JP5710368B2 - 光電変換素子および太陽電池 - Google Patents
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Description
また、他の実施形態の太陽電池は、前記実施形態の光電変換素子を用いてなることを特徴とする。
図1の概念図に示す光電変換素子10は、基板11と、前記基板上に設けられた裏面電極12と、前記裏面電極12上に設けられた第1の取り出し電極13と、前記裏面電極12上に設けられた光吸収層14と、前記光吸収層14上に設けられたバッファー層15(15a、15b)と、前記バッファー層15上に設けられた透明電極層16と、前記透明電極層16上に設けられた第2の取り出し電極17と、前記透明電極層16上に設けられた反射防止膜18とを少なくとも備えている。
なお、実施形態において、カルコパイライト構造と空孔配列型カルコパイライト構造は、それぞれを別に説明している場合を除き、両者をカルコパイライト構造として記載する。
ここでCu量であるxは、その量があまり多いとTe量が欠損することがあり、逆にあまり少ないとカルコパイライト構造を維持できないことがあるため、Cu量を示すxは、0.08≦x≦0.25とした。好ましいxは、0.1≦x≦0.25である。また、CuとIIIb族元素であるAのモル比(x/y)は、その比率があまり大きいと電気抵抗が低下してしまい、逆にあまり小さいとカルコパイライト構造を維持できないことがあるため、そのモル比x/yは、0.3≦x/y≦0.8とした。
また、Teの50原子%未満をSe及びSより選ばれる少なくとも一つの元素で置換してもよい。
下の式(1)で、光吸収層14のバッファー層15が形成される面の表面凹凸(以下、表面凹凸と略記)が大きくなると、バッファー層15とのpn接合の面積が増大し、光の入射面積あたりの見かけ上の逆方向飽和電流J0が増大する。一方で、入射光量と比例関係にある光電流JLは凹凸を考慮しない面積あたり同じであるので、JL/J0が減少し、結果として、開放端電圧Vocが低下する。すなわち、表面平坦性を向上することにより、開放端電圧Vocを改善することができる。
Voc=(nkT/q)ln[(JL/J0)+1] …式(1)
n:ダイオード因子、k:ボルツマン定数、T:絶対温度、q:電荷
反射防止膜18としては、例えば、MgF2を用いることが望ましい。
なお、下記の製造方法の一例であり、適宜変更しても構わない。従って、工程の順序を変更してもよいし、複数の工程を併合してもよい。光電変換素子10の製造の全工程又は一部工程は、その製造装置においてシステム化されていてもよい。
基板11上に、裏面電極12を成膜する。成膜方法としては、例えば、導電性金属よりなるスパッタ法の薄膜形成方法が挙げられる。
裏面電極12を堆積後、光吸収層14となる化合物半導体薄膜を堆積する。実施形態の光吸収層14の成膜工程では、図4の概念図に示すTe源21がCuとIIIb族元素の両方を含むターゲット22と独立し、Teが蒸着可能な形態となっている成膜装置を用いることが好ましい。裏面電極12が形成された基板(成膜対象)23は、ヒーター24で加熱することができる。ターゲット22はRF(DC)スパッタ装置25によって、スパッタすることができる。また、チャンバー内にArや酸素を微量に含むArガスを導入するためのガス導入部26が備えられている。
得られた光吸収層14の上にバッファー層15a,bを堆積する。
バッファー層15aの成膜方法としては、真空プロセスのスパッタ法、真空蒸着法或いは有機金属気相成長(MOCVD)、液相プロセスの化学析出(CBD)法などが挙げられる。
バッファー層15bの成膜方法としては、真空プロセスのスパッタ法、真空蒸着法或いは有機金属気相成長(MOCVD)などが挙げられる。
続いて、バッファー層15b上に、透明電極16を堆積する。
成膜方法としては真空プロセスのスパッタ法、真空蒸着法或いは有機金属気相成長(MOCVD)などが挙げられる。
第1の取り出し電極13を裏面電極12上の光吸収層14が成膜された部位を少なくとも除く部位に堆積する。
第2の取り出し電極17を透明電極16上の反射防止膜18が成膜される部位を少なくとも除く部位に堆積する。
成膜方法としてはスパッタ法、真空蒸着法などが挙げられる。
第1と第2の取り出し電極の成膜は、1工程で行ってもよいし、それぞれ、別の工程として、任意の工程の後に行ってもよい。
最後に透明電極16上の第2の取り出し電極17が成膜された部位を少なくとも除く部位に反射防止膜18を堆積する。
成膜方法としてはスパッタ法、真空蒸着法などが挙げられる。
上記の工程を経て、図1の概念図に示した光電変換素子10を作製する。
化合物薄膜太陽電池10のモジュールを作製する場合、基板11に裏面電極12を成膜する工程の後、レーザーにより裏面電極12を分断する工程、さらには光吸収層14上にバッファー層15を成膜する工程及びバッファー層15上に透明電極16を成膜する工程の後、それぞれメカニカルスクライブにより試料を分割する工程を挟むことにより集積化が可能となる。
基板11として青板ガラス基板を用い、スパッタ法により裏面電極12となるMo薄膜を700nm程度堆積した。スパッタは、Moをターゲットとし、Arガス雰囲気中でRFで200W印加することにより行った。
裏面電極12となるMo薄膜堆積後、光吸収層14となるCu−In−Te薄膜を2μm程度堆積した。成膜中の基板温度は500℃とした。スパッタターゲットには、Cu/In=0.33となるCu−In固溶体を用い、Arガス雰囲気中でRFで200W印加することにより、原料供給した。また、Teはターゲット直上の基板方向にむけて設置した蒸着源から、140℃に加熱して供給した。
得られた光吸収層14の上にバッファー層15aとしてMgを添加したZnO薄膜を50nm程度堆積した。製膜はRFスパッタを用いたが、界面でのプラズマダメージを考慮して、50Wの出力で行った。このバッファー層15a上にバッファー層15bとして、ZnO薄膜を堆積し、続いて、透明電極16となるアルミナ(Al2O3)を2wt%含有するZnO:Alを1μm程度堆積した。取り出し電極13、17として、NiCr及びAuを蒸着法にて堆積した。膜厚はそれぞれ100nm及び300nmとした。最後に反射防止膜18としてMgF2をスパッタ法により堆積することにより、図1に示した光電変換素子を作製した。
得られた光電変換素子の光吸収層の組成はであった。また、光吸収層の表面(A)及び断面(B)SEM像を図5に示す。表面凹凸は50nmであり、a/bが0.77の比較的円形に近い結晶粒子の形状の表面を確認した。
光吸収層14となるCu−In−Te薄膜の製膜で、製膜中の基板温度を400℃とすること以外は実施例1と同じ方法で化合物薄膜太陽電池を製造した。製膜温度を低くすることにより、表面凹凸を10nmとすることができる。
光吸収層14となるCu−In−Te薄膜の製膜で、製膜中の基板温度を550℃とすること以外は実施例1と同じ方法で化合物薄膜太陽電池を製造した。製膜温度が若干高くすることで、表面凹凸は100nmとなる。
光吸収層14となるCu−In−Te薄膜の製膜で、製膜中の基板温度を600℃とすること以外は実施例1と同じ方法で化合物薄膜太陽電池を製造した。製膜温度を非常に高く、表面凹凸を150nmまで大きくなる。
光吸収層14となるCu−In−Te薄膜の製膜で、製膜中の基板温度を300℃とすること以外は実施例1と同じ方法で化合物薄膜太陽電池を製造した。製膜温度を非常に低いために、表面凹凸を5nmまで小さくすることができるが、剥離耐性が低下する。
光吸収層14となるCu−In−Te薄膜の製膜で、スパッタをRFで100W印加として製膜速度を1/2にすること以外は実施例1と同じ方法で化合物薄膜太陽電池を製造した。表面凹凸は50nmで、a/bが0.95となる。
光吸収層14となるCu−In−Te薄膜の製膜で、Te原料供給の半分を蒸着法で、半分をスパッタ法で行うこと以外は実施例1と同じ方法で化合物薄膜太陽電池を製造した。表面凹凸は50nmで、a/bがほぼ0.55となる。
光吸収層14となるCu−In−Te薄膜の製膜で、Te原料供給をスパッタ法で行うこと以外は実施例1と同じ方法で化合物薄膜太陽電池を製造した。表面凹凸は50nmで、a/bがほぼ0.45となる。
光吸収層14となるCu−In−Te薄膜の製膜で、Te原料供給をスパッタ法で行うこと製膜中の基板温度を550℃とすること以外は実施例1と同じ方法で化合物薄膜太陽電池を製造した。図6に光吸収層まで堆積した薄膜の表面(A)及び断面(B)SEM像を示す。表面凹凸は150nmと大きく、a/bは0.43となった。
比較例1では、Raが小さいため、変換効率が低いが、Raを大きくすることで、実施例のように、変換効率が向上することを確認することができる。また、Raが大きくなりすぎると、変換効率が下がるため、Raは10nm以上100nm以下が好ましい。
a/bが大きくなることで、変換効率が向上することを確認することができる。
表中の◎は、変換効率がかなりよい組み合わせ、○は変換効率がよい組み合わせ、△は変換効率があまりよくない組み合わせ、×は変換効率がよくない組み合わせを示している。
本発明の光電変換素子を太陽電池に用いることにより、変換効率の高い太陽電池を得ることができる。
Claims (4)
- 組成式CuxAyTe1−x−y(AはAl、In及びGaからなる群より選ばれる少なくとも一つのIIIb族元素)にて表され、0.08≦x≦0.25、且つ、0.3≦x/y≦0.8を満たすカルコパイライト構造を有する光吸収層と、
前記光吸収層とpn接合するバッファー層を備え、
前記光吸収層の前記pn接合界面における表面凹凸が10nm以上、100nm以下であり、
前記pn接合界面の光吸収層の結晶粒子は、前記粒子の内接円半径をa、外接円半径をbと定義した場合において、a/bが、0.77≦a/b≦1を満たすことを特徴とする光電変換素子。 - 前記Teの50原子%未満は、Se及びSより選ばれる少なくとも1つの元素で置換されていることを特徴とする請求項1記載の光電変換素子。
- 前記光吸収層は、前記Cu及び前記元素A(AはAl、In及びGaからなる群より選ばれる少なくとも一つのIIIb族元素)をスパッタ法により原料供給し、同時にTeを蒸着法により原料供給し、成膜されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換素子。
- 請求項1乃至請求項3いずれか1項記載の光電変換素子を用いてなることを特徴とする太陽電池。
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