JP2012246332A - ポリアミドイミド樹脂、シームレス管状体、塗膜、塗膜板及び耐熱性塗料 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、ポリアミドイミド樹脂並びにこれを用いたシームレス管状体、塗膜、塗膜板及び耐熱性塗料に関する。
電気/電子機器、電子複写機など各種精密機器内の回転運動伝達目的であるシームレス管状体に用いられる、ポリイミド樹脂は例えば、ピロメリット酸二無水物と4,4´‐ジアミノジフェニルエ−テルよりえられるポリイミド樹脂、3,3´−4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物とp−フェニレンジアミンよりえられるポリイミド樹脂が挙げられ、特に、優れた機械特性(引裂強度・弾性率・破断伸度)を有していることから主流として適用されている。しかしながら、近年、コストダウンのニ−ズが一層高まりつつあり、低コスト、同イミド樹脂系との面からポリアミドイミド樹脂が着目されてきている。
一般にポリアミドイミド樹脂は、耐熱性、耐薬品性及び耐溶剤性に優れているため、エナメル線用ワニス各種塗料の塗膜成分として、各種基板に保護塗膜を形成するために、特に耐熱保護塗膜を形成するために広く用いられてきた。従来のポリアミドイミド樹脂としては、例えば、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートと無水トリメリット酸との反応により得られるポリアミドイミド樹脂(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)が知られている。
しかしながら、従来のポリアミドイミド樹脂はポリイミド樹脂と比較して、特に上記シームレス管状体の寿命に大きく影響を及ぼす塗膜の引裂強度及び破断伸度が著しく劣っているため、適用が困難であり、実用化には至っていない。
本発明の目的は、引裂強度及び破断伸度に優れた塗膜ポリアミドイミド樹脂を提供することにある。また、本発明は、この樹脂を用いて成形されるシームレス管状体、塗膜及び塗膜板並びにこの樹脂を含有する耐熱性塗料を提供するものである。
本発明は、次のものに関する。
1. 酸無水物基及びカルボキシル基を有する3価以上のポリカルボン酸無水物を必須とするポリカルボン酸化合物〔(a)成分〕、
次の構造式(I)
で示される1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタンイミドジカルボン酸〔(b)成分〕
及び
芳香族ポリイソシアネ−ト化合物〔(c)成分〕
を塩基性極性溶媒中で反応させて得られることを特徴とするポリアミドイミド樹脂。
2. 反応に用いられる(a)成分及び(b)成分の量が、(b)成分と(a)成分との配合割合{(b)成分/(a)成分}が当量比で0.05/0.95〜0.80/0.20である項1記載のポリアミドイミド樹脂。
3. 反応に用いられる全イソシアネ−ト化合物と全ポリカルボン酸成分との配合割合{(c)成分/〔(a)成分+(b)成分〕}が当量比で0.8〜1.4であり、数平均分子量が10000〜50000である項1又は項2記載のポリアミドイミド樹脂。
4. ポリアミドイミド樹脂を塗布及び加熱して形成された塗膜の引裂強度が4N/mm以上であって、かつ、破断伸度が80%以上であることを特徴とする項1〜3いずれかに記載のポリアミドイミド樹脂。
5. 項1〜4いずれかに記載のポリアミドイミド樹脂を用いて成形されたシームレス管状体。
6. 項1〜4いずれかに記載のポリアミドイミド樹脂を塗布及び加熱して成形された塗膜。
7. 項1〜4いずれかに記載のポリアミドイミド樹脂を表面に塗布及び加熱して成形された塗膜を有する塗膜板。
8. 項1〜4いずれかに記載のポリアミドイミド樹脂及び有機溶媒を含有する耐熱性塗料。
1. 酸無水物基及びカルボキシル基を有する3価以上のポリカルボン酸無水物を必須とするポリカルボン酸化合物〔(a)成分〕、
次の構造式(I)
及び
芳香族ポリイソシアネ−ト化合物〔(c)成分〕
を塩基性極性溶媒中で反応させて得られることを特徴とするポリアミドイミド樹脂。
2. 反応に用いられる(a)成分及び(b)成分の量が、(b)成分と(a)成分との配合割合{(b)成分/(a)成分}が当量比で0.05/0.95〜0.80/0.20である項1記載のポリアミドイミド樹脂。
3. 反応に用いられる全イソシアネ−ト化合物と全ポリカルボン酸成分との配合割合{(c)成分/〔(a)成分+(b)成分〕}が当量比で0.8〜1.4であり、数平均分子量が10000〜50000である項1又は項2記載のポリアミドイミド樹脂。
4. ポリアミドイミド樹脂を塗布及び加熱して形成された塗膜の引裂強度が4N/mm以上であって、かつ、破断伸度が80%以上であることを特徴とする項1〜3いずれかに記載のポリアミドイミド樹脂。
5. 項1〜4いずれかに記載のポリアミドイミド樹脂を用いて成形されたシームレス管状体。
6. 項1〜4いずれかに記載のポリアミドイミド樹脂を塗布及び加熱して成形された塗膜。
7. 項1〜4いずれかに記載のポリアミドイミド樹脂を表面に塗布及び加熱して成形された塗膜を有する塗膜板。
8. 項1〜4いずれかに記載のポリアミドイミド樹脂及び有機溶媒を含有する耐熱性塗料。
本発明のポリアミドイミド樹脂は、引裂強度及び破断伸度に優れた塗膜の作製が可能となり、しかも優れた電気絶縁性を有している。従って、これを用いたシームレス管状体は、回転運動伝達手段として優れた特性を示し、特に電気/電子機器、電子複写機などの精密機器内の回転運動伝達として有用である。また、ポリアミドイミド樹脂は、シームレス管状体にとどまらず、耐熱性塗料、塗膜、塗膜板の高機能化が可能となり、信頼性向上に有用である。
また、本発明のポリアミドイミド樹脂は、フィルム、繊維、その他の成形物であって、電気・電子部品、機械部品全般などの工業用、産業用資材としても有用である。
また、本発明のポリアミドイミド樹脂は、フィルム、繊維、その他の成形物であって、電気・電子部品、機械部品全般などの工業用、産業用資材としても有用である。
本発明におけるポリアミドイミド樹脂の製造に用いられるポリカルボン酸化合物〔(a)成分〕は、1分子中に、イソシアネ−ト基と反応してイミド結合を形成する酸無水物基及びイソシアネ−ト基と反応してアミド結合を形成するカルボキシル基を合計で2個以上有する化合物、又は、その混合物であり、酸無水物基を必須構造として含むものであればよく、特に制限はない。酸無水物基及びカルボキシル基を有する3価以上のポリカルボン酸無水物としては、例えば一般式(II)又は(III)で示す芳香族トリカルボン酸無水物を挙げることができる。耐熱性、コスト面等を考慮すれば、トリメリット酸無水物が特に好ましい。
また、(a)成分のポリカルボン酸化合物としては、これらのほかに必要に応じて、テトラカルボン酸二無水物{ピロメリット酸二無水物、3,3’−4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3;3´−4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2´−3,3´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3´,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物3,3´,4,4´−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコ−ルビス(アンヒドロトリメリテ−ト)、2,2−ビス(2、5−ジカルボキシフェニル)プロパンニ無水物、1,1−ビス(2、3−ジカルボキシフェニル)エタン酸二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホンニ無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−スルホニルジフタル酸二無水物、m−ターフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシルフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ−[2,2,2]−オクト−7−エン−2:3:5:6−テトラカリボン酸二無水物等}、脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、デカン二酸、ドデカン二酸、ダイマー酸等)、芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、オキシジ安息香酸等)などを併用することができる。また、これらポリカルボン酸成分の誘導体も使用することができる。
これらの酸や酸無水物の使用量は全酸成分の50当量%以下とする。
これらの酸や酸無水物の使用量は全酸成分の50当量%以下とする。
本発明において(b)成分として用いる前記構造式(I)で示されるジカルボン酸化合物は、下記構造式(IV)
(IV)
で示される1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタンとトリメリット酸無水物とを無溶剤あるいは有機溶剤中で反応させることにより得ることができる。
で示される1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタンとトリメリット酸無水物とを無溶剤あるいは有機溶剤中で反応させることにより得ることができる。
トリメリット酸無水物と1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン成分の配合割合は当量比で酸無水物基/アミン基=1.0以上になるようにすることが好ましく、1.5〜2.5となるようにすることがより好ましく、1.9〜2.1になるようにすることが更に好ましい。
反応は、無溶媒あるいは有機溶媒の存在下で容易に行うことができる。反応温度は、60〜100℃とすることが好ましく、反応時間は、バッチの規模、採用される反応条件などにより適宜選択することができる。使用できる有機溶媒としては、例えば、ケトン系溶媒(メチルエチルケトン、ネチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等)、エーテル系溶媒(ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等)、セロソルブ系溶媒(ブチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート等)、芳香族炭化水素計溶媒(トルエン、キシレン、p−シメン等)、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
本発明における(c)成分の芳香族ポリイソシアネ−ト化合物としては、特に制限はなく、例えば、下記一般式(V)
[ただし、式中、Xは、炭素数1〜18のアルキレン基又はフェニレン基等のアリーレン基(これはメチル基等の低級アルキル基を置換基として有していてもよい)を示す]で表される化合物が使用できる。
上記一般式(V)で表される芳香族ポリイソシアネ−ト化合物としては例えば、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3,2’−又は3,3’−又は4,2’−又は4,3’−又は5,2’−又は5,3’−又は6,2’−又は6,3’−ジメチルジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3,2’−又は3,3’−又は4,2’−又は4,3’−又は5,2’−又は5,3’−又は6,2’−又は6,3’−ジエチルジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3,2’−又は3,3’−又は4,2’−又は4,3’−又は5,2’−又は5,3’−又は6,2’−又は6,3’−ジメトキシジフェニルメタン−2,4’ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ベンゾフェノン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−4,4’−ジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネ^ト、p−キシリレンジイソシアネート、ナフタレン−2,6−ジイソシアネート、4,4’−{2,2ビス(4−フェノキシフェニル)プロパン}ジイソシアネートなど従来公知の種々のジイソシアネ−ト化合物が挙げられる。これらは単独で、あるいは2種以上混合して使用してもよい。上記芳香族ポリイソシアネ−ト化合物中でも、塗膜の耐熱性及び機械特性の面からジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートが、本発明に最も好適に使用される。
また、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネーロ、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、水添m−キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式イソシアネート及び3官能以上のポリイソシアネート化合物を併用してもよく、経日変化を避けるために必要なブロック剤で安定化したものを使用してもよい。
本発明における(a)成分と(b)成分の配合割合は、{(b)成分/(a)成分}の当量比で0.05/0.95〜0.80/0.20とすることが好ましく、0.2/0.8〜0.7/0.3とすることがより好ましく、0.3/0.7〜0.6/0.4とすることが特に好ましい。
この当量比が0.05/0.95未満では、高引裂強度化が困難となり、0.80/0.20を超えると、重合時の溶解性が低下し高分子量化が困難となってしまう。
この当量比が0.05/0.95未満では、高引裂強度化が困難となり、0.80/0.20を超えると、重合時の溶解性が低下し高分子量化が困難となってしまう。
また、全イソシアネ−ト成分及び酸成分の配合割合は{(c)成分/〔(a)成分+(b)成分〕}が当量比で0.8〜1.4とすることが好ましく、0.9〜1.3となるようにすることがより好ましく、0.9〜1.2となるようにすることが特に好ましい。
この比が0.8未満ではポリアミドイミド樹脂の高分子量化が困難であり、また1.4を超えると、破断伸度が著しく低下してしまう。
この比が0.8未満ではポリアミドイミド樹脂の高分子量化が困難であり、また1.4を超えると、破断伸度が著しく低下してしまう。
本重合は有機溶媒中で行われ、有機溶媒としては、溶解性の点より極性溶媒が好ましく用いられる。具体的にN−メチル−2−ピロリドン、N、N−ジメチルアセトアミド、N、N−ジエチルアセトアミド、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジエチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチレンスルホン、が挙げられ、単独または併用することができるが、経済性および重合しやすさの面から、N−メチル−2−ピロリドンまたはN、N−ジメチルアセトアミドを用いることが好ましい。また、使用量に特に制限はないが、前記ポリカルボン酸と1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタンイミドジカルボン酸、芳香向族ポリイソシアネ−トの総量100重量部に対して、100〜900重量部とするのが好ましく、125〜600とすることがより好ましく、150〜400とすることが特に好ましい。
このようにして得られたポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は、1,000〜50,000であることが好ましく、15000〜40000であることがより好ましく、20000〜35000であることが特に好ましい。数平均分子量が1,0000未満であると、塗膜としたときの塗膜の耐熱性や機械的特性等の諸特性が低下する傾向があり、50,000を超えると、塗料として適性な濃度になるよう溶媒に溶解させたときの粘度が高くなり、塗装時の作業性が劣る傾向がある。
なお、ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は、合成時に反応液をサンプリングし、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定し、目的の数平均分子量になるまで合成を継続することにより、所望の範囲に調整することができる。
本発明のポリアミドイミド樹脂には、塗布、加熱することにより引裂強度、破断伸度、耐熱性、耐薬品性及び耐溶剤性に優れる塗膜を形成することができるため、長期耐久性を必要とする電気/電子機器、電子複写機などの各種精密機器内の回転運動伝達目的であるシームレス管状体や、電気電子部品、機械部品などのフィルム、繊維、その他の原料として用いることができる。例えば、本発明のポリアミドイミド樹脂を塗布、加熱することにより、引裂強度が4N/mm以上であって、かつ、破断伸度が80%以上である塗膜を形成することができ、特にシームレス管状体の形成に好適に用いられる。
塗膜を形成する場合、通常、本発明のポリアミドイミド樹脂は、この樹脂を固形分として10〜50重量%、好ましくは20〜40重量%含有する耐熱性塗料として用いられる。耐熱性塗料に使用できる有機溶媒としては、例えば、ケトン系溶媒(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等)、エーテル系溶媒(ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等)、セロソルブ系溶媒(ブチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート等)、芳香族炭化水素系溶媒(トルエン、キシレン、p−シメン等)、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチレンスルホンなどが挙げられる。
塗膜を形成する基材としては、例えば、ガラス板等の板状基材が挙げられる。例えば、市販のガラス板等の板状の表面に、本発明のポリアミドイミド樹脂を上記の耐熱性塗料などとして塗布し、加熱することにより、引裂強度、引張弾性率、耐熱性、耐薬品性及び耐溶剤性に優れる塗膜を表面に有する塗膜板を得ることができる。
塗膜を形成する際の加熱は、通常、150〜300℃で30〜120分間行なわれ、この加熱により、ポリアミドイミド樹脂系耐熱性樹脂組成物を硬化させる。
塗膜の厚みは、塗膜の用途によって異なり、特に制限はないが、通常、10〜80μm、好ましくは20〜60μmである。
塗膜の厚みは、塗膜の用途によって異なり、特に制限はないが、通常、10〜80μm、好ましくは20〜60μmである。
シームレス管状体を形成する場合には、本発明のポリアミドイミド樹脂又はその溶液(上記耐熱性塗料と同様の溶剤に溶解したもの)をステンレススチール製円筒金型に注入し、150〜300℃の熱風で30〜120分間乾燥させた後、脱型することによりシームレス管状体を得ることができる。この時、ポリアミドイミド樹脂に、更にカーボンなどの導電性フィラー等の充填材を混練して用いてもよい。
次に本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、発明の主旨に基づいたこれら以外の多くの実施態様を含むことは言うまでもない。
1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン85.9g(0.30当量)及び無水トリメリット酸115.3g(0.60当量)とN−メチル−2−ピロリドン201.2gを温度計、攪拌機、冷却管を備えたフラスコに仕込み、この混合物を乾燥させた窒素気流中で、約1時間かけて徐々に昇温して80℃まで昇温し、80℃にて1時間保温し、(b)成分の1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタンイミドジカルボン酸(0.50当量)を得た。
さらに、この反応液に(a)成分として無水トリメリット酸134.5g(0.70当量)及び(c)成分としてジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート262.8g(1.05当量)と反応溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン696.6gを仕込み、反応により生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら約5時間かけて除々に昇温して140℃まで昇温した後、7時間反応させて数平均分子量が24100のポリアミドイミド樹脂の溶液を得た。
この反応に用いた(a)成分、(b)成分及び(c)成分の配合割合は、当量比で次のとおりである。
{(b)成分/(a)成分} =0.30/0.70
{(c)成分/〔(a)成分+(b)成分〕}=1.05
{(b)成分/(a)成分} =0.30/0.70
{(c)成分/〔(a)成分+(b)成分〕}=1.05
得られた溶液をN−メチル−2−ピロリドンで希釈し、耐熱性塗料(樹脂分濃度:30重量%)を得た。
(塗膜の作製)
ガラス基板の表面をアセトンで脱脂洗浄し、窒素気流中で乾燥させてガラス基板を準備した。このガラス基板上に上記耐熱性塗料をアプリケータにより塗布し、ホットプレートを用いて、80℃で30分間、150℃で10分間、更に250℃で30分間加熱硬化させポリアミドイミド樹脂からなる塗膜(塗膜厚:40±5μm)を作製した。
ガラス基板の表面をアセトンで脱脂洗浄し、窒素気流中で乾燥させてガラス基板を準備した。このガラス基板上に上記耐熱性塗料をアプリケータにより塗布し、ホットプレートを用いて、80℃で30分間、150℃で10分間、更に250℃で30分間加熱硬化させポリアミドイミド樹脂からなる塗膜(塗膜厚:40±5μm)を作製した。
1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン57.3g(0.20当量)及び無水トリメリット酸76.8g(0.40当量)とN−メチル−2−ピロリドン89.4gを温度計、攪拌機、冷却管を備えたフラスコに仕込み、この混合物を乾燥させた窒素気流中で、約1時間かけて徐々に昇温して90℃まで昇温し、90℃にて2時間保温し、(b)成分の1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタンイミドジカルボン酸(0.20当量)を得た。
さらに、この反応液に(a)成分として無水トリメリット酸134.5g(0.70当量)及びピロメリット酸二無水物21.8g(0.10当量)、(c)成分としてジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート252.8g(1.01当量)並びに反応溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン574.5gを仕込み、反応により生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら約5時間かけて除々に昇温して140℃まで昇温した後、5時間反応させて数平均分子量が19000のポリアミドイミド樹脂の溶液を得た。
この反応に用いた(a)成分、(b)成分及び(c)成分の配合割合は、当量比で次のとおりである。
{(b)成分/(a)成分} =0.20/0.80
{(c)成分/〔(a)成分+(b)成分〕}=1.01
{(b)成分/(a)成分} =0.20/0.80
{(c)成分/〔(a)成分+(b)成分〕}=1.01
得られた溶液をN−メチル−2−ピロリドンで希釈し、耐熱性塗料(樹脂分濃度:25重量%)を得た。
(塗膜の作製)
この耐熱性塗料を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ポリアミドイミド樹脂からなる塗膜(塗膜厚:40±5μm)を作製した。
この耐熱性塗料を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ポリアミドイミド樹脂からなる塗膜(塗膜厚:40±5μm)を作製した。
1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン143.2g(0.5当量)及び無水トリメリット酸192.1g(1.00当量)とN−メチル−2−ピロリドン503.0gを温度計、攪拌機、冷却管を備えたフラスコに仕込み、この混合物を乾燥させた窒素気流中で、約1時間かけて徐々に昇温して90℃まで昇温し、90℃にて2時間保温し、(b)成分の1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタンイミドジカルボン酸(0.50当量)を得た。
さらに、この反応液に(a)成分として無水トリメリット酸96.1g(0.50当量)、(c)成分としてジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート204.2g(0.816当量)及びトリレンジイソシアネート35.5g(0.204当量)並びに反応溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン503.7gを仕込み、反応により生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら約5時間かけて除々に昇温して140℃まで昇温した後、10時間反応させて数平均分子量が32000のポリアミドイミド樹脂の溶液を得た。
この反応に用いた(a)成分、(b)成分及び(c)成分の配合割合は、当量比で次のとおりである。
{(b)成分/(a)成分} =0.50/0.50
{(c)成分/〔(b)成分+(a)成分〕}=1.02
{(b)成分/(a)成分} =0.50/0.50
{(c)成分/〔(b)成分+(a)成分〕}=1.02
得られた溶液をN−メチル−2−ピロリドンで希釈し、耐熱性塗料(樹脂分濃度:25重量%)を得た。
(塗膜の作製)
この耐熱性塗料を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ポリアミドイミド樹脂からなる塗膜(塗膜厚:40±5μm)を作製した。
この耐熱性塗料を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ポリアミドイミド樹脂からなる塗膜(塗膜厚:40±5μm)を作製した。
比較例1
無水トリメリット酸192.1g(1.0当量)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート250.3g(1.01当量)、N−メチル−2−ピロリドン663.6gを温度計、攪拌機、冷却管を備えたフラスコに入れ、この混合物を乾燥させた窒素気流中で、反応により生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら約4時間かけて徐々に昇温して130℃まで昇温し、該混合物を130℃にて9時間保温し、数平均分子量が27000のポリアミドイミド樹脂の溶液を得た。
この溶液をN−メチル−2−ピロリドンで希釈し、塗料(樹脂分濃度:30%)を得た。
無水トリメリット酸192.1g(1.0当量)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート250.3g(1.01当量)、N−メチル−2−ピロリドン663.6gを温度計、攪拌機、冷却管を備えたフラスコに入れ、この混合物を乾燥させた窒素気流中で、反応により生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら約4時間かけて徐々に昇温して130℃まで昇温し、該混合物を130℃にて9時間保温し、数平均分子量が27000のポリアミドイミド樹脂の溶液を得た。
この溶液をN−メチル−2−ピロリドンで希釈し、塗料(樹脂分濃度:30%)を得た。
(塗膜の作製)
この塗料を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ポリアミドイミド樹脂からなる塗膜(塗膜厚:40±5μm)を作製した。
この塗料を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ポリアミドイミド樹脂からなる塗膜(塗膜厚:40±5μm)を作製した。
比較例2
4,4´−ジアミノジフェニルエーテル60.1g(0.3当量)及び無水トリメリット酸115.3g(0.6当量)とN−メチル−2−ピロリドン263.1gを温度計、攪拌機、冷却管を備えたフラスコに仕込み、この混合物を乾燥させた窒素気流中で、約1時間かけて徐々に昇温して80℃まで昇温し、80℃にて1時間保温し、イミドジカルボン酸(0.3モル)を得た。
4,4´−ジアミノジフェニルエーテル60.1g(0.3当量)及び無水トリメリット酸115.3g(0.6当量)とN−メチル−2−ピロリドン263.1gを温度計、攪拌機、冷却管を備えたフラスコに仕込み、この混合物を乾燥させた窒素気流中で、約1時間かけて徐々に昇温して80℃まで昇温し、80℃にて1時間保温し、イミドジカルボン酸(0.3モル)を得た。
さらに、この反応液に(a)成分として無水トリメリット酸134.5g(0.70当量)及び(c)成分としてジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート255.3g(1.02当量)とN−メチル−2−ピロリドン584.7gを仕込み、反応により生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら約5時間かけて除々に昇温して140℃まで昇温した後、5時間反応させて数平均分子量が24700のポリアミドイミド樹脂の溶液を得た。
得られた溶液をN−メチル−2−ピロリドンで希釈し、耐熱性塗料(樹脂分濃度:25重量%)を得た。
(塗膜の作製)
この耐熱性塗料を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ポリアミドイミド樹脂からなる塗膜(塗膜厚:40±5μm)を作製した。
この耐熱性塗料を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ポリアミドイミド樹脂からなる塗膜(塗膜厚:40±5μm)を作製した。
〔塗膜の引裂強度の測定〕
実施例1〜3及び比較例1〜2で得られた塗膜をガラス基板から剥離し、各塗膜から試験片(50mm×150mm)を切り出して、この試験片について以下の手順で引裂強度を測定した。すなわち、JIS K7128−1に記載されたトラウザー引裂法に基づいて、オートグラフ(嶋津製作所社製、AGS−5kNG)により、試験速度200mm/分、測定温度は23℃の条件で試験片の引裂強度を測定した。なお、引裂強度は上記各塗膜からそれぞれ5つの試験片を切り出し、各試験片について測定した値の平均値として求めた。その結果を表1に示す。
実施例1〜3及び比較例1〜2で得られた塗膜をガラス基板から剥離し、各塗膜から試験片(50mm×150mm)を切り出して、この試験片について以下の手順で引裂強度を測定した。すなわち、JIS K7128−1に記載されたトラウザー引裂法に基づいて、オートグラフ(嶋津製作所社製、AGS−5kNG)により、試験速度200mm/分、測定温度は23℃の条件で試験片の引裂強度を測定した。なお、引裂強度は上記各塗膜からそれぞれ5つの試験片を切り出し、各試験片について測定した値の平均値として求めた。その結果を表1に示す。
〔塗膜の破断伸度の測定〕
実施例1〜3及び比較例1〜2で得られた塗膜をガラス基板から剥離し、各塗膜から試験片(10mm×60mm)を切り出して、この試験片について以下の手順で引張試験を行い、引張弾性率を測定した。すなわち、オートグラフ(嶋津製作所社製、AGS−5kNG)を用いて、チャック間距離20mm、引張速度5mm/分、測定温度23℃の条件にて試験片の引張弾性率を測定した。その結果を表1に示す。
実施例1〜3及び比較例1〜2で得られた塗膜をガラス基板から剥離し、各塗膜から試験片(10mm×60mm)を切り出して、この試験片について以下の手順で引張試験を行い、引張弾性率を測定した。すなわち、オートグラフ(嶋津製作所社製、AGS−5kNG)を用いて、チャック間距離20mm、引張速度5mm/分、測定温度23℃の条件にて試験片の引張弾性率を測定した。その結果を表1に示す。
表1から、実施例1〜3のポリアミドイミド樹脂から得られた塗膜は比較例1、2の従来のポリアミドイミド樹脂から得られた塗膜と比較して、優れた引裂強度と破断伸度の特性バランスを有していることがわかる。
Claims (8)
- 反応に用いられる(a)成分及び(b)成分の量が、(b)成分と(a)成分との配合割合{(b)成分/(a)成分}が当量比で0.05/0.95〜0.80/0.20である請求項1記載のポリアミドイミド樹脂。
- 反応に用いられる全イソシアネ−ト化合物と全ポリカルボン酸成分との配合割合{(c)成分/〔(a)成分+(b)成分〕}が当量比で0.8〜1.4であり、数平均分子量が10000〜50000である請求項1又は2記載のポリアミドイミド樹脂。
- ポリアミドイミド樹脂を塗布及び加熱して形成された塗膜の引裂強度が4N/mm以上であって、かつ、破断伸度が80%以上であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のポリアミドイミド樹脂。
- 請求項1〜4いずれかに記載のポリアミドイミド樹脂を用いて成形されたシームレス管状体。
- 請求項1〜4いずれかに記載のポリアミドイミド樹脂を塗布及び加熱して成形された塗膜。
- 請求項1〜4いずれかに記載のポリアミドイミド樹脂を表面に塗布及び加熱して成形された塗膜を有する塗膜板。
- 請求項1〜4いずれかに記載のポリアミドイミド樹脂及び有機溶媒を含有する耐熱性塗料。
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JP2011116852A JP2012246332A (ja) | 2011-05-25 | 2011-05-25 | ポリアミドイミド樹脂、シームレス管状体、塗膜、塗膜板及び耐熱性塗料 |
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