JP2012229793A - 電磁弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】生産性を向上させることができる電磁弁を提供する。
【解決手段】電磁弁(常開型電磁弁1)は、弁座部材4と、弁座部材4に当接自在に進退する弁体部材5と、弁座部材4および弁体部材5を収容する筒状のボディ部3とを備える。ボディ部3は、弁体部材5を進退自在に保持する筒状の第1ボディ部10と、当該第1ボディ部10とは別部品として構成され、弁座部材4を保持する筒状の第2ボディ部20とを有し、第1ボディ部10と第2ボディ部20は、一方(第1ボディ部10)の端部の内側に他方(第2ボディ部20)の端部が入って嵌合することで連結するように構成されている。他方の端部(連結部22)の壁は、弁座部材4を保持する部分(弁座保持部21)の壁よりも薄く形成され、弁体部材5の進退方向と交差する方向に貫設された貫通孔22aを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、弁体部材を弁座部材に対して進退させることで流路の開閉を行う電磁弁に関する。
一般に、車両用のアンチロックブレーキ装置などの流体の流れを制御する装置には、常開型電磁弁や常閉型電磁弁が適宜設けられている。このような電磁弁としては、弁座体と、弁座体に当接自在に進退する弁体と、弁座体および弁体を保持する略円筒状の固定コアとを備えたものが知られている(特許文献1参照)。
特開2004−360748号公報
ところで、従来の電磁弁は、固定コアを粗成形した後に、固定コアの側壁に切削加工などの機械加工によって、流体の流出口(貫通孔)や、係止部材や環状シール部材を配置するための凹部などを別工程で形成していたので、生産性を向上させることが難しかった。
そこで、本発明は、生産性を向上させることができる電磁弁を提供することを目的とする。
前記した目的を達成するための本発明は、弁座部材と、前記弁座部材に当接自在に進退する弁体部材と、前記弁座部材および前記弁体部材を収容する筒状のボディ部と、を備えた電磁弁であって、前記ボディ部は、前記弁体部材を進退自在に保持する筒状の第1ボディ部と、当該第1ボディ部とは別部品として構成され、前記弁座部材を保持する筒状の第2ボディ部とを有し、前記第1ボディ部と前記第2ボディ部は、一方の端部の内側に他方の端部が入って嵌合することで連結するように構成されており、前記他方の前記端部の壁は、前記弁座部材または前記弁体部材を保持する部分の壁よりも薄く形成され、前記弁体部材の進退方向と交差する方向に貫設された貫通孔を有することを特徴とする。
より具体的に、前記第1ボディ部と前記第2ボディ部は、例えば、前記第1ボディ部の端部の内側に前記第2ボディ部の端部が入って嵌合することで連結するように構成することができ、前記第2ボディ部の前記端部の壁は、前記弁座部材を保持する部分の壁よりも薄く形成され、前記弁体部材の進退方向と交差する方向に貫設された貫通孔を有する構成とすることができる。
このような電磁弁によれば、貫通孔が、例えば、第2ボディ部の、弁座部材を保持する部分の壁よりも薄く形成された、端部の壁に、弁体部材の進退方向と交差する方向に貫通するように設けられているので、圧造や鍛造など、ボディ部を成形する工程の中で形成することが可能となる。これにより、ボディ部(固定コア)を成形した後に穿孔加工などで貫通孔を形成する従来の電磁弁と比較して、生産性を向上させることができる。
また、前記した電磁弁において、前記第2ボディ部の前記端部の内周面は、径が前記弁座部材を保持する部分の径よりも大きく、かつ、前記弁体部材との間に隙間を有する構成とすることが望ましい。
これによれば、第2ボディ部の端部の内側に形成される弁室の空間を確保することができるので、弁室に導入される流体をスムーズに流すことができる。また、第2ボディ部の端部の内周面と、弁座部材に対して進退する弁体部材とが摺接しないので、弁体部材を良好に進退させることができる。
また、前記した各電磁弁において、前記貫通孔は、前記第1ボディ部と前記第2ボディ部を連結した状態で、少なくとも一部が外部に露出するように設けられ、前記第1ボディ部と前記第2ボディ部は、互いの嵌合面が周方向に連続していることが望ましい。
これによれば、外部に露出した貫通孔により流体の流路を形成することができるので、第1ボディ部と第2ボディ部のそれぞれの嵌合面を周方向に凹凸(溝や穴など)のない形状とすることができる。これにより、第1ボディ部および第2ボディ部の形状を単純化することができるので、生産性をより向上させることができるとともに、生産コストを抑制することができる。また、後述するように、第1ボディ部と第2ボディ部のうちの一方が他方に圧入される構成においては、第1ボディ部と第2ボディ部を圧入するとき、および、圧入した後に、それぞれの嵌合面の面圧を均一にすることができる。
また、前記した各電磁弁において、前記貫通孔は、前記端部の壁を、例えば、前記弁体部材の進退方向と直交する方向に打ち抜き加工することにより形成することができる。
これによれば、圧造や鍛造などボディ部を成形する工程の中で貫通孔も形成できるので、生産性を向上させることができる。
また、前記した各電磁弁において、前記第1ボディ部と前記第2ボディ部は、一方が他方に圧入される構成とすることができる。
これによれば、電磁弁の製造工程(組み立て)において、第1ボディ部と第2ボディ部を組んだ状態に維持しておくことができるので取り扱いが容易となり、生産性をより向上させることができる。
また、前記した各電磁弁は、前記第1ボディ部の外周面または前記第2ボディ部の外周面に嵌合するリング状の嵌合部材を備え、前記外周面と前記嵌合部材とによって形成される隅部にシール部材が配置される構成とすることができる。
これによれば、ボディ部を成形した後に切削加工などでシール部材を配置するための凹部を形成する必要がなくなり、さらに、第1ボディ部および第2ボディ部の形状を単純化することができるので、生産性を向上させることができる。
本発明によれば、ボディ部を成形する工程の中で貫通孔を形成することが可能となるので、貫通孔をボディ部の成形とは別の工程で形成していた従来の構成と比較して、生産性を向上させることができる。
一実施形態に係る常開型電磁弁の縦断面図である。 ボディ部の縦断面図である。 図2のX−X断面図である。 ボディ部成形工程における第2ボディ部に貫通孔を形成する工程の説明図(a)〜(c)である。 コーティング処理工程の説明図である。 ボディ部連結工程の説明図である。
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態では、本発明を常開型電磁弁に適用した例について説明する。以下の説明においては、まず、実施形態に係る常開型電磁弁の概略構成について説明した後、本発明の特徴部分に係る構成および常開型電磁弁の製造方法について詳細に説明する。
<常開型電磁弁の概略構成>
図1に示すように、常開型電磁弁1は、アンチロックブレーキ装置などの基体Bに形成された流路Rの閉塞および開放を切り替えるための弁であり、ボディ部3(固定コア)と、弁座部材4と、弁体部材5と、リターンスプリング6と、可動コア7と、コイルユニット8と、嵌合部材の一例としてのプラグ9とを主に備えて構成されている。
ボディ部3は、上下(本明細書において上下は参照する図面を基準とする。)に貫通した略円筒状の部材であり、内部に弁座部材4および弁体部材5を収容している。このボディ部3は、弁体部材5を保持する第1ボディ部10と、弁座部材4を保持する第2ボディ部20とを有している。ボディ部3(第1ボディ部10および第2ボディ部20)の詳細な構成については後述する。
弁座部材4は、上下に貫通した略円筒状の部材であり、第2ボディ部20の内部に下側(可動コア7とは反対側)から圧入されて固定(保持)されている。弁座部材4の上面には、流路Rを閉塞するときに弁体部材5が当接する弁座面41が形成されている。常開型電磁弁1(弁座部材4と第2ボディ部20の内周)の弁座面41よりも下側の部分は、流路R1から作動液(流体)が流入する流入路31となっている。
弁体部材5は、上下に長い略円柱状の部材であり、先端に設けられた球状の弁体51と、棒状の軸部52(リテーナ)とから主に構成されている。弁体51は、軸部52の先端に設けられた穴部(符号省略)に挿入され、この穴部の周囲を軸部52の径方向内側に向けてかしめることで、軸部52の先端に固定されている。
弁体部材5は、第1ボディ部10によって上下に摺動自在に保持されている。これにより、弁体部材5(弁体51)は、弁座部材4の弁座面41に対して当接自在に進退するようになっている。なお、軸部52の外周面には、上下方向に延びる複数の溝52b(図1では1つのみ図示)が形成されている。この溝52bは、弁体部材5が上下動したときに、弁体部材5の上下にある作動液を移動可能とすることで、弁体部材5の動きをスムーズにしている。
リターンスプリング6は、第2ボディ部20内において弁座部材4と弁体部材5の間に設けられており、弁体部材5を弁座部材4から離間させる付勢力を発生させている。弁体部材5は、リターンスプリング6の付勢力によって上方に付勢されているので、軸部52の上面52aは、可動コア7の下面7aと当接している。
可動コア7は、磁性体からなる略円柱状の部材であり、弁体部材5の上に配置されている。可動コア7は、ボディ部3(第1ボディ部10)の外周面に溶接によって固定された有底円筒状のガイド筒33内に収容されており、このガイド筒33に対し上下に摺動自在に支持されている。
コイルユニット8は、ボディ部3(第1ボディ部10)およびガイド筒33を取り囲むように配設されている。このコイルユニット8は、略円筒状のボビン81と、ボビン81に巻回されたコイル82とから主に構成されている。
以上のように構成された常開型電磁弁1の動作について簡単に説明すると、コイルユニット8が通電されない状態では、リターンスプリング6の付勢力により弁体部材5が弁座部材4から離間するので、下方につながる流路R1と側部につながる流路R2が連通し、作動液の流れが許容される。
一方、コイルユニット8が通電されて励磁されると、コイルユニット8内で可動コア7を通るように上下に磁束が形成され、可動コア7が下方へ移動する。これにより、可動コア7が弁体部材5を押し、この力がリターンスプリング6の付勢力と作動液の液圧による付勢力を上回ることで、弁体部材5が下方へ移動する。その結果、弁体51が弁座面41に当接するので、流路R1と流路R2が閉塞され、作動液の流れが遮断される。
<ボディ部およびその周辺の詳細構成>
次に、ボディ部3とその周辺の詳細な構成について説明する。
図2に示すように、ボディ部3は、弁体部材5を進退自在に保持する第1ボディ部10と、当該第1ボディ部10とは別部品として構成された第2ボディ部20とから主に構成されている。
第1ボディ部10は、上下に貫通した略円筒状をなしており、外周面が上端から下端に向けて徐々に(段階的に)拡径している。この第1ボディ部10の内周面のうち、下端付近の部分は、第2ボディ部20と嵌合する嵌合面10aとなっており、嵌合面10aより上側の部分は、進退する弁体部材5(軸部52)と摺接する摺接面10bとなっている。
嵌合面10aは、その径Daが摺接面10bの径Dbよりも大きくなっている。このような内周面の形状および前記した外周面の形状により、第1ボディ部10は、圧造や鍛造で形成しやすくなっているため、筒状の部材を削るなどして形成する場合と比較して、生産性を向上させることができるようになっている。
摺接面10bは、進退する弁体部材5と摺接する面であるため、錆の発生や劣化を抑制する目的で、その表面にコーティング処理が施されている(図2にハッチングを付して示すコーティング層が形成されている)。このようなコーティング層としては、例えば、摺動性が高い、フッ素樹脂や二硫化モリブデン、ポリアミドイミド樹脂などの層を挙げることができる。
なお、本実施形態において、第1ボディ部10の内側には、大径の嵌合面10aと小径の摺接面10bとの間に、弁体部材5の進退方向と直交する面に倣う、平面状の当接面10cが形成されている。第1ボディ部10の下端部(嵌合部11)の内側に嵌合された第2ボディ部20の上端面20aは、この平面状の当接面10cに突き当たるようになっている。
第2ボディ部20は、上下に貫通した略円筒状をなしており、弁座部材4を保持する部分である弁座保持部21と、弁座保持部21から上方(第1ボディ部10側)に向けて延びる連結部22と、弁座保持部21から下方(第1ボディ部10側とは反対側)に向けて延びるフィルタ保持部23とを有している。常開型電磁弁1において、弁座部材4は、第2ボディ部20の下側からフィルタ保持部23および弁座保持部21の内周面を通すようにして圧入され、弁座保持部21に保持されている。
連結部22(第2ボディ部20の第1ボディ部10と嵌合する側の端部)の壁は、弁座保持部21の壁よりも薄く形成されており、弁体部材5の進退方向と交差する方向(本実施形態では、弁体部材5の進退方向と直交する方向(図2の左右方向)とする。)に貫設された貫通孔22aを有している。
この貫通孔22aは、第1ボディ部10と第2ボディ部20を連結した状態で一部がボディ部3の外部に露出するように設けられ、ボディ部3の内外(弁室32と外部)を連通して作動液の流路を形成している。このような貫通孔22aは、連結部22の壁が薄くなっているため、弁体部材5の進退方向と直交する方向に打ち抜き加工することにより容易に形成することができる(図4参照)。
また、連結部22は、その内周面の径D2が、弁座保持部21の内周面の径(最小径)D1よりも大きくなっており、さらに、弁座部材4に同軸で当接する弁体部材5の径(軸部52の最大径)D5よりも大きくなっている。これにより、連結部22の内周面と弁体部材5との間には比較的大きな隙間が形成されることとなる。その結果、連結部22の内側に形成される弁室32の空間を確保することができるので、流入路31から弁室32に導入され、貫通孔22aを通ってボディ部3の外部に流れる作動液をスムーズに流すことができるようになっている。
フィルタ保持部23には、図1に示すように、その下側から圧入されたフィルタ34がプレス加工などにより薄板に形成されたオリフィス35を介して保持されている。また、ボディ部3の外周には、貫通孔22aを覆うように嵌められた筒状のフィルタ36が設けられている。
貫通孔22aや流入路31では、作動液は、ボディ部3の内部から外部に向けて流出する方向と、ボディ部3の外部から内部に向けて流入する方向との両方向に流れるため、フィルタ34,36を設けることにより、ボディ部3内への異物の流入を防止することができるようになっている。
なお、第2ボディ部20は、外周面が、上下方向における中央部(弁座保持部21)から両端(上端および下端)に向けて徐々に(段階的に)縮径し、内周面が、上下方向における中央部から両端に向けて徐々に(段階的に)拡径している。このような形状により、第2ボディ部20も、圧造や鍛造で形成しやすくなっているため、生産性を向上させることができるようになっている。
以上説明した第1ボディ部10と第2ボディ部20は、互いに嵌合することで連結するように構成されている。より具体的に、第1ボディ部10と第2ボディ部20は、図2に示すように、第1ボディ部10の下端部(嵌合部11)の内側に第2ボディ部20の上端部(連結部22)が入って嵌合することで連結するように構成されている。
さらに述べると、第2ボディ部20の連結部22(一方)は、第1ボディ部10の嵌合部11(他方)に圧入されている。これにより、常開型電磁弁1の製造工程(組み立て)において、第1ボディ部10と第2ボディ部20を組んだ状態に維持できるので取り扱いが容易となり、生産性を向上させることが可能となる。
なお、図3に示すように、本実施形態において、第1ボディ部10の嵌合面10aと第2ボディ部20の連結部22の外周面は、いずれも周方向に凹凸のない断面視円形状に形成されているため、第1ボディ部10と第2ボディ部20は、互いの嵌合面、すなわち、連結部22の外周面と嵌合面10aとが周方向に連続している。これにより、第1ボディ部10と第2ボディ部20を連結させるとき、および、連結させた後に、連結部22の外周面および嵌合面10aにかかる面圧を均一にすることができるようになっている。
また、図2に示すように、本実施形態では、第1ボディ部10と第2ボディ部20を連結したときに、第1ボディ部10の当接面10cに第2ボディ部20の上端面20aが突き当たるようになっている。これにより、第1ボディ部10と第2ボディ部20の連結(組み立て)を簡単に行うことができるとともに、軸方向(図2の上下方向)における第1ボディ部10と第2ボディ部20の位置(すなわちボディ部3の高さ)を簡単に、かつ、ある程度精度良く決めることができるようになっている。
プラグ9は、リング状に形成された部材であり、第1ボディ部10の外周面に嵌合している。より詳細に、プラグ9は、第1ボディ部10に上側から取り付けられ、第1ボディ部10の外周面の拡径した部分に当接している。図1に示すように、このプラグ9の下面と、第1ボディ部10の外周面と、フィルタ36の上面とによって形成される凹み部分、より詳細には、第1ボディ部10の外周面とプラグ9とによって形成される隅部3a(図2参照)には、シール部材の一例としてのOリングS1が配置されている。
このようにプラグ9を取り付けてOリングS1を配置するための凹み部分(隅部3a)を形成する構成とすることで、第1ボディ部10に切削加工などにより凹部を形成する必要がなくなり、さらに、第1ボディ部10の形状を単純化することができる。これにより、第1ボディ部10を、圧造や鍛造などで形成しやすくできるので、生産性を向上させることが可能となる。
以上説明した常開型電磁弁1は、アンチロックブレーキ装置などの基体Bの挿入穴B1に挿入され、挿入穴B1に形成された溝B2とプラグ9との間に係合したリング状の係止部材91によって基体Bから脱落しないように固定されることとなる。また、第2ボディ部20のフィルタ保持部23と基体Bとの間には、流路R2側から流路R1への作動液の流入のみを許容するチェック弁として機能するシール部材S2が配置される。
<常開型電磁弁の製造方法>
次に、常開型電磁弁1の製造方法について、適宜図面を参照しながら説明する。
本実施形態における常開型電磁弁1(より詳細にはボディ部3)の製造方法は、第1ボディ部10と第2ボディ部20をそれぞれ成形するボディ部成形工程と、第1ボディ部10の摺接面10bにコーティング層を形成するコーティング処理工程と、第1ボディ部10と第2ボディ部20を連結する(組み立てる)ボディ部連結工程とを主に有している。
ボディ部成形工程において、第1ボディ部10と第2ボディ部20は、公知の設備や方法などにより、それぞれ、圧造や鍛造を行うことで成形することができる。ここで、第2ボディ部20の連結部22の壁は、弁座保持部21の壁よりも薄く形成されているので、図4(a)〜(c)に示すように、貫通孔22aは、粗成形した第2ボディ部20’を公知の打ち抜き加工装置Pにセットし、パンチP1を連結部22の壁に押し込むことで形成することができる。
すなわち、本実施形態のボディ部成形工程では、圧造工程や鍛造工程などの第2ボディ部20の形を作る一連の工程(設備)の中で、貫通孔22aを形成することができるので、第2ボディ部20の形を作る工程の後に穿孔加工などを行う別設備によって貫通孔22aを形成する場合と比較して、第2ボディ部20の生産性を向上させることが可能となっている。
図5に示すように、コーティング処理工程は、第1ボディ部10の摺接面10bに、スプレーノズルNによりコーティング層の材料をスプレーすることで行われる。
より詳細に、本実施形態のコーティング処理工程では、まず、第1ボディ部10を第1の治具の一例としての保持具J1に保持させる。保持具J1には平面状の底面J11を有する凹部が形成されており、第1ボディ部10は、嵌合部11(第2ボディ部20と嵌合する側)とは反対側の端面10dを底面J11に突き当てた状態で保持される。ここで、例えば、第1ボディ部10が強磁性を有する材料から構成されている場合には、保持具J1(底面J11)に磁性を持たせることで、端面10dを底面J11に突き当てた状態で保持することが容易となる。
次に、第1ボディ部10の嵌合部11の内側(嵌合面10a)に、第2の治具の一例としての略円筒状の保護具J2を嵌合する。これにより、嵌合面10aが保護具J2により覆われた状態となる。なお、本実施形態において、保持具J1と保護具J2は、別々の治具であってもよいし、コーティング処理を行う1つの設備に設けられているものであってもよい。
以上の後、図5に示す上側から、第1ボディ部10内にスプレーノズルNを挿入し、保持具J1を回転させ、かつ、スプレーノズルNを図5の上方に引き上げながら、液状のコーティング層の材料をスプレーすることで、第1ボディ部10の摺接面10bにコーティング層を形成することができる。なお、摺接面10bにコーティング層の材料をスプレーし、乾燥した後は、必要に応じて焼成などを行ってもよい。
本実施形態のコーティング処理工程では、第1ボディ部10の端面10dを保持具J1に突き当てた状態で行うので、コーティング層の材料が第1ボディ部10の外周面に回り込んで付着することを防止できる。ガイド筒33(図1参照)などが溶接によって固定される第1ボディ部10の外周面にコーティング層が形成されてしまうと、コーティング層の材料によっては溶接が困難となる可能性があるためコーティング層を除去する必要が生じるが、本実施形態では、そもそもコーティング層を除去する必要がないので、生産性を向上させることが可能となる。
また、本実施形態のコーティング処理工程では、第1ボディ部10の嵌合面10aを保護具J2で覆った状態で行うので、図6に示すように、第1ボディ部10の内周面のうち、摺接面10bのみにコーティング層(図6のハッチング部分参照)を形成することができる。言い換えると、嵌合面10aにはコーティング層が形成されないので、第1ボディ部10と第2ボディ部20を圧入(嵌合)したときに嵌合面10aのコーティング層が剥がれるという問題が生じることはない。
なお、本実施形態においては、第1ボディ部10にのみコーティング処理を施すので、生産性の向上と製造コストの抑制を図ることができる。また、言い換えると、第2ボディ部20にはコーティング処理を施さないので、第2ボディ部20に弁座部材4を圧入するときに第2ボディ部20の内周面のコーティング層が剥がれるという問題が生じることがない。
ボディ部連結工程は、例えば、図6に示すように、第1ボディ部10を固定用の治具J3に保持させた状態で、第2ボディ部20の連結部22を第1ボディ部10の嵌合部11と圧入(嵌合)させることで行うことができる。本実施形態では、第1ボディ部10の嵌合部11および第2ボディ部20の連結部22がともに円筒形状であり、第1ボディ部10の当接面10cに第2ボディ部20の上端面20aが突き当たるようになっているので、第1ボディ部10と第2ボディ部20を容易に連結する(組み立てる)ことができるようになっている。
以上により、ボディ部3を製造することができる。その後、ボディ部3に対して、弁座部材4やリターンスプリング6、弁体部材5、プラグ9、フィルタ34,36、可動コア7、ガイド筒33、コイルユニット8などを適宜組み付けていくことで、常開型電磁弁1を製造することができる。
以上によれば、本実施形態において以下のような作用効果を得ることができる。
貫通孔22aは、第2ボディ部20の弁座保持部21の壁よりも薄く形成された連結部22の壁に、弁体部材5の進退方向と直交(交差)する方向に貫通するように設けられているので、圧造や鍛造など、ボディ部3を成形する工程の中で形成することができる。これにより、ボディ部3を成形(製造)した後に穿孔加工などで貫通孔22aを形成する従来の構成と比較して、生産性を向上させることができる。
連結部22の内周面は、径D2が弁座保持部21の径D1よりも大きく、かつ、弁体部材5との間に隙間を有するので、弁室32の空間を確保することができ、弁室32に導入される作動液をスムーズに流すことができる。また、第2ボディ部20(連結部22)の内周面と弁体部材5とが摺接しないので、弁体部材5を良好に進退させることができる。さらに、連結部22の内周面が弁体部材5と摺接しないことで、当該内周面にコーティング層を形成する必要がないので、第2ボディ部20をコーティング処理を施さないで製造することが可能となり、生産性の向上と製造コストの抑制を図ることができる。
貫通孔22aは、第1ボディ部10と第2ボディ部20を連結した状態で一部が外部に露出し、第1ボディ部10と第2ボディ部20は、互いの嵌合面(連結部22の外周面と嵌合面10a)が周方向に連続しているので、貫通孔22aにより作動液の流路を形成できるとともに、両方の嵌合面を周方向に凹凸のない形状とすることができる。これにより、第1ボディ部10および第2ボディ部20の形状を単純化できるので、生産性をより向上させることができるとともに、生産コストを抑制することができる。また、第1ボディ部10と第2ボディ部20の圧入中および圧入後において、各嵌合面の面圧を均一にすることができる。
貫通孔22aは、打ち抜き加工することにより形成されているので、圧造や鍛造などボディ部3を成形する工程の中で形成することができ、生産性を向上させることができる。
第2ボディ部20が第1ボディ部10に圧入されているので、常開型電磁弁1の製造工程(組み立て)において、第1ボディ部10と第2ボディ部20を組んだ状態に維持しておくことができるため、取り扱いが容易となり、生産性をより向上させることができる。
プラグ9を第1ボディ部10に嵌合することで形成される隅部3aにOリングS1を配置できるので、ボディ部3を成形した後に切削加工などで凹部を形成する必要がなくなり、さらに、第1ボディ部10(ボディ部3)の形状を単純化することができるため、生産性をより向上させることができる。
常開型電磁弁1(ボディ部3)は、弁体部材5と摺接する摺接面10bを有する第1ボディ部10と、弁座部材4を保持する第2ボディ部20とをそれぞれ別に成形し、摺接面10bにコーティング層を形成するコーティング処理を施した後、第1ボディ部10と第2ボディ部20を連結しているので、不要な部分からコーティング層を除去する必要がなくなる。これにより、従来の構成と比較して、生産性を向上させることができるとともに、製造コストを抑制することができる。
なお、本実施形態の製造方法においては、第1ボディ部10と第2ボディ部20を連結するボディ部連結工程が追加されることとなるが、当該工程は、薄いコーティング層を機械加工により除去する工程と比較すると、かなり簡単な工程である。したがって、本実施形態の製造方法は、従来の構成と比較して、製造工程全体として、生産性の向上と製造コストの抑制を図ることができるようになっている。
コーティング処理工程は、コーティング層の材料をスプレーすることにより行われるので、めっき処理(特に化学めっき処理)によりコーティング層を形成する場合と比較して、製造コストをより抑制することができる。
コーティング処理工程は、第1ボディ部10の端面10dを保持具J1に突き当てた状態で行うので、コーティング層の材料が第1ボディ部10の外周面に付着することを抑制できる。これにより、第1ボディ部10の外周面に付着したコーティング層を除去する必要がなくなるので、生産性をより向上させることができる。
コーティング処理工程は、嵌合面10aを保護具J2で覆った状態で行うので、嵌合面10aにコーティング層が形成されることを抑制できる。これにより、第1ボディ部10と第2ボディ部20を嵌合したときに、嵌合面10aのコーティング層が剥がれて、作動液中に浮遊するような不具合をより確実に抑制することができる。
第1ボディ部10にのみコーティング処理を施すので、生産性をより向上させることができるとともに、製造コストをより抑制することができる。
常開型電磁弁1は、摺接面10bにコーティング処理が施された第1ボディ部10と、弁座部材4を保持する第2ボディ部20とが別部品として構成されているので、第1ボディ部10の摺接面10bにコーティング処理を施すときに、第2ボディ部20にコーティング層が形成されることはない。これにより、少なくとも第2ボディ部20からコーティング層を除去する必要がなくなるので、従来の構成と比較して、生産性を向上させることができるとともに、製造コストを抑制することができる。
連結部22の壁に、ボディ部3の内外を連通し、第1ボディ部10と第2ボディ部20を連結した状態で一部が外部に露出する貫通孔22aが設けられていることで、例えば、第1ボディ部10と第2ボディ部20が重なった部分に貫通孔を設ける構成や、第1ボディ部10と第2ボディ部20の嵌合部分(嵌合面10aなど)に溝を設ける構成などと比較して、作動液の流路を容易に形成することができる。また、嵌合面10aなどに溝を形成する必要がないことで、第1ボディ部10および第2ボディ部20の形状を単純化することができる。これらにより、生産性を向上させることができる。
嵌合面10aの径Daが摺接面10bの径Dbよりも大きいので、嵌合面10aと摺接面10bとの間に積極的に段差(当接面10c)を形成することができ、摺接面10bのみに容易にコーティング層を形成することができる。また、摺接面10bにコーティング処理を施すときに、嵌合面10aを比較的容易にマスクできる(覆うことができる)ので、嵌合面10aにコーティング層が形成されることをより確実に抑制することができる。これらにより、嵌合面10aから剥がれたコーティング層が作動液中に浮遊するような不具合をより確実に抑制することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
前記実施形態では、第1ボディ部10と第2ボディ部20を連結した状態で、貫通孔22aの一部が外部に露出していたが、本発明はこれに限定されず、例えば、貫通孔の全部が外部に露出していてもよい。
前記実施形態では、ボディ部3の内外を連通する流路を貫通孔22aだけで形成したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図2の第1ボディ部10と第2ボディ部20が連結した状態で、連結部22が嵌合部11によって完全に覆われているような構成の場合には、嵌合部11の内周面(嵌合面10a)に外部と貫通孔22aを連通する溝などを形成し、この溝と貫通孔22aとによって流路を形成してもよい。
前記実施形態では、第1ボディ部10と第2ボディ部20は、第1ボディ部10の端部の内側に第2ボディ部20の端部が入って嵌合することで連結するように構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1ボディ部と第2ボディ部は、第2ボディ部の端部の内側に第1ボディ部の端部が入って嵌合することで連結するように構成されていてもよい。この場合は、第1ボディ部の端部の壁が、弁体部材を保持する(弁体部材と摺接する)部分の壁よりも薄く形成され、弁体部材の進退方向と直交(交差)する方向に貫設された貫通孔を有する構成とすることができる。
前記実施形態では、貫通孔22aは、連結部22の壁に弁体部材5の進退方向と直交する方向に貫設されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、貫通孔は、前記実施形態の連結部22の壁に弁体部材5の進退方向と直交する方向に対して若干斜めとなるように貫設されていてもよい。
前記実施形態では、第2ボディ部20が第1ボディ部10に圧入されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第2ボディ部の端部の内側に第1ボディ部の端部が入って嵌合する構成の場合には、第1ボディ部が第2ボディ部に圧入されていてもよい。また、第1ボディ部と第2ボディ部は圧入される構成でなくてもよい。
前記実施形態では、コーティング処理工程は、第1ボディ部10の端面10dを保持具J1(第1の治具)に突き当てた状態で行ったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1ボディ部と他の部材を溶接しないような構成である場合や、コーティング層が溶接が困難となる可能性がない材料である場合などには、第1の治具を使用せずにコーティング処理工程を行ってもよい。
前記実施形態では、コーティング処理工程は、第1ボディ部10の嵌合面10aを保護具J2(第2の治具)で覆った状態で行ったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第2ボディ部の端部の内側に第1ボディ部の端部が入って嵌合する構成において、第1ボディ部の嵌合面(外周面)に比較的容易に除去することができるマスク層を形成してコーティング処理工程を行ってもよい。
前記実施形態では、コーティング処理工程は、コーティング層の材料をスプレーすることにより行ったが、本発明はこれに限定されず、例えば、めっき処理などによりコーティング層を形成してもよい。
前記実施形態では、第1ボディ部10にのみコーティング処理を施す例を示した。言い換えると、第2ボディ部20にコーティング処理、より詳細には、第1ボディ部10の摺接面10bと同様の摺動劣化抑制を目的としたコーティング処理を施さない例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明は、例えば、第2ボディ部の防錆などを目的として、第1ボディ部の摺接面に施したコーティング処理とは異なるコーティング処理を施すことを排除するものではない。
前記実施形態では、プラグ9(嵌合部材)は、第1ボディ部10の外周面に嵌合するものであったが、本発明はこれに限定されず、例えば、第2ボディ部の外周面に嵌合するものであってもよい。また、本発明の電磁弁は、嵌合部材を複数備えていてもよいし、嵌合部材を備えないものであってもよい。なお、嵌合部材を複数備える場合には、嵌合部材が、第1ボディ部と第2ボディ部の両方に嵌合していてもよいし、一方のみに嵌合していてもよい。
前記実施形態で示した弁座部材4や弁体部材5の構成は一例であり、本発明は前記実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では、弁体部材5が複数の部品(弁体51と軸部52)から構成されていたが、これに限定されず、例えば、弁体部材が1部品から構成されていてもよいし、前記実施形態の軸部52が複数の部品から構成されていてもよい。
前記実施形態では、第2ボディ部20は、連結部22の内周面の径D2が弁座保持部21の径D1よりも大きくなっていたが、本発明はこれに限定されず、例えば、第2ボディ部は内周面の径が略一定であってもよい。
前記実施形態では、本発明を常開型電磁弁1に適用したが、本発明はこれに限定されず、例えば、常閉型電磁弁に適用してもよい。
1 常開型電磁弁
3 ボディ部
3a 隅部
4 弁座部材
5 弁体部材
9 プラグ
10 第1ボディ部
10a 嵌合面
11 嵌合部
20 第2ボディ部
21 弁座保持部
22 連結部
22a 貫通孔
D1 径
D2 径
S1 Oリング

Claims (7)

  1. 弁座部材と、前記弁座部材に当接自在に進退する弁体部材と、前記弁座部材および前記弁体部材を収容する筒状のボディ部と、を備えた電磁弁であって、
    前記ボディ部は、前記弁体部材を進退自在に保持する筒状の第1ボディ部と、当該第1ボディ部とは別部品として構成され、前記弁座部材を保持する筒状の第2ボディ部とを有し、
    前記第1ボディ部と前記第2ボディ部は、一方の端部の内側に他方の端部が入って嵌合することで連結するように構成されており、
    前記他方の前記端部の壁は、前記弁座部材または前記弁体部材を保持する部分の壁よりも薄く形成され、前記弁体部材の進退方向と交差する方向に貫設された貫通孔を有することを特徴とする電磁弁。
  2. 前記第1ボディ部と前記第2ボディ部は、前記第1ボディ部の端部の内側に前記第2ボディ部の端部が入って嵌合することで連結するように構成されており、
    前記第2ボディ部の前記端部の壁は、前記弁座部材を保持する部分の壁よりも薄く形成され、前記弁体部材の進退方向と交差する方向に貫設された貫通孔を有することを特徴とする請求項1に記載の電磁弁。
  3. 前記第2ボディ部の前記端部の内周面は、径が前記弁座部材を保持する部分の径よりも大きく、かつ、前記弁体部材との間に隙間を有することを特徴とする請求項2に記載の電磁弁。
  4. 前記貫通孔は、前記第1ボディ部と前記第2ボディ部を連結した状態で、少なくとも一部が外部に露出するように設けられ、
    前記第1ボディ部と前記第2ボディ部は、互いの嵌合面が周方向に連続していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電磁弁。
  5. 前記貫通孔は、前記端部の壁を前記弁体部材の進退方向と直交する方向に打ち抜き加工することにより形成されたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電磁弁。
  6. 前記第1ボディ部と前記第2ボディ部は、一方が他方に圧入されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電磁弁。
  7. 前記第1ボディ部の外周面または前記第2ボディ部の外周面に嵌合するリング状の嵌合部材を備え、
    前記外周面と前記嵌合部材とによって形成される隅部にシール部材が配置されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電磁弁。
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