JP2012233231A - 溶接熱影響部における低温靭性に優れた鋼材 - Google Patents

溶接熱影響部における低温靭性に優れた鋼材 Download PDF

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Abstract

【課題】溶接熱影響部における低温靭性に優れた鋼材の提供
【解決手段】質量%で、C:0.03〜0.15%、Si:0.05〜0.50%、Mn:1.0〜2.2%、P:0.020%以下、Cu:0.10〜0.60%、Ni:0.10〜1.0%、Nb:0.005〜0.040%、N:0.007%以下、Al:0.001〜0.005%以下、Ti:0.010〜0.030%およびS:0.002〜0.007%を含有し、残部Fe及び不純物からなり、かつ下記(1)式の関係を満足する化学組成を有することを特徴とする溶接熱影響部における低温靭性に優れた鋼材。
Ti/Al≧10 (1)
ただし、(1)式中の、各元素記号は、その元素の含有量(質量%)を意味する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、溶接熱影響部における低温靭性に優れた鋼材に関するものである。
一般に鋼材を溶接すると、その熱履歴により、溶接金属に接する母材部分(溶接熱影響部(Heat Affected Zone)。以下、「HAZ」と呼ぶ。)では結晶粒が粗大化する。その結果、結晶粒内に脆化組織が形成され、溶接構造物としての性能を低下させる。これまでにHAZの低温靱性を高めるべく数多くの試みがなされている。例えば、酸化物粒子、窒化物粒子または硫化物粒子を鋼中に微細分散させることにより、結晶粒の粗大化を抑制し、また、結晶粒内組織の微細化をすることが行われている。
例えば、特許文献1には、鋼中にMg系複合酸化物を分散させ、溶接時のHAZの粒内フェライトの生成促進効果による結晶粒内組織の微細化および酸化物のピニング効果による結晶粒粗大化抑制によりHAZ部が実質上微細化され、HAZ靭性が改善される鋼材が示されている。特許文献2には、粒内フェライトの生成核となる酸化物の微細分散化を図る目的でTiとZrの複合酸化物を含んだ鋼材が示されている。また、特許文献3には、粒内フェライトの生成核となる酸化物の分散密度をある値以上に高めることで粒内フェライトの生成を促進した鋼材が示されている。特許文献4には、TiNによるピニング効果による結晶粒粗大化抑制およびMnSを核とした粒内フェライト生成促進による結晶粒内組織の微細化した鋼材が示されている。
特開2000−119797号公報 特開平1−159356号公報 特開平5−43977号公報 特開2009−174059号公報
上記の特許文献に記載されるように、結晶粒内組織の微細化のために、粒内フェライトの生成促進が必要であること、そして、粒内フェライトの生成を促進させるために、主に生成核の組成および分散状態について、様々な検討がなされてきた。一般に、フェライトは粒界から優先して生成する。よって結晶粒径が小さくなると、母材のマトリクス中に占める粒界の割合は増加するためフェライトは粒界から生成しやすくなり、結果として粒内フェライトは生成し難くなる。つまり粒内フェライトの生成頻度と結晶粒径の間には相関があることが予想される。
本発明はAl、TiおよびSの含有量を制御することにより結晶粒径を制御し、粒内フェライトの生成を促進することにより結晶粒内組織を微細化して、HAZ部の低温靭性を飛躍的に高める技術を提供しようとするものである。
低合金鋼のHAZ靭性を向上させる方法としては、(1)結晶粒の粗大化抑制、(2)結晶粒内組織の微細化、(3)高炭素島状マルテンサイト、上部ベイナイトなどの硬化相の生成抑制などが挙げられる。本発明者らは、特に、結晶粒径と粒内フェライト生成頻度の相関に着目して、結晶粒径を制御することにより結晶粒内組織を微細化する方法を検討した。その結果、Ti系酸化物を生成させた状態でS量を制御することによりHAZの結晶粒径が変化し、粒内フェライトの生成頻度が変化することを見出した。
本発明者らは、さらなる研究を重ね、Ti系酸化物の生成促進には母材中のTiおよびAlの含有量を調整するだけでは足りず、Ti/Al比を調整することが特に重要であることを見出した。これは、下記の理由によるものと考えられる。
粒内フェライトはTi系酸化物を核として生成する傾向があるので、母材中にある程度Tiを含有させる必要がある。しかし、母材中のTi含有量が過剰な場合、固溶Tiが増加してHAZ靭性に悪影響を及ぼす。一方、TiおよびAlは、ともに脱酸剤として添加される元素であるが、TiよりもAlの方が酸素と結合しやすい元素である。このため、Tiに対するAlの量が過剰な場合、より具体的には、Ti/Al<10となる場合にはAl系酸化物が優先して生成され、Ti系酸化物が生成し難くなる。
これらの知見をもとに検討した結果、Ti系酸化物の生成促進のためには、Ti含有量は0.010〜0.030質量%の範囲、Al含有量は0.001〜0.005質量%の範囲とし、しかも、Ti/Al比は10以上とすることが重要であることが明らかとなった。
一方、フェライトは粒界から優先して生成するのが一般的である。結晶粒径が小さくなると、母材のマトリクス中に占める粒界の割合が増加するため、粒界から生成するフェライトが多くなり、結果として粒内フェライトは生成し難くなる。従って、粒内フェライトの生成を促進させるためには、ある程度の結晶粒径を確保し、母材のマトリクス中に占める粒界の割合を小さくする必要がある。
ここで、本発明者らは鋭意研究を重ね、結晶粒径の制御に母材中のS含有量が関係することを突き止めた。すなわち、本発明者らによる数々の研究の結果、SはMnSを形成し、適正量のSを含有する母材を溶接した場合、MnSはTi系酸化物上に生成しやすくなること、また、MnSはピニング粒子であるTiNと複合析出しやすいことが明らかとなった。
具体的には、母材中のS含有量が過小な場合、溶接後の冷却過程でMnSが生成しないため、母材のマトリクス中にそのままTiNが分散し、分散したTiNのピニング効果により結晶粒が大きくなるのが阻害される。一方、母材中のS含有量が過剰な場合、溶接後の冷却過程でTi系酸化物上に優先してMnSが生成するが、Ti系酸化物上に生成しきれなかったMnSが母材のマトリクス中に分散する。その結果、溶接後の冷却過程で、母材のマトリクス中にMnSとTiNが複合析出し、この複合粒子のピニング効果により結晶粒が大きくなるのが阻害される。一方、母材中のS含有量を適正量に調整すれば、溶接後の冷却過程でTi系酸化物上のみにMnSが生成し、さらにTiNがMnSおよびTi系酸化物と複合的に析出するため、母材のマトリクス中にはTiNが生成しなくなる。従って、ピニング粒子が分散していない状態となるため、冷却後の結晶粒は大きくなりやすくなる。このようにS量に応じて結晶粒径は変化する。
これらの知見をもとに検討した結果、粒内フェライトの生成が促進される結晶粒径を得るためには、S含有量を0.002〜0.007質量%とすることが必要であることが明らかとなった。
本発明は、このような技術思想に基づいてなされたものであり、下記の(1)〜(3)に示す溶接熱影響部における低温靱性に優れた鋼材を要旨とする。
(1)質量%で、C:0.03〜0.15%、Si:0.05〜0.50%、Mn:1.0〜2.2%、P:0.020%以下、Cu:0.10〜0.60%、Ni:0.10〜1.0%、Nb:0.005〜0.040%、N:0.007%以下、Al:0.001〜0.005%以下、Ti:0.010〜0.030%およびS:0.002〜0.007%を含有し、残部Fe及び不純物からなり、かつ下記(1)式の関係を満足する化学組成を有する溶接熱影響部における低温靭性に優れた鋼材。
Ti/Al≧10 (1)
ただし、(1)式中の、各元素記号は、その元素の含有量(質量%)を意味する。
(2)さらに、質量%で、Cr:2.0%以下、Mo:0.5%以下およびV:0.10%以下から選択される一種以上を含有する上記(1)の溶接熱影響部における低温靭性に優れた鋼材。
(3)さらに、質量%で、B:0.0005〜0.0020%を含有する上記(1)または(2)の溶接熱影響部における低温靭性に優れた鋼材。
本発明によれば、適正な結晶粒径を維持し、粒内フェライトの生成を促進することができるので、溶接熱影響部における低温靭性に優れた鋼材を提供することができる。本発明の鋼材は、特に、建築、造船、ラインパイプ、海洋構造物などの各種溶接構造物に用いるのに適している。
まず、鋼材の化学組成の範囲とその限定理由を述べる。以下、各元素についての%は、「質量%」を意味する。
C:0.03〜0.15%
Cは、強度を高めるために必須の元素であり、0.03%以上含有させる必要がある。一方、0.15%超えて含有させると、母材および溶接部の靭性が損なわれる。このため、Cの含有量は0.03〜0.15%とした。好ましい下限は、0.035%である。好ましい上限は、0.10%である。
Si:0.05〜0.50%
Siは、脱酸元素として有効な元素であり、また、鋼材の強度を確保するためにも必要な元素である。これらの効果を得るためにはその含有量を0.05%以上とする必要がある。一方、その含有量が0.50%を超えると、母材およびHAZの靭性を著しく低下させる。よって、Siの含有量は0.05〜0.50%とした。好ましい下限は、0.10%である。好ましい上限は、0.45%である。
Mn:1.0〜2.2%
Mnは、鋼材の強度および靭性を確保するために必須の元素である。その効果を得るためには1.0%以上含有させる。一方、その含有量が2.2%を超えると、溶接部の靭性が損なわれる。よって、Mnの含有量は1.0〜2.2%とした。好ましい下限は、1.2%である。好ましい上限は、2.0%である。
P:0.020%以下
Pは、不純物として鋼中に存在し、鋼中でミクロ偏析し、母材およびHAZ靭性を著しく低下させる元素である。よって、Pは、0.020%以下に制限することにした。好ましい上限は、0.015%である。
Cu:0.10〜0.60%
Cuは、母材靭性を損なうことなく、母材強度を向上させる元素である。この効果を得るためには0.10%以上含有させる。しかし、その含有量が0.60%を超えると、鋼片加熱時または溶接時に割れが生じやすくなる。よって、Cuの含有量は、0.10〜0.60%とした。好ましい下限は、0.15%である。好ましい上限は、0.50%である。
Ni:0.10〜1.0%
Niは、HAZ靭性を損なうことなく、母材の強度および靭性を向上させる元素である。この効果を得るためには0.10%以上含有させる。しかし、その含有量が1.0%を超えると、溶接性に悪影響を及ぼす。よって、Niの含有量は、0.10〜1.0%とした。好ましい下限は、0.15%である。好ましい上限は、0.80%である。
Nb:0.005〜0.040%
Nbは、母材強度および靭性を向上させる元素である。この効果を得るためには0.005%以上含有させる。しかし、その含有量が0.040%を超えると、母材およびHAZの靭性に悪影響を及ぼす。よって、Nb含有量は、0.005〜0.040%とした。好ましい下限は、0.010%である。好ましい上限は、0.035%である。
N:0.007%以下
Nは、不純物として鋼中に存在し、母材およびHAZの靭性を著しく低下させる元素である。よって、Nは、0.007%以下に制限することにした。好ましい上限は、0.005%である。
Al:0.001〜0.005%
Alは、脱酸剤として利用される元素である。本発明のAl含有量とは、酸可溶Al(所謂「sol.Al」)を指す。十分な脱酸を行って母材靱性を向上させるためには、Al含有量を0.001%以上とする必要がある。しかし、Alは、酸素と結合しやすく、その含有量が0.005%を超えると、Ti系酸化物の生成を阻害する。よって、Al含有量は0.001〜0.005%とした。好ましい下限は、0.002%である。好ましい上限は、0.004%である。
Ti:0.010〜0.030%
Tiは、鋼中で酸化物を形成する。Ti系酸化物は、粒内フェライトの生成核であり、粒内フェライトの生成を促進して結晶粒内の組織を微細化し、HAZ靭性を向上させる。この効果を得るためにはTiを0.010%以上含有させる。しかし、Ti含有量が0.030%を超えると、固溶Ti量が増加して、HAZ靭性に悪影響を及ぼす。よって、Tiの含有量は、0.010〜0.030%とした。Tiの好ましい下限は0.015%である。好ましい上限は、0.025%である。
Ti/Al:10以上
粒内フェライトはTi系酸化物を核として生成する傾向があるので、母材中にある程度Tiを含有させる必要がある。しかし、母材中のTi含有量が過剰な場合、固溶Tiが増加してHAZ靭性に悪影響を及ぼす。一方、TiおよびAlは、ともに脱酸剤として添加される元素であるが、TiよりもAlの方が酸素と結合しやすい元素である。このため、Tiに対するAlの量が過剰な場合、より具体的には、Ti/Al<10となる場合にはAl系酸化物が優先して生成され、Ti系酸化物が生成し難くなり、HAZ靱性に悪影響を及ぼす。このため、従って、Ti/Alは、10以上とする必要がある。Ti/Alの値の上限は特に定めないが、30以下が好ましく、20以下がより好ましい。
S:0.002〜0.007%
Sは、溶接後の冷却過程で、MnSとして鋼中に析出する。このとき、MnSは、ピニング粒子であるTiNと複合析出しやすい。すでに述べたように、本発明の鋼材は、溶接後の冷却過程でTi系酸化物の近傍にMnSを析出させ、さらにTiNをMnSと複合析出させることによって、必要な結晶粒径を維持するものである。そして、S含有量が過小な場合、溶接後の冷却過程で析出するMnSが少なく、TiNが単独で鋼中に析出し、結晶粒が微細化する。一方、S含有量が過剰な場合、溶接後の冷却過程で析出するMnSが、Ti系酸化物近傍のみならず、鋼中に分散して析出するため、MnSおよびTiNの複合析出し、そのピンニング効果により、結晶粒が微細化する。このように、S含有量が過小な場合も過剰な場合も、粒内フェライトの生成を促進するのに十分な結晶粒が得られず、結晶粒内の組織の微細化が不十分となり、HAZ靱性を向上させることができない。よって、Sの含有量は、0.002〜0.007%とした。好ましい下限は、0.003%である。好ましい上限は、0.006%である。
本発明の鋼材は、上記の各元素を含み、残部はFeおよび不純物からなるものである。不純物とは、鋼材を工業的に製造する際に、鉱石、スクラップ等の原料その他の要因により混入する成分を意味する。
本発明の鋼材には、Cr、Mo、VおよびBの一種以上を、下記それぞれの範囲で含有させることができる。
Cr:2.0%以下
Crは、析出強化により母材強度を向上させるのに有効な元素である。しかし、その含有量が過剰な場合には、焼入れ性を過度に上昇させ、母材靭性を低下させる。よって、Crを含有させる場合の含有量を2.0%とした。上記の効果は、0.10%以上含有させた場合に顕著となる。より好ましい下限は、0.15%である。好ましい上限は、1.0%である。
Mo:0.5%以下
Moは、焼入れ性を向上させると同時に、炭窒化物を形成して強度を改善するのに有効な元素である。しかし、その含有量が過剰な場合には、母材靭性を低下させる。よって、Moを含有させる場合の含有量を0.5%とした。上記の効果は、0.10%以上含有させた場合に顕著となる。より好ましい下限は、0.15%である。好ましい上限は、0.40%である。
V:0.10%以下
Vは、炭化物および窒化物を形成し、母材強度を向上させる元素である。しかし、その含有量が過剰な場合には、母材靭性を低下させる。よって、Vを含有させる場合の含有量を0.10%以下とした。上記の効果は、0.01%以上含有させた場合に顕著となる。より好ましい上限は、0.05%である。より好ましい下限は、0.02%である。
B:0.0005〜0.0020%
Bは、固溶すると焼入れ性を増加させ、粒界フェライトの生成を抑制することでHAZ靭性を向上させる元素である。ただし、下記式から求められるCeqが0.40を超える場合には、Bを含有させなくても十分な焼入れ性が得られる一方で、Bを含有させると母材およびHAZの靭性を低下させるおそれがある。したがって、Bは、特に、Ceqが0.40以下の場合に含有させるのが効果的である。上記の効果が顕著となるのは、その含有量が0.0005%以上の場合である。一方、B含有量が0.0020%を超える場合には、逆に靭性を低下させる。よって、Bを含有させる場合の含有量を0.0005〜0.0020%とした。好ましい下限は、0.0007%である。好ましい上限は、0.0015%である。
Ceq=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5
ただし、上記式中の、各元素記号は各元素の含有量(質量%)を意味する。
表1に示す化学組成を有する鋼を溶製し、圧延して厚さ20mmの鋼板を得た。得られた鋼板に、HAZの熱履歴を再現した熱処理を施した後、結晶粒径および−30℃のシャルピー吸収エネルギー値を求めた。その結果を、表2に示す。
HAZ靭性および結晶粒径を調査するために、上記の鋼板から採取した縦、横各11mm、長さ60mmの試験片素材を加熱炉に挿入し、1400℃で5秒保持した後、冷却速度5℃/秒で冷却した。この冷却速度は入熱量100kJ/cmの大入熱溶接にHAZが受ける熱履歴に相当する条件である。このような熱履歴を加えた試験片について、光学顕微鏡でミクロ組織を調査して、結晶粒径を求めるとともに、該試験片からJISZ2242に従い、Vノッチ標準試験片を採取し、衝撃試験に供した。
Figure 2012233231
Figure 2012233231
表2に示すように、本発明例1〜6は、いずれも優れた低温靭性を有している。これにたいして、比較例7は、Al含有量が本発明で規定される範囲を下回り、また、Ti/Alが0.48と低いため、粒内フェライトの生成核となるTi系酸化物の生成量が少なくなり、結晶粒内組織が微細化されていないため、低温靭性が劣っている。比較例8は、Al含有量が本発明で規定される範囲を下回るため、粒界フェライトが生成して低温靭性は劣っている。
比較例9および12は、S量が本発明で規定される範囲を下回り(比較例9は、さらにTi/Alが本発明で規定される範囲を下回る)、結晶粒が微細化されて粒内フェライトが生成されないため、低温靭性は劣っている。比較例10は、S量が本発明で規定される範囲を上回り、結晶粒が微細化されて粒内フェライトが生成されないため、低温靭性は劣っている。比較例11は、各元素の含有量は本発明で規定される範囲を満足するものの、Ti/Alが4.0と低いため、Ti系酸化物が形成されにくく、粒内フェライトが生成しがたくなり、低温靭性は劣っている。
本発明によれば、適正な結晶粒径を維持し、粒内フェライトの生成を促進することができるので、溶接熱影響部における低温靭性に優れた鋼材を提供することができる。本発明の鋼材は、特に、建築、造船、ラインパイプ、海洋構造物などの各種溶接構造物に用いるのに適している。

Claims (3)

  1. 質量%で、C:0.03〜0.15%、Si:0.05〜0.50%、Mn:1.0〜2.2%、P:0.020%以下、Cu:0.10〜0.60%、Ni:0.10〜1.0%、Nb:0.005〜0.040%、N:0.007%以下、Al:0.001〜0.005%以下、Ti:0.010〜0.030%およびS:0.002〜0.007%を含有し、残部Fe及び不純物からなり、かつ下記(1)式の関係を満足する化学組成を有することを特徴とする溶接熱影響部における低温靭性に優れた鋼材。
    Ti/Al≧10 (1)
    ただし、(1)式中の、各元素記号は、その元素の含有量(質量%)を意味する。
  2. さらに、質量%で、
    Cr:2.0%以下、Mo:0.5%以下およびV:0.10%以下から選択される一種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の溶接熱影響部における低温靭性に優れた鋼材。
  3. さらに、質量%で、B:0.0005〜0.0020%を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の溶接熱影響部における低温靭性に優れた鋼材。
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