JP2012245752A - 熱接着障子紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の障子紙がもつ独特の彩光性を保持しつつ、衝撃力に対して強く、その上、空調面からの省エネルギー性を維持でき、更には、障子の桟に対して充分な熱接着性を有し、加熱による収縮変形(シワ、弛みの発生)も小さい障子紙を提供する。
【解決手段】プラスチックフィルム1の両面にポリエチレン等からなる接着剤層2を介して紙3a,3bを貼り合せた紙シート基材A1の片面に、熱接着樹脂層4を設けた熱接着障子紙において、プラスチックフィルム1として熱変形温度が160℃以上のものを使用する。
【選択図】図1

Description

本発明は、アイロン、コテ等の熱で簡単に貼ることができ、シワ、弛みがなく仕上がりが綺麗に貼れる、強度に優れるとともに障子紙が有する風合い及び採光性を維持できる熱接着障子紙に関する。
従来、和風建築の障子に用いられる障子紙には、通常、通気性があり、彩光性のある和紙が用いられている。この通気性により内外の緩やかな換気や湿度調整を行う機能が発揮され、また和紙のもつ独特の彩光性により室内に優しい光が得られる。
ところが、従来の障子紙は、一般的には、衝撃力に対して弱く、子供やペットなどが簡単に穴を開けてしまうという欠点を有している。このため、頻繁に貼り替える作業を要するので、強度を高めた障子紙のニーズが高い。
また、通気性については、換気や湿度調整のためには通気性の高い障子紙が好ましいが、近年の住環境では空調設備の使用が増え、また、世界的に省エネルギー化が叫ばれる中で、気密性が高く冷暖房の効率向上の点で、却って、通気性のない障子紙が用いられる場合もある。
これらのニーズを満たすために、本願出願人は、先に特許文献1において、シート状の紙層両面に一対のポリエチレン・フィルム層を設け、その外面に一対のポリプロピレン・フィルム層を設けた障子紙を開示した。
また、特許文献2には、合成樹脂シートの両面に薄葉紙材を貼り合わせて、通気性を遮断するとともに和紙の風合いを保ちながら強度を持たせた障子紙も提案されている。
更には、本願出願人は、先に特許文献3において、障子紙の貼り替え作業を容易にするために、紙の片面に熱接着樹脂を分散付着させた熱接着障子紙を開示したが、この熱接着障子紙も障子紙の強化能を有する。
特開2007−8100号公報 実開平4−44400号公報 特開平7−300575号公報
しかしながら、上記の障子紙は、それぞれ、以下の点での欠点を有している。
特許文献1については、障子への貼り付け施工には、両面テープを使って貼り付けるため、作業に時間を要し面倒である。その点を改良するために、熱接着樹脂層を設けてアイロンで貼り付けると、アイロンの熱によりポリプロピレン・フィルム層が収縮変形してしまい、障子紙としては不適なものとなる。
次に、特許文献2については、障子への貼り付け施工には澱粉糊を使い貼り付けるが、紙の中間層に合成樹脂層があるために、糊の乾燥固化が遅く仕上がりに6時間以上を要することになる。
更に、特許文献3ついては、通気性があるため省エネルギー的には不適であり、また、強度的にも問題がある。
なお、特許文献3の請求項2及び段落0020〜0023には「紙基材の片面、両面又は中間へ、熱接着樹脂の転移を防ぐフィルム等の層を設けてなる複合紙基材を使うことができる。例えば、熱接着作業温度で融けない樹脂フィルムの層をラミネート又は塗布によって設ける。ラミネートフィルムとしては、ポリエステル、セロファン、ポリオレフィン系等がある。塗布層としては、澱粉及びEVAエマルジョンの単独又は複合で構成される。この場合、通気性がない方が熱接着樹脂の転移、浸出がないことになる。」と記載されており、この構成によれば、通気性は遮断できる。しかし、この構成には以下の問題がある。
特許文献3において樹脂フィルムの材質として挙げられているポリオレフィン系樹脂としては、代表的にはポリエチレンとポリプロピレンが挙げられるが、ポリエチレンでは、ポリプロピレンやポリエステルに比べ強度がでない、障子の桟への貼り付けの際の加熱により収縮変形(シワ、弛みの発生)等の問題があり、ポリプロピレンにおいては、紙とポリプロピレン・フィルムのラミネートの際に接着剤不使用では十分な接着力が得られず、層間剥離を起こしてしまう。セロファンに関しても、紙とのラミネートの際に接着剤不使用では十分な接着力が得られず、障子の桟への貼り付けの際の加熱により層間剥離を起こしてしまう。更に、ポリプロピレンやポリエステルに比べ強度がでない、加熱による収縮変形(シワ、弛みの発生)等の問題がある。ポリエステルに関しても、紙とのラミネートの際に接着剤不使用では十分な接着力が得られず、障子の桟への貼り付けの際のアイロンなどの加熱により層間剥離を起こしてしまい、シワ、弛みが発生して美観を損ねる。また、障子の桟への接着力も弱くて良好には貼り付けできない。
本発明において解決すべき課題は、従来の障子紙がもつ独特の彩光性を保持しつつ、衝撃力に対して強く、その上、空調面からの省エネルギー性を維持でき、更には、障子の桟に対して充分な熱接着性を有し、加熱による収縮変形(シワ、弛みの発生)も小さい障子紙を提供することにある。
本発明は、プラスチックフィルムの両面に接着剤層を介して紙を貼り合せた紙シート基材の片面に、熱接着樹脂層(ホットメルト層)を設けた熱接着障子紙において、前記プラスチックフィルムの熱変形温度が160℃以上であることを特徴とする。
(1)プラスチックフィルムの両面に紙を貼り合わせることにより、紙の風合いを活かした強度のある、気密性に優れた障子紙となる。また、プラスチックフィルムの熱変形温度が160℃以上であるので、障子紙を障子に貼り付ける際の家庭用アイロン加熱等の加熱による収縮変形(シワ、弛みの発生)も抑えることができる。そして、紙とプラスチックフィルムとをポリエチレン等からなる接着剤層を介して貼り合せるようにしているので、層間剥離の問題も解消できる。
(2)両面ともに紙が貼り合わされているため、貼り付けの際に生じる多少の弛みも、通常の障子紙と同様霧吹き作業により弛みを無くし、仕上がりを綺麗にみせることができる。
(3)紙層間にプラスチックフィルムが存在することにより、一般的な家庭用アイロンの中温(約140〜160℃)で接着作業を行う際に、接着面裏側への熱接着樹脂の浸み込みが抑えられ、従来よりも少量の熱接着樹脂で同等の接着強度を出すことができる障子紙となる。また、熱接着樹脂層を設ける側の紙の坪量を小さくすることで、より浸み込みを抑えることができる。
本発明に係る障子紙の一実施例を示す分解斜視図である。
本発明において、プラスチックフィルムは、通気性の遮断、強度の向上、及び熱接着樹脂の裏抜け防止のために使用する。このプラスチックフィルムは、障子紙を障子に貼り付ける際の家庭用アイロンでの部分加熱による収縮変形(シワ、弛みの発生)も抑える点から、熱変形温度が160℃以上である必要がある。この点から、熱変形温度が240〜245℃である(「ポリマー辞典」及び「日本化学便覧」)ポリエチレンテレフタレートを好適に使用できる。一方、熱変形温度が43〜64℃程度であるポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系は不適である。なお、上記エステルポリエチレンテレフタレートは、上記特許文献3に記載のポリエステルの一種であるが、ポリエステルには、熱変形温度が50〜85℃の飽和ポリエステル及び熱変形温度が80〜180℃の不飽和ポリエステルがあり(「プラスチック読本 第9版 編集:プラスチック技術協会 発行所:(株)プラスチックス・エージ」より)、熱変形温度が160℃を下回るものがある。本発明では、上述のとおり、プラスチックフィルムの熱変形温度は160℃以上である必要があり、全てのポリエステルがこれを満足するものではない。
ここで、「熱変形温度」とは、JIS K 7191「プラスチック 荷重たわみ温度試験方法」に基づく「荷重たわみ温度」と同義であり、試験片の両端を加熱浴槽中で支え、中央の荷重棒によって試験片に所定(1.82MPa(18.6kgf/cm))の曲げ応力を加えつつ、加熱媒体の温度を2℃/分の速度で上昇させ、試験片のたわみが所定の量に達したときの加熱媒体の温度をもって、その材料の熱変形温度とする。
プラスチックフィルムの厚みは、紙との貼り合わせ加工(ラミネート加工)での成膜性と製品加工(小巻加工)時の作業性の点から、12〜100μmが好ましく、12〜50μmがより好ましい。
また、プラスチックフィルムの両面に貼り合せる紙としては、楮(コウゾ)、三椏(ミツマタ)、雁皮、麻等の天然靭皮繊維、木材パルプ、コットンリンターパルプ、レーヨン等のセルロース系繊維の単体又は複合材を原料とした紙を使用できるが、貼り付け後の剥がれの原因となる紙の水分放出(乾燥)に伴う紙の収縮力を小さくするため、紙を構成する繊維としては、親水性繊維はなるべく少なくし、疎水性繊維を5〜100質量%配合し、温度変化、湿度変化に対する寸法安定性を向上させることが好ましい。
疎水性繊維としては、例えば特公平5−77800公報に開示されている「疎水性感熱収縮繊維」、「無機質繊維」、「アクリル繊維」、「ビニロン繊維」等の中から任意に選択して使用できる。
紙シート基材と熱接着樹脂との接着性を高めるためには、紙シート基材の外面を構成する紙に、熱接着樹脂に対して親和性が高い合成繊維を5〜100質量%配合することが好ましい。例えば、熱接着樹脂がポリエチレン系、EVA系、変性EVA系、アイオノマー系の場合は、ポリオレフィン樹脂の繊維等が適当である。熱接着樹脂がポリエステル系樹脂の場合はポリエステル繊維等、ポリアミド系の場合はナイロン繊維等が適当である。更に紙には、200°C以下で熱寸法安定性のよい繊維として、パルプ、レーヨン、靭皮繊維等セルロース繊維やポリエステル繊維等を10〜90質量%配合することが好ましく、20〜80質量%配合することがより好ましい。
また、紙の坪量は、半透光性を維持する障子紙の性質の点から、プラスチックフィルムの両面に貼り合せる紙2枚の合計で40〜120g/mとすることが好ましく、これを2分して使用する。その比率は、加工順番の違いによって熱接着樹脂への加温条件が変わるため熱接着樹脂がほぼ半球状を維持し、障子の桟への接着力を確保する点から、9:1から1:9の範囲が適当である。具体的に説明すると、例えば後述するパウダースキャッター法で熱接着樹脂を紙へ塗工する場合、樹脂も紙も100〜150℃の温度で両面から加熱する必要がある。また、紙のラミネート工程では加工方法によって加工温度も変わるが、エキストルージョン法で行う場合、約300度に加熱溶融したポリエチレンの溶融フィルムで接着剤層を形成しながらラミネートを行う。熱接着樹脂の塗工とラミネート加工の順番によって半球状を維持してなる熱接着樹脂層を維持するために熱接着樹脂へ伝わる温度をコントロールする必要がある。その伝熱温度のコントロールを紙の厚さ(坪量)で調節する。例えば、紙2枚の合計坪量を50g/mとするなら、一方を40g/m、もう一方を10g/mのように任意の坪量に振り分け、プラスチックフィルムに貼り合わせる。加工の方法と順番によって、熱接着樹脂の紙への塗工面を選定する。具体的には、ラミネート工程が後になる場合は、熱接着樹脂層を形成する紙は厚い(坪量が大きい)方が好ましい。ラミネート工程が前になる場合は、その逆で薄い(坪量が小さい)方が好ましい。
プラスチックフィルムと紙との貼り合わせ(ラミネート)の方法としては、エキストルージョンラミネート、ホットメルトラミネート、ドライラミネート、ウェットラミネート等があり、いずれの方法を用いてもよい。
エキストルージョンラミネートは、押出機のTダイの細いスリットから接着剤として溶融フィルムを押出し、手前から送られたプラスチックフィルムと紙とを積層し、冷却固化する方法で、接着剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー、エチレン共重合体等を用いることができる。また、接着助剤としてアンカーコート剤を使用してもよい。アンカーコート剤としては、テトラアルキルチタネート重合物、ポリエチレンイミン、イミン化合物等を用いることができる。また、接着力を上げるための方法として、表面処理されたプラスチックフィルムを用いてもよい。表面処理の方法としては、プラスチックフィルム表面を酸化させる、コロナ放電処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン照射、紫外線照射等がある。また、プラスチックフィルム表面を凹凸化させる、サンドブラスト、溶剤処理等もある。
ホットメルトラミネートは、加熱溶融した接着剤を基材(紙又はプラスチックフィルム)の上に塗布し、直ちにプラスチックフィルム又は紙を貼り合わせて冷却する方法で、接着剤としては、パラフィンワックスとミクロクリスタリンワックスの混合物や、低分子量のエチレン‐酢酸ビニル共重合物、エチレン‐アクリル酸エステル共重合物などが使用される。
ドライラミネートは、有機溶剤に可溶なビニール系樹脂、セルロース系樹脂、エポキシ系樹脂、ゴム系樹脂などを有機溶剤に溶かした接着剤を塗布機でプラスチックフィルム(又は紙)にコーティングした後、乾燥ゾーンで乾燥し、その後加熱ロールで紙(又はプラスチックフィルム)と圧着してラミネートする方法で、具体的な接着剤としては、ビニール系樹脂の酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン系樹脂などで、セルロース系樹脂では、ニトロセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートがある。また、エポキシ系樹脂、合成ゴムとアクリル系樹脂との共重合物も使用される。コーティング方法としては、グラビアコーティング、リバースロールコーティング、ディップコーティング、ドクターブレード、エアーナイフコーティングなどがある。
ウェットラミネートは、接着剤を塗布機でプラスチックフィルム(又は紙)にコーティングした直後、湿った状態で紙(又はプラスチックフィルム)をラミネートし、その後乾燥する方法で、接着剤としては、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ビニルブチラール、酢酸ビニルとアクリル酸エステル共重合体のエマルジョン、合成ゴムのラテックス等がある。コーティングは、上記ドライラミネートと同様な方法で行う。
以上のプラスチックフィルムと紙との貼り合わせの方法において、接着剤としては、プラスチックフィルムと紙の両方への親和性の点からポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー、エチレン共重合体等を用いることが好ましく、ポリエチレンを用いることが最も好ましい。
上記のようにしてプラスチックフィルムの両面に紙を貼り合わせた紙シート基材の片面に、熱接着樹脂層を形成する。このとき、紙坪量の少ない側に熱接着樹脂層を形成することにより、アイロン、コテ等の熱で貼り付ける際に熱接着樹脂の紙層への浸み込みを抑えることができる。
熱接着樹脂層を形成する樹脂材としては、特公平5−77800号公報に開示されている「感熱性接着剤」を使用できるが、水溶性の変性PVA系を使用すると、その接着力と風合は、水分の変化によって影響されるので好ましくない。したがって、水分の変化によって接着力が左右されず、風合を損なわない性状を有する疎水性のLDPE系、EVA系、変性EVA系、ポリエステル系、ポリアミド系、変性PE系、アイオノマー系などが好適である。融点は60℃〜150℃のものから用途に応じて種類や融点を選べばよい。
熱接着樹脂層の形成には、上記特許文献3に開示されている「熱接着樹脂の島状又は線状の形成」を使用できる。すなわち、熱接着樹脂の島状又は線状の形成は、前記「感熱性接着剤」のような熱接着性の樹脂材を粉砕したパウダーとして、パウダースキャッター法又はパウダードット法により散布又は塗布し、あるいは、ペーストドット法によりパウダーを溶媒に入れてペースト状にしてスクリーンロールより紙シート基材へ転写した後、加熱装置を通して紙シート基材へ熱溶融接着することにより行うことができる。また、前記パウダーを加熱溶融させてスクリーンロールより紙シート基材へ転写後冷却して形成させることもできる。また、前記樹脂材のエマルジョンをスプレーで紙シート基材へ噴霧したり、グラビア版に塗布し、紙シート基材へ転写し加熱して溶剤を飛ばして形成することもできる。更に、上記方法の単独だけでなく、複合して施工を行って置換又は相容性の異なる2種類又は3種類の樹脂を2重3重に重ねてドット加工を行うことも可能である。
この熱接着樹脂層の形成は、プラスチックフィルムに貼り合わせ加工(ラミネート加工)する前の紙のみの状態で行なってもよい。特に、熱接着樹脂層の形成時の温度がラミネート加工するプラスチックフィルムの熱変形温度より高くなる場合は、熱接着樹脂層の形成はラミネート加工前に行っておくのが好ましい。この場合、紙だけでパウダー加工等を行うので、その加工時のテンションに耐えられる紙厚が必要となる。したがって、熱接着樹脂層を形成する側の紙の坪量は、10〜50g/mが適当であり、より好ましくは、15〜40g/mである。
図1は本発明に係る障子紙の一実施例を示す分解斜視図である。
同図に示す障子紙Aは、プラスチックフィルムとしてのポリエチレンテレフタレート(PET)・フィルム1の上下両面に接着剤層としてのポリエチレン(PE)層2を介して紙3a,3bを貼り合わせてなる紙シート基材A1の片面(紙3a側)に、熱接着樹脂層4を設けたものである。以下、具体的な実施例を示す。
(実施例1)
パルプ87質量%、レーヨン10質量%、バインダー3質量%を配合した坪量25g/mの紙3aの片面に、融点97℃、平均粒径100μm、最小粒径83μm及び最大粒径150μmの非水溶性EVA(例えば、東ソー株式会社製のケン化エチレン酢酸ビニル共重合樹脂)を、パウダースキャータ法によって6g/m散布後に加熱溶融させて球形、半球形の島状に点在させ、熱接着樹脂層4を形成した。
次に、厚さ16μmの両面コロナ処理を施したPETフィルム1の片面に、パルプ87質量%、レーヨン10質量%、バインダー3質量%を配合した坪量25g/mの紙3bを、エキストルージョンラミネートにより積層した。このとき、押し出し機で加熱溶融したポリエチレン樹脂をTダイのスリットから18μmで押し出し、PETフィルム1と紙3bとで挟み込んだ。その後、もう片方の面にも同様にエキストルージョンラミネートによりポリエチレン樹脂を介して、上記熱接着樹脂層4を形成した紙3aを積層して障子紙Aを作製した。
(実施例2)
熱接着樹脂層4を形成する側の紙3a坪量を40g/m、その反対側の紙3bの坪量を10g/mとした以外は実施例1と同様の工程で障子紙Aを作製した。
(実施例3)
熱接着樹脂層4を形成する側の紙3a坪量を10g/m、その反対側の紙3bの坪量を40g/mとした以外は実施例1と同様の工程で障子紙Aを作製した。
上記実施例1〜3の障子紙につき、破裂強度及び接着強度を測定するとともに、外観(「紙の風合い」及び「シワ、弛みが無いこと」)を検査し、これらより障子紙としての合否を判定した。また、比較例として上記特許文献1〜3による構成の障子紙ついても同様の評価を行い合否を判定した。
なお、破裂強度は、JIS P 8112に準じて測定した。この破裂強度は、400kPaを基準値とし、これ以上を合格とした。この基準値は、障子紙JIS S3102の破裂強さ:78.45kPaの5倍(392kPa)以上から設定した。
接着強度は、障子紙アイロン貼り施工時の条件に準じて、以下の要領で測定した。
[接着強度の測定要領]
(1)サンプル作製
・各例の障子紙を切り取り、縦方向に100mm、横方向に50mmの大きさの試験片を採取する。
・採取した試験片を試験板(縦:横:厚さ=100mm:50mm:9mm、材質:スプルース)に当て、ヒートシール機(線圧:0.16MPa(1.6kgf/cm)、温度:133.8℃、時間:2秒 )にて熱接着(シール幅:10mm×50mm)し、供試サンプルとする。
(2)剥離試験
・(1)で作製した供試サンプルをジグに挟んで、引張り試験機((株)安田精機製作所 LLOYD LRX)にセットし、JIS P 8113の要領にて上下に引張り、紙(試験片)と試験板の剥離時の強度を接着強度とする。
この接着強度は、49N(5kgf)/50mmを基準値とし、これ以上を合格とした。この基準値は、標準的な障子紙(長繊維配合率25%、坪量48g/m)の横(幅)50mmの引張り試験により、紙の破断強度を測定した値から設定した。
以上の実施例及び比較例による障子紙の評価結果及び構成を表1にまとめて示す。
表1に示すように、本発明の実施例1〜3は、いずれも破裂強度及び接着強度の基準値を満足し、施工前後の外観においても、両面が紙のため、風合いを損なわず、施工時に弛みが発生した場合でも、通常の障子紙と同様に霧吹き作業を行なうことにより弛みを無くすことができた。
実施例1〜3の比較では、その接着強度が実施例1で153N(15.56kgf)、実施例2で96N(9.74kgf)、実施例3で189N(19.24kgf)となり、紙坪量による接着強度差がでている。これは、熱接着樹脂が付着した紙の坪量が大きいと、熱接着樹脂がより多く紙の中へ浸透して、試験板(現実には障子の桟)への接着に寄与する樹脂量が減少するためと思われる。
一方、上記特許文献1の障子紙に対応する比較例1は、紙の両面にポリプロピレン(PP)・フィルムを貼り合わせているため、破裂強度は基準値を満足している。しかし、PPフィルムと熱接着樹脂(EVA)の接着強度不足のため、接着強度が基準値を満足していない。また、外面がPPフィルムのため、フィルム自体の光沢により、紙の風合いを損ねる。更に、PPの熱変形温度が、障子の桟への貼り付け施工時のアイロンの加熱温度より低いため、施工時に熱によるシワや弛みが発生し、美観を損ねる。
上記特許文献2の障子紙に対応する比較例2は、特許文献2に具体的な実施例が記載されていないため、明確な評価はできないが、紙とプラスチックの間に接着剤層がない構成からして接着強度不足のため下記の比較例4〜6と同様に、障子紙として不適と考えられる。
特許文献3の請求項1の障子紙に対応する比較例3は、プラスチックフィルムで強化されておらず、紙のみの強度となるので、破裂強度が小さい。また、プラスチックフィルムがないため、通気性の遮断効果もない。
特許文献3の請求項2の障子紙に対応する比較例4〜6については、特許文献3ではプラスチックフィルムの例として、ポリエステル、セロファン、ポリオレフィン系が挙げられているが、これらは熱変形温度が低く、施工時の熱によりシワ、弛みが発生してしまう。また、紙とプラスチックフィルムとの間に接着剤層がないため、接着強度が小さい。更に、表面にプラスチックフィルムを貼った場合には光沢の問題もある。
A 障子紙
A1 紙シート基材
1 プラスチックフィルム(PETフィルム)
2 接着剤層(ポリエチレン)
3a,3b 紙
4 熱接着樹脂層

Claims (7)

  1. プラスチックフィルムの両面に接着剤層を介して紙を貼り合せた紙シート基材の片面に、熱接着樹脂層を設けた熱接着障子紙において、前記プラスチックフィルムの熱変形温度が160℃以上であることを特徴とする熱接着障子紙。
  2. 前記プラスチックフィルムは、ポリエチレンテレフタレートからなる請求項1に記載の熱接着障子紙。
  3. 前記プラスチックフィルムの厚みは、12〜100μmである請求項1又は2に記載の熱接着障子紙。
  4. 前記接着剤層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー又はエチレン共重合体からなる請求項1〜3のいずれかに記載の熱接着障子紙。
  5. 紙の坪量は、2枚の合計で40〜120g/mである請求項1〜4のいずれかに記載の熱接着障子紙。
  6. 前記熱接着樹脂層を設ける紙シート基材の片面側の紙の坪量は、10〜50g/mである請求項1〜4のいずれかに記載の熱接着障子紙。
  7. 前記熱接着樹脂層を設ける紙シート基材の片面側の紙の坪量が、前記紙シート基材の反対側の紙の坪量より小さい請求項1〜6のいずれかに記載の熱接着障子紙。
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