JP2011254659A - 振動型アクチュエータの制御装置及び制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ロータの回転方向を切り替える際、ロータの速度変動や可聴音が生じる可能性があった。
【解決手段】 本発明の振動型アクチュエータの制御装置は、第1の交流電圧を振動体に印加することによって前記振動体の接触部に生成する第1の楕円運動と、第2の交流電圧を前記振動体に印加することによって前記接触部に生成する、前記第1の楕円運動とは異なる向きに回転する第2の楕円運動と、の合成によって、前記振動体と前記振動体の接触部に接触する移動体とを相対移動させる。そして、前記第1の交流電圧と前記第2の交流電圧とを前記振動体に印加する電圧供給手段を有し、前記電圧供給手段は、前記相対移動の速度指令に応じて前記第1の楕円運動の振幅と前記第2の楕円運動の振幅との差を変化させるように、前記第1の交流電圧の振幅と前記第2の交流電圧の振幅とを夫々変化させることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明の振動型アクチュエータの制御装置は、第1の交流電圧を振動体に印加することによって前記振動体の接触部に生成する第1の楕円運動と、第2の交流電圧を前記振動体に印加することによって前記接触部に生成する、前記第1の楕円運動とは異なる向きに回転する第2の楕円運動と、の合成によって、前記振動体と前記振動体の接触部に接触する移動体とを相対移動させる。そして、前記第1の交流電圧と前記第2の交流電圧とを前記振動体に印加する電圧供給手段を有し、前記電圧供給手段は、前記相対移動の速度指令に応じて前記第1の楕円運動の振幅と前記第2の楕円運動の振幅との差を変化させるように、前記第1の交流電圧の振幅と前記第2の交流電圧の振幅とを夫々変化させることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、振動型アクチュエータの制御装置及び制御方法に関し、特に、振動体と移動体とを相対移動させる振動波アクチュエータの制御装置及び制御方式に関する。
振動波アクチュエータは、例えば200rpm以下の低速領域で比較的トルクが大きく、減速ギア等を介さずにダイレクトに駆動対象物を移動させることが出来る。しかしながら、極低速領域(例えば1rpm以下)では出力トルクを大きくするように設計すると、起動時に摩擦力がブレーキとなり起動しにくくなる場合がある。
そこで特許文献1では、リング状の振動体に2つの周波数の異なる第1と第2の進行波(進行性振動波)を同時に発生させ、該2つの進行波を振動体上の異なる方向に進行させる技術が提案されている。2つの進行波の合成によって生ずる振幅変調された合成波である進行波によって、移動体であるロータを低速で安定に駆動する。また、特許文献1では、2つの進行波の振幅や位相差の制御によって速度を変化させる方法について説明している。振幅制御の場合、2つの逆方向の進行波が発生している状態から1つの進行波の状態に切り替えるために、合成波の進行方向とは反対の進行波を励起している交流電圧の振幅を徐々に小さくしていく。これにより、低速状態から高速状態に移行する。また位相差制御の場合、一方の進行波を発生させる2相の交流電圧間の位相差を−90度から90度に徐々に切り替えることで、2つの進行波の進行方向を同方向に切り替えることで低速状態から高速状態に移行する。
特許文献1では、2つの進行波が生成している低速状態において、2つの進行波を生成するための交流電圧は夫々一定である。ロータの回転方向を切り替えるには、第1の進行波と第2の進行波の周波数を近づけていき、最終的に周波数を入れ替えることで行っている。合成波は第1の進行波の周波数と第2の進行波の周波数との周波数差で振幅が変調されるため、広い周波数範囲で駆動対象物を加振してしまい、可聴音の発生や、広い周波域で制御性能の低下を招いていた。
そこで、本発明は、回転方向を変更する際に、制御性能の向上及び可聴音の発生を低減することを目的とする。
本発明の振動型アクチュエータの制御装置は、第1の交流電圧を振動体に印加することによって前記振動体の接触部に生成する第1の楕円運動と、第2の交流電圧を前記振動体に印加することによって前記接触部に生成する、前記第1の楕円運動とは異なる向きに回転する第2の楕円運動と、の合成によって、前記振動体と前記振動体の接触部に接触する移動体とを相対移動させる振動型アクチュエータの制御装置であって、前記第1の交流電圧と前記第2の交流電圧とを前記振動体に印加する電圧供給手段を有し、前記電圧供給手段は、前記相対移動の速度指令に応じて前記第1の楕円運動の振幅と前記第2の楕円運動の振幅との差を変化させるように、前記第1の交流電圧の振幅と前記第2の交流電圧の振幅とを夫々変化させることを特徴とする。
また、本発明の振動型アクチュエータの制御方法は、第1の交流電圧を振動体に印加することによって前記振動体の接触部に生成する第1の楕円運動と、第2の交流電圧を前記振動体に印加することによって前記接触部に生成する、前記第1の楕円運動とは異なる向きに回転する第2の楕円運動と、の合成によって、前記振動体と前記振動体の接触部に接触する移動体とを相対移動させる振動型アクチュエータの制御方法であって、前記相対移動の速度指令に応じて前記第1の楕円運動の振幅と前記第2の楕円運動の振幅との差を変化させるように、前記第1の交流電圧の振幅と前記第2の交流電圧の振幅とを夫々変化させることを特徴とする。
本発明によれば、回転方向を変更する際、異なる向きに進行する2つの進行波の振幅の差を変化させることで、制御性能が向上すると共に可聴音の発生を低減し、ロータの移動速度をスムースに制御することが可能となる。
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態の振動型アクチュエータの制御装置を示すブロック図である。まず、振動型アクチュエータ5について説明する。振動型アクチュエータ5の振動体には電気−機械エネルギー変換素子である圧電素子が設けられており、この圧電素子には交流電圧を印加するための電極1、2、3、4が設けられている。電気−機械エネルギー変換素子としては、圧電素子の他に電歪素子、磁歪素子等を用いても良い。
図1は第1の実施形態の振動型アクチュエータの制御装置を示すブロック図である。まず、振動型アクチュエータ5について説明する。振動型アクチュエータ5の振動体には電気−機械エネルギー変換素子である圧電素子が設けられており、この圧電素子には交流電圧を印加するための電極1、2、3、4が設けられている。電気−機械エネルギー変換素子としては、圧電素子の他に電歪素子、磁歪素子等を用いても良い。
図6に本発明の適用できる振動型アクチュエータ5の構成を示す。振動型アクチュエータ5の振動体は、圧電素子104と圧電素子が接合された弾性体100とを備える。この振動体に、異なる向きに進行し独立に制御可能な第1の進行波と第2の進行波とを生成する。この際、振動体の接触部102には、異なる向きに回転し独立に制御可能な第1の楕円運動と第2の楕円運動とが生成される。そして、2つの進行波の合成によって生ずる合成波(合成波も進行波である)により、振動体と移動体101とが相対移動する。この際、接触部102においては、2つの楕円運動が合成されている。また、振動型アクチュエータの特性上、移動体の回転方向(相対移動の向き)は、合成波の進行する向きとは反対の向きである。振動体と移動体101とは軸部材であるシャフト103が貫通しており、移動体101は、振動体の突起部に設けられた接触部102に摩擦接触して、シャフト103を中心に回転する。
また、この合成波の進行方向は、第1の進行波と第2の進行波のうち大きいほうの進行波と同じ方向に進行すると共に、見かけ上、第1の進行波の周波数と第2の進行波の周波数との差にあたる周波数で振幅変調された進行波となる。例えば、この第1の進行波と第2の進行波の周波数の差を、必要な制御帯域より高い周波数に設定することが考えられる。100Hz以上に設定しておくことで、制御アプリケーションで必要となる制御帯域より高い周波数となるため、制御性能に与える影響が小さくなるため好ましい。また、第1の進行波と第2の進行波の周波数の差は、400Hz以下にしておくと、第1の進行波と第2の進行波の振幅差が大きくなりすぎず、合成による効果が得られやすいため好ましい。
図7は圧電素子104に設けられた電極1、2、3、4の配置を示しており、電極1、2には第1の交流電圧φ11、φ12が夫々印加され、電極3、4には第2の交流電圧φ21、φ22が夫々印加される。各交流電圧の詳細は後述する。電極13は、振動子の振動波形Sを検出する振動検出手段としての圧電素子領域に設けられた電極である。
図1に戻り、制御装置の各構成手段の説明をする。駆動電圧生成手段6、7は、後述するバランス調整手段10からの周波数指令F1、F2に従って、それぞれ位相の90度ずれた駆動電圧を出力する。速度センサ8は振動型アクチュエータ5によって駆動される被駆動物の移動速度を検出するエンコーダ等の速度検出手段であり、被駆動物の移動速度を検出することで、間接的に移動体の移動速度を検出している。処理装置であるCPU9に振動型アクチュエータ5の速度情報Sp0を入力している。CPU9は、不図示の指令手段からの速度指令Spと、速度センサ8からの速度情報Sp0とを比較した結果に応じてバランス調整手段10に振幅バランス指令B及びON/OFF指令を出力している。バランス調整手段10は、CPU9からの振幅バランス指令Bに応じて、リング状の振動体上に生成する、異なる方向(逆方向)に進行する第1の進行波と第2の進行波の振動振幅バランスを制御している。
電圧制御手段11及び12は、駆動電圧生成手段6及び7の出力信号を夫々入力して、バランス調整手段10からの電圧振幅指令V1、V2に応じて交流電圧の電圧振幅を設定する。本発明において駆動電圧生成手段6、7と電圧制御手段11、12とで振動型アクチュエータの振動体に交流電圧を供給する電圧供給手段が構成される。尚、電圧制御手段11の出力電圧である第1の交流電圧φ11とφ12は同じ電圧振幅であり、第1の交流電圧φ11、φ12で第1の進行波を生成する。電圧制御手段12の出力電圧である第2の交流電圧φ21とφ22は同じ電圧振幅であり、第2の交流電圧φ21、φ22で第2の進行波を生成する。また、図3に第1の交流電圧φ11、φ12と、第2の交流電圧φ21、φ22の駆動波形を示す。第1の交流電圧であるφ11とφ12とは周波数が同じであり、φ11に対してφ12の時間位相は90°遅れている。第2の交流電圧であるφ21とφ22とは周波数が同じであり、φ21に対してφ22の時間位相は90°進んでいる。さらに、第1の交流電圧φ11、φ12と、第2の交流電圧φ21、φ22とは、周波数が異なる値(例えば数百から数KHzずれた値)に設定されている。また、φ11とφ12との時間位相ずれと、φ21とφ22との時間位相ずれと、は逆向きであるため、第1の進行波の進行方向と第2の進行波の進行方向とは逆向きになる。
振動振幅の検出方法としては電圧制御手段11、12の出力電流を計測して予め計測しておいた電流と各進行波の振動振幅との関係から振動振幅を検出する方法や、圧電素子の制動容量に流れる電流をキャンセルして電流を検出する振動検出方法が考えられる。その他にも、圧電素子や歪センサを振動型アクチュエータの振動体に貼り付けてその出力信号を計測する方法、非接触の光学式の振動検出センサ等によって振動を検出する方法等を用いてもよい。
但し、本発明において検出される振動は、2つの周波数の異なる進行波が重畳した振動であるため、合成された振動が検出されてしまい、そのままでは独立して振幅を制御することが出来ない。そのため特定の周波数の信号を検出する方法である同期検波方式やFFT演算で必要な周波数成分のみを検出する方式を用いる必要がある。本実施形態では、電極13が設けられた振動検出手段としての圧電素子で検出した振動波形Sを不図示のA/D変換手段で入力してFFT演算し、それぞれの周波数成分を独立に求めている。この様な方法で、バランス調整手段10は、周波数指令F1、F2の周波数成分の交流電圧を印加した際の振動体の振動振幅検出値A1s、A2sを検出し、これらが振動振幅指令A1、A2と等しくなるように電圧制御手段11及び12の出力電圧の振幅を独立して指示している。
次に、不図示の指令手段からの速度指令Spに応じて振動型アクチュエータ5の振動体と移動体との相対速度を制御する動作を説明する。図2(a)は第1の進行波の振動振幅指令A1と、第2の進行波の振動振幅指令A2と、第1及び第2の進行波の振動振幅の大きさの関係を示す振幅バランス指令Bと、の関係の例を示す。図2(a)の実線が振動振幅指令A1、破線が振動振幅指令A2を示している。図2(b)は速度センサ8の出力信号である速度情報Sp0と振幅バランス指令Bとの関係の例を示す。
図2(a)、(b)において、速度が略0である振幅バランス指令Bが0の状態を境に2つの進行波の振動振幅指令A1、A2の大小が入れ替わり、ほぼ対称な関係になっている。振幅バランス指令Bは、0の際に振動振幅指令A1と振動振幅指令A2が同じ振幅となるように設定されており、符号はどちらの振動振幅指令が大きいかを示している。振幅バランス指令Bは、第1の進行波及び第2の進行波のどちらもが励起されている領域(低速領域)において、第1の進行波の振動振幅指令A1から第2の進行波の振動振幅指令A2を引いた値に対応した値で表すことができる。また、低速領域においては、振幅バランス指令Bが増加する際、振動振幅指令A1が増加し、振動振幅指令A2は減少するよう変化する。本実施形態においては、振動振幅指令A1とA2との和は一定になるよう制御されている。
また速度の絶対値が所定の値以上の領域(高速領域)では、一方の進行波の振動振幅指令が0となっており、振動振幅指令が0になった後はそのまま0に固定し、他方の進行波の振動振幅指令を増加させることで更に高速な速度領域の動作を行っている。つまり、振幅バランス指令Bの絶対値が所定の値(B0)以上では、振動振幅指令A1、A2の一方の振動振幅指令が0となっており、振動振幅指令A1、A2に対応する電圧振幅指令V1、V2の一方の電圧振幅指令も0となっている(後述の図2(c)参照)。一方の振動振幅指令が0になった後、更に振動振幅を増大させる方法としては、他方の印加電圧の振幅を更に増大させる方法と、印加電圧の周波数を振動型アクチュエータ5の振動体の共振周波数FRに近付ける方法とがある。本実施形態では、バランス調整手段10は、振幅バランス指令Bが±B0で一方の電圧振幅指令を0とし、更に他方の電圧振幅指令を増大させて振動振幅を増大させる。また、電圧振幅が最大値に到達した後は、周波数指令F1、F2によって振動振幅を更に増大させている。
図2(c)に振幅バランス指令Bと、第1の交流電圧φ11、φ12の電圧振幅指令V1と、第2の交流電圧φ21、φ22の電圧振幅指令V2と、の関係を示す。図2(c)の実線が電圧振幅指令V1、破線が電圧振幅指令V2を示している。また、図2(d)に振幅バランス指令Bと周波数指令F1、F2との関係を示す。図2(d)の実線が周波数指令F1、破線が周波数指令F2を示している。
図2(c)より、電圧振幅指令V1及び電圧振幅指令V2は、振幅バランス指令Bに応じて、第1及び第2の進行波の振動振幅が変化するように、夫々変化する。特に、低速領域において、振動振幅指令A1、A2の変化に応じて、電圧振幅指令V1、V2が夫々逆方向に変化する。具体的には、第1の進行波と第2の進行波とが合成された合成波の進行する向きを、第1の進行波の進行する向きから第2の進行波の進行する向きに変更する際、電圧振幅指令V1は小さくしていき、電圧振幅指令V2は大きくしていく。また、反対に、合成波の進行する向きを、第2の進行波の進行する向きから第1の進行波の進行する向きに変更する際は、電圧振幅指令V1は大きくしていき、電圧振幅指令V2は小さくしていく。ここで、上述したように、移動体の移動する向きは合成波の進行する向きとは逆向きである。
ここで、図2(c)より振幅バランス指令Bが0では振動振幅指令A1、A2は同じ振幅となるが、電圧振幅指令V1、V2は同じ振幅とはならない。これは起動時に、第1の進行波が生じる初期周波数F10と、第2の進行波が生じる初期周波数F20と、が異なる周波数であるために生じる。つまり、振動型アクチュエータ5の振動体の共振周波数FRと初期周波数F10との差と、共振周波数FRと初期周波数F20との差と、が違うために生じる。これは、図8の振動周波数と速度の関係に示すように、周波数が共振周波数FRに近いほど大きな振動振幅となるため、周波数が共振周波数FRに近いほど印加電圧の振幅が小さくて済むのである。
図2(d)に示すように、本実施形態では、初期周波数F10の方が初期周波数F20より共振周波数FRに近いので、電圧振幅指令V1と電圧振幅指令V2が同じ振幅の際には、振動振幅指令A1の方が振動振幅指令A2より大きな振幅となっている。また速度がほぼ0の状態では振動振幅指令A1と振動振幅指令A2がほぼ同じ振幅となっているが、同じ理由により電圧振幅指令V1の方が電圧振幅指令V2より小さな振幅となっている。
周波数指令F1、F2が初期周波数F10、F20に固定の状態では、振幅バランス指令Bが変化すると電圧振幅指令V1、V2が逆方向に変化していき、振動振幅指令A1とA2も同様に変化し、移動速度も振幅バランス指令Bの符号に応じた方向に増加していく。そして振幅バランス指令Bが±B0になると一方の振動振幅指令が0となり同様に一方の電圧振幅指令が0になる。その後は0に到達した側の電圧振幅指令は0に固定される。更に他方の振動振幅指令を増加していくと最終的に電圧振幅指令は最大電圧Vmに固定される。一方、周波数は電圧振幅指令が最大電圧Vmに固定された後に変化する。周波数指令F1あるいは周波数指令F2は振幅バランス指令Bの変化に応じて振動型アクチュエータ5の振動体の共振周波数FR近傍まで変化する。
以上説明したように、本実施形態では、振動体と移動体の相対移動の向きを変更する際、第1の交流電圧の電圧振幅指令V1と第2の交流電圧の電圧振幅指令V2とを夫々変化させる。これにより、第1の進行波の振動振幅(つまり第1の楕円運動の振幅)と第2の進行波の振動振幅(つまり第2の楕円運動の振幅)との差を変化させることで、振動の乱れを低減する。また、2つの進行波を発生する交流電圧の周波数差を固定することにより、より制御性能が向上する。
低速から高速に速度を変更する際は、振幅バランス指令Bが±B0で一方の電圧振幅指令を0とし、他方の電圧振幅指令を増大させて振動振幅を増大させる。電圧振幅指令が最大電圧Vmに到達した後に更に速度を上げる際は、相対移動と同じ向きの進行波を励起する交流電圧の周波数指令を共振周波数FRに近けることによって速度を増大させている。ただし、低速から高速に速度変化させる際は上記制御に限らず、振幅バランス指令Bが±B0の時点で、相対移動と同じ向きの進行波を励起する交流電圧の周波数指令を共振周波数FRに近づけても良い。またその場合、移動の向きとは逆向きの進行波の交流電圧の電圧振幅指令を0とし、移動の向きの電圧振幅指令を一定としてもよい。
次に、上記制御を行うためのCPU9及びバランス調整手段10の動作について説明する。図4は不図示の指令手段からの速度指令Spに応じて振動型アクチュエータ5の速度を制御するCPU9の動作を示すフローチャートであり、図5はバランス調整手段10の動作を示すフローチャートである。
まず図4を用いてCPU9の動作について説明する。最初に不図示の指令手段からの速度指令Spが0かどうかを検出し(S401)、Spが0以外の速度になると、CPU9は振動振幅指令A1とA2との関係を設定する振幅バランス指令Bを0(A1=A2)としてON/OFF信号でONを指令する(S402)。次のステップS403からは、一定時間毎に速度を検出して振幅バランス指令Bを設定するルーチンに入る。S404では、一定時間毎に速度センサ8の出力である速度情報Sp0を検出して速度指令Spを更新し、速度センサ8からの速度情報Sp0と速度指令Spとの差Spdを検出する。次にSpdに所定のゲインG1を乗じた値を振幅バランス指令Bに加算して振幅バランス指令Bを更新する(S405)。そして不図示の指令手段からの速度指令Spが0になるまでこの動作を繰り返す(S406〜S407)。速度指令Spが0となったらON/OFF信号でOFFを指令して(S408)、CPU9による速度制御の動作は終了する。
次に図5を用いてバランス調整手段10の動作を説明する。CPU9からのON/OFF信号でONが指令されるまで待機し(S501)、ONが指令されると周波数指令F1、F2に初期周波数F10、F20を設定し、振動振幅検出値A1s、A2sを0とする(S502)。次に、所定の電圧振幅V0を内部電圧振幅指令V1n及びV2nに設定し、電圧振幅指令V1、V2にも電圧振幅V0を設定して電圧制御手段11、12に出力する(S503)。すると振動型アクチュエータ5の振動体に第1の進行波及び第2の進行波が励起され、振動検出用の圧電素子の出力に振動波形Sが現れる。
次のステップS504からはこの振動波形Sを検出して振動振幅を制御するルーチンに入る。まずA/D変換手段等で振動波形Sを検出し、FFT演算等によって周波数指令F1とF2の成分の振動振幅検出値A1sとA2sを検出する(S505)。そして振幅バランス指令Bを入力し、図2に示した振幅バランス指令Bと振動振幅指令A1、A2の関係から振動振幅指令A1、A2を設定する(S506)。次のステップS507で、A1とA1sの差A1d、及び、A2とA2sの差A2dを求め、これに所定ゲインG2を乗じて内部電圧振幅指令V1n、V2nに加算して、内部電圧振幅指令V1n、V2nを更新する。ここで内部電圧振幅指令V1n、V2nが負の値となったら、電圧振幅指令V1、V2及び、内部電圧振幅指令V1n、V2nを0に固定する(S508〜S509、S512〜S513)。また、内部電圧振幅指令V1n又はV2nが所定の最大電圧Vmより大きい場合には電圧振幅指令V1又はV2を最大電圧Vmに固定する(S508〜S511、S512〜515)。
ここまでが電圧振幅指令に係わるステップで、ここからが周波数指令に係わるステップである。まず、内部電圧振幅指令V1n、V2nが、最大電圧Vmより小さいなら、V1d、V2dを0に設定する。内部電圧振幅指令V1n、V2nが最大電圧Vmより大きいなら、内部電圧振幅指令V1n、V2nと最大電圧Vmとの差を、V1d、V2dに設定する(S508〜S515)。そして、初期周波数F10、F20から、V1d、V2dに所定ゲインG3を乗じた値を減算して、周波数指令F1、F2に設定する(S516)。そしてON/OFF信号がOFFを指令するまでこれを繰り返すように動作し(S517)、OFFが指令されたら電圧振幅指令V1、V2を0として(S518)、終了する。
ここで振動振幅指令A1、A2の方が振動振幅検出値A1s、A2sよりも大きい場合を考える。すると、振動振幅指令A1と振動振幅検出値A1sとの差A1d、及び振動振幅指令A2と振動振幅検出値A2sとの差A2dが正の値となり、これを加算することで電圧振幅指令V1、V2が大きくなる。印加電圧の振幅が大きくなるため、検出される振動振幅検出値A1s、A2sも大きくなり、振動振幅指令A1、A2に近付いて行く。
内部電圧振幅指令V1n、V2nの一方が最大電圧Vm以上の値になった場合を考える。内部電圧振幅指令V1n、V2nの一方が最大電圧Vm以上の値になると、内部電圧振幅指令V1n、V2nと最大電圧Vmとの差V1d、V2dが正の値となる。すると周波数指令F1、F2が初期周波数F10、F20より低周波側へ下がって行き、周波数指令F1、F2が共振周波数FRに近付いていく。そして周波数指令F1、F2が共振周波数に近付くことで検出される振動振幅検出値A1s、A2sが大きくなり、同様にして振動振幅指令A1、A2に近付いて行く。
(第1の実施形態の変形例)
次に、第1の実施形態の変形例について説明する。この変形例は、移動体の相対移動の速度が加速していく過程と減速していく過程とで電圧振幅指令V1、V2が夫々異なるヒステリシス領域を有している点が上述の基本的な実施形態(以下、「基本例」と呼ぶ)と異なる。
次に、第1の実施形態の変形例について説明する。この変形例は、移動体の相対移動の速度が加速していく過程と減速していく過程とで電圧振幅指令V1、V2が夫々異なるヒステリシス領域を有している点が上述の基本的な実施形態(以下、「基本例」と呼ぶ)と異なる。
図9は本変形例において電圧振幅指令V1、V2及び周波数指令F1、F2の設定方法を説明するための図である。図9(a)、(b)は図2(a)、(b)と同じであるので説明は省略する。上記基本例では起動時及び停止時の周波数指令F1、F2は初期周波数F10、F20で固定されていたが本変形例では、周波数指令F1、F2の周波数が起動時と停止時で入れ替わる場合がある。図9(c)、(d)はそれぞれ図2(c)、(d)に対応する図で、図9(c)は電圧振幅指令V1、V2と振幅バランス指令Bとの関係を示しており、図9(d)は周波数指令F1、F2と振幅バランス指令Bとの関係を示している。
電圧振幅指令V1と周波数指令F1は、上記基本例と同様に第1の進行波を制御する指令であり、こちらを例にとって図9の説明をする。まず起動時には、周波数指令F1は初期周波数F10に設定され、電圧振幅指令V1はV0に設定される。振幅バランス指令Bが増加していく(合成波が第1の進行波の進行する向きに加速していく)と周波数指令F1は初期周波数F10で固定されたまま電圧振幅指令V1が増加して行く。電圧振幅指令V1が最大電圧Vmに到達しないうちは周波数指令F1に変化は無く、振幅バランス指令Bの増減に連動して電圧振幅指令V1が増減する。ここで電圧振幅指令V1が最大電圧Vmに達すると電圧振幅指令は最大電圧Vmに固定され、更に振幅バランス指令が増加する(加速する)と周波数指令F1が上記共振周波数FRへ近付いて行く。
次に、電圧振幅指令V1が一旦最大電圧Vmに固定されると、周波数指令F1はヒステリシスループの別の経路に沿って変化する。つまり電圧振幅指令V1が一旦最大電圧Vmに固定された後に振幅バランス指令Bが減少していく(減速していく)と周波数指令F1は上記共振周波数FRから離れて高周波側へ変化していく。そして周波数指令F1が初期周波数F10に到達してもこの変化は止まらずに振幅バランス指令Bが+B1で初期周波数F20となるまで変化する。周波数指令F1は初期周波数F20に固定され、ここから電圧振幅指令V1が減少していき、相対移動の速度は減速していく(つまり合成波中に第2の進行波の進行する向きの速度成分が増加)する。このまま振幅バランス指令Bの増減に従って電圧振幅指令V1は増減する。ここで再度振幅バランス指令Bが増加して+B1を超えた場合には周波数指令F1は共振周波数FRに近付いていくが、振幅バランス指令Bが+B1で初期周波数F20に固定される経路は変わらない。
次に、更に振幅バランス指令Bが小さくなり0より小さくなる(合成波が第2の進行波の進行する向きに加速していく)場合について説明する。周波数指令F1は初期周波数F20に固定されたまま電圧振幅指令V1は減少していき、最終的に振幅バランス指令Bが−B1になると電圧振幅指令V1は0になる。0になって更に振幅バランス指令Bが小さくなっても電圧振幅指令V1は0に固定されたままである。振幅バランス指令Bが−B1より小さい状態では電圧振幅指令V2と周波数指令F2のみが変化して第2の進行波のみが制御対象となっている。ここで、周波数指令F1、F2は、固定されている状態では一方が初期周波数F10なら他方が初期周波数F20となっている。従って、上記した振幅バランス指令Bが−B1に達した時の周波数指令F1は初期周波数F20であるため、この時の周波数指令F2は初期周波数F10となっている。
また振幅バランス指令Bが−B1に達した時の電圧振幅指令V2は、最大電圧Vmに到達していない状態となっている。この状態は振幅バランス指令Bが+B1に最初に到達した際の電圧振幅指令V1の状態と同じ状態である。従って、振幅バランス指令Bが−B1より小さい領域では、電圧振幅指令V2及び周波数指令F2の変化は上述した電圧振幅指令V1及び周波数指令F1の変化と同様の変化をすることになる。
このように、本変形例においては、電圧振幅指令V1、V2及び周波数指令F1、F2はヒステリシス領域を持つことによって、振幅バランス指令Bが0を中心として対称な特性を得ることが可能となり、相対移動の向きによる特性の差を無くすことが可能となる。
図10にバランス調整手段10の動作を表すフローチャートを示す。上記したように、ヒステリシスを持つ制御は振動型アクチュエータ5の相対移動の向きに対して対称な制御であるため、起動時の周波数指令F1、F2は移動方向に応じて初期周波数F10、F20が入れ替わる。図10ではCPU9からの振幅バランス指令Bの極性によってどちらの周波数指令をF10とするか切り替えている。
また図5に示したヒステリシスを持たない制御方法では、主に電圧を制御する領域を電圧制御モード、主に周波数を制御する領域を周波数制御モードとしたとき、電圧制御モードと周波数制御モードとが切り替わる際の振幅バランス指令Bが常に同じである。それに対し、ヒステリシスを持つ図10の例では加速時と減速時で異なる振幅バランス指令Bにおいて電圧制御モードと周波数制御モードが入れ替わる。変数VFは電圧制御モードと周波数制御モードのどちらの制御モードが実行中かを示すフラグであり、電圧制御モードは0、周波数制御モードは1となっている。加速時には、電圧振幅指令が最大振幅Vmを超えると、変数VFは0から1となり電圧制御モードから周波数制御モードになる。減速時には、内部周波数指令F1nが初期周波数F20を超えると、変数VFは1から0となり周波数制御モードから電圧制御モードに切り替わる。電圧制御モードでの電圧振幅指令V1、V2及び周波数制御モードでの周波数指令F1、F2の操作は、振動振幅指令A1、A2と周波数指令F1、F2の周波数成分の振動振幅検出値A1s、A2sとの差A1d、A2dに応じて行っている。
電圧制御モードの場合は、それぞれの差A1d、A2dにゲインG2を乗じた値を、電圧振幅指令V1、V2に加算し、電圧振幅指令V1、V2としている。周波数制御モードの場合は、それぞれの差A1d、A2dにゲインG3を乗じた値を、内部周波数指令F1n、F2nから減算して、内部周波数指令F1n、F2nとし、初期周波数指令F20の制限を設けて、周波数指令F1、F2に設定している。また、周波数制御モードでは、操作する周波数指令は周波数指令F1、F2の一方のみであるため、振動振幅指令A1、A2の大小関係によってどちらか一方に切り替えている。
図11は第1の進行波と第2の進行波とが合成された時の、振動検出手段用の圧電素子の電極13からの出力された振動波形Sの波形である。振動振幅指令A1と振動振幅指令A2の値が異なる状態での波形を示している。振動波形Sの最大振幅は振動振幅指令A1と振動振幅指令A2の和とほぼ一致している。本実施形態では2つの振動を重畳する際には、振動振幅指令A1と振動振幅指令A2の和が一定になるように設定した。このように設定することにより、2つの振動を重畳した時に最大振幅が大きくなりすぎず、圧電素子の耐久性が向上する。
ただし、振動振幅指令A1、A2の振幅の和を一定にしなくとも振動型アクチュエータ5の速度を制御することが可能なことは当然であるから、図12のように振幅バランス指令Bに対して振動振幅指令A1とA2の和が一定とならない場合でも良い。図12は振幅バランス指令Bが0の時に最大振幅が大きくなるように振動振幅指令A1、A2を設定したものであり、振幅バランス指令Bが0の時は、振動振幅指令A1、A2を大きくすることで、速度が0近傍での不感帯の影響を抑制することができる。
また、上述の基本例及び変形例では、異なる向きの進行波が2つの例について説明したが、本発明において励起される進行波は2つだけに限られず、3つ以上の複数でもよい。つまり、本発明においては、異なる向きに進行する進行波が少なくとも2つあればよい。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、起動時の周波数指令が初期周波数F10及びF20で固定されていた。しかしながら、図8に示したような振動型アクチュエータ5の振動周波数に対する速度の特性は温度や個体差によって変化する。よって、個別に初期周波数F10、F20を調整したり、温度に対する初期周波数F10、F20の特性をあらかじめ計測してデータベース化しておき、温度センサで計測した温度に応じて初期周波数F10、F20の最適値を探索する必要があった。そこで本実施形態では、起動時に初期周波数F10及びF20を求める動作を行うことで、温度や固体差に対応した例を説明する。
第1の実施形態では、起動時の周波数指令が初期周波数F10及びF20で固定されていた。しかしながら、図8に示したような振動型アクチュエータ5の振動周波数に対する速度の特性は温度や個体差によって変化する。よって、個別に初期周波数F10、F20を調整したり、温度に対する初期周波数F10、F20の特性をあらかじめ計測してデータベース化しておき、温度センサで計測した温度に応じて初期周波数F10、F20の最適値を探索する必要があった。そこで本実施形態では、起動時に初期周波数F10及びF20を求める動作を行うことで、温度や固体差に対応した例を説明する。
図13(a)はバランス調整手段10の起動動作時の周波数指令F1、F2の時間変化を示し、図13(b)は振動体の振動振幅の時間変化、図13(c)は速度の時間変化を示している。振動型アクチュエータ5の起動時は周波数指令F1、F2を移動体が停止状態となる起動周波数F11、F21とし、電圧振幅指令V1、V2を所定の起動電圧V0に設定する。この周波数では共振周波数FRから十分離れているので振動振幅及び速度は略0である。初期周波数F10、F20では、電圧振幅指令V1、V2で速度が制御可能となる必要があるため、電圧振幅指令V1、V2が起動電圧V0の時にある程度の速度で動作する必要がある。そこで起動時から所定のレートで周波数を掃引し、速度が所定の速度Sp2に達したことを検出する。そしてその時の周波数指令F1、F2の値を新しい初期周波数F10、F20としてバランス調整手段10内の不図示の記憶手段に記憶して置く。次回の起動動作の際には記憶した周波数から起動することで起動時間の短縮が可能となる。また速度が所定の速度に達したことを検出する代わりに、振動振幅が所定の振幅As0に達したことを検出する方法を用いてもよい。これは、速度と振動振幅がほぼ比例関係であるためである。このように最適な初期周波数を記憶手段に記憶した後は、上記第1の実施形態と同様にして速度制御を行うことが可能となる。尚、周波数を掃引する際の周波数指令F1、F2の周波数差はほぼ一定の差を保ちつつ掃引することが好ましい。
(第3の実施形態)
第1及び第2の実施形態では、リング状の振動体に進行波を形成する例を説明したが、本実施形態では、棒状の振動体の例を示す。図14は本実施形態の振動型アクチュエータ14の構成を示しており、弾性体110は圧電素子111によって加振される。振動体は、弾性体110と弾性体110に挟持される積層の圧電素子111とを備える。圧電素子111には、フレキシブル基板112により交流電圧が供給される。移動体であるロータ113は、弾性体110の上面の接触部が楕円運動することによって、振動体と相対移動する。
第1及び第2の実施形態では、リング状の振動体に進行波を形成する例を説明したが、本実施形態では、棒状の振動体の例を示す。図14は本実施形態の振動型アクチュエータ14の構成を示しており、弾性体110は圧電素子111によって加振される。振動体は、弾性体110と弾性体110に挟持される積層の圧電素子111とを備える。圧電素子111には、フレキシブル基板112により交流電圧が供給される。移動体であるロータ113は、弾性体110の上面の接触部が楕円運動することによって、振動体と相対移動する。
図15は弾性体110と圧電素子111とを備える振動体がどのような振動を発生するかを説明する模式図である。圧電素子111に交流電圧を印加すると、棒状の振動体に、直交する2つの曲げ振動が形成される。この2つの曲げ振動に90度の時間位相ずれを与えることで、くびれを持つ弾性体110の上部(接触部)が振れて、首振り運動のように回る回転運動をする。これによって弾性体110の上部のロータ113との接触部に楕円運動が生じ、加圧接触されるロータ113に駆動力を伝達している。図16は圧電素子111上に形成された給電用の電極パターンであり、4つの電極50、51、52、53で分けられている。電極50、51、52、53には交流電圧φ11、φ12、φ21、φ22が供給される。交流電圧φ11、φ12、φ21、φ22は位相の異なる4相の交流電圧である。本実施形態においては、振動体に生じる第1の回転運動と、第1の回転運動とは異なる向きに回転する第2の回転運動と、を合成することによって、ロータ113を低速で回転させることができる。振動体の接触部には、第1の回転運動では第1の楕円運動が生じ、第2の回転運動では第1の楕円運動とは異なる向きに回転する第2の楕円運動が生じる。
実施形態1、2と同様に、棒状の振動型アクチュエータ14を用いた場合でも、振動体の振動振幅を検出する方法としては、圧電素子を別途設ける方法や、電極50、51、52、53に流入する電流から振動振幅を検出する方法がある。そのため振動型アクチュエータ14を用いた場合でも上記実施形態と同様に振動振幅を制御することは可能である。本実施形態では振動振幅を検出せずに制御する例について示す。
図17は第3の実施形態の振動型アクチュエータ14の制御装置を示すブロック図である。駆動電圧生成手段15は、処理手段であるCPU9からの周波数指令F1及び電圧振幅指令V1に応じて、90度位相の異なる2相の交流電圧PA0、PA90を出力する。駆動電圧生成手段16はCPU9からの周波数指令F2及び電圧振幅指令V2に応じて、90度位相の異なる2相の交流電圧PB0、PB90を出力する。加算手段17は、駆動電圧生成手段15の出力する交流電圧PA0と駆動電圧生成手段16の出力する交流電圧PB90とを加算して変調電圧PMAを出力する。加算手段18は、駆動電圧生成手段15の出力する交流電圧PA90と駆動電圧生成手段16の出力する交流電圧PB0を加算して変調電圧PMBを出力する。トランス19は、1次側に1相の交流電圧PMAを入力し、2次側のセンタータップ接続によって180度位相の異なる2相の交流電圧φ11、φ12を振動型アクチュエータ14の電極50、51に印加している。トランス20は、1次側に1相の交流電圧PMBを入力し、2次側のセンタータップ接続によって180度位相の異なる2相の交流電圧φ21、φ22を振動型アクチュエータ14の電極52、53に印加している。実施形態1、2では、第1及び第2の進行波毎に個別の周波数の交流電圧を印加して第1及び第2の進行波を独立に生成していたが、本実施形態では、同じ交流電圧を印加して2つの回転運動を同時に発生する方式とした。本実施形態において、振動体に交流電圧を供給する電圧供給手段は、駆動電圧生成手段15、16と、加算手段17、18と、トランス19、20とから構成される。また、速度センサ8により、振動体と移動体との相対移動速度(回転速度)が検出される。
図18は交流電圧PA0、PA90、PB0、PB90及び、変調電圧PMA、PMBの波形の例を示した模式図である。交流電圧PA0、PA90は、交流電圧PB0、PB90より電圧振幅が小さくなっている。交流電圧PA0とPA90とは90°位相が異なる。同様に、交流電圧PB0とPB90とは90°位相が異なる。また、交流電圧PA0、PA90と、交流電圧PB0、PB90と、は異なる周波数となっている。よって、加算手段17でPA0とPA90とが加算された結果、変調電圧PMAは振幅と共に、位相あるいは周波数が変化する変調波形となっている。同様に、加算手段18でPB0とPB90とが加算された結果、変調電圧PMBは振幅と共に、位相あるいは周波数が変化する変調波形となっている。
このように、2つの異なる周波数の交流電圧を合成して1つの交流電圧として用いることで、1つの圧電素子で2つの異なる周波数の振動を発生している。この様に、2組の交流電圧を圧電素子に印加する方法としては、直接、圧電素子に2組の交流電圧を印加する第1及び第2の実施形態の方法と、圧電素子に印加する前に波形を合成して1組の交流電圧としてから圧電素子に印加する本実施形態の方法と、がある。本実施形態の方が圧電素子を有効に利用出来る。
図19に本実施形態の動作を説明するフローチャートを示す。電圧振幅の制御及び周波数の制御は概ね第1の実施形態と同じである。ただし、第1の実施形態においては、振動振幅指令に対して振動振幅が追随するように電圧振幅を制御しているのに対し、本実施形態では速度指令Spに対して速度情報Sp0が追随するように電圧振幅を制御している。従って、第1の実施形態では振動振幅偏差A1d、A2dにゲインG2を乗じた値を内部電圧振幅指令V1n、V2nに積算していたのに対し、本実施形態では速度偏差SpdにゲインG2を乗じた値を内部電圧振幅指令V1n、V2nに積算している。そのため、速度差が正の値の場合には電圧振幅指令V1が大きくなり、速度差が負の場合には電圧振幅指令V2が大きくなるように動作する。他の動作の説明は第1の実施形態と同様なので説明を省略する。
また第1〜3の実施形態は、2つの位置的位相の異なる同じ振動波形の振動モードの振動を合成して接触部に楕円運動を形成する場合について説明したが、異なる振動モードの合成の場合にも同じ効果がある。第1及び第2の実施形態はリング状の振動体上を進行波がリングに沿って進行する例であり、第3の実施形態は棒状の振動体が直交する方向に曲がる2つの曲げ振動を発生させることでフラフープを回す腰の動きのように棒が回転する回転運動を用いた例を示した。その他の振動を用いた例としては、棒状振動体の縦方向の伸縮振動とねじり振動を合成するものや、板状の振動体を用い直交する方向の曲げ振動を合成するもの等がある。これらの様々な原理の振動型アクチュエータであっても2つ以上の振動を合成することで振動体の一部に楕円軌跡を描く振動によって、移動体を移動させる振動型アクチュエータに対し本発明は有効である。
1、2、3、4 電極
5 振動型アクチュエータ
6、7 駆動電圧生成手段
8 速度センサ
9 CPU
10 バランス調整手段
11、12 電圧制御手段
5 振動型アクチュエータ
6、7 駆動電圧生成手段
8 速度センサ
9 CPU
10 バランス調整手段
11、12 電圧制御手段
Claims (15)
- 第1の交流電圧を振動体に印加することによって前記振動体の接触部に生成する第1の楕円運動と、第2の交流電圧を前記振動体に印加することによって前記接触部に生成する、前記第1の楕円運動とは異なる向きに回転する第2の楕円運動と、の合成によって、前記振動体と前記振動体の接触部に接触する移動体とを相対移動させる振動型アクチュエータの制御装置であって、
前記第1の交流電圧と前記第2の交流電圧とを前記振動体に印加する電圧供給手段を有し、
前記電圧供給手段は、前記相対移動の速度指令に応じて前記第1の楕円運動の振幅と前記第2の楕円運動の振幅との差を変化させるように、前記第1の交流電圧の振幅と前記第2の交流電圧の振幅とを夫々変化させることを特徴とする振動型アクチュエータの制御装置。 - 前記第1の楕円運動は、前記第1の交流電圧を前記振動体に印加することによって前記振動体に生成する第1の進行波により生じ、
前記第2の楕円運動は、前記第2の交流電圧を前記振動体に印加することによって前記振動体に生成する、前記第1の進行波とは異なる向きに進行する第2の進行波により生じ、
前記電圧供給手段は、前記相対移動の速度指令に応じて前記第1の進行波の振幅と前記第2の進行波の振幅との差を変化させるように、前記第1の交流電圧の振幅と前記第2の交流電圧の振幅とを夫々変化させることを特徴とする請求項1に記載の振動型アクチュエータの制御装置。 - 前記電圧供給手段は、前記第1の進行波と前記第2の進行波とが合成された合成波の進行する向きを、前記第1の進行波の進行する向きから前記第2の進行波の進行する向きに変更する際、前記第1の交流電圧の振幅は小さくしていき、前記第2の交流電圧の振幅は大きくしていくことを特徴とする請求項2に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
- 前記電圧供給手段は、前記第1の進行波の振幅と前記第2の進行波の振幅との和が一定になる様に、前記第1の交流電圧の振幅と前記第2の交流電圧の振幅とを変化させることを特徴とする請求項2又は3に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
- 前記電圧供給手段は、前記相対移動の速度が加速していく過程と減速していく過程とで、前記第1の交流電圧の振幅及び前記第2の交流電圧の振幅が共に異なるヒステリシス領域を有するよう前記第1の交流電圧及び前記第2の交流電圧を制御することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
- 前記相対移動の速度を検出する速度検出手段と、
前記相対移動の速度指令と前記速度検出手段により検出された速度とに応じて、前記電圧供給手段が出力する前記第1及び第2の交流電圧の周波数及び振幅を指示する調整手段と、
を有することを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータの制御装置。 - 前記調整手段は、起動時に第1及び第2の交流電圧の周波数を夫々掃引して低くしていき、前記相対移動の速度が所定の速度に達した際の前記第1及び第2の交流電圧の周波数を記憶することを特徴とする請求項6に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
- 前記調整手段は、起動時に第1及び第2の交流電圧の周波数を夫々掃引して低くしていき、前記振動体の振動振幅が所定の振幅に達した際の前記第1及び第2の交流電圧の周波数を記憶することを特徴とする請求項6に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
- 第1の交流電圧を振動体に印加することによって前記振動体の接触部に生成する第1の楕円運動と、第2の交流電圧を前記振動体に印加することによって前記接触部に生成する、前記第1の楕円運動とは異なる向きに回転する第2の楕円運動と、の合成によって、前記振動体と前記振動体の接触部に接触する移動体とを相対移動させる振動型アクチュエータの制御方法であって、
前記相対移動の速度指令に応じて前記第1の楕円運動の振幅と前記第2の楕円運動の振幅との差を変化させるように、前記第1の交流電圧の振幅と前記第2の交流電圧の振幅とを夫々変化させることを特徴とする振動型アクチュエータの制御方法。 - 前記第1の楕円運動は、前記第1の交流電圧を前記振動体に印加することによって前記振動体に生成する第1の進行波により生じ、
前記第2の楕円運動は、前記第2の交流電圧を前記振動体に印加することによって前記振動体に生成する、前記第1の進行波とは異なる向きに進行する第2の進行波により生じ、
前記相対移動の速度指令に応じて前記第1の進行波の振幅と前記第2の進行波の振幅との差を変化させるように、前記第1の交流電圧の振幅と前記第2の交流電圧の振幅とを夫々変化させることを特徴とする請求項9に記載の振動型アクチュエータの制御方法。 - 前記第1の進行波と前記第2の進行波とが合成された合成波の進行する向きを、前記第1の進行波の進行する向きから前記第2の進行波の進行する向きに変更する際、前記第1の交流電圧の振幅は小さくしていき、前記第2の交流電圧の振幅は大きくしていくことを特徴とする請求項10に記載の振動型アクチュエータの制御方法。
- 前記第1の進行波の振幅と前記第2の進行波の振幅との和が一定になる様に、前記第1の交流電圧の振幅と前記第2の交流電圧の振幅とを変化させることを特徴とする請求項10又は11に記載の振動型アクチュエータの制御方法。
- 前記相対移動の速度が加速していく過程と減速していく過程とで、前記第1の交流電圧の振幅及び前記第2の交流電圧の振幅が共に異なるヒステリシス領域を有するよう前記第1の交流電圧及び前記第2の交流電圧を制御することを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータの制御方法。
- 起動時に第1及び第2の交流電圧の周波数を夫々掃引して低くしていき、前記相対移動の速度が所定の速度に達した際の前記第1及び第2の交流電圧の周波数を記憶することを特徴とする請求項10乃至13のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータの制御方法。
- 起動時に第1及び第2の交流電圧の周波数を夫々掃引して低くしていき、前記振動体の振動振幅が所定の振幅に達した際の前記第1及び第2の交流電圧の周波数を記憶することを特徴とする請求項10乃至13のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータの制御方法。
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