JP2012231626A - 振動波モータの駆動装置、振動波モータの駆動制御方法、振動波アクチュエータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の振動波モータからの駆動力を合成して被駆動部材に伝達する動力伝達機構と、を有する振動波モータの駆動装置であって、
振動波モータの駆動を制御する駆動制御手段と、
振動波モータの振動状態を検出する振動状態検出手段と、を有し、
駆動制御手段は、振動状態検出手段により前記振動体と前記接触体とが相対移動を行なわない状態で検出された振動波モータの振動状態に基づいて、複数のモータの個体差による回転速度差が小さくなるように駆動周波数を補正する。
【選択図】 図1
Description
この振動波モータは、弾性体に固着された圧電体に交流電圧を印加して弾性体に楕円振動を発生させ、弾性体に押圧接触させた回転体を弾性体との間に働く摩擦力により回転運動させるように構成されている。
そして、このような振動波モータを上記のように複数用いて被駆動部材を駆動する際、回転速度が各振動波モータによって個体差を生じる場合がある。これにより、各モータの能力が十分に発揮されない、あるいは回転速度差のために一部もしくは全部の振動波モータの内部摩擦接触部にすべりが発生し、騒音の発生や寿命の低下を招く場合がある。
これらに対処するため、特許文献1では、押圧力の大きさに応じて回転速度が変化することを利用し、加圧力調整手段により複数の振動波モータの回転速度が略等しくなるように各振動波モータをコントロールするようにした振動波モータが提案されている。
しかしながら、上記従来例のものにおいては、つぎのような課題を有している。上記従来例のものでは加圧力調整手段により複数の振動波モータの回転速度が略等しくなるように各振動波モータをコントロールするための加圧力調整手段が必要となる。そのため、駆動装置の構造が複雑化し、外形寸法及び装置重量の増大は避けられないこととなる。また、それに伴ってコストも上昇する。さらに、構造の複雑化は装置の寿命の低下及び信頼性の低下にも繋がることとなる。
また、従来例のものでは、複数のモータ間の回転速度を知る手段として、実際にモータを回転させ、その際の駆動周波数を検出する構成が採られているが、伝達機構を介し連結している複数のモータにおける個々の特性を精度良く分離して検出することは困難である。
各モータの能力を発揮することができ、騒音の発生を抑制することが可能となる振動波モータの駆動装置、振動波モータの駆動制御方法、振動波アクチュエータの提供を目的とする。
電気−機械エネルギ変換素子への周波信号の印加によって振動を発生する振動体および該振動体に接触する接触体を備え、前記振動体と前記接触体とが相対移動を行うように構成された複数の振動波モータと、
前記複数の振動波モータからの駆動力を合成して被駆動部材に伝達する動力伝達機構と、を有する振動波モータの駆動装置であって、
前記振動波モータの駆動を制御する駆動制御手段と、
前記振動波モータの振動状態を検出する振動状態検出手段と、を有し、
前記駆動制御手段は、前記振動状態検出手段により前記振動体と前記接触体とが相対移動を行なわない状態で検出された前記振動波モータの振動状態に基づいて、
前記複数のモータの個体差による回転速度差が小さくなるように駆動周波数を補正することを特徴とする。
また、本発明の振動波アクチュエータは、上記の振動波モータの駆動装置と、
該振動波モータの駆動装置からの駆動力を受けて動作する被駆動部材と、を有することを特徴とする。
また、本発明の振動波モータの駆動制御方法は、
電気−機械エネルギ変換素子への周波信号の印加によって振動を発生する振動体および該振動体に接触する接触体を備え、前記振動体と前記接触体とが相対移動を行うように構成された複数の振動波モータと、
前記複数の振動波モータからの駆動力を合成して被駆動部材に伝達する動力伝達機構と、を有する振動波モータの駆動制御方法であって、
前記振動波モータの駆動を制御する駆動制御手段によって、前記振動波モータの振動状態を検出する振動状態検出手段により前記振動体と前記接触体とが相対移動を行なわない状態で検出された振動振幅の周波数特性に基づいて、
前記複数のモータの個体差による回転速度差が小さくなるように駆動周波数を補正することを特徴とする。
各モータの能力を発揮することができ、騒音の発生を抑制することが可能となる振動波モータの駆動装置、振動波モータの駆動制御方法、振動波アクチュエータを実現することができる。
図1は、本発明の実施例における振動波モータの駆動装置の構成例を説明するブロック図である。
図1には複数の振動波モータとして2つの振動波モータを用いた例を示しているが、必ずしも2つである必要はない。2つ以上の振動波モータを組み合わせることもできる。
本実施例の振動波モータの駆動装置は、電気−機械エネルギ変換素子への周波信号の印加によって振動を発生する振動体および該振動体に接触する接触体を備えている。そして、この振動体と接触体とが相対移動を行うように構成された複数の振動波モータからの駆動力を合成して被駆動部材に伝達する動力伝達機構を備えている。
具体的には、図1に示すように、振動波モータ1−1の回転軸にはギア2−1が、振動波モータ1−2回転軸には、ギア2−2が取り付けられている。
各振動波モータ1−1、1−2は、圧電素子および弾性体からなる振動体と加圧機構からの加圧力を受けて振動体に圧接される接触体(回転体)を有している。ここで、圧電素子に対して位相の異なる周波信号を印加すると、振動体には進行性の振動波が発生し、振動体と接触体間の摩擦力によって接触体とともに回転軸が回転する。
なお、振動波モータとしては、いわゆる円環タイプや棒状タイプといった、いかなるタイプのものであってもよい。
ギア2−1、2−2、はギア3と噛み合っており、ギア3には出力軸4が設けられている。
各振動波モータの回転力はそれぞれの回転軸に取り付けられたギアを介して、ギア3に伝達され、ギア3において回転力が合成される。合成された回転力は出力軸4から出力される。
駆動コントロール回路7は第1駆動電圧発生回路6−1、振動波モータの振動状態を検出する振動状態検出手段の一つである電流検出手段8−1および振動状態検出手段の他の一つである振動検出手段9−1を介して、振動波モータ1−1の回転速度を制御する。
電流検出手段8−1は振動波モータに流入する電流を検出する手段であるが、モータへの給電線に直列接続した抵抗器の両端電位差を検出することにより実現できる。
また、振動検出手段9−1は前記圧電素子の一部に電極を設け圧電素子の逆起電力を検出することにより振動振幅量を検出することができる。
同様に、振動波モータ1−2について第2駆動電圧発生回路6−2、電流検出手段8−2および振動検出手段9−2が設けられており、流入電流値および振動振幅値を検出し振動波モータ1−2の回転速度を制御するようになっている。
駆動コントロール回路7からの第1の電圧信号が差動増幅器6−13の非反転入力端子に接続され、第2の電圧信号が差動増幅器6−13の反転入力端子に接続される。
前記反転入力端子と差動増幅器6−13の出力端子は電圧制御型抵抗器6−12を介して接続されている。
電圧制御型抵抗器6−12には駆動コントロール回路7からの電圧信号が接続されており、該電圧信号の電圧値の大きさに応じて電圧制御型抵抗器6−12の抵抗値が制御できるようになっている。
差動増幅器6−13、抵抗器6−11および電圧制御型抵抗器は線形な帰還増幅器を構成しており、前記第1の電圧信号と第2の電圧信号の差分を増幅し電圧信号を出力する特性を持つ。
差動増幅器6−13の出力端子は電圧制御型発振器6−14に接続されており、差動増幅器6−13からの電圧信号の大きさに応じた周波信号が、電圧制御型発振器6−14より出力される。
該周波信号は移相器6−151および6−152を通過することにより互いの相対位相差が略90度となる2つの信号となる。そして、それぞれが増幅器6−161および6−162を介して、振動波モータへの2相駆動電圧信号として給電され、振動波モータが回転する。
振動波モータ1−1の給電線には電流検出手段8−1を設けており給電電流の大きさに応じた信号電圧が検出され、駆動コントロール回路に送られる。
また、振動波モータを構成する圧電素子より振動振幅に応じた電圧信号を検出する振動検出手段9−1により駆動コントローラに送られ振動振幅の大きさを知ることができる。
また、駆動電圧発生回路6−2、電流検出手段8−2および振動検出手段9−2の構成および動作メカニズムは前記駆動電圧発生回路6−1、電流検出手段8−1および振動検出手段9−1と同様であり、同様に振動波モータを駆動制御することができる。
ここで示されている特性は本発明に固有の特性ではなく、従来例のものにおいても同様の特性を有している。
第1の振動波モータと第2の振動波モータの間には、駆動電圧周波数に関して、次の2つの特性差が生じている。
一つ目が図上の横軸方向に生じるオフセットである。図に示すように、速度がゼロとなる周波数値が、第1と第2の振動波モータとの間にΔF0という差が生じている。
その結果として、それぞれの振動波モータをF1という同一の周波数で駆動した場合に、Δω1という回転速度差を生じる。
この回転速度差は各モータにおける振動体と回転体の接触界面にせん断方向のすべりを発生させるので、騒音あるいは接触面の摩耗の増長といった不都合が生じる。
また、二つ目として速度ゼロとなる周波数を起点として周波数を変化させた場合の回転速度の変化量、すなわち周波数変化に対する回転速度曲線の勾配にも差が見られる。
これらの各々のモータの間に存在する特性差は、振動体の加工時に生じる寸法誤差、あるいはモータ組立において生じる振動体と回転体間の加圧力誤差のために、振動体の駆動電圧周波数特性の個体差に起因するものである。
また、これらの個体差は駆動経過時間に伴い変化することがあるので、駆動初期においては前記個体差が許容できる程度であった場合においても、時間経過後は個体差が増加し、前記騒音あるいは摩耗の増長といった不都合が発生することがある。
図2に振動波モータの振動振幅と回転速度の関係を示した。図には、駆動周波数領域内において、回転体が静止している状態での振動振幅の周波数特性と回転体が回転しているときの回転速度の周波数特性を重ねて描いている。
また、速度ゼロとなる周波数に対応する振動振幅はA0となっているが、駆動周波数領域内において次の関係式が成り立つ。
回転速度ω=k×(A−A0)
但し、k(小文字)は比例係数、A、A0は振動振幅値である。
この事実は、回転体が静止している状態における振動振幅の周波数特性が求められれば、回転体が回転する状態における回転速度の周波数特性が推定でき、その推定結果より複数個のモータの回転速度の周波数特性の個体差を推定できることを意味している。
また、同様のことが振動波モータに流入する電流と回転速度の周波数特性の関係においても成り立ち、駆動周波数領域内において次の関係式が成り立つ。
回転速度ω=K×(I−I0)
但し、K(大文字)は比例係数、I、I0は流入電流値である。
その結果を図3に示した。
前述の通り、差動増幅器6−13の非反転入力は反転入力に加算されるように動作するので、電圧制御型発振器6−14の入力に対してオフセット電圧として働く。
その結果、駆動コントローラからの非反転入力端子への電圧値に応じて電圧制御型発振器6−14の出力周波数値もオフセットを有する。
そして、結局、非反転入力端子への電圧値をコントロールすることにより出力周波数のオフセット値をコントロールできる。
駆動電圧発生回路6−2も同一回路構成になっており、駆動コントローラ7からの信号電圧により電圧制御型発振器6−24の出力周波数のオフセット値をコントロールできる。
第1と第2の振動波モータの駆動電圧周波数に対する振幅特性の間には、その差異としてまず(1)周波数軸方向に平行シフトさせるオフセット成分が見られる。図中、破線で示した第1の振動波モータの特性カーブと第2の振動波モータの特性カーブとの間には、振動振幅がA0になる周波数値にオフセットΔF0が存在することがわかる。
その結果として、第1および第2のモータを同一の周波数で駆動した場合、ΔA1の振幅差が生じる。
本実施例では、第1の振動波モータが振幅がA0になる差動増幅器6−13への入力電圧値を求め、これを周波数オフセット値として設定する。
この周波数オフセット値の設定により、第2の振動波モータの周波数に対する振動振幅は図中実線で示す特性が得られる。
すなわち、第2の振動波モータへの駆動電圧周波数がF1であった場合には第1の振動波モータにはF1+ΔF0が与えられ、あるいはF20であった場合F10+ΔF0が与えられる。
後者の場合は振動振幅の相対差はゼロになり、前者の場合は振動振幅の相対差がΔA2に縮小される。
これは(2)周波数変化に対する振動振幅変化の勾配が各モータ間で異なっているためである。
これを解決するために、上記したオフセット設定に次ぐ第二の補正処理を行なう。
振動波モータの周波数に対してプロットした場合、2点の代表点においてそれぞれの周波数における振動振幅が一致するとき、プロットの全域で特性カーブが略一致する。
また、2点間の周波数差分に基づき、周波数値に関し線形に内挿して得られる振動振幅特性カーブも略一致することも判明した。
周波数F1における第2の振動波モータの振動振幅A20を同じ速度で回転するための第1の振動波モータの駆動周波数は図5より、F21である。
したがって、第2の振動波モータに周波数F1の指令がなされた場合の第1の振動波モータへの周波数指令値F2は、下記の数式で与えられる。
F2=F20−F1×(F20−F21)÷(F20−F1)
ここで、右辺第二項の(F20−F21)÷(F20−F1)は、周波数変化に対する振動振幅変化の勾配を表している。
上記数式に基づいて回路動作を行なうには、帰還増幅を行なう差動増幅器6−13に接続される電圧制御型抵抗器の抵抗値をコントロールすることにより実現できる。
駆動コントロール回路より与える所要電圧値により差動増幅器の利得がコントロールされ前記の数式に基づいた動作が行なわれる。
図6は、上記(1)および上記(2)に対する解決策をすべて行なった場合の振動振幅特性を示している。
第1および第2の振動波モータの振動振幅特性カーブは、駆動周波数領域において一致して重なっている。
図7に、上記したオフセットおよび勾配補正を行なった後に、回転体が回転する状態での各振動波モータの回転速度の周波数特性を測定した結果を示す。駆動周波数領域において、第1の振動波モータと第2の振動波モータの回転速度特性が略一致していることがわかる。
また本実施例の構成によれば、上記した従来例の課題を解決できるが、より具体的にはつぎの(i)、(ii)のような課題を解決することができる。
すなわち、従来例のものにおいては、
(i)複数モータの一部もしくは全部を実際に回転させその回転特性を検出することにより回転速度の個体間の差異を測定する必要があるため、複数モータのうちの1個モータ特性を他モータと分離して検出することが困難である。
(ii)個体間の差異を修正する手段として、振動体と回転体の間に加えられる押圧力の大きさを変化させる方法に依っているため、押圧力を変化させる機構が必要となり構造が複雑となり、寸法や重量が増加する。
という、課題を有している。
これに対して、本実施例では、各振動波モータ間の特性差を実際にモータを回転させずに検出することができ、押圧力を変化させる機構を必要としないことから、構造が複雑とならず、寸法や重量の増加することを抑制することが可能となる。また、振動波モータは振動振幅の大きさに応じて回転速度が決定されることは、すでに知られているが、
本実施例では回転体が静止している(回転していない)ときの周波数値と振動振幅の関係をもとに、実際に回転したときの回転速度と周波数値との関係を精度よく推定することができ、これらに基づいて複数のモータの個体差による回転速度差の補正が可能となる。
2−1、2−2:ギア
3:ギア
4:出力軸
5:被駆動部材
6−1、6−2:駆動電圧発生回路
6−11、6−21:抵抗器
6−12、6−22:電圧制御型抵抗器
6−13、6−23:差動増幅器
6−14、6−24:電圧制御型発振器
6−151、6−152、6−251、6−252:移相器
6−161、6−162、6−261、6−262:増幅器
7:駆動コントロール回路
8−1、8−2:電流検出手段
9−1、9−2:振動検出手段
Claims (5)
- 電気−機械エネルギ変換素子への周波信号の印加によって振動を発生する振動体および該振動体に接触する接触体を備え、前記振動体と前記接触体とが相対移動を行うように構成された複数の振動波モータと、
前記複数の振動波モータからの駆動力を合成して被駆動部材に伝達する動力伝達機構と、を有する振動波モータの駆動装置であって、
前記振動波モータの駆動を制御する駆動制御手段と、
前記振動波モータの振動状態を検出する振動状態検出手段と、を有し、
前記駆動制御手段は、前記振動状態検出手段により前記振動体と前記接触体とが相対移動を行なわない状態で検出された前記振動波モータの振動状態に基づいて、
前記複数のモータの個体差による回転速度差が小さくなるように駆動周波数を補正することを特徴とする振動波モータの駆動装置。 - 前記振動状態検出手段が、前記電気−機械エネルギ変換素子へ印加する周波信号の電流値を検出する電流検出手段であることを特徴とする請求項1に記載の振動波モータの駆動装置。
- 前記振動状態検出手段が、前記電気−機械エネルギ変換素子の振動振幅量を検出する振動検出手段であることを特徴とする請求項1に記載の振動波モータの駆動装置。
- 請求項1から3いずれか1項に記載の振動波モータの駆動装置と、
前記振動波モータの駆動装置からの駆動力を受けて動作する被駆動部材と、を有することを特徴とする振動波アクチュエータ。 - 電気−機械エネルギ変換素子への周波信号の印加によって振動を発生する振動体および該振動体に接触する接触体を備え、前記振動体と前記接触体とが相対移動を行うように構成された複数の振動波モータと、
前記複数の振動波モータからの駆動力を合成して被駆動部材に伝達する動力伝達機構と、を有する振動波モータの駆動制御方法であって、
前記振動波モータの駆動を制御する駆動制御手段によって、前記振動波モータの振動状態を検出する振動状態検出手段により前記振動体と前記接触体とが相対移動を行なわない状態で検出された振動振幅の周波数特性に基づいて、
前記複数のモータの個体差による回転速度差が小さくなるように駆動周波数を補正することを特徴とする振動波モータの駆動制御方法。
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