JP2012234291A - ドライバ状態判定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ドライバの意識低下状態を精度よく判定できるドライバ状態判定装置を提供すること。
【解決手段】車両のドライバが意識低下状態であるか否かを判定するドライバ状態判定装置において、車両が車両の前方に位置する先行車に接近しているか否かを判定し(S14)、車両のドライバが無操作状態であるか否かを判定し(S18)、車両のドライバが過去所定時間内に運転操作をしたか否かを判定し(S20)、車両が先行車と接近していると判定され、ドライバが無操作状態であると判定され、かつ、ドライバが過去所定時間内に運転操作をしていないと判定された場合に、ドライバが意識低下状態であると判定する。ドライバの過去の運転操作の有無を加味することにより、ドライバの意識的な先行車への接近を意識低下状態であると誤検出することが抑制される。
【選択図】図2
【解決手段】車両のドライバが意識低下状態であるか否かを判定するドライバ状態判定装置において、車両が車両の前方に位置する先行車に接近しているか否かを判定し(S14)、車両のドライバが無操作状態であるか否かを判定し(S18)、車両のドライバが過去所定時間内に運転操作をしたか否かを判定し(S20)、車両が先行車と接近していると判定され、ドライバが無操作状態であると判定され、かつ、ドライバが過去所定時間内に運転操作をしていないと判定された場合に、ドライバが意識低下状態であると判定する。ドライバの過去の運転操作の有無を加味することにより、ドライバの意識的な先行車への接近を意識低下状態であると誤検出することが抑制される。
【選択図】図2
Description
本発明は、車両のドライバの意識低下状態を判定するドライバ状態判定装置に関するものである。
従来、車両のドライバの意識低下状態を判定する技術として、ドライバの所定の運転操作を検出して、ドライバの状態を確認したりドライバを覚醒させたりする技術が知られている。例えば、下記特許文献1には、先行車の有無を考慮してドライバの覚醒度の判定基準を変更することにより、その判定精度を向上させたドライバ状態判定装置が開示されている。
しかしながら、このような技術にあっては、所定の運転操作において、ドライバの意識低下状態が精度よく判定できないという問題点がある。具体的には、先行車との車間距離の変化や先行車との相対速度の変化等、先行車への接近状態に基づいてドライバの意識低下判定を行う場合、ドライバの意識低下により先行車に近づいているのか、又はドライバが先行車を追い越すため若しくは自車や先行車の状態を先読みするために意識的に先行車に近づいているのか、の切り分けができない。よって、ドライバの意識が低下していないにもかかわらず低下したものと判定する誤判定が増加する可能性があり、覚醒状態のドライバに警報を発し煩わしさを与えるおそれがあるという問題がある。そこで、先行車への接近状態に加えてドライバの無操作状態を加味してドライバの意識低下状態を判定する方法が考えられる。
上記のようにドライバの無操作状態を加味した場合は、ドライバが意識的にアクセル等の操作を行って先行車に近づいた場合を意識低下状態から除外することが可能になるため、ドライバの意識低下判定の精度を上げることができる。しかしながら、上記の方法を用いた場合でも、自車が先行車に対してある程度高速で、かつ、無操作(例えば、アクセルオフ)で先行車に近づいたようなときには、ドライバが意識低下状態にあるか否かにかかわらず、ドライバの意識が低下したものと判定するおそれがある。このように、ドライバの意識低下の判定においては、未だ改善の余地が大きい。
そこで、本発明の目的は、自車の先行車との接近状態及びドライバの無操作状態を考慮しつつ、ドライバの過去の運転操作を加味してドライバの意識低下判定を行うことにより、ドライバの意識低下状態を精度よく判定できるドライバ状態判定装置を提供することである。
すなわち、本発明に係る意識低下判定装置は、車両のドライバが意識低下状態であるか否かを判定するドライバ状態判定装置において、前記車両が前記車両の前方に位置する先行車に接近しているか否かを判定する接近状態判定手段と、前記車両のドライバが無操作状態であるか否かを判定する無操作状態判定手段と、前記車両のドライバが過去所定時間内に運転操作を行ったか否かを判定する運転操作判定手段と、前記接近状態判定手段により前記車両が前記先行車に接近していると判定され、前記無操作状態判定手段により前記車両のドライバが無操作状態であると判定され、かつ、前記運転操作判定手段により前記車両のドライバが前記過去所定時間内に運転操作を行っていないものと判定された場合に、前記ドライバが意識低下状態であると判定する意識低下判定手段とを備えて構成されている。
この発明によれば、先行車との接近状態及びドライバの無操作状態に併せてドライバの過去の運転操作の有無をも加味してドライバの意識低下状態を検出するため、ドライバの意識低下により先行車に近づいているのか、又はドライバが意識的に自車を先行車に近づけているのか、の切り分けが可能となる。従って、ドライバの意識低下状態をより精度よく検出することができる。
また、本発明に係るドライバ状態判定装置において、前記運転操作判定手段は、前記過去所定時間内に操舵速度が所定値以上になったか否か、前記過去所定時間内にアクセルペダルの踏み込み速度が所定値以上になったか否か、及び前記所定時間内にブレーキペダルの踏み込み速度が所定値以上になったか否か、の少なくともいずれかに基づいて前記ドライバが前記過去所定時間内に運転操作を行ったか否かを判定することが好ましい。
この発明によれば、過去所定時間内に、操舵速度が所定値以上になったか否か、アクセルペダルの踏み込み速度が所定値以上になったか否か、及びブレーキペダルの踏み込み速度が所定値以上になったか否か、の少なくともいずれかに基づいてドライバの運転操作の有無を判定することにより、ドライバの操作状態の検出をより確実に行うことができる。
また、本発明に係るドライバ状態判定装置において、前記接近状態判定手段は、前記車両の車速、前記車両と前記先行車との相対速度、及び前記車両と前記先行車との車間距離、の少なくともいずれかに基づいて前記車両が前記先行車に接近しているか否かを判定することが好ましい。
この発明によれば、車両の車速、相対速度、及び車間距離の少なくともいずれかに基づいて接近状態を判定することにより、自車と先行車との位置関係又は走行状態に基づいて接近状態を考慮して、自車が先行車に接近しているか否かを客観的に判定することができる。
また、本発明に係るドライバ状態判定装置において、前記無操作状態判定手段は、操舵速度が所定値以下である時間が所定時間以上経過したか否か、アクセルペダルの踏み込み速度が所定値以下である時間が所定時間以上経過したか否か、及びブレーキスイッチがOFF状態になっている時間が所定時間以上経過したか否か、の少なくともいずれかに基づいて無操作状態を判定することが好ましい。
この発明によれば、操舵速度、アクセルペダルの踏み込み速度、及びブレーキスイッチの状態の少なくともいずれかに基づいて無操作状態の判定を行うため、ドライバが無操作状態であるか否かをより確実に判定することができる。
本発明によれば、先行車の接近状態及びドライバの無操作状態を考慮するとともに、ドライバの過去の運転操作の有無をも加味してドライバの意識低下状態を判定するため、ドライバの意識低下状態をより精度よく判定することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、同一要素又は同一相当要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の実施形態に係るドライバ状態判定装置1の概要構成を示すブロック図である。ドライバ状態判定装置1は、車両に搭載され、車両のドライバの意識が低下しているか否かを判定する装置である。
このドライバ状態判定装置1は、前方検知部2、自車速度センサ3、自車加速度センサ4、操舵角センサ5、アクセル開度センサ6、ブレーキ開度センサ7、ブレーキスイッチ8、ECU(Electronic Control Unit)9及び警報部10を備えて構成されている。
前方検知部2は、車両の前方を検知する前方検知手段として機能するものであり、例えば、車両前部に取り付けられ、レーザ光を前方に照射しその反射光によって先行車の有無等を検出するセンサが用いられる。また、前方検知部2は、例えば車両の前方を撮像するカメラであってもよく、この場合、その撮像画像ないし撮像映像を、障害物有無の検知、走行路の白線検知に用いることができる。前方検知部2はECU9と接続され、その出力信号はECU9に入力される。
自車速度センサ3は、自車の車速を検出する車速検出手段として機能するものであり、例えば車輪速センサが用いられる。自車速度センサ3は、ECU9と接続され、その出力信号は、ECU9に入力される。
自車加速度センサ4は、自車の加速度を検出する加速度検出手段として機能するものであり、例えば、車両の前部に設けられ、自車の前後加速度と横加速度を検出する加速度センサが用いられる。自車加速度センサ4は、ECU9と接続され、その出力信号は、ECU9に入力される。
操舵角センサ5は、自車のハンドルの操舵角を検出する操舵角検出手段として機能するものである。この操舵角センサ5としては、例えば、ステアリングシャフトの回転角を検出する操舵角センサが用いられる。この操舵角センサ5は、ECU9と接続され、その出力信号は、ECU9に入力される。なお、操舵角センサ5に代えて、操舵トルクセンサを用いてもよい。この場合、操舵トルクが出力する操舵トルク値に基づいてハンドルの操舵角が演算される。また、ハンドルの操舵角が取得できるものであれば、操舵角センサ5に代えて、いずれのものを用いてもよい。
アクセル開度センサ6は、アクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)を検出するアクセル開度検出手段として機能するものである。アクセル開度センサ6は、ECU9に接続され、その出力信号は、ECU9に入力される。
ブレーキ開度センサ7は、ブレーキペダルの踏み込み量(ブレーキ開度)を検出するブレーキ開度検出手段として機能するものである。ブレーキ開度センサ7は、ECU9に接続され、その出力信号は、ECU9に入力される。
ブレーキスイッチ8は、ドライバによるブレーキペダルの操作状態を検出するブレーキペダル操作検出手段として機能するものであり、例えば車室内におけるブレーキペダルに取り付けられている。ブレーキスイッチ8は、ECU9と接続され、ドライバがブレーキペダルを操作してブレーキ動作をした際にON信号を出力し、このON信号がECU9に入力される。
ECU9は、ドライバ状態判定装置1の装置全体の制御を行う電子制御ユニットであり、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を含むコンピュータを主体とし、入力信号回路、出力信号回路及び電源回路を含んで構成される。
ECU9は、情報取得部91、情報格納部92、接近状態判定部93、無操作状態判定部94、運転操作判定部95、意識低下判定部96及び警報制御部97を少なくとも有している。
情報取得部91は、前方検知部2、自車速度センサ3、自車加速度センサ4、操舵角センサ5、アクセル開度センサ6、ブレーキ開度センサ7及びブレーキスイッチ8から出力される各種信号を繰り返し取得して、各々の信号を情報格納部92に格納させる。また、情報取得部91は、操舵角センサ5から入力された信号に基づいて操舵速度を演算する機能、アクセル開度センサ6から入力された信号に基づいてアクセルペダルの踏み込み速度(アクセル踏み込み速度)を演算する機能、ブレーキ開度センサ7から入力された信号に基づいてブレーキペダルの踏み込み速度(ブレーキ踏み込み速度)を演算する機能、並びに後述する衝突余裕度TTC、車間時間THW及び接近感指標PREの値を演算する機能を有する。情報取得部91は、演算した上記の操舵速度、アクセル踏み込み速度、ブレーキ踏み込み速度、衝突余裕度TTC、車間時間THW及び接近感指標PREを情報格納部92に格納させる。
接近状態判定部93は、自車が自車の前方に位置する先行車と接近しているか否かを判定するものであり、接近状態判定手段として機能する。接近状態判定部93は、例えば以下に示す第1〜第4の接近状態判定方法により、自車が先行車に接近しているか否かについての判定を行う。以下で、第1〜第4の接近状態判定方法について説明する。
第1の接近状態判定方法は、前方検知部2により検出された自車と先行車との車間距離Dが所定の閾値a以下であるか否かを判定する方法である。第1の接近状態判定方法において接近状態判定部93は、車間距離Dが閾値a以下である場合は、自車が先行車に接近しているものと判定し、車間距離Dが閾値aより大きい場合は、自車が先行車に接近していないものと判定する。
第2の接近状態判定方法は、先行車に対する現在の自車の接近度合を示す物理量である衝突余裕度TTCを用いて接近状態を判定する方法である。衝突余裕度TTCの値が大きいほど衝突する可能性が低く、値が小さいほど衝突する可能性が高い。衝突余裕度TTCは、次の式(1)により演算することができる。
TTC=D/Vr ・・・(1)
式(1)において、Dは車間距離、Vrは先行車に対する自車の相対速度である。
第2の接近状態判定方法において接近状態判定部93は、衝突余裕度TTCが所定の閾値b以下の場合は、自車が先行車に接近しているものと判定し、衝突余裕度TTCが閾値bより大きい場合は、自車が先行車に接近していないものと判定する。
第3の接近状態判定方法は、自車が先行車に到達するまでの時間に関する指標である車間時間THWを用いて接近状態を判定する方法である。車間時間THWの値が大きいほど自車は先行車から離れており、値が小さいほど自車は先行車に接近している。車間時間THWは、次の式(2)により演算することができる。
THW=D/Vs ・・・(2)
式(2)において、Dは車間距離、Vsは自車の車速である。
第3の接近状態判定方法において接近状態判定部93は、車間時間THWが所定の閾値c以下の場合は、自車が先行車に接近しているものと判定し、車間時間THWが閾値cより大きい場合は、自車が先行車に接近していないものと判定する。
第4の接近状態判定方法は、自車が先行車に接近している感覚(接近感)を示す指標である接近感指標PREを用いて接近状態を判定する方法である。接近感指標PREの値が大きいほど自車は先行車に接近しており、値が小さいほど自車は先行車から離れている。接近感指標PREは、次の式(3)により演算することができる。
PRE=(Vr+α・Vs+β・Ax)/Dn ・・・(3)
式(3)において、Vrは相対速度、Vsは自車の車速、Axは相対加速度、Dは車間距離、α、β及びは所定の係数、nは所定の1以下の正の実数である。
第4の接近状態判定方法において接近状態判定部93は、接近感指標PREが所定の閾値γ以上の場合は、自車が先行車に接近しているものと判定し、接近感指標PREが閾値γ未満の場合は、自車が先行車に接近していないものと判定する。なお、この第4の接近状態判定方法を用いた場合、警報部10による不要な警報を抑制し、上述した第1〜第3の接近状態判定方法よりも優れた判定が可能となる。
接近状態判定部93は、上述した第1〜第4の接近状態判定方法を用いて、自車が先行車に接近しているか否かについての判定を行うが、第1〜第4の接近状態判定方法のいずれか1つを用いて判定してもよいし、又は2つ以上を組み合わせて用いて判定してもよい。
無操作状態判定部94は、自車のドライバが無操作状態であるか否かを判定するものであって、無操作状態判定手段として機能するものである。無操作状態判定部94は、例えば以下に示す第1〜第3の無操作状態判定方法により、ドライバが無操作状態であるか否かについての判定を行う。以下で、第1〜第3の無操作状態判定方法について説明する。
第1の無操作状態判定方法は、ドライバの操舵速度に基づいてドライバの無操作状態を判定する方法である。具体的には、ドライバの操舵速度の絶対値が一定時間以上所定値を下回った場合に、ドライバが無操作状態であると判定する。すなわち、第1の無操作状態判定方法において無操作状態判定部94は、操舵速度の絶対値が所定値m以下である時間が所定時間t1以上継続しているときに、ドライバが無操作状態であると判定し、それ以外のときには、ドライバが無操作状態でないと判定する。
第2の無操作状態判定方法は、アクセルペダルの踏み込み速度の絶対値に基づいてドライバの無操作状態を判定する方法である。具体的には、ドライバのアクセルペダルの踏み込み速度の絶対値が一定時間以上所定値を下回った場合に、ドライバが無操作状態にあると判定する。すなわち、第2の無操作状態判定方法において無操作状態判定部94は、アクセルペダルの踏み込み速度の絶対値が所定値n以下である時間が所定時間t2以上継続しているときに、ドライバが無操作状態であると判定し、それ以外のときには、ドライバが無操作状態でないと判定する。
第3の無操作状態判定方法は、ブレーキスイッチ8のON/OFFの状態に基づいてドライバの無操作状態を判定する方法である。具体的には、第3の無操作状態判定方法において無操作状態判定部94は、ブレーキスイッチ8がOFF状態であって、ブレーキスイッチ8からのON信号の入力が所定時間t3以上継続してなく、所定時間t3以上継続してブレーキスイッチ8がOFF状態であるときに、ドライバが無操作状態であると判定し、それ以外のときには、ドライバが無操作状態でないと判定する。
無操作状態判定部94は、上述した第1〜第3の無操作状態判定方法を用いて、自車のドライバが無操作状態であるか否かについての判定を行うが、第1〜第3の無操作状態判定方法のいずれか1つを用いて判定してもよいし、又は2つ以上を組み合わせて用いて判定してもよい。
運転操作判定部95は、自車のドライバが過去所定時間内に所定の運転操作をしたか否かを判定するものであって、運転操作判定手段として機能するものである。ここで、過去所定時間内とは、所定時間前から現在までの時間までのことを示し、運転操作判定部95は、例えば無操作状態になる前の直近の過去所定時間内の運転操作を検出する。運転操作判定部95は、以下に示す第1〜第3の運転操作判定方法により、ドライバが過去所定時間内に運転操作を行ったか否かについての判定を行う。以下で、第1〜第3の運転操作判定方法について説明する。
第1の運転操作判定方法は、ドライバの操舵速度に基づいてドライバの運転操作を判定する方法である。具体的には、ドライバの操舵速度の絶対値が過去所定時間内に所定値以上となった場合に、ドライバが運転操作をしたものと判定する。すなわち、第1の運転操作判定方法において運転操作判定部95は、所定時間u1以内に操舵速度の絶対値が所定値p以上になったときに、ドライバが運転操作をしたと判定し、それ以外のときには、運転操作をしていないと判定する。なお、上記所定時間u1並びに後述する所定時間u2及び所定時間u3の値は、いずれも、上述した所定時間t1,t2及びt3の値よりも大きい。
第2の運転操作判定方法は、アクセルペダルの踏み込み速度の絶対値に基づいてドライバの運転操作を判定する方法である。具体的には、ドライバのアクセルペダルの踏み込み速度の絶対値が過去所定時間内に所定値以上となった場合に、ドライバが運転操作をしたものと判定する。すなわち、第2の運転操作判定方法において運転操作判定部95は、所定時間u2以内にアクセルペダルの踏み込み速度の絶対値が所定値q以上になったときに、ドライバが運転操作をしたと判定し、それ以外のときには、運転操作をしていないと判定する。
第3の運転操作判定方法は、ブレーキペダルの踏み込み速度の絶対値に基づいてドライバの運転操作を判定する方法である。具体的には、ドライバのブレーキペダルの踏み込み速度の絶対値が過去所定期間内に所定値以上となった場合に、ドライバが運転操作をしたものと判定する。すなわち、第3の運転操作判定方法において運転操作判定部95は、所定時間u3以内にブレーキペダルの踏み込み速度の絶対値が所定値r以上になったときに、ドライバが運転操作をしたと判定し、それ以外のときには、運転操作をしていないと判定する。
運転操作判定部95は、上述した第1〜第3の過去運転操作判定方法を用いて、自車のドライバが過去所定時間内に運転操作を行ったか否かについての判定を行うが、第1〜第3の過去運転操作判定方法のいずれか1つを用いて判定してもよいし、又は2つ以上を組み合わせて用いて判定してもよい。
意識低下判定部96は、接近状態判定部93により自車が先行車に接近していると判定され、無操作状態判定部94によりドライバが無操作状態であると判定され、かつ、運転操作判定部95によりドライバが過去所定時間内に運転操作をしていないと判定された場合に、ドライバが意識低下状態であると判定する意識低下判定手段として機能するものである。この意識低下判定部96において、自車が先行車に接近していないと判定され、ドライバが無操作状態でないと判定され、又はドライバが過去所定時間内に運転操作をしたと判断された場合には、ドライバが意識低下状態でないと判定される。
警報制御部97は、警報部10の作動を制御する警報制御手段として機能するものであり、ドライバが意識低下状態であると判定された場合に警報部10に対し警報制御信号を出力する。
上述した情報取得部91、情報格納部92、接近状態判定部93、無操作状態判定部94、運転操作判定部95、意識低下判定部96及び警報制御部97は、これらの機能ないし処理を実行するプログラム等のソフトウェアをECU9に導入することにより構成されている。
なお、情報取得部91、情報格納部92、接近状態判定部93、無操作状態判定部94、運転操作判定部95、意識低下判定部96及び警報制御部97は、それらの機能ないし処理が実行できるものであれば、個別のハードウェアによって構成されていてもよい。
警報部10は、自車のドライバに警報を与える警報手段であって、ECU9から出力される警報制御信号に応じて作動する。この警報部10としては、ドライバの聴覚、視覚、又は触覚を通じてドライバに警報を与えるものが用いられる。例えば、警報部10としては、スピーカ、ブザー、ナビゲーションシステムのモニタ、ディスプレイ、ランプ、LED、ハンドル又はシートに設置される振動装置等が用いられる。
次に、本実施形態に係るドライバ状態判定装置1の動作について説明する。
図2は、ドライバ状態判定装置1の動作を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の制御処理は、例えばECU9によって予め定められた周期(例えば100ms)で繰り返し実行される。
このフローチャートの制御処理は、例えば車両のイグニッションオンによって開始され、まずステップS10(以下、「S10」という。他のステップにおいても同様とする。)にて、センサ情報の読み込み処理が行われる。このセンサ情報の読み込み処理は、前方検知部2、自車速度センサ3、自車加速度センサ4、操舵角センサ5、アクセル開度センサ6、ブレーキ開度センサ7及びブレーキスイッチ8の出力信号に含まれるセンサ情報をそれぞれ情報取得部91が取得し情報格納部92に格納する処理である。
次に、S12に処理が移行し、接近状態演算処理が行われる。接近状態演算処理は、自車が先行車に接近しているか否かを判定するための指標となる値を算出する処理であり、情報取得部91により実行される。このS12において、接近状態の判定に必要なパラメータ(衝突余裕度TTC、車間時間THW、及び/又は接近感指標PRE)が全て演算される。なお、このS12の接近状態演算処理は、図2に示す一連の制御処理とは別の処理として実行されてもよい。
そして、S14に処理が移行し、接近状態であるか否かが判定される。この判定処理は、自車が先行車に接近しているか否かを判定する処理であり、接近状態判定部93により実行される。具体的には、例えば上述したように、自車と先行車との車間距離が閾値a以下であるか否か、衝突余裕度TTCが閾値b以下であるか否か、車間時間THWが閾値c以下であるか否か、及び/又は接近感指標PREが閾値γ以上であるか否か、についての判定を行う。なお、上記の閾値a,b,c及びγは、予めECU9に設定される設定値が用いられる。
S14にて接近状態でないと判定された場合には、ステップS22に移行し、意識低下判定部96によりドライバの意識が低下していないと判定され、一連の処理を終了する。このとき例えば、ドライバの意識低下状態を認識するためのフラグがオフとされ、そのフラグによりドライバが意識低下状態でないことが認識される。一方、S14にて接近状態であると判定された場合には、無操作状態演算処理が行われる(S16)。
無操作状態演算処理は、ドライバが無操作状態であるか否かを判定するための指標となる値を算出する処理であり、情報取得部91により実行される。このS16において、無操作状態及び過去所定時間内に運転操作があったか否かの判定に必要なパラメータ(操舵速度、アクセル踏み込み速度、及び/又はブレーキペダル踏み込み速度)が全て演算される。なお、このS16の無操作状態演算処理は、図2に示す一連の制御処理とは別の処理として実行されてもよい。
そして、S18に処理が移行し、無操作状態であるか否かが判定される。この判定処理は、自車のドライバが無操作状態であるか否かを判定する処理であり、無操作状態判定部94により実行される。具体的には、例えば上述したように、操舵速度の絶対値が所定値m以下である時間が所定時間t1以上継続しているか否か、アクセル踏み込み速度の絶対値が所定値n以下である時間が所定時間t2以上継続しているか否か、及び/又はブレーキスイッチ8がOFFである時間が所定時間t3以上継続しているか否か、についての判定を行う。なお、上記の所定値m,n及び所定時間t1,t2,t3は、予めECU9に設定される設定値が用いられる。
S18にて無操作状態でないと判定された場合には、ステップS22に移行し、意識低下判定部96によりドライバの意識が低下していないと判定され、一連の処理を終了する。このとき例えば、ドライバの意識低下状態を認識するためのフラグがオフとされ、そのフラグによりドライバが意識低下状態でないことが認識される。一方、S18にて無操作状態であると判定された場合には、運転操作判定処理が行われる(S20)。
運転操作判定処理は、自車のドライバが過去所定時間内に所定の運転操作を行ったか否かを判定する処理であり、運転操作判定部95により実行される。具体的には、例えば上述したように、所定時間u1以内に操舵速度の絶対値がp以上になったか否か、所定時間u2以内にアクセルペダルの踏み込み速度の絶対値がq以上になったか否か、及び/又は所定時間u3以内にブレーキペダルの踏み込み速度の絶対値がr以上になったか否か、についての判定を行う。なお、上記の所定値p,q,r及び所定時間u1,u2,u3は、予めECU9に設定される設定値が用いられる。
S20にて過去所定時間内に運転操作があったと判定された場合は、ステップS22に移行し、意識低下判定部96によりドライバの意識が低下していないと判定され、一連の処理を終了する。このとき例えば、ドライバの意識低下状態を認識するためのフラグがオフとされ、そのフラグによりドライバが意識低下状態でないことが認識される。
一方、S20にて過去所定時間内に運転操作がなかったと判定された場合には、意識低下判定処理が行われる(S24)。意識低下判定処理は、自車が接近状態であって、自車のドライバが無操作状態であって、かつ、自車のドライバが過去所定時間内に運転操作をしなかったと判定されたことから、ドライバが意識低下状態であると判定し認識する処理である。このとき例えば、ドライバの意識低下状態を認識するためのフラグがオンとされ、そのフラグによりドライバが意識低下状態であることが認識される。
そして、S26に処理が移行し、警報処理が行われる。警報処理は、警報部10に対し警報制御信号を出力する処理である。この警報処理により、警報部10がドライバに対し警報動作、例えば音声若しくは警報音を発したり、モニタ若しくはディスプレイに警報表示を行ったり、ハンドル若しくはシートに警報振動を与えたりする。これにより、ドライバは意識低下状態から覚醒状態となる。S26の処理を終えたら、一連の制御処理が終了する。
以上のように、本実施形態に係るドライバ状態判定装置によれば、自車の先行車に対する接近状態が所定の閾値を超え、自車のドライバがハンドル、アクセル及び/又はブレーキの操作をせず無操作状態であると判定され、かつ、過去所定時間内にドライバが運転操作をしなかったものと判定された場合にドライバが意識低下状態であると判定する。このため、ドライバの過去の運転操作の有無を加味した意識低下判定が行え、意識低下判定を精度良く行うことができる。
具体的には、本実施形態に係るドライバ状態判定装置に対する比較例として、ドライバの過去の運転操作の有無を加味せずに、自車が先行車に対して接近状態であるか否か及びドライバが無操作状態であるか否かに基づいてドライバの意識低下状態を判定する場合を考える。
この比較例においても、ドライバの意識が低下して自車が先行車に接近し、かつ、無操作状態であったような場合は、ドライバの意識低下状態を適切に判定することができる。
しかしながら、この比較例においては、ドライバが、予めアクセルペダルを踏み込んで意識的に先行車に近づき、かつ、無操作となったような場合、ドライバが意識低下状態でないにもかかわらず、意識低下状態であると誤って判定するおそれがある。
これに対し、本実施形態におけるドライバ状態判定装置では、ドライバの過去の運転操作の有無を加味して意識低下状態であるか否かの判定を行うため、上記のように意識的にドライバが自車を先行車に近づけ、かつ無操作状態であった場合は除外され、適切に、かつ、精度良く意識低下判定を行うことができる。
また、本実施形態に係るドライバ状態判定装置では、所定時間u1以内に操舵速度が所定値p以上になったか否か、所定時間u2以内にアクセルペダルの踏み込み速度が所定値q以上になったか否か、所定時間u3以内にブレーキペダルの踏み込み速度が所定値r以上になったか否か、の少なくともいずれかに基づいてドライバが過去所定時間内に運転操作をしたか否かが判定される。これにより、自車のドライバが運転操作をしたか否かをより確実に検出することができる。
また、本実施形態に係るドライバ状態判定装置では、自車の車速Vs、自車と先行車との相対速度Vr、及び自車と先行車との車間距離D、の少なくともいずれかに基づいて自車が先行車に接近しているか否かが判定される。これにより、自車と先行車との位置関係又は走行状態に基づいて自車と先行車との接近状態を客観的に判定することができる。
また、本実施形態に係るドライバ状態判定装置では、操舵速度が所定値m以下である時間が所定時間t1以上継続しているか否か、アクセルペダルの踏み込み速度が所定値n以下である時間が所定時間t2以上継続しているか否か、及びブレーキスイッチ8がOFF状態になっている時間がt3以上継続しているか否か、の少なくともいずれかに基づいてドライバが無操作状態であるか否かが判定される。これにより、自車のドライバの無操作状態をより精度良く検出することができる。
なお、上述した実施形態は本発明に係るドライバ状態判定装置の実施形態を説明したものであり、本発明に係るドライバ状態判定装置は本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。本発明に係るドライバ状態判定装置は、各請求項に記載した要旨を変更しないように実施形態に係るドライバ状態判定装置を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
例えば、上述した実施形態では、ブレーキペダルの踏み込み速度に基づいてドライバの運転操作の有無を判定する方法について説明したが、ブレーキペダルの踏み込み速度に代えて、ブレーキスイッチ8の操作が過去所定時間内にあったか否かに基づいて運転操作の有無を判定するようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、意識低下判定部96が意識低下状態であると判定したときに、警報制御部97により、警報部10から警報がドライバに発せられる例について説明したが、必ずしもこの警報制御部97及び警報部10を用いなければならないわけではない。具体的には、意識低下状態であると判定したときに、自車を先行車から離すよう減速処理を行うようにしてもよい。
また、図2のS14、S18及びS20の判定処理は、その順番を入れ替えて処理を実行してもよい。そして、図2の一連の制御処理において、本実施形態に係るドライバ状態判定装置の作用効果が得られれば、その一部の処理を省略し又は追加の処理を行って実行してもよい。
1…ドライバ状態判定装置、2…前方検知部、3…自車速度センサ、4…自車加速度センサ、5…操作角センサ、6…アクセル開度センサ、7…ブレーキ開度センサ、8…ブレーキスイッチ、9…ECU、10…警報部、91…情報取得部、92…情報格納部、93…接近状態判定部、94…無操作状態判定部、95…運転操作判定部、96…意識低下判定部、97…警報制御部。
Claims (4)
- 車両のドライバが意識低下状態であるか否かを判定するドライバ状態判定装置において、
前記車両が前記車両の前方に位置する先行車に接近しているか否かを判定する接近状態判定手段と、
前記車両のドライバが無操作状態であるか否かを判定する無操作状態判定手段と、
前記車両のドライバが過去所定時間内に運転操作を行ったか否かを判定する運転操作判定手段と、
前記接近状態判定手段により前記車両が前記先行車に接近していると判定され、前記無操作状態判定手段により前記車両のドライバが無操作状態であると判定され、かつ、前記運転操作判定手段により前記車両のドライバが前記過去所定時間内に運転操作を行っていないものと判定された場合に、前記ドライバが意識低下状態であると判定する意識低下判定手段と、
を備えたことを特徴とするドライバ状態判定装置。 - 前記運転操作判定手段は、前記過去所定時間内に操舵速度が所定値以上になったか否か、前記過去所定時間内にアクセルペダルの踏み込み速度が所定値以上になったか否か、及び前記過去所定時間内にブレーキペダルの踏み込み速度が所定値以上になったか否か、の少なくともいずれかに基づいて前記ドライバが前記過去所定時間内に運転操作を行ったか否かを判定する、
請求項1に記載のドライバ状態判定装置。 - 前記接近状態判定手段は、前記車両の車速、前記車両と前記先行車との相対速度、及び前記車両と前記先行車との車間距離、の少なくともいずれかに基づいて前記車両が前記先行車に接近しているか否かを判定する、
請求項1又は2に記載のドライバ状態判定装置。 - 前記無操作状態判定手段は、操舵速度が所定値以下である時間が所定時間以上経過したか否か、アクセルペダルの踏み込み速度が所定値以下である時間が所定時間以上経過したか否か、及びブレーキスイッチがOFF状態になっている時間が所定時間以上経過したか否か、の少なくともいずれかに基づいて無操作状態を判定する、
請求項1〜3のいずれか1項に記載のドライバ状態判定装置。
Priority Applications (1)
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JP2011101575A JP2012234291A (ja) | 2011-04-28 | 2011-04-28 | ドライバ状態判定装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2018201673A (ja) * | 2017-05-31 | 2018-12-27 | いすゞ自動車株式会社 | 検出装置 |
-
2011
- 2011-04-28 JP JP2011101575A patent/JP2012234291A/ja not_active Withdrawn
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