨーロッパの化粧品原料一覧(European Inventory of Raw materials in Cosmetics)」自体(欧州連合により編集され、the Bundesverband Deutscher Industrie- und Handelsunternehmen fur Arzneimittel, ReformwarenおよびKorperpflegemittel e. V., Mannheimから出されているディスクから入手可能)。さらに、ECガイドライン76/768/EWGのAnnex IV, Part 2(2007年8月30日付バージョンの中の1976年7月27日付)に記載されている全てのセミパーマネント染毛料を参照されたい。これらの出版物に記載された全ての非永久的染料は、本発明を実施するために適した非永久的染料である。本発明の非永久的染料は、好ましくは直接染料である。染毛で一般的に使用される全ての直接染料は、直接染料として使用することができる。これらの直接染料は、通常はニトロフェニレンジアミン、ニトロ-アミノフェノール、アゾ染料、アントラキノン、トリフェニルメタン染料、インドアニリン、またはインドフェノールである。
好適な直接染料は、以下の化合物である:HCイエロー2、HCイエロー4、HCイエロー5、HCイエロー6、HCイエロー9、HCイエロー12、HCイエロー13、アシッドイエロー1、アシッドイエロー10、アシッドイエロー23、アシッドイエロー36、HCオレンジ1、ディスパースオレンジ3、アシッドオレンジ7、HCレッド1、HCレッド3、HCレッド10、HCレッド11、HCレッド13、アシッドレッド33、アシッドレッド52、HCレッドBN、ピグメントレッド57:1、HCブルー2、HCブルー12、ディスパースブルー3、アシッドブルー7、アシッドグリーン50、HCバイオレット1、ディスパースバイオレット1、ディスパースバイオレット4、アシッドバイオレット43、ディスパースブラック9、アシッドブラック1、およびアシッドブラック52(これらの国際的な名称および商品名によりそれぞれ公知)、ならびに1,4-ジアミノ-2-ニトロベンゼン、2-アミノ-4-ニトロフェノール、1,4-ビス-(β-ヒドロキシエチル)-アミノ-2-ニトロベンゼン、3-ニトロ-4-(β-ヒドロキシエチル)-アミノフェノール、2-(2'-ヒドロキシエチル)アミノ-4, 6-ジニトロフェノール、1-(2'-ヒドロキシエチル)アミノ-4-メチル-2-ニトロベンゼン、1-アミノ-4-(2'-ヒドロキシエチル)-アミノ-5-クロロ-2-ニトロベンゼン、4-アミノ-3-ニトロフェノール、1-(2'ウレイド(ureido)エチル)-アミノ-4-ニトロベンゼン、4-アミノ-2-ニトロジフェニルアミン-2'-カルボン酸、6-ニトロ-1,2,3,4-テトラヒドロキノキサリン(tetrahydroquinoxaline)、2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン、ピクラミン酸およびその塩、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、4-エチルアミノ-3-ニトロ安息香酸および2-クロロ-6-エチルアミノ-1-ヒドロキシ-4-ニトロベンゼンである。
さらに好適な直接染料は、カチオン性の直接染料である。特に好適なのは、(a)例えばベーシックブルー7、ベーシックブルー26、ベーシックバイオレット2およびベーシックバイオレット14等のカチオン性トリフェニルメタン染料、(b)ベーシックイエロー57、ベーシックレッド76、ベーシックブルー99、ベーシックブラウン16およびベーシックブラウン17等の第四級窒素基で置換された芳香族系、ならびに(c)ベーシックイエロー87、ベーシックオレンジ31およびベーシックレッド51等の少なくとも1つの第四級窒素原子を有するヘテロ環を含む直接染料である。
商品名アリアノール(Arianors:登録商標)として流通しているカチオン性の直接染料は、本発明で特に好ましいカチオン性直接染料である。
非常に好ましくは、本発明の実施形態(1)〜(4)における少なくとも1種の非永久染料は、ベーシックレッド51、ベーシックレッド76、HCレッドNo.10、HCレッドNo.11、ベーシックバイオレット2、ヒドロキシエチル-2-ニトロ-p-トルイジン、HCブルーNo.2、HCイエローNo.9、HCイエローNo.13、HCイエローNo.2、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、HCブルーNo.12、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ-p-フェニレンジアミン、ベーシックブルー99、4-アミノ-3-ニトロフェノール、4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール、3-ニトロ-p-ヒドロキシエチルアミノフェノール、HCブルーNo.11、ベーシックブラウン17、HCレッドNo.1、HCレッドNo.7、HCレッドNo.13、HCオレンジNo.1およびHCレッドNo.3からなる群より選択され、特にベーシックバイオレット2およびヒドロキシエチル-2-ニトロ-p-トルイジンから選択される。最も好ましくは、組成物は、特に好適な染料の幾つかの組合せ、特に実施例で使用されている染料のうちから選択されたもの(例えば実施例で何度か使用されている染料等)または全てを含む。
更に、本発明の調製物は、例えばヘナレッド、ヘナニュートラル、ヘナブラック、カモミールの花、白檀、紅茶(black tea)、ハンノキ(black alder)の樹皮、セージ、ロッグウッド、アカネの根、アセンヤクノキ、セードル(sedre)およびアルカンナの根に含まれるもの等の、天然で生じる染料も含み得る。
原理的には、非永久的染料は、疎水性であっても親水性であってもよい。本発明の好適な態様において、実施形態(1)〜(4)に記載される非永久的染料は、親水性染料である。ハイドロフォビンは、ケラチン表面をより親水性とするので、特にケラチン表面へのその結合を改善させる。
他方、疎水性染料は、ケラチン表面上の1つのハイドロフォビン層を通り抜けて入り込み、より深い層の中に沈着し得る。このように定着した疎水性染料は毛髪上により長く留まる。従って、非永久的染料としてのこれらの使用も、本発明の1つの態様である。
しかし、染色料の中に少なくとも1種の親水性染料を使用することが好ましい。特に好ましいのは、染色料中の非永久的染料の大部分が親水性であり(染料の総量に対して50重量%超)、非常に好ましくは、染色料中に存在する非永久的染料の全てが親水性である。
本発明の染色料および本発明に従って使用される染色組成物は、染色料の総重量に対して非永久的染料を好ましくは0.001〜20重量%の濃度で、特に好ましくは0.001〜10重量%の濃度で、非常に好ましくは0.1〜5重量%の濃度で含む。
非永久的染料は均一の化合物である必要はない。むしろ、染毛の結果に悪い影響を及ぼすことがない限り、あるいは毒性等の他の理由で除外されなければならないのでない限り、本発明の染毛組成物中に個々の染料の製造方法に応じて、追加的な成分が存在してもよい。
本発明を実施するのに適した組成物は、1種または数種の永久的染料またはその前駆体も含み得る。しかし、このような永久的染料もしくはその前駆体を含まない組成物を使用するのが好ましい。
実施形態(1)〜(4)の好適な態様において、非永久的染料は、染色組成物の一部、好ましくは毛髪を染める組成物、皮膚を染める組成物、または爪を染める組成物の一部、特にヒトの毛髪、皮膚または爪を染めるための染色組成物の一部である。特に好ましくは、染色組成物は、毛髪を染める組成物、非常に好ましくはヘアカラー、セミ-もしくはデミパーマネント染毛組成物である。最も好ましくは、染色料は、着色料またはセミパーマネント染毛料である。方法(1)において、このような組成物の一成分としての非永久的染料を、ケラチンまたはケラチン含有物質に適用する。
染料に加え、染色料は通常は少なくとも1種の化粧品として許容されるキャリア媒体を含み、その他、化粧品において通常使用される更なる成分も含み得る。
この業界において一般的であるように、染色料は、アンモニアまたはアンモニウム塩(例えばNH4Cl等)を含み得る。ハイドロフォビンが使用される本発明の染色では、アンモニアの存在は必ずしも必要ではない。好ましくは、本発明の組成物および実施形態(1)の方法のための組成物および実施形態(4)で使用される組成物は、それぞれアンモニアやアンモニウム塩を含まない。
ハイドロフォビンおよび非永久的染料は、互いに独立して(別々の組成物に入れて)ケラチンに適用してもよいし、単一の組成物中の組み合わせとして適用してもよい。実施形態(1)の方法において、ハイドロフォビンおよび非永久的染料は、好ましくは互いに独立して、すなわち別個の組成物として適用される。更に、ハイドロフォビンおよび非永久的染料は、同時にまたは連続的に、ケラチンもしくはケラチン含有物質に適用することができる。好ましくは、これらは連続的に適用される。
実施形態(1)の方法は、1つまたは幾つかのステップを含み得る。好ましくは方法(1)は、少なくとも以下のステップを含む:
(a)構造式(I)で表される少なくとも1種のハイドロフォビンをケラチンに適用するステップ;および、
(b)少なくとも1種の非永久的染料をケラチンに適用するステップ(ただし、ステップ(a)および(b)は、同時にまたは連続して行われる)。
両方のステップにおいて、ハイドロフォビンおよび非永久染料は、化粧品として許容される更なる成分を含む単一の組成物にそれぞれ含まれる。
ステップ(a)および(b)を同時に行う場合、毛髪に適用される組成物は1つだけであり、従ってこれは両方、すなわちハイドロフォビンと非永久的染料とを含む。この組成物は、一方がハイドロフォビンを含み、他方が非永久的染料を含む2つの別々の組成物を混合して調製されるものであってもよい。
ステップ(a)および(b)を連続して行う場合(すなわちステップ(b)の前にステップ(a)を行う場合)、ハイドロフォビンをまず先に、好ましくはハイドロフォビン含有組成物の形態で、毛髪に適用する。この組成物は、ケラチンに対して一定の接触時間の間作用する。その後、少なくとも1種の非永久的染料を含む組成物を毛髪に適用する。後者の組成物の適用は、ハイドロフォビン含有組成物の接触時間の後すぐに続いて行っても良いし、またはケラチンのトリートメントの中でステップ(a)と(b)の間に追加のステップ(すなわち1以上のステップ)を行う。
これらの追加のステップは、それらがハイドロフォビン層を除去せず、かつ染色の最終結果に影響しない程度に毛髪に化粧的処理を施すステップであり得る。好ましくは、これらの追加のステップは、ケラチンの1回以上の洗浄、ケラチンの室温でのまたは温風、例えば30℃以上、好ましくは50℃±5℃の温度の空気を使用し、ヘアドライヤー等の温風源を使用した1回以上の乾燥よりなる群から選択される。
特に好ましくは、方法(1)の上記追加のステップは、ハイドロフォビンの適用に続いてケラチンまたはケラチン含有物質を乾燥させることからなる。特に好ましくは、ケラチンはステップ(a)および(b)の間に乾燥させる。
ハイドロフォビン含有組成物の接触時間を終了させる特に好ましい態様において、温風源(例えばヘアドライヤー、またはヘアドライヤーによって生成される温度を生じさせ得る別の温風源)を使用して、温風、例えば30℃以上、好ましくは50℃±5℃以上の温度を有する空気を適用することによって、あるいは室温でケラチンを乾燥させる。
特に非常に好ましくは、ケラチンは、実施例5、変法(b)の場合のように、毛髪に染料を適用させる前、ハイドロフォビンとの接触時間の直後にヘアドライヤーで乾燥させる。
ハイドロフォビンとの接触時間の終了後で染料を適用する前、方法(1)の更なる態様では、染色させるケラチンに結合していないハイドロフォビンの一部を、特に洗浄によって除去する。特に好ましくは、適用されたハイドロフォビン含有組成物の残りは洗い流して接触時間および/または上記のステップ(b)を行う前のケラチンの乾燥を完了させる。特に非常に好ましくは、ケラチンを洗浄後に乾燥させるが、可能であれば加熱せず(すなわち例えば室温で乾燥させ)、その後に染料を含有する組成物をケラチンに適用する。
方法(1)の最も好ましい変法において、ケラチンは次のステップを行う前、ハイドロフォビンの接触時間の直後に乾燥させる。この変法において、染色は、温風源、好ましくはヘアドライヤーを使用して温風、例えば30℃以上、好ましくは50℃±5℃以上の温度の空気をあてて完成させる。
連続的プロトコル((a)に続いて(b))におけるステップ(a)の終了時とステップ(b)の開始時の間の間隔は、この追加のステップもしくはこれらの追加のステップによって不必要に延長されるべきではない。好ましくは、最大で2時間、特に好ましくは2〜70分、特に非常に好ましくは4〜30分、最も好ましくは5〜15分である。
ハイドロフォビンを含有する組成物の接触時間は2時間までであり得る。好ましくは2〜90分、例えば3〜70分、4〜30分、または5〜15分である。
ステップ(b)における染色は、好ましくはこの業界で慣用される染色剤を使用し、使用説明書に従って行うが、非永久的染料を含有する種々の組成物を使用して行うこともできる。
染色の終了後、ケラチンを洗浄し、乾燥させることができる。
方法(1)の段階は、数回繰り返しても良い。
実施例5における個々のステップの順序および型は、本発明の方法(1)を実現させる型の好ましい形態である。更に、上記の条件を満たす限り、これらのステップから選択することもできる。
非永久的染料およびハイドロフォビンはいずれも、好ましくは(別個に、または組み合わせとして)組成物中に存在する。本発明に係る組成物は、好ましくは化粧用組成物である。ハイドロフォビンおよび/または非永久的染料に加えて、これらは通常化粧品として許容される媒体、並びに化粧効果を支持する更なる好適な成分、特に賦形剤および添加剤を含有する。これらの成分は染色に悪影響を及ぼすものであってはならない。化粧用組成物のこのような基本処方およびこの目的に適する成分は、当業者に周知であり、化粧品マニュアル、例えばSchrader, Kosmetik: Entwicklung, Herstellung and Anwendung kosmetischer Mittel, 2. Suppl. Edition, 1995, Georg Thieme Verlagに見ることができる。
本発明に係る組成物は、特に化粧用調製物、例えばクリーム、エマルジョン、ゲルとして、また界面活性剤を含有する発泡性組成物、例えばシャンプー、発泡性エアゾールとして、また毛髪に適用するのに適した他の調製物として調製される。
このような水性化粧用調製物の伝統的な成分は、例えばアニオン性、非イオン性および両性界面活性剤等の湿潤剤および乳化剤(例えば脂肪アルコールサルフェート、アルカンスルホネート、α-オレフィンスルホネート、脂肪アルコールポリグリコールエーテルサルフェート、脂肪アルコールへのエチレンオキシド付加物、脂肪酸およびアルキルフェノール、ソルビタン脂肪酸エステルおよび脂肪酸部分グリセリド、脂肪酸アルカノールアミド)、および増粘剤(例えばメチル-もしくはヒドロキシエチルセルロース)、デンプン、脂肪アルコール、パラフィン油、脂肪酸、更に香油およびヘアケア用添加剤(例えば水不溶性のカチオン性、両性およびアニオン性ポリマー)、タンパク質誘導体、パントテン酸、コレステロール、着色剤、活性剤(例えばパンテノール、アラントイン、ピロリドンカルボン酸およびその塩、植物抽出物およびビタミン)、光安定剤、コンシステンシー調整剤(例えば糖エステル、ポリオールエステルもしくはポリオールアルキルエーテル)、ロウ類(例えばミツロウおよびモンタンロウ)、錯化剤(例えばEDTA、NTAおよびホスホン酸)、膨張剤および浸透剤(例えばグリセロール、プロピルグリコールモノエチルエーテル、炭酸塩、炭酸水素塩、グアニジン、尿素および第一、第二および第三リン酸塩)、パール剤(pearlescent agent)(例えばエチレングリコールモノおよびジステアレート)、プロペラント(例えばプロパンおよびブタンの混合物、N2O、ジメチルエーテル、CO2および空気)、並びに抗酸化剤である。更なる伝統的成分および水性化粧品の調製に関しては、当業者に公知であり、例えばGrundlagen and Rezepturen der Kosmetika, Huthig Buch Verlag, Heidelberg, 第2版, 1989, およびWO2007/063024号およびWO2006/136607号に化粧品として許容される賦形剤および添加剤として記載されている。これらを本明細書中に明示的に組み入れる。
本発明に係る組成物の製造において使用される化粧用担体成分は、これらの目的のための伝統的な量で使用され、例えば乳化剤は染色用剤の0.5〜30重量%の濃度で使用され、増粘剤は0.1〜25重量%の濃度で使用される。
本発明の組成物は、化粧用調製物の型(例えばクリーム、ゲルまたはシャンプー)に関わらず、わずかに酸性、中性またはアルカリ性のpH値を有し得る。好ましいpH範囲は6〜8である。pHの調整は、伝統的なpH調整剤を使用して行うが、好ましくはアンモニアまたは他の有害と見なされる化学物質を使用しない。
好ましい態様において、ハイドロフォビンおよび非永久的染料に加えて、その取り込みおよび効果がハイドロフォビンの存在によって改善される、少なくとも1種の追加の化粧的活性成分をケラチンに適用する。この好ましい態様において、本発明に係る組成物は更に、ハイドロフォビンもしくは非永久的染料に加えて、またはこの双方の成分の組み合わせに加えて、その取り込みおよび/または効果がハイドロフォビンの存在によって改善される、少なくとも1種の化粧的活性成分を含有するか、あるいは、該化粧的活性成分を別個に(純粋な形態で、もしくは組成物の成分として)適用する。
追加の化粧的活性成分は、好ましくは親水性である。
その取り込みがハイドロフォビンによって改善される好ましい化粧的活性成分はWO2006/136607号に「エフェクター分子」として記載されている。この対応箇所をここで明確に参照する。
本発明に係る組成物において、エフェクター分子は一実施形態における化粧的活性成分として使用することができる。
以下に言及するエフェクター分子は、特異的な予測可能な効果を有する分子として理解される。これらは、酵素等のタンパク質性の分子であっても良く、また染料、光安定剤、ビタミンおよび脂肪酸、糖または金属イオン含有化合物等の非タンパク質性の分子であっても良い。
糖の中では、グルカン、特に天然起源の糖、例えばハチミツまたは穀類由来のものが好ましい。
タンパク質性エフェクター分子の中では、酵素、ペプチドおよび抗体が好ましい。
酵素の中では、以下のエフェクター分子が好ましい:オキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、チロシナーゼ、金属結合酵素、ラクトペルオキシダーゼ、リゾチーム、アミログリコシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、フォトリアーゼ、カタラーゼ。
タンパク質性エフェクター分子として非常に適したものはまた、植物および動物起源のタンパク質の加水分解物、例えば海産物由来のタンパク質加水分解物、牛乳もしくは絹タンパク質加水分解物である。
特に良く適したものは、老化防止のために使用される確定されたペプチド、例えばマトリキシル(Matrixyl)(INCI名:グリセリン-水-ブチレングリコール-カーボマー-ポリソルベート20-パルミトイルペンタペプチド-4)、アルジルリン(Argireline)(INCI名:アクア アセチル-ヘキサペプチド-3)、リジン(Rigin)(INCI名:水(および)-グリセリン(および)ステアレス-20(および)パルミトイルテトラペプチド-7)、アイリス(Eyeliss)(INCI名:水-グリセリン-ヘスピリジンメチルカルコン-ステアレス-20-ジペプチド-2-パルミトイルテトラペプチド-7)、レグ-エイジ(Regu-Age)(INCI名:オキシドレダクターゼ-ダイズペプチド-加水分解米ぬか抽出物)およびメラノスタチン(Melanostatin)-5(INCI名:アクア-デキストラン-ノナペプチド-1)である。
非タンパク質性エフェクター分子の中で、非タンパク質老化防止剤、例えばカフェインおよび酸化防止剤がエフェクター分子として好ましい。ラジカルスカベンジャーとも呼ばれる酸化防止剤は、いわゆるフリーラジカルを中和することができる。これらは多くの代謝反応およびエネルギー産生において生理的に生成する攻撃的化合物である。これらは身体の防御反応において重要であるが、体内の遺伝物質(DNA)、細胞膜およびタンパク質の損傷も誘導し得る。こうした損傷は早期の組織老化、組織壊死および癌につながり得る。酸化防止剤には、以下のものが挙げられる:カロチノイド、アルコルビン酸(ビタミンC、E300)、並びにL-アスコルビン酸ナトリウム(E301)およびL-アスコルビン酸カルシウム(E302);パルミチン酸アスコルビル(E304);ブチルヒドロキシアニソール(E320);ブチルヒドロキシトルオール(E321);EDTAカルシウム二ナトリウム(E385);没食子酸塩、例えば没食子酸プロピル(E310)、没食子酸オクチル(E311)および没食子酸ドデシル(没食子酸ラウリル)(E312);イソアスコルビン酸(E315)並びにトリアスコルビン酸ナトリウム(sodium triascorbate)(E316);レシチン(E322);乳酸(E270);多リン酸塩(multiple-phosphate)、例えば二リン酸塩(E450)、三リン酸塩(E451)およびポリリン酸塩(E452);二酸化硫黄(E220)並びに亜硫酸ナトリウム(E221)、亜硫酸水素ナトリウム(E222)、二亜硫酸ナトリウム(E223)、亜硫酸カリウム(E224)、亜硫酸カルシウム(E226)、亜硫酸水素カルシウム(E227)および亜硫酸水素カリウム(E228);セレン;トコフェロール(ビタミンE、E306)およびα-トコフェロール(E307)、γ-トコフェロール(E308)およびδ-トコフェロール(E309);塩化スズ(II)(E512);クエン酸(E330)並びにクエン酸ナトリウム(E331)およびクエン酸カリウム(E332);L-グルタチオン、L-システイン、ポリフェノール、フェノール酸、フラボノイド、植物エストロゲン、グルタチオンおよび抗酸化酵素(スーパーオキシドジスムターゼ、グルタチオンペルオキシダーゼおよびカタラーゼ)。
本発明において、酸化防止剤は、上記の酸化防止剤の群から選択される少なくとも1種の化合物である。
更なる好適なエフェクター分子はカロチノイドである。本発明において、カロチノイドは以下の化合物であると理解される:β-カロテン、リコペン、ルテイン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、クリプトキサンチン、シトラナキサンチン、カンタキサンチン、ビキシン、β-アポ-4-カロチナール、β-アポ-8-カロチナール、β-アポ-8-カロチン酸エステルの個々の物質、または混合物として。好ましく使用されるカロチノイドはβ-カロテン、リコペン、ルテイン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、シトラナキサンチンおよびカンタキサンチンである。
本発明の文脈において、「レチノイド」という用語は、ビタミンAアルコール(レチノール)およびその誘導体、例えばビタミンAアルデヒド(レチナール)、ビタミンA酸(レチノイン酸)およびビタミンAエステル(例えば酢酸レチニル、プロピオン酸レチニルおよびパルミチン酸レチニル)を示す。レチノイン酸という表現には、オールトランス型レチノイン酸および13-シスレチノイン酸の双方が含まれる。レチノールおよびレチナールという用語には、好ましくはオールトランス型の化合物が含まれる。好ましいレチノイドとしてオールトランス型のレチノールが使用されるが、以降もレチノールと表記する。
更なる好ましいエフェクター分子はビタミン、特にビタミンAおよびそのエステルである。
ビタミンは、動物およびヒトで生産されないか、不十分な量でしか生産されない必須有機化合物である。この定義に基づいて、13種の成分または成分群がビタミンとして分類されている。脂溶性ビタミン群に属するのはビタミンA(レチノール)、ビタミンD(カルシフェロール)、ビタミンE(トコフェロール、トコトリエノール)およびビタミンK(フィロキノン)である。
ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB6(ピリドキサール群)、ビタミンB12(コバラミン)、ビタミンC(L-アスコルビン酸)、パントテン酸、ビオチン、葉酸およびナイアシンは水溶性ビタミンに属する。
A、C、EおよびF群のビタミン、プロビタミンおよびビタミン前駆物質、特に3,4-ジデヒドロレチノール、β-カロテン(ビタミンAのプロビタミン)、アスコルビン酸(ビタミンC)、並びにアスコルビン酸のパルミチン酸エステル、グルコシドまたはリン酸塩、トコフェロール、特にα-トコフェロール並びにそのエステル、例えば酢酸エステル、ニコチン酸エステル、リン酸エステルおよびコハク酸エステル;更に必須脂肪酸として理解されているビタミンF、特にリノール酸、リノレン酸およびアラキドン酸。
ビタミンEは酸化防止効果を有する、または有さない(現時点で)8種の脂溶性物質の群に対する総称である。ビタミンEは動物細胞の全ての膜の成分であるが、植物およびシアノバクテリア等の光合成を行う生物でのみ生成する。8種の既知のビタミンE型物質のうち4種はトコフェロールと呼ばれている(α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロールおよびδ-トコフェロール)。現在知られている残りの4種のビタミンEはトコトリエノールと呼ばれている(α-トコトリエノール、β-トコトリエノール、γ-トコトリエノールおよびδ-トコトリエノール)。更に、これらの物質の誘導体、例えばα-トコフェロール酢酸エステルが有利であり得る。
ビタミンAおよびその誘導体およびプロビタミンは、有利には特に皮膚をなめらかにする効果を示す。
ビタミンB群のビタミン、プロビタミンもしくはビタミン前駆物質またはこれらの誘導体並びに2-フラノンの誘導体に属するものとして、特に以下のものが挙げられる:
ビタミンB1。慣用名:チアミン、化学名:塩化3-[(4’-アミノ-2’-メチル-5’-ピリミジニル)メチル]-5-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチルチアゾリウム。
ビタミンB2。慣用名:リボフラビン、化学名:7,8-ジメチル-10-(1-D-リビチル)-ベンゾ[g]プテリジン-2,4(3H,10H)-ジオン。遊離型のリボフラビンは、例えばホエー中に見られるが、他のリボフラビン誘導体は細菌および酵母から単離することができる。本発明の文脈において同等に好適であるリボフラビンの立体異性体は、魚肉または肝臓から単離され、D-リビチルの代わりにD-アラビチル残基を有するリキソフラビンである。
ビタミンB3。ニコチン酸およびニコチン酸アミド(ナイアシンアミド)の化合物がしばしばこの名称で呼ばれる。本発明において、ニコチン酸アミドが好ましい。
ビタミンB5(パントテン酸およびパンテノール)。好ましくはパンテノールを使用する。本発明において、パンテノールの誘導体は、特にパンテノールのエステルおよびエーテル、並びにカチオン誘導体化したパンテノールである。本発明の更なる好ましい実施形態において、パントテン酸またはパンテノールに加えて2-フラノンの誘導体を使用することができる。特に好ましい誘導体は市場で入手可能な化合物である。慣用名パントラクトン(Merck)のジヒドロ-3-ヒドロキシ-4,4-ジメチル-2(3H)-フラノン、4-ヒドロキシメチル-γ-ブチロラクトン(Merck)、3,3-ジメチル-2-ヒドロキシ-γ-ブチロラクトン(Aldrich)および2,5-ジヒドロ-5-メトキシ-2-フラノン(Merck)。全ての立体異性体を明確に含める。
上記の化合物は、本発明の組成物に保湿特性および皮膚を滑らかにする特性を付与する。
ビタミンB6。均一な物質に関するものとしてではなく、慣用名ピリドキシン、ピリドキサミンおよびピリドキサールで知られる5-ヒドロキシ-メチル-2-メチルピリジン-3-オールの誘導体に関するものとして理解される。
ビタミンB7(ビオチン)。ビタミンHまたは「皮膚ビタミン」とも呼ばれる。ビオチンは(3aS,4S,6aR)-2-オキソ-ヘキサ-ヒドロ-チエノール-[3,4-d]イミダゾール-4-吉草酸を示す。
ビタミンB9およびビタミンB12。
本発明において、ビタミンの好適な誘導体(塩、エステル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび脂質)を同等に使用することができる。
更に、DNAおよびRNA等の核酸も好適なエフェクター分子(例えば保湿剤)であり得る。
この群の好ましい親油性、油溶性酸化防止剤は、トコフェロールおよびその誘導体、没食子酸エステル、フラボノイドおよびカロチノイド、並びにブチルヒドロキシトルオール/アニソールである。好ましい水溶性酸化防止剤は、アミノ酸、例えばチロシンおよびシステインおよびこれらの誘導体、並びにタンニン、特に植物起源のものである。トリテルペン、特にトリテルペン酸、例えばウルソル酸、ロスマリン酸、ベツリン酸、ボスウェル酸、およびブリオノール酸である。
更なる好ましいエフェクター分子は、好ましくは低用量のフルーツ酸(αヒドロキシ酸)、例えばリンゴ酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、グリコール酸である。これらは、組成物の総重量に対して0.1%〜35%、好ましくは0.1%〜10%、特に1%〜10%、1%〜5%の濃度で存在し得る。
更なる好ましいエフェクター分子は、頭皮をはぐくむ尿素およびその誘導体である。これらは組成物の総重量に対して0.1%〜25%、好ましくは0.1%〜10%、特に1%〜10%、1%〜5%の濃度で存在し得る。尿素およびその誘導体は、本発明に係る組成物および方法において好ましくは使用されないアンモニアと同等と見なすべきではない。
更なる好ましいエフェクター分子はUV-光防護フィルターであり、特にWO2006/136607号で言及されているUV-フィルターである。
特に好ましい更なる化粧的活性成分はケラチンケア剤およびスキンケア剤であり、特に水溶性ビタミン、酸化防止剤、UV-フィルター、グルカン、フラボノイドおよびカフェインである。
水溶性ビタミンの群において、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン(ニコチン酸、ビタミンB3)、パントテン酸およびパンテノール(ビタミンB5)、ビタミンB6、ビオチン(ビタミンB7、ビタミンH)、ビタミンB9(葉酸)およびビタミンB12またはこれらの誘導体からなる群の1種以上のビタミンが好ましい。
本発明において、パンテノール、パントラクトン、ニコチン酸アミド、アスコルビルリン酸ナトリウム、およびビオチンが特に好ましい。
UV-フィルターの群では、水溶性UV-フィルターが好ましく、Uvinul MS 40、Uvinul P 25、Uvinul DS 49およびZ-COTEが特に好ましく、Uvinul MS 40およびP 25が特に非常に好ましい。
フラボノイド系酸化防止剤の群では、フェノール酸およびポリフェノールが好ましい。
最も好ましくは、1種以上の化粧的活性成分は、パンテノール、アスコルビン酸およびその誘導体、水溶性UV-フィルター、カフェインからなる群から選択される。
果実およびハーブの水性抽出物、特に植物抽出物、果実抽出物またはハーブ抽出物、例えばブドウ、ライム、グレープフルーツ、オートムギ、コムギ、コメ、大豆、朝鮮人参、ペパーミント等の抽出物も、本発明に係る組成物の成分であり得る。
本発明の特定の実施形態はキット(3)である。キットは、以下の2つの別個の化粧用組成物を含む:
(i)上記の式(I)のハイドロフォビンを含有する組成物、および
(ii)上記のケラチンの非永久的染色のための染料を含有する組成物。
組成物(i)および(ii)の双方を(i)-(ii)の順番で同時に適用または使用すると、組成物(ii)を単独で適用する場合と比較して着色における色強度および/または色堅牢度の増大がもたらされる。
上記のキットにおいて、組成物(ii)は好ましくは毛髪の着色、半永久的染色のための伝統的な染色剤である。
好ましい態様において、キット中の組成物(i)もしくは(ii)、または双方の組成物は、ハイドロフォビンの存在によってその取り込みおよび/または効果が改善される更なる化粧的活性成分を含む。
あるいはまた、もしくは更に、キットは、そのような化粧的活性成分を含有する更なる組成物(iii)を更に含み得る。
特にハイドロフォビンおよび染料の好ましい態様に関してキットに含まれ得る物質の詳細は上記した通りである。
実施形態(4)において、ハイドロフォビンは、ケラチンまたはケラチン含有物質の非永久的染色の効果を高めるために使用される。このような場合、使用されるハイドロフォビンは上記の実施形態で記載したものと規定される。使用される非永久的染料も先に規定した通りである。
以下の実施例において、本発明の個々の実施形態を詳細に記載する。これらの実施例は本発明を説明するためにのみ用いられるものであって、本発明の主題を制限するものと解釈されるべきではない。
以下の実施例において、染毛剤の評価のための標準的な方法を使用する。例外であることが示されない限り、使用した全ての製剤は、市販で入手できる最高純度のものであり、全ての市販の毛髪、着色剤、試薬、装置、抗体およびキットは使用説明書に従って使用した。
実施例で使用したハイドロフォビンはWO2007/014897号のパートA中の実施例に従って製造した。
実施例で使用した「ハイドロフォビンA」の配列は、WO2007/014897号の配列番号19および20に示されている。上記「ハイドロフォビンA」は、タンパク質yaadに融合したハイドロフォビンdewAに相当する。更に、この構築物はXa-切断部位とHis-タグも含んでいる(yaad-Xa-dewA-his)。
実施例で使用した「ハイドロフォビンB」の配列は、WO2007/014897号の配列番号25および26に示されている。上記「ハイドロフォビンB」は、末端切断タンパク質yaadに融合したハイドロフォビンdewAに相当する。更に、この構築物はXa-切断部位とHis-タグを含んでいる(yaad40-Xa-dewA-his)。
実施例1:皮膚接着性1(定性)
ハイドロフォビンが皮膚に接着するか否かを測定するための視覚定性試験を開発した。
使用溶液:
ブロッキング溶液:DIG Wash+Buffer set 1585762 Boehringer MA(10倍溶液)のTBS希釈
TBS:20mM Tris;150mM NaCl pH7.5
TTBS:TBS+0.05% Tween20。
第一段階は皮膚の外部ケラチン層の安定な担体上への移動である。この目的のために、透明な粘着テープ(adhesive strip)を脱毛したヒトの皮膚にしっかり固定し、次いで剥がした。本試験は透明粘着テープ上で直接実施しても良く、また接着したケラチン層を新たに固定することによってスライドガラスに移しても良い。接着した証明は以下のように実施した:
−種々の試薬と共にインキュベーションするためのFalconチューブへの移動
−場合により脱脂のためにエタノールを添加し、エタノールを除去してスライドを乾燥する
−ブロッキング緩衝剤と共に室温で1時間インキュベーション
−TTBSで2×5分間洗浄
−TBSで1×5分間洗浄
−それぞれTBS/0.05% Tween 20中の試験対照のハイドロフォビン(His6、HA等のタグに結合)および対照タンパク質と共に室温で2-4時間インキュベーション
−上清の除去
−TBSで3回洗浄
−TBS+0.01ブロッキングで1:2000に希釈したモノクローナル抗-ポリヒスチジン抗体と共に室温で1時間インキュベーション
−TTBSで2×5分間洗浄
−TBSで1×5分間洗浄
−TBS+0.01%ブロッキングで1:5000に希釈した抗-マウスIgG-アルカリホスファターゼ-コンジュゲートと共に室温で1時間インキュベーション
−TTBSで2×5分間洗浄
−TBSで1×5分間洗浄
−ホスファターゼ基質の添加(NBT-BCIP;Boehringer MA 1錠剤/水40mlで2.5分間;停止:水の添加)
−裸眼または顕微鏡で色の沈着を光学的に検出。青色の沈着はハイドロフォビンが皮膚に接着したことを示す。
爪への接着も同様にして測定することができ、この場合は試験対照のハイドロフォビンは爪表面と直接インキュベートし、測定する。
実施例2:皮膚接着性2(定量)
ハイドロフォビンの皮膚接着性の強度を非特異的タンパク質と比較する定量試験を開発した(図2)。5mmのコークスクリューを用い、毛髪のない皮膚の融解乾燥片(ヒトまたはブタ)に穴を開けることによって小片を取り出した(場合により表面試験において皮膚片はFalconチューブの蓋に収まった)。皮膚サンプルを厚さ2-3mmにして、存在し得る組織を除いた。次に、結合試験を行うために、皮膚サンプルをエッペンドルフチューブ(Protein-Lowbind)中に移した(図2も参照されたい)。
−PBS/0.05% Tween 20で2回洗浄
−PBS中1% BSA 1mlを添加し、わずかに旋回させながら(900rpm)室温で1時間インキュベーション
−上清の除去
−PBS+0.05% Tween 20中100μgのハイドロフォビンを添加し、わずかに旋回させながら(900rpm)室温で2時間インキュベーション
−上清の除去
−PBS/0.05% Tween 20で3回洗浄
−ペルオキシダーゼコンジュゲートを有するモノクローナルマウス抗-tag-(HIS6もしくはHAまたは特異的KBD)-抗体(PBS/0.05% Tween 20中1:2000)[モノクローナル抗-ポリヒスチジンペルオキシダーゼコンジュゲート、マウスで作製、凍結乾燥粉末、Firma Sigma]1mlと共に室温で2-4時間、わずかに旋回させながら(900rpm)インキュベーション
−PBS/0.05% Tween 20で3回洗浄
−ペルオキシダーゼ基質の添加(1ml/エッペンドルフチューブ;組成については下記参照)
−青色の染色が起きるまで反応を継続させる(約1:30分間)
−100μlの2M H2SO4で反応を停止
−405nmにおける吸収を測定。
ペルオキシダーゼ基質(直前に調製):
−0.1ml TMB-溶液(DMSO中42mM TMB)
−+10ml 基質緩衝液(0.1M 酢酸ナトリウム pH4.9)
−+14,7μl H2O2(3%)
ハイドロフォビンを含まないサンプルと比較した吸収の増大は、ハイドロフォビンが皮膚に結合していることを示す。バックグラウンドについては実施例3を参照のこと。
同様にして、粘膜への接着も評価することができ、この場合、粘膜(例えばヒト粘膜)を透明粘着テープを用いて剥がし、次いで接着効果に関して調べることができる。
実施例3:毛髪への接着性(定量)
毛髪への結合力を確かめるために、再び他のタンパク質と比較する定量的アッセイを開発した(WO2006/136607号の図2)。本試験のために、まず毛髪をハイドロフォビンと共にインキュベートし、余剰のハイドロフォビンを洗い落とす。続いてハイドロフォビンのHis-タグを介して抗体-ペルオキシダーゼ-コンジュゲートを結合させた。結合していない抗体-ペルオキシダーゼ-コンジュゲートを同様に洗い落とした。結合した抗体-ペルオキシダーゼ-コンジュゲート[モノクローナル抗-ポリヒスチジンペルオキシダーゼコンジュゲート、マウスで作製、凍結乾燥粉末、Sigma]は無色の基質(TMB)を着色した生成物に変換することができ、これを405nmで光度計で測定することができる。吸収力は、結合したハイドロフォビンと対照タンパク質の量をそれぞれ示す。対照タンパク質として、本試験のために必要であるため、これも検出のためのHisタグを有する、例えばB.subtilisのYaaDを選択した。Hisタグの代わりに、ペルオキシダーゼにコンジュゲートした種々の特異的抗体を使用しても良い。
5mgの毛髪(ヒト)を5mmの長さに切り、エッペンドルフチューブ(Protein-Lowbind)に移して結合力試験を行う:
−脱脂のために1ml エタノールを添加
−遠心分離、エタノールの除去およびH2Oで毛髪を洗浄
−PBS中1%BSAを1ml添加し、わずかに旋回させながら室温で1時間インキュベーション
−遠心分離、上清の除去
−それぞれPBS/0.05% Tween 20 1ml中の試験対象のハイドロフォビン(His6、HA等のタグに結合)および対照タンパク質を添加;わずかに旋回させながら4℃で16時間(または室温で少なくとも2時間)インキュベーション
−遠心分離、上清の除去
−PBS/0.05% Tween 20で3回洗浄
−ペルオキシダーゼコンジュゲートを有するモノクローナルマウス抗-tag-(それぞれHIS6およびHA)-抗体(PBS/0.05% Tween 20中1:2000)[モノクローナル抗-ポリヒスチジンペルオキシダーゼコンジュゲート、マウスで作製、凍結乾燥粉末、Sigma]1mlと共に室温で2-4時間、わずかに旋回させながらインキュベーション
−PBS/0.05% Tween 20で3回洗浄
−ペルオキシダーゼ基質の添加(1ml/エッペンドルフチューブ)
−青色の染色が起きるまで反応させる(約2分間)
−100μlの2M H2SO4で反応を停止
−405nmにおける吸収を測定。
ペルオキシダーゼ基質(直前に新たに調製)
0.1ml TMB-Losung(DMSO中42mM TMB)
+10ml 基質緩衝液(0.1M 酢酸ナトリウム pH4.9)
+14,7μl H2O2(3%)
BSA=ウシ血清アルブミン
PBS=リン酸緩衝生理食塩水
Tween 20=ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、n=約20
TMB=3,5,3’,5’-テトラメチルベンジジン
ハイドロフォビンに典型的な接着性試験から、対照タンパク質YaaDの実質的により低い接着性と比較して、毛髪へのハイドロフォビンの接着性の著しい優位性が示される。
Figure 2012500241
実施例4:染料「Alexa」でのハイドロフォビンの誘導体化および毛髪への接着性
染料は、システイン残基のSH-基を介してハイドロフォビンに結合させることができる。染料Alexa Fluor 532を結合させる前に、ハイドロフォビンのジスルフィド架橋を切断する。
Figure 2012500241
1mg ハイドロフォビン
0.5ml 緩衝液(75mM Tris pH8.0, 2.5mM EDTA, 1mM DTT)
37℃で30分間インキュベーション
染料とのカップリングは使用説明書に従って行う(Alexa 532 Protein Labeling Kit; Molecular Probes; MP-A-10236)。
ヒトの毛髪のAlexa結合ハイドロフォビンによる被覆は以下のように実施する:
−10mgのヒトの毛髪を、50μg/mlのAlexa-ハイドロフォビンおよび対照タンパク質yaad、および結合させていない染料Alexa532(TBS-緩衝液中)と共に室温で24時間それぞれインキュベートする
−TBS/0.05% Tween 20で2回洗浄
−TBSで1回洗浄
−TBS/1% SDSで1回洗浄
−蛍光顕微鏡で検出(WO2006/136607号の図4)。
実施例5:ハイドロフォビン処理毛髪の半永久的染色における染料の取り込み及び接着性の改善
本試験では、Kerling International Haarfabrik GmbH社のヨーロッパ人の天然の金髪を使用した。
毛髪の半永久的染色のために以下の2種の市販の製品(クラス2)を試験した:
−Londa, Londeston “Easy Colors 45, red flame”、洗浄可能、使用説明書のデータによれば6-8回の洗浄に耐え得る(クラス2)。染料のBasic Red 76、HC Red No.10、HC Red No.11、Basic Violet 2、ヒドロキシエチル-2-ニトロ-p-トルイジンを含有。
−Schwarzkopf、Brillance Colorationscreme “T872 intensivrot”、洗浄可能、使用説明書のデータによれば10回洗浄後においても90%までの色強度を示す(クラス2)。
染料のHCブルーNo.2、HCイエローNo.13、HCイエローNo.2、ヒドロキシエチル-2-ニトロ-p-トルイジン、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、HCブルーNo.12、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ-p-フェニレンジアミン、ベーシックブルー99、4-アミノ-3-ニトロフェノール、4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール、3-ニトロ-p-ヒドロキシエチルアミノフェノール、HCブルーNo.11、ベーシックブラウン17、HCレッドNo.1、HCレッドNo.7、HCレッドNo.13、HCオレンジNo.1、ベーシックバイオレットNo.2、HCレッドNo.3を含有。
試験は以下のように実施した:
1)50mM NaH2PO4, pH7.5中に0.00625〜0.2重量%の「ハイドロフォビンA」または「ハイドロフォビンB」(それぞれWO2007/014897号の配列番号20および26)を含有する溶液を調製。溶液は磁気撹拌子を用いて室温で1時間撹拌した。
2)更に、ハイドロフォビンを含まない比較溶液を調製した。
3)毛髪を32℃で1時間、調製した溶液中でインキュベーションした。
4)変型(a):毛髪を乾燥せずに更に処理する。変型(b):ヘアドライヤーを使用して50℃で毛髪を乾燥する。
5)水道水で毛髪をすすぎ、続いて室温で毛髪を乾燥する。
6)使用説明書に従って毛髪に着色剤を適用。
7)「ペナテン(Penaten)ベビーシャンプー」溶液(1%)を用いて繰り返し洗浄し(シャンプー1分間、すすぎ1分間、室温で乾燥)、続いて乾燥した状態で毛髪を視覚的に評価した。洗浄ステップは3〜8回繰り返した。
毛髪の評価において、ハイドロフォビンを含まない比較溶液で処理した毛髪と比較を行った。特に変型(b)において、ハイドロフォビンAおよびBで処理した毛髪の色強度がより高いことが認められ、比較溶液と比較して、染料の接着性、並びに毛髪への染料の取り込みが改善されたことが示唆される。数回洗浄した後であっても、ハイドロフォビン処理なしのものよりも長く毛髪中に染料が残存した。
変型(a)においても、数回の洗浄後、ハイドロフォビンなしのものよりも長く毛髪中に染料が残存したことが認められた。
比較溶液で処理した毛髪と比較して、色強度も変型(a)でより高かった。
8回の洗浄を行い、ハイドロフォビン濃度が0.2重量%、0.1重量%および0.05重量%の試験においては、染色の結果に関しては0.05重量%が最良の濃度であった。
3回の洗浄を行い、ハイドロフォビン濃度が0.05重量%、0.025重量%および0.0125重量%の試験においては、染色の結果に関して最良の濃度は0.025重量%であった。
3回の洗浄を行い、ハイドロフォビン濃度が0.025重量%、0.0125重量%および0.00625重量%の試験においては、ハイドロフォビンを用いた染色結果の全てがハイドロフォビンなしのものよりも良かった。
上記の段落の文脈において、「より良い」という用語は、染料が数回の洗浄ステップの後に毛髪中により長く残存すること、および/または比較濃度において色強度がより高いことを意味する。多くの場合、両方の効果が観察された。
実施例6:染色の光度計による評価
本試験では、手順はヘアドライヤーで乾燥することを含めて実施例5と同様とした。0.1重量%の「ハイドロフォビンB」を使用した。
ハイドロフォビンB(WO2007/014897号の配列番号26)で処理した毛髪、および未処理の毛髪を、ロレアル社のSi-Naturelle, Schaumcoloration Nr.01(組成:水、ラウレス-12、塩化ベヘントリモニウム、ジメチルエーテル、セテアリルアルコール、イソブタン、グリコールジステアレート、アモジメチコン、ブタン、プロパン、HC レッド no.3、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシアントラキノン アミノプロピルメチルモルホリニウム、メトサルフェート、HC ブルー no.2、ラウリルサルフェートナトリウム、ベーシックレッド 51、ベーシックブルー 99、トリデセス(trideceth)-12、メチルパラベン、HC イエロー no.9、塩化セトリモニウム、ブチルパラベン、エチルパラベン、イソブチルパラベン、プロピルパラベン、香料)を使用して着色した。
次に、毛髪を乾燥し、裸眼、およびMinolta CR-300およびProcess-Unit-Minolta DP-301(コニカミノルタセンシング株式会社、大阪府)により、光度計の使用説明書(取扱説明書Chroma-Meter CR-300/CR-310/CR-331、ミノルタ、独語版、バージョン番号:527 349/9.99)に従って毛髪の色強度を測定した。このために、毛髪を光度計の測定場上に置き、測定場の幅全体を覆った。次に、光度計を使用して色測定を行った。第2の毛髪サンプルを比較のために測定する際、ΔE値を光度計で直接算出させた。
視覚的結果:ハイドロフォビンで前処理した毛髪はより強く染色されていることを認識することができる。
光度計での結果:
1)色測定
Figure 2012500241
CIE 1976に従うL*a*b*-系を使用して有意な差を認識することができる。
2)ハイドロフォビン処理毛髪および未処理毛髪での色差の測定
ΔE=5.15
ΔEは、CIE 1976、DIN5033、DIN6174に従って測定・計算される、サンプル色と比較色との色距離(同義語:色差)の尺度である。ΔE値は、取扱説明書Chroma-Meter CR-300/CR-310/CR-331、ミノルタ、独語版、バージョン番号:527 349/9.99に従って使用するCR-300光度計で、使用説明書に従って全自動的に決定された。
通常、裸眼で知覚できる有意な色差(異なる色の存在)に対応して、色差を知覚できるためのΔE値は2〜5の間であり、非常に良好な結果では5を超える(http://de.wikipedia.org/wiki/Delta_E)。
Figure 2012500241
従って、ハイドロフォビンを使用した場合、色差の有意な増大が認められた。
本発明によれば、ハイドロフォビンは、括弧内に示されたポリペプチド配列を有するyaad-Xa-dewA-his (配列番号20)、yaad-Xa-rodA-his (配列番号22)およびyaad-Xa-basfl-his (配列番号24)、ならびにこれをコードする核酸配列、特に配列番号19、21、23の配列からなる群より選択される。特に好ましくは、yaad-Xa-dewA-his(WO2006/082251号の中の配列番号20ならびにWO2007/014897号の中の配列番号19および20)を使用することができる。更に、配列番号20、22、または24に示されるポリペプチド配列に基づき、全てのアミノ酸の中の少なくとも1つ、好ましくは5%まで、特に好ましくは10個まで、非常に好ましくは5個までのアミノ酸の置換、挿入または欠失により生じたタンパク質であって、起源タンパク質の生物学的特性を少なくとも50%維持しているタンパク質が、特に好適な実施形態である。タンパク質の生物学的特性として、接触角の変化および/またはケラチンに対する効果(以下に記載)が理解される。

Claims (21)

  1. ケラチンまたはケラチン含有物質の非永久的染色方法であって、該ケラチンまたはケラチン含有物質に少なくとも1種の非永久的染料と、少なくとも1種の構造式(I)のハイドロフォビン(hydrophobin)とを適用することを含む、上記方法。
  2. ハイドロフォビンおよび非永久的染料を別個の組成物で適用する、請求項1に記載の方法。
  3. ハイドロフォビンおよび非永久的染料をケラチンもしくはケラチン含有物質に同時に、または連続して適用する、請求項1または2に記載の方法。
  4. 第1ステップで(a)ハイドロフォビン、第2ステップで(b)非永久的染料を適用する、請求項3に記載の方法。
  5. ケラチンまたはケラチン含有物質をステップ(a)と(b)の間で乾燥する、請求項4に記載の方法。
  6. ケラチンまたはケラチン含有物質に結合していないハイドロフォビンを洗い落とす、請求項3〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. ケラチン含有物質が毛髪である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. ハイドロフォビンを0.001重量%〜5重量%の濃度でケラチンに適用する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. ハイドロフォビンがハイドロフォビンdewA、rodA、hypA、hypB、sc3、basf1およびbasf2型よりなる群から選択され、好ましくはハイドロフォビンdewA、hypAまたはhypB型である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. ハイドロフォビンが融合タンパク質の成分であり、融合パートナーが好ましくはyaad(WO2007/014897号の配列番号16)または末端切断型(truncated)yaadである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. ハイドロフォビンがyaad-Xa-dewA-his(WO2006/082251号の配列番号20)、yaad-Xa-rodA-his(WO2006/082251号の配列番号22)、yaad-Xa-basf1-his(WO2006/082251号の配列番号24)およびyaad融合パートナーの末端切断物(WO2006/082251号の配列番号16)、特にyaad40-Xa-dewA-his(WO2007/014897号の配列番号26)に由来するハイドロフォビンよりなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
  12. 非永久的染料が親水性である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 非永久的染料を毛髪の着色、またはセミパーマネントもしくはデミパーマネント染毛組成物の成分として適用する、着色、セミもしくはデミパーマネント染毛のための請求項12に記載の方法。
  14. ハイドロフォビンの存在によってその取り込みおよび/または機能が改善される少なくとも1種の更なる化粧的活性剤を適用する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. ケラチンまたはケラチン含有物質の非永久的染色のための組成物であって、
    (i)請求項1および8〜11のいずれか1項で規定された構造式(I)を有する少なくとも1種のハイドロフォビン、および
    (ii)請求項1および12のいずれか1項で規定された少なくとも1種の非永久的染料
    を含有する、上記組成物。
  16. ハイドロフォビンの存在によってその取り込みおよび/または機能が改善される少なくとも1種の化粧的活性成分を更に含有する、請求項15に記載の組成物。
  17. ケラチンまたはケラチン含有物質の非永久的染色のためのキットであって、2種の別個の化粧用組成物、すなわち
    (i)請求項1および8〜11のいずれか1項で規定された式(I)を有する少なくとも1種のハイドロフォビンを含有する組成物、および
    (ii)請求項1および12のいずれか1項で規定された少なくとも1種の非永久的染料を含有する組成物
    を含有する、上記キット。
  18. 組成物(i)もしくは(ii)またはその双方の組成物が、ハイドロフォビンの存在によってその取り込みおよび/または機能が改善される化粧的活性成分を更に含有する、請求項17に記載のキット。
  19. ハイドロフォビンの存在によってその取り込みおよび/または機能が改善される少なくとも1種の化粧的活性成分を含有する組成物(iii)を更に含有する、請求項17または18に記載のキット。
  20. 非永久的染色の強度(intensity)および/または非永久的染色の洗い流しに対する堅牢度(fastness)を高めるために非永久的染料と共にケラチンまたはケラチン含有物質を非永久的に染色するための構造式(I)を有するハイドロフォビンの使用。
  21. ハイドロフォビンおよび非永久的染料がそれぞれ請求項9〜11および12のいずれか1項で規定されたものである、請求項20に記載の使用。
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