JP2012242524A - 3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法 - Google Patents

3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】凹凸のない平面状の3次元表示装置用パターン位相差フィルムを、高精度で容易かつ大量に製造するための、3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法を提供する。
【解決手段】無機材料からなる第1層の表面に、金属材料からなる第2層を平行な帯状のパターンとして形成する第2層形成工程と、第2層の表面及び第1露出部からなる表面を前記略一定方向に研磨して第1露出部に第1凹凸構造領域を形成する第1研磨工程と、第2層を除去して第2露出部を形成する第1エッチング工程と、第1凹凸構造領域上に金属材料からなる第3層をパターン形成する第3層形成工程と、第3層の表面及び第2露出部からなる表面を異なる方向に研磨して第2凹凸構造領域を形成する第2研磨工程と、第3層を除去して第1凹凸構造領域を露出させる第2エッチング工程と、を備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、3次元表示用パターン位相差フィルムを形成することが可能な3次元表示用パターン配向膜を容易かつ大量に作製することができる3次元表示用パターン配向膜用原版に関する。
近年、3次元表示可能なフラットパネルディスプレイの検討が幅広い分野において進められている。3次元表示をするには、通常、視聴者に対して何らかの方式で右目用の映像と、左目用の映像とを別個に表示することが必要とされ、この一方式としてパッシブ方式がある。
図6はパッシブ方式の3次元表示の一例を示す概略図である。この方式では、フラットパネルディスプレイを構成する画素を、右目用映像表示画素と左目用映像表示画素の2種類の複数の画素にパターン状に分割し、一方のグループの画素では右目用の映像を表示させ、他方のグループの画素では左目用の映像を表示させる。また、直線偏光板と当該画素の分割パターンに対応したパターン状の位相差層が形成されたパターン位相差フィルムとを用い、右目用の映像と、左目用の映像とを円偏光に変換する。更に、視聴者には右目用と左目用の円偏光メガネを装着させ、右目用の映像が右目のみに届き、左目用の映像が左目のみに届くようにすることによって3次元表示を可能とする。このようにパッシブ方式においてはパターン位相差フィルムが必須になる。
このパターン位相差フィルムの従来技術として、下記の特許文献1には、特定の方向に延在する複数の溝を表面に有する基板上に、溝の延在方向に沿って配向すると共に重合した液晶材料が位相差層として存在する位相差板が開示されている。そして、この基板は、第1の方向に延在した溝を含む第1の溝領域と、これに直交する第2の方向に延在した溝を含む第2の溝領域とを有し、第1及び第2の溝領域はそれぞれストライプ状であると共に交互に配置されている型(版)を転写して得られ、この型の溝をパルスレーザー、研磨、バイト切削等により形成することが記載されている。
特開2010−152296号公報
液晶材料を配向させるために版に溝を形成する方法としては、上記のなかでも、従来公知の研磨法が、配向精度、生産性の点から従来主に用いられている。しかしながら、パターン位相差フィルムの場合には、異なるパターンをストライプ状で交互に形成する必要があり、この特殊性が故に通常の研磨法が適用し難い。
実際、特許文献1の研磨方法による版では、同一平面上に研磨によりパターンを形成するために数百μmのパターン領域毎に研磨を実施したり、微細凹凸が形成された領域パターンを組み合わせてロール版を形成する必要があり、このため精度や生産性に問題があった。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、3次元表示用パターン位相差フィルムを形成することが可能なパターン配向膜を、高精度で容易かつ大量に作製することができる3次元表示用パターン配向膜用原版を提供する。具体的には本発明は以下のものを提供する。
本発明は、微小なライン状凹凸構造が略一定方向に形成される帯状の第1凹凸構造領域と、前記第1凹凸構造と異なる方向に微小なライン状凹凸構造が形成される帯状の第2凹凸構造領域とが、同一平面に交互に形成されている3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法であって、
無機材料からなる第1層の表面に、金属材料からなる第2層を平行な帯状のパターンとして形成して、帯状の第2層と帯状の第1露出部とを前記第1層の表面に交互に形成する第2層形成工程と、
前記第2層の表面及び前記第1露出部からなる表面を前記略一定方向に研磨して、前記第1露出部に前記第1凹凸構造領域を形成する第1研磨工程と、
前記第2層を除去して第2露出部を形成する第1エッチング工程と、
前記第1凹凸構造領域上に、金属材料からなる第3層をパターン形成する第3層形成工程と、
前記第3層の表面及び前記第2露出部からなる表面を前記異なる方向に研磨して、前記第2露出部に前記第2凹凸構造領域を形成する第2研磨工程と、
前記第3層を除去して前記第1凹凸構造領域を露出させる第2エッチング工程と、
を備える3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法である。
エッチング以外の方法で保護層を剥離除去する場合には、例えば、粘着ロールで剥離する、又は、UV樹脂を賦型してUV樹脂側に保護層が取られるようにする方法がある。また、レジスト剥離工程でレジストが綺麗に剥れなかったときに、UV樹脂で賦型してレジスト層を除去することもできる。
本発明によれば、第2層、第3層をパターン形成した後に、いずれもエッチングによって除去する。この結果、版表面となる第1層の表面に、帯状の第1凹凸構造領域と帯状の第2凹凸構造領域とを同一平面上に交互に形成できる。同一平面上に異なる配向を形成することで、版に凹凸を形成することがないので、凹凸の高さ違いに由来する位相差量(リタデーション)の変化がなく、光学的に高い精度が得られる。なお、目視でフィルムを観察したときに、段差のないことでストライプパターンの境界線が見えない又は見えにくいという特徴がある。
また、各々の工程は従来公知のパターン形成法とエッチング処理とを2回繰り返せばよく、上記のパルスレーザーやバイト切削等と比べて、それぞれの凹凸構造領域を高い精度で形成できる。
更に、本発明における層形成工程、研磨工程、エッチング工程は、いずれも平面状の版のみならず、ロール状の版にも適用できる。このため、版を回転させながら層形成工程、研磨工程、エッチング工程を行うことで更に生産性を向上できる。
本発明においては、前記第2層形成工程は、前記第1層の表面に帯状の第1レジスト部をパターン形成した後に、前記第1レジスト部及び非レジスト部に前記第2層を形成した後、前記第1レジスト部及び該第1レジスト部上の第2層を剥離することで形成されることが好ましい。
また、本発明においては、前記第3層形成工程は、前記第2露出部に帯状の第2レジスト部をパターン形成した後に、前記第2レジスト部及び前記第1凹凸構造領域に前記第3層を形成した後、前記第2レジスト部及び該第2レジスト部上の第3層を剥離することで形成されることが好ましい。
これらの態様によれば、従来公知のフォトリソグラフ法を適用でき、第2層及び第3層を簡単に高い精度でパターニングして形成できる。特に、第2レジスト部は、既に形成された第1凹凸構造領域上のみに形成する必要がある。このため、パターニング精度の高いフォトリソグラフ法が好適に使用できる。
なお、この場合の第2層は、非レジスト部のみならず第1レジスト部上にも形成され、第3層は、第1凹凸構造領域上のみならず第2レジスト上にも形成される。すなわち、第2層及び第3層はパターン形成されずに全面に形成すればよい。この場合であっても、後のレジスト剥離処理によって、主にレジストパターンの側面から剥離液が浸透し、容易に剥離することができる。
本発明においては、前記第1層が金属材料であり、前記第2層及び前記第3層が、前記第1層に対して選択的にエッチング可能な金属材料であることが好ましい。
この態様によれば、第1層が金属材料であっても、エッチング工程において第2層及び第3層のみを選択的にエッチングすることができ、第1層と第2層、第1層と第3層とが、互いに金属同士であっても適用することができる。
また、第1層を金属材料とすることで、研磨工程において、研磨処理の一種であるラビング処理も適用対象とすることができ、研磨方法の自由度が高まる。
本発明においては、前記第2層及び前記第3層の厚さは0.01μm以上10μm以下であることが好ましい。
この態様によれば、第2層及び第3層を上記範囲の薄膜とする。下限値以上の薄膜とすることで、第2層及び第3層はマスク層であり、下の第1層を一時的に保護する層であるので研磨工程における保護を確実にできる。
一方、上限値以下の薄膜とすることで、後の研磨工程における段差を最小限とすることができ、第1層の表面に確実に凹凸構造領域を形成することができる。また、層形成工程後のレジスト部の剥離も確実になる。更に、エッチング工程における第2層及び第3層の除去も容易となる。
本発明によれば、3次元表示用パターン位相差フィルムを形成することが可能なパターン配向膜を、高精度で容易かつ大量に作製することができる3次元表示用パターン配向膜用原版を提供できる。
本発明の3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法の一例を示す工程図であり、工程(a)から(d)を示す図である。本発明の3次元表示用パターン配向膜用原版の一例を示す概略図である。 図1に続き、工程(e)から(h)を示す図である。 図2に続き、工程(i)から(k)を示す図である。 本発明の製造方法によって得られた版を用いて賦型転写した3次元表示用パターン配向膜の斜視図である。 図4の3次元表示用パターン配向膜上に液晶層が配向形成されたパターン位相差フィルムの斜視図である。 パッシブ方式で3次元映像を表示可能な液晶表示装置の例を示す概略図である。
図面を用いて本発明を具体的に説明する。図1から図3は、本発明の3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法の一例を示す工程図である。この製造プロセスは、工程(a)から(k)で構成されている。具体的には、図1(a)から(d)の無機材料からなる第1層の表面に、金属材料からなる第2層を平行な帯状のパターンとして形成して、帯状の第2層と帯状の第1露出部とを第1層の表面に交互に形成する第2層形成工程と、図2(e)の第2層の表面及び第1露出部からなる表面を略一定方向に研磨して、第1露出部に第1凹凸構造領域を形成する第1研磨工程と、図2(f)の第2層を除去して第2露出部を形成する第1エッチング工程と、図2(g)から図3(i)の第1凹凸構造領域上に、金属材料からなる第3層をパターン形成する第3層形成工程と、図3(j)の第3層の表面及び第2露出部からなる表面を異なる方向に研磨して、第2露出部に第2凹凸構造領域を形成する第2研磨工程と、図3(k)の第3層を除去して前記第1凹凸構造領域を露出させる第2エッチング工程と、からなる。以下、各工程について詳細に説明する。
<第2層形成工程>
第2層形成工程は、図1(d)に示すように、無機材料からなる第1層10の表面に、金属材料からなる第2層パターン21を平行な帯状のパターンとして形成して、帯状の第2層パターン21と帯状の第1露出部11とを第1層10の表面に交互に形成する工程である。この図1(d)の状態は、例えば、図1(a)から(c)の工程を経て形成することができる。
まず、図1(a)、図1(b)に示すように、第1層10の表面に帯状の第1レジスト部31と非レジスト部32とをパターン形成する。
第1層10は基材の最表層として存在する無機材料層である。無機材料としては、後述する第2層や第3層を剥離除去可能に積層できるものであれば特に限定されるものではなく、ニッケル、銅、アルミニウム、スズ、クロム、ステンレス、鉄等の金属材料;SiO、SiO、Al、GeO、TiO、Cr、ZrO、Ta、Nb等の無機酸化物;Si、AlN等の無機窒化物;SiO等の無機酸化窒化物;SiC等の無機炭化物;DLC(ダイアモンドライクカーボン)等を挙げることができ、なかでも、後述する第2層や第3層を剥離除去可能に積層できる観点から、金属材料、DLC等であることが好ましく、ニッケル、クロム、DLCであることがより好ましい。
第2層、3層は、金属に限定されることなく、他の無機材料、例えば、TiN、Al、SiC,SiO、Cr等であっても、エッチング可能である。
レジストを平行な帯状に形成する方法としては、レジスト材料を塗布することによりレジスト膜30を形成した後、平行な帯状に露光し、次いで、現像することにより、第1レジスト部31と非レジスト部32とをパターン形成することができる。レジスト材料としては特に限定されるものではなく、ポジ型レジスト材料、ネガ型レジスト材料のいずれも用いることができる。ポジ型レジスト材料としては、例えばノボラック樹脂をベース樹脂とした化学増幅型レジスト等が挙げられる。また、ネガ型レジスト材料としては、例えば架橋型樹脂をベースとした化学増幅型レジスト、具体的にはポリビニルフェノールに架橋剤を加え、更に酸発生剤を加えた化学増幅型レジスト等が挙げられる。
上記レジスト材料を塗工してレジスト膜30を形成する方法としては、一般的な塗工方法を用いることができ、例えばスピンコート法、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スプレーコート法等を使用することができる。
上記レジスト膜を平行な帯状に露光する方法としては、通常のフォトマスク描画に用いられる電子線描画法、もしくはレーザー描画法等を用いることができる。また、マスクを介して紫外線照射を行う方法を用いることもできる。なかでも、レーザー描画法であることが好ましい。上記金属基材の形状がロール状である場合であっても、精度良くパターン状に露光することができるからである。また、露光後のレジスト膜の現像方法としては、一般的なアルカリ現像等の現像方法を用いることができる。
次いで、図1(c)に示すように、第1レジスト部31及び非レジスト部32上に、金属材料の第2層20が、好ましくは0.01μm以上10μm以下で薄膜形成される。薄膜形成の方法は、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法等の物理蒸着法(PVD)、気相成長法(CVD法)、めっき法、塗布法等を挙げることができる。
金属材料としては、ニッケル、銅、アルミニウム、スズ、クロム、ステンレス、鉄等の金属材料が挙げられるが、この層はエッチング工程で第1層10からエッチング除去されるため、第1層10とは異なる材料であり、かつ、第1層10に対して選択エッチング性を有する材料である必要がある。一例を挙げれば、第1層10がDLCの場合には、第2層20がクロム、ニッケル、銅、チタン、チッカチタン等であることが好ましく、第1層10がクロムの場合には、第2層20がニッケル、銅、チタン、チッカチタン等であることが好ましく、第1層10がニッケルの場合には、第2層20がクロム、銅、チタン、チッカチタン等であることが好ましい。
次いで、この状態でアルカリ処理等により第1レジスト部31を剥離する。このとき、第1レジスト部31上に形成される第2層20も併せて除去されて第1露出部11が形成されると共に第2層パターン21が残り、第1露出部11と第2層パターン21とが交互に形成される図1(d)に示す状態になる。この第2層パターン21は、第1層10の保護層としてマスクとなる部分である。
<第1研磨工程>
次に、図2(e)に示すように、第1露出部11と第2層パターン21の表面を研磨して、第1露出部11に、微小なライン状凹凸構造である、第1凹凸構造領域12aを形成する。なお、上記のように、第2層パターン21の厚さは0.01μm以上10μm以下と小さく、このため第1露出部11に比べて高さが高い段差があっても、第1露出部11と第2層パターン21の両方の表面に第1凹凸構造領域12が形成できる。なお、第2層パターン21の表面に形成される第1凹凸構造領域21aは、その後、第2層パターン21と共に除去されるので不要な部分である。
第1凹凸構造領域12aは、第1層10の第1露出部11の表面に略一定方向にランダムに形成されたものである。ここで、略一定方向にランダムに形成された微小なライン状凹凸構造とは、例えば、表面にラビング処理がなされた場合等に形成されるような微小な傷のようなライン状凹凸構造が、略一定方向に形成されたものである。微小なライン状凹凸構造としては、本発明の原版を用いて形成されたパターン配向膜により3次元表示可能なパターン位相差フィルムとすることができるものであれば特に限定されるものではない。
微小なライン状凹凸構造の断面形状としては、凹凸構造を有し、上記液晶化合物を所定の方向に配列できるものであれば特に限定されるものではなく、略矩形、略三角形、略台形等とすることができる。また、一定の形状でなくともよい。微小なライン状凹凸構造の高さ、幅、及び周期としては、液晶化合物を配列させることができる範囲内であれば特に限定されるものではない。本発明において、微小なライン状凹凸構造の幅は、1nm〜1000nmの範囲内であることが好ましく、なかでも、1nm〜500nmの範囲内であることがより好ましく、特に、1nm〜100nmの範囲内であることが更に好ましい。また、微小なライン状凹凸構造の高さは、1nm〜500nmの範囲内であることが好ましく、なかでも、1nm〜100nmの範囲内であることがより好ましく、特に、1nm〜50nmの範囲内であることが好ましい。更に、微小なライン状凹凸構造の周期は、必ずしも一定ではなくても良いが、概ね1nm〜1000nmの範囲内であることが好ましく、なかでも1nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。微小なライン状凹凸構造が上述のサイズであることにより、安定的に液晶化合物を配列させることができるからである。
研磨方法としては、砥石研磨、ペーパー研磨、テープ研磨、サンドブラスト法、ショットブラスト法、グリットブラスト法、ガラスビーズブラスト法等のブラスト法、ナイロン、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂等の合成繊維からなる合成樹脂毛、不織布、動物毛、スチールワイヤ等のブラシ材を用いる、ラビング法を含むブラシグレイニング法、金属ワイヤーで引っかくワイヤーグレイニング法、研磨剤を含有するスラリー液を供給しながらブラシ研磨する方法(ブラシグレイニング法)、ボールグレイン法、液体ホーニング法等のバフ研磨法、ショットピーニング法等を挙げることができる。
第1層10がDLCのような硬い基材表面の場合には、テープ研磨法、ペーパー研磨であることが好ましいが、本発明においては第1層10をクロムやニッケルのような金属材料とすることもできるので、この場合にはラビンク法も好ましく用いられる。
<第1エッチング工程>
次に、図2(f)に示すように、表面に第1凹凸構造領域21aが形成された第2層20は、第1層10に対する選択エッチングによって除去され、第1層10が露出して第2露出部13となる。すなわち、この図2(f)は、第1層10の同一表面に段差なく第1凹凸構造領域12aと第2露出部13とが交互に形成されている状態である。
選択エッチングの組み合わせの一例としては、第1層10がDLCの場合には、第2層20がクロム、ニッケル、銅、チタン、チッカチタン等であることが好ましい。第1層10がクロムの場合には、第2層20がニッケル、銅、チタン、チッカチタン等であることが好ましい。第1層10がニッケルの場合には、第2層20がクロム、銅、チタン、チッカチタン等であることが好ましい。
各金属の組み合わせで選択エッチングが可能なエッチング液が多種あるので、ここでは一例を記載する。クロム系とチタン系でチタンをエッチングしたい場合はフッ酸や、水酸化カリウムと過酸化水素水の混合溶液でできる。一方、同構成でクロムをエッチングしたい場合は、硝酸セリウム第2アンモン溶液と過塩素酸の混合溶液で可能である。
<第3層形成工程>
次に、図2(g)から図3(i)に示すように、第1凹凸構造領域12a上を保護するために、金属材料からなる第3層パターン51を第1凹凸構造領域12a上にパターン形成する。具体的には、第2露出部13上に帯状の第2レジスト部41をパターン形成した後に、第2レジスト部41及び第1凹凸構造領域12a上に第3層膜50を形成した後、第2レジスト部41及び該第2レジスト部上の第3層膜50を剥離することで、第3層パターン51と第2露出部13とが交互に形成される。
この工程は、第3層パターン51を形成する位置が第1凹凸構造領域12a上である点を除いては、基本的に図1(b)から(d)で説明した上記の第2層形成工程と同じ工程である。よってその詳細説明を省略する。
<第2研磨工程>
次に、図3(j)に示すように、第2露出部13と第3層パターン51の表面を第1凹凸構造領域12aと異なる方向に研磨して、第2露出部13に、微小なライン状凹凸構造である、第2凹凸構造領域12bを形成する。この工程は、研磨方向が第1凹凸構造領域12aと異なる方向である点を除いては、基本的に図2(e)で説明した上記の第1研磨工程と同じ工程である。よって研磨方向以外の詳細説明を省略する。
第1凹凸構造領域12aと第2凹凸構造領域12bとは、上記微小なライン状凹凸構造の形成方向が異なる。図1(e)の第1研磨工程と、図3(j)の第2研磨工程とでは、XY平面における相互の微小なライン状凹凸構造の形成方向θが、それぞれ135度及び45度であり90度異なる場合(図3(k)のθ1=135度、θ2=45度参照)を示しているが、これに限らず、例えば45度異なっていてもよい。
<第2エッチング工程>
最後に、図3(k)に示すように、表面に第2凹凸構造領域51aが形成された第3層51は、第1層10に対する選択エッチングによって除去され、第1層10の第1凹凸構造領域12aが露出して、3次元表示用パターン配向膜用原版100が得られる。すなわち、この3次元表示用パターン配向膜用原版100は、第1層10の同一表面に段差なく第1凹凸構造領域12aと第2凹凸構造領域12bとが交互に形成されている状態である。この第2エッチング工程は、基本的に図2(f)で説明した上記の第1エッチング工程と同じ工程である。よってその詳細説明を省略する。
<パターン配向膜/パターン位相差フィルム>
このようにして得られた3次元表示用パターン配向膜用原版100は、図4に示すように、TAC(トリアセチルセルロース)やCOC(環状オレフィン樹脂)やアクリル樹脂等からなる位相差の小さいフィルム110上に、従来公知のUV硬化樹脂等の賦型樹脂120を積層した積層体の賦型樹脂面を圧着され、3次元表示用パターン配向膜用原版100の第1凹凸構造領域12aと第2凹凸構造領域12bで構成される微小なライン状凹凸構造が賦型樹脂表面121に転写され、その後UV硬化させる。これによりパターン配向膜150が得られる。
更に、この賦型樹脂表面121上には重合性の液晶化合物160が塗布されることで、微小なライン状凹凸構造に沿って液晶分子が配向し、その後に重合硬化することでパターン位相差フィルム200が得られる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。例えば、上記実施形態の説明は平板状の版を基に説明したが、本発明はこれに限らず、ロール状のロール版に対しても適用可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。以下の実施例は図1から図3に示す工程(a)から(k)を、最表面に第1層を備える円筒状のロール基材に適用して形成したものである。
[実施例1]
<第2層形成工程>
図1(a)、(b):円筒状の基材の最表面クロム層5μm(第1層)の円周方向に対して溶剤希釈したネガ型レジストをコーティングし乾燥後、レーザー露光方法で360μm幅の平行な帯状にパターンを形成し、現像処理を行い、その後余分なレジストを除去することにより、360μm幅の非レジスト部と、360μmピッチで高さ5μmの第1レジスト部とをニッケル基板上に交互に形成した。
図1(c):第1レジスト部及び非レジスト部に、第2層として高さ1μmのニッケル層をスパッタリングで形成した。
図1(d):第1レジスト部及び第1レジスト部上のニッケル層を、剥離して第1露出部を形成することで、第2層パターンとして高さ1μmのニッケル層を360μmピッチでパターン形成した。第1レジスト部は、アルカリ溶液や、MEK,IPA、メタノールの混合溶剤で溶解剥離する。
<第1研磨工程>
図2(e):第2層パターンの表面及び第1露出部からなる表面を、円筒の円周方向から+45度方向でラビング処理し、第1露出部に第1凹凸構造領域を形成した。
<第1エッチング工程>
図2(f):ニッケル層(第2層パターン)をニッケル選択エッチング液−NC(日本化学産業(株)製)のエッチング液で除去して第2露出部を形成した。
<第3層形成工程>
図2(g):溶剤希釈したネガ型レジストをコーティングし乾燥後、第2露出部にレーザー露光してパターンを形成し、現像処理を行い、その後余分なレジストを除去することにより第2露出部に第2レジスト部を360μmピッチで高さ5μmで形成した。
図2(h):第2レジスト部及び第1露出部の第1凹凸構造領域に、第3層膜として高さ1μmのニッケル層をスパッタリングで形成した。
図2(i):第2レジスト部及び第2レジスト部上のニッケル層を、剥離して第2露出部を形成することで、第3層パターンとして高さ1μmのニッケル層を360μmピッチでパターン形成した。第2レジスト部は、MEK,IPA、メタノールの混合溶剤でレジストを溶解剥離する。
<第2研磨工程>
図2(j):第3層パターンの表面及び第2露出部からなる表面を、円筒の円周方向から+135度方向にラビング処理し、第2露出部に第2凹凸構造領域を形成した。
<第2エッチング工程>
図2(k):ニッケル層(第3層パターン)を、ニッケル選択エッチング液−NC(日本化学産業(株)製)のエッチング液で剥離して第1凹凸構造領域を露出させて、第1凹凸構造領域及び第2凹凸構造領域を360μmピッチで交互に形成し、本発明の3次元表示用パターン配向膜用原版を得た。
[評価]
透明フィルム基材として60μmのTACに、希釈溶剤としてMEKとMIBKとが質量比4対1で混合されてなる希釈溶剤で希釈された固形分45%、2500mPa・sのアクリル系紫外線硬化樹脂組成物を厚み8μmとなるようにコーティングし、溶剤を80℃で30秒間で乾燥蒸発させた後、上記で作製した版にゴムロールで1000MPa/cmの加重で押し付けた後、紫外線を照射し、固化させたのち剥離し、パターン配向層をもつ基材(パターン配向膜)を得た。
得られたパターン配向膜表面を原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、表面の凹凸形状を測定したところ、微小なライン状凹凸構造の周期(ピッチ)は、ほぼ5nm〜500μmの範囲内でランダムに分布していた。また、微小なライン状凹凸構造の高さは1nm〜100nmの範囲内であり、幅は5nm〜500nmの範囲内であった。このように、実施例1ではパターン配向膜を容易に形成できることが確認できた。
[実施例2]
第1層としてクロム層の代わりに、ニッケル基材上に形成された2μmのスパッタリングによるDLC層を用い、第2層及び第3層としてニッケル層の代わりに1μmのクロム層をスパッタリングで形成し、エッチング工程で、ADEKAスーパーケルミックWCR−2015K(ADEKA製)をエッチング液として用いた以外は、実施例1と同様にして、本発明の3次元表示用パターン配向膜用原版を得た。その後、実施例1と同様の評価を行ない実施例1と同様の評価結果を得た。このように、実施例2でもパターン配向膜を容易に形成できることが確認できた。
10 第1層
11 第1露出部
12 第
12a 第1凹凸構造領域
12b 第2凹凸構造領域
13 第2露出部
20 第2層
21 第2層パターン
30 レジスト膜
31 第1レジスト部
32 非レジスト部
40 レジスト膜
41 第2レジスト部
50 第3層膜
51 第3層パターン
100 3次元表示用パターン配向膜用原版
110 位相差の小さいフィルム
120 賦型樹脂
121 賦型樹脂表面
150 パターン配向膜
160 液晶化合物
200 パターン位相差フィルム

Claims (5)

  1. 微小なライン状凹凸構造が略一定方向に形成される帯状の第1凹凸構造領域と、前記第1凹凸構造と異なる方向に微小なライン状凹凸構造が形成される帯状の第2凹凸構造領域とが、同一平面に交互に形成されている3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法であって、
    無機材料からなる第1層の表面に、金属材料からなる第2層を平行な帯状のパターンとして形成して、帯状の第2層と帯状の第1露出部とを前記第1層の表面に交互に形成する第2層形成工程と、
    前記第2層の表面及び前記第1露出部からなる表面を前記略一定方向に研磨して、前記第1露出部に前記第1凹凸構造領域を形成する第1研磨工程と、
    前記第2層を除去して第2露出部を形成する第1エッチング工程と、
    前記第1凹凸構造領域上に、金属材料からなる第3層をパターン形成する第3層形成工程と、
    前記第3層の表面及び前記第2露出部からなる表面を前記異なる方向に研磨して、前記第2露出部に前記第2凹凸構造領域を形成する第2研磨工程と、
    前記第3層を除去して前記第1凹凸構造領域を露出させる第2エッチング工程と、
    を備える3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法。
  2. 前記第2層形成工程は、前記第1層の表面に帯状の第1レジスト部をパターン形成した後に、前記第1レジスト部及び非レジスト部に前記第2層を形成した後、前記第1レジスト部及び該第1レジスト部上の第2層を剥離することで形成される請求項1記載の3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法。
  3. 前記第3層形成工程は、前記第2露出部に帯状の第2レジスト部をパターン形成した後に、前記第2レジスト部及び前記第1凹凸構造領域に前記第3層を形成した後、前記第2レジスト部及び該第2レジスト部上の第3層を剥離することで形成される請求項1又は2に記載の3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法。
  4. 前記第1層が金属材料であり、前記第2層及び前記第3層が、前記第1層に対して選択的にエッチング可能な金属材料である請求項1から3いずれか記載の3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法。
  5. 前記第2層及び前記第3層の厚さは、0.01μm以上10μm以下である請求項1から4いずれか記載の3次元表示用パターン配向膜用原版の製造方法。
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