JP2012255497A - 固定具及び搬送用容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 板部材2に固定される固定具1であって、板状に形成された第一板状部11と、板状に形成された第二板状部12と、これらを連結する連結部13とを備え、連結部13は、板部材2に穿設された貫通孔23の周縁231に係合し、第一板状部11は、貫通孔23を板部材2の一方の面から閉塞し、第二板状部12は、貫通孔23を板部材2の他方の面から閉塞する。
【選択図】 図1
Description
例えば、板部材の貫通孔を介して接続される取付部材と台座部材とを備え、取付部材が、係合孔を有した二つの立設部を有し、台座部材が、立設部に対応する位置に被係合孔を有し、この被係合孔が、内面に突設部を有したものがある(例えば、特許文献1参照。)。
この構成によれば、取付部材の立設部を板部材の貫通孔に挿通し、その立設部を台座部材の被係合孔に挿入させることで、被係合孔の突設部が取付部材における立設部の係合孔に係止させることができる。このため、被係合孔の突設部の側面が、取付部材における立設部の係合孔の内面に対し、取付部材の着脱方向に当接するため、取付部材を板部材に取り外し不能に固定することができる。
この構成によれば、差込具の爪部を板部材の一方の面から貫通孔に挿通した後、板部材の他方の面から、二つの爪部の間に被係止具の板状部を挿入し、90°回動させることで、各爪部を二つの凹部のそれぞれに係止させることができる。これにより、差込具に付設された機能部材を、板部材に取り付けることができる。
また、固定具を板部材に取り付ける際には、その固定具の各部品をそれぞれ準備する必要があることから、この作業が面倒であった。
さらに、複数個の部品を成形するためには、金型をその部品数と同数製作しなければならないことから、製造コストがかかっていた。
また、固定具を取り付ける際には、該固定具を一個だけ用意すればよいので、その準備作業を簡易なものとすることができる。
しかも、連結部が板部材における貫通孔の周縁に係合し、第一板状部と第二板状部が板部材を介して貫通孔を閉塞する構成としたので、この固定具が板部材に固定されるとともに、第一板状部又は第二板状部に付設された機能部材を板部材に確実に取り付けることができる。
なお、本実施形態においては、次の項目について、順次説明する。
(1)固定具の構成
(2)固定具の取り付け方法
(3)固定具の使用例
まず、本実施形態の固定具の構成について、図1(i),(ii)を参照して説明する。
同図(i)は、本実施形態における固定具の一方の面(係合面)の構成を示す斜視図、同図(ii)は、本実施形態における固定具の他方の面(付設面)の構成を示す斜視図である。
なお、ここでは、固定具の概略構成を説明し、その構成を有することによる効果等については、「(2)固定具の取り付け方法」の中で詳述する。
第一板状部11は、板状に形成された基部111と、この基部111の一方の面(係合面112)に矩形環状に立設形成された立設部113と、この立設部113の一部に穿設された係合孔(被係合部)114(114−1、114−2)とを有している。
また、係合面112には、連結部13が接続された部分から係合面112の面方向に第一凹部115が凹設されている。この第一凹部115の詳細については、後述する。
そして、係合面112の面上であって立設部113の環状内側には、係止部117(117−1、117−2)が形成されている。係止部117は、第一板状部11の係合孔114と第二板状部12の係合部123が係合したときに、ガイド部124(後述)が長手方向に移動するのを阻止するための突設部分である。
係合部123は、係合面122から立設形成された鉤状突部であって、先端の鉤部125が第一板状部11の係合孔114に係入するようになっている。
係合部123における鉤部125の上面126は、曲面又は斜面に面取りされている。これにより、係合部123は、その上面126が、第一板状部11の立設部113における切欠部116に当接し、この当接位置が鉤部125における上面126の面取り方向の下方へ次第に移動することで、係合部123の胴部127が弾性変形して、該鉤部125が立設部113の環状内側へ進入する。そして、鉤部125が係合孔114に達すると、胴部127への荷重が除かれて弾性変形する前の形状に復元し、鉤部125が係合孔114に係入する。これにより、第二板状部12が第一板状部11から取り外し不能となる。
また、図1(i)において、二つの係合部123−1、123−2は、一方(第一の係合部123−1)が係合面122における連結部13の近傍に設けられ、他方(第二の係合部123−2)が係合面122における連結部13が接続された辺とは反対側の辺の近傍に設けられている。ただし、係合面122において係合部123が設けられる位置は、同図(i)に示す位置に限るものではなく、任意の位置に設けることができる。そして、第一板状部11においては、その係合部123に対応する位置に係合孔114が設けられる。
機能部材3は、固定具1aを板部材2に取り付けたときに、該板部材2に新たな機能を付加するための部材である。
この機能部材3として採用可能な部材には、例えば、面ファスナー31がある。面ファスナー31は、一般に、鉤状の突起部が多数形成された面状部材と、環状の突起部が多数形成された面状部材とで構成され、それら突起部同士を係合させることで面的に着脱可能となっている。なお、第二板状部12の付設面128には、前者の面状部材又は後者の面状部材の一方が付設される。
例えば、図1(ii)、図2に示すように、付設面128には、凸状に形成された突出部128aが一又は二以上配設されている。また、面ファスナー31には、それら突出部128aの配設位置に対応する位置に挿入孔31aが穿設されている。さらに、面ファスナー31の裏面(付設面128に対向する面)には、接着剤が塗布されている。
この載置により、面ファスナー31の裏面が接着剤を媒介として付設面128に接着される。また、突出部128aの先端が挿入孔31aから突出した状態となる。
これにより、挿入孔31aの周辺が溶融した突出部128aにより押さえつけられて固定される。よって、面ファスナー31は、付設面128に対し、接着剤により接着されるとともに、挿入孔31aの周辺で熱溶着により固定される。
さらに、図1(ii)においては、機能部材3を第二板状部12の付設面128に付設してあるが、これに限るものではなく、機能部材3は、第一板状部11又は第二板状部12の一方又は双方に付設することができる。
また、連結部13は、幅方向の断面がΠの字形状(図1(i)においては、下方に開口したコの字形状)に形成されており、その下方の開口が嵌入部131を構成している。連結部13をこのような形状とすることで、この嵌入部131が、取付孔23の周縁231の一部(取付孔23の側面の一部と、この側面の一部に繋がる当該取付孔23の開口周辺の一部)を覆うように嵌合されるため、この連結部13が嵌合した取付孔23の周縁231から容易に脱抜しないようになっている。
このように、連結部13は、第一板状部11と第二板状部12とを連結するように形成されている。これにより、固定具1aは、第一板状部11と第二板状部12と連結部13のすべてを一体で形成することができる。
さらに、連結部13の第二横板部134と第二板状部12との間には、第二ヒンジ部136が形成されている。第二ヒンジ部136は、肉薄に形成された板状部である。このように肉薄に形成することで、該第二ヒンジ部136を湾曲させながら曲げることができ、これにともなって、第二板状部12を連結部13に対して回動させることができる。
具体的には、同図(i)に示すように、第一ヒンジ部135は、第一板状部11における係合面112の端辺と、連結部13における第一横板部133の外側面の端辺とを接続するように形成することができる。また、第二ヒンジ部136は、第二板状部12における係合面122の端辺と、連結部13における第二横板部134の外側面の端辺とを接続するように形成することができる。
そして、第二板状部12の付設面128における端辺のうち、係合面122の端辺(第二ヒンジ部136が接続された端辺)に対応する端辺を面取りすることができる。さらに、連結部13における第二横板部134の内側面の端辺のうち、第二横板部134の外側面の端辺(第二ヒンジ部136が接続された端辺)に対応する端辺を面取りすることができる。
第一凹部115は、第一ヒンジ部135を湾曲させながら第一板状部11を回動したときに、連結部13の第一横板部133が嵌合する凹状の部分である。
ここで、第一板状部11の係合面112と第一凹部115との境界部分は、段差115aとなっており、この段差115aの高さ(係合面112と第一凹部115との落差)は、連結部13の第一横板部133の厚さとほぼ同じとなっている。これにより、連結部13の第一横板部133が第一凹部115に嵌合したときに、その第一横板部133の内側面と第一板状部11の係合面112とがほぼ面一となる。よって、固定具1aを板部材2に取り付けたときに、それら第一横板部133の内側面と第一板状部11の係合面112とを、いずれも板部材2の表面に隙間なく接触させることができる。
第二凹部129は、第二ヒンジ部136を湾曲させながら第二板状部12を回動したときに、連結部13の第二横板部134が嵌合する凹状の部分である。
ここで、第二板状部12の係合面122と第二凹部129との境界部分は、段差129aとなっており、この段差129aの高さ(係合面122と第二凹部129との落差)は、連結部13の第二横板部134の厚さとほぼ同じとなっている。これにより、連結部13の第二横板部134が第二凹部129に嵌合したときに、その第二横板部134の内側面と第二板状部12の係合面122とがほぼ面一となる。よって、固定具1aを板部材2に取り付けたときに、それら第二横板部134の内側面と第二板状部12の係合面122とを、いずれも板部材2の表面に隙間なく接触させることができる。
次に、固定具の取り付け方法について、図4〜図12を参照して説明する。
図4は、固定具を取付孔に挿入する様子を示す側面図である。図5は、固定具を連結部あたりまで取付孔に挿入したところを示す側面図である。図6は、固定具を回動したところを示す斜視図である。図7は、取付孔に挿入した状態で、固定具を下方へ移動させたところを示す斜視図である。図8は、図7に示す状態の側方断面図である。図9は、第一板状部を上方へ起こした状態を示す側方断面図である。図10は、図9に示す状態を、板部材の外側から見た斜視図である。図11は、第二板状部を上方へ起こした状態を示す側方断面図である。図12は、図11に示す状態を、板部材の外側から見た斜視図である。
この取付孔23の開口の形状を方形状に形成した場合、長手方向の長さX1は、固定具1aの第一板状部11における基部111の幅x11(又は、第二板状部12における基部121の幅x11’)よりも長くなるようにする。
また、取付孔23の短手方向の長さY1は、固定具1aの第一板状部11の厚さに立設部113の高さを加えた長さy11よりも長くなるようにする。
取付孔23をこのような大きさとすることで、図5に示すように、固定具1aを取付孔23に挿通させることができる。
これにより、連結部13を取付孔23の下部周縁部232に嵌入した状態で(図10参照)、立設部113をその取付孔23の内部に収めることができる。
なお、取付孔23に取り付けた固定具1aが取付孔23の長手方向に動くのを防止するために、取付孔23の長手方向の長さX1は、長さx12よりも若干長い程度とするのが望ましい。
これにより、固定具1aを取付孔23に取り付けたときに、取付孔23の上部又は下部が固定具1aの上方又は下方から露出するのを防ぐことができる。
また、長さY1は、固定具1aの第一板状部11における基部111の短手方向の長さy13、及び、第二板状部12における基部121の短手方向の長さy13’よりも短くなっている。これにより、固定具1aを取付孔23に取り付けたときに(図12参照)、取付孔23の右部又は左部が固定具1aの右方又は左方から露出するのを防ぐことができる。
なお、取付孔23に取り付けた固定具1aが取付孔23の短手方向に動くのを極力防止するために、取付孔23の短手方向の長さY1は、長さy12よりも若干長い程度とするのが望ましい。
なお、図4においては、取付孔23に対し、固定具1aを、板部材2の表側面21から挿入しているが、これに限るものではなく、その固定具1aを、板部材2の裏側面22から挿入することができる。この場合、固定具1aは、第二板状部12から取付孔23に挿入される。そして、第二板状部12を取付孔23に通した後、第一板状部11が取付孔23に差し掛かる前に、固定具1aの挿入を停止する。これにより、図5に示す状態と同じ状態になる。
そして、その回動を行った後、図7に示すように、固定具1aを下方へ移動させていき、連結部13の嵌入部131を、取付孔23の下部周縁部232に係合(嵌入)させる。
この状態における板部材2及び固定具1aの縦方向断面を、図8に示す。
ここで、第一板状部11の係合面112が板部材2の裏側面22に近接又は接触すると、図10に示すように、立設部113が取付孔23の内側に位置するようになる。
具体的には、第一の係合部123−1の端部が第一板状部11における第一の切欠部116−1に嵌合するとともに、第二の係合部123−2の端部が第二の切欠部116−2に嵌合する。そして、第二板状部12の基部121を第一板状部11の方へ押し込むと、第一の係合部123−1が立設部113の環状内側へ進入して第一の係合孔114−1に係合するとともに、第二の係合部123−2が立設部113の環状内側へ進入して第二の係合孔114−2に係合する。
そして、この状態において、第一板状部11の係合面112の周縁が板部材2の裏側面22に近接又は接触していることから、この第一板状部11と係合している第二板状部12は、係合面122とは反対側の方向へ引き抜くことができなくなる。同様に、第二板状部12の係合面122の周縁が板部材2の表側面21に近接又は接触していることから、この第二板状部12に係合している第一板状部11は、係合面112とは反対側の方向へ引き抜くことができなくなる。
このように、第一板状部11と第二板状部12は、板部材2を挟んだ状態で、取付孔23の内部で係合し合っていることから、板部材2から脱離不能に取り付けられた状態となる。
例えば、固定具1aの連結部13を取付孔23の上部周縁部233に嵌合することとしたときには、第一ヒンジ部135を軸として、この第一ヒンジ部135を折り曲げながら、第一板状部11を下方へ下げるように回動する。また、第二ヒンジ部136を軸として、この第二ヒンジ部136を折り曲げながら、第二板状部12を下方へ下げるように回動する。そして、取付孔23の内側で、第二板状部12の係合部123と第一板状部11の係合孔114とを係合する。これによっても、機能部材3を板部材2に取り付けることができる。
次に、固定具の使用例について、説明する。
前述した本実施形態の固定具1aは、種々の板状の部材に取付可能であり、また、様々な用途に使用可能である。
ここでは、固定具1aの使用例として、次の項目について説明する。
(3−1)搬送用容器への使用例
(3−2)機能部材としてベルトを装着した固定具の使用例
固定具1aは、例えば、物の運搬などに利用される搬送用容器に使用することができる。
この搬送用容器に使用される固定具1aについて、図13〜図24を参照して説明する。
図13は、従来の搬送用容器の構成を示す外観斜視図である。図14は、搬送用容器のスリーブに取付孔を穿設したところを示す外観斜視図である。図15は、固定具により面ファスナーが取り付けられた搬送用容器にバンドを接合した状態を示す外観斜視図である。図16〜図21は、上下方向に回動可能な扉部を備えた搬送用容器に固定具を使用する例を示す外観斜視図である。図22〜図24は、両開きの扉部を備えた搬送用容器に固定具を使用する例を示す外観斜視図である。
なお、ここでは、まず、搬送用容器の構成について説明し、その後に、固定具を搬送用容器に使用した例について説明する。
図13に示すように、搬送用容器4は、パレット部41と、スリーブ42と、蓋部材43と、バンド44とを備えている。
パレット部41は、搬送用容器4の底部を構成する板状部材である。
このスリーブ42には、例えば、合成樹脂製の中空板を用いることができる。また、この中空板には、例えば、プラパール(登録商標)の商品名で知られている気泡ボードを用いることができる。気泡ボードは、凹凸シートと、この凹凸シートの両面に接合された二枚の平坦シートからなる三層構造を有している。凹凸シートは、複数の中空状(例えば、円柱状)の突起部がエンボス加工されており、凹凸シートの突起部開口側に平坦シートが接合され、これにより空気が封入された密封空間が形成される。
この気泡ボードは、軽量であり、かつ、耐圧縮性、耐衝撃性に優れた特性を有している。なお、中空板の材料として使用可能な合成樹脂としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンといったポリオレフィン系重合体、再生PETのような分解性プラスチックなどがある。
また、蓋部材43の上面縁部には、バンド44を通す挿通孔431が穿設されている。
このバンド44は、蓋部材43の上面からスリーブ42の外側面422、そしてパレット41にかけて周回させ、バックル441で結合し、締め付けることで、蓋部材43を固定する。
搬送用容器4に対しては、前述した固定具1aを、種々の態様により使用することができる。
例えば、スリーブ42にバンド44を固定する部材として、固定具1aを使用することができる。また、スリーブ42の一部に形成された扉部を所定の位置で固定するために、固定具1aを使用することができる。ここでは、前者の使用例を「実施例1」として説明し、後者の使用例を「実施例2」として説明する。
前述した搬送用容器4においては、次の状況が生じていた。
搬送用容器4は、箱形に形成されているため、上方へ複数段、積み上げることができる。ここで、搬送用容器4のスリーブ42は、合成樹脂で形成されていることから、金属などに比べて剛性が低い。このため、下方に位置する搬送用容器4のスリーブ42は、上方に位置する搬送用容器4からの荷重により撓んで外側へ膨らむことがある。そうすると、バンド44がそのスリーブ42の膨らみにともなって伸長し、バックル441が外れて、バンド44が外方へ弾き飛ばされることがあった。
また、スリーブ42の上面に蓋部材43を載置してバンド44により締結するときには、そのバンド44の両端部を蓋部材43の挿通孔431にそれぞれ通し、バンド44の一方の端部をスリーブ42の側面から底部に垂らし、その底部に形成された挿通孔に通して、反対側の側面底部の挿通孔へ送り出し、その反対側の側面の中程で、バンド44の両端部をバックル441により締結するといった作業を行わなければならず、労力を要していた。
そこで、スリーブ42が膨らんでもバンド44の外れを防止するとともに、バンド44による蓋部材43の締結作業を簡素化するために、固定具1aを活用するものである。
一方、バンド44の裏側の所定箇所にも、面ファスナー(図示せず)を付設しておく。
なお、固定具1aに付設する面ファスナー31は、例えば、鉤状(フック形)とし、バンド44に付設する面ファスナーは、例えば、環状(リング形)とすることができる。
また、バンド44は、図13に示すように、蓋部材43からスリーブ42の底部にかけて周回するような長さである必要はなく、図15に示すように、蓋部材43の挿通孔431にバンド44を挿通したときに、そのバンド44の両端部が、それぞれスリーブ42の外側面422の中程に達する長さであればよい。
次いで、「(2)固定具の取り付け方法」にて説明した手順で、取付孔45に固定具1aを装着する。
続いて、図15に示すように、スリーブ42の上面に蓋部材43を載せ、バンド44の両端部を、その蓋部材43の挿通孔431にそれぞれ通す。そして、バンド44におけるそれぞれの端部の裏面に付設された面ファスナーと、固定具1aにおける第二板状部12の付設面128に付設された面ファスナー31とを接合させる。
これにより、バンド44は、面ファスナー及び固定具1aを介してスリーブ42に固定される。このことから、スリーブ42が膨らむなどして変形したとしても、バンド44が外れることがなくなる。
さらに、バンド44の両端部がスリーブ42の外側面422の中程で固定されるので、当該バンド44をスリーブ42の底部に周回させる必要が無くなる。これにより、蓋部材43を締結する作業を簡素化できる。
搬送用容器4は、図13〜図15に示すように、スリーブ42が矩形筒形に形成されているが、そのスリーブ42に、開閉可能な扉部を設けることができる。
扉部は、スリーブ42の一部を構成する板状部であって、周縁の一部(例えば、矩形状の四辺のうちの一辺)が、スリーブ本体423(スリーブ42のうち扉部以外の部分)と接続しており、この接続部分を軸として回動するものである。特に、図16に示す扉部46a(ドロップパネル)は、その下辺461がスリーブ本体423と接続しており、その下辺461を軸として上下方向に弧を描くように回動する。
ただし、扉部46aを下方へ回動して、下辺461から垂下した状態にすると、人や物がその前を通過するたびに、大きく揺れてスリーブ本体423に衝突し、その衝突部分が損傷したり摩耗したりすることがある。また、その衝突や揺動により扉部46aの下辺461に負荷がかかり、その下辺461が破損することも考えられる。
そこで、扉部46aが下方へ回動した状態で容易に揺動するのを防止するとともに、扉部46aが開口部424を塞いだ状態で、その状態を維持可能とするために、固定具1aを用いるものである。
図17に示すように、搬送用容器4において、スリーブ42及び扉部46aの所定の箇所に、取付孔45(図4の取付孔23に対応)を穿設する。
具体的には、例えば、扉部46aにおける上面周縁421の近傍に、取付孔45(45−1)を穿設する。
また、扉部46aにおける左右の側部462の近傍に、それぞれ取付孔45(45−2、45−3)を穿設する。
そして、スリーブ本体423の下部において、取付孔45(45−6)を穿設する。このとき、取付孔45−6と扉部46aの取付孔45−1は、扉部46aの下辺461を中心として対称となる位置に穿設される。つまり、取付孔45−6は、扉部46aを開いて下方へ回動した状態で、この扉部46aの取付孔45−1に取り付けられた固定具1aがスリーブ本体423に当接する箇所における当該スリーブ本体423側に穿設される。
ここで、固定具1aの機能部材3として面ファスナー31を用いる場合には、次の点に留意する。
面ファスナー31は、前述したように、鉤状の突起部が多数形成された面状部材(第一の面状部材)と、環状の突起部が多数形成された面状部材(第二の面状部材)とで構成され、それら突起部同士を係合させることで面的に着脱可能となっている。つまり、面ファスナー31は、第一の面状部材と第二の面状部材が揃って初めて着脱機能を発揮する。
そこで、固定具1aとして、第一の面状部材が付設された第一の固定具1aと、第二の面状部材が付設された第二の固定具1aとを用意する。
具体的には、例えば、取付孔45−1と取付孔45−6とを一組とし、取付孔45−2と取付孔45−4とを一組とし、取付孔45−3と取付孔45−5とを一組とする。そして、取付孔45−1と取付孔45−2と取付孔45−3に第一の固定具1a(又は、第二の固定具1a)を装着し、取付孔45−4と取付孔45−5と取付孔45−6に第二の固定具1a(又は、第一の固定具1a)を装着する。
なお、同図(i)に示す固定具1a’は、面ファスナー31’が第二板状部12の基部121から上方へ張り出しているが、張り出す方向は、同図(i)に示す方向に限るものではなく、例えば、第二板状部12の基部121から下方へ張り出すようにすることもできる。
そして、例えば、扉部46aが開口部424を塞いでいるときは、図20に示すように、取付孔45−2に装着した固定具1a’の面ファスナー31’を、取付孔45−4に装着した固定具1aの面ファスナー31に接合し、取付孔45−3に装着した固定具1a’の面ファスナー31’を、取付孔45−5に装着した固定具1aの面ファスナー31に接合する。
これにより、扉部46aは、それら固定具1a及び固定具1a’を介してスリーブ本体423に接続されて支持される。この場合、固定具1a、1a’は、扉部46aを、スリーブ本体423の開口部424に対して閉止する。
これにより、扉部46aが下方に回動した状態で、この扉部46aが容易に揺動するのを防止でき、下辺461の破損を抑制できる。
この場合は、図22、図23に示すように、二枚の扉部36bのうち、一方の扉部46bにおいて、軸部(ヒンジ部)とは反対側の辺の近傍に固定具1a’を装着し、他方の扉部46bにおいて、軸部(ヒンジ部)とは反対側の辺の近傍に固定具1aを装着する。そして、図24に示すように、扉部46bを閉じた状態で、一方の扉部46bに装着した固定具1a’の面ファスナー31’を、他方の扉部46bに装着した固定具1aの面ファスナー31に接合する。これにより、面ファスナー31及び面ファスナー31’は、扉部46bを閉状態で維持する閉止部材(ストッパ)として機能し、扉部46bは、それら面ファスナー31及び面ファスナー31’により、閉じた状態が保持される。
図1、図18等に示した固定具1a、1a’は、面ファスナー31、31’を機能部材3として設けたものであるが、機能部材3は、面ファスナー31、31’に限るものではなく、例えば、図25(i)、(ii)に示すように、バックル321付きのベルト32を、機能部材3として設けることができる。
ベルト32は、所定の長さを有する帯状又は紐状の部材である。
バックル321は、ベルト32の一方の端部322に取り付けられており、他の物に取り付けられたバックルに結合可能な形状を有している。
例えば、図25(i)、(ii)に示すように、固定具1bの第一板状部11の基部111においては、立設部113の内側に、ベルト32を通すための挿通孔118が穿設されている。
挿通孔118は、ベルト32の断面形状に応じた形状、例えば、ベルト32が帯状に形成されている場合には、このベルト32が挿通可能な大きさの長孔に形成されている。
挿通孔118が複数穿設されている場合、どのような順番でベルト32を挿通するかは任意に決めることができる。
ただし、挿通孔118に通されたベルト32のうち、バックル321が取り付けられた側の端部322は、第一板状部11の外側面119(係合面112とは反対側の面)から露出するようにする。
一方、そのベルト32のうち、バックル321が取り付けられていない側の端部323は、第一板状部11の係合面112における立設部113の内側から露出するようにする。
ベルト32の挿通状態をこのような状態とするために、挿通孔118の数は、奇数とするのが望ましい。
これら第一挟止部141と第二挟止部142は、図26に示す状態、すなわち、固定具1bの第一板状部11と第二板状部12が連結部13を中心として折り合わされて、第二板状部12の係合部123(123−1、123−2)が第一板状部11の係合孔114(114−1、114−2)に係合した状態では、第一挟止部141の先端部と第二挟止部142の先端部が当接又は近接するようになっている。そして、それら第一挟止部141の先端部と第二挟止部142の先端部がベルト32の端部323を挟み込んで挟持固定することにより、ベルト32が固定具1bから脱離不能となる。
なお、図27(i)〜(iii)には、水平に保持された板部材2’に固定具1bを取り付ける手順を示してある。同図(i)〜(iii)に示す手順は、図4〜図12に示した手順と基本的に同じであるが、固定具1bを用いた取付手順の例として、ここで簡単に説明する。
なお、ベルト32は、固定具1bを板部材2’の取付孔23’に挿入する前に、固定具1bの挿通孔118に予め挿通しておいてもよい。また、予めベルト32を固定具1bから外しておき、固定具1bを板部材2’の取付孔23’に挿入した後に、そのベルト32を固定具1bの挿通孔118に挿通するようにしてもよい。
第一板状部11の係合面112と第二板状部12の係合面122が取付孔23’を介して対向し(図11参照)、この取付孔23’の内部で第二板状部12の係合部123が第一板状部11の係合孔114に係合すると、図27(iii)に示すように、固定具1bが板部材2’に取り付けられる。
このような手順で固定具1bを板部材2’に取り付けて固定することにより、その固定具1bに付設されたベルト32を板部材2’に取り付けることができる。
また、取付孔23’の内部では、図26に示すように、第一板状部11の第一挟止部141と第二板状部12の第二挟止部142がベルト32の端部323を挟持固定しているので、このベルト32を引き抜こうとしても、容易に引き抜くことができないようになっている。
また、図25〜図27に示す固定具1bは、第一板状部11に第一挟止部141が形成されるとともに、第二板状部12に第二挟止部142が形成された構成としているが、この構成に限るものではなく、例えば、第二挟止部142を設けず、第一挟止部141のみを設け、この第一挟止部141と第二板状部12の係合面122によりベルト32の端部323を挟持固定する構成とすることもできる。また、これとは逆に、第一挟止部141を設けず、第二挟止部142のみを設け、この第二挟止部142と第一板状部11の係合面112によりベルト32の端部323を挟持固定する構成とすることもできる。
また、図27に示した板部材2’は、水平に保持された板状の部材であるが、固定具1bが取り付けられる板状の部材は、水平に保持された板状の部材に限るものではなく、例えば、垂直方向又は斜め方向に保持された部材であってもよく、また、図13等に示す搬送用容器4の一部であってもよい。
また、固定具を使用する際には、その固定具を一個のみ用意すればよいため、準備を簡易なものとすることができる。
しかも、連結部が板部材における貫通孔(取付孔)の周縁に係合し、第一板状部と第二板状部が貫通孔を閉塞する構成としたので、所定の機能を有する部材を板部材に確実に固定することができる。
例えば、図4においては、取付孔に対して固定具を第一板状部から挿入しているが、これに限るものではなく、第二板状部から挿入することもできる。この場合、第二板状部の付設面に付設された機能部材は、板部材の裏側面に取り付けられることになる。
さらに、上述した実施形態では、垂直方向に設けられた板部材に固定具を取り付ける場合について説明したが、これに限るものではなく、水平又は斜めに配置された板部材に固定具を取り付けることもできる。
11 第一板状部
112 係合面
113 立設部
114(114−1、114−2) 係合孔(被係合部)
115 第一凹部
12 第二板状部
122 係合面
123(123−1、123−2) 係合部
128 付設面
129 第二凹部
13 連結部
135 第一ヒンジ部
136 第二ヒンジ部
2 板部材
23 取付孔(貫通孔)
231 周縁
232 下方周縁部
3 機能部材
31、31’ 面ファスナー
32 ベルト
321 バックル
4 搬送用容器
42 スリーブ(壁部材)
422 外側面
43 蓋部材
44 バンド(締結部材)
45 取付孔(貫通孔)
46a、46b 扉部
Claims (22)
- 板部材に固定される固定具であって、
板状に形成された第一板状部と、板状に形成された第二板状部と、これらを連結する連結部とを備え、
前記連結部は、前記板部材に穿設された貫通孔の周縁に係合し、
前記第一板状部は、前記貫通孔を前記板部材の一方の面から閉塞し、
前記第二板状部は、前記貫通孔を前記板部材の他方の面から閉塞する
ことを特徴とする固定具。 - 前記第一板状部と前記連結部とを接続する位置に形成された第一ヒンジ部と、
前記第二板状部と前記連結部とを接続する位置に形成された第二ヒンジ部とを備え、
前記連結部を前記貫通孔の周縁に係合した後、前記第一ヒンジ部を軸として前記第一板状部を回動して前記貫通孔を前記板部材の一方の面から閉塞し、前記第二ヒンジ部を軸として前記第二板状部を回動して前記貫通孔を前記板部材の他方の面から閉塞する
ことを特徴とする請求項1記載の固定具。 - 前記第一ヒンジ部が、前記第一板状部における一方の面の端辺と、前記連結部における一の表面の端辺とを接続し、
前記第一板状部の他方の面における端辺のうち、前記一方の面の端辺に対応する端辺が、面取りされており、
前記連結部の前記一の表面に対して裏側に位置する面の端辺のうち、前記一の面の端辺に対応する端辺が、面取りされている
ことを特徴とする請求項2記載の固定具。 - 前記第二ヒンジ部が、前記第二板状部における一方の面の端辺と、前記連結部における他の一の表面の端辺とを接続し、
前記第二板状部の他方の面における端辺のうち、前記一方の面の端辺に対応する端辺が、面取りされており、
前記連結部の前記他の一の表面に対して裏側に位置する面の端辺のうち、前記他の一の面の端辺に対応する端辺が、面取りされている
ことを特徴とする請求項2又は3記載の固定具。 - 前記第一板状部は、該第一板状部が前記板部材の一方の面に近接又は接触した状態で前記連結部が嵌合する第一凹部を有し、
前記第二板状部は、該第二板状部が前記板部材の他方の面に近接又は接触した状態で前記連結部が嵌合する第二凹部を有した
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の固定具。 - 前記第一板状部が、前記板部材に対向する面に被係合部を有し、
前記第二板状部が、前記板部材に対向する面に係合部を有し、
前記第一板状部の被係合部と前記第二板状部の係合部が、前記貫通孔の内部で係合する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の固定具。 - 前記第一板状部が、前記板部材に対向する面から立設形成された立設部を有し、
前記連結部が前記貫通孔の周縁に係合し、前記第一板状部が前記貫通孔を閉塞すると、前記立設部の一部が、前記貫通孔の周縁のうち前記連結部が係合した箇所とは反対側の箇所に当接又は近接する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の固定具。 - 前記第一板状部と前記第二板状部と前記連結部が、一体形成された
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の固定具。 - 前記貫通孔が、前記第一板状部及び/又は前記第二板状部を挿通可能な大きさに穿設され、
前記第一板状部又は前記第二板状部が前記貫通孔に挿通された後に、前記連結部が、前記貫通孔の周縁に嵌合する
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の固定具。 - 所定の機能を有するとともに、前記第一板状部及び/又は前記第二板状部に付設される機能部材を有した
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の固定具。 - 前記機能部材が、面ファスナーを含む
ことを特徴とする請求項10記載の固定具。 - 前記機能部材が、前記付設面に対し、熱溶着により付設された
ことを特徴とする請求項10又は11記載の固定具。 - 前記機能部材が、一方の端部にバックルが取り付けられた帯状又は紐状のベルトを含む
ことを特徴とする請求項10記載の固定具。 - 前記第一板状部及び/又は前記第二板状部は、
前記ベルトを挿通させる挿通孔と、
当該固定具が前記板部材に取り付けられたときに、前記第一板状部と前記第二板状部との間で、前記ベルトの他方の端部を挟持固定する挟止部とを有した
ことを特徴とする請求項13記載の固定具。 - 前記板部材が、多数の突起部が形成された凹凸シートと、この凹凸シートの両面に接合された平坦シートとを有する合成樹脂製中空板である
ことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の固定具。 - 物の運搬に用いる搬送用容器であって、
側面を構成する壁部材と、
この壁部材に穿設された貫通孔に取り付けられる固定具とを備え、
前記固定具が、前記請求項1〜15のいずれかに記載の固定具からなる
ことを特徴とする搬送用容器。 - 前記壁部材の上面に載置される蓋部材と、
この蓋部材を前記壁部材に固定する締結部材とを有し、
前記固定具が、前記壁部材に穿設された貫通孔に取り付けられ、
前記固定具の付設面に付設された機能部材が、前記締結部材の裏面における所定の位置に付設された機能部材に接合する
ことを特徴とする請求項16記載の搬送用容器。 - 前記壁部材の一部に、開閉可能な扉部を設け、
前記固定具が、前記扉部に穿設された貫通孔に取り付けられるとともに、前記壁部材に穿設された貫通孔に取り付けられ、
前記扉部に取り付けられた固定具の機能部材と前記壁部材に取り付けられた固定具の機能部材とを接合して、前記扉部を開状態又は閉状態で固定する
ことを特徴とする請求項16又は17記載の搬送用容器。 - 前記扉部を開いた状態で当該扉部に取り付けられた固定具が前記壁部材に当接する箇所における前記壁部材側に、前記固定具が取り付けられ、
前記扉部を開いたときに、当該扉部に取り付けられた固定具の機能部材が、前記壁部材に取り付けられた固定具の機能部材に接合する
ことを特徴とする請求項18記載の搬送用容器。 - 前記扉部に取り付けられた固定具の前記機能部材が、当該固定具の付設面よりも大きな面積を有するとともに、当該機能部材の一部が前記付設面に付設され、他の部分が前記付設面から張り出しており、
前記扉部が閉状態で、当該扉部に取り付けられた前記固定具の機能部材における前記他の部分が、前記壁部材のうち前記扉部の近傍に取り付けられた前記固定具の機能部材に接合する
ことを特徴とする請求項18記載の搬送用容器。 - 前記壁部材に取り付けられた固定具の前記機能部材が、当該固定具の付設面よりも大きな面積を有するとともに、当該機能部材の一部が前記付設面に付設され、他の部分が前記付設面から張り出しており、
前記扉部が閉状態で、前記壁部材に取り付けられた前記固定具の機能部材における前記他の部分が、前記扉部に取り付けられた前記固定具の機能部材に接合する
ことを特徴とする請求項18記載の搬送用容器。 - 前記機能部材が、面ファスナーを含む
ことを特徴とする請求項17〜21のいずれかに記載の搬送用容器。
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