JP2012242514A - 3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高品質な3次元表示装置用パターン位相差フィルムを形成することが可能な配向膜を、容易かつ大量に作製することができる3次元表示用パターン配向膜用原版製造方法を提供する。
【解決手段】金属からなる第1層を形成する第1層形成工程と、上記第1層の表面に微小なライン状凹凸構造を略一定方向に形成する第1凹凸構造形成工程と、前記第1層の表面に平行な帯状にレジストを形成するレジスト形成工程と、前記レジストと露出した前記第1層との表面をドライメッキ処理する無機材料からなる第2層を形成する第2層形成工程と、上記レジストを剥離する剥離工程と、露出した前記第1層を前記ウェットメッキ処理することにより保護層を形成する保護層形成工程と、上記第2層の表面に前記第1凹凸構造形成工程とは異なる方向となる微小なライン状凹凸構造を略一定方向に形成する第2凹凸構造形成工程と、上記保護層を剥離する剥離工程を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、高品質な3次元表示用パターン位相差フィルムを形成することが可能な3次元表示用パターン配向膜を容易かつ大量に作製することができる3次元表示用パターン配向膜用原版に関するものである。
フラットパネルディスプレイとしては、従来、2次元表示のものが主流であったが、近年においては3次元表示可能なフラットパネルディスプレイが注目を集め始めており、一部市販されているものも存在しつつある。そして、今後のフラットパネルディスプレイにおいては3次元表示可能であることが、その性能として当然に求められる傾向にあり、3次元表示可能なフラットパネルディスプレイの検討が幅広い分野において進められている。
フラットパネルディスプレイにおいて3次元表示をするには、通常、視聴者に対して何らかの方式で右目用の映像と、左目用の映像とを別個に表示することが必要とされる。右目用の映像と左目用の映像とを別個に表示する方法としては、例えば、パッシブ方式というものが知られている。このようなパッシブ方式の3次元表示方式について図を参照しながら説明する。図19はパッシブ方式の3次元表示の一例を示す概略図である。図19に示すようにこの方式では、まず、フラットパネルディスプレイを構成する画素を、右目用映像表示画素と左目用映像表示画素の2種類の複数の画素にパターン状に分割し、一方のグループの画素では右目用の映像を表示させ、他方のグループの画素では左目用の映像を表示させる。また、直線偏光板と当該画素の分割パターンに対応したパターン状の位相差層が形成されたパターン位相差フィルムとを用い、右目用の映像と、左目用の映像とを円偏光に変換する。さらに、視聴者には右目用と左目用の円偏光メガネを装着させ、右目用の映像が右目のみに届き、左目用の映像が左目のみに届くようにすることによって3次元表示を可能とするものがパッシブ方式である。
このようなパッシブ方式では、上記パターン位相差フィルムと、対応する円偏光メガネとを用いることにより容易に3次元表示が可能なものにできるという利点がある。
ところで、特許文献1では、パターン位相差フィルムの製造方法として、レーザーによりパターンを形成したロール版を用い、このようなロール版と、配向膜形成用層とを接触させることにより表面にパターン状の微細凹凸を有する賦型されたパターン配向膜を形成する方法が開示されている。また、特許文献1には同一平面に研磨により微細凹凸をパターン状に形成する方法が記載されている。
しかしながら、レーザーによりパターンが形成された原版を用いて製造されたパターン位相差フィルムは、右目用および左目用の位相差層のパターン、すなわち、液晶化合物の配列方向の異なる領域間の端部近傍、すなわち、第1位相差領域および第2位相差領域の境界部分で液晶化合物の配列方向が乱れる配向欠陥が生じやすく、液晶表示装置に用いた場合には、上記端部近傍の液晶に配向欠陥を生じさせるといった問題があった。その結果、端部近傍からの光漏れを生じ、コントラストが低いものとなるといった問題があった。また、レーザーにより微細凹凸を描画する場合、微細凹凸を一本一本描画するため数十nm、数百nmの凹凸を大面積(液晶TVサイズ)に渡って形成するのに相当の時間を要する。また数十nm、数百nmの凹凸のピッチで高精度で制御する装置が必要となるといった問題があった。
また、一般にレーザーでの加工は線幅が数百nmレベルが下限であり数十nmレベルの線幅は困難であり、優れた配向規制力を有するパターン配向膜とすることが難しいといった問題や、レーザー加工装置が高価であるといった問題があった。
また、特許文献1は研磨方法による原版作製の記載があるが特許文献1の方法では同一平面上に研磨によりパターンを形成した場合には、数百μmのパターン領域毎に研磨を実施したり、微細凹凸が形成された領域パターンを組み合わせてロール版を形成する必要があり、プロセスが複雑で相当な時間と高精度の作業が必要であるといった問題があった。
特開2010−152296号公報
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、高品質な3次元表示用パターン位相差フィルムを形成することが可能な3次元表示用パターン配向膜(以下、単に配向膜と称して説明する場合がある。)を容易かつ大量に作製することができる3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法を提供することを主目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は、金属からなる第1層を形成する第1層形成工程と、上記第1層の表面に微小なライン状凹凸構造を略一定方向に形成する第1凹凸構造形成工程と、上記第1凹凸構造形成工程後の上記第1層の表面に平行な帯状にレジストを形成するレジスト形成工程と、上記レジスト形成工程後、上記レジストと露出した上記第1層との表面をドライメッキ処理することにより無機材料からなる第2層を形成する第2層形成工程と、上記レジストを剥離する剥離工程と、上記剥離工程後、露出した上記第1層を上記ウェットメッキ処理することにより保護層を形成する保護層形成工程と、上記第2層の表面に上記第1凹凸構造形成工程とは異なる方向となる微小なライン状凹凸構造を略一定方向に形成する第2凹凸構造形成工程と、上記保護層を剥離する剥離工程と、を有することを特徴とする3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法を提供する。
本発明によれば、保護層形成工程において、第2層が形成されていない領域、すなわち第1層が露出している領域に保護層を形成することにより、第1層の表面に形成された微小なライン状凹凸構造を保護し、第2層に効率的に微小なライン状凹凸構造を形成することができる。そのため、第1層および第2層の表面の微小なライン状凹凸構造を容易かつ高精度に形成することが可能となる。また、保護層をウェットメッキ処理により形成することで、金属からなる第1層表面にのみ保護層を形成することができ、かつ保護層の厚みを容易に調整することができるため、第2層よりも薄い保護層とすることができる。これにより、第2凹凸構造形成工程において第1層の表面の微小なライン状凹凸構造を保護すると共に、第2凹凸構造形成工程において第2層の表面に微小なライン状凹凸構造を形成する際に、保護層が弊害となることを防止できる。このようにして製造される3次元表示用パターン配向膜用原版は、第1層の表面および第2層の表面の高さが異なり、かつ第1層の表面および第2層の表面において微小なライン状凹凸構造の形成方向が異なる。このような3次元表示用パターン配向膜用原版を用いることにより、第1配向領域と第2配向領域との境界が明瞭で、かつ微小なライン状凹凸構造の形成方向の差に相当する分の位相差値を示すパターン位相差フィルムを形成できる高品質な配向膜を得ることができる。
本発明は、金属からなる第1層を形成する第1層形成工程と、上記第1層の表面に微小なライン状凹凸構造を略一定方向に形成する第1凹凸構造形成工程と、上記第1凹凸構造形成工程後の上記第1層の表面に平行な帯状にレジストを形成するレジスト形成工程と、上記レジスト形成工程後、上記レジストと露出した上記第1層との表面をドライメッキ処理することにより無機材料からなる第2層を形成する第2層形成工程と、上記レジストを剥離する剥離工程と、上記剥離工程後、露出した上記第1層を上記ウェットメッキ処理することにより保護層を形成する保護層形成工程と、上記第2層の表面に上記第1凹凸構造形成工程と同一方向となる微小なライン状凹凸構造を略一定方向に形成する第2凹凸構造形成工程と、上記保護層を剥離する剥離工程と、を有することを特徴とする3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法を提供する。
本発明によれば、保護層形成工程において、第2層が形成されていない領域、すなわち第1層が露出している領域に保護層を形成することにより、第1層の表面に形成された微小なライン状凹凸構造を保護し、第2層に効率的に微小なライン状凹凸構造を形成することができる。そのため、第1層および第2層の表面の微小なライン状凹凸構造を容易かつ高精度に形成することが可能となる。また、保護層をウェットメッキ処理により形成することで、金属からなる第1層表面にのみ保護層を形成することができ、かつ保護層の厚みを容易に調整することができるため、第2層よりも薄い保護層とすることができる。これにより、第2凹凸構造形成工程において第1層の表面の微小なライン状凹凸構造を保護すると共に、第2凹凸構造形成工程において第2層の表面に微小なライン状凹凸構造を形成する際に、保護層が弊害となることを防止できる。このようにして製造される3次元表示用パターン配向膜用原版は、微小なライン状凹凸構造が形成される第1層および第2層の厚みが異なる。このような3次元表示用パターン配向膜用原版を用いることにより、第1配向領域と第2配向領域との境界が明瞭で、かつ第1層と第2層の厚みの差に相当する分の位相差値を示すパターン位相差フィルムを形成できる高品質な配向膜を得ることができる。
本発明によれば、上記3次元表示用パターン配向膜用原版がロール状であるロール版であることが好ましい。本発明の3次元表示用パターン配向膜用原版がロール状であること、すなわち、本発明の3次元表示用パターン配向膜用原版がロール版であることにより、3次元表示用パターン配向膜用原版を回転しながら連続的に配向膜形成用層に賦型可能なもの、すなわち、容易かつ大量にパターン配向膜を形成可能なものとすることができ製造効率の高いものとすることができる。
本発明によれば、上記第1凹凸構造形成工程または上記第2凹凸構造形成工程の少なくとも一方がロールプレス加工により実施されることが好ましい。ロールプレス加工を施して微小なライン状凹凸構造を形成することにより、本発明における凹凸構造形成工程を容易に行うことが可能となる。また、ロールプレス加工をすることにより、定位・定圧プレスが可能となり、加工された第1層または/および第2層の厚みを均一化することができ、また断続・連続的な生産が可能となる。
本発明は、高品質な3次元表示装置用パターン位相差フィルムを形成することが可能なパターン配向膜を、容易かつ大量に作製することが可能な3次元表示用パターン配向膜用原版を製造できるという効果を奏する。
本発明の3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の3次元表示用パターン配向膜用原版の一例を示す概略図である。 本発明の3次元表示用パターン配向膜用原版の表面を示す概略平面図である。 図3のA−A線断面図である。 本発明により得られる配向膜を用いたパターン位相差フィルムの一例を示す概略図である。 本発明におけるロールプレス加工の一例を示す概略図である。 本発明における第1層および第2層の表面の微小なライン状凹凸構造が形成されている態様の一例を示す概略斜視図である。 本発明における微小なライン状凹凸構造を説明する説明図である。 本発明における保護層を説明する説明図である。 本発明における微小なライン状凹凸構造を説明する説明図である。 本発明における微小なライン状凹凸構造を説明する説明図である。 本発明における微小なライン状凹凸構造を説明する説明図である。 本発明の原版を用いて製造されるパターン配向膜を使用したパターン位相差フィルムを説明する説明図である。 本発明の3次元表示用パターン配向膜用原版の表面を示す概略平面図である。 図14のB−B線断面図である。 本発明により得られる配向膜を用いたパターン位相差フィルムの他の例を示す概略図である。 本発明における微小なライン状凹凸構造を説明する説明図である。 本発明における微小なライン状凹凸構造を説明する説明図である。 パッシブ方式で3次元映像を表示可能な液晶表示装置の例を示す概略図である。
本発明は、3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法に関するものである。
以下、本発明の3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法について第1態様と第2態様の2態様に分けて説明する。
A.第1態様
本発明の3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法により製造される3次元表示用パターン配向膜用原版において、第1層および第2層の表面の微小なライン状凹凸構造が異なる方向に形成される態様の製造方法である。
本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法は、金属からなる第1層を形成する第1層形成工程と、上記第1層の表面に微小なライン状凹凸構造を略一定方向に形成する第1凹凸構造形成工程と、上記第1凹凸構造形成工程後の上記第1層の表面に平行な帯状にレジストを形成するレジスト形成工程と、上記レジスト形成工程後、上記レジストと露出した上記第1層との表面をドライメッキ処理することにより無機材料からなる第2層を形成する第2層形成工程と、上記レジストと上記レジストの表面に形成された上記第2層とを剥離する剥離工程と、上記剥離工程後、露出した上記第1層を前記ウェットメッキ処理することにより保護層を形成する保護層形成工程と、上記第2層の表面に上記第1凹凸構造形成工程とは異なる方向となる微小なライン状凹凸構造を略一定方向に形成する第2凹凸構造形成工程と、上記保護層を剥離する剥離工程と、を有することを特徴とするものである。
本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法について図を参照して説明する。
図1は、本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法の一例を示す工程図である。図1に例示するように、本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法は、まず金属基板を準備して単層もしくは複数層からなる第1層1を形成する(図1(a))。
次に、上記第1層1の表面全体に切削加工またはロールプレス加工を施して微小なライン状凹凸構造11を略一定方向に形成し、表面に微小なライン状凹凸構造11を有する第1層1を形成する(図1(b))。
その後、微小なライン状凹凸構造11が形成された第1層1の表面にレジスト材を塗工してレジスト膜を形成し、上記レジスト膜をレーザー描画法等により平行な帯状に露光することで、上記第1層1の表面に平行な帯状のレジスト2を形成する(図1(c))。
次いで、上記レジスト2を形成することにより露出する第1層1の表面全体に無機材料からなる第2層3(3b)を形成するためにドライメッキ処理を施す(図1(d))。なおドライメッキ処理を施すことにより、上記レジスト2上に第2層3(3a)が形成されるが、この第2層3aは、次の工程において上記レジスト2を剥離するため、上記レジスト2上の第2層3aも共に剥離される(図1(e))。
このように、上記レジスト2が第1層1より剥離されることで露出した第1層1表面にウェットメッキ処理を施し、第2層3と隣接した保護層4を形成する(図1(f))。
次に、上記第2層3の表面全体に上記第1凹凸構造形成工程において形成された微小なライン状凹凸構造11とは異なる方向となる微小なライン状凹凸構造31を、切削加工またはロールプレス加工を施すことにより形成する(図1(g))。なお、上記保護層4は、第1層1表面の微小なライン状凹凸構造11を保護するためのものであるため、第2層3の表面に微小なライン状凹凸構造31を形成する際、上記保護層4の表面に微小なライン状凹凸構造31が形成されても良い。
最後に、上記保護層4を上記第1層1から剥離して本発明の3次元表示用パターン配向膜用原版100を得るものである(図1(h))。
なお、図1(a)が第1層形成工程、(b)が第1凹凸構造形成工程、(c)がレジスト形成工程、(d)が第2層形成工程、(e)がレジスト剥離工程、(f)が保護層形成工程、(g)が第2凹凸構造形成工程、(h)が保護層剥離工程である。
次に、このような製造方法によって得られる3次元表示用パターン配向膜用原版100について図を参照して説明する。図2は本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法により得られる3次元表示用パターン配向膜用原版(以下、単に本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版と称して説明する場合がある。)の一例を示す概略図である。図3は3次元表示用パターン配向膜用原版100の表面を示す概略平面図であり、図4は図3のA−A線断面図である。
図3、図4に例示するように、本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版100は、表面に微小なライン状凹凸構造11が略一定方向に形成された金属からなる第1層1と、上記第1層1上に平行な帯状に形成され、表面に微小なライン状凹凸構造31が略一定方向に形成された無機材料からなる第2層3と、を有し、上記微小なライン状凹凸構造11、31の形成方向が、上記第1層1および第2層3の表面、すなわち、上記第2層3に隣接する露出した第1層1および第2層3の表面で異なるものである。
なお、図2は、上記3次元表示用パターン配向膜用原版100がロール状であるロール版である場合の一例である。図3が図2に示す3次元表示用パターン配向膜用原版100の表面である場合、上記第1層1および第2層3表面の上記微小なライン状凹凸構造11、31の形成方向が、3次元表示用パターン配向膜用原版(ロール版)100の回転方向に対して135°および45°であり、90°異なるものである。また、図3中の矢印は、微小なライン状凹凸構造11、31の形成方向を示すものである。
次に、本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法により製造された3次元表示用パターン配向膜用原版を用いて製造された配向膜により構成されたパターン位相差フィルムについて図を参照して説明する。図5(a)、(b)は、本態様により製造された配向膜により構成されたパターン位相差フィルムの一例を示す概略図である。図5(a)に例示するようにパターン位相差フィルム300は、透明フィルム基材7と、上記透明フィルム基材7上に形成された配向膜8と、上記配向膜8上に形成された位相差層9とを有するものである。ここで、パターン位相差フィルム300においては、上記配向膜8が、棒状化合物10を一方向に配列させることができるように微小なライン状凹凸構造が形成されている第1配向領域8Aと、上記棒状化合物10を上記第1配向領域8Aにおける配列方向と直交する方向に配列させることができるように微小なライン状凹凸構造が形成されている第2配向領域8Bとが表面にパターン状に配置されており、第1配向領域8Aおよび第2配向領域8Bは、本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版の第1層および第2層に対応して形成されるものである。図5(b)に例示するようにパターン位相差フィルム300(300A)においては、位相差層9において遅相軸方向が互いに直交する第1位相差領域9Aおよび第2位相差領域9Bが、上記第1配向領域8Aおよび第2配向領域8Bが形成されたパターンと同一パターンで形成されることになる。
本態様によれば、保護層形成工程において、第2層が形成されていない領域、すなわち第1層が露出している領域に保護層を形成することにより、第2凹凸構造形成工程において第2層の表面に、第1層の表面に形成された微小なライン状凹凸構造とは形成方向が異なる微小なライン状凹凸構造を形成する際、第1層の表面に形成された微小なライン状凹凸構造を傷付けずに、保護することができる。そのため、第2層の表面に効率的に微小なライン状凹凸構造を形成することが可能となる。このように、第1層の表面に形成された微小なライン状凹凸構造に影響を与えることなく、第2層の表面に微小なライン状凹凸構造を容易かつ高精度に形成することが可能となる。
また、レジスト剥離工程後、露出した第1層にウェットメッキ処理を施して保護層を形成することで、金属からなる第1層表面にのみ選択的に保護層を形成することができ、かつ保護層の厚みを容易に調整することが可能となる。第2凹凸構造形成工程においては、第2層と隣接して形成される保護層の厚みを第2層よりも薄くすることにより、第2層表面への微小なライン状凹凸構造の形成をより容易に行うことができる。
また、第1層の表面および第2層の表面に形成される微小なライン状凹凸構造の形成方向が異なることにより、第1配向領域の表面および第2配向領域の表面に形成方向が異なる微小なライン状凹凸構造が形成された配向膜を得ることができる。配向膜は、パターン位相差フィルムを構成するものであり、位相差層に含まれる棒状化合物を配列させる機能を有するものである。つまり、本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版を用いて配向膜を製造すると、第1配向領域および第2配向領域における形成方向が異なる微小なライン状凹凸構造により、位相差層に含まれる棒状化合物への配向規制力を付与することができる。従って、本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版の第1層の表面および第2層の表面に形成される微小なライン状凹凸構造の形成方向が異なることにより、第1配向領域および第2配向領域の微小なライン状凹凸構造の形成方向が異なる配向膜を製造することができ、上記配向膜を用いることで、上記微小なライン状凹凸構造の形成方向の差に相当する分だけ異なった位相差値を示すパターン位相差フィルムを得ることができる。
この時、第1配向領域と第2配向領域とで異なる配向となるように棒状化合物が配列さるため、第1配向領域と第2配向領域の境界において配向が乱れるといった問題があった。しかしながら、本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版は、第1層の表面および第2層の表面の高さが異なる、すなわち、第1層および第2層の厚みが異なることにより、第1配向領域と第2配向領域との高さが異なった配向膜を得ることができる。そのため、第1配向領域と第2配向領域との境界を明瞭にし、隣接する第1配向領域と第2配向領域とのパターンの境界近傍に生じ易い液晶の配向欠陥を抑制することができる。これにより、境界近傍からの光漏れを抑制でき、その結果、ディスプレイに使用した際のコントラストの低下を抑制することができる高品質な配向膜とすることができる。
本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法は、第1層形成工程、第1凹凸構造形成工程、レジスト形成工程、第2層形成工程、レジスト剥離工程、保護層形成工程、第2凹凸構造形成工程および保護層剥離工程を有するものである。
以下、本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法の各工程について詳細に説明する。
1.第1層形成工程
本態様における第1層形成工程は、図1の(a)に例示するように金属からなる第1層1を形成する工程である。
なお、上記第1層は単層からなるものであってもよく、または下地層の表面に第1層が形成されたものであってもよい。本態様においては、中でも下地層上に形成されたものであることが好ましい。3次元表示用パターン配向膜用原版をロール版とすることが容易となり、第1層表面に平滑性を付与することが容易となるからである。
以下、下地層準備工程と第1層形成工程とに分けて説明する。
(1)下地層準備工程
本態様における下地層準備工程は、第1層の下地となる金属からなる層を準備する工程である。
なお、本態様における3次元表示用パターン配向膜用原版としては、下地層を有するものであってもよく、または有さないものであってもよいが、下地層を有するものであることがより好ましい。
本態様に用いられる下地層の材料としては、金属からなり、下地層上に形成される第1層と密着性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、クロム、ニッケル、ステンレス(SUS)、銅、アルミニウム等であることが好ましく、中でも、アルミニウムであることが好ましい。
このような下地層の形状としては、例えば、板状、ロール状等が挙げられ、なかでも、ロール状であることが好ましい。本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版がロール状であること、すなわち、本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版をロール版とすることができることにより、3次元表示用パターン配向膜用原版を回転しながら連続的に配向膜形成用層に賦型可能なもの、すなわち、容易かつ大量にパターン配向膜を形成可能なものとすることができ製造効率の高いものとすることができるからである。
また、ロール状としては、安定的にパターン配向膜を形成できるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、ロール形状、スリーブ形状等とすることができ、なかでも、スリーブ形状であることが好ましい。
スリーブ形状であることにより、本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版を用いて、パターン配向膜を製造効率高く製造することが可能となるからである。また、スリーブ形状の3次元表示用パターン配向膜用原版は、ロール形状のものに比べて軽量であり、取扱いが容易となるといった利点を有するからである。
ここで、ロール形状としては、具体的には、軸付ロール、軸なしパイプ等を挙げることができる。ここで、軸なしパイプとは、その厚みが3000μm以上である円筒形状のものを指すものである。
また、スリーブ形状とはシームレスの帯状体を表し、空気圧力や応力により容易に変形させることができるものであり、具体的にはその厚みが1000μm以下の円筒形状を指すものである。
本態様においては、ロール形状またはスリーブ形状等のロール状の場合には、継ぎ目のないシームレスであることが好ましいが、板状の下地層を円筒状にした継ぎ目を有するものも用いることができる。
(2)第1層形成工程
本態様における第1層形成工程は、下地層を有する場合には、上記下地層上に金属からなる第1層を形成する工程であり、一方、下地層を有さない場合には、金属からなる第1層を準備する工程である。
以下、下地層を有する場合と有さない場合とに分けて説明する。
(a)下地層を有する場合
本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版が下地層を有する場合、本態様に用いられる第1層は、上述した下地層の表面に形成される。
第1層の形成方法としては、上述した下地層の表面に金属からなる第1層を形成できる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、ウェットメッキ処理、ドライメッキ処理等を挙げることができる。
ウェットメッキ処理としては、電気メッキ法、無電解メッキ法、溶融亜鉛メッキ法、溶融アルミニウムメッキ法、不溶解性アノード法等が挙げられる。
ドライメッキ処理としては、真空蒸着メッキ法、抵抗加熱法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法(PVD法)、常圧熱CVD法、減圧熱CVD法、プラズマCVD法等の化学蒸着法(CVD法)等が挙げられる。
このように、下地層の表面に形成される第1層の材料としては、金属からなり、上述した下地層と所望の密着性を有し、さらに後述する保護層形成工程において、第1層表面をウェットメッキ処理して保護層を形成することが可能なものであれば特に限定されるものではない。また、後述する第1凹凸構造形成工程において、第1層の表面に微小なライン状凹凸構造を形成できるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ニッケル、クロム、銅、ステンレス(SUS)、アルミニウム等であることが好ましく、なかでも、ニッケル、クロムであることが好ましく、特にクロムであることが好ましい。クロムは比較的硬いため、微小なライン状凹凸構造を容易に形成することができるからである。
なお、下地層の材料および第1層の材料は、同一材料であってもよく、異なる材料であってもよい。下地層および第1層の材料が異なる場合、それぞれの材料の組合せとしては(下地層/第1層)、アルミニウム/クロム、アルミニウム/銅、アルミニウム/ニッケル、アルミニウム/SUS、SUS/アルミニウム、SUS/クロム、SUS/銅、SUS/ニッケル、鉄/アルミニウム、鉄/クロム、鉄/銅、鉄/ニッケル、であることが好ましい。所望の密着性を得られるからである。
また、上記第1層の表面は、平滑性に優れていることが好ましい。上記第1層の表面に微小なライン状凹凸構造を形成する際、上記第1層が表面平滑性に劣ると、後述する第1凹凸構造形成工程において第1層の表面に微小なライン状凹凸構造を精度良く形成することが困難となる場合があるからである。
第1層の表面に優れた平滑性を付与する方法としては、所望の平滑性を得られるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ペーパー研磨、サンドブラスト、ラビング、砥石研磨、バフ研磨、バーチカル研磨、電解研磨、ラップ研磨、スーパーミラー研磨等の切削法を挙げることができる。
上記第1層の表面粗さとしては、後述する第1凹凸構造形成工程において第1層の表面に微小なライン状凹凸構造を精度良く形成することができる程度であれば特に限定されるものではなく、例えば、Ra=10000nm以下であることが好ましく、中でもRa=5000nm以下であることが好ましく、特にRa=1000nm以下であることが好ましい。
なお、ここでの「表面粗さ(Ra)」は、「算術平均表面粗さ」であり、JIS−B0601に準拠して測定される。
このような第1層の厚みとしては、後述する第1凹凸構造形成工程においてライン状凹凸構造を形成できる程度であれば特に限定されるものではなく、例えば、1nm〜5000μmの範囲内であることが好ましく、中でも10nm〜1000μmの範囲内であることが好ましく、特に50nm〜5μmの範囲内であることが好ましい。
なお、上記第1層の厚みは、第1層の厚みと下地層の厚みとを合計した総厚みを指すものとする。
(b)下地層を有さない場合
本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版が下地層を有さない場合、本態様における第1層形成工程は、金属からなる第1層を準備する工程である。
本態様に用いられる第1層の材料としては、表面に微小なライン状凹凸構造を形成でき、後述する保護層形成工程において、ウェットメッキ処理することが可能な金属からなるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ニッケル、クロム、銅、ステンレス(SUS)、アルミニウム等であることが好ましく、なかでも、ニッケル、クロムであることが好ましく、特にクロムであることが好ましい。クロムは比較的硬いため、微小なライン状凹凸構造を容易に形成することができるからである。
また、上記第1層の表面は、平滑性に優れていることが好ましい。上記第1層の表面に微小なライン状凹凸構造を形成する際、上記第1層が表面平滑性に劣ると、後述する第1凹凸構造形成工程において第1層の表面に微小なライン状凹凸構造を精度良く形成することが困難となる場合があるからである。表面平滑性については、「(a)下地層を有する場合」の項に記載した内容と同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
このような第1層の形状としては、表面に微小なライン状凹凸構造を略一定方向に形成することができれば特に限定されるものではなく、例えば、板状、ロール状等が挙げられ、なかでも、ロール状であることが好ましい。第1層の形状については、「(1)下地層準備工程」の項に記載した内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
このような第1層の厚みとしては、後述する第1凹凸構造形成工程においてライン状凹凸構造を形成でき、自己支持性を有するものであれば特に限定されるものではない。
2.第1凹凸構造形成工程
本態様における第1凹凸構造形成工程は、図1(b)に示すように、金属からなる第1層1を形成し、上記第1層1の表面に微小なライン状凹凸構造11を略一定方向に形成する工程である。
本態様の微小なライン状凹凸構造の形成方法としては、所望のサイズかつ形成方向のライン状凹凸構造を形成できる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、第1層の表面に対して研磨する切削加工や、凹凸パターンのある金型を押し当てて成型するロールプレス加工を挙げることができる。
以下、切削加工およびロールプレス加工について説明する。
(1)切削加工
本工程に用いられる切削加工とは、表面に研磨を施して一定方向に微小なライン状凹凸構造を成型する切削式加工である。本工程においては一般的な方法を用いることができ、例えば、砥石研磨、ペーパー研磨、テープ研磨、サンドブラスト法、ショットブラスト法、グリットブラスト法、ガラスビーズブラスト法等のブラスト法、ナイロン、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂などの合成繊維からなる合成樹脂毛、不織布、動物毛、スチールワイヤ等のブラシ材を用いるブラシグレイニング法、金属ワイヤーで引っかくワイヤーグレイニング法、研磨剤を含有するスラリー液を供給しながらブラシ研磨する方法(ブラシグレイニング法)、ボールグレイン法、液体ホーニング法等のバフ研磨法、ショットピーニング法等を挙げることができる。本工程においては、なかでもテープ研磨法、ペーパー研磨であることが好ましい。微小なライン状凹凸の方向を制御しやすいからである。
(2)ロールプレス加工
本工程に用いられるロールプレス加工とは、凹凸パターンのある回転ローラーを押し当てることにより、表面に所望の凹凸構造を成型する転造式加工である。また、ロールプレス加工は、被成型体がロールプレス機中の回転ローラーを複数回通過することにより、表面に凹凸構造を成型するものである。
図6は、ロールプレス加工の一例を示す概略図である。図6に示すように、ロールプレス機200は、被成型体6と接するように凹凸パターンを有する回転ローラー5が設けられている。被成型体6と接するように設けられた回転ローラー5が回転することによって、上記回転ローラー5に設置された凹凸パターンが被成型体6に押し付けられる。
このように、ロールプレス加工は、被成型体と接するように設けられた回転ローラーによって加圧されることによって、回転ローラーに設置された凹凸パターンが金型となり、切削ではなく、押し付けによる変形によって加工することができる。
このようなロールプレス加工をすることにより、定位・定圧プレスが可能となり、成型体の厚みを均一化することができ、また断続・連続的な生産が可能となる。
上記ロールプレス加工に用いられる回転ローラー表面の凹凸パターンの断面形状、高さ、幅、周期については、後述する微小なライン状凹凸構造の高さ、幅、周期と同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
(3)微小なライン状凹凸構造
本態様における微小なライン状凹凸構造としては、本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版を用いて高品質なパターン位相差フィルムを形成することが可能なパターン配向膜を製造できるものであれば特に限定されるものではない。
このような微小なライン状凹凸構造は、ランダムに形成されていてもよく、ストライプ状に形成されていてもよい。また、両者が組み合わされていてもよい。図7(a)では、微小なライン状凹凸構造が略一定方向にランダムに形成された態様を示し、図7(b)では、微小なライン状凹凸構造が略一定方向にストライプ状に形成された態様を示し、さらに、図7(c)では、両者が組み合わされた態様を示している。
ここで、微小なライン状凹凸構造が略一定方向にランダムに形成された態様とは、例えば、表面に研磨処理やラビング処理がなされた場合等に形成されるような微小な傷のようなライン状凹凸構造が、一定方向もしくは略一定方向に形成された態様を意味するものである。一方、ライン状凹凸構造がストライプ状に形成された態様とは、壁状に形成された凸部が一定の間隔でストライプ状に形成された態様を意味するものである。ライン状凹凸構造の大きさは前述のランダムの態様よりも比較的大きく、例えば表面にラビング処理がなされた場合に形成されるような微小な傷のような凹凸構造はこれに含まれないものである。
本態様においては、第1層の表面に形成される微小なライン状凹凸構造と、後述する第2層の表面に形成される微小なライン状凹凸構造とが同一態様であってもよく、あるいは異なる態様であってもよい。
本態様における微小なライン状凹凸構造がストライプ状である場合、その断面形状としては、凹凸構造を有し、本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版を用いて配向膜を形成した際に、上記配向膜に形成された凹凸構造によって上記液晶化合物を所定の方向に配列できるものであれば特に限定されるものではなく、略矩形、略三角形、略台形等とすることができる。また、一定の形状でなくてもよい。
本態様において、図8に示すように、微小なライン状凹凸構造11の高さl、幅m、および周期nとしては、本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版を用いて配向膜を形成した際に、上記配向膜に形成された凹凸構造によって液晶化合物を配列させることができる範囲内であれば特に限定されるものではない。本態様において、ストライプ状のライン状凹凸構造が形成される場合、微小なライン状凹凸構造11の高さlは、1nm〜500nmの範囲内であることが好ましく、なかでも、1nm〜100nmの範囲内であることがより好ましく、特に、1nm〜50μmの範囲内であることが好ましい。
また、ストライプ状のライン状凹凸構造が形成される場合、微小なライン状凹凸構造11の幅mは、1nm〜1000nmの範囲内であることが好ましく、なかでも、1nm〜500nmの範囲内であることがより好ましく、特に、1nm〜100nmの範囲内であることがさらに好ましい。
さらに、ストライプ状のライン状凹凸構造が形成される場合、微小なライン状凹凸構造11の周期nは、必ずしも一定ではなくても良いが、概ね1nm〜1000nmの範囲内であることが好ましく、なかでも1nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。
ストライプ状のライン状凹凸構造が形成される場合、微小なライン状凹凸構造が上述のサイズであることにより、安定的に液晶化合物を配列させることができるからである。
なお、図8は、微小なライン状凹凸構造11の断面形状が矩形状である場合を示す説明図である。
3.レジスト形成工程
本態様におけるレジスト形成工程は、図1(c)に示すように上記第1凹凸構造形成工程後の第1層1の表面に、平行な帯状にレジスト2を形成する工程である。
まず、本工程に用いられるレジスト材料としては、後述する第2層を形成した後、剥離することが可能であれば特に限定されるものではなく、ポジ型レジスト材料(光照射部分が溶解するもの)およびネガ型レジスト材料(光照射部分が固まるもの)のいずれも用いることができる。ポジ型レジスト材料としては、例えばノボラック樹脂をベース樹脂とした化学増幅型レジスト等が挙げられる。また、ネガ型レジスト材料としては、例えば架橋型樹脂をベースとした化学増幅型レジスト、具体的にはポリビニルフェノールに架橋剤を加え、さらに酸発生剤を加えた化学増幅型レジスト等が挙げられる。
このようなレジスト材料を塗工してレジスト膜を形成する方法としては、一般的な塗工方法を用いることができ、例えばスピンコート法、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スプレーコート法等を使用することができる。
その後、上記レジスト膜を平行な帯状に露光する方法としては、通常のフォトマスク描画に用いられる電子線描画法、もしくはレーザー描画法等を用いることができる。また、マスクを介して紫外線照射を行う方法を用いることもできる。
本工程においては、なかでも、レーザー描画法であることが好ましい。上記金属基材の形状がロール状である場合であっても、精度良くパターン状に露光することができるからである。
また、露光後のレジスト膜の現像方法としては、一般的な現像方法を用いることができる。
本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版においては、レジストが形成される形状によって、図1(h)に示す本態様により製造される3次元表示用パターン配向膜用原版100の第1層1に形成される微小なライン状の凹凸構造11の幅W1’および第2層3に形成される微小なライン状の凹凸構造31の幅W2’が画定される。
本工程において形成されるレジストの形成方向、すなわち、平行な帯状の方向としては、図2に示すように、上記3次元表示用パターン配向膜用原版100がロール版である場合には、第1層1および第2層3がロールの回転方向に沿った方向であることが好ましい。
また、図1(c)に示すようにレジスト2の幅W1および隣接する各レジスト2の間隙の幅W2としては、それぞれ異なっていてもよく、あるいは同一であってもよい。しかしながら、本態様においては、レジスト2の幅W1および隣接する各レジスト2の間隙の幅W2は同一であることが好ましい。
通常、3次元表示可能な3D液晶表示装置等では、右目用の画素部と左目用の画素部が同一の幅で形成されていることから、本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版の第1層に形成される微小なライン状の凹凸構造の幅(W1’)および第2層に形成される微小なライン状の凹凸構造の幅(W2’)(すなわち、図1(c)においては、レジスト2の幅W1と隣接する各レジスト2の間隙の幅W2)を同一にすることにより、本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版を用いてパターン配向膜を製造した際、第1層および第2層の微小なライン状の凹凸構造に対応して形成される上記パターン配向膜の第1配向領域および第2配向領域の幅を同一にすることができるからである。その結果、本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版により形成されるパターン配向膜を3次元表示可能な液晶表示装置に用いる場合に、上記第1配向領域および上記第2配向領域が形成されたパターンと、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタにおいて画素部が形成されているパターンとを対応関係にすることが容易になり、本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版により形成されるパターン配向膜を用いて容易に3D液晶表示装置を製造することができるようになるからである。
また、発光型表示装置に用いられる画素部も同一の幅で形成されていることから、上記第1配向領域および上記第2配向領域の幅を同一幅とすることにより、本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版により形成されるパターン配向膜を3次元表示可能な3D発光型表示装置に用いる場合に、上記第1配向領域および上記第2配向領域が形成されたパターンと、発光型表示装置に用いられる画素部が形成されているパターンとを対応関係にすることが容易になり、その結果、本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版により形成されるパターン配向膜を用いて容易に3D発光型表示装置を製造することができるようになるからである。
図1(c)に示すレジスト2の幅W1および隣接する各レジスト2の間隙の幅W2の具体的な幅(図1(h)においては、本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版100の第1層1の幅W1’および第2層3の幅W2’)としては、本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版を用いて形成されるパターン配向膜の用途に応じて適宜決定される。例えば、3次元表示可能な液晶表示装置を製造するために使用する場合、レジスト2の幅W1および隣接する各レジスト2の間隙の幅W2の幅は3次元表示可能な液晶表示装置の右目用、左目用の画素部が形成されている幅に対応するように適宜決定されることになる。このようにレジスト2の幅W1および隣接する各レジスト2の間隙の幅W2は特に限定されるものではないが、通常、50μm〜1000μmの範囲内であることが好ましく、100μm〜600μmの範囲内であることがより好ましい。
4.第2層形成工程
本態様における第2層形成工程は、図1(d)に示すように上記レジスト2を形成後、ドライメッキ処理により無機材料からなる第2層3を形成する工程である。
本態様においては、絶縁性を有し、無機材料からなる第2層を所望の厚みに精度良く形成するためにドライメッキ処理を施す。
ドライメッキ処理としては、真空蒸着メッキ法、抵抗加熱法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法(PVD法)、常圧熱CVD法、減圧熱CVD法、プラズマCVD法等の化学蒸着法(CVD法)等が挙げられる。第2層を構成する材料がDLC(ダイアモンドライクカーボン)である場合には、CVD法を用いることが好ましい。このような方法であることにより、厚みをより精度良く形成することができるからである。
このような第2層を構成する無機材料としては、絶縁性を有し、上記第1層上に安定的に積層できるものであることが好ましい。第2層が絶縁性を有することにより、後述する保護層形成工程で、レジストが剥離され、第1層が露出した領域をウェットメッキ処理した際に、保護層を第2層以外の領域、すなわち、第1層が露出した領域に選択的に形成することができる。これにより、後述する第2凹凸構造形成工程において、第1層に形成された微小なライン状凹凸構造を保護することが可能となるからである。
上記第2層の具体的な材料としては、酸化チタン(TiO、Ti)、酸化タンタル(Ta)、酸化ケイ素(SiO、SiO)、酸化錫(SnO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化クロム(Cr)、チタン酸バリウム(BaTiO)、酸化インジウム(In)、酸化亜鉛(ZnO、ZnO)のような金属酸化物、TiC、SiC、BC、WCのような炭化物、TiN、SiN、CrN、BN、AIN、CN、ZrNのような窒化物、フッ化バリウム(BaF)、フッ化マグネシウム(MgF)、酸化マグネシウム(MgO)、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、グラッシーカーボン、セラミック、窒化珪素、窒化炭素等を挙げることができ、なかでも、DLC、TiC、SiC、BC、WCのような炭化物、TiN、SiN、CrN、BN、AIN、CN、ZrNのような窒化物等を挙げることができ、中でも、DLC、TiN等であることが好ましく、特に、DLCであることが好ましい。
第1層上に容易に形成可能だからであり、微小なライン状凹凸構造の形成が容易だからである。
また、上記第2層の表面は、平滑性に優れていることが好ましい。上記第2層の表面に微小なライン状凹凸構造を形成する際、上記第2層が表面平滑性に劣ると、後述する第2凹凸構造形成工程において第2層の表面に微小なライン状凹凸構造を精度良く形成することが困難となる場合があるからである。
第2層の表面に優れた平滑性を付与する方法としては、所望の平滑性を得られるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ペーパー研磨、サンドブラスト、ラビング処理、砥石研磨、バフ研磨、バーチカル研磨、電解研磨、ラップ研磨、スーパーミラー研磨等の切削法を挙げることができる。
上記第2層の表面粗さとしては、後述する第2凹凸構造形成工程において第2層の表面に微小なライン状凹凸構造を精度良く形成することができる程度であれば特に限定されるものではなく、例えば、Ra=10000nm以下であることが好ましく、中でもRa=5000nm以下であることが好ましく、特にRa=1000nm以下であることが好ましい。
なお、ここでの「表面粗さ(Ra)」は、「算術平均表面粗さ」であり、JIS−B0601に準拠して測定される。
本工程における第2層の厚み、すなわち、第1層および第2層の段差としては、10nm〜5μmの範囲内であることが好ましく、なかでも、50nm〜1μmの範囲内であることが好ましい。上記段差が上述の範囲内であることにより、本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版を用いて配向膜を形成した際、上記第1層および第2層に対応して配向膜に形成される第1配向領域および第2配向領域の端部近傍での液晶化合物の配向の乱れを効果的に抑制できるからである。
なお、本態様において形成される第2層の厚みは、本態様により製造される3次元表示用パターン配向膜用原版において、表面に微小なライン状凹凸構造が形成された第2層の厚みを考慮したものである。
なお、表面に微小なライン状凹凸構造が形成された第2層の厚みとは、図4中のD1で示す距離を意味するものとする。また、D1については、第1層表面から第2層表面に形成された微小なライン状凹凸構造の凸部分までの距離と第1層表面から第2層表面に形成された微小なライン状凹凸構造の凹部分までの距離との平均値とする。また、第1層の表面(第2層の厚みの測定の基準点)に形成された微小なライン状凹凸構造の凸部分と凹部分との平均値を算出することにより求めるものとする。
また、図4中の符号については、図1のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
5.レジスト剥離工程
本態様におけるレジスト剥離工程は、図1(e)に示すように上記第2層3a、3bを形成した後、レジスト2を第2層3aと共に剥離する工程である。
上記レジスト剥離工程におけるレジストの剥離方法としては、一般的なレジストの剥離方法を用いることができる。具体的には、酸素プラズマ処理による灰化や、有機溶剤による洗浄によって行う方法を挙げることができる。中でも、本態様においては、有機溶剤等の剥離剤を塗布することにより、レジスト2を第2層3aと共に剥離することが好ましい。有機溶剤を用いた剥離方法としては、例えば、メチルエチルケトン(MEK)、イソプロピルアルコール(IPA)、メタノール等の混合溶剤を用いて上記レジストを溶解・剥離する方法を挙げることができる。
6.保護層形成工程
本態様における保護層形成工程は、図1(f)に示すように上記レジスト2を上記第2層3aと共に剥離した後、露出した上記第1層1をウェットメッキ処理することにより保護層4を形成する工程である。
本態様によれば、保護層形成工程において、第2層が形成されていない領域、すなわち第1層が露出している領域に保護層を形成することにより、第2凹凸構造形成工程において第2層の表面に第1層の表面に形成された微小なライン状凹凸構造とは形成方向が異なる微小なライン状凹凸構造を形成する際、第1層の表面に形成された微小なライン状凹凸構造を傷付けることを防止し、保護することができる。そのため、第2層の表面に効率的に微小なライン状凹凸構造を形成することが可能となる。このように、第1層の表面に形成された微小なライン状凹凸構造に影響を与えることなく、第2層の表面に微小なライン状凹凸構造を容易かつ高精度に形成することが可能となる。
また、レジスト剥離工程後、露出した第1層にウェットメッキ処理を施して保護層を形成することで、金属からなる第1層表面にのみ選択的に保護層を形成することができ、かつ保護層の厚みを容易に調整することが可能となる。第2凹凸構造形成工程においては、第2層と隣接して形成される保護層の厚みを第2層よりも薄くすることにより、第2層表面への微小なライン状凹凸構造の形成をより容易に行うことができる。
このような保護層の形成方法としては、ウェットメッキ法であれば特に限定されるものではない。ウェットメッキ処理としては、電気メッキ法、無電解メッキ法、溶融亜鉛メッキ法、溶融アルミニウムメッキ法、不溶解性アノード法等が挙げられる。
本工程においては、中でも、電気メッキ法が好ましい。上述した第2層が絶縁性を有するため、上記第2層が形成されていない領域、すなわち、第1層が露出した領域にのみ、選択的に保護層を形成することができるからである。
上記保護層の厚みとしては、上記第1層に形成された微小なストライプ状凹凸構造を保護し、かつ後述する第2凹凸構造形成工程において上記第2層に微小なストライプ状凹凸構造を形成する際に、保護層が弊害とならない程度の厚みであり、かつ保護層として所望の効果を得られる厚みであれば特に限定されるものではない。本態様においては、中でも、隣接する第2層の厚みよりも上記保護層の厚みが薄いことがより好ましい。例えば、図9に示すように、第2層3の厚みをS1、保護層4の厚みをS2とした場合、それぞれの厚みがS1>S2>0となることが好ましい。
このような上記保護層の材料としては、ウェットメッキ処理することが可能であり、後述する第2凹凸構造形成工程後、剥離することができるものであれば特に限定されるものではない。具体的には、ニッケル、銅、アルミニウム、クロム、ステンレス(SUS)などを挙げることができる。
なお、保護層の材料は、第1層の材料と異なるものであることが好ましい。保護層および第1層の材料が異なり、かつ第1層が後述する保護層剥離工程において用いられるエッチング液等に対して耐性を有することにより、第1層の表面に形成された微小なライン状凹凸構造に変化を与えることなく、上記第1層上に形成された上記保護層のみを選択的に剥離することができるからである。
保護層の材料および第1層の材料がそれぞれ異なる場合、保護層の材料と第1層の材料との組合せ(保護層/第1層)としては、銅/SUS、ニッケル/SUS、クロム/SUS、銅/アルミニウム、ニッケル/アルミニウム、クロム/アルミニウム、銅/クロム、ニッケル/クロム、ニッケル/銅、クロム/銅、銅/ニッケル、クロム/ニッケルを挙げることができる。本態様においては、中でも、ニッケル/銅、クロム/銅、クロム/ニッケルであることが好ましく、特に、クロム/ニッケルであることが好ましい。
7.第2凹凸構造形成工程
本態様における第2凹凸構造形成工程は、図1(g)に示すように第1層1上に形成された第2層3および保護層4の表面に微小なライン状凹凸構造31を形成する工程である。
本態様の微小なライン状凹凸構造の形成方法としては、所望のサイズかつ形成方向のライン状凹凸構造を形成できる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、第1層の表面に対して研磨する切削加工や、凹凸パターンのある金型を押し当てて成型するロールプレス加工を挙げることができる。
なお、第2凹凸構造形成工程における微小なライン状凹凸構造の形成方法については、「2.第1凹凸構造形成工程」の項に記載したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
ここで、本態様における微小なライン状凹凸形状の形成方向としては、本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版における第1層の表面および第2層の表面で異なるものであれば特に限定されるものではない。
本態様においては、中でも、図5に示すように上記3次元表示用パターン配向膜用原版を用いて製造される配向膜8の第1配向領域8Aおよび第2配向領域8Bが、上記微小なライン状凹凸構造の形成方向に従って位相差層9に含まれる棒状化合物10を配列させることができるものが好ましい。上記配向膜を用いて3次元表示可能なパターン位相差フィルムを製造できるからである。なお、図5は第1配向領域8Aおよび第2配向領域8Bの微小なライン状凹凸構造の形成方向の差が90°である場合を示すものである。このように、上記パターン位相差フィルムを製造した際、上記パターン位相差フィルムが、本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版における第1層および第2層の表面に形成される微小なライン状凹凸形状の形成方向の差に相当する分だけ異なった位相差値を示すことが好ましい。
具体的には、上述した第1凹凸構造形成工程で形成された第1層表面の微小なライン状凹凸構造に対して、第2層表面に形成される微小なライン状凹凸構造が90°異なる場合と、45°異なる場合と、を挙げることができる。
以下、それぞれの場合に分けて説明する。
(1)90°異なる場合
本態様の微小なライン状凹凸構造は、上記第1層および第2層の表面で90°異なるものである。
このような本態様の微小なライン状凹凸構造としては、上記第1層および上記第2層の表面で90°異なるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、3次元表示用パターン配向膜用原版がロール版である場合には、ロールの回転方向に対して上記第1層および上記第2層の微小なライン状凹凸構造の形成方向(第1層/第2層)が、45°/135°、0°/90°であることが好ましい。
このように互いに直交する方向の場合、本態様の微小なライン状凹凸構造を有する3次元表示用パターン配向膜用原版を用いて第1配向領域および第2配向領域が形成された配向膜を形成し、さらに第1配向領域および第2配向領域上に形成される第1位相差領域および第2位相差領域の面内レターデーションをλ/4とすることにより、これらの位相差領域を透過することで直線偏光がそれぞれ右円偏光、左円偏光になるため、容易に3次元表示が可能な表示装置を製造するために好適に用いられるものにできる。
図3は、第1層の表面に形成された微小なライン状凹凸構造11および第2層の表面に形成された微小なライン状凹凸構造31の方向が45°および135°であり、図10は0°および90°の場合のロール版表面を示すものである。
なお、図10中の符号については、図3のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
ここで、面内レターデーション(Re)値とは、屈折率異方体の面内方向における複屈折性の程度を示す指標であり、面内方向において屈折率が最も大きい遅相軸方向の屈折率をNx、遅相軸方向に直交する進相軸方向の屈折率をNy、屈折率異方体の面内方向に垂直な方向の厚みをdとした場合に、
Re[nm]=(Nx−Ny)×d[nm]
で表わされる値である。面内レターデーション値(Re値)は、例えば、王子計測機器株式会社製 KOBRA−WRを用い、平行ニコル回転法により測定することができるし、微小領域の面内レターデーション値はAXOMETRICS社(米国)製のAxoScanでミューラーマトリクスを使って測定することも出来る。また、本願明細書においては特に別段の記載をしない限り、Re値は波長589nmにおける値を意味するものとする。
第1態様における第2層表面に形成される微小なライン状凹凸構造の断面形状および高さ、幅、周期、形成方法等の詳しい内容については、「2.第1凹凸構造形成工程」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
(2)45°異なる場合
本態様の微小なライン状凹凸構造は、上記第1層および第2層の表面で45°異なるものである。
このような本態様の微小なライン状凹凸構造としては、上記第1層および第2層の表面で45°異なるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、3次元表示用パターン配向膜用原版がロール版である場合には、ロールの回転方向に対して第1層および第2層の微小なライン状凹凸構造の形成方向(第1層/第2層)が、0°/45°、180°/135°であることが好ましい。
このように上記微小なライン状凹凸構造の形成方向が45°異なる方向の場合、本態様の微小なライン状凹凸構造を有する3次元表示用パターン配向膜用原版を用いて第1配向領域および第2配向領域が形成された配向膜を形成した場合には、上記第1位相差領域および第2位相差領域の面内レターデーション値をλ/2分に相当するものとし、さらに、λ/4板と組み合わせて用いることにより、容易に3D表示装置を製造するために好適に用いられるものにできるからである。
図11は、第1層の表面に形成された微小なライン状凹凸構造11および第2層の表面に形成された微小なライン状凹凸構造31の方向が0°/45°、図12は180°/135°の場合のロール版表面を示すものである。
なお、図11、図12中の符号については、図3のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。また、図中の矢印は、微小なライン状凹凸構造の形成方向を示すものである。
ここで、このような位相差領域を有するパターン位相差フィルムと、λ/4板と組み合わせることにより、容易に3D表示装置を製造することができる点について、より詳細に説明する。図13は、本発明の製造方法により製造される原版を用いて形成されたパターン位相差フィルムと、λ/4板とを組み合わせて用い、3次元表示可能な液晶表示装置を作製した場合の一例を示す概略図である。図13に示すように、本発明の製造方法により製造される原版を用いて形成されたパターン位相差フィルムと、λ/4板を組み合わせて用いる液晶表示装置は、パッシブ方式により3次元表示が可能なものとなる。その原理は次の通りである。
まず、発光型ディスプレイの画素部を、右目用映像表示画素と左目用映像表示画素の2種類の複数の画素にパターン状に分割し、一方のグループの画素では右目用の映像を表示させ、他方のグループの画素では左目用の映像を表示させる。次に、パターン位相差フィルムとして、位相差層の第1位相差領域が左目用映像表示画素の配列パターンに対応するように形成され、かつ第2位相差領域が右目用映像表示画素の配列パターンに対応するように形成されたものを用意する。そして、このようなパターン位相差フィルムを、偏光板の表示面側に配置し、さらにλ/4板をパターン位相差フィルムの表示面側に配置する。このとき、第1位相差領域の遅相軸の方向と、偏光板の偏光軸の方向とが45°で交差するようにし、さらに第1位相差領域の遅相軸方向とλ/4板の遅相軸方向とが平行または直交の関係になるようにする。このようにパターン位相差フィルムとλ/4板とを配置することによって、右目用映像表示画素および左目用映像表示画素によって表示された映像(以下、それぞれ「右目用映像」、「左目用映像」と称する場合がある。)は、次のような経路で観察者に視認されることになる。
すなわち、右目用映像表示画素および左目用映像表示画素によって表示された各映像は、まず、偏光板を透過することから、それぞれが直線偏光に変換されることになる。ここで、図13においては、偏光板の偏光軸は0°方向となっているため、偏光板を透過した各映像も、0°方向の直線偏光となる。次に、このように直線偏光(0°)に変換された各映像は、パターン位相差フィルムに入射することになるが、左目用映像は第1位相差領域を通過し、右目用映像は第2位相差領域を通過するため、左目用映像は偏光軸が90°の直線偏光(L1)として、パターン位相差フィルムを透過するが、右目用映像には変化はなく、偏光軸が0°の直線偏光(L2)のままパターン位相差フィルムを透過することになる。次に、L1およびL2がλ/4板に入射することにより、左目用映像は右旋回の円偏光(C1)に、右目用映像は左旋回の円偏光(C2)に、それぞれ変換されることになる。
このように、パターン位相差フィルムおよびλ/4板を通過した右目用映像および左目用映像は、互いに直交する円偏光に変換されることになるため、視聴者に右目用レンズと左目用レンズとに互いに直交する円偏光レンズを採用した円偏光メガネを装着させ、右目用映像が右目用レンズのみを通過し、かつ左目用映像が左目用レンズのみを通過するようにすることによって、右目用映像が右目のみに届き、左目用映像が左目のみに届くようにすることができ、3次元表示が可能となるのである。
本態様における第2層表面に形成される微小なライン状凹凸構造の断面形状および高さ、幅、周期等の詳しい内容については、「2.第1凹凸構造形成工程」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
8.保護層剥離工程
本態様における保護層剥離工程は、図1(h)に示すように第1層1上に第2層3と隣接して形成され、第1層表面に形成された微小なライン状凹凸構造11を保護するための保護層4を、第1層1から剥離する工程である。
保護層を剥離する方法としては、露出した第1層表面にウェットメッキ処理により形成された保護層を選択的に剥離することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、エッチング液を用いてエッチングする方法を挙げることができる。
本工程においては、エッチング液を保護層に塗布することにより、ウェットエッチングを行っても良く、エッチング液に保護層を浸漬することにより、ウェットエッチングを行っても良い。また、ウェットエッチングを行う時間は、保護層がエッチングされるエッチングレートを参考にして、所望の形状となるように適宜調整する。
本工程に用いられるエッチング液としては、保護層形成材料をエッチングすることができるエッチング液であれば特に限定されず、保護層形成材料および上記保護層の下地となる第1層の形成材料に応じて異なるものである。例えば、第1層形成材料がクロム系材料であり、上記保護層形成材料がチタン系材料である場合には、フッ酸や、水酸化カリウムと過酸化液との混合溶液を用いることができ、なかでも水酸化カリウムと過酸化水素との混合溶液を好ましく用いることができる。
さらに、上記第1層形成材料がチタン系材料であり、上記保護層形成材料がクロム系材料である場合には、硝酸セリウム第二アンモンと過塩素酸との混合溶液や、硫酸とリン酸との混合溶液を用いることができ、なかでも硝酸セリウム第二アンモン溶液と過塩素酸との混合溶液を好ましく用いることができる。
上述したエッチング液を用いることにより、第1層の表面に形成された微小なライン状凹凸構造に変化を与えることなく、上記第1層上に形成された上記保護層のみを選択的に剥離することができるからである。
9.その他の工程
本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法は、第1層形成工程、第1凹凸構造形成工程、レジスト形成工程、第2層形成工程、レジスト剥離工程、保護層形成工程、第2凹凸構造形成工程および保護層剥離工程を有するものであるが、必要に応じてその他の工程を有するものであっても良い。
このようなその他の工程としては、例えば、上記第1凹凸構造形成工程および第2凹凸構造形成工程として切削加工を施した際に、第1層または第2層の表面を切削することで生じる研磨カスを除去する除去工程を挙げることができる。除去方法としては、例えば、吸引する方法や、溶剤等を用いて除去する方法等を挙げることができる。
また、第1層および第2層の間に接着層を設ける接着層形成工程を挙げることができる。
以下、接着層形成工程について説明する。
本態様における接着層形成工程は、レジスト形成工程後、露出した第1層の表面に接着層を形成する工程である。
接着層を形成する方法としては、第1層の表面に形成でき、かつ第1層と第2層との接着性を向上することができれば特に限定されるものではない。また、接着層の形成方法は、上記接着層に用いられる接着性樹脂の種類等に応じて適宜選択されるものである。
このような接着層の材料としては、接着性樹脂を含有し、第1層と第2層とを所望の接着力で接着できるものであれば特に限定されるものではない。従って、上記接着性樹脂の種類は、第1層および第2層の種類によって適宜選択されものになる。本態様に用いられる接着性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリスチレン、エチレン‐プロピレンゴム等のポリオレフィン、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、エチレン‐アクリル酸共重合体、エチルセルロース、トリ酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリ(メタ)アクリル酸とそのエステルとの共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール、ポリアセタール、ポリアミド、ポリイミド、ナイロン、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。
なお、本発明に用いられる接着性樹脂は1種類のみであってもよく、あるいは、2種類以上であってもよい。
本発明に用いられる接着層の厚みは、上記接着性樹脂の種類等に応じて上記第1層と上記第2層とを所望の接着力で接着できる範囲内であれば特に限定されるものではない。
B.第2態様
本発明の3次元表示用パターン配向膜用原版において、第1層および第2層の表面の微小なライン状凹凸構造が同一方向に形成される態様の製造方法である。
本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法は、金属からなる第1層を形成する第1層形成工程と、上記第1層の表面に微小なライン状凹凸構造を略一定方向に形成する第1凹凸構造形成工程と、上記第1凹凸構造形成工程後の上記第1層の表面に平行な帯状にレジストを形成するレジスト形成工程と、上記レジスト形成工程後、上記レジストと露出した上記第1層との表面をドライメッキ処理することにより無機材料からなる第2層を形成する第2層形成工程と、上記レジストと上記レジストの表面に形成された上記第2層とを剥離する剥離工程と、上記剥離工程後、露出した上記第1層を前記ウェットメッキ処理することにより保護層を形成する保護層形成工程と、上記第2層と上記保護層との表面に上記第1凹凸構造形成工程と同一方向となる微小なライン状凹凸構造を略一定方向に形成する第2凹凸構造形成工程と、上記保護層を剥離する剥離工程と、を有することを特徴とするものである。
本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法について図を参照して説明する。
図1は、第1態様の3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法の一例を示す工程図であり、本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法は、上述した第1態様の製造方法と同様とすることができるので、ここでの詳しい説明は省略する。
なお、図1(a)が第1層形成工程、(b)が第1凹凸構造形成工程、(c)がレジスト形成工程、(d)が第2層形成工程、(e)がレジスト剥離工程、(f)が保護層形成工程、(g)が第2凹凸構造形成工程、(h)が保護層剥離工程である。
次に、このような製造方法によって得られる3次元表示用パターン配向膜用原版100について図を参照して説明する。図2は本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版の一例を示す概略図である。図14は3次元表示用パターン配向膜用原版100の表面を示す概略平面図であり、図15は図14のB−B線断面図である。
図14、図15に例示するように、本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版100は、表面に微小なライン状凹凸構造11が略一定方向に形成された金属からなる第1層1と、上記第1層1上に平行な帯状に形成され、表面に微小なライン状凹凸構造31が略一定方向に形成された無機材料からなる第2層3と、を有し、上記微小なライン状凹凸構造11、31の形成方向が、上記第1層1および第2層3の表面、すなわち、上記第2層3に隣接する露出した第1層1および第2層3の表面で同一となるものである。
なお、図2は、上記3次元表示用パターン配向膜用原版100がロール状であるロール版である場合の一例である。図14が図2に示す3次元表示用パターン配向膜用原版100の表面である場合、上記第1層1および第2層3表面の上記微小なライン状凹凸構造11、31の形成方向が、3次元表示用パターン配向膜用原版(ロール版)100の回転方向に対して45°であり、同一となるものである。また、図14中の矢印は、微小なライン状凹凸構造11、31の形成方向を示すものである。
次に、本態様における3次元表示用パターン配向膜用原版の表面における第1層および第2層の表面までの厚みは互いに異なる。このような3次元表示用パターン配向膜用原版を用いて製造される配向膜を使用したパターン位相差フィルムについて、図を参照して説明する。図16(a)は、3次元表示用パターン配向膜用原版を用いて製造される配向膜を使用したパターン位相差フィルムを示す概略図であり、図16(b)は、図16(a)の点線で囲った領域を拡大した概略図である。
パターン位相差フィルム300は、位相差層9において第2層の厚みに相当する分だけ異なる位相差値を示すパターンが形成されるものである。このため、本態様における第2層の厚みは、第1位相差領域9Aと第2位相差領域9Bとの位相差値の差をどの程度にするかによって適宜決定されるものである。
また、本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版を用いて製造された配向膜により得られるパターン位相差フィルム300(300A)は、上記3次元表示用パターン配向膜用原版の第1層および第2層の表面に形成された微小なライン状凹凸構造の形成方向が同一方向であるため、配向膜8における第1配向領域8Aおよび第2配向領域8B表面の微小なライン状凹凸構造の形成方向も同一方向となり、これにより、位相差層9の第1位相差領域9Aおよび第2位相差領域9Bに含まれる棒状化合物10は同一方向を向くように配列される。
なお、図16中の符号については、図5のものと同一部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法による効果は、上述した第1態様の製造方法の効果と同様である。
第1態様に記載した3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法についての効果の他に、本態様によれば、第1層および第2層の厚みが3次元表示用パターン配向膜用原版とすることにより、第1配向領域および第2配向の厚みが異なる配向膜を得ることができる。配向膜は、パターン位相差フィルムを構成するものであり、位相差層に含まれる棒状化合物を配列させる機能を有するものである。本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版は、第1配向領域および第2配向領域の厚みが異なる配向膜を製造することが可能であり、上記配向膜を用いることにより、第1配向領域および第2配向領域の厚みの差に相当する分だけ異なった位相差値を示すパターン位相差フィルムを製造することができる。
従来、第1配向領域と第2配向領域とで異なる配向となるように棒状化合物が配列される場合、第1配向領域と第2配向領域の境界において配向が乱れるといった問題があった。しかしながら、本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版により得られる配向膜は、第1配向領域および第2配向領域の厚みが異なるため、第1配向領域と第2配向領域との境界を明瞭にし、隣接する第1配向領域と第2配向領域とのパターンの境界近傍に生じ易い液晶の配向欠陥を抑制することができる。これにより、境界近傍からの光漏れを抑制でき、その結果、ディスプレイに使用した際のコントラストの低下を抑制することができる高品質な配向膜とすることができる。
本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法は、第1層形成工程、第1凹凸構造形成工程、レジスト形成工程、第2層形成工程、レジスト剥離工程、保護層形成工程、第2凹凸構造形成工程および保護層剥離工程を有するものである。
本態様における製造方法は、第1凹凸構造形成工程および第2凹凸構造形成工程において、微小なライン状凹凸構造を同一方向に形成し、第2層の厚みが所定の厚みとなるように形成すること以外は、上述した第1態様に記載したものと同様とすることができるので、各工程の詳細な説明については省略する。
以下、本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版において、第2層の厚みについて、また、その表面に同一方向に形成される微小なライン状凹凸構造について説明する。
ここで、本態様により形成される第2層の厚みは、通常、本態様の製造方法により製造された3次元表示用パターン配向膜用原版を用いて作製された配向膜を用いたパターン位相差フィルムにおいて、第1位相差領域と第2位相差領域との位相差値の差をどの程度にするかによって適宜決定されるものである。以下、この点について説明する。
本態様により製造される3次元表示用パターン配向膜用原版は、第1層の表面上に第2層を有することから、3次元表示用パターン配向膜用原版の表面に凸部と凹部とを有するものである。このような3次元表示用パターン配向膜用原版を用いて製造された配向膜の表面には上述した凸部と凹部とが賦型されていることから、配向膜の表面において互いに厚みが異なる部位、すなわち、厚膜領域と薄膜領域とが形成されることとなる。また、このような配向膜を用いたパターン位相差フィルムにおいては、位相差層において厚膜領域と薄膜領域との厚みの差に相当する分だけ位相差値が異なるパターンが形成されることになる。
従って、本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版における第2層の厚みは、本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版により製造される配向膜の厚膜領域と薄膜領域との厚みの差に相当する。
ここで、厚膜領域と薄膜領域との厚みの差は、第1位相差領域と第2位相差領域との位相差値の差をどの程度にするかによって適宜決定されるものである。したがって、厚膜領域と薄膜領域との厚みの差は、パターン位相差フィルムの用途、および後述する位相差層に用いられる棒状化合物の種類等に応じて適宜決定されるものであり特に限定されるものではない。中でも本発明においては上記厚膜領域と上記薄膜領域との厚みの差が、位相差層における高位相差領域の面内レターデーション値と、位相差層における低位相差領域の面内レターデーション値との差がλ/2分に相当する距離であることが好ましい。これにより、例えば、配向膜上に位相差層を形成する際に、低位相差領域の面内レターデーションがλ/4分に相当するようにすることにより、得られるパターン位相差フィルムは、低位相差領域の面内レターデーション値がλ/4分に相当し、かつ高位相差領域の面内レターデーション値がλ/4+λ/2に相当することになるが、このような態様のパターン位相差フィルムにおいては、上記低位相差領域、上記高位相差領域を通過する直線偏光がそれぞれ互いに直交関係にある円偏光になるため、3次元表示装置を製造するためにより好適に用いられるものにできるからである。
したがって、第2層の厚みとしては、本態様の製造方法により製造される3次元表示用パターン配向膜用原版を用いて製造される配向膜において、厚膜領域と薄膜領域との厚みの差が上述した距離となるように調整して形成することが好ましい。
上記第1層および上記第2層の表面までの厚みとしては、第1層および第2層の表面までの厚みの差を所定の範囲にすることができる範囲内であれば特に限定されるものではない。例えば、図15に示すように、第2層の厚みD2は2.0μm程度となることが好ましい。
なお、図15に示すように上記第1層および上記第2層の表面までの厚みは、表面に形成された微小なライン状凹凸構造を含むものとする。
本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版における第1層および第2層の表面の微小なライン状凹凸構造の形成方向としては、第1層と第2層とで同一方向であれば特に限定されるものではなく、例えば、図17に示すように、第1層の表面に形成された微小なライン状凹凸構造11および第2層の表面に形成された微小なライン状凹凸構造31の方向が0°であってもよく、あるいは、図18に示すように、第1層の表面に形成された微小なライン状凹凸構造11および第2層の表面に形成された微小なライン状凹凸構造31の方向が90°であってもよい。
なお、上記以外の微小なライン状凹凸構造についての詳しい内容は、上述した第1態様に記載したものと同様とすることができる。
C.その他の態様
その他の態様として、本発明の3次元表示用パターン配向膜用原版において、第1層および第2層の表面の微小なライン状凹凸構造が異なる方向に形成され、かつ第1層および第2層の厚みが異なるものであってもよい。
なお、上記態様の3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法についての効果は、上述した第1態様、第2態様の3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法についての効果と同様とすることができる。
上記第1態様、第2態様と同様の効果の他に、本態様においては次のような効果が得られる。本態様では、3次元表示用パターン配向膜用原版の第1層の表面および第2層の表面に形成された微小なライン状凹凸構造の形成方向と、上記第1層および第2層の厚みの差とが異なる。そのため、本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版により得られた配向膜をパターン位相差フィルムに用いることで、上記第1層の表面および上記第2層の表面に形成された微小なライン状凹凸構造の形成方向の差と、上記第1層および上記第2層の厚みの差とに相当する分だけ異なった位相差値を示すこととなる。なお、本態様の3次元表示用パターン配向膜用原版における第1層、第2層は、配向膜の第1配向領域、第2配向領域に対応し、パターン位相差フィルムの第1位相差領域、第2位相差領域にそれぞれ対応している。
D.その他
本発明の製造方法により製造される3次元表示用パターン配向膜用原版は、帯状に形成された凹部(第1層)および凸部(第2層)を有し、表面に微小なライン状凹凸構造が略一定方向に形成されたものである。
また、上記3次元表示用パターン配向膜用原版は、3次元表示用パターン位相差フィルムに用いられる3次元表示用パターン配向膜を製造する際に用いられるものである。より具体的には、樹脂組成物からなる配向膜形成用層に上記原版の微小なライン状凹凸構造を賦型し、この形状に対応した微小なライン状凹凸構造を有する第1配向領域(凸形状)および第2配向領域(凹形状)を有する3次元表示用パターン配向膜を製造する際に用いられるものである。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
[実施例]
(第1層形成工程)
Φ300mm、面長1260mmのアルミパイプ(5000系アルミ材)を用いて製版加工を行った。
アルミ表面を旋盤により面出し後、第1層形成用の下地層としてアルミニウム表面に電解メッキ処理により銅層を200〜300μmの厚みで形成することで下地層を形成した。その後、表面に平滑性を付与するため、砥石研磨処理を施した。
次いで、上記下地層上にメッキ処理を施し、ニッケル層を約5μmの厚みで形成した。ニッケル層形成により、上述した砥石研磨時の傷を埋め、第1層を形成した。
(第1凹凸構造形成工程)
上記第1層形成後、ラビングクロスYA18R(吉川化工製)を用いて上記第1層表面に研磨角度が45°となるようにラビング処理を施し、微小なライン状凹凸構造を形成した。
(除去工程)
第1凹凸構造形成工程後、微小なライン状凹凸構造が形成された第1層表面を溶剤等で洗浄し、研磨カス、砥粒を除去した。
(レジスト形成工程)
上記除去工程後、ネガレジストを上記第1層表面全面に適正厚み(約3〜5μm)をコーティングし、常温にて乾燥させた。レジスト膜形成後、レジストの感光波長に調整されたレーザーヘッドでパターン描画、現像を行い、レジストを平行な帯状に形成した。
(第2層形成工程)
次いで、上記第1層表面にドライメッキ処理を施し、ダイアモンドライクカーボン(DLC)層を0.1〜1μmの厚みで形成し、第2層とした。
(レジスト剥離工程)
その後、メチルエチルケトン(MEK)、イソプロピルアルコール(IPA)、メタノールの混合溶液を用いて、上記第1層表面からレジストを溶解・剥離した。
(保護層形成工程)
上記レジスト剥離工程後、露出した第1層表面にウェットメッキ処理である電気メッキ処理を施し、隣接する第2層よりも薄くなるようにクロム層を形成した。
(第2凹凸構造形成工程)
上記保護層形成工程後、上記第1層表面の微小なライン状凹凸構造の形成方向と90°異なる方向となるように、ダイヤモンドフィルムを用いてペーパー研磨を施し、第2層表面に微小なライン状凹凸構造を形成した。
(保護層剥離工程)
上記第2凹凸構造形成工程後、クロムからなる上記保護層のみをエッチング液を用いて剥離・除去した。この際、第1層(ニッケル層)表面の微小なライン状凹凸構造を変化させず、かつ保護層(クロム層)のみを選択的に剥離・除去できるエッチング液を用いた。
その後、保護層を剥離した表面を水洗した。
このようにして、第1層と第2層が平行な帯状に形成され、第1層および第2層の表面にそれぞれ形成方向が45°/135°である微小なライン状凹凸構造が形成された3次元表示用パターン配向膜用原版を作製した。
[評価]
(パターン位相差フィルムの作製)
上記実施例で作製した本発明の3次元表示用パターン配向膜用原版にレターデーションの無い基材フィルムを用いて紫外線硬化樹脂に本発明の3次元表示用パターン配向膜用原版表面の形状を賦型し、その賦型樹脂側にメルク製紫外線硬化型液晶をスピンコートにてレターデーション値が125nmになるように膜厚を調整して、パータン位相差フィルムを作製した。
上記パターン位相差フィルムを評価した結果、ウェットメッキ法による硬い金属保護層を形成することにより、第2層研磨時に第1層の研磨傷を上書きすることなく、第2層のみを研磨することがでる。また、ストライプ毎に45度/135度の研磨目が入っており、それに従って液晶の光軸が45度/135度に綺麗に整列していることを確認できた。
1 … 第1層
11 … 微小なライン状凹凸構造
2 … レジスト
3 … 第2層
31 … 微小なライン状凹凸構造
4 … 保護層
5 … 回転ローラー
6 … 被成型体
7 … 透明フィルム基材
8 … 配向膜
9 … 位相差層
10 … 棒状化合物
100 … 3次元表示用パターン配向膜用原版
200 … ロールプレス機
300 … パターン位相差フィルム

Claims (4)

  1. 金属からなる第1層を形成する第1層形成工程と、
    前記第1層の表面に微小なライン状凹凸構造を略一定方向に形成する第1凹凸構造形成工程と、
    前記第1凹凸構造形成工程後の前記第1層の表面に平行な帯状にレジストを形成するレジスト形成工程と、
    前記レジスト形成工程後、前記レジストと露出した前記第1層との表面をドライメッキ処理することにより無機材料からなる第2層を形成する第2層形成工程と、
    前記レジストを剥離する剥離工程と、
    前記剥離工程後、露出した前記第1層を前記ウェットメッキ処理することにより保護層を形成する保護層形成工程と、
    前記第2層の表面に前記第1凹凸構造形成工程とは異なる方向となる微小なライン状凹凸構造を略一定方向に形成する第2凹凸構造形成工程と、
    前記保護層を剥離する剥離工程と、
    を有することを特徴とする3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法。
  2. 金属からなる第1層を形成する第1層形成工程と、
    前記第1層の表面に微小なライン状凹凸構造を略一定方向に形成する第1凹凸構造形成工程と、
    前記第1凹凸構造形成工程後の前記第1層の表面に平行な帯状にレジストを形成するレジスト形成工程と、
    前記レジスト形成工程後、前記レジストと露出した前記第1層との表面をドライメッキ処理することにより無機材料からなる第2層を形成する第2層形成工程と、
    前記レジストを剥離する剥離工程と、
    前記剥離工程後、露出した前記第1層を前記ウェットメッキ処理することにより保護層を形成する保護層形成工程と、
    前記第2層の表面に前記第1凹凸構造形成工程と同一方向となる微小なライン状凹凸構造を略一定方向に形成する第2凹凸構造形成工程と、
    前記保護層を剥離する剥離工程と、
    を有することを特徴とする3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法。
  3. 前記3次元表示用パターン配向膜用原版がロール状であるロール版であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法。
  4. 前記第1凹凸構造形成工程または前記第2凹凸構造形成工程の少なくとも一方がロールプレス加工により実施されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法。
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