JP2012241107A - 複色不定形着色粒子、これを含有する多彩模様塗料組成物とそれより形成される多彩模様塗膜 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】色の異なる複数の不定形物11a,11bからなる複色不定形着色粒子10を含有する多彩模様塗料組成物を用いて多彩模様塗膜を形成する。
【選択図】図1
Description
しかし、単色系の着色粒子を2色以上含む多彩模様塗料より形成される塗膜は、必ずしも意匠性を十分に満足するものではなかった。
また、特許文献2には、屈折率1.4〜1.7の体質顔料を含む塗料中に、少なくとも1種の扁平状着色ゲル粒子が分散した水中水型多彩模様塗料組成物が開示されている。
一方、特許文献2に記載の水中水型多彩模様塗料組成物の場合、特定の体質顔料を含むことで鮮映性に優れた艶消し塗膜は形成できるものの、意匠性に優れ、立体感があるような深みのある多彩模様塗膜は形成できない。
ここで、任意の不定形物と、他の不定形物との色差が1〜10であることが好ましい。
また、本発明の多彩塗料組成物は、前記複色不定形着色粒子を含有することを特徴とする。
また、本発明の多彩模様塗膜は、前記多彩塗料組成物から形成されたことを特徴とする。
また、本発明の多彩模様塗料組成物によれば、意匠性に優れ、立体感があるような深みのある多彩模様塗膜を形成できる。
また、本発明の多彩模様塗膜は、意匠性に優れ、立体感があるような深みがある。
図1は、本発明の複色不定形着色粒子の一例を示す模式図である。この例の複色不定形着色粒子10は、色の異なる2つの不定形物11a,11bからなる。
ここで、「不定形」とは、圧力等の変化によって形状が容易に変化することを意味し、例えばゲル状などが挙げられる。
以下、複色不定形着色粒子10がゲル状着色粒子の場合を例にとり、具体的に説明する。
(樹脂エマルション)
樹脂エマルションとしては、例えばポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル、ベオバ(分岐脂肪酸ビニルエステル)、天然又は合成ゴムや、それらの共重合体のエマルションなど、一般に市販されている樹脂エマルションを使用することができる。中でも、アクリル樹脂が好ましい。
エマルション塗料が親水性コロイド形成物質を含有することにより、該親水性コロイド形成物質と後述するゲル化剤とが反応してエマルション塗料をカプセル化することができる。
親水性コロイド形成物質としては、例えばセルロース誘導体;ポリチレンオキサイド;ポリビニルアルコール;カゼイン、デンプン、ガラクトマンノン、グアルゴム、ローカストビーンゴムなどの天然高分子などを含有する水溶液が挙げられる。中でもグアルゴムの水溶液が好ましく、水溶液の濃度は0.5〜5質量%が好ましく、より好ましくは1.0〜3質量%である。
親水性コロイド形成物質は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
着色顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、酸化鉄、クロム酸鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッドなどの無機顔料、パール顔料、マイカ顔料、マイカコーティングパール顔料、アルミニウム粉、ステンレス粉などの光輝性顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドンレッドなどの有機顔料が挙げられる。
着色顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エマルション塗料には、必要に応じて体質顔料が任意成分として含まれてもよい。
体質顔料としては、カオリン、硫酸バリウム、含水ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
体質顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
体質顔料の含有量は、エマルション塗料100質量%中、0〜30質量%が好ましく、より好ましくは0〜20質量%である。
エマルション塗料は、上記樹脂エマルションに親水性コロイド形成物質を加え撹拌混合したものに、着色顔料と水の混合溶液を加えさらに撹拌混合して得られる。
水の含有量は、エマルション塗料100質量%、40〜90質量%が好ましく、より好ましくは50〜80質量%である。
(ゲル化剤)
ゲル化剤としては、例えばマグネシウムモンモリロナイト粘土、ナトリウムペンタクロロフェノール、ホウ酸塩、タンニン酸、乳酸チタン、塩化カルシウムなどを含有する水溶液が挙げられる。中でもホウ酸塩の水溶液が好ましく、水溶液の濃度は0.05〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜8質量%である。
ゲル化剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
分散媒には、必要に応じて体質顔料や水溶性高分子化合物が任意成分として含まれてもよい。
体質顔料としては、例えばカオリン、硫酸バリウム、含水ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどを含有する分散液が挙げられる。中でも含水ケイ酸マグネシウムの分散液が好ましく、分散液の濃度は0.05〜20質量%が好ましく、より好ましくは2〜10質量%である。
体質顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
体質顔料の含有量(固形分換算)は、分散媒100質量%中、0.05〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
水溶性高分子化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
水溶性高分子化合物(固形分換算)の含有量は、分散媒100質量%中、0.05〜3質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜2質量%である。
分散媒は、ゲル化剤を含む水溶液と、体質顔料を含む分散液と、水溶性高分子化合物を含む水溶液とを撹拌混合したものに、水を加え希釈することにより得られる。
水の含有量は、分散媒100質量%中、20〜80質量%が好ましく、より好ましくは30〜70質量%である。
複色不定形着色粒子10は、例えば色の異なる2種類のエマルション塗料を接触させた状態で、撹拌している分散媒に投入し、分散媒中で分散(細分化)させることにより得られる。
具体的には、図2(a)、(b)に示すような、吐出口21の先端が斜めに切断されたノズル20を2本用い、図3に示すように2本のノズル20a,20bの吐出口21a,21bの切断面が向き合うように、ノズル20a,20bを束ねる。そして、分散媒31が入った分散槽30の上方において、各ノズル20a,20bから1種類ずつエマルション塗料を吐出させ、これらエマルション塗料が接触した状態で分散媒31に投入する。なお、分散媒31は、ディソルバなどの分散機(図示略)で撹拌させておく。
すると、各エマルション塗料が接触した状態で、エマルション塗料に含まれる親水性コロイド形成物質と、分散媒に含まれるゲル化剤とが作用して形成される三次元的網状組織の中に、エマルション塗料が個々に閉じ込められる。さらにこれが細分化されることにより、図1に示すような、ゲル化膜でカプセル化した不定形物(ゲル状物)11a,11bからなる複色不定形着色粒子(複色ゲル状着色粒子)10が得られる。
なお、各エマルション塗料の吐出流量や吐出流速に差をつければ、図3に示すように2本のノズル20a,20bの切断角度が同じ場合でも、不定形物の割合が異なる複色不定形着色粒子が得られる。
なお、複色不定形着色粒子は、分散媒に分散した状態のまま多彩模様塗料組成物に使用できる。従って、エマルション塗料と分散媒に割合は、分散媒に投入される全エマルション塗料の合計を100質量部としたとき、分散媒の量が100〜500質量部であることが好ましく、より好ましくは150〜400質量部である。エマルション塗料と分散媒に割合を上記範囲内とすることにより、形状が均一なカプセル化された複色不定形着色粒子が得られる。
本発明において「色の異なる」とは、任意の不定形物を基準とし、これと他の不定形物との色差(ΔE)が0.1以上であることを意味し、特に色差が1〜10であることが好ましく、4〜10であることがより好ましい。
複色不定形着色粒子を構成する不定形物同士の色差(ΔE)は、複色不定形着色粒子の製造に用いるエマルション塗料より形成される塗膜同士の色差(ΔE)を測定することで求められる。
特に、色差が1以上、中でも4以上であれば、陰影が際立って見えるようになる。ただし、色差が大きすぎると、特定の色が必ず特定の色に隣接するといった、意匠性における斬新さは得られるものの、塗膜となったときに陰影の付きかたが不自然に見えるようになる傾向にある。従って、色差は10以下が好ましい。
なお、上述したような単色不定形着色粒子の場合は陰影ができたように見えにくく、塗膜に立体感があるような深みを付与するのは容易でない。
本発明においては、複色不定形着色粒子の粒子径は0.1〜50mmが好ましく、3〜20mmがより好ましい。粒子径を上記範囲内とすることにより、色調の異なった複色不定形着色粒子が複数混在した場合に、塗膜に立体感が生じやすくなり、意匠性により富んだものとなる。
本発明の複色不定形着色粒子は、上述したものに限定されない。例えば上述した例では、複色不定形着色粒子10を製造するに際して、吐出口の先端が斜めに切断された2本のノズルは切断面同士が向き合うように束ねられているが、2種類のエマルション塗料が接触した状態で分散媒に投入できれば、切断面同士が向き合っていなくてもよく、例えば反対側を向いていてもよい。
なお、吐出口41a,41bの下方に設けられた分散槽30の分散媒31に投入される前に2種類のエマルション塗料が接触し、その状態で分散媒31に投入できれば、図4(b)に示すように、2本のノズル40a,40bの吐出口41a,41b同士は離れていてもよい。
なお、図6(a)、(b)中、符号20a〜20c,40a〜40cはノズルであり、符号21a〜21c,41a〜41cは各ノズルに対応する吐出口である。
本発明の多彩模様塗料組成物は、上述した複色不定形着色粒子を含有する。また、多彩模様塗料組成物には、色調の異なる2種類以上の複色不定形着色粒子が含まれていてもよい。2種類以上の複色不定形着色粒子を含むことにより、塗膜とした際により複雑な深みがある模様が得られる。
複色不定形着色粒子の含有量は、多彩模様塗料組成物100質量%中、30〜100質量%が好ましく、40〜80質量%がより好ましい。複色不定形着色粒子の含有量が30質量%以上であれば、より複雑で立体感がある塗膜が得られやすくなる。
樹脂エマルションとしては、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル、ベオバ(分岐脂肪酸ビニルエステル)、天然又は合成ゴムや、それらの共重合体のエマルションなど、一般に市販されている樹脂エマルションを使用することができる。中でも、アクリル樹脂が好ましい。
樹脂エマルションの含有量は、多彩模様塗料組成物100質量%中、0〜50質量%が好ましく、より好ましくは20〜40質量%である。樹脂エマルションを上記範囲内で含むことにより、塗装作業性に優れると共に、耐久性のよい塗膜が得られる。
水の含有量は、多彩模様塗料組成物100質量%中、30〜85質量%が好ましく、40〜80質量%がより好ましい。
塗布時における多彩模様塗料組成物の塗布量には特に制限はないが、通常、300〜600g/m2となるように塗布するのが好ましい。
また、塗装方法にも制限はなく、刷毛、こて、ローラー、スプレーなどの公知の塗布方法で塗布することができ、常温乾燥、加熱乾燥することができる。
また、本発明の多彩模様塗料組成物であれば、複色不定形着色粒子の製造段階で色の組み合わせが決定されるので、単色の着色粒子を含む塗料組成物と比較して、特定の色が必ず特定の色に隣接するといった、意匠性における斬新さが得られる。
しかし、本発明の多彩模様塗料組成物であれば、複色不定形着色粒子は常に異なる色が隣接して存在しているため、塗装によって変化する複色不定形着色粒子同士の重なりによる塗膜の見え方の変化を考慮する必要がない。
本発明の多彩模様塗膜は、本発明の複色不定形着色粒子を含有する多彩模様塗料組成物から形成される。よって、優れた意匠性と立体感があるような深みがある。
なお、本発明の多彩模様塗膜は、塗装対象物の表面に設けられるが、塗装対象物上に直接設けられていてもよいし、ベースコート層を介して設けられていてもよい。また、本発明の多彩模様塗膜には、必要に応じてクリアトップコート層が設けられていてもよいし、本発明の多彩模様塗膜をトップコート層としてもよい。
<エマルション塗料G−1の調製>
表1の(a)成分に示す配合組成に従って、アクリル樹脂エマルション(日本アクリル化学株式会社製、「プライマルAC38」)38部と、非イオン性グアルゴム誘導体の1.5%水溶液28.5部(固形分0.43部)とを混合し、混合溶液(a)を調製した。
別途、表1の(b)成分に示す配合組成に従って、チタン白(石原産業株式会社製、「チタンR930」)10部と、アニオン性高分子分散剤(日本アクリル化学株式会社製、「オロタン731」)1部と、水22.5部とを混合し、混合溶液(b)を調製した。
ついで、混合溶液(a)に混合溶液(b)を加え撹拌し、エマルション塗料G−1(ホワイト)を得た。
表1の(b)成分に示す配合組成に従って混合溶液(b)を調製した以外は、エマルション塗料G−1と同様にして、エマルション塗料G−2(オーカー)、エマルション塗料G−3(ブラウン)、エマルション塗料G−4(ブラック)を得た。
なお、表1に示すオーカーはチタン工業株式会社製の「LLXLO」を、ブラウンはチタン工業株式会社製の「T−10」を、酸化鉄黒はランクセス株式会社製の「バイフェロックス318」を用いた。
表2〜4に示す配合組成に従って、エマルション塗料G−1〜G−4を混合し、エマルション塗料M−1〜M−17を得た。
得られたエマルション塗料M−1〜M−17をコート紙上に塗布して塗膜を形成し、これら塗膜について、色差計(コニカミノルタセンシング株式会社製)を用いて色差(ΔE)を測定した。結果を表2〜4に示す。
なお、エマルション塗料M−1〜M−6については、エマルション塗料M−5を、エマルション塗料M−7〜M−13については、エマルション塗料M−11を、エマルション塗料M−14〜M−17については、エマルション塗料M−14をそれぞれブランクとして実施した。
含水ケイ酸マグネシウムの4%水中分散液25部(固形分1部)に、重ホウ酸アンモニウムの5%水溶液5部(固形分0.25部)と、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの1%水溶液25部(固形分0.25部)を加え撹拌混合した後、水45部を加えて希釈し、分散媒を得た。
表5、6に示す組み合わせのエマルション塗料を用い、図3に示すようにして各ノズル20a,20bの吐出口21a,21bから吐出し、分散媒31の液面に到達する前に各エマルション塗料を接触させ、接触した状態でディソルバにより撹拌されている分散媒31へ投入し、複色不定形着色粒子A−1〜A−14を得た。
なお、エマルション塗料と分散媒の割合は、分散媒に投入される全エマルション塗料の合計量:分散媒の量=60:40となるように設定した。
また、切断面同士のなす角θ1は75°、吐出口21a,21bの接点22から分散媒31の水面32までの距離d1は5cmとした。
また、複色不定形着色粒子A−14については、3本のノズルを図6(a)に示すように均等に配置して製造した。
表7に示すエマルション塗料を用い、エマルション塗料の合計量:分散媒の量=60:40の割合で、分散媒にエマルション塗料を加え、ディソルバで撹拌し、単色不定形着色粒子B−1〜B−9を得た。
<多彩模様塗料組成物の調製>
アクリル樹脂エマルション(「プライマルAC−33」日本アクリル化学株式会社製)25部に、複色不定形着色粒子A−1を70部と、アルカリ可溶型増粘剤(SNシックナー636)1部と、25%アンモニア水0.1部と、水3.9部とを混合し、ディソルバで撹拌して多彩模様塗料組成物を製造した。
スレート板の表面に、得られた多彩模様塗料組成物を塗布量が500g/m2になるようにスプレー塗装し、常温乾燥して多彩模様塗膜を得た。
塗膜の外観を目視にて観察し、以下の評価基準にて評価した。結果を表8に示す。
◎:陰影感が際立ち、立体感があるような複雑な深みがある。
○:陰影感があり、立体感があるような深みがある。
△:陰影感が弱く、立体感があるような深みが僅かにある。
×:陰影が感じられず、立体感があるような深みがない。
表8、9に示す複色不定形着色粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして多彩模様塗料組成物を調製し、塗膜の外観評価を行った。結果を表8、9に示す。
複色不定形着色粒子に代えて、表10に示す種類の単色不定形着色粒子を組み合わせて用いた以外は、実施例1と同様にして多彩模様塗料組成物を調製し、塗膜の外観評価を行った。結果を表10に示す。
特に、色差が1以上である複数の不定形物からなる複色不定形着色粒子を含む実施例1〜12の多彩模様塗料組成物から形成された多彩模様塗膜は、立体感があるような深みが感じられた。中でも、色差が4〜10である実施例2、4、6、8、10、12の多彩模様塗膜は、陰影感が際立ち、複雑な深みがあり、意匠性に優れるものであった。
なお、色差が10.9および14.9である実施例9、11の多彩模様塗膜は、立体感があるような深みはあるものの、陰影の付きかたがやや不自然に見え、しばらく見つめていると次第に目がチカチカとした。
Claims (4)
- 色の異なる複数の不定形物からなることを特徴とする複色不定形着色粒子。
- 任意の不定形物と、他の不定形物との色差が1〜10であることを特徴とする請求項1に記載の複色不定形着色粒子。
- 請求項1または2に記載の複色不定形着色粒子を含有することを特徴とする多彩模様塗料組成物。
- 請求項3に記載の多彩模様塗料組成物から形成されたことを特徴とする多彩模様塗膜。
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