JP2012239927A - 排水処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来よりもきめ細かな制御を行うことができる排水処理方法を提供しようとするもの。
【解決手段】排水1を有隔膜電気分解の陽極側3に通す陽極側処理工程と、陰極側4に通す陰極側処理工程とを具備させるようにした。陽極側処理工程と陰極側処理工程における現象と、排水の性状の変化とを有機的に結合して制御することができる。前記隔膜Pとしてアニオン交換膜5を用い、陰極側処理工程で排水中に含有される塩化物イオンを陽極側3へと移動させて低減するようにしてもよい。
【選択図】図1
Description
すなわち、難分解性物質を含有する廃液又は排水を、陽極が導電性セラミックス電極である電解装置内に導入し、10A/dm2以上の高い電流密度で電気分解し、廃液又は排水に次亜ハロゲン酸と活性酸素を生成させ強力な酸化分解作用を与える。この強力な酸化分解作用とは、高い電流密度で行われる電気分解による陽極酸化と、そこで生成する次亜ハロゲン酸と活性酸素による酸化分解作用である。
ヒドロキシラジカルなどの活性酸素は陽極で生成し強力であるが、このヒドロキシラジカルなどの活性酸素の寿命は短い。一方電解処理水中に生成した次亜ハロゲン酸は有機物等に接触しなければその寿命はヒドロキシルラジカルなどの活性酸素よりはるかに長い。
電解処理水の中の次亜ハロゲン酸は有機物等に接触して経時的に分解してヒドロキシラジカルなどの活性酸素を生成して難分解性化合物を酸化分解することが出来る、というものである。
しかし、この排水の処理方法ではきめ細かな制御を行うことができないという問題があった。
(1)この発明の排水処理方法は、排水を有隔膜電気分解の陽極側に通す陽極側処理工程と、陰極側に通す陰極側処理工程とを具備させるようにしたことを特徴とする。このように構成したので、陽極側処理工程と陰極側処理工程における現象と、排水の性状の変化とを有機的に結合して制御することができる。
ここで、前記排水とは浄化されるべき水を総称する概念であって、工場廃水等の廃棄する水のみならず、プールの水、風呂の水、浄化槽の水その他の再利用する水をも含むものである。
ここで、有効塩素の酸化力は、HOCl>OCl−の順序になっており、pHが増加することによりHOClよりもOCl−の割合が多くなってきたら(HOCl+ OH−→OCl−+ H2O)、全体的な酸化力は低減することになる。
排水のpHが増加すると、揮発した塩素ガスを溶解させ易くなり回収し易くなる(Cl2+2 OH−→2HOCl)。
前記排水の性状として、化学的酸素要求量COD、水素イオン濃度pH、残留塩素濃度、食塩濃度などを例示することが出来る。
排水の浄化の工程の選択方法として、pHの中性への調整を例示することができ(排水がアルカリ領域であって下げたい場合は陽極側処理工程を選択し、排水が酸性領域であって上げたい場合は陰極側処理工程を選択する)、また陰極側処理工程を最終工程に設定すると放流前の残留塩素濃度の低減を図ることができる。
そして、塩化物イオンとナトリウムイオンの濃度を低減して脱塩することにより排水から純水を製造することができる。さらに、後工程でRO膜を使用すると清浄な超純水を製造することができる。
すなわち、陽極側処理工程によりpHが低下する傾向が見られるが(2H2O→O2+4H++4e−)、排水のpHを低下させ酸性にすることよって、浄化処理後の排水中の余剰の次亜塩素酸(HOCl)を塩素ガス(Cl2)の形に変化させて揮発させて(2HOCl+2H+→Cl2↑+H2O)、残留塩素濃度を低下させることができる。次いで、この排水を陰極側処理工程に送って酸性から中性に戻すことができる。ここで、揮発した塩素ガスは、回収して排水に溶解させて再利用することができる。
また、酸性に傾いた排水を陰極側処理工程に送って中性に戻すことができる。
陽極側処理工程と陰極側処理工程における現象と、排水の性状の変化とを有機的に結合して制御することができるので、従来よりもきめ細かな制御を行うことができる排水処理方法を提供することができる。
〔実施形態1〕
図1に示すように、この実施形態の排水の処理方法は、排水(汚水原水)1を先ず無隔膜の電気分解槽2に供給するようにした。排水1への導電性の付与や有効塩素(Cl2、HOCl、OCl−)の素となる塩化物イオン(Cl−)の供給のため、排水1の食塩濃度が3%程度になるようにNaClを添加した。
ここで、有効塩素の酸化力は、HOCl>OCl−の順序になっており、pHが増加することによりHOClよりもOCl−の割合が多くなってきたら(HOCl+ OH−→OCl−+ H2O)、全体的な酸化力は低減することになる。
そして排水1のpHが増加すると、揮発した塩素ガスを溶解させ易くなり回収し易くなる(Cl2+2 OH−→2HOCl)。
前記排水1の性状として、化学的酸素要求量COD、水素イオン濃度pH、残留塩素濃度、食塩濃度などを例示することが出来る。
排水1の浄化の工程の選択方法として、pHの中性への調整を例示することができ(排水1がアルカリ領域であって下げたい場合は陽極側処理工程を選択し、排水1が酸性領域であって上げたい場合は陰極側処理工程を選択する)、また陰極側処理工程を最終工程に設定すると放流前の残留塩素濃度の低減を図ることができる。
そして、塩化物イオンとナトリウムイオンの濃度を低減して脱塩することにより排水1から純水を製造することができる。さらに、後工程でRO膜を使用すると清浄な超純水を製造することができる。
また、有隔膜電気分解の陽極側3(電解通路)に通す陽極側処理工程の各段(4段で構成している)で一部揮発した塩素ガスを収集するようにしている。この塩素ガスは、汚水原水1にバブリングして溶解させるようにしてもよい(図示せず)。このようにすると、排水1に溶解した塩素ガスが水と反応して次亜塩素酸が生成し、この次亜塩素酸が汚れ成分を酸化分解することになる。
さらに、有隔膜電気分解の陰極側4(電解通路)に通す各段(4段で構成している)で発生した水素ガスを収集するようにしている。そして、この収集した水素ガスを燃料電池(図示せず)に送って発電に供し、発生した電気を電気分解のための電力源として利用している。これにより、排水処理のための電気代を節減して省エネに資することができる。
〔実施形態2〕
そして、排水中に食塩が共存する状態での電気分解(2Cl−→Cl2+2e−、Cl2+ H2O→HOCl+ HCl)で生成する次亜塩素酸(HOCl)により、排水中の汚れ成分(主として有機成分)は酸化分解されることになる。また、前記汚れ成分は陽極電極に接触して直接酸化されることにより分解されることになる。さらに、前記汚れ成分は電解により生成するヒドロキシルラジカル(・OH)により分解されることになる。
すなわち、陽極側処理工程によりpHが低下する傾向が見られるが(2H2O→O2+4H++4e−)、排水1のpHを低下させ酸性にすることよって、浄化処理後の排水1中の余剰の次亜塩素酸(HOCl)を塩素ガス(Cl2)の形に変化させて揮発させて(2HOCl+2H+→Cl2↑+H2O)、残留塩素濃度を低下させることができる。
次いで、この排水1を陰極側処理工程(陰極側4の電解通路)に送って酸性から中性に戻す。一方、揮発した塩素ガスは、回収して無隔膜の電気分解槽2の前の排水1に溶解させて酸化剤として再利用するようにしている。
〔実施形態3〕
そして、排水中に食塩が共存する状態での電気分解(2Cl−→Cl2+2e−、Cl2+ H2O→HOCl+ HCl)で生成する次亜塩素酸(HOCl)により、排水中の汚れ成分(主として有機成分)は酸化分解されることになる。また、前記汚れ成分は陽極電極に接触して直接酸化されることにより分解されることになる。さらに、前記汚れ成分は電解により生成するヒドロキシルラジカル(・OH)により分解されることになる。
すなわち、陽極側処理工程によりpHが低下する傾向が見られるが(2H2O→O2+4H++4e−)、排水1のpHを低下させ酸性にすることよって、浄化処理後の排水1中の余剰の次亜塩素酸(HOCl)を塩素ガス(Cl2)の形に変化させて揮発させて(2HOCl+2H+→Cl2↑+H2O)、残留塩素濃度を低下させることができる。
3 陽極側
4 陰極側
5 アニオン交換膜
6 カチオン交換膜
P 隔膜
Claims (5)
- 排水1を有隔膜電気分解の陽極側3に通す陽極側処理工程と、陰極側4に通す陰極側処理工程とを具備させるようにしたことを特徴とする排水処理方法。
- 前記隔膜Pとしてアニオン交換膜5を用い、陰極側処理工程で排水中に含有される塩化物イオンを陽極側3へと移動させて低減するようにした請求項1記載の排水処理方法。
- 前記隔膜Pとしてカチオン交換膜6を用い、陽極側処理工程で排水中に含有されるナトリウムイオンを陰極側4へと移動させて低減するようにした請求項1又は2記載の排水処理方法。
- 前記陽極側処理工程で排水1の水素イオン濃度を低下させて塩素ガスを揮発させ易くするようにした請求項1乃至3のいずれかに記載の排水処理方法。
- 前記陰極側処理工程で排水1の水素イオン濃度を増加させて塩素ガスを溶解させ易くするようにした請求項1乃至4のいずれかに記載の排水処理方法。
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