JP2012232603A - カーテンエアバッグ及びカーテンエアバッグ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】一列目の座席に単独のカーテンエアバッグを配置する場合であっても、カーテンエアバッグに張力を付与することができ、カーテンエアバッグの車外への押し出しを抑制することができる、カーテンエアバッグ及びカーテンエアバッグ装置を提供する。
【解決手段】膨張部10の上方に形成された複数の第一固定部11と、車両2の後方側に配置され第一固定部11よりも下方の位置に形成された第二固定部12と、車両2の前方側に配置され第二固定部12よりも下方の位置に形成された第三固定部13と、膨張展開完了時にBピラー23の一部を覆うように膨張部10の一部に形成された係止膨張部10cと、を有し、第二固定部12は、Bピラー23の近傍における車体上部21に引上げて固定され、膨張部10は、車両2の一列目の座席24に対するサイドウィンドウ22に沿って膨張展開されるように配置される。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車等の車両に使用されるカーテンエアバッグ及びカーテンエアバッグ装置に関し、特に、車両のロールオーバー(横転)対策に適したカーテンエアバッグ及びカーテンエアバッグ装置に関する。
自動車等の車両には、衝突時や急減速時等の緊急時に、エアバッグを車内で膨張展開させて乗員に生ずる衝撃を吸収するためのエアバッグ装置が搭載されることが一般的になってきている。特に、車両のロールオーバー(横転)時における乗員の放出を抑制するために、サイドウィンドウを覆うカーテンエアバッグ装置が搭載されることも多い。
かかるカーテンエアバッグ装置は、一般に、通常時は折り畳まれて車体上部に格納されており緊急時にサイドウィンドウに沿って膨張展開されるカーテンエアバッグと、該カーテンエアバッグにガスを供給するインフレータと、を有する。そして、緊急時には、前記インフレータから前記カーテンエアバッグにガスが供給され、前記カーテンエアバッグが膨張し、前記サイドウィンドウに沿って車内に放出され膨張展開する。
ところで、車両のロールオーバー(横転)時にサイドウィンドウが開放されている場合や破損している場合には、乗員がカーテンエアバッグに接触した際に、カーテンエアバッグを支えるものがなく、カーテンエアバッグが車外に押し出されてしまうことがある。そこで、カーテンエアバッグに張力を付与するためのカーテンエアバッグ装置が提案されている(例えば、特許文献1又は特許文献2参照)。
例えば、特許文献1には、車両室内の側面に沿って下方に向って展開するカーテンエアバッグの前後方向の端部を案内するためのガイド部材であって、上下方向に延在し、車両のピラーに取り付けられるカーテンエアバッグのガイド部材を有するカーテンエアバッグ装置が記載されている。かかる構成によれば、ガイド部材によりカーテンエアバッグを支持することができ、常にカーテンエアバッグの全体に張力を付与することができる。
また、特許文献2には、カーテンエアバッグの膨張部後方に、エアバッグ単体での展開状態にてカーテンエアバッグの上縁取付部よりも下方位置に先端取付孔を有する略三角形状の非膨張部を設けて、前記先端取付孔と前期上縁取付部とによりルーフサイドレールにカーテンエアバッグを固定するようにしたカーテンエアバッグ装置が記載されている。かかる構成によれば、カーテンエアバッグの膨張展開時に、略三角形状の後方非膨張部の下端が引っ張られるとともに上部が緩んだハンモック状となり、乗員の頭部を有効に拘束することができる。
特開2004−51016号公報 特開2002−220023号公報
しかしながら、特許文献1に記載のカーテンエアバッグ装置では、ガイド部材を車体の上下方向に配置しなければならず、特に、一列目の座席(例えば、前部座席)に単独のカーテンエアバッグを配置する場合には、Bピラーに沿ってガイド部材を配置しなければならず、配置場所の確保が困難な場合がある。また、ガイド部材を車内に露出して配置した場合には、車両内装の見栄えが損なわれてしまう。
また、特許文献2に記載のカーテンエアバッグ装置では、カーテンエアバッグの後方に非膨張部を形成しているが、かかる構成は、後方非膨張部を配置する箇所が最後列の座席(例えば、後部座席)であることを前提としている。したがって、一列目の座席(例えば、前部座席)に単独のカーテンエアバッグを配置する場合には、カーテンエアバッグの後方に十分な空間を確保することができず、非膨張部を形成し、ルーフサイドレールに固定することが困難である。また、この場合に、非膨張部を形成してBピラーよりも後方のルーフサイドレールに非膨張部を固定すると、二列目以降の座席にカーテンエアバッグを配置することができなくなったり、膨張展開を阻害したりしてしまう。
本発明は上述した問題点に鑑み創案されたものであり、一列目の座席に単独のカーテンエアバッグを配置する場合であっても、カーテンエアバッグに張力を付与することができ、カーテンエアバッグの車外への押し出しを抑制することができる、カーテンエアバッグ及びカーテンエアバッグ装置を提供することを目的とする。
本発明によれば、通常時は折り畳まれて車両の車体上部に格納されており緊急時にサイドウィンドウに沿って膨張展開される膨張部を有するカーテンエアバッグであって、前記膨張部の上方に形成された複数の第一固定部と、前記車両の後方側の端部に配置され前記第一固定部よりも下方の位置に形成された第二固定部と、前記車両の前方側の端部に配置され前記第二固定部よりも下方の位置に形成された第三固定部と、膨張展開完了時にBピラーの一部を覆うように前記膨張部の一部に形成された係止膨張部と、を有し、前記第二固定部は、前記Bピラーの近傍における前記車体上部に引上げて固定され、前記膨張部は、前記車両の一列目の座席に対するサイドウィンドウに沿って膨張展開されるように配置され、膨張展開完了時に前記第三固定部と前記係止膨張部との間で張力を発生させるようにした、ことを特徴とするカーテンエアバッグが提供される。
また、本発明によれば、通常時は折り畳まれて車両の車体上部に格納されており緊急時にサイドウィンドウに沿って膨張展開される膨張部を有するカーテンエアバッグと、前記膨張部にガスを供給するインフレータと、を有するカーテンエアバッグ装置において、前記カーテンエアバッグは、前記膨張部の上方に形成された複数の第一固定部と、前記車両の後方側の端部に配置され前記第一固定部よりも下方の位置に形成された第二固定部と、前記車両の前方側の端部に配置され前記第二固定部よりも下方の位置に形成された第三固定部と、膨張展開完了時にBピラーの一部を覆うように前記膨張部の一部に形成された係止膨張部と、を有し、前記第二固定部は、前記Bピラーの近傍における前記車体上部に引上げて固定され、前記膨張部は、前記車両の一列目の座席に対するサイドウィンドウに沿って膨張展開されるように配置され、膨張展開完了時に前記第三固定部と前記係止膨張部との間で張力を発生させるようにした、ことを特徴とするカーテンエアバッグ装置が提供される。
上述した本発明に係るカーテンエアバッグ及びカーテンエアバッグ装置において、前記膨張部は、前記第三固定部の配置位置と略同じ水平位置に前記係止膨張部が配置されるように前記係止膨張部が形成されていてもよい。
前記第二固定部は、前記カーテンエアバッグの上下方向中心線よりも上方に配置され、前記第三固定部は、前記上下方向中心線よりも下方に配置されていてもよい。
前記膨張部は、前記カーテンエアバッグの中央部に形成された中央膨張部と、該中央膨張部の外周に形成された外周膨張部と、を有し、前記係止膨張部は、前記外周膨張部の一部により構成されていてもよい。
前記係止膨張部を構成する前記外周膨張部の半径は、前記カーテンエアバッグに乗員が接触した状態を模擬又は評価する際における前記中央膨張部の前記車両の前後方向の移動量よりも大きく形成されていてもよい。
前記カーテンエアバッグの前記車両の後方側に前記車両の二列目以降の座席に対するサイドウィンドウに沿って膨張展開される第二カーテンエアバッグが接続され、前記第二固定部を前記車体上部に固定しないようにしてもよい。さらに、前記第二カーテンエアバッグは、Cピラーに沿って膨張展開する第一膨張部と、該第一膨張部から前記サイドウィンドウの外周部に沿って略水平に膨張展開される第二膨張部と、を有していてもよい。
上述した本発明に係るカーテンエアバッグ及びカーテンエアバッグ装置によれば、第二固定部を引上げて車体上部に固定することによって、カーテンエアバッグの膨張部が膨張展開時に第三固定部によって前方に引き寄せられて生ずる移動又は回転を抑制し、Bピラーと係止膨張部とを係止させ、第三固定部と係止膨張部との間で張力を発生させるようにしたことにより、第二固定部を固定する空間に制約がある場合、例えば、一列目の座席に単独のカーテンエアバッグを配置する場合であっても、カーテンエアバッグに張力を付与することができ、カーテンエアバッグの車外への押し出しを抑制することができる。
また、第三固定部の配置位置と略同じ水平位置に係止膨張部を配置することにより、第三固定部と係止膨張部との間で効果的に張力を発生させることができる。
また、第二固定部がカーテンエアバッグの上下方向中心線よりも上方に配置され、第三固定部が上下方向中心線よりも下方に配置されていることにより、カーテンエアバッグの車両後方側に第二固定部を固定する空間に制約がある場合であっても、第二固定部を車体上部に固定することができ、第二固定部及び第三固定部をカーテンエアバッグの最下端に配置しない場合であっても、第三固定部と係止膨張部との間でカーテンエアバッグの車外への押し出しを抑制することができる張力を発生させることができる。
また、係止膨張部を外周膨張部の一部により形成することによって、係止膨張部の膨張展開を円滑に行うことができるとともに、効果的に係止膨張部を形成することができる。
また、係止膨張部の半径を所定の大きさに設定することにより、カーテンエアバッグに乗員が接触した場合又はその状態を模擬若しくは評価する場合にカーテンエアバッグが車両前方方向に移動したとしても係止膨張部とBピラーとの係止状態を維持することができ、カーテンエアバッグの張力を維持することができ、カーテンエアバッグの車外への押し出しを抑制することができる。
また、第二カーテンエアバッグを接続することにより、二列目以降の座席にカーテンエアバッグを配置することができる。さらに、第二カーテンエアバッグに、Cピラーに沿って膨張展開する第一膨張部と、サイドウィンドウの外周部に沿って略水平に膨張展開される第二膨張部と、を形成することにより、カーテンエアバッグに張力を付与するテザーやベルト等を使用することなく、第二カーテンエアバッグを支持することができ、第二カーテンエアバッグの車外への押し出しを抑制することができる。
本発明の第一実施形態に係るカーテンエアバッグの平面図であり、(A)は固定前の状態、(B)は固定後の状態、を示している。 図1に示したカーテンエアバッグの膨張展開完了後の状態を示すカーテンエアバッグ装置の概略側面図であり、(A)は第一実施形態、(B)は比較例、を示している。 係止膨張部の説明図であり、(A)は第一実施形態、(B)は変形例、(C)は半径の算出方法、を示している。 本発明の他の実施形態に係るカーテンエアバッグの平面図であり、(A)は第二実施形態、(B)は第三実施形態、を示している。 本発明の第四実施形態に係るカーテンエアバッグの平面図である。 図5に示したカーテンエアバッグの膨張展開完了後の状態を示すカーテンエアバッグ装置の概略側面図である。
以下、本発明の実施形態について図1〜図6を用いて説明する。ここで、図1は、本発明の第一実施形態に係るカーテンエアバッグの平面図であり、(A)は固定前の状態、(B)は固定後の状態、を示している。図2は、図1に示したカーテンエアバッグの膨張展開完了後の状態を示すカーテンエアバッグ装置の概略側面図であり、(A)は第一実施形態、(B)は比較例、を示している。図3は、係止膨張部の説明図であり、(A)は第一実施形態、(B)は変形例、(C)は半径の算出方法、を示している。
本発明の第一実施形態に係るカーテンエアバッグ1は、図1及び図2に示したように、通常時は折り畳まれて車両2の車体上部21に格納されており緊急時にサイドウィンドウ22に沿って膨張展開される膨張部10を有し、膨張部10の上方に形成された複数の第一固定部11と、車両2の後方側の端部に配置され第一固定部11よりも下方の位置に形成された第二固定部12と、車両2の前方側の端部に配置され第二固定部12よりも下方の位置に形成された第三固定部13と、膨張展開完了時にBピラー23の一部を覆うように膨張部10の一部に形成された係止膨張部10cと、を有し、第二固定部12は、Bピラー23の近傍における車体上部21に引上げて固定され、膨張部10は、車両2の一列目の座席24に対するサイドウィンドウ22に沿って膨張展開されるように配置され、膨張展開完了時に第三固定部13と係止膨張部10cとの間で張力を発生させるようにしたものである。
また、図2(A)に示したように、本発明の第一実施形態に係るカーテンエアバッグ装置は、上述したカーテンエアバッグ1と、膨張部10にガスを供給するインフレータ3と、を有する。
車両2は、例えば、商用車である。商用車の場合、一列目の座席24の後方は荷台になっている場合もあり、前部座席である一列目の座席24の部分にのみカーテンエアバッグ1を設置したいというニーズがある。なお、本実施形態に係るカーテンエアバッグ1は、商用車に限定されるものではなく、普通自動車、バン、トラック等の他の車両にも適用することができる。
車体上部21は、例えば、サイドウィンドウ22の上部に沿って形成されるルーフサイドレールである。この車体上部21は、通常時(緊急時以外の状態)におけるカーテンエアバッグ1の格納場所を構成している。
インフレータ3は、略円柱形状の外形をなし、カーテンエアバッグ1に内包された先端部にガス噴出口が形成されている。かかるインフレータ3は、図示しないECU(電子制御ユニット)に接続されており、加速度センサ等の計測値に基づいて制御されている。ECUが車両の衝突、急減速、ロールオーバー(横転)等を感知又は予知したような緊急時には、インフレータ3はECUからの点火電流により点火され、インフレータ3の内部に格納された薬剤を燃焼させてガスを発生させ、カーテンエアバッグ1にガスを供給する。なお、インフレータ3の形状や固定方法は、図示したものに限定されるものではなく、従来から使用されているものを適宜選択して使用することができる。
カーテンエアバッグ1は、図1(A)に示したように、略四角形の形状を有する前方部1aと、略三角形の形状を有する後方部1bと、に区分することができる。そして、後方部1bを構成する一つの頂点が、前方部1aの上端部よりも下方の位置となるように配置されている。前方部1aは、上端部に複数の第一固定部11が配置されており、この部分が車体上部21に固定される留め点を形成する。後方部1bの後端部には第二固定部12が配置されている。なお、後方部1bは、略三角形状に限定されるものではなく、前方部1aの上端部よりも下方に位置する部分を有する形状であれば、他の形状であってもよい。
また、前方部1aの前端部には第三固定部13が配置されている。第三固定部13は、カーテンエアバッグ1を車体に接続するためのテザー又はベルト等の紐状部材であり、一端はカーテンエアバッグ1を構成する基布に縫合されて接続され、他端は車両2のAピラーに固定される。また、例えば、第二固定部12は、カーテンエアバッグ1の上下方向中心線Lよりも上方に配置され、第三固定部13は、上下方向中心線Lよりも下方に配置される。
また、カーテンエアバッグ1は、一般に、表面の基布と裏面の基布とを縫合することにより袋状に形成される。膨張部10は、表面の基布と裏面の基布とを縫合する縫合線s1,s2により、複数の領域に分割される。膨張部10は、例えば、縫合線s1によりカーテンエアバッグ1の中央部に形成された中央膨張部10aと、縫合線s2により中央膨張部10aの外周に形成された外周膨張部10bと、を有する。外周膨張部10bの先端には、インフレータ3のガス噴出口が接続される挿入部10gが形成されている。挿入部10gは、車両前方側から車両後方側に向かってガスをカーテンエアバッグ1に供給するように形成されている。なお、挿入部10gの位置は図示した箇所に限定されるものではなく、インフレータ3の配置位置等によって適宜変更されるものであり、車両後方側から車両前方側に向かってガスをカーテンエアバッグ1に供給するようにしてもよい。
かかる構成により、挿入部10gから供給されたガスは、中央膨張部10aを膨張させるとともに、外周膨張部10b(特に、後述する係止膨張部10c)を速やかに膨張させ、円滑にカーテンエアバッグ1を膨張展開させることができる。中央膨張部10a及び外周膨張部10bのガス供給量の配分は、縫合点s3,s4の位置によって任意に設定することができる。
外周膨張部10bは、前方部1aから後方部1bに渡って張り出すように形成されており、後方部1bにおいても膨張部10を形成することができように構成されている。
カーテンエアバッグ1は、図1(B)に示したように、第二固定部12が第一固定部11と同じ高さの位置まで引上げられて車体上部21に固定され、留め点の一つを形成する。このとき、後方部1bは上方に引上げられることから、前方部1aの下端部も後方に引っ張られ、第三固定部13も後方に引っ張られることとなる。かかる構成により、カーテンエアバッグ1の膨張展開時において、膨張部10の膨張によって全体形状が収縮した場合に、第三固定部13の張力によってカーテンエアバッグ1が前方に移動又は回転しないように抑制することができる。
図2(A)に示したように、カーテンエアバッグ1は、サイドウィンドウ22の一部を覆うように膨張展開する。サイドウィンドウ22と隣接した車内にはインストルメントパネルIPが配置されており、インストルメントパネルIPの端部よりも前方の部分には、乗員が進入し難いことから、インストルメントパネルIPと隣接した部分にはカーテンエアバッグ1を膨張展開させる必要性は少ない。したがって、インストルメントパネルIPと隣接した部分におけるカーテンエアバッグ1を省略することにより、カーテンエアバッグ装置の小型化及び軽量化を図ることができる。
また、外周膨張部10bの一部がBピラー23と重なるように、カーテンエアバッグ1は車体上部21に配置される。すなわち、第二固定部12はBピラー23の近傍(特に、後方側)における車体上部21に引上げて固定される。かかる構成により、カーテンエアバッグ1が膨張展開を完了したときに、外周膨張部10bの一部がBピラー23を覆うこととなり、係止膨張部10c(図の塗り潰した部分)が構成される。
また、膨張部10は、第三固定部13の配置位置と略同じ水平位置Mに、少なくとも係止膨張部10cの一部が配置されるように係止膨張部10cが形成されている。このように、第三固定部13と係止膨張部10cとを略同じ水平位置に形成することにより、第三固定部13と係止膨張部10cとの間で効果的に張力を発生させることができる。
ところで、図2(B)に示した比較例は、一般的なカーテンエアバッグの考え方に基づいて、カーテンエアバッグ100をサイドウィンドウ22の部分に膨張展開できるように構成したものである。かかる比較例では、カーテンエアバッグ100の上端部に複数の第一固定部101を有し、前端部にテザー103を有する。すなわち、カーテンエアバッグ100は、車体上部21に沿って固定されているだけであり、例えば、図の右下の部分には張力が付与されていない状態である。したがって、カーテンエアバッグ100が膨張展開した場合には、その収縮量は第一固定部101及びテザー103の固定部にカーテンエアバッグ100が引き寄せられることによって吸収される。その結果、カーテンエアバッグ100は、図の矢印の方向に引き寄せられて移動又は回転し、車体との係止部が少なくなり、サイドウィンドウ22が開放されている場合や破損している場合には、カーテンエアバッグ100が外部に放出され易くなってしまう。
本発明は、カーテンエアバッグ1の膨張展開時における車両前方方向への移動又は回転を抑制するとともに、カーテンエアバッグ1(係止膨張部10c)とBピラー23との係止状態を維持し、係止膨張部10cと第三固定部13との間で張力を発生させ、カーテンエアバッグ1の外部への放出を抑制しようとするものである。
ここで、図3(A)に示した説明図は、図2(A)におけるカーテンエアバッグ1のIII-III断面図である。図3(A)に示したように、カーテンエアバッグ1の膨張展開完了時には、略楕円断面形状の中央膨張部10aの両脇に略円断面形状の外周膨張部10bが形成された状態になっている。そして、Bピラー23と対峙する位置に膨張展開する外周膨張部10bが係止膨張部10cを構成している。係止膨張部10cは、図3(A)に示したように、全体がBピラー23と係止可能となるように配置されることが好ましいが、図3(B)に示したように、係止膨張部10cの半分以上の部分がBピラー23と係止可能となるように配置されてもよい。
ところで、膨張展開したカーテンエアバッグ1には乗員が接触することとなる。そのとき、カーテンエアバッグ1には車両左右方向に一定の力が付与されるため、カーテンエアバッグ1は外方に向かって屈曲することとなる。ここで、図3(C)に示したように、乗員が接触する又は乗員が接触した状態を模擬する前の状態において、外周膨張部10bの前端点a、中央膨張部10aの前端点b(外周膨張部10bの後端点)、係止膨張部10cの前端点c(中央膨張部10aの後端点)、係止膨張部10cの後端点dが一直線上に配置されているものとする。また、外周膨張部10bの直径をr、中央膨張部10aの長さをL、係止膨張部10cの直径をφとする。
そして、乗員が接触した場合に、中央膨張部10aの一部(中間点e)が外方に向かって距離Xだけ移動したものとする。このとき、中央膨張部10aの前端点bは点b´に移動し、係止膨張部10cの前端点cは点c´に移動し、係止膨張部10cは破線位置から一点鎖線位置まで移動する。いま、計算の簡略化のために、外周膨張部10bの前端点a、点b´及び中間点eが一直線上に存在するとすれば、その直線上に点c´を投影した点c”を取ることができる。したがって、線分ac”の長さはr+Lとなり、線分ac´の長さは(r+L)cosθと求めることができる。なお、角度θは、中間点eの位置がわかれば、sinθ=X/aeの関係式により容易に求めることができる。
よって、カーテンエアバッグ1が屈曲した場合の移動量ΔLは、ΔL=cc´=(r+L)−(r+L)cosθにより求めることができる。そして、カーテンエアバッグ1がΔLだけ移動した場合であっても、係止膨張部10cがBピラー23から外れないようにするためには、係止膨張部10cの半径(φ/2)が移動量ΔLよりも大きければよい。すなわち、φ/2>ΔLの関係式を満たすように係止膨張部10cの直径φを設定すればよい。特に、設計段階において、カーテンエアバッグ1に乗員が接触した状態を模擬したり、評価したりする場合に、上記関係式を用いて係止膨張部10cの直径φを設定することができる。換言すれば、係止膨張部10cを構成する外周膨張部10bの半径φ/2は、カーテンエアバッグ1に乗員が接触した状態を模擬又は評価する際における中央膨張部10aの車両2の前後方向の移動量ΔLよりも大きく形成される。なお、図3(C)に示した模式図は、係止膨張部10cの半径φ/2の算出方法における単なる一例を示すものであり、カーテンエアバッグ1の形状、負荷のかかる位置、負荷量等の条件によって適宜変更されるものであり、より複雑な計算により係止膨張部10cの半径φ/2を、より正確に算出するようにしてもよい。
次に、本発明の他の実施形態に係るカーテンエアバッグ1について説明する。ここで、図4は、本発明の他の実施形態に係るカーテンエアバッグの平面図であり、(A)は第二実施形態、(B)は第三実施形態、を示している。各図において、カーテンエアバッグ1の固定前の状態を実線で表示し、固定後の状態を一点鎖線で表示している。なお、上述した第一実施形態と同じ構成部品については、同じ符号を付して重複した説明を省略する。
図4(A)に示した第二実施形態に係るカーテンエアバッグ1は、係止膨張部10cの一部に凸部10dを形成したものである。凸部10dは、係止膨張部10cから第二固定部12に向かって突出した膨張部である。第二固定部12に近接した箇所に膨張部を形成することにより、第二固定部12と係止膨張部10cとの間隔を狭くすることができ、第二固定部12の車体上部21への拘束力を向上させることができる。したがって、カーテンエアバッグ1の膨張展開時における車両前方方向への移動又は回転を更に抑制することができる。
図4(B)に示した第三実施形態に係るカーテンエアバッグ1は、膨張部10の形状を変更したものである。具体的には、中央膨張部10aの車両前後方向に隣接した外周膨張部10bを形成し、車両後方側の外周膨張部10bを係止膨張部10cとしたものである。かかる構成であっても、ガスの供給経路が変更になるだけであり、実質的に第一実施形態と同様の効果を奏する。
次に、本発明の第四実施形態に係るカーテンエアバッグについて説明する。ここで、図5は、本発明の第四実施形態に係るカーテンエアバッグの平面図である。図6は、図5に示したカーテンエアバッグの膨張展開完了後の状態を示すカーテンエアバッグ装置の概略側面図である。なお、上述した第一実施形態と同じ構成部品については、同じ符号を付して重複した説明を省略する。
図5及び図6に示した第四実施形態に係るカーテンエアバッグは、図1に示した第一実施形態に係るカーテンエアバッグ1の車両2の後方側に車両2の二列目以降の座席(例えば、二列目の座席25)に対するサイドウィンドウ26に沿って膨張展開される第二カーテンエアバッグ14が接続され、第二固定部12を車体上部21に固定しないようにしたものである。具体的には、第二カーテンエアバッグ14は、二列目以降の座席をカバーし得る車両前後方向の長さを有し、縫合線s5,s6によって膨張部15が形成されている。膨張部15の上方には複数の第四固定部16が配置されており、車体上部21に第二カーテンエアバッグ14を固定できるように構成されている。
また、カーテンエアバッグ1と第二カーテンエアバッグ14とは縫合線s7により接続され一体化されている。このとき、第二固定部12は、第二カーテンエアバッグ14の表裏を構成する基布の間に挿入され、埋め殺される。そして、第二固定部12が固定される予定であった車体上部21には、第四固定部16の一つが固定されるように構成されている。このように、カーテンエアバッグ1に第二カーテンエアバッグ14を接続した場合には、車両2の前後方向に十分長いカーテンエアバッグを形成することができ、複数のピラーを利用することにより、カーテンエアバッグ1及び第二カーテンエアバッグ14に張力を発生させることができ、カーテンエアバッグ1及び第二カーテンエアバッグ14の車外への押し出しを抑制することができる。
図6に示したように、車両2は、前方側から、Aピラー27、Bピラー23、Cピラー28、Dピラー29を有する。車体上部21を構成するルーフサイドレールは、これらのピラーに沿って配置される。
第二カーテンエアバッグ14の膨張部15は、図5及び図6に示したように、Cピラー28に沿って膨張展開する第一膨張部15aと、第一膨張部15aからサイドウィンドウ26の外周部に沿って略水平に膨張展開される第二膨張部15bと、を有する。また、第一膨張部15aの後方かつ第二膨張部15bの上方の隣接した箇所には、サイドウィンドウ26を覆うように膨張展開される第三膨張部15cを有する。そして、第一膨張部15aをCピラー28に係止させ、第二膨張部15bをサイドウィンドウ26の外周部に係止させることによって、第三膨張部15cを支持し、第三膨張部15cの車外への押し出しを抑制することができる。第三膨張部15cのサイドウィンドウ26を覆う面積は、二列目の座席25の位置やサイドウィンドウ26の大きさ等によって適宜変更される。
図6に示した車両2は、例えば、商用車であり、一列目の座席24と二列目の座席25との間には、普通乗用車と比較して広い空間を有し、荷物を載せることができるように構成されていることが多い。この一列目の座席24と二列目の座席25との間には乗員が着座しないため、サイドウィンドウ26´が形成されていたとしても、この部分にカーテンエアバッグを膨張展開させる必要性は少ない。
一方で、カーテンエアバッグ1及び第二カーテンエアバッグ14の膨張展開時に、カーテンエアバッグ1の膨張部10と第二カーテンエアバッグ14の第三膨張部15cとの間の非膨張部17を速やかに展張させる必要がある。そこで、カーテンエアバッグ1の膨張部10と第二カーテンエアバッグ14の第三膨張部15cとの間の非膨張部17には、カーテンエアバッグ1の膨張部10及び第二カーテンエアバッグ14の膨張部15の膨張展開を促進するための第四膨張部15dを形成するようにしてもよい。
第四膨張部15dは、非膨張部17を円滑に展張させるために、車両2の前後方向及び上下方向の両方に伸張するように形成するとよい。サイドウィンドウ26´においても乗員等を保護する必要がある場合には、第四膨張部15dがサイドウィンドウ26´を覆うように形成してもよいし、第一膨張部15a〜第三膨張部15cと同様の構成の膨張部を形成するようにしてもよい。
なお、膨張部15の上部には、インフレータ3のガス噴出口が接続される挿入部15gが形成されている。挿入部15gは、車両前方側から後方側に向かってガスを第二カーテンエアバッグ14に供給するように配置されている。なお、挿入部15gの位置は図示した箇所に限定されるものではなく、インフレータ3の配置位置等によって適宜変更されるものであり、車両後方側から車両前方側に向かってガスをカーテンエアバッグ1に供給するようにしてもよい。
上述したように本実施形態に係るカーテンエアバッグ1によれば、一列目の座席24の乗員のみを保護したい場合であっても使用することができ、一列目の座席24及び二列目以降の座席の乗員を保護したい場合であっても第二カーテンエアバッグ14を接続することによって使用することができ、車両2の構造や使用目的に応じて任意に切り替えることができ、利便性を向上させることができる。
本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明は三列以上の座席を有する車両にも第二カーテンエアバッグ14と同様の膨張部15を複数形成することにより適用することができる等、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
1…カーテンエアバッグ
1a…前方部
1b…後方部
2…車両
3…インフレータ
10…膨張部
10a…中央膨張部
10b…外周膨張部
10c…係止膨張部
10d…凸部
10g…挿入部
11…第一固定部
12…第二固定部
13…第三固定部
14…第二カーテンエアバッグ
15…膨張部
15a…第一膨張部
15b…第二膨張部
15c…第三膨張部
15d…第四膨張部
15g…挿入部
16…第四固定部
21…車体上部
22,26,26´…サイドウィンドウ
23…Bピラー
24…一列目の座席
25…二列目の座席
27…Aピラー
28…Cピラー
29…Dピラー
100…カーテンエアバッグ
101…第一固定部
103…テザー

Claims (8)

  1. 通常時は折り畳まれて車両の車体上部に格納されており緊急時にサイドウィンドウに沿って膨張展開される膨張部を有するカーテンエアバッグであって、
    前記膨張部の上方に形成された複数の第一固定部と、前記車両の後方側の端部に配置され前記第一固定部よりも下方の位置に形成された第二固定部と、前記車両の前方側の端部に配置され前記第二固定部よりも下方の位置に形成された第三固定部と、膨張展開完了時にBピラーの一部を覆うように前記膨張部の一部に形成された係止膨張部と、を有し、
    前記第二固定部は、前記Bピラーの近傍における前記車体上部に引上げて固定され、前記膨張部は、前記車両の一列目の座席に対するサイドウィンドウに沿って膨張展開されるように配置され、膨張展開完了時に前記第三固定部と前記係止膨張部との間で張力を発生させるようにした、ことを特徴とするカーテンエアバッグ。
  2. 前記膨張部は、前記第三固定部の配置位置と略同じ水平位置に前記係止膨張部が配置されるように前記係止膨張部が形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のカーテンエアバッグ。
  3. 前記第二固定部は、前記カーテンエアバッグの上下方向中心線よりも上方に配置され、前記第三固定部は、前記上下方向中心線よりも下方に配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載のカーテンエアバッグ。
  4. 前記膨張部は、前記カーテンエアバッグの中央部に形成された中央膨張部と、該中央膨張部の外周に形成された外周膨張部と、を有し、前記係止膨張部は、前記外周膨張部の一部により構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のカーテンエアバッグ。
  5. 前記係止膨張部を構成する前記外周膨張部の半径は、前記カーテンエアバッグに乗員が接触した状態を模擬又は評価する際における前記中央膨張部の前記車両の前後方向の移動量よりも大きく形成されている、ことを特徴とする請求項4に記載のカーテンエアバッグ。
  6. 前記カーテンエアバッグの前記車両の後方側に前記車両の二列目以降の座席に対するサイドウィンドウに沿って膨張展開される第二カーテンエアバッグが接続され、前記第二固定部を前記車体上部に固定しないようにした、ことを特徴とする請求項1に記載のカーテンエアバッグ。
  7. 前記第二カーテンエアバッグは、Cピラーに沿って膨張展開する第一膨張部と、該第一膨張部から前記サイドウィンドウの外周部に沿って略水平に膨張展開される第二膨張部と、を有することを特徴とする請求項6に記載のカーテンエアバッグ。
  8. 通常時は折り畳まれて車両の車体上部に格納されており緊急時にサイドウィンドウに沿って膨張展開される膨張部を有するカーテンエアバッグと、前記膨張部にガスを供給するインフレータと、を有するカーテンエアバッグ装置において、前記カーテンエアバッグは、請求項1〜請求項7のいずれかに記載のカーテンエアバッグを有する、ことを特徴とするカーテンエアバッグ装置。
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