JP2012254704A - 空力騒音低減装置および型 - Google Patents

空力騒音低減装置および型 Download PDF

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Abstract

【課題】製造が容易であり、空力騒音を減少することができる空力騒音低減装置、および空力騒音低減装置を容易に樹脂成形する型を提供する。
【解決手段】空調ケース11の壁面11aの少なくとも一部には、複数の突起40が樹脂成形によって壁面11aに一体に設けられる。複数の突起40は、断面形状において、長さ寸法Tが幅寸法Wよりも大きい。したがって突起40は、空気の流れ方向に延びるので、円柱状ではない。また突起40の断面形状は、流れ方向の流れ方向上流側が流れ方向上流側に凸となるように湾曲する。これによって突起40に衝突する空気は、突起40の上流側の面に留まることなく、下流側に円滑に流れる。また突起40は、突出方向に延びる軸線を有する仮想円柱であって、直径が幅寸法W以下の仮想円柱を少なくとも流れ方向に変位させた軌跡内に収まる形状である。
【選択図】図5

Description

本発明は、気流の乱れによって発生する空力音を低減する空力騒音低減装置、および空力騒音低減装置を樹脂成形するため型に関する。
特許文献1および2には、空調および冷却用の送風装置から発生する空力騒音(以下、「騒音」ということがある)を低減するため、物体表面に圧力変動を低減する部材(以下、「低減部材」ということがある)を設けている。低減部材として、たとえば羽毛状または円柱状の突起物、または毛皮状の繊維状部材を設ける構成が開示されている。
特開平7−225048号公報 特開2006−159924号公報
特許文献1に記載の技術では、樹脂ケースに対し、低減部材として繊維状部材を成形後に取付けている。したがって樹脂ケースの製造とは別工程が必要であるので、工程数の増加し、加工費が高くなるという問題がある。
特許文献2に記載の技術は、空調ケースに低減部材として、円柱状の突起物を一列に形成している。円柱状の突起物のサイズは、直径1.5mm、高さ2mm程度である。このような微小な突起物は、空調ケースに一体に樹脂形成される。成形用の金型は、突起物に対応する孔をドリルにて加工するが、孔の内壁にはドリルによってらせん状の溝が残る。溝が残っていると、成形後に型から突起物を外す際に、突起物が溝に引っかかりちぎれやすいという問題がある。らせん溝を消すことも考えられるが、消すために仕上げ加工が必要となり、工程数が増加して作業時間が長くなり、仕上げのための加工費が必要になるという問題がある。
そこで、本発明は前述の問題点を鑑みてなされたものであり、製造が容易であり、空力騒音を減少することができる空力騒音低減装置を提供すること、および空力騒音低減装置を容易に樹脂成形する型を提供することを目的とする。
本発明は前述の目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
請求項1に記載の発明では、空気が流れる通路(13,22,25)を形成する通路部材(11)に設けられる空力騒音低減装置であって、
通路部材の壁面(11a)の少なくとも一部から突出するように、樹脂成形によって壁面に一体に設けられる複数の突起(40)を含み、
複数の突起のそれぞれは、
断面形状において、空気の流れ方向の長さ寸法が流れ方向に直交する幅方向の幅寸法よりも大きく、
断面形状について、流れ方向上流側が流れ方向上流側に凸となるように湾曲し、
複数の突起が突出する突出方向に延びる軸線を有する仮想円柱であって、直径が幅寸法以下の仮想円柱を少なくとも流れ方向に変位させた軌跡内に収まる形状であることを特徴とする空力騒音低減装置である。
請求項1に記載の発明に従えば、通路部材の壁面の少なくとも一部には、複数の突起が樹脂成形によって壁面に一体に設けられる。複数の突起は、断面形状において、空気の流れ方向の長さ寸法が流れ方向に直交する幅方向の幅寸法よりも大きい。したがって突起は、空気の流れ方向に延びるので、円柱状ではない。また突起の断面形状は、流れ方向の流れ方向上流側が流れ方向上流側に凸となるように湾曲する。これによって突起に衝突する空気は、突起の上流側の面に留まることなく、下流側に円滑に流れる。また突起は、突出方向に延びる軸線を有する仮想円柱であって、直径が幅寸法以下の仮想円柱を少なくとも流れ方向に変位させた軌跡内に収まる形状である。突起を壁面に樹脂成形する場合、用いられる型には突起を形成するための孔部が形成されている。孔部は、円柱状のドリルを用いて加工されるが、ドリルを仮想円柱とした場合、孔部は仮想円柱を少なくとも流れ方向に変位させた形状である。したがってドリルを変位させるので、孔部の内壁には、ドリルによるらせん溝が残りにくくなる。このような孔部によって突起が樹脂成形されるので、突起の外周面にらせん溝が形成されることを防ぐことができる。したがって突起を形成する際の型開のときに、突起が損傷することを抑制することができる。これによって突起を形成するために、型の孔部の仕上げのための加工および工程が必要ないので、製造コストの増加を抑制することができる。また空力騒音は気流の乱れによって発生する渦が変形することで発生しており、複数の突起は、この渦の変形を抑制することで音を低減している。したがって製造が容易な複数の突起によって、空力騒音を減少することができる。
また請求項2に記載の発明では、複数の突起は、壁面から垂直に突出することを特徴とする。請求項2に記載の発明に従えば、複数の突起は、壁面から垂直に突出する。壁面から垂直に突出するので型開のときに、突起に平面方向の力が作用しにくいので、突起が損傷することを防ぐことができる。
さらに請求項3に記載の発明では、複数の突起は、断面形状が流れ方向に沿って延びる長円状であることを特徴とする。請求項3に記載の発明に従えば、複数の突起は、断面形状が流れ方向に沿って延びる長円状である。したがって複数の突起を簡単な形状で実現することができる。
さらに請求項4に記載の発明では、通路部材が形成する通路は、車室内に送風される空気が通過する通路(13)であり、
通路部材は、通路が内部に形成される空調ケース(11)であり、
複数の突起は、空調ケースの壁面に一体に設けられることを特徴とする。
請求項4に記載の発明に従えば、通路部材が形成する通路は、車室内に送風される空気が通過する通路であり、通路部材は、通路が内部に形成される空調ケースであり、複数の突起は、空調ケースの壁面に一体に設けられる。これによって車室内の乗員に空力騒音が伝わることを抑制することができる。
さらに請求項5に記載の発明では、通路を開閉するドア(23,28〜30)もしくはドア周囲のガイドの両面のうち少なくとも空気の流れ方向を変更する面に、複数の突起が一体に設けられることを特徴とする。
請求項5に記載の発明に従えば、複数の突起は、通路を開閉するドアまたはドア周囲のガイドに一体に設けられる。ドアは、開閉するので、いずれか一方の面に気流が衝突して気流の流れ方向を変更する面となる。このようなドアまたはドア周囲のガイドの面に、複数の突起を設けることによって、発生する渦の変形を抑制することで音を低減できる。
さらに請求項6に記載の発明では、通路部材が形成する通路は、空調ケース内に送風される空気が通過する通路を含み、
通路部材の一部は、空調ケース内に送風する遠心式の送風機(60)を構成し通路が内部に形成されるスクロールケーシング(62)であり、
複数の突起は、スクロールケーシングの壁面(62b)のうち、吸い込んだ空気の流れ方向を吸込方向から遠心方向へ変更する部分(63)に一体に設けられることを特徴とする。
請求項6に記載の発明に従えば、複数の突起は、スクロールケーシングの壁面のうち、吸い込んだ空気の流れ方向を吸込方向から遠心方向へ変更する部分に一体に設けられる。遠心式の送風機では、気流は遠心状に放射され、スクロールケーシングの壁面に衝突するとともに、流路が広がる出口側に向けて送風される。気流は遠心状に放射される際、スクロールケーシングの壁面に空気が衝突する。このようなスクロールケーシングの壁面に複数の突起を設けることによって、前述のように音を低減することができる。
さらに請求項7に記載の発明では、通路部材が形成する通路は、空調ケース内に送風される空気が通過する通路を含み、
通路部材の一部は、空調ケース内に送風する送風機を構成し通路が内部に形成されるスクロールケーシングであり、
複数の突起は、スクロールケーシングの壁面(62b)のうち、スクロールケーシングの壁面の巻き始め部分であるノーズ部(62a)に一体に設けられることを特徴とする。
請求項7に記載の発明に従えば、複数の突起は、冷却用熱交換器に送風される空気が通過する通路部材の壁面に一体に設けられる。冷却用熱交換器に至る通路にて、空力騒音の発生を抑制することができる。したがって空調ケース内に空力騒音が伝わることを抑制することができる。
さらに請求項8に記載の発明では、通路部材が形成する通路は、空調ケース内に送風される空気が通過する通路を含み、
空調ケース内には、通過する空気を冷却する冷却用熱交換器(20)が設けられ、
複数の突起は、冷却用熱交換器に送風される空気が通過する通路部材の壁面に一体に設けられることを特徴とする。
請求項8に記載の発明に従えば、複数の突起は、スクロールケーシングの壁面のうち、スクロールケーシングの壁面の巻き始め部分であるノーズ部に一体に設けられる。ノーズ部は、気流の流れが不安定で時々刻々と気流の向きや流速の大きさが変化する部分である。このようなノーズ部の壁面に複数の突起を設けることによって、前述のように音を低減することができる。
さらに請求項9に記載の発明では、複数の突起を有する通路部材を樹脂成型するための型であって、
複数の突起(40)を樹脂成形するための複数の孔部がドリル加工によって形成されており、
孔部のそれぞれは、
断面形状において、予め定める形成方向の長さ寸法が形成方向に直交する幅方向の幅寸法よりも大きく、
形成方向の一方側の内壁が形成方向一方側に凸となるように湾曲し、
ドリル加工において、ドリルを少なくとも形成方向に変位させて形成されていることを特徴とする型である。
請求項9に記載の発明に従えば、複数の突起を有する通路部材を樹脂成型するための型であって、型には複数の突起を樹脂成形するための複数の孔部がドリル加工によって形成されている。孔部は、断面形状において、予め定める形成方向の長さ寸法が流れ方向に直交する幅方向の幅寸法よりも大きい。したがって孔部の内壁は、形成方向に延びるので、円柱状ではない。また孔部の断面形状は、形成方向の形成方向一方側が形成方向一方側に凸となるように湾曲している。これによって孔部によって樹脂成形された突起は、形成方向一方側から他方側に流れる空気が衝突すると、突起の上流側の面に空気が留まることなく、他方側に円滑に流れる。また孔部は、ドリルを少なくとも形成方向に変位させた形成されている。したがってドリルを変位させるので、孔部の内壁には、ドリルによるらせん溝が残りにくくなる。このような孔部によって突起が樹脂成形されるので、突起の外周面にらせん溝が形成されることを防ぐことができる。したがって突起を形成する際の型開のときに、突起が損傷することを抑制することができる。これによって突起を形成するために、型の孔部の仕上げのための加工および工程が必要ないので、製造コストの増加を抑制することができる。
なお、前述の各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
車両用空調装置10および送風機の概略構成を示す模式図である。 送風機60を示す断面図である。 車両用空調装置10の概略構成を示す模式図である。 図3とはドア位置が異なる車両用空調装置10の模式図である。 複数の突起40の第1の例を示す斜視図である。 突起40の第1の例を示す平面図である。 突起40の第2の例を示す平面図である。 突起40の幅寸法W/長さ寸法Tと騒音との関係を示すグラフである。 突起40Aの第3の例を示す斜視図である。 突起40Bの第4の例を示す斜視図である。 突起40Cの第5の例を示す斜視図である。 突起40Dの第6の例を示す斜視図である。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に関して、図1〜図8を用いて説明する。図1は、車両用空調装置10および送風機の概略構成を示す模式図である。図2は、送風機を示す断面図である。図3は、車両用空調装置10の概略構成を示す模式図である。車両用空調装置10は、車室内空調運転の実施可能な装置である。
車両用空調装置10は、外殻が空調ケース11で構成されており、大別して送風部と空調部を備えている。空調ケース11は、車室内前方のインストルメントパネル12の裏側に配置されている。空調ケース11は、内方に空気が流れる通路を形成する通路部材としての機能を有する。空調ケース11は、複数のケース部材からなり、例えばポリプロピレンなどの樹脂成形品である。複数のケース部材は、金属ばね、ねじ等の締結手段によって一体的に結合されて空調ケース11を構成している。
さらに車両用空調装置10は、車室内に向けて左右の吹出し口からそれぞれに温調された空気を供給する装置であり、運転席側と助手席側とにおいて独立に空調設定を可変できる、いわゆる左右独立温度コントロールを実現する。そして、車両用空調装置10の空調ケース11内部には、左右別々に温調された通風が混ざらないように中間仕切り板14が設けられ、中間仕切り板14によって空調ケース11内部は、車両左右方向に二つの通風路に区画されている。
送風部は、車室内または車室外の空気を空調部に送風するための送風機60を備え、送風機60の吹出口は空調部の入口に至る送風通路13と接続されている。送風機60は、遠心多翼ファン61とこれを駆動するモータ64とからなり、遠心多翼ファン61の周囲はスクロールケーシング62で囲まれ、遠心多翼ファン61の遠心方向に伸びるダクトによって送風通路13と連通している。
スクロールケーシング62は、遠心多翼ファン61を収納するとともに、遠心多翼ファン61から吹き出す空気の通路を構成する渦巻き状の部材である。スクロールケーシング62の壁面62bには、ノーズ部62aを有する。ノーズ部62aは、スクロールケーシング62の巻き始め側と巻き終わり側との重なる部分であって、巻き始め側の部分である。ノーズ部62aでは、空気上流側と空気下流とが、僅かな隙間を介して連通している。
空調部は、送風通路13全体を横断的に塞いで設けられたエバポレータ20と、エバポレータ20を通過してきた空気を加熱するヒータコア21と、冷風通路22と、エアミックスドア23、デフ用ミックスドア24と、温風通路25と、温風と冷風が混合する空間のエアミックスチャンバ26と、デフロスタ用ドア27と、フェイス用ドア28と、フット用ドア29と、リア用ドア30とを空調ケース11の内部に備えている。さらに空調ケース11には、冷風通路22および温風通路25の下流側に複数個の吹出口31〜34が形成されており、ここでは、空調ケース11の吹出口の一例であるデフロスタ吹出口31、フェイス吹出口32、フット吹出口33および第1のリア吹出口34、第2のリア吹出口35が設けられている。
デフロスタ吹出口31は、空調ケース11の車両前方側の上部に位置する。インストルメントパネル12のフロントウィンドウガラス12a付近の車両前方部には、室内吹出口の一つであるデフロスタ室内吹出口31aが設けられている。デフロスタ吹出口31とデフロスタ室内吹出口31aは、曇り度合いを低減するために空調風がフロントウィンドウガラス12a等の室内側面に沿うように、デフロスタ用ダクト31bによって接続されている。デフロスタ吹出口31は、デフロスタ用ドア27によって開閉制御される。
フェイス吹出口32は、空調ケース11上部のデフロスタ吹出口31よりも車両後方側に位置する。インストルメントパネル12の車両後方側の前面には、車室内に露出する室内吹出口の一つであるフェイス室内吹出口32aが設けられている。フェイス吹出口32とフェイス室内吹出口32aは、運転席および助手席の乗員の上半身に向けて空調風を吹き出すために、フェイス用ダクト32bによって接続されている。フェイス吹出口32は、フェイス用ドア28によって開閉制御される。
各リア吹出口34,35は、空調ケース11下部の車両後方側に位置する。後部座席には、室内吹出口の一つであるリア室内吹出口(図示せず)が設けられている。各リア吹出口34,35とリア室内吹出口とは、後部座席に向けて空調風を吹き出すために、リア用ダクト34bによって接続されている。各リア吹出口34,35は、その開口断面積がリア用ドア30によって開閉制御される。リア用ドア30によって、第1のリア吹出口34が開状態になる場合はリア用ダクト34b内の通路をヒータコア21で加熱された空気が流れ、第2のリア吹出口35が開状態になる場合はリア用ダクト34b内の通路をエバポレータ20で冷却された空気が流れる。
フット吹出口33は、空調ケース11上部のフェイス吹出口32よりも下方側に位置する。乗員の足元には、室内吹出口の一つであるフット室内吹出口(図示せず)が設けられている。フット吹出口33とフット室内吹出口とは、運転席および助手席の乗員の足元に向けて空調風を吹き出すために、フット用ダクト(図示せず)によって接続されている。フット吹出口33は、その開口断面積がフット用ドア29によって開閉制御される。
各吹出口31〜35は、空調ケース11の内部を車両左右方向に二分する通路仕切り壁(図示せず)を中心として左右対称であり、車両の運転席側および助手席側の左右両方側に空調風を供給可能なように配置されている。また、各吹出口31〜35から吹き出される空調風は、接続された各ダクト31b,32b,34b内を通って車室内の所定の室内吹き出し部位に供給されることになる。
また、デフロスタ用ドア27、フェイス用ドア28およびフット用ドア29のそれぞれは、回転軸と平板状のドア板とを有する片側支持式の板状ドアである。リア用ドア30は、回転軸と平板状のドア板とを有し、ドア板を円運動させる片面支持式の板状ドアである。送風機60、エアミックスドア23、デフ用ミックスドア24、デフロスタ用ドア27、フェイス用ドア28、フット用ドア29およびリア用ドア30の作動は、図示しない制御装置によって制御される。
エバポレータ20は、たとえば空調ケース11の車両前方側に位置し、冷凍サイクル内の膨張弁で減圧された低温低圧の冷媒を送風機60の送風を受けて内部で蒸発させる冷却用熱交換器である。そして、冷媒が流れるチューブの周囲を通過する送風空気を冷却して下流の冷風通路22に冷風を供給する。
ヒータコア21は、エバポレータ20よりも車両後方側の下部に位置し、走行用エンジンの高温の冷却水を熱源として送風空気と熱交換させ、周囲を流れる空気を加熱する加熱用熱交換器である。ヒータコア21は、エバポレータ20よりも空気流れ方向の下流側の通路を部分的に塞ぐように配置されている。
デフ用ミックスドア24は、エバポレータ20よりも車両後方側に位置し、エバポレータ20を通過した空気が流下する下流側の通路である冷風通路22を開閉できるドアである。エアミックスドア23は、エバポレータ20よりも車両後方側に位置し、エバポレータ20を通過した空気が流下する冷風通路22および温風通路25を開閉できるドアである。
エアミックスドア23およびデフ用ミックスドア24は、その開度位置により、ヒータコア21を通る温風の風量とヒータコア21を通過しない冷風の風量との比率を調節して、空調風の温度調節を行う。そして、エアミックスドア23およびデフ用ミックスドア24が図3の実線で示す位置にあるときは最大冷房時であり、温風通路25を閉めてヒータコア21への空気の流れを完全に遮断し、車室内に冷房風を提供する。なお、図3に示す状態は、フェイス吹き出しモードが設定されたときであり、エアミックスドア23、デフ用ミックスドア24、デフロスタ用ドア27、フェイス用ドア28、フット用ドア29、およびリア用ドア30も当該モードを実施する開度位置に設定されている。
図4は、車両用空調装置10の構成を説明するための断面図であって、図3とはドアの開度位置が異なる状態を示す。エアミックスドア23およびデフ用ミックスドア24が図4に示す位置にあるときは最大暖房時であり、エアミックスチャンバ26に至る冷風通路22を閉めてエバポレータ20を通過した空気をすべてヒータコア21へ流して加熱し、車室内に暖房風を提供する。
また、エアミックスドア23が図3と図4とで示す位置の中間の位置にあるときは、冷風通路22と温風通路25の両方が部分的に開放されて冷風と温風の両方が流下するようになり、各吹出口の上流側に設けられるエアミックスチャンバ26で混合し、温調されてから開放されている吹出口から吹き出され、ダクト内を通過して室内吹出口に送られる。
温風通路25は、車両前方側に傾いた形態で、空調ケース11の下部から上方のエアミックスチャンバ26に向けて延びるように形成されている。温風通路25は、空調ケース11の車両左右方向全体に亘る幅寸法を有し、その幅寸法は車両前後方向の寸法よりも大きくなっている。つまり、温風通路25は、前後方向に薄く、横長で上下方向に長い扁平状の通路を呈している。
フェイス吹出口32およびデフロスタ吹出口31は、エアミックスチャンバ26に臨む開口である。第1のリア吹出口34は、温風通路25に臨む開口である。第2のリア吹出口35は、エバポレータ20の下流側から、ヒータコア21よりも下方の位置に延びる通路に臨み、ヒータコア21を通らない冷風が吹き出される開口である。したがって、リア用ドア30が図3の実線で示す位置にあるときは、第1のリア吹出口34は閉じられて第2のリア吹出口35から冷風が吹き出される。また、リア用ドア30が図4の実線で示す位置にあるときは、第2のリア吹出口35は閉じられて第1のリア吹出口34から温風が吹き出される。
本実施形態の車両用空調装置10には、空力騒音を低減するための空力騒音低減装置が設けられる。空力騒音低減装置は、複数の突起40を含む。複数の突起40は、スクロールケーシング62の内壁62bおよび空調ケース11の内壁11bの少なくとも一部の所定箇所に設けられる。突起40は、所定箇所から突出するように複数設けられる。図5は、複数の突起40の第1の例を示す斜視図である。スクロールケーシング62の壁面62bおよび空調ケース11の壁面11aに複数の突起40を設ける場合には、複数の突起40を壁面11aに一体に設けられる。スクロールケーシング62および空調ケース11と突起40との材質は同一であり、射出成型によって各ケース部材と突起40を一体成形する。また複数の突起40を各ドアに設ける場合も同様に、一体に設けられる。
次に、突起40が設けられる場所に関して説明する。複数の突起40は、たとえば空気の流れを変更する変更部分に設けられる。変更部分とは、壁面11aの形状が変化して、空気の流れ方向を変更するために気流が衝突する面を有する部分である。壁面11aの形状が変化するとは、壁面11aが気流れに沿った直線状でなく、通路がたとえば屈曲、湾曲、拡大および縮小させるために壁面11aの形状が変化している部分である。また変更部分とは、通路抵抗によって風量が低下しない迎え角度を有する部分である。変更部分は、たとえば空気の流れ方向に対する迎え角が、30度以上であり、好ましくは40度以上であり、さらに好ましくは60度以上である。
複数の突起40は、図1では模式的に示し、図2〜図4では斜線を施して示すように、スクロールケーシング62の壁面62b、空調ケース11の壁面11a、各ドアを構成するドア板の両面のうち少なくともいずれか一方に設けられる。以後、ドア板を単にドアということがある。
スクロールケーシング62の壁面62bにおける一方の設置部位は、図1に示すように、ノーズ部62aである。ノーズ部62aは、気流の流れが不安定で時々刻々と気流の向きや流速の大きさが変化する部分である。またスクロールケーシング62の壁面62bにおける他方の設置部位63は、図2に示すように、吸い込んだ空気の流れ方向を吸込方向から遠心方向へ変更する部分である。他方の設置部位63は、スクロールケーシング62の壁面62bの吸込み側と反対側の一部の面である。送風機60作動時には、吸込み側から導入される気流が、遠心多翼ファン61の翼間で圧力が高められ翼外周(遠心方向)に押し出され、スクロールケーシング62に沿って吹出口に向けて送風される。他方の設置部位63は、導入される気流が翼の前縁に衝突して翼から放出された気流が衝突する部位である
空調ケース11の壁面11aにおける第1の設置部位41は、エバポレータ20の下流側であって、エバポレータ20と対向する位置である。空調ケース11の壁面11aにおける第2の設置部位42は、ヒータコア21の下流側であって、ヒータコア21に対向する位置である。空調ケース11の壁面11aにおける第3の設置部位43は、送風機60から空調ケース11内に空気が送風される部分である。したがって第3の設置部位43は、エバポレータ20の上流側であってスクロールケーシング62に至る通路を構成する部位のうち、エバポレータ20に空気を向かうように空気流れを変更する部分である。
さらに各ドアのうち、フェイス用ドア28およびリア用ドア30には、各ドアを閉じた際に、空調ケース11の内側となる面に突起40が設けられる。したがってフェイス用ドア28およびガイドについては、閉状態にあるときに、空調ケース11の内側に位置する面に複数の突起40が設けられる。またリア用ドア30については、図3に示すように、第1のリア吹出口34を閉じている場合に、ヒータコア21に対向する面に複数の突起40が設けられる。またエアミックスドア23については、両面に複数の突起40が設けられる。
さらに図示は省略するが、フェイス用ドア28の周辺およびリア用ドア30周囲には、各ドアへ空気を導くガイド(図示せず)が設けられる。ガイドの壁面のうち、少なくとも空気が衝突して、各ドアへ向かう方向へ空気を案内する面に突起40が設けられる。またエアミックスチャンバ26の壁面には、リブ(図示せず)が設けられる。リブは、冷風と温風との混合の割合を調整するためのものである。このようなリブも空調ケース11の壁面11aの一部を構成し、空気が衝突する部分であるので、リブの表面にも複数の突起40が設けられる。混合の割合を調整するリブには、冷風と温風との混合を避ける(混合割合を0にする)ためのリブも含む。
空調ケース11においては、前述のような部位に突起40が設けられるので、たとえば図3に示す冷房時には、破線で示すように、エバポレータ20を通過した気流の一部がエアミックスドア23に衝突し、フェイス吹出口32に向かう方向へ気流方向が変更される。またエバポレータ20を通過した気流の他部は、第1の設置部位41に衝突し、リア用ダクト34bに向かう方向へ気流方向が変更される。またフェイス用ドア28、およびエアミックスドア23の裏面に設けられた突起40は気流の流れと接していないので、突起40によって風量低下を引き起こすことがないような部分である。
また図4に示す暖房時は、破線で示すように、エバポレータ20を通過した気流の一部がエアミックスドア23の裏面に衝突し、ヒータコア21に向かう方向へ気流方向が変更される。ヒータコア21を通過した気流は、第2の設置部位42に衝突し、さらにフェイス用ドア28の内側の面に衝突し、フット用ドア29に向かう方向へ気流方向が変更される。またエバポレータ20を通過した気流の他部は、リア用ドア30に衝突し、リア室内吹出口へ向かうように気流方向が変更される。またエアミックスドア23の表面、第1の設置部位41に設けられた突起40は気流の流れと接していないので、突起40によって風量低下を引き起こすことがないような部分である。
次に、突起40の形状に関して説明する。図6は、突起40の第1の例を示す平面図である。図7は、突起40の第2の例を示す平面図である。各突起40は、長円柱状に形成される。長円柱状には、図7に示す小判状および図8に示す楕円柱状も含む。突起40は、流れ方向に延び、本実施形態では流れ方向に沿って延びる。また複数の突起40は、壁面11aから垂直に突出するように形成されている。具体的には、複数の突起40のそれぞれは、断面形状において、空気の流れ方向(図6の左右方向)の長さ寸法Tが流れ方向に直交する幅方向(図6の上下方向)の幅寸法Wよりも大きい。断面形状は、突起40を壁面11aと平行な仮想一平面で切断した場合の断面形状である。したがって断面形状は、突起40の断面形状が変わらない柱状の場合には、図6のように壁面11aに向かって見た場合の形状と同一である。
また突起40の断面形状は、空気の流れ方向上流側(図6の左方側)が流れ方向上流側に凸となるように湾曲している。本実施形態では、突起40の断面形状は、長円状であるので、空気の流れ方向下流側(図6の右方側)も流れ方向下流側に凸となるように湾曲している。上方の外周面が湾曲しているとは、流線型のような形状であり、流れてくる空気をスムーズに下方に案内する外周面の形状である。
突起40は、突起40が突出する突出方向(図5の上下方向)に延びる軸線を有する仮想円柱であって、直径が幅寸法W以下の仮想円柱を少なくとも流れ方向に変位させた軌跡内に収まる形状である。軌跡内とは、仮想円柱を変位させたときの軌跡空間内のことである。突起40が軌跡内に収まるとは、突起40の形状が軌跡空間と同一か、突起40の形状が軌跡空間内の一部を占めるということである。図6に示す突起40の場合には、直径Wの仮想円柱を流れ方向に距離Tだけ変位させると、突起40と略同一の形状となる。図7に示す突起40の場合には、直径Wの仮想円柱を流れ方向に距離Tだけ変位させるだけでなく、円弧状に変位させることによって、幅方向において外側への湾曲した形状を表現することができる。
このような仮想円柱は、型を形成するためのドリルを模擬したものである。複数の突起40は、前述のように空調ケース11と一体に樹脂成型されるが、そのための型には複数の突起40を樹脂成形するための複数の孔部がドリル加工によって型に形成されている。
ここで孔部の形状に関して説明する。孔部は、断面形状において、予め定める形成方向の長さ寸法が形成方向に直交する幅方向の幅寸法よりも大きい。成形された部材の形成方向は、流れ方向と略平行となるように配置されて、空調ケース11を構成する。したがって突起40が流れ方向に延びているように、当然に孔部の内壁も形成方向に延びている。また孔部の断面形状について、形成方向の一方側の内壁が形成方向一方側に凸となるように湾曲する。湾曲する形状も、長円柱状の突起40を形成するため形状である。そして孔部は、ドリルを少なくとも形成方向に変位させて形成されている。したがって孔部は、図6に示す長円柱状の場合には、直径Wのドリルを形成方向に距離Tだけ変位させることで形成される。
次に、突起40の寸法および分布に関して図8を用いて説明する。図8は、突起40の幅寸法W/長さ寸法Tと騒音との関係の一例を示すグラフである。図8に示す例では、図6および図7に示す長円柱形状の突起40を壁面11aに配置し、風速10m/sの風を壁面11aに垂直に流入させた場合に騒音を測定した結果である。
突起40の間隔Lは、1mm以上3mm以下であることが好ましく、図8に示す例では突起40の間隔Lは2mmとする。また突起40の高さHは、2mm以上3mm以下であることが好ましく、図8に示す例では高さHは2mmとする。また長さ寸法Tは1〜2mm程度とする。W/T=0では突起なしを示し、0<(W/T)<1では長円柱形状の突起40を示し、W/T=1では円柱形状の突起をあらわす。図8に示すように、円柱形状よりも長手方向に伸ばした形状では低減効果は少なくなるが、突起40がない場合に比べると、長円状の突起40であっても充分な効果を得ることができる。
以上説明したように本実施形態では、通路部材である空調ケース11の壁面11aの少なくとも一部には、複数の突起40が樹脂成形によって壁面11aに一体に設けられる。空調ケース11を突起40と一体成形することで安価に製造することができる。複数の突起40は、断面形状において、長さ寸法Tが幅寸法Wよりも大きい。したがって突起40は、空気の流れ方向に延びるので、円柱状ではない。また突起40の断面形状は、流れ方向の流れ方向上流側が流れ方向上流側に凸となるように湾曲する。これによって突起40に衝突する空気は、突起40の上流側の面に留まることなく、下流側に円滑に流れる。また突起40は、突出方向に延びる軸線を有する仮想円柱であって、直径が幅寸法W以下の仮想円柱を少なくとも流れ方向に変位させた軌跡内に収まる形状である。突起40を壁面11aに樹脂成形する場合、用いられる型には突起40を形成するための孔部が形成されている。孔部は、円柱状のドリルを用いて加工されるが、ドリルを仮想円柱とした場合、孔部は仮想円柱を少なくとも流れ方向に変位させた形状である。したがってドリルを変位させるので、孔部の内壁には、ドリルによるらせん溝が残りにくくなる。このような孔部によって突起40が樹脂成形されるので、突起40の外周面にらせん溝が形成されることを防ぐことができる。したがって突起40を形成する際の型開のときに、突起40が損傷することを抑制することができる。これによって突起40を形成するために、型の孔部の仕上げのための加工および工程が必要ないので、製造コストの増加を抑制することができる。また空力騒音は気流の乱れによって発生する渦が変形することで発生しており、複数の突起40は、この渦の変形を抑制することで音を低減している。したがって製造が容易な複数の突起40によって、空力騒音を減少することができる。
また複数の突起40は、流れ方向に延びる形状であるので、同一周長さの円形に対して、断面積が大きくなる。したがって成形の際の離型時の抜き抵抗に対し、強度が増し、樹脂のちぎれや型の残りを低減することができる。
また本実施形態では、複数の突起40は、壁面11aから垂直に突出する。壁面11aから垂直に突出するので型開のときに、突起40に平面方向の力が作用しにくいので、突起40が損傷することを防ぐことができる。
さらに本実施形態では、複数の突起40は、断面形状が流れ方向に沿って延びる長円状である。したがって複数の突起40を簡単な形状で実現することができる。
さらに本実施形態では、複数の突起40は、スクロールケーシング62の壁面62bのうち、吸い込んだ空気の流れ方向を変更する部位に一体に設けられる。遠心式の送風機60では、気流は遠心状に放射され、スクロールケーシング62に衝突するとともに、流路が広がる出口側に向けて送風される。気流は遠心状に放射される際、吸込み側から吸込み側と反対側に向けて気流が流れるため、スクロールケーシング62では主に吸込み側と反対側の部分に衝突する。このようなスクロールケーシング62の設置部位に複数の突起40を設けることによって、前述のように音を低減することができる。一方、気流はスクロールケーシング62に沿って吹出口に向けて送風されるが、突起40は吸込み側と反対側の気流衝突位置にのみ設けられているので、気流と壁面の間の摩擦抵抗の増大は最小限に抑えられ、風量低下を引き起こすことを抑制することができる。
また本実施形態では、複数の突起40は、スクロールケーシング62の壁面62bのうち、スクロールケーシング62の壁面62bの巻き始め側と巻き終わり側との重なるノーズ部62aに一体に設けられる。ノーズ部62aは、気流の流れが不安定で時々刻々と気流の向きや流速の大きさが変化する部分である。このようなノーズ部62aの壁面に複数の突起を設けることによって、前述のように音を低減することができる。
さらに本実施形態では、複数の突起40は、エバポレータ20に送風される空気が通過する通路部材の壁面11aに一体に設けられる。エバポレータ20に至る通路にて、空力騒音の発生を抑制することができる。したがって空調ケース11内に空力騒音が伝わることを抑制することができる。
また本実施形態では、フェイス用ドア28およびリア用ドア30のように、空調ケース11内と車室内とを連通する通路を開閉するドアに複数の突起40が設けられる。このようなドア28,30が閉状態であるときは、空調ケース11側に位置するドア28,30の片面に気流が衝突して気流の流れ方向を変更する面となる。このようなドア28,30の片面に複数の突起40を一体に設けることによって、発生する渦の変形を抑制することで音を低減できる。
さらに本実施形態では、空調ケース11内のエアミックスチャンバ26の壁面のリブ(図示せず)にも複数の突起40が一体に設けられる。このリブは温度調整のため冷風と温風とをよく混ぜるために気流を衝突させて乱すとともに、冷房時にはフェイス用ドア28に冷風を送るとともに、デフロスタに温風を送るために冷風と温風とが混ざり合わないように流れの方向を変更する部分である。このリブに複数の突起40を設けることによって、音を低減することができる。
また本実施形態では、エアミックスドア23に複数の突起40が一体に設けられる。エアミックスドア23は、開度によって、冷風と温風とを混合する割合を調整する。このようなエアミックスドア23は、開度によっては、少なくともいずれか一方の面に気流が衝突して気流の流れ方向を変更する面となる。このようなエアミックスドア23に、前述のように複数の突起を設けることによって、音を低減することができる。
さらに本実施形態では、複数の突起40は、エバポレータ20およびヒータコア21などの熱交換器の下流側にて対向する第1の設置部位41および第2の設置部位42に設けられる。熱交換器20,21の下流側にて対向する設置部位41,42は、熱交換器20,21に対向しているので、熱交換器20,21を通過した気流が衝突する部分である。このような設置部位41,42に複数の突起40を一体に設けることによって、前述のように音を低減することができる。
また本実施形態では、複数の突起40は、空調ケース11の壁面11aのうち、送風機60から空調ケース11内に空気が送風される第3の設置部位43に一体に設けられる。このような第3の設置部位43は、送風機60から空調ケース11内に最初に空気が導入される部分であり、風量が比較的大きい。このような変更部分に複数の突起40を設けることによって、車室内の乗員に空力騒音が伝わることを抑制することができる。
さらに車両用空調装置10では、送風機60から出る気流を均一にエバポレータ20に送り込むために、エバポレータ20への導入部に図1に示すように段差等を設けてあり、ここで気流の衝突による音が発生している。そこで、送風機60とエバポレータ20とを接続する導入部(第3の設置部位43)に複数の突起40を設けることによって効果的に音を低減できる。
また複数の突起40を有する通路部材を樹脂成型するための型であって、型には複数の突起40を樹脂成形するための複数の孔部がドリル加工によって形成されている。孔部は、断面形状において、予め定める形成方向の長さ寸法Tが幅方向の幅寸法Wよりも大きい。したがって孔部の内壁は、形成方向に延びるので、円柱状ではない。また孔部の断面形状は、形成方向の形成方向一方側が形成方向一方側に凸となるように湾曲している。これによって孔部によって樹脂成形された突起40は、形成方向一方側から他方側に流れる空気が衝突すると、突起40の上流側の面に空気が留まることなく、他方側に円滑に流れる。また孔部は、ドリルを少なくとも形成方向に変位させた形成されている。したがってドリルを変位させるので、孔部の内壁には、ドリルによるらせん溝が残りにくくなる。このような孔部によって突起40が樹脂成形されるので、突起40の外周面にらせん溝が形成されることを防ぐことができる。したがって突起40を形成する際の型開のときに、突起40が損傷することを抑制することができる。これによって突起40を形成するために、型の孔部の仕上げのための加工および工程が必要ないので、製造コストの増加を抑制することができる。
さらに本実施形態では、孔部に硬化前の樹脂を流し込む場合、同一面積の円柱と比較して、孔部に樹脂を流し込む際に空気や樹脂から発生するガスが孔部から逃げやすい。孔部が円状であると、全ての外周縁から樹脂が均一に流れ込みガスの逃げ道がなくなることがある。これに対して孔部が長円状であると、全ての外周縁から樹脂が均一に流れ込んでも、長さ方向と幅方向とで外周縁から中心までの距離が異なるので、ガスの逃げ道ができやすい。これによってガスによって不良品が発生する可能性を低くすることができ、成形が容易となる。
(その他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
前述の第1実施形態では、複数の突起40は、長円柱状であったが、このような形状に限定するものではない。図9〜図12は、突起40の形状の他の例を示す斜視図である。図9は、突起40Aの第3の例を示す斜視図である。第3の例では、突起40Aの断面形状は、流れ方向に延びる菱形状であって、4つ全ての角部が円弧上である。
図10は、突起40Bの第4の例を示す斜視図である。第4の例では、突起40Bの断面形状は、流れ方向に延びる二等辺三角形状であって、3つ全ての角部が円弧上である。図11は、突起40Cの第5の例を示す斜視図である。第5の例では、突起40Cの断面形状は長円状であるが、根本から先端に向けてテーパ状に縮径する長円柱状である。図12は、突起40Dの第6の例を示す斜視図である。第6の例では、突起40Dの断面形状は楕円状であるが、根本から先端に向けてテーパ状に縮径する楕円柱状である。図9〜図12に示すように、突起の断面形状は、角部が湾曲して、型の孔部をドリルで容易に加工できる形状であればよい。また型開のときに突起40が型にひっかからない形状であれば、先端部だけがテーパ状に縮径する形状であってもよい。
また各突起40は、底面(壁面)に対して傾斜していてもよい。さらに個々の突起40の配列もマトリクス状に限るものではなく、千鳥状、格子状、ストライプ状などであってもよく、ランダムに配置されてもよい。
また前述の第1実施形態では、空気音低減装置は車両用空調装置10に設けられるが、車両用空調装置10に限るものではなく、空調装置以外であってもよく、たとえば機器冷却用の冷却用送風機などに適用することができる。
10…車両用空調装置
11…空調ケース(通路部材)
11a…壁面
13…送風通路(通路)
20…エバポレータ(冷却用熱交換器)
21…ヒータコア(加熱用熱交換器、熱交換器)
22…冷風通路(通路)
23…エアミックスドア(ドア)
25…温風通路(通路)
26…エアミックスチャンバ
28…フェイス用ドア(ドア)
29…フット用ドア(ドア)
30…リア用ドア(ドア)
40…突起
60…送風機
62…スクロールケーシング
62a…ノーズ部
62b…スクロールケーシングの壁面
63…他方の設置部位

Claims (9)

  1. 空気が流れる通路(13,22,25)を形成する通路部材(11)に設けられる空力騒音低減装置であって、
    前記通路部材の壁面(11a)の少なくとも一部から突出するように、樹脂成形によって前記壁面に一体に設けられる複数の突起(40)を含み、
    前記複数の突起のそれぞれは、
    断面形状において、空気の流れ方向の長さ寸法が前記流れ方向に直交する幅方向の幅寸法よりも大きく、
    前記断面形状について、前記流れ方向上流側が前記流れ方向上流側に凸となるように湾曲し、
    前記複数の突起が突出する突出方向に延びる軸線を有する仮想円柱であって、直径が前記幅寸法以下の仮想円柱を少なくとも前記流れ方向に変位させた軌跡内に収まる形状であることを特徴とする空力騒音低減装置。
  2. 前記複数の突起は、前記壁面から垂直に突出することを特徴とする請求項1に記載の空力騒音低減装置。
  3. 前記複数の突起は、前記断面形状が前記流れ方向に沿って延びる長円状であることを特徴とする請求項1または2に記載の空力騒音低減装置。
  4. 前記通路部材が形成する通路は、車室内に送風される空気が通過する通路(13)であり、
    前記通路部材は、前記通路が内部に形成される空調ケース(11)であり、
    前記複数の突起は、前記空調ケースの壁面に一体に設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の空力騒音低減装置。
  5. 前記通路を開閉するドア(23,28〜30)もしくは前記ドア周囲のガイドの両面のうち少なくとも前記空気の流れ方向を変更する面に、前記複数の突起が一体に設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の空力騒音低減装置。
  6. 前記通路部材が形成する通路は、空調ケース内に送風される空気が通過する通路を含み、
    前記通路部材の一部は、前記空調ケース内に送風する遠心式の送風機(60)を構成し前記通路が内部に形成されるスクロールケーシング(62)であり、
    前記複数の突起は、前記スクロールケーシングの壁面(62b)のうち、吸い込んだ空気の流れ方向を吸込方向から遠心方向へ変更する部分(63)に一体に設けられることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の空力騒音低減装置。
  7. 前記通路部材が形成する通路は、空調ケース内に送風される空気が通過する通路を含み、
    前記通路部材の一部は、前記空調ケース内に送風する前記送風機を構成し前記通路が内部に形成されるスクロールケーシングであり、
    前記複数の突起は、前記スクロールケーシングの壁面(62b)のうち、前記スクロールケーシングの壁面の巻き始め部分であるノーズ部(62a)に一体に設けられることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の空力騒音低減装置。
  8. 前記通路部材が形成する通路は、空調ケース内に送風される空気が通過する通路を含み、
    前記空調ケース内には、通過する空気を冷却する冷却用熱交換器(20)が設けられ、
    前記複数の突起は、前記冷却用熱交換器に送風される空気が通過する前記通路部材の前記壁面に一体に設けられることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の空力騒音低減装置。
  9. 複数の突起を有する通路部材を樹脂成型するための型であって、
    前記複数の突起(40)を樹脂成形するための複数の孔部がドリル加工によって形成されており、
    前記孔部のそれぞれは、
    断面形状において、予め定める形成方向の長さ寸法が前記形成方向に直交する幅方向の幅寸法よりも大きく、
    前記形成方向の一方側の内壁が前記形成方向一方側に凸となるように湾曲し、
    前記ドリル加工において、前記ドリルを少なくとも前記形成方向に変位させて形成されていることを特徴とする型。
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