JP2012235021A - 光電変換素子および太陽電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 実施形態の光電変換素子は、組成式CuxInyTe1−x−yにて表され、x、yは0.33≦(x/y)≦0.6と0<x+y<1を満たすカルコパイライト構造の化合物を含む光吸収層を有することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
また、他の実施形態の太陽電池は、前記実施形態の光電変換素子を用いてなることを特徴とする。
図1の概念図に示す光電変換素子10は、基板11と、前記基板上に設けられた裏面電極12と、前記裏面電極12上に設けられた第1の取り出し電極13と、前記裏面電極12上に設けられた光吸収層14と、前記光吸収層14上に設けられたバッファー層15(15a、15b)と、前記バッファー層15上に設けられた透明電極層16と、前記透明電極層16上に設けられた第2の取り出し電極17と、前記透明電極層16上に設けられた反射防止膜18とを少なくとも備えている。
Cu/Inモル比の組成分析は、光電変換素子10の中心部分をへき開し、断面SEM/EDX測定で行う。測定は、光電変換素子10の中心で行う。Cu/Inモル比は、断面膜厚方向の同一深度の5点平均値である。5点の定め方は、2万倍の断面SEM像を観察し、その断面SEM像を膜厚方向と直交する方向に5等分割し、分割された領域の中心点とする。n型化合物半導体層との界面及び裏面電極との界面は、断面SEM/EDX測定でn型化合物半導体層及び裏面電極の構成成分が含まれないp型化合物半導体の測定位置として定義する。
なお、実施形態において、カルコパイライト構造と空孔配列型カルコパイライト構造は、それぞれを別に説明している場合を除き、両者をカルコパイライト構造として記載する。
反射防止膜18としては、例えば、MgF2を用いることが望ましい。
なお、下記の製造方法の一例であり、適宜変更しても構わない。従って、工程の順序を変更してもよいし、複数の工程を併合してもよい。光電変換素子10の製造の全工程又は一部工程は、その製造装置においてシステム化されていてもよい。
基板11上に、裏面電極12を成膜する。成膜方法としては、例えば、導電性金属よりなるスパッタ法の薄膜形成方法が挙げられる。
裏面電極12を堆積後、光吸収層14となる化合物半導体薄膜を堆積する。実施形態の光吸収層14の成膜工程では、図4の概念図に示すTe源がCuとInの両方を含むターゲットと独立し、Teが蒸着可能な形態となっている成膜装置を用いることが好ましい。なお、裏面電極12には光吸収層14と第1の取り出し電極13を堆積するため、第1の取り出し電極13を堆積する部位を少なくとも除く裏面電極12上の一部に光吸収層14を堆積する。成膜方法として、Ib族元素であるCuと、Inは、両元素を含むターゲットを用いて、スパッタ法で、基板にCuとInを供給する。VIb族元素であるTeは真空蒸着法にて基板に原料供給して、スパッタと真空蒸着を同時に行って、光吸収層14を成膜する。
得られた光吸収層14の上にバッファー層15a,bを堆積する。
バッファー層15aの成膜方法としては、真空プロセスのスパッタ法、真空蒸着法或いは有機金属気相成長(MOCVD)、液相プロセスの化学析出(CBD)法などが挙げられる。
バッファー層15bの成膜方法としては、真空プロセスのスパッタ法、真空蒸着法或いは有機金属気相成長(MOCVD)などが挙げられる。
続いて、バッファー層15b上に、透明電極16を堆積する。
成膜方法としては真空プロセスのスパッタ法、真空蒸着法或いは有機金属気相成長(MOCVD)などが挙げられる。
第1の取り出し電極13を裏面電極12上の光吸収層14が成膜された部位を少なくとも除く部位に堆積する。
第2の取り出し電極17を透明電極16上の反射防止膜18が成膜される部位を少なくとも除く部位に堆積する。
成膜方法としてはスパッタ法、真空蒸着法などが挙げられる。
第1と第2の取り出し電極の成膜は、1工程で行ってもよいし、それぞれ、別の工程として、任意の工程の後に行ってもよい。
最後に透明電極16上の第2の取り出し電極17が成膜された部位を少なくとも除く部位に反射防止膜18を堆積する。
成膜方法としてはスパッタ法、真空蒸着法などが挙げられる。
上記の工程を経て、図1の概念図に示した光電変換素子10を作製する。
光電変換素子10のモジュールを作製する場合、基板11に裏面電極12を成膜する工程の後、レーザーにより裏面電極12を分断する工程、さらには光吸収層14上にバッファー層15を成膜する工程及びバッファー層15上に透明電極16を成膜する工程の後、それぞれメカニカルスクライブにより試料を分割する工程を挟むことにより集積化が可能となる。
基板11として青板ガラス基板を用い、スパッタ法により裏面電極12となるMo薄膜を700nm程度堆積した。スパッタは、Moをターゲットとし、Arガス雰囲気中でRF200W印加することにより行った。
光吸収層14となるCu−In−Te薄膜の成膜で、スパッタターゲットにCu/In=0.34となるCu−In−Te焼結体を用いること以外は実施例1と同じ方法で光電変換素子10を製造した。得られた光吸収層の組成を断面SEM/EDXで測定したところ、Cu/In=0.33、x=0.10で酸素置換量は3原子%であった。
光吸収層14となるCu−In−Te薄膜の成膜で、スパッタターゲットにCu/In=0.62となるCu−In−Te焼結体を用いること以外は実施例1と同じ方法で光電変換素子10を製造した。得られた光吸収層の組成を断面SEM/EDXで測定したところ、Cu/In=0.60、x=0.2で酸素置換量は3原子%であった。
光吸収層14となるCu−In−Te薄膜の成膜で、スパッタターゲットにCu/In=0.26となるCu−In−Te焼結体を用いること以外は実施例1と同じ方法で光電変換素子10を製造した。得られた光吸収層の組成を断面SEM/EDXで測定したところ、Cu/In=0.25、x=0.08で酸素置換量は3原子%であった。
光吸収層14となるCu−In−Te薄膜の成膜で、スパッタターゲットにCu/In=0.82となるCu−In−Te焼結体を用いること以外は実施例1と同じ方法で光電変換素子10を製造した。得られた光吸収層の組成を断面SEM/EDXで測定したところ、Cu/In=0.8、x=0.25で酸素置換量は3原子%であった。
Cu/Inモル比が0.33を境にしてそれ以下では、急激に変換効率が低下している。また、Cu/Inモル比が約0.6にて、Cu/Inモル比が0.33の場合と同程度の変換効率にまで低下している。
光吸収層14となるCu−In−Te薄膜の成膜で、Arガス導入前のチャンバー内部を1.0×10−1Paとした以外は実施例1と同じ方法で光電変換素子10を製造した。チャンバー内部を1.0×10−1Paとすることで、薄膜中に取り込まれる酸素量が10原子%に増大し、バンドギャップが1.4eV程度となる。
光吸収層14となるCu−In−Te薄膜の成膜で、Arガス導入前のチャンバー内部を1.0×10−3Paとした以外は実施例1と同じ方法で光電変換素子10を製造した。チャンバー内部を1.0×10−3Paとすることで、薄膜中に取り込まれる酸素量は0.1原子%に減少するが、バンドギャップは1.05eV程度となる。
光吸収層14となるCu−In−Te薄膜の成膜で、Arガス導入前のチャンバー内部を1.0×10−4Paとした以外は実施例4と同じ方法で光電変換素子10を製造した。チャンバー内部を1.0×10−4Paとすることで、バンドギャップが1.0eV程度となる。
光吸収層14となるCu−In−Te薄膜の成膜で、Arガス導入前のチャンバー内部を1.0Paとした以外は実施例4と同じ方法で光電変換素子10を製造した。チャンバー内部を1.0Paとすることで、カルコパイライト構造以外の酸化物の異相が析出してくる。
チャンバー内の酸素分圧が2.0×10−4より低い場合は、バンドギャップの増加がほとんど見られない。一方、酸素分圧が高くなると、バンドギャップが増加することを確認することができる。
光吸収層14となるCu−In−Te薄膜の成膜で、成膜中の基板温度を400℃とした以外は実施例1と同じ方法で光電変換素子10を製造した。
光吸収層14となるCu−In−Te薄膜の成膜で、成膜中の基板温度を600℃とした以外は実施例1と同じ方法で光電変換素子10を製造した。
光吸収層14となるCu−In−Te薄膜の成膜で、成膜中の基板温度を300℃とした以外は実施例1と同じ方法で光電変換素子10を製造した。
光吸収層14となるCu−In−Te薄膜の成膜で、成膜中の基板温度を650℃とした以外は実施例1と同じ方法で薄膜太陽電池10を製造した。
成膜温度が実施形態の範囲内において、変換効率が上がることが確認できる。成膜温度は、低すぎても、高すぎても、変換効率を下げる要因となる。
本発明の光電変換素子を太陽電池に用いることにより、変換効率の高い太陽電池を得ることができる。
Claims (6)
- 組成式CuxInyTe1−x−yにて表され、x、yは0.33≦(x/y)≦0.6と0<x+y<1を満たすカルコパイライト構造の化合物を含む光吸収層を有することを特徴とする光電変換素子。
- 前記光吸収層のバンドギャップが1.05eV以上、1.4eV以下であることを特徴とする請求項1記載の光電変換素子。
- 前記光吸収層は、前記光吸収層が堆積される基板を400℃以上、600℃以下に加熱しながらスパッタ成膜したものであることを特徴とする請求項1または2に記載の光電変換素子。
- 前記光吸収層は、酸素分圧が2.0×10−4Pa以上、2.0×10−2Pa以下のArガス雰囲気で成膜されたものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光電変換素子。
- 前記カルコパイライト構造の化合物の格子間には、酸素が含まれていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
- 請求項1乃至請求項5いずれか1項記載の光電変換素子を用いてなることを特徴とする太陽電池。
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