JP2012237259A - インジェクタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】インジェクタ1によれば、噴孔群34は、2つの噴孔6からなり、一方の噴孔6の孔軸と他方の噴孔6の孔軸とがねじれの位置の関係にあり、かつ、両方の噴孔6の孔軸がそれぞれサック室28の空間軸とねじれの位置の関係にある。これにより、サック室28の燃料の渦は偏心して噴孔6に進入し、噴孔6内で旋回方向に加速されるとともに直進方向に減速される。このため、噴孔6から噴射された燃料は、旋回方向には速度が大きく、かつ、直進方向には速度が小さくなるので、低貫徹かつ広角の噴霧を形成することができる。また、2つの噴孔6により形成される噴霧は重なりにくいので、噴孔群34により形成される噴霧群は、噴霧の重なりによる貫徹力の増大が抑制される。
【選択図】図3
Description
これにより、ノズルニードル(インジェクタの弁体)の低リフト時において、噴孔内に旋回流が形成され、低貫徹かつ広角の噴霧が形成されるとしている。
これにより、噴孔群におけるノズルボディ外側の開口同士の間隔を変えることで、噴霧の扁平度を操作することができるとしている。
請求項1の手段によれば、インジェクタは、燃料の噴出孔であって弁体の移動により開閉される複数の噴孔と、底面および略円筒状の側面により構成される空間であって複数の噴孔が開口するとともに、底面とは軸方向の反対側に形成される空間開口が弁体により封鎖され、空間軸が側面の円筒軸に略一致するサック室とを備える。そして、弁体が開側に移動することで、空間開口の側から底面に向かってサック室に燃料が流入するとともに複数の噴孔から燃料が噴射される。
以上により、エンジンに燃料を噴射供給するインジェクタに関し、弁体のリフト量に係わらず、より安定した低貫徹噴霧を実現することができる。
請求項2の手段によれば、複数の噴孔群の中には、2つの噴孔からなり、2つの噴孔のサック室における開口が互いに重なるとともに、一方の噴孔の孔軸と他方の噴孔の孔軸とが非平行であり、かつ、両方の噴孔の孔軸がそれぞれサック室の空間軸とねじれの位置の関係にある第2噴孔群が存在する。
すなわち、第2噴孔群をなす噴孔(以下、第2噴孔と呼ぶ。)およびサック室ではキャビテーション領域が形成され、第2噴孔から噴射された燃料は、低貫徹かつ広角の噴霧を形成する。また、2つの第2噴孔のそれぞれにより形成される噴霧は重なりにくくなるため、噴霧の重なりによる噴霧群の貫徹力の増大が抑制される。
以上により、エンジンに燃料を噴射供給するインジェクタに関し、弁体のリフト量に係わらず、より安定した低貫徹噴霧を実現することができる。
請求項3の手段によれば、複数の噴孔群の中には、サック室における開口が外部に対する開口よりも大きく、サック室における開口から外部に対する開口に向かって孔径がテーパ状に縮径する大噴孔、および、大噴孔の孔軸とねじれの位置関係にある孔軸を有し、大噴孔から分岐して外部に対し開口する小噴孔により形成される第3噴孔群が存在する。
以上により、エンジンに燃料を噴射供給するインジェクタに関し、弁体のリフト量に係わらず、より安定した低貫徹噴霧を実現することができる。
請求項4の手段によれば、第1噴孔群をなす2つの噴孔のサック室における開口と、他の噴孔群に含まれる噴孔のサック室における開口との周方向の距離の最小値を群間距離と定義すると、群間距離は、第1噴孔群をなす2つの噴孔のサック室における開口同士の周方向の距離の最小値(以下、第1群内距離と呼ぶ。)よりも大きい。
以上により、一方側、他方側第1噴孔にはサック室から渦が進入しやすくなるので、請求項1の作用効果をより顕著に得ることができる。
請求項5の手段によれば、第2噴孔群をなす2つの噴孔のサック室における開口同士を重ね合わせた全開口と、他の噴孔群に含まれる噴孔のサック室における開口との周方向の距離の最小値を群間距離と定義すると、群間距離は全開口の周方向の長さよりも大きい。
これにより、サック室の側面において、全開口の周方向両側では全開口の周方向の長さよりも周方向に長い範囲で他の噴孔の開口が存在しない。このため、2つの第2噴孔にはサック室から渦が進入しやすくなるので、請求項2の作用効果をより顕著に得ることができる。
請求項6の手段によれば、大噴孔のサック室における開口と、他の噴孔群に含まれる噴孔のサック室における開口との周方向の距離の最小値を群間距離と定義すると、群間距離はサック室における大噴孔の開口径よりも大きい。
これにより、サック室の側面において、大噴孔の周方向両側では大噴孔の開口径よりも周方向に長い範囲で他の噴孔の開口が存在しない。このため、大噴孔にはサック室から渦が進入しやすくなるので、請求項3の作用効果をより顕著に得ることができる。
また、第2噴孔群をなす2つの噴孔のサック室における開口同士を重ね合わせた全開口と、他の噴孔群に含まれる噴孔のサック室における開口との周方向の距離の最小値を群間距離と定義すると、群間距離は全開口の周方向の長さよりも大きい。
実施例1のインジェクタ1の構成を、図1および図2を用いて説明する。
インジェクタ1は、100MPaを超える超高圧の噴射圧により燃料を噴射供給することができるものであり、例えば、燃料タンクの燃料を吸引するとともに高圧化して吐出する燃料供給ポンプ(図示せず)や、燃料供給ポンプから吐出された燃料を高圧状態で蓄圧するコモンレール等とともに蓄圧式の燃料噴射装置を構成する。そして、インジェクタ1は、コモンレールから受け入れた高圧の燃料を、例えば、ディーゼルエンジン(図示せず)の気筒内に直接的に噴射供給する。
ノズルニードル8は、後端部がノズルボディ7により摺動自在に支持される摺動軸部をなし、先端部が噴孔6を開閉する弁としての機能を具備する。
実施例1のインジェクタ1の特徴を、図1〜図4を用いて説明する。
まず、ノズルボディ7は、シート面10からシート部11が離座したときにノズル室9から燃料が流れ込むサック室28を有する。サック室28は、ノズル室9の先端側に設けられており、半球面状の先端側底面29、および先端側底面29の後端側に連続する略円筒状の側面30により構成される袋状の空間であって、側面30の後端がサック室28の開口28aを形成している。
ここで、ノズルニードル8の先端部は3つの異なる円錐面32a、32b、32cが先端側から連なっており、円錐面32a、32b、32cの順に径大かつ急勾配となっている。そして、円錐面32a、32bの接続線、および円錐面32b、32cの接続線は稜線状の円をなす。そして、円錐面32b、32cの接続線がシート部11をなす。
ここで、噴孔群34とは、複数の噴孔6を近接配置することで形成されるものであり、例えば、図3に示すように6つの噴孔6が2つずつ近接配置され、2つの噴孔6からなる噴孔群34が3つ形成されている。具体的には、6つの噴孔6a、6b、6c、6d、6e、6fの内、噴孔6a、6b、噴孔6c、6d、噴孔6e、6fが、それぞれ近接配置されて噴孔群34A、34B、34Cを形成している。
同様に、噴孔群34B、34Cそれぞれからの噴射により形成される噴霧群も、噴霧同士の重なりによる貫徹力の増大が抑制される。
また、第1噴孔群をなす2つの噴孔6の内側開口35同士の周方向の距離の最小値を第1群内距離Bと定義する。
そして、群間距離Lは第1群内距離Bよりも大きい。
実施例1のインジェクタ1によれば、ノズルニードル8が開弁方向に移動すると、サック室28で縦方向に旋回する燃料の渦が形成される。また、インジェクタ1には、燃料を噴射するための3つの噴孔群34が周方向に離間して設けられている。そして、3つの噴孔群34は、全て、2つの噴孔6からなり、一方の噴孔6の孔軸と他方の噴孔6の孔軸とがねじれの位置の関係にあり、かつ、両方の噴孔6の孔軸がそれぞれサック室28の空間軸とねじれの位置の関係にある第1噴孔群として設けられている。
以上により、インジェクタ1において、ノズルニードル8のリフト量に係わらず、より安定した低貫徹噴霧を実現することができる。
これにより、サック室28において、噴孔群34の周方向両側には渦安定領域38が広範囲に形成され、噴孔6の内側開口35は渦安定領域38に対向する。このため、噴孔6には渦が安定した状態で進入しやすくなるので、低貫徹かつ広角の噴霧を形成する効果をより顕著に得ることができる。
実施例2のインジェクタ1によれば、図5に示すように、6つの噴孔6g、6h、6i、6j、6k、6mを有し、噴孔6g、6h、噴孔6i、6j、および噴孔6k、6mがそれぞれ噴孔群34D、34E、34Fを形成している。
なお、噴孔群34D〜34Fでは、2つの噴孔6の内側開口35が略一致しており、一方の噴孔6の孔軸と他方の噴孔6の孔軸とが内側開口35において交差している。
同様に、噴孔群34E、34Fそれぞれからの噴射により形成される噴霧群も、噴霧同士の重なりによる貫徹力の増大が抑制される。
以上により、ノズルニードル8のリフト量に係わらず、より安定した低貫徹噴霧を実現することができる。
また、第2噴孔群をなす2つの噴孔6の内側開口35同士を重ね合わせた全開口の周方向の長さを第2内側開口長さD2と定義する。なお、噴孔群34D〜34Fでは、第2内側開口長さD2が内側開口35の径に略一致している。
そして、群間距離Lは第2内側開口長さD2よりも大きい。
以上により、噴孔6g〜6mには、渦安定領域38の渦が安定した状態で進入しやすくなるので、低貫徹かつ広角の噴霧を形成する効果をより顕著に得ることができる。
実施例3のインジェクタ1によれば、図6に示すように、9つの噴孔6n、6p、6q、6r、6s、6t、6u、6v、6wを有し、噴孔6n〜6q、噴孔6r〜6t、および噴孔6u〜6wがそれぞれ噴孔群34G、34H、34Iを形成している。
さらに、噴孔群34Iは、大噴孔として噴孔6uを有し、小噴孔として噴孔6v、6wを有する。そして、噴孔6v、6wは、それぞれ噴孔群34Gにおける噴孔6p、6qと同様の配置関係を有する。
以上により、ノズルニードル8のリフト量に係わらず、より安定した低貫徹噴霧を実現することができる。
さらに、噴孔群34G〜34Iは、実施例1の噴孔群34A〜34Cと同様に3回対称である。このため、噴孔群34G、34H間、噴孔群34H、34I間、および噴孔群34I、34G間の群間距離Lは全て等しく、かつ、噴孔群34G〜34Iそれぞれの第3内側開口径D3は全て等しい。
そして、群間距離Lは第3内側開口径D3よりも大きい。
インジェクタ1の態様は、実施例1〜3に限定されず種々の変形例を考えることができる。
例えば、実施例1のインジェクタ1によれば、噴孔群34は全て第1噴孔群であり、実施例2のインジェクタ1によれば、噴孔群34は全て第2噴孔群であり、実施例3のインジェクタ1によれば、噴孔群34は全て第3噴孔群であったが、噴孔群34の種類を2種以上含むようにインジェクタ1を設けてもよく、第1〜第3噴孔群以外の種類の噴孔群34を含むようにインジェクタ1を設けてもよい。
さらに、実施例3のインジェクタ1によれば、噴孔群34において、2つの小噴孔が大噴孔から分岐していたが、1つまたは3つ以上の小噴孔を大噴孔から分岐させてもよい。
6 噴孔
8 ノズルニードル(弁体)
28 サック室
28a 開口(空間開口)
29 先端側底面(底面)
30 側面
34、34A〜34I 噴孔群
35 内側開口(サック室における開口)
36 外側開口(外部に対する開口)
L 群間距離
B 第1群内距離(第1噴孔群をなす2つの噴孔のサック室における開口同士の周方向の距離の最小値)
D2 第2内側開口長さ(全開口の周方向の長さ)
D3 第3内側開口径(大噴孔の開口径)
Claims (6)
- 燃料の噴出孔であって弁体(8)の移動により開閉される複数の噴孔(6)と、
底面(29)および略円筒状の側面(30)により構成される空間であって前記複数の噴孔(6)が開口するとともに、前記底面(29)とは軸方向の反対側に形成される空間開口(28a)が前記弁体(8)により封鎖され、空間軸が前記側面(30)の円筒軸に略一致するサック室(28)とを備え、
前記弁体(8)が開側に移動することで、前記空間開口(28a)の側から前記底面(29)に向かって前記サック室(28)に燃料が流入するとともに前記複数の噴孔(6)から燃料が噴射され、
前記複数の噴孔(6)は、前記サック室(28)の周方向に離間している複数の噴孔群(34、34A、34B、34C)をなし、
この複数の噴孔群(34、34A、34B、34C)の中には、
2つの噴孔(6)からなり、一方の噴孔(6)の孔軸と他方の噴孔(6)の孔軸とがねじれの位置の関係にあり、かつ、両方の噴孔(6)の孔軸がそれぞれ前記サック室(28)の空間軸とねじれの位置の関係にある第1噴孔群が存在することを特徴とするインジェクタ(1)。 - 燃料の噴出孔であって弁体(8)の移動により開閉される複数の噴孔(6)と、
底面(29)および略円筒状の側面(30)により構成される空間であって前記複数の噴孔(6)が開口するとともに、前記底面(29)とは軸方向の反対側に形成される空間開口(28a)が前記弁体(8)により封鎖され、空間軸が前記側面(30)の円筒軸に略一致するサック室(28)とを備え、
前記弁体(8)が開側に移動することで、前記空間開口(28a)の側から前記底面(29)に向かって前記サック室(28)に燃料が流入するとともに前記複数の噴孔(6)から燃料が噴射され、
前記複数の噴孔(6)は、前記サック室(28)の周方向に離間している複数の噴孔群(34、34D、34E、34F)をなし、
この複数の噴孔群(34、34D、34E、34F)の中には、
2つの噴孔(6)からなり、この2つの噴孔(6)の前記サック室(28)における開口(35)が互いに重なるとともに、一方の噴孔(6)の孔軸と他方の噴孔(6)の孔軸とが非平行であり、かつ、両方の噴孔(6)の孔軸がそれぞれ前記サック室(28)の空間軸とねじれの位置の関係にある第2噴孔群が存在することを特徴とするインジェクタ(1)。 - 燃料の噴出孔であって弁体(8)の移動により開閉される複数の噴孔(6)と、
底面(29)および略円筒状の側面(30)により構成される空間であって前記複数の噴孔(6)が開口するとともに、前記底面(29)とは軸方向の反対側に形成される空間開口(28a)が前記弁体(8)により封鎖され、空間軸が前記側面(30)の円筒軸に略一致するサック室(28)とを備え、
前記弁体(8)が開側に移動することで、前記空間開口(28a)の側から前記底面(29)に向かって前記サック室(28)に燃料が流入するとともに前記複数の噴孔(6)から燃料が噴射され、
前記複数の噴孔(6)は、前記サック室(28)の周方向に離間している複数の噴孔群(34、34G、34H、34I)をなし、
この複数の噴孔群(34、34G、34H、34I)の中には、
前記サック室(28)における開口(35)が外部に対する開口(36)よりも大きく、前記サック室(28)における開口(35)から前記外部に対する開口(36)に向かって孔径がテーパ状に縮径する大噴孔、
および、前記大噴孔の孔軸とねじれの位置関係にある孔軸を有し、前記大噴孔から分岐して外部に対し開口する小噴孔により形成される第3噴孔群が存在することを特徴とするインジェクタ(1)。 - 請求項1に記載のインジェクタ(1)において、
前記第1噴孔群をなす2つの噴孔(6)の前記サック室(28)における開口(35)と、他の噴孔群(34)に含まれる噴孔(6)の前記サック室(28)における開口(35)との周方向の距離の最小値を群間距離(L)と定義すると、
前記群間距離(L)は、前記第1噴孔群をなす2つの噴孔(6)の前記サック室(28)における開口(35)同士の周方向の距離の最小値(B)よりも大きいことを特徴とするインジェクタ(1)。 - 請求項2に記載のインジェクタ(1)において、
前記第2噴孔群をなす2つの噴孔(6)の前記サック室(28)における開口(35)同士を重ね合わせた全開口と、他の噴孔群(34)に含まれる噴孔(6)の前記サック室(28)における開口(35)との周方向の距離の最小値を群間距離(L)と定義すると、
前記群間距離(L)は、前記全開口の周方向の長さ(D2)よりも大きいことを特徴とするインジェクタ(1)。 - 請求項3に記載のインジェクタ(1)において、
前記大噴孔の前記サック室(28)における開口(35)と、他の噴孔群(34)に含まれる噴孔(6)の前記サック室(28)における開口(35)との周方向の距離の最小値を群間距離(L)と定義すると、
前記群間距離(L)は、前記サック室(28)における前記大噴孔の開口径(D3)よりも大きいことを特徴とするインジェクタ(1)。
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