JP2012256260A - 硬貨処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】弾性規制部材の変形を防止して硬貨の挟み込みを防止することが可能な硬貨処理装置を提供する。
【解決手段】本発明の硬貨処理装置は、投入された硬貨を第1の連通部から送出する硬貨受領部と、硬貨受領部にて受けた硬貨を収容し、この内部に設けられた硬貨を回転軸回りに回転可能な回転部材により水平にされた硬貨の移動方向を規制する収容部と、硬貨受領部と収容部との連通部に設けられ、硬貨受領部から収容部に収容された硬貨の移動量を規制する中空の弾性規制部材と、収容部の硬貨受領部側の面を保護する板状部材であって、第1の連通部と対応する第2の連通部が形成された保護部材と、を備え、弾性規制部材が硬貨受領部の第1の連通部の外周面と保護部材の第2の連通部の内周面とにより挟み込まれた状態で、回転部材の回転軸に対して直交する方向において、硬貨受領部と弾性規制部材との境界部は、保護部材の第2の連通部の内周面に含まれる。
【選択図】図1

Description

本発明は、硬貨処理装置に関し、より詳細には、硬貨処理部の、投入された硬貨を受けて1枚ずつ繰り出す繰り出しユニットの構成に関する。
硬貨処理装置は、硬貨を一括で受け入れた後、各硬貨の硬貨認識を行って金種を判別し、判別結果に応じて金種毎に硬貨を振り分ける装置である。硬貨処理装置の、硬貨を一括で受け入れる部分には、一般に、硬貨が投入される投入口と投入された硬貨を送出する送出口とを有する硬貨受領部が設けられている。そして、硬貨受領部の送出口の重力方向にはベルトあるいは回転軸回りに回転する円盤状の回転部材が実装され、これらの駆動力により送出口から送出された硬貨が次の工程へ繰り出される。
このうち、回転部材を用いて硬貨受領部の送出口から送出された多くの硬貨を順次繰り出す構成の硬貨処理装置10としては、例えば特許文献1のようなものがある。硬貨処理装置10は、図9に示すように、硬貨受領部11の送出口11aと回転部材15が内部に設けられた収容部14との連通部に、例えばゴム材等の弾性部材からなる中空の弾性規制部材13が設けられている。弾性規制部材13は、その一端側の開口部が硬貨受領部11の送出部11aの開口と対応している。また、弾性規制部材13の他端側はテーパ形状に形成され、弾性規制部材13は、他端側の端部が回転部材15の弾性規制部材13と対向する側の面と所定の隙間hを有するように設けられている。
弾性規制部材13は、硬貨受領部11の硬貨受入空間11bと収容部14の硬貨繰出空間14bとを切り分ける部材である。硬貨受領部11に投入された硬貨Cは、回転部材15が回転することにより収容部14の側面側に移動し、放出口14aから硬貨通路へ1枚ずつ移動する。この際、弾性規制部材13は、回転部材15との隙間から硬貨Cを硬貨繰出空間14bへ移動させることで、硬貨繰出空間14bへ移動する硬貨Cの枚数をコントロールしている。硬貨通路へ移動した硬貨Cは、一対の搬送ローラ31、32により搬送ディスクユニットへ移動される。
特開2004−258951号公報
硬貨受領部11に大量の硬貨Cを投入すると、回転部材15の回転により硬貨受領部11内の硬貨Cも回転部材15の回転方向と同一方向に渦状に回転する。この際、硬貨Cに押されて弾性規制部材13が変形して、硬貨受領部11と弾性規制部材13との境界部18に硬貨Cが入り込んでしまい取れなくなるという問題があった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、弾性規制部材の変形を防止して硬貨の挟み込みを防止することが可能な、新規かつ改良された硬貨処理装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、投入された硬貨を受けて、第1の連通部から硬貨を送出する硬貨受領部と、硬貨受領部にて受けた硬貨を収容し、この内部に設けられた、硬貨を回転軸回りに回転可能な回転部材により水平にし、回転部材によって水平にされた硬貨の移動方向を規制する収容部と、硬貨受領部と収容部との連通部に設けられ、硬貨受領部から収容部に収容された硬貨の移動量を規制する弾性規制部材と、収容部の硬貨受領部側の面を保護する板状部材であって、第1の連通部と対応する第2の連通部が形成された保護部材と、を備え、弾性規制部材は、硬貨受領部の第1の連通部の外周面と保護部材の第2の連通部の内周面とにより挟み込まれており、弾性規制部材が挟み込まれた状態で、回転部材の回転軸に対して直交する方向において、硬貨受領部と弾性規制部材との境界部が保護部材の第2の連通部の内周面に含まれることを特徴とする、硬貨処理装置が提供される。
本発明によれば、硬貨受領部の第1の連通部の外周面と保護部材の第2の連通部の内周面とにより挟み込んだ状態で、転部材の回転軸に対して直交する方向において、硬貨受領部と弾性規制部材との境界部が保護部材の第2の連通部の内周面に含まれるように、硬貨受領部、保護部材および弾性規制部材とが連結される。これにより、弾性規制部材の回転軸方向における移動が規制され、硬貨受領部と弾性規制部材との境界部に隙間が生じ難くなる。したがって、硬貨がこの境界部に入り込み難くなり、硬貨のはさみこみを防止することができる。
ここで、保護部材は、第2の連通部の開口に沿って回転部材の回転軸方向に突出する突出部が形成されてもよい。このとき、保護部材の突出部は、第2の連通部の開口に沿って連続して形成してもよい。例えば保護部材は板金からなり、突出部は絞り加工により形成することができる。あるいは、保護部材の突出部は、第2の連通部の開口に沿って不連続に形成してもよい。
また、第1の連通部および第1の連通部の開口形状は円形状であってもよい。
以上説明したように本発明によれば、弾性規制部材の変形を防止して硬貨の挟み込みを防止することが可能な硬貨処理装置を提供することができる。
本発明の実施形態に係る硬貨処理装置の繰り出しユニットおよび搬送ディスクユニットを示す概略平面図および概略断面図である。 同実施形態に係る硬貨繰り出しユニットの硬貨受領部、保護部材、および弾性規制部材の構成を示す斜視図である。 同実施形態に係る硬貨繰り出しユニットの硬貨受領部、保護部材、および弾性規制部材の構成を示す横断面図である。 図3の部分Aを拡大した部分拡大図である。 同実施形態に係る弾性規制部材の固定方法の一変形例を示す部分拡大断面図である。 同実施形態に係る弾性規制部材の固定方法の他の一変形例を示す部分拡大断面図である。 同実施形態に係る保護部材の形状の一変形例を示す概略斜視図である。 同実施形態に係る保護部材の形状の他の一変形例を示す概略斜視図である。 硬貨受領部と弾性規制部材との境界部における硬貨の挟み込みのメカニズムを説明する概略断面図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.硬貨処理装置の概略構成>
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係る硬貨処理装置1の概略構成について説明する。図1は、本実施形態に係る硬貨処理装置1の硬貨繰り出しユニット100および搬送ディスクユニット200を示す概略平面図および概略断面図である。なお、硬貨繰り出しユニット100については、概略断面図では硬貨受領部110、保護部材120、および弾性規制部材130の記載を省略している。
本実施形態に係る硬貨処理装置1は、硬貨を一括で受け入れた後、各硬貨の硬貨認識を行って金種を判別し、判別結果に応じて金種毎に硬貨を振り分ける装置である。図1には、この硬貨処理装置1のうち、投入された硬貨を次の工程へ繰り出す硬貨繰り出しユニット100と、硬貨繰り出しユニット100から硬貨通路300を介して搬送された硬貨を1枚ずつ次行程のユニットへ搬送する搬送ディスクユニット200とを示している。
[1−1.硬貨繰り出しユニット]
硬貨繰り出しユニット100は、硬貨受領部110と、保護部材120と、弾性規制部材130と、収容部140と、回転部材150と、回転駆動部160とを備える。
硬貨受領部110は、投入された硬貨を受ける部分であって、硬貨が投入される投入口115と、硬貨を送出する送出口116とを有する。送出口116は投入口115に対して重力方向(z軸正方向側)に設けられており、投入口115から投入された硬貨は自重により送出口116へ落下移動する。硬貨受領部110の投入口115は大量の硬貨を一括して投入し易いように広く開口しており、開口面積は送出口116に向かって小さくなっている。これにより、一括して投入された硬貨がそのまま収容部140へ落下するのを防止することができ、回転部材150上に積載された硬貨の重みによって回転部材150による硬貨搬送を妨げないようにすることができる。
保護部材120は、収容部130の硬貨受領部110と対向する側に設けられる板状部材であって、例えば板金等を用いることができる。保護部材120は、硬貨受領部110の送出口115と対応する位置に送出口116と略同一形状に開口する連通部が形成されており、当該連通部を介して、硬貨受領部110の送出口116から送出された硬貨を後述する収容部140へ移動可能にする。保護部材120の連通部以外の部分は、収容部140の開口を覆い、硬貨受領部110が収容部140内の硬貨の動きにより損傷するのを防止している。保護部材120として板金を用いることで、硬貨の衝撃に対して十分な強度を得ることができる。
弾性規制部材130は、例えばゴム材等の弾性部材からなり、硬貨受領部110の送出口115と収容部140との連通部に設けられる中空部材である。弾性規制部材130は、その一端側の開口部が硬貨受領部110の送出部116の開口と対応している。また、弾性規制部材130の他端側はテーパ形状に形成され、弾性規制部材130は、他端側の端部が回転部材150の弾性規制部材130と対向する側の面と所定の隙間hを有するように設けられている。隙間hは、例えば、硬貨が1〜2枚程度通過可能な大きさとすることができる。弾性規制部材130により、硬貨受領部110の硬貨受入空間110bと収容部140の硬貨繰出空間140bとが切り分けられる。弾性規制部材130は、回転部材150との隙間を介して硬貨を硬貨受入空間110bから硬貨繰出空間140bへ移動させることで、硬貨繰出空間140bへ移動する硬貨の枚数をコントロールしている。
収容部140は、硬貨受領部110へ投入された硬貨を搬送ディスクユニット200へ繰り出すまでの間収容する収容空間を有する部材である。収容部140の収容空間には回転部材150が設けられており、収容空間の内周面は、この回転部材150が回転可能なように、回転部材150の外周に沿った形状に形成される。収容空間のxy平面における断面形状は、円形や多角形とすることができる。収容部140の内部空間は、硬貨を所定量(例えば約100枚)収容可能であり、弾性規制部材130によって、硬貨受入空間110bと、硬貨繰出空間140bとに区分される。また、本実施形態に係る収容部140は、硬貨受領部110と対向する側が開口しているが、この開口は保護部材120によって覆われている。収容部140の側面には、硬貨通路300へ硬貨を搬送するための放出口142が設けられている。
回転部材150は、収容部140の収容空間に設けられ、回転することにより投入された硬貨を硬貨通路300へ導く部材である。回転部材150は、例えば円盤状の部材であり、回転駆動部160の回転駆動力を受けて、当該回転部材150に固定された回転軸162を回転中心として所定の回転方向へ回転する。回転部材150の回転により生じる遠心力を受けて、硬貨は収容部材140の側面側(回転部材150の外周側)へ移動する。
回転駆動部160は、回転部材150を回転軸162回りに回転駆動させる駆動部である。回転駆動部160は、ギア164を介して回転駆動力を伝達し、回転軸162を回転させる。これにより、回転軸162と固定された回転部材150も回転軸162の回転方向と同一方向に回転する・
[1−2.搬送ディスクユニット]
搬送ディスクユニット200は、硬貨繰り出しユニット100から硬貨通路300を介して搬送されてきた硬貨を1枚ずつ次行程のユニットへ搬送するユニットであり、搬送ガイド部210と、搬送回転ディスク220と、ディスク回転軸230とを備える。
搬送ガイド部210は、硬貨繰り出しユニット100から搬送されてきた硬貨を収容する部材である。搬送ガイド部210は、内部に後述する搬送回転ディスク220を備えており、搬送回転ディスク220により保持され搬送されている硬貨を、内側面でガイドする。これにより、硬貨を確実に搬送することができる。
搬送回転ディスク220は、硬貨繰り出しユニット100から搬送されてきた硬貨を保持して次行程のユニットへ搬送するための部材である。搬送回転ディスク220は、円盤状の部材であって、その外周部には1または複数(図1に示す例では8つ)の硬貨受容部222が形成されている。硬貨受容部222は、図1に示すように、略半円形状に窪んだ凹部であって、硬貨通路300から搬送されてきた硬貨が1枚ずつ入り込む。また、搬送回転ディスク220は、当該搬送回転ディスク220に固定されたディスク回転軸230を回転中心として、ディスク回転駆動部(図示せず。)により回転される。これにより、硬貨受容部222に入り込んだ硬貨は硬貨受容部222の周面により保持され、搬送ディスクユニット200の硬貨送出口(図示せず。)まで搬送される。
[1−3.硬貨通路]
硬貨通路300は、硬貨繰り出しユニット100と搬送ディスクユニット200とを連結し、硬貨を硬貨繰り出しユニット100から搬送ディスクユニット200へ搬送する。硬貨通路300には、一対の搬送ローラ312、314が設けられている。硬貨繰り出しユニット100の放出口142から硬貨通路300へ放出された硬貨は、一対の搬送ローラ312、314によって搬送ディスクユニット200へ搬送される。そして、硬貨は搬送ディスクユニット200の送入口214から搬送ガイド部210内に送入され、搬送回転ディスク220によって搬送される。
[1−4.硬貨処理装置の動作]
通常、硬貨処理装置1の硬貨繰り出しユニット100の硬貨受領部110から硬貨が一括して投入されると、硬貨は回転部材150上に集積される。回転部材150は、回転駆動部160により回転され、遠心力により硬貨を収容部140の側面に向かって押し出す。これにより、硬貨は収容部140の硬貨繰出空間140bに滞留する。硬貨繰出空間140bに滞留した硬貨は、放出口142より1枚ずつ硬貨通路300へ押し出される。
放出口142から硬貨通路300へ押し出された硬貨は、一対の搬送ローラ312、314が搬送モータ(図示せず。)により回転されていないときはそのまま滞留する。一方、一対の搬送ローラ312、314が搬送モータにより回転されているときには、硬貨は搬送ディスクユニット200へ搬送される。搬送ディスクユニット200の搬送回転ディスク220は、ディスク回転駆動部(図示せず。)により回転されており、硬貨通路300から搬送されてきた硬貨を硬貨受容部222で1枚ずつ保持する。なお、搬送ディスクユニット200には、硬貨通路300から搬送ディスクユニット200の硬貨受容部222への硬貨の受け渡しが正しく行われるように、位置検出センサ(図示せず。)が設けられている。また、搬送ガイド部210の底面212は硬貨ラインより下にあるため、硬貨は引っかかりなく硬貨通路300から搬送ディスクユニット200の硬貨受容部222へスムーズに受け渡すことができる。
搬送ディスクユニット200の硬貨受容部222に収容された各硬貨は、搬送回転ディスク220が回転されることで搬送ガイド部210の内周壁面に沿って円周軌道に沿って搬送される。その後、硬貨は、硬貨処理部1の認識部(図示せず。)へ搬送され、真贋、金種が判別される。そして、認識部の認識結果に基づいて、当該装置より排出してはいけない硬貨はリジェクト硬貨排出口(図示せず。)へ排出され、当該装置より排出可能な硬貨は許可硬貨排出口(図示せず。)へ排出される。
<2.硬貨繰り出しユニットの詳細構成>
硬貨処理装置1は、通常、上述したように動作するが、硬貨受領部110に一括で投入される硬貨が多くなると、硬貨繰り出しユニット200の動作状態が若干変化する。大量の硬貨が一括して硬貨受領部110に投入されると、硬貨は、硬貨受領部110の第1の円筒部112(第1の連通部、図2参照)および弾性規制部材130を経由して回転部材150上に集積する。回転部材150の回転することによって遠心力により硬貨は収容部140の側面へ押し出されるが、放出口142付近より硬貨が滞留してしまい、硬貨受入空間110bにある硬貨は、回転部材150の回転により回転軸162中心に第1の円筒部112および弾性規制部材113内で回転する。
このとき、硬貨受入空間110bにある硬貨のうち、硬貨受入空間110bと硬貨繰出空間140bとの間の隙間hから移動可能な硬貨以外は、硬貨繰出空間140bへは移動することができない。したがって、硬貨受入空間110b内の硬貨は、回転部材150の回転により、回転軸162中心に第1の円筒部112および弾性規制部材113内で回転することになる。硬貨繰出空間140bの硬貨が放出口142から硬貨通路300へ順次放出されていくと、硬貨繰り出しユニット110内の硬貨の滞留状態が緩和され、弾性規制部材130内にある硬貨も硬貨繰り出し空間140bへ移動される。
ここで、硬貨が滞留した状態において、硬貨受入空間110bにて硬貨が回転されると、遠心力により回転中心から遠ざかるように硬貨は移動される。このとき、硬貨処理装置1を構成する部材間に(例えば、硬貨受領部110と弾性規制部材130との間に)隙間が生じると、硬貨が挟み込まれる可能性があり、硬貨処理装置1内から硬貨が排出されなくなってしまう。
そこで、本実施形態に係る硬貨処理装置1の硬貨繰り出しユニット100は、当該ユニット100における硬貨の挟み込みを防止する構成を有している。以下、図2〜図4に基づいて、本実施形態に係る硬貨繰り出しユニット100の硬貨挟み込み防止構成について、詳細に説明する。なお、図2は、本実施形態に係る硬貨繰り出しユニット100の硬貨受領部110、保護部材120、および弾性規制部材130の構成を示す斜視図である。図3は、本実施形態に係る硬貨繰り出しユニット100の硬貨受領部110、保護部材120、および弾性規制部材130の構成を示す横断面図である。図4は、図3の部分Aを拡大した部分拡大図である。
硬貨繰り出しユニット100では、硬貨受領部110にて受けた大量の硬貨を収容部140へ移動させる際に、弾性規制部材130によって硬貨受入空間110bから硬貨繰出空間140bへ移動する硬貨の量を規制している。上述したように、弾性規制部材130は、例えばゴム等の弾性部材からなり、回転部材150により収容部140の外周に向かって移動されている硬貨に押されると、その押圧力によって変形する。このとき、通常は面一になっている弾性規制部材130と硬貨受領部110との内周面であるが、弾性規制部材130と硬貨受領部110との境界部に隙間が生じると、この隙間に硬貨が挟み込まれる可能性がある。
硬貨の挟み込みは、弾性規制部材130が回転軸162に対して直交する方向からの力によって容易に変更すると、発生し易くなる。そこで、本実施形態では、回転軸162に対して直交する方向に移動しないように弾性規制部材130を設けることで、回転軸162に対して直交する方向からの力によって弾性規制部材130が変形するのを防止する。これにより、硬貨が挟み込む可能性のある隙間がなくなり、硬貨の挟み込みを防止することができる。
硬貨繰り出しユニット100の硬貨受領部110、保護部材120、および弾性規制部材130を分解した斜視図を図2に示す。硬貨受領部110は、投入口115と送出口116との2つの開口を有する中空の筐体111からなる。投入口115側より送出口116側の開口は小さく、送出口116の開口を形成する第1の円筒部112の外周には、第1の円筒部112と同心の第2の円筒部113が設けられている。また、筐体111の送出口116側には、複数の、例えば3つの固定穴114a、114b、114cが形成されている。固定穴114a、114b、114cは、ねじなどの締結部材によって硬貨受領部110と保護部材120とを固定するために用いられる。なお、硬貨受領部110は、例えば成型により形成することができる。
保護部材120は、図1に示したように、収容部140の開口を覆う部材であって、プレート部121と、連通部122とからなる。プレート部121には、硬貨受領部110の固定穴114a、114b、114cと対応する位置に、貫通孔123a、123b、123cが形成されている。ねじなどの締結部材を貫通孔123a、123b、123cを挿通させて固定穴114a、114b、114cで固定することで、硬貨受領部110と保護部材120とを固定することができる。また、連通部122の周面は、硬貨受領部110とは反対側に立ち上がる立ち上がり部124が形成されている。立ち上がり部124は、例えば保護部材120を形成する板金を絞り加工して形成することができる。これにより、容易に立ち上がり部124を形成することができる。立ち上がり部124は、弾性規制部材130の外周に沿って設けられる。連通部122および立ち上がり部124の内周面により形成される空間は、「第2の連通部」に対応する。
弾性規制部材130は、ゴム部材等の弾性部材からなる筒状の部材であって、硬貨受領部110と収容部140との連結部に設けられる。本実施形態に係る弾性規制部材130は、フランジ部131と、筒部132と、テーパ部133とからなる。図2のように分解された状態において、フランジ部131は、筒部132の硬貨受領部110側に設けられ、テーパ部133は、筒部132の保護部材120側に設けられる。
フランジ部131は、その内径が硬貨受領部110の第1の円筒部112の外径と略同一に形成されている。フランジ部131の開口から、フランジ部131の内周面と硬貨受領部110の第1の円筒部112の外周面とが対向するように第1の円筒部112が嵌め込まれる。そして、フランジ部131の硬貨受領部110側の面131aは、硬貨受領部110の第2の円筒部113の端部と当接する。
筒部132は、フランジ部131側の第1の筒部132aと、保護部材120側の第1の筒部132bとからなる。第1の筒部132aは、図3に示すように、第2の筒部132bより内径および外径が大きい。第1の筒部132aの内周面は、硬貨受領部110の第1の円筒部112の外周面と対向し、第1の筒部132aの外周面は、保護部材120の立ち上がり部124の内周面と対向する。第2の筒部132bは、図4に示すように、中空部分にある第1の筒部132a側の端部132cが、硬貨受領部110の第1の円筒部112の端部112aと当接する。
テーパ部133は、第2の筒部132bのフランジ部131と反対側の端部からフランジ部131と反対側に向かって開口が大きくなるように形成されている。硬貨受領部110、保護部材120および弾性規制部材130は、保護部材120の連通部122の内径は、弾性規制部材130の第1の筒部132aの外径と略同一に形成されている。弾性規制部材130は、弾性部材からなるため容易に変形できるので、テーパ部133の最大径が連通部122の内径よりも多くても、変形して容易に保護部材120に挿通させることができる。弾性規制部材130に嵌め込まれた保護部材120は、図3に示すように、フランジ部131の保護部材120側の面131bに当接するまで挿通される。このとき、保護部材120の連通部122の立ち上がり部124の内周面は、第1の筒部132aの外周面と対向する。
このような硬貨受領部110、保護部材120および弾性規制部材130の連結は、保護部材120の連通部122に弾性規制部材130のテーパ部133を通し、硬貨受領部110と保護部材120とを固定して行われる。図3に示すように、弾性規制部材130のフランジ部131は、一面131aが硬貨受領部110の第2の円筒部113の端部に当接し、他面131bが保護部材120のプレート部121に接する。そして、弾性規制部材130の第1の筒部132aの外周面が保護部材120の立ち上がり部124の内周面と対向する。弾性規制部材130は、硬貨受領部110と保護部材120とで挟み込まれることにより、回転軸162に対して直交する方向のへの動きが規制される。
弾性規制部材130が硬貨受領部110と保護部材120とで挟み込まれている部分Aを、図4の拡大断面図に示す。本実施形態に係る硬貨繰り出しユニット100では、図3に示すように硬貨受領部110、保護部材120および弾性規制部材130を連結させたとき、回転軸方向(z方向)における保護部材120の立ち上がり部124の端部124aの位置が、硬貨受領部110の第1の円筒部112の端部132の位置Lよりも下側(z軸負方向側)にある。あるいは、回転軸方向(z方向)における保護部材120の立ち上がり部124の端部124aの位置は、硬貨受領部110の第1の円筒部112の端部132の位置Lと同一でもよい。すなわち、硬貨受領部110、保護部材120および弾性規制部材130が連結された状態では、回転軸に対して直交する方向において、硬貨受領部110と弾性規制部材130との境界部170が、保護部材120の第2の連通部である立ち上がり部124の内周面に含まれる。
大量の硬貨を硬貨受領部110に一括投入され、硬貨受領部110内に大量の硬貨が存在すると、その硬貨の重みにより第1の円筒部112および弾性規制部材130内で回転している硬貨の回転方向の力が増加する。このため、従来は、硬貨受領部110と弾性規制部材130との境界部170に硬貨が楔状に入り込む可能性があった。これに対して、本実施形態のように回転軸方向(z方向)における保護部材120の立ち上がり部124の端部124aの位置が、硬貨受領部110の第1の円筒部112の端部132の位置Lと同一またはそれより下側となるように、硬貨受領部110と保護部材120都により弾性規制部材130を挟み込むことで、境界部170の隙間を埋めることができる。また、このように弾性規制部材130を固定することで、弾性規制部材130の回転軸方向(z方向、上下方向)への動きが規制され、変形自在な弾性規制部材130の変形も防止することができるので、境界部170への硬貨の挟み込みを防止することができる。
<3.変形例>
本実施形態に係る硬貨処理装置1の硬貨繰り出しユニット100は、硬貨受領部110、保護部材120および弾性規制部材130が連結された状態で、回転軸162に対して直交する方向において、硬貨受領部110と弾性規制部材130との境界部170が、保護部材120の第2の連通部である立ち上がり部124の内周面に含まれることを特徴とする。かかる構成により、硬貨受入空間110b内で回転する硬貨が部材間の隙間を押して入り込むことを防止することができる。したがって、図1〜図4に示した硬貨繰り出しユニット100の構成以外にも、上記要件を満たす構成とすることで、同様の効果を得ることができる。
[3−1.弾性規制部材の固定]
まず、硬貨受領部110と保護部材120とによる弾性規制部材130の固定方法については、例えば、図5および図6のような構成とすることができる。図5および図6は、本実施形態に係る弾性規制部材の固定方法の一変形例を示す部分拡大断面図である。なお、図5および図6は、図3の部分Aに対応し、弾性規制部材が硬貨受領部と保護部材とで挟み込まれている部分を示している。
図5において、符号210は硬貨受領部、符号220は保護部材、符号230は弾性規制部材を示し、上記実施形態の硬貨受領部110、保護部材120および弾性規制部材130にそれぞれ対応する。本例では、保護部材220を第1の保護部材221および第2の保護部材222とから構成している。第1の保護部材221は上記実施形態の保護部材120のプレート部121に対応し、第2の保護部材222は上記実施形態の立ち上がり部124に対応する。
弾性規制部材230は、硬貨受領部210と第1の保護部材221とにより挟み込まれ固定されている。このとき、回転軸方向(z方向)における第1の保護部材221の下面(z軸負方向側の面)の位置が、硬貨受領部210の端部と弾性規制部材230との境界部270の位置Lと同一あるいはそれより下方(z軸負方向側)に位置する。これにより、弾性規制部材230の上下方向の移動を規制することができ、境界部270に硬貨が入り込むのを防止できる。第2の保護部材222は、弾性規制部材230の上下方向の動きを確実に規制するため、境界部270が保護部材220内周面に含まれるようにするために設けられている。
また、図6において、符号310は硬貨受領部、符号320は保護部材、符号330は弾性規制部材を示し、上記実施形態の硬貨受領部110、保護部材120および弾性規制部材130にそれぞれ対応する。本例では、弾性規制部材330にフランジ部がない場合の固定方法の一例を示している。
弾性規制部材330は、図6に示すように、硬貨受領部310の外周面の一部と保護部材320の内周面とで挟み込まれ固定されている。このとき、回転軸方向(z方向)における保護部材320の下面(z軸負方向側の面)の位置が、硬貨受領部310の端部と弾性規制部材330との境界部370の位置Lと同一あるいはそれより下方(z軸負方向側)に位置する。これにより、弾性規制部材330の上下方向の移動を規制することができ、境界部370に硬貨が入り込むのを防止できる。
このように、各部材の形状に応じて、硬貨受領部、保護部材および弾性規制部材が連結された状態で回転軸に対して直交する方向において硬貨受領部と弾性規制部材との境界部が保護部材の内周面に含まれるという要件を満たすように、硬貨受領部310と保護部材320とによる固定方法を変化させることで、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
[3−2.保護部材の形状の変形例]
次に、保護部材の形状については、例えば、図7および図8のような構成とすることができる。図7および図8は、本実施形態に係る保護部材の形状の一変形例を示す概略斜視図である。
図7において、符号410は硬貨受領部、符号420は保護部材、符号430は弾性規制部材を示し、上記実施形態の硬貨受領部110、保護部材120および弾性規制部材130にそれぞれ対応する。図7では、硬貨受領部410、保護部材420および弾性規制部材430において硬貨が移動する開口部の形状は略四角形となっている。このように、上記実施形態のように、開口部の形状は円形以外であってもよい。
硬貨受領部410は、硬貨を収容する収容部412と、弾性規制部材430を保護部材420とで挟み込むための突出部414とからなる。また、保護部材420は、各部材を連結したときに収容部412と接するプレート部422と、硬貨受領部410の突出部414と弾性規制部材430とを挟み込む立ち上がり部424とからなる。立ち上がり部424は、例えば図7に示すように、プレート部422から硬貨受領部410と反対方向へ4つの板が立ち上がるように形成することができる。このとき、立ち上がり部424は、図2等に示したように必ずしも開口に沿って連続して形成されていなくてもよい。そして、弾性規制部材430は、硬貨受領部410の突出部414に挿通される第1の中空部432と、第1の中空部432から開口面積が広がるように延設された第2の中空部434とからなる。
硬貨受領部410、保護部材420、弾性規制部材430の連結は、上記実施形態の図3と同様に、硬貨受領部410の突出部414の内部に弾性規制部材430の第1の中空部432が挿入され、保護部材420の立ち上がり部424に弾性規制部材430の第2の中空部434が挿入される。そして、硬貨受領部410の収容部412の一面と保護部材420のプレート部の一面422とが接触される。これにより、弾性規制部材430の第1の中空部432が、突出部414の外側面と立ち上がり部424の内側面とで挟み込まれ固定される。
この場合においても、硬貨受領部410、保護部材420および弾性規制部材430が連結された状態で回転軸に対して直交する方向において硬貨受領部410と弾性規制部材430との境界部が保護部材420の内周面に含まれるという要件を満たすようにすることで、硬貨受領部410と弾性規制部材430との境界部への硬貨の挟み込みを防止することができる。
なお、保護部材の他の形状としては、例えば、図1〜図4に示した保護部材120の代わりに、図8に示すような保護部材520を用いてもよい。図8の保護部材520は、プレート部522に形成された開口に沿って、複数の立ち上がり板524が所定の間隔で設けられている。立ち上がり板524は、プレート部522と一体であってもよく、異なる部材であってもよい。複数の立ち上がり板524により、上記実施形態の保護部材120と同様に、弾性規制部材を硬貨受領部とともに挟み込むことができる。立ち上がり板524の立ち上がり長(回転軸方向の長さ)は、回転軸方向における硬貨受領部と弾性規制部材との境界部の位置を含む長さに決定される。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、硬貨処理装置1の認識部による認識結果に応じて硬貨をリジェクト硬貨排出口と許可硬貨排出口とへ搬送するとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、認識部による認識結果に応じて硬貨をリジェクト硬貨排出口あるいは1円硬貨や5円硬貨等のような金種ごとの硬貨排出口へ排出するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、搬送ディスクユニット200は、搬送回転ディスク220により硬貨を搬送するものとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば搬送ディスクユニット200の代わりに、硬貨の搬送方式として一般的に用いられているベルトやピンベルト等を用いて搬送してもよい。
さらに、上記実施形態では、硬貨処理装置1の硬貨繰り出しユニット100について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。硬貨の投入口以外においても、例えば硬貨を収容する硬貨カセット等において、弾性部材と他の部材との間に硬貨が挟まる可能性のある場合、上記実施形態のように、硬貨の移送方向に弾性部材が移動しないように他の部材で移動規制することで、硬貨の挟み込みを防止することができる。特に、上記実施形態のように、空間内で硬貨が積み重なっており、かつ硬貨が回転されている部分にある部材の境界部において、硬貨の挟み込みが発生しやすい。したがって、このような部分に上記実施形態の構成を適用するのが効果的である。
また、上記実施形態では、保護部材には、開口の周囲に沿って、回転部材の回転軸方向に突出する突出部(立ち上がり部)が形成されていたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、保護部材に突出部を形成せず、当該略部材の回転軸方向における厚みを大きくして、硬貨受領部と弾性規制部材との境界部が、保護部材の内周面に含まれるようにしてもよい。
1 硬貨処理装置
100 硬貨繰り出しユニット
110 硬貨受領部
120 保護部材
130 弾性規制部材
140 収容部
150 回転部材
160 回転駆動部
170 境界部
200 搬送ディスクユニット
210 搬送ガイド部
220 搬送回転ディスク
230 ディスク回転軸
300 硬貨通路

Claims (6)

  1. 投入された硬貨を受けて、第1の連通部から前記硬貨を送出する硬貨受領部と、
    前記硬貨受領部にて受けた硬貨を収容し、この内部に設けられた、前記硬貨を回転軸回りに回転可能な回転部材により水平にし、前記回転部材によって水平にされた硬貨の移動方向を規制する収容部と、
    前記硬貨受領部と前記収容部との連通部に設けられ、前記硬貨受領部から前記収容部に収容された硬貨の移動量を規制する弾性規制部材と、
    前記収容部の前記硬貨受領部側の面を保護する板状部材であって、前記第1の連通部と対応する第2の連通部が形成された保護部材と、
    を備え、
    前記弾性規制部材は、前記硬貨受領部の第1の連通部の外周面と前記保護部材の第2の連通部の内周面とにより挟み込まれており、
    前記弾性規制部材が挟み込まれた状態で、前記回転部材の回転軸に対して直交する方向において、前記硬貨受領部と前記弾性規制部材との境界部が前記保護部材の第2の連通部の内周面に含まれることを特徴とする、硬貨処理装置。
  2. 前記保護部材は、前記第2の連通部の開口に沿って前記回転部材の回転軸方向に突出する突出部が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の硬貨処理装置。
  3. 前記保護部材の突出部は、前記第2の連通部の開口に沿って連続して形成されることを特徴とする、請求項2に記載の硬貨処理装置。
  4. 前記保護部材は板金からなり、前記突出部は絞り加工により形成されることを特徴とする、請求項3に記載の硬貨処理装置。
  5. 前記保護部材の突出部は、前記第2の連通部の開口に沿って不連続に形成されることを特徴とする、請求項2に記載の硬貨処理装置。
  6. 前記第1の連通部および前記第1の連通部の開口形状は円形状である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬貨処理装置。
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