JP2012241686A - 回転型圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧縮機構部のシール性や潤滑性を確保することが可能で、圧縮機構部の各摺動箇所が潤滑不良を起こさない高効率で信頼性の高い回転型圧縮機を得る。
【解決手段】クランク軸2の偏心部2aの外周の軸方向に油搬送用の偏心軸油溝17を設け、偏心軸油溝17の下端は下軸受13の軸受部と連通し、偏心軸油溝17の断面形状が油の流れる方向に向かって縮小するように構成する。
【選択図】図1

Description

この発明は、冷凍冷蔵空調用機器や給湯用機器等のヒートポンプを利用した冷凍サイクルに使用される回転型圧縮機に関するものである。
従来の密閉型回転型圧縮機は、固定子と回転子から成る電動機が上部に、そしてこの電動機に連結された回転軸により駆動される圧縮機構部が電動機の下方に位置するように密閉容器内に収納されており、冷凍サイクルの低圧(吸入圧)冷媒を圧縮機構部に吸入し、圧縮機構部で高圧(吐出圧)まで圧縮し、密閉容器に固定された吐出管から密閉容器の外部の冷凍サイクルに高圧冷媒を吐出する。
圧縮機構部は、シリンダと、前記シリンダ内に設けられた前記クランク軸の偏心部に嵌合されたローラと、前記ローラの偏心回転に追従して前記シリンダに設けられたスロット内を往復運動するベーンと、前記シリンダの両端面を閉塞し前記クランク軸を支持する上軸受と下軸受から構成される。
前記クランク軸には、軸方向へ向かって回転中心に油通路穴が設けられるとともに、軸受側へと連通する給油穴が設けられている。また、クランク軸の偏心部には前記ローラ内周部と連通する給油穴が設けられ、外周部には油溝が設けられている。
密閉容器の底部は油溜めとなっており、圧縮機構部の摺動箇所への潤滑や圧縮室のシールを行う冷凍機油が貯留されている。クランク軸の下部はこの油溜めの冷凍機油に浸っていて、クランク軸の回転による遠心ポンプ作用により、冷凍機油がクランク軸の内部に形成された油通路穴に汲み上げられ、圧縮機構部の摺動箇所などに供給される。クランク軸は、圧縮室の上下を閉塞する圧縮機構部の上軸受と下軸受とによって径方向に支持される。
前記圧縮機構部の主な摺動箇所には、クランク下軸と下軸受、クランク偏心軸とローラ内周部、クランク上軸と上軸受などがある。
クランク下軸〜下軸受間には、前記クランク下軸の給油穴を介して冷凍給油を供給し、クランク偏心軸〜ローラ間には、前記クランク偏心軸の給油穴を介して冷凍機油を供給する。クランク偏心軸とローラ内周部の潤滑に供された冷凍機油の一部は、クランク上軸と上軸受に供給される。
回転子に向けて伸長する上軸受体の円筒状の上軸受とクランク軸の摺動箇所の潤滑に供給された冷凍機油は、潤滑後に上軸受の上端である上軸受とクランク軸のすきま上端から噴出されるように排出される。冷凍機油は遠心ポンプ作用により供給されるため、特に電動機が可変速対応で、圧縮機の回転数が60rpsを超える高速運転時には、上軸受に供給される単位時間あたりの冷凍機油量は回転数に応じて増加するので、上軸受の上端から排出される冷凍機油の量もそれに応じて増加する。
上軸受端部より排出した冷凍機油は電動機の固定子と回転子の径方向のスキマであるエアギャップを通って、電動機上部と密閉容器内の二次空間に入り、この二次空間に連通する吐出管から密閉容器外部の冷凍サイクルに吐出される。
圧縮機構部の摺動箇所への冷凍機油供給量が少ないと次のような問題が生じる。
圧縮機構部の各摺動箇所の潤滑に必要な冷凍機油の供給量が減って摺動部が潤滑不良を起こし、摺動損失の増加により圧縮機効率が低下したり、摺動部が摩耗、損傷したりする。そして、最悪の場合には摺動部が焼き付いて回転軸がロックし、圧縮機の運転が不能となる。
さらに、圧縮機構部の圧縮室のシール性が低下し、漏れ損失の増加により圧縮機効率が低下する。
また、圧縮機構部の摺動箇所への冷凍機油の供給量が多すぎると次のような問題が生じる。
上軸受の上端部より排出される冷凍機油の量が増加し、該上軸受け上端から排出された油は、エアギャップを通って密閉容器内の二次空間に入り、該二次空間に連通する吐出管から密閉容器外部の冷凍サイクルに吐出されるため、冷凍サイクル上の熱交換器において、伝熱効率を低下させ、冷凍サイクル装置全体の効率が低下する。
従来の回転型圧縮機においては、クランクシャフトの偏心部の摺動面に斜めの溝を設け、上流側から下流側に向かって溝の断面積が徐々に減少するように変化させて設けたものがある(例えば、特許文献1)。
特開平2−130292号公報(第5頁右上段第11行〜第20行、第2図、第5図)
しかしながら、特許文献1では、斜めの溝がポンプの役割をして潤滑油を排出するため、冷凍システムへ潤滑油が流出して給油量が減少した時には、クランクシャフトと軸受、クランクシャフトの偏心部とローラピストンが金属接触を起こしやすくなり摺動が過酷になる。
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、圧縮機構部の各摺動箇所が潤滑不良を起こさない様な給油量を確保し、且つ、上軸受端部から排出される冷凍機油の量を抑え、圧縮機外から冷凍回路に吐出される冷凍機油の量も少なくし、高効率で信頼性の高い圧縮機を提供することを目的とする。
この発明における回転型圧縮機は、クランク軸を有する駆動部と、前記クランク軸を介して前記駆動部により駆動される圧縮機構部とを収納する密閉容器を備え、前記圧縮機構部は、流体が流入するシリンダと、前記クランク軸の偏心部に嵌合され、前記シリンダ内に設けられたローラと、前記シリンダの両端面を閉塞し前記クランク軸を支持する上軸受と下軸受とから構成される、回転型圧縮機において、前記偏心部の外周の一部には軸方向の全巾にわたって油溝が設けられ、前記油溝の下端は前記下軸受の軸受部と連通し、前記油溝の断面形状は油の流れる方向に向かって縮小するように構成したものである。
この発明によれば、圧縮機構部へ適量な冷凍機油を供給することができるため、圧縮機構部のシール性や潤滑性を確保することができ、圧縮機構部の各摺動箇所が潤滑不良を起こさない高効率で信頼性の高い回転型圧縮機を得られる効果がある。
この発明の実施の形態1を示す回転型圧縮機の縦断面図である。 図1に示す回転型圧縮機の要部断面図である。 図1に示す回転型圧縮機の圧縮機構を説明するための説明用横断面図である。 図1、図2に示すクランク軸偏心部の油溝の斜視図である。
[実施の形態1]
図1は、この発明を実施するための実施の形態1における密閉型の回転型圧縮機を示す縦断面図であり、図2は図1に示す回転型圧縮機の要部断面図である。図3は、図1に示す回転型圧縮機の圧縮機構部1の圧縮機構を説明するための説明用横断面図であり、図4はこの発明の要部であるクランク軸の偏心部油溝の斜視図である。
図1、図3に示すように回転型圧縮機は、密閉容器70の内部に圧縮機構部1と、圧縮機構部1をクランク軸2を介して回転駆動させる固定子51と回転子52から成る電動機50を収納し、密閉容器70の外面に保持される気液分離器90を備える。電動機50の下方には圧縮機構部1が配置され、電動機50と圧縮機構部1の間の空間が一次空間80となっている。密閉容器70の底部には、圧縮機構部1に供給され圧縮機構部1の各摺動箇所の潤滑や圧縮室のシールなどに使われる冷凍機油が貯留される油溜め75が設けられている。
密閉容器70は上下を開口した円筒容器71に、上蓋72および底蓋73が溶接等で接合されることで密閉がなされる。底蓋73の底面にはこの回転型圧縮機が自立するための脚体74が接合されている。なお、密閉容器70は絞り加工等で形成した有底の円筒容器71に上蓋72を接合する2分割構成としてもよい。この回転型圧縮機が圧縮する冷媒としては二酸化炭素またはHFC冷媒が使用されている。油溜め75の冷凍機油は、冷媒が二酸化炭素の場合にはPAG(ポリアルキレングリコール)油がよく使用され、HFC冷媒の場合にはエーテル油もしくはエステル油またはアルキルベンゼン油がよく使用される。
電動機50は、固定子51と回転子52から構成される。電動機50は可変速対応であり、この回転型圧縮機を使用する冷凍サイクル装置の負荷に応じて回転数を変化させるものである。冷凍サイクル装置の運転環境によっては回転数が60rpsを超えるような高速運転も行う。回転子52の外周と固定子51内周の間には、エアギャップと呼ばれる径方向の隙間が全周に渡ってほぼ均一に設けられる。エアギャップ58が広いと電動機効率が低下するため、エアギャップ58は通常、幅が0.3〜1.0mm程度の狭い幅に設定されている。ここで、エアギャップ58の幅とは、固定子51内径と回転子52外径の差の半分であり、半径隙間を表す。エアギャップ58は圧縮機構部1で圧縮された高圧冷媒の流路となる。
固定子51は、積層され互いにかしめ固定された略円環状の電磁鋼板の内側歯部にコイルが集中巻き方式で巻かれており、その積層された電磁鋼板の外周が密閉容器70の円筒容器71内壁に直接焼嵌めにより固定される。
回転子52は、円環状の電磁鋼板が積層され互いにかしめ固定された回転子コア53と、回転子コア53の上下端面にそれぞれ固定される上バランサ54と下バランサ55を備える。上バランサ54と下バランサ55は、圧縮機構部1での偏心回転に伴う力の不釣合いを静的に、且つ動的にバランシングするために取り付けられるものであり、図示しない、かしめピンにより回転子コア53にかしめられて固定されている。回転子コア53の内部には希土類磁石やフェライト磁石等の永久磁石が埋設される。
また、回転子52には、回転子52の上下を連通するように複数の風穴56が圧縮機構部1で圧縮された高圧冷媒の流路として設けられている。回転子コア53は、積層された電磁鋼板の内周がクランク軸2と焼嵌められており、固定子51に電力が供給されると、クランク軸2は回転子52と一体となって回転する。密閉容器70の上蓋72には、ガラスターミナル57が溶接固定されていて、ガラスターミナル57と固定子51がリード線で接続され、外部から供給される電力がガラスターミナル57を中継して電動機50に付与される。
電動機50の上部(圧縮機構部1との反対側)で密閉容器70と電動機50の間の空間は、二次空間81となっている。二次空間81には、吐出管76が設けられ、上蓋72に接合固定されている。吐出管76は、一方が二次空間81に開口し、他方が密閉容器70の外部に開口したもので、圧縮機構部1で圧縮された高圧冷媒を密閉容器70内部から外部へ吐出する。吐出管76の他方は、この回転型圧縮機を使用する冷凍サイクルの高圧領域の接続配管に接続される。
図3に示すように圧縮機構部1は、クランク軸2の偏心部2aに嵌められたローラ3がシリンダ4の内側空間であるシリンダ室に収納され、このローラ3外周に接触する板状のベーン5がシリンダ4のシリンダ室を吸入室6と圧縮室7に仕切り、ローラ3の偏心回転により圧縮室7の容積を減じて圧縮を行うロータリ圧縮機構を備えている。ベーン5はシリンダ4に形成されたベーン溝4aに嵌り、クランク軸2の回転によるローラ3の偏心回転に伴い、ベーン溝4a内を往復動する。
シリンダ4の上面には、吸入室6と圧縮室7の上側を閉塞する上軸受体10がシリンダ4にボルト固定されている。上軸受体10は回転子52の方向に伸長し、クランク軸2を径方向に支持する円筒状の上軸受11を有する。またシリンダ4の下面には、吸入室6と圧縮室7の下側を閉塞する下軸受体12がシリンダ4にボルト固定されている。下軸受体12は、密閉容器70底部の方向に伸びて、上軸受11とともにクランク軸2を径方向に支持する円筒状の下軸受13を有する。クランク軸2はシリンダ4を挟んで上下で軸受により径方向に支持される。下軸受体12は外周側がシリンダ4の下面と接触する上端面で、偏心部2aの下端面を支持することで回転子52が固定されたクランク軸2の軸方向の支持を行うとともに、ローラ3とベーン5も軸方向に支える。上軸受体10と下軸受体12も圧縮機構部1を構成する部品である。
上軸受体10には、上軸受体10の上面の一部を覆うように板金で形成された吐出マフラー8が固定されており、上軸受体10上面との間に小容量の消音空間が形成されており、この消音空間は上軸受体10に設置される図示しない吐出弁を介して圧縮室7と連通している。圧縮機構部1は、上軸受体10またはシリンダ4の最外周面が、密閉容器70の円筒容器71に溶接やかしめにより接合されることで固定される。
気液分離器90は、過渡的な運転状態時等に圧縮機構部1の圧縮室に液冷媒が直接吸入されないように、液冷媒を一時的に貯留し、同時に円筒状の容器91の容積で低圧冷媒の脈動を消音するもので、円筒容器71に固着された受け具に一体的に保持される。
気液分離器90は容器91の上部に、この回転型圧縮機を使用する冷凍サイクルの低圧領域の接続配管に接続される低圧接続管92が接合される。また容器91の底面には、容器91内部のガス冷媒が流入し、そのガス冷媒を圧縮機構部1の吸入室6に吸入させる吸入管93が接合される。過渡的な運転状態時等で低圧接続管92から容器91に流入した低圧冷媒が液とガスの二相状態であった場合に、液冷媒は容器91内部に一時的に貯留され、ガス冷媒のみが吸入管93から圧縮機構部1に吸入される。
容器91に一時的に貯留された液冷媒は、その後蒸発してガス冷媒となって、吸入管93から圧縮機構部1に吸入される。
クランク軸2はクランク軸2の略中央に下端(油溜め75側の端面)から軸方向(クランク軸2の長手方向)に形成され、遠心ポンプ作用により油溜め75の冷凍機油を汲み上げる油通路穴14を有する。油通路穴14はクランク軸2の途中で止まりとなっているが、上端まで貫通していてもよい。またクランク軸2には冷凍機油を下軸受13に供給する下軸受給油穴15が設けられている。下軸受給油穴15は、下軸受13の上方の位置で、一方が油通路穴14に連通し、他方がクランク軸2の外周に開口して下軸受13とクランク軸2との摺動箇所に冷凍機油を導くもので、クランク軸2の軸方向と略直交する方向に形成される。同様にクランク軸2には、ローラ3との摺動箇所を潤滑する冷凍機油を供給する偏心軸給油穴16が設けられている。偏心軸給油穴16はクランク軸2の偏心部2a外周軸方向の全巾に渡って形成された冷凍機油搬送用の偏心軸油溝17と連通している。下軸受給油穴15、16の直径はいずれも油通路穴14の直径よりも小さい。クランク軸2に形成された油通路穴14と下軸受給油穴15、偏心軸給油穴16により給油通路が形成される。
以上のように構成された回転型圧縮機において、図2に示すように、クランク軸2の偏心部2a外周に設けた油搬送用の偏心軸油溝17に関して、偏心軸油溝の下端17aは下軸受内径13a、つまり下軸受13の軸受部と連通し且つ、偏心軸油溝17の断面が油の流れる方向に向かって縮小していることを特徴とするものである。
図2に示すように、クランク軸2の偏心部2a外周に設けた油搬送用の偏心軸油溝の下端17aを下軸受13の軸受部と連通させることにより、下軸受給油穴15から出た冷凍機油は、偏心部2aとローラ3の摺動部の潤滑用としても供給されるため、偏心部2aとローラ3の摺動部の給油量を増やすことができ潤滑性能を上げることが可能となる。
更に、クランク軸2の偏心部2a外周に設けた油搬送用の偏心軸油溝17に関して、偏心軸油溝17の断面が油の流れる方向(図2では下から上に向かう方向)に向かって縮小しているため、偏心部2aとローラの潤滑に使用された冷凍機油が上軸受体10側へ流入する量を抑え、上軸受11から密閉容器70内に排出される量を適性にすることが可能となるため、密閉容器70外部の冷凍サイクルに吐出される冷凍機油の量を抑え、圧縮機構部1の潤滑性能を落とすことなく、冷凍サイクルの熱交換器の伝熱効率を確保することができる。
なお、偏心軸油溝17の断面形状は油の流れる方向に沿って連続して縮小したものでもよい。
また、偏心軸油溝17の上軸受側の終端部の溝深さは1.0mm以下であることが望ましい。
近年回転型圧縮機が圧縮して吐出する冷媒の作動圧力が高圧化している。作動圧力が高い冷媒として、空調機用では、HFC32やHFC32の重量割合が半分以上のHFC混合冷媒がある。また、最近では主に給湯機用に、これらのHFC冷媒よりも作動圧力の高い二酸化炭素が使用されている。これらの作動圧力が高い冷媒は高低圧の差圧が大きいため、圧縮負荷が大きく、摺動負荷が大きくなる。摺動部への負荷が大きくなれば、摺動部が損傷しやすくなるため、摺動部への冷凍機油の供給量を増やす必要がある。
しかしながら、供給量を増やすと上軸受11端部から噴出する油の量が増加し、油溜め75の油面が低下してしまう。油溜め75の油面が低下すると、ベーン5周面のシール性が悪化して、漏れ損失の増大により性能が大きく低下する問題も発生する。
本発明は、圧縮機構部1の潤滑に必要な冷凍機油の供給量を確保し且つ、密閉容器70の外部に高圧冷媒とともに吐出されてしまう冷凍機油を抑えることにより、油溜め75の油面高さすなわち貯留量を安定的に維持して、油溜め75の冷凍機油の枯渇を招くことなく安定的に圧縮機構部1の摺動箇所に冷凍機油を供給できるので、このような作動圧力が高い冷媒において特に有効であり、各摺動箇所を確実に潤滑して信頼性を確保し且つ、漏れ損失を抑えて効率を改善することができる。
本発明は、作動圧力の高い冷媒に特に有効であるが、HFC32の割合が半分未満あるいはHFC32を含まないHFC冷媒やHC冷媒など上記した作動圧力が高い冷媒以外の冷媒を使用する場合においても、密閉容器70の外部に高圧冷媒とともに吐出されてしまう冷凍機油を減少させることにより、油溜め75の冷凍機油を適量に貯留し油面高さを安定的に維持できるので、圧縮機構部1の圧縮室7のシール性が高まり、また圧縮機構部1の各摺動箇所が潤滑不良を起こすことがなくなり、高効率で信頼性の高い回転型圧縮機とすることができる。なお、冷凍機油として、冷媒がHFC32の割合が半分未満あるいはHFC32を含まないHFC冷媒の場合にはエーテル油もしくはエステル油またはアルキルベンゼン油がよく使用され、冷媒がHC冷媒の場合には鉱油がよく使用される。
また電動機50が可変速対応である場合、高圧冷媒の流速が速くなり、上軸受11に供給される冷凍機油の量も増加する回転型圧縮機の回転数が60rpsを超えるような高速運転時に本発明は特に有効であるが、電動機が一定速の圧縮機においても適用でき同様の効果を奏することができる。
実施の形態1に示した回転型圧縮機は、内部が高圧で圧縮機構部1が一つの密閉型シングルロータリ圧縮機であったが、この形態に限定されるものではなく、圧縮機構部1を複数備える形態や、複数の圧縮機構部1で順に圧縮する多段圧縮機構を有する形態に対しても適用できる。また、多段圧縮機構の圧縮機では内部が高圧でなく中間圧や低圧であってもよい。圧縮機構もロータリ式に限るものではなく、レシプロ式、スクロール式等の他の圧縮機構であってもよい。また、回転軸の軸方向が水平方向となる横置きの回転型圧縮機にも適用でき、同様な効果を奏することができる。
1 圧縮機構部、2 クランク軸、2a 偏心部、3 ローラ、4 シリンダ、4a ベーン溝、5 ベーン、6 吸入室、7 圧縮室、8 吐出マフラー、10 上軸受体、11 上軸受、12 下軸受体、13 下軸受、13a 下軸受内径、14 油通路穴、15 下軸受給油穴、16 偏心軸給油穴、17 偏心軸油溝、17a 偏心軸油溝の下端、50 電動機、51 固定子、52 回転子、53 回転子コア、54 上バランサ、55 下バランサ、56 風穴、57 ガラスターミナル、58 エアギャップ、70 密閉容器、71 円筒容器、72 上蓋、73 底蓋、74 脚体、75 油溜め、76 吐出管、80 一次空間、81 二次空間、90 気液分離器、91 容器、92 低圧接続管、93 吸入管。

Claims (3)

  1. クランク軸を有する駆動部と、前記クランク軸を介して前記駆動部により駆動される圧縮機構部とを収納する密閉容器を備え、
    前記圧縮機構部は、流体が流入するシリンダと、前記クランク軸の偏心部に嵌合され、前記シリンダ内に設けられたローラと、前記シリンダの両端面を閉塞し前記クランク軸を支持する上軸受と下軸受とから構成される、回転型圧縮機において、
    前記偏心部の外周の一部には軸方向の全巾にわたって油溝が設けられ、
    前記油溝の下端は前記下軸受の軸受部と連通し、前記油溝の断面形状は油の流れる方向に向かって縮小している
    ことを特徴とする回転型圧縮機。
  2. 前記油溝の断面形状は油の流れる方向に沿って連続して縮小している
    ことを特徴とする請求項1に記載の回転型圧縮機。
  3. 前記流体は炭酸ガス冷媒である
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の回転型圧縮機。
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