1.第1実施形態
(1)パチンコ遊技機の構造
本発明の第1実施形態に係るパチンコ遊技機について、図面に基づいて説明する。図1に示すように、第1実施形態のパチンコ遊技機1は、前面枠10の内側に取着された遊技盤2を備えている。遊技盤2には、ハンドル11の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が、レール部材12で囲まれて形成されている。遊技領域3には、遊技球を誘導する案内釘(図示せず)が多数突設されている。前面枠10には、複数の枠ランプ18及びスピーカ17が配設されている。また、遊技盤2には、盤ランプ19が設けられている。
ここで、本明細書中、上下方向および左右方向は、図1に示す遊技盤2の表面側(遊技領域3側)を基準とし、また、前後方向は、遊技盤2の表面側(遊技領域3側)を前方とし、遊技盤2の裏面側を後方とする。
遊技領域3には、液晶表示装置である画像表示器4の表示部4aが配置されている。画像表示器4は、客待ち用のデモ表示、装飾図柄変動演出、大当たり遊技に並行して行われる大当たり演出などを表示部4aに表示する。装飾図柄変動演出は、数字等の装飾図柄と装飾図柄以外の演出画像とにより構成されて、変動表示を経て停止表示された装飾図柄により、大当たり抽選(即ち、大当たり乱数の取得とその大当たり乱数を用いた判定)の結果を報知する演出である。この装飾図柄変動演出は、特別図柄変動に並行して行われる。また、大当たり抽選は、遊技球の第1始動口51aまたは第2始動口51bへの入賞に対して行われる。
遊技領域3の中央部であって画像表示器4の前方には、センター役物装置30が配置されている。センター役物装置30は、遊技盤2に前面側から取り付けられる前飾り31と、遊技盤2に裏面側から取り付けられる液晶ベース(図示せず)とを備えている。前飾り31の左部には、入口から遊技球を流入させ、出口から後述するステージ部34へ遊技球を流出するワープ部33が配設されている。前飾り31の下部には、上面を転動する遊技球を、第1始動口51aへと案内可能なステージ部34が形成されている。前飾り31の上部には、文字や図形等を表現した装飾部材35が配されている。なお、図示しない液晶ベースには、ステージ部34の後方にあたる位置に、「肉」の文字を模った装飾可動体42を有する可動役物装置40が組み付けられている。装飾可動体42は、非作動時、ステージ部34の上面より下方に位置して遊技者から視認不能に格納され、作動時、ステージ部34の上面より上方へ突出して遊技者から視認可能に露出する。装飾可動体42の詳細については、後述する。
遊技領域3の左右方向における中央下部には、始動入賞装置50が設けられている。始動入賞装置50は、遊技球の入球し易さが常時変わらない第1始動口51aと、電動チューリップ(以下、「電チュー」という。)52により開閉される第2始動口51bとを備えている。電チュー52は、電チューソレノイド53(図8参照)により駆動される。第2始動口51bは、電チュー52が開いているときのみ遊技球が入賞可能となる。
また、遊技領域3には、大入賞装置70が設けられている。大入賞装置70は、始動入賞装置50の下方に配置されており、大入賞口71と、大入賞口ソレノイド73(図8参照)により動作する開閉部材72とを備えている。大入賞口71は、開閉部材72により開閉される。
また、遊技領域3には、複数の普通入賞装置90及び遊技球が通過可能なゲート8が設けられている。各普通入賞装置90は、始動入賞装置50の左方に配置されている。各普通入賞装置90に入った遊技球は、その普通入賞装置90内の普通入賞口91に入賞する。ゲート8は、センター役物装置30の左方に配置されている。
遊技領域3の外側には、普通図柄表示器13、第1特別図柄表示器14a、及び、第2特別図柄表示器14bが設けられるとともに、普通図柄保留ランプ15、第1特別図柄保留ランプ16a、第2特別図柄保留ランプ16bがそれぞれ4つ設けられている。
第1特別図柄表示器14a、第2特別図柄表示器14bは、それぞれ、遊技球の第1始動口51a、第2始動口51bへの入賞を契機として行われる大当たり抽選の結果を、変動表示を経て停止表示された図柄(特別図柄)により報知する(これを「特別図柄変動」という)ものである。第1特別図柄表示器14a、第2特別図柄表示器14bに停止表示された図柄(特別図柄)が大当たり図柄又は小当たり図柄であれば、大入賞口71を所定回数開閉する当たり遊技が行われる。
特別図柄の変動表示中または当たり遊技中に、遊技球が第1始動口51aまたは第2始動口51bに入賞すると、メイン制御基板20(図8参照)は、その入賞に対して取得した大当たり乱数等の乱数を、第1始動口51aへの入賞であれば第1保留記憶部27a(図8参照)に、第2始動口51bへの入賞であれば第2保留記憶部27b(図8参照)に、保留記憶として記憶する。そして、特別図柄変動を実行可能になったときに、記憶しておいた保留記憶に基づいて大当たりか否かの判定を行い、特別図柄変動を実行する。
第1特別図柄保留ランプ16a、第2特別図柄保留ランプ16bは、それぞれ、第1保留記憶部27a、第2保留記憶部27bに記憶されている保留記憶の個数を表示するものである。なお、第1保留記憶部27a、第2保留記憶部27bに記憶される保留記憶の個数は、それぞれ4個が上限とされているため、第1保留記憶部27aに4個の保留記憶がある状態で遊技球が第1始動口51aに入賞したときや、第2保留記憶部27bに4個の保留記憶がある状態で遊技球が第2始動口51bに入賞したときは、その入賞に対して大当たり乱数等の乱数は取得されない。
普通図柄表示器13は、ゲート8への遊技球の通過を契機として行われる普通図柄抽選の結果を、変動表示を経て停止表示される普通図柄により報知するものである。停止表示された普通図柄が当たり図柄であれば、所定時間及び所定回数、電チュー52を開く補助遊技が行われる。
普通図柄の変動表示中または補助遊技中に、遊技球がゲート8を通過すると、メイン制御基板20(図8参照)は、その通過に対して取得した当たり乱数を記憶する。そして、普通図柄の変動表示を開始可能な状態になったときに、記憶しておいた当たり乱数を用いて当たりか否かの判定を行い、普通図柄の変動表示を開始して、その判定結果を示す普通図柄を停止表示する。普通図柄保留ランプ15は、このように記憶されている当たり乱数の個数を表示するものである。なお、記憶される当たり乱数は4個が上限とされているため、4個の当たり乱数が記憶されている状態で遊技球がゲート8を通過しても、その通過に対する当たり乱数の取得は行われない。
図2は、図示しない液晶ベースの前面下部に組み付けられた可動役物装置40の概略正面図である。なお、液晶ベースは、後方から画像表示器4が取り付けられた状態で、遊技盤2の裏面側に取り付けられ固定されるものである。
図2に示すように、可動役物装置40は、装飾可動体42を備える。装飾可動体42は、正面視略四角形状とされ、「肉」の文字を模した装飾部43と、ラック部材56に装飾可動体42を固定するための基部44とを備えて構成されている。なお、図示を省略するが、装飾可動体42は、LED素子を実装したLED基板と、LED素子が発した光を拡散させて装飾可動体42の前面が一様に光っているようにみせるための拡散板とを、内部に備えている。LED基板は、図示しない中継基板を介してランプ制御基板24(図8参照)に接続されている。
ラック部材56は、左側面にラック歯56aが形成された上下方向に延びる長尺部材である。図2,3に示すように、ラック部材56の上端部には、前後方向に沿って貫通する挿通孔57が設けられている。挿通孔57には、ラック部材56を装飾可動体42の基部44に連結するための軸部材58が後方から挿通される。軸部材58は、後部を前部よりも大径の大径部58aとして構成され、ラック部材56に挿通された状態で、前方へ抜けるのを防止されている。ラック部材56の挿通孔57に挿通された軸部材58は、後述するガイド部材62に設けられた長孔64に対して摺動可能に挿通されて、内部に挿通された軸支ピン59により装飾可動体42の裏面側に軸支される。なお、軸支ピン59は、Eリング60により装飾可動体42および軸部材58から抜けるのを防止されている。
ガイド部材62は、ラック部材56の移動を案内するものであり、ガイド部材62の後面側には、前方へ向かって凹む凹溝65が上下方向に沿って形成されている。ラック部材56は、凹溝65に対して上下方向に摺動可能に嵌合されている。ガイド部材62の前壁部63には、上下方向を長手方向とする長孔64が形成されている。長孔64には、既に述べたように、軸部材58が挿通されている。軸部材58は、ラック部材56の移動に伴って長孔64内を上下方向に沿って摺動する。なお、装飾可動体42は、裏面から後方へ突設された2つのガイドリブ46,46を有しており、ラック部材56とともに上下方向に沿って移動する際には、これら2つのガイドリブ46,46をガイド部材62の左右両側面に沿わせて移動する。
また、ガイド部材62は、右側部に、スプリング(付勢手段に相当する)76の一端76aが取り付けられる取付部66を有している。スプリング76の他端76bは、装飾可動体42の基部44の下端部に設けられた取付部47に取り付けられている。このスプリング76は、装飾可動体42を常時下方に付勢するもので、装飾可動体42がラック部材56の移動に伴って上昇したときに、もとの位置(初期位置)に戻る方向の復帰力を装飾可動体42に与えるものである。
また、ガイド部材62は、左側部に切欠部67を有しており、切欠部67からは、ラック部材56のラック歯56aの一部が露出している。ラック歯56aは、二段ギア82の大径ギア83とかみ合っている。ここで、二段ギア82は、前方に位置する小径ギア(第2ギアに相当する)84と、後方に位置し小径ギア84より径の大きい大径ギア83とを同心上に有して一体成形されたものである。二段ギア82の小径ギア84は、電動モータ(駆動源に相当する)86の回転軸86aに固着された欠歯ギア(第1ギアに相当する)94の歯部95とかみ合っている。なお、電動モータ86は、入力パルスに応じたステップ数だけ回転駆動されるステッピングモータである。また、電動モータ86および二段ギア82は、図示しない液晶ベースに、固定部材等(図示せず)を介して組み付けられる。また、電動モータ86は、図示しない中継基板を介してランプ制御基板24(図8参照)に接続される。
欠歯ギア94は、周方向に沿って、小径ギア84と噛み合う歯の形成された歯部95と、小径ギア84と噛み合う歯の形成されていない欠歯部96とが、交互に形成されたギアであり、電動モータ86の動力を小径ギア84に断続的に伝動するためのギアである。欠歯ギア94は、図2に示すように、小径ギア84と噛み合っている第1歯部95aから反時計方向に向かって順に、第1欠歯部96a、第2歯部95b、第2欠歯部96b、第3歯部95c、第3欠歯部96cを備えた構成とされている。第1歯部95aおよび第2歯部95bは、歯数が4つ、第3歯部95cは、歯数が5つとなっている。また、第1欠歯部96aと第2欠歯部96bとは同じピッチ(歯溝の幅方向の長さ寸法、周方向の長さ寸法)L1(図2参照)で構成され、第3欠歯部96cは、第1欠歯部96aや第2欠歯部96bよりも長いピッチL2(図2参照)で構成されている。
なお、欠歯ギア94の前面には、フォトセンサ99(図2に二点鎖線で示す)の発光部と受光部との間に入って発光部からの光を遮断する遮蔽板部98が前方に向けて突設されている。フォトセンサ99は、欠歯ギア94の初期位置を検出するものであり、図示しない液晶ベース側に取り付けられる。
以上のように構成された可動役物装置40において、電動モータ86を所定の速度で回転駆動すると、装飾可動体42(以下「肉ギミック42」ともいう。)は、次のように動作する。
まず、図2に示す状態から、電動モータ86を駆動して欠歯ギア94を時計方向に回転(正転)させると、欠歯ギア94の第1歯部95aが小径ギア84と噛み合って、小径ギア84とともに大径ギア83が反時計方向に回転(正転)する。これにより、大径ギア83と噛み合っているラック部材56は、上方へ移動し、ラック部材56に固定されている装飾可動体42も、スプリング76の付勢力に抗して、図4(a)に示す第1中間位置まで上昇する。ここで、欠歯ギア94の各歯部95と小径ギア84とが噛み合う位置(図2において符号Kで示す位置)を、「噛合位置」というものとする。
さらに電動モータ86が回転して、図4(b)に示すように、欠歯ギア94の第1欠歯部96aが小径ギア84との噛合位置に到達すると、小径ギア84と欠歯ギア94との噛み合いが外れる。このとき、装飾可動体42およびラック部材56は、スプリング76による下方への付勢力(初期位置への復帰力)および自重により、下降する。ラック部材56の下降により、大径ギア83および小径ギア84(二段ギア82)は、欠歯ギア94と噛み合って回転した方向とは逆の時計方向に回転(逆転)する。なお、このときの装飾可動体42およびラック部材56の下降量は、小径ギア84が欠歯ギア94の第1歯部95aと噛み合って回転したときの装飾可動体42およびラック部材56の上昇量の半分程度である。
さらに電動モータ86が回転すると、欠歯ギア94の第2歯部95bが小径ギア84との噛合位置に到達するため、小径ギア84は、欠歯ギア94と再び噛み合って正転する。これにより、大径ギア83と噛み合っているラック部材56およびラック部材56に固定されている装飾可動体42は、図5(a)に示す第2中間位置まで上昇する。
さらに電動モータ86が回転して、欠歯ギア94の第2欠歯部96bが小径ギア84との噛合位置に到達すると、再び小径ギア84と欠歯ギア94との噛み合いが外れ、図5(b)に示すように、装飾可動体42およびラック部材56は、スプリング76の付勢力及び自重により下降し、二段ギア82は逆転する。なお、このときの装飾可動体42およびラック部材56の下降量は、小径ギア84が欠歯ギア94の第2歯部95bと噛み合って回転したときの装飾可動体42およびラック部材56の上昇量の半分程度である。
さらに電動モータ86が回転すると、欠歯ギア94の第3歯部95cが小径ギア84との噛合位置に到達するため、小径ギア84は、欠歯ギア94と再び噛み合って正転する。これにより、大径ギア83と噛み合っているラック部材56およびラック部材56に固定されている装飾可動体42は、図6(a)に示す最上端位置(上死点位置)まで上昇する。なお、最上端位置(上死点位置)では、装飾可動体42(肉ギミック)における「肉」の文字が施された装飾部43の下縁が、ステージ部34よりも上方へ突出する(図1二点鎖線参照)。
さらに電動モータ86がして、欠歯ギア94の第3欠歯部96cが小径ギア84との噛合位置に到達すると、再び小径ギア84と欠歯ギア94との噛み合いが外れ、図6(b)に示すように、装飾可動体42およびラック部材56は、スプリング76の付勢力及び自重により下降し、二段ギア82は逆転する。ここで、第3欠歯部96cは、第1欠歯部96aや第2欠歯部96bよりもピッチを大きく形成されているため(図2図示L1,L2参照)、第3欠歯部96cが噛合位置に到達したときの装飾可動体42およびラック部材56の下降量は、小径ギア84が欠歯ギア94の第3歯部95cと噛み合って回転したときの装飾可動体42およびラック部材56の上昇量の2倍程度と大きく、これにより、装飾可動体42およびラック部材56は、初期位置(下死点位置)まで下降する。なお、初期位置(下死点位置)では、装飾可動体42(肉ギミック)における「肉」の文字が施された装飾部43は、ステージ部34より下方へ格納される。
このように、第1実施形態のパチンコ遊技機1が備える可動役物装置40では、電動モータ86を一方向へ回転駆動するだけで(正転させるだけで)、装飾可動体(肉ギミック)42が上昇と下降とを繰り返しながら、段階的に上方へ突出していき、ステージ部34から「肉」の文字が略全部露出する最上端位置(上死点位置)まで上昇した後、初期位置(下死点位置)まで下降するという一連の動作を繰り返し行うことができる。なお、図7に、装飾可動体(肉ギミック)42の一連の動作を概略的に示す。図7では、装飾可動体(肉ギミック)42の動作を時系列に沿って左から右に並べている。
(2)パチンコ遊技機の電気系統
次に、図8に基づいて実施形態のパチンコ遊技機1の電気系統について説明する。図8に示すように、実施形態のパチンコ遊技機1は、メイン制御基板20、払出制御基板21、サブ制御基板25を備え、サブ制御基板25は、演出制御基板22、画像制御基板23、及び、ランプ制御基板24を備えている。そして、払出制御基板21及び演出制御基板22はメイン制御基板20に接続され、画像制御基板23及びランプ制御基板24は演出制御基板22に接続されている。各制御基板は、CPU、ROM、RAM等を備えている。また、メイン制御基板20は、RAM内に、第1保留記憶部27a及び第2保留記憶部27bを有する保留記憶部27を備えている。
メイン制御基板20は、大当たりの抽選や遊技状態の移行など主に利益に関わる制御を行うものである。メイン制御基板20には、第1始動口51a内に設けられて第1始動口51aに入賞した遊技球を検出する第1始動口SW(スイッチ)54a、第2始動口51b内に設けられて第2始動口51bに入賞した遊技球を検出する第2始動口SW54b、電チュー52を駆動する電チューソレノイド53、ゲート8内に設けられてゲート8を通過した遊技球を検出するゲートSW80、大入賞口71内に設けられて大入賞口71に入賞した遊技球を検出する大入賞口SW74、開閉部材72を駆動する大入賞口ソレノイド73、各普通入賞口91内にそれぞれ設けられてその普通入賞口91に入賞した遊技球を検出する普通入賞口SW92、第1特別図柄保留ランプ16a、第2特別図柄保留ランプ16b、普通図柄保留ランプ15、第1特別図柄表示器14a、第2特別図柄表示器14b、普通図柄表示器13がそれぞれ接続され、図8に矢印で示すように、各スイッチからはメイン制御基板20に信号が入力され、各ソレノイドやランプ等にはメイン制御基板20から信号が出力される。
また、メイン制御基板20は、払出制御基板21に各種コマンドを送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板21から信号を受信する。払出制御基板21には、図示しない払出装置を駆動する払出駆動モータ26が接続され、払出制御基板21は、メイン制御基板20から受信したコマンドに従って払出駆動モータ26を動作させ、賞球の払出を行わせる。
さらに、メイン制御基板20は、演出制御基板22に対し各種コマンドを送信し、演出制御基板22は、画像制御基板23との間でコマンドや信号の送受信を行う。画像制御基板23には画像表示器4及びスピーカ17が接続され、画像制御基板23は、演出制御基板22から受信したコマンドに従って、画像表示器4の表示部4aに装飾図柄その他の画像を表示し、スピーカ17から音声を出力する。また、演出制御基板22は、ランプ制御基板24との間でコマンドや信号の送受信を行う。ランプ制御基板24には枠ランプ18、盤ランプ19、及び可動役物装置40の電動モータ86及びフォトセンサ99等が接続され、ランプ制御基板24は、演出制御基板22から受信したコマンドに従って、枠ランプ18や盤ランプ19を点灯・消灯し、電動モータ86を駆動させ可動役物装置40を動作させる。また、演出制御基板22には、演出ボタン28(図1参照)が押下操作されたことを検出する演出ボタン検出SW28aが接続されており、演出ボタン28が押下されると、演出ボタン検出SW28aから演出制御基板21に対して信号が出力される。
(3)遊技状態等の説明
次に、第1実施形態のパチンコ遊技機1の遊技状態等について説明する。第1実施形態のパチンコ遊技機1は、通常遊技状態、時短遊技状態、確変遊技状態、潜確遊技状態の4つの遊技状態と、大当たり遊技、小当たり遊技とを有している。
時短遊技状態とは、通常遊技状態よりも第2始動口51bへ遊技球が入賞し易い状態をいい、通常遊技状態では、普通図柄抽選の当選確率が約1/10、普通図柄変動時間が4秒、第2始動口51bの開放時間が0.15秒、第2始動口51bの開放回数が1回であるのに対して、時短遊技状態では、普通図柄抽選の当選確率が約9/10、普通図柄変動時間が1.5秒、第2始動口51bの開放時間が1.80秒、第2始動口51bの開放回数が3回となっている。
確変遊技状態とは、通常遊技状態よりも大当たりに当選しやすく、かつ第2始動口51bへ遊技球が入賞し易い状態をいい、通常遊技状態では、大当たり当選確率が約1/300であるのに対して、確変遊技状態では、大当たり当選確率が約1/30となっている。また、確変遊技状態では、時短遊技状態と同様、普通図柄抽選の当選確率が約9/10、普通図柄変動時間が1.5秒、第2始動口51bの開放時間が1.80秒、第2始動口51bの開放回数が3回となっている。
潜確遊技状態とは、通常遊技状態よりも大当たりに当選しやすい状態をいい、潜確遊技状態では、確変遊技状態と同様、大当たり当選確率が約1/30となっている。また、潜確遊技状態では、通常遊技状態と同様、普通図柄抽選の当選確率が約1/10、普通図柄変動時間が4秒、第2始動口51bの開放時間が0.15秒、第2始動口51bの開放回数が1回となっている。
そして、初期状態では(即ち、電源が投入されて最初の遊技が開始されるときは)通常遊技状態であり、大当たりが発生すれば、大入賞口71を所定回数開閉する大当たり遊技を経て、その大当たりの種類に応じた遊技状態に遷移する。大当たりの種類には、ほとんど賞球の獲得が望めない短当たりとして、2R(ラウンド)潜確大当たりがあり、多くの賞球を獲得可能な長当たりとして、15R(ラウンド)確変大当たり、15R(ラウンド)通常大当たりがある。また、これら大当たりの他に小当たりがある。なお、ラウンドとは大入賞口71の開放期間を言う。2R潜確大当たりでは、大入賞口71を極短時間2回開放する大当たり遊技を行った後、潜確遊技状態に遷移し、15R確変大当たりでは、大入賞口71を15回開放する大当たり遊技を行った後、確変遊技状態に遷移し、15R通常大当たりでは、大入賞口71を15回開放する大当たり遊技を行った後、時短遊技状態に遷移する。また、小当たりは、見かけ上2R潜確大当たりと変わらない動作をするもので、大入賞口71を極短時間2回開放する小当たり遊技を行うが、遊技状態は遷移しない。なお、時短遊技状態において途中で大当たりが発生することなく100回の特別図柄変動が行われたときも、通常遊技状態に遷移する。
なお、大当たり及び小当たりの抽選は大当たり乱数を用いて行われ、大当たりに当選した場合に当選した大当たりがいずれの種類の大当たりとなるかの抽選は、大当たり図柄乱数を用いて行われる。大当たり乱数は、図9(a)(b)に示すように、0〜299までの範囲で値をとることとされ、通常遊技状態時又は時短遊技状態時では、大当たりに当選する割合が1/300となるよう大当たりに当選する乱数値が定められるとともに、小当たりに当選する割合が3/300となるよう、小当たりに当選する乱数値が定められている。また、大当たり乱数は、確変遊技状態時又は潜確遊技状態時では、大当たりに当選する割合が10/300となるよう、大当たりに当選する乱数値が定められるとともに、小当たりに当選する割合が3/300となるよう、小当たりに当選する乱数値が定められている。大当たり図柄乱数は、図9(c)(d)に示すように、0〜249までの範囲で値をとることとされ、第1始動口51aへの入賞に対しては、15R通常大当たりに当選する割合が100/250となり、15R確変大当たりに当選する割合が75/250となり、2R潜確大当たりに当選する割合が75/250になるよう各大当たりに当選する乱数値が定められ、第2始動口51bへの入賞に対しては、15R通常大当たりに当選する割合が100/250となり、15R確変大当たりに当選する割合が125/250となり、2R潜確大当たりに当選する割合が25/250になるよう各大当たりに当選する乱数値が定められており、第1始動口51aへ入賞したときよりも長当たりに当選する割合が高くなっている。
(4)パチンコ遊技機の動作
次に、図10に基づいてメイン制御基板20の動作について説明し、図11〜17に基づいて演出制御基板22の動作について説明する。まず、メイン制御基板20の動作について説明する。なお、後述する各カウンタは、RAMに設けられ、パチンコ遊技機1の電源投入時にゼロクリアされる。
[メイン側タイマ割込処理]メイン制御基板20は、図10に示すメイン側タイマ割込処理を例えば4msecといった短時間毎に繰り返す。まず、メイン制御基板20は、大当たり抽選に用いる大当たり乱数、大当たりの種類を決めるための大当たり図柄乱数、装飾図柄変動演出においてリーチ状態とするか否か決めるためのリーチ乱数、変動パターンを決めるための変動パターン乱数、普通図柄抽選に用いる当たり乱数等を更新する乱数更新処理を行う(ステップS101)。
次に、メイン制御基板20は、始動口SW処理(S102)、ゲートSW処理(S103)、大入賞口SW処理(S104)及び普通入賞口SW処理(S105)を行う。始動口SW処理(S102)は、第1始動口SW54a又は第2始動口SW54bがONしていれば、ONした始動口に対応する保留記憶が4個未満であることを条件に大当たり乱数等の乱数(大当たり乱数、大当たり図柄乱数、リーチ乱数、変動パターン乱数)を取得するとともに、始動口カウンタの値に1を加算する処理である。ゲートSW処理(S103)は、ゲートSW80がONしていれば、すでに記憶されている当たり乱数が4個未満であることを条件に当り乱数を取得する処理である。大入賞口SW処理(S104)は、大入賞口SW74がONしていれば、大当たり遊技中又は小当たり遊技中か否かを判定して、大当たり遊技中又は小当たり遊技中であれば、入賞個数カウンタの値に1を加算するとともに、大入賞口カウンタの値に1を加算する処理である。普通入賞口SW処理(S105)は、普通入賞口SW92がONしていれば、普通入賞口カウンタの値に1を加算する処理である。
次に、メイン制御基板20は、特別図柄処理(S106)、普通図柄処理(S107)、大入賞口処理(S108)、及び、電チュー処理(S109)を行う。特別図柄処理(S106)は、始動口SW処理にて取得した大当たり乱数等の乱数を判定し、その判定結果を報知するための特別図柄変動の開始および停止をする処理である。普通図柄処理(S107)は、ゲートSW処理にて取得した当り乱数を判定し、その判定結果を報知するための普通図柄変動の開始および停止をする処理である。大入賞口処理(S108)は、特別図柄処理の結果、当り遊技に当選していた場合に、所定の開放パターン(ラウンド数、1ラウンド当りの開放時間、1ラウンド当りの規定入賞個数)に従って大入賞口71を開放させる処理である。電チュー処理(S109)は、普通図柄処理の結果、補助遊技に当選していた場合に、所定の開放パターン(開放回数、1回当りの開放時間)に従って電チュー52を開放させる処理である。
次に、メイン制御基板20は、始動入賞口カウンタの値に応じた数の賞球(実施形態では1カウントあたり3球)、大入賞口カウンタの値に応じた数の賞球(実施形態では1カウントあたり15球)、及び、普通入賞口カウンタの値に応じた数の賞球(実施形態では1カウントあたり10球)を払い出すためのコマンドをセットして、それらのカウンタをゼロクリアする賞球処理(S110)を行い、以上の各処理においてセットしたコマンドを払出制御基板21及び演出制御基板22に出力する出力処理(S111)を行う。
以上のメイン制御基板20における処理と並行して、演出制御基板22では図11〜17に示す処理を行う。以下、演出制御基板22の動作について説明する。
[サブ側タイマ割込処理]演出制御基板22は、図11に示すようなサブ側タイマ割込処理を所定の短時間毎に繰り返す。サブ側タイマ割込処理では、後述するコマンド受信処理(S1101)及び演出ボタン処理(S1102)と、コマンド受信処理及び演出ボタン処理でセットしたコマンドを画像制御基板23やランプ制御基板24に送信するコマンド送信処理(S1103)とを行う。コマンド送信処理が実行されると、各種コマンドを受信した画像制御基板23やランプ制御基板24は、各種演出装置(画像表示器4,スピーカ17,枠ランプ18,盤ランプ19,可動役物装置40)を用いて各種演出(図柄変動演出や大当たり演出など)を実行する。
[コマンド受信処理]図12に示すように、コマンド受信処理では、演出制御基板22は、メイン制御基板20から変動開始コマンドを受信していれば後述する演出選択処理を行い(S1301,S1302)、変動停止コマンドを受信していれば後述する変動演出終了中処理を行う(S1303,1304)。そして、演出制御基板22は、オープニングコマンドを受信していれば、後述する当たり演出選択処理を行い(S1305,1306)、エンディングコマンドを受信していれば、エンディングコマンドを解析し、モードフラグを参照してエンディング演出パターンを選択し、エンディング演出開始コマンドをセットするエンディング演出選択処理を行う(S1307,1308)。続いて、演出制御基板22は、後述する客待ちコマンド受信処理を行って(S1309)、コマンド受信処理を終える。
[演出選択処理]図13に示すように、演出選択処理では、演出制御基板22は、メイン制御基板20から受信した変動開始コマンドを解析する(S1401)。変動開始コマンドには、現在の遊技状態を示す情報、大当たり抽選において当選した特別図柄の種類を示す情報、及び、装飾図柄変動演出の変動パターンを示す変動パターン情報が含まれている。次に、演出制御基板22は、演出モードを示すモードフラグを参照する(S1402)。続いて、解析した変動開始コマンドおよび参照したモードフラグに基づいて装飾図柄変動演出の変動パターンを選択する変動演出パターン選択処理を行う(S1403)。そして、演出制御基板22は、装飾図柄変動演出を開始するための変動演出開始コマンドをセットする(S1404)。ここで、演出モードとは、画像表示器4における演出の態様であり、演出モードが異なると、登場するキャラクタや背景が異なる等、画像表示器4に表示される動画が異なり、装飾図柄変動演出も演出モードに応じたものが選択される。
ステップS1404でセットされた変動演出開始コマンドが、コマンド送信処理(図11のステップS1103参照)により画像制御基板23およびランプ制御基板24に送信されると、画像制御基板23は、画像表示器4の表示部4aにおいて装飾図柄変動演出を開始し、ランプ制御基板24は、受信した変動演出開始コマンドが可動役物装置40を動作させる演出を指示している場合には、装飾図柄変動演出に合わせて、電動モータ86を駆動して可動役物装置40を動作させる。すなわち、ランプ制御基板24は、装飾可動体42を初期位置(図2に示す位置)から再上端位置(図6(b)に示す位置)まで上昇と下降を繰り返しながら段階的に上昇させたのち初期位置まで戻すという一連の動作を繰り返し実行する。そして、この一連の動作を所定回数実行した後、フォトセンサ99が欠歯ギア94の遮蔽板部98を検知したことに基づいて、ランプ制御基板24は、電動モータ86の回転を停止させ、装飾可動体42および欠歯ギア94を初期位置(図2に示す状態)で停止させる。なお、可動役物装置40は、装飾図柄変動演出中に演出ボタン28(図1参照)が押下操作されたことに基づいて動作したり、演出ボタン28の押下操作に基づくことなく装飾図柄変動演出中の所定タイミングで動作したりする。
[変動演出終了中処理]図14に示すように、変動演出終了中処理では、演出制御基板22は、変動停止コマンドを解析し(S1501)、モードフラグを参照する(S1502)。次に、今終了しようとする装飾図柄変動演出が当たり(大当たりまたは小当たり)を報知するものか否かを判定して(S1503)、当たりを報知するものであればモードフラグ変更処理を行う(S1508)。モードフラグ変更処理では、その当たりの種類に応じた演出モードを示すものにモードフラグを変更するとともに、変更後の演出モードが通常モードでない場合には、その演出モードに対応するカウンタの値Mに上限回数をセットする。
一方、演出制御基板22は、今終了しようとする装飾図柄変動演出が当たりを報知するものでなければ(S1503でNO)、モードフラグが0か否かを判定し(S1504)、0であればステップS1509に進む。なお、モードフラグが0とは通常モードであることを示し、初期状態では(即ち、電源が投入されて最初の遊技が開始されるときは)モードフラグは0である。一方、モードフラグが0でなければ、現在の演出モード用のカウンタの値Mを1減少させて(S1505)、その値Mが0にならなければ(S1506でNO)、ステップS1509に進むが、0になれば(S1506でYES)、通常モードに戻すためにモードフラグを0として(S1507)、ステップS1509に進む。ステップS1509では、演出制御基板22は、装飾図柄変動演出を終了させるための変動演出終了コマンドをセットする。
[当たり演出選択処理]図15に示すように、当たり演出選択処理では、演出制御基板22は、オープニングコマンドを解析して(S1601)、解析したオープニングコマンドに基づいて、当たり演出のパターンを選択する当たり演出パターン選択処理を行う(S1602)。そして、演出制御基板22は、当たり演出を開始するためのオープニング演出開始コマンドをセットする(S1603)。なお、当たり演出とは、小当たり遊技又は大当たり遊技時に実行される演出をいう。
[客待ちコマンド受信処理]図16に示すように、客待ちコマンド受信処理では、演出制御基板22は、客待ちコマンドを受信したか否かを判定し(S1701)、受信していれば、客待ち演出を実行するまでの時間の計測を開始するとともに計測フラグをONして(S1702、S1703)、ステップS1705に進む。一方、受信していなければ、計測フラグがONされているか否か判定し(S1704)、オンされていなければ、客待ち演出実行までの時間の計測中ではないので処理を終え、オンされていればタイムアップか、すなわち、いま計測している時間が客待ち演出実行までの時間として設定した所定時間に達したか否か判定する(S1705)。そして、タイムアップでなければ、処理を終え、タイムアップであれば、計測フラグをOFFするとともに(S1706)、客待ち演出を開始するための客待ち演出開始コマンドをセットする(S1707)。
[演出ボタン処理]図17に示すように、演出ボタン処理では、演出制御基板22は、演出ボタン検出SW28aからの信号により、演出ボタン28が押下されたか(ONされたか)否かを判定し(S1801)、ONされていなければ処理を終え、ONされていれば装飾図柄変動演出中か否かを判定する(S1802)。そして、装飾図柄変動演出中でなければ処理を終え、装飾図柄変動演出中であれば、その装飾図柄変動演出において演出ボタン28を操作するよう指示がでているか否かを判定する(S1803)。そして、演出ボタン28の操作指示中でなければ処理を終え、演出ボタン28の操作指示中であれば、可動役物装置40を動作させるための可動役物作動コマンドをセットして処理を終える(S1804)。ステップS1805でセットされた可動役物作動コマンドが、コマンド送信処理(図11のステップS1103参照)によりランプ制御基板24に送信されると、ランプ制御基板24は、電動モータ86を駆動して可動役物装置40を動作させる。
(5)実施形態の効果
以上説明したように、第1実施形態のパチンコ遊技機1は、電動モータ86(駆動源)と、電動モータ86側に取り付けられる欠歯ギア94(第1ギア)と、欠歯ギア94に噛み合う小径ギア84(第2ギア)と、欠歯ギア94および小径ギア84を介して電動モータ86により駆動される装飾可動体(肉ギミック)42とを備えるパチンコ遊技機において、欠歯ギア94は、小径ギア84と噛み合わない欠歯部96を備える構成とされ、電動モータ86の作動時において、欠歯ギア94と小径ギア84とが噛み合っているときは、電動モータ86の動力が装飾可動体42に伝達され、欠歯部96により欠歯ギア94と小径ギア84とが噛み合っていないときは、電動モータ86の動力が装飾可動体42に伝達されないよう構成されている。よって、第1実施形態のパチンコ遊技機1では、欠歯部96により電動モータ86(駆動源)の動力は間欠的に装飾可動体42に伝達される。
特に第1実施形態のパチンコ遊技機1では、電動モータ86の所定方向への回転駆動時において、欠歯部96により欠歯ギア94と小径ギア84との噛み合いが外れると、装飾可動体(肉ギミック)42は、欠歯ギア94と小径ギア84とが噛み合っているときの移動方向(上方向)とは反対の方向(下方向)へ移動するよう構成されている。
このような第1実施形態のパチンコ遊技機1によれば、電動モータ86を駆動して欠歯ギア94(第1ギア)を回転させると、欠歯ギア94の歯部95と小径ギア84(第2ギア)とが噛み合って回転しているときは、小径ギア84の回転(正転)に伴って、装飾可動体(肉ギミック)42はスプリング76の付勢力に抗して所定の移動方向(上方向)に移動するが、欠歯ギア94の欠歯部96により欠歯ギア94と小径ギア84との噛み合いが外れたときは、自重およびスプリング76の付勢力により装飾可動体42は所定の移動方向とは反対の方向(下方向)へ移動する。このとき小径ギア84は逆転する。さらに欠歯ギア94が回転して再び欠歯ギア94の歯部95と小径ギア84とが噛み合うと、小径ギア84は、逆転を止め再び正転し、装飾可動体42は再び所定の移動方向へ移動する。このように第1実施形態のパチンコ遊技機1では、欠歯ギア94の回転に伴って、小径ギア84は正転と逆転を繰り返し、装飾可動体42は所定の移動方向(上方向)への移動と、所定の移動方向とは反対の方向(下方向)への移動を繰り返すため、電動モータ86を高速で一方向に回転駆動するだけで、装飾可動体42を激しくガタつかせる(高速で往復移動させる)ことができる。
すなわち、第1実施形態のパチンコ遊技機1では、欠歯ギア94の回転に伴って欠歯ギア94と小径ギア84との噛み合いが間欠的に外れ、両ギア94,84の噛み合いが外れたときには両ギア94,84が噛み合っているときの移動方向とは反対の方向へ装飾可動体42が移動するため、欠歯ギア94の回転に伴って小径ギア84は正転と逆転とを繰り返し、欠歯ギア94および小径ギア84を介して駆動される装飾可動体42のガタつく動作が実現される。
また、第1実施形態のパチンコ遊技機1は、装飾可動体(可動ギミック)42を、欠歯ギア94(第1ギア)と小径ギア84(第2ギア)とが噛み合っているときの移動方向(上方向)とは反対の方向(下方向)へ付勢するスプリング76(付勢手段)を備えて構成されている。
したがって、スプリング76(付勢手段)により装飾可動体42の戻り動作(すなわち、欠歯ギア94と小径ギア84とが噛み合っているときの移動方向(上方向)とは反対の方向(下方向)への移動動作)を確実に行うことができる。
また、第1実施形態のパチンコ遊技機1では、欠歯ギア94(第1ギア)の第1歯部95aと小径ギア84(第2ギア)とが噛み合って回転したときの装飾可動体(肉ギミック)42の移動量は、第1欠歯部96aにより欠歯ギア94と小径ギア84との噛み合いが外れたときの装飾可動体42の移動量に比べて、大きくなるよう構成されている(図4参照)。言い換えれば、欠歯ギア94の第1歯部95aと噛み合って小径ギア84が正転する量(角度)は、第1欠歯部96aにより欠歯ギア94との噛み合いが外れて小径ギア84が逆転する量(角度)に比べて、大きく構成されている。
したがって、所定の移動方向(上方向)への移動(進み動作)と、所定の移動方向とは反対の方向(下方向)への移動(戻り動作)とを繰り返しながら、段階的に所定の移動方向(上方向)に向かって移動していく装飾可動体(肉ギミック)42の動作を実現できる。
また、実施形態のパチンコ遊技機1では、欠歯ギア94(第1ギア)は、複数の欠歯部(第1欠歯部96a,第2欠歯部96b,第3欠歯部96c)と、小径ギア84(第2ギア)と噛み合う複数の歯部(第1歯部95a,第2歯部95b,第3歯部95c)とを、歯溝の幅方向(周方向)に沿って交互に有する構成とされ、複数の欠歯部(第1欠歯部96a,第2欠歯部96b,第3欠歯部96c)のうち一つの欠歯部(第3欠歯部96c)は、他の欠歯部(第1欠歯部96a,第2欠歯部96b)よりも歯溝の幅方向(周方向)に沿う長さ寸法を大きく構成され(図2図示L1,L2参照)、該一つの欠歯部(第3欠歯部96c)により欠歯ギア94と小径ギア84との噛み合いが外れたとき、装飾可動体(肉ギミック)42は、初期位置まで移動する。なお、第3欠歯部96cにより欠歯ギア94と小径ギア84とが噛み合っていないときの装飾可動体42の移動量は、欠歯ギア94と小径ギア84とが噛み合っているときの装飾可動体42の移動量に比べて、大きくなるように構成されている。
したがって、電動モータ86を一方向に回転駆動するだけで、所定の移動方向(上方向)に向かって段階的に移動したのち初期位置まで復帰するという装飾可動体42の動作を実現することができる(図7参照)。
2.第2実施形態
上述した第1実施形態のパチンコ遊技機1では、装飾可動体(肉ギミック)42が上昇と下降とを繰り返しながら段階的に上方へ移動し、最上端位置に到達した後初期位置に戻るように、可動役物装置40を構成したが、図18〜20に示す第2実施形態のパチンコ遊技機1Aでは、遊技機のモチーフに関する装飾文字を模した装飾可動体(ロゴ体)100が同じ幅で上昇と下降とを繰り返すように、可動役物装置40Aを構成している。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態と同様の構成については、同様の符号を付して説明を省略する。
図18に示すように、第2実施形態のパチンコ遊技機1Aは、センター役物装置30の前飾り31の上部に、可動役物装置40Aを備えている。可動役物装置40Aは、図19(a),20(a)に示すように、左右方向を長手方向とし、前後方向を薄肉とする長尺薄板形状の装飾可動体(ロゴ体)100を備えている。装飾可動体100は、ベースプレート101に組みつけられている。ベースプレート101には、上下方向を長手方向とする長孔102が形成されている。装飾可動体100の左端部100aには、ベースプレート101の長孔102内に挿通され、長孔102内を摺動可能な摺動部104が後方に向かって突設されている。摺動部104の後面側には、左側部にラック歯105aを有するラック部材(第2ギアに相当する)105が取り付けられている。
ラック部材105のラック歯105aには、電動モータ(駆動源に相当する)86の出力軸86aに固定された欠歯ギア(第1ギアに相当する)110の歯部111が噛み合う。欠歯ギア110は、ラック部材105のラック歯105aと噛み合う歯を有する歯部111と、ラック部材105のラック歯105aと噛み合う歯のない欠歯部112とを交互に有するギアである。欠歯ギア110は、時計方向に向かって順に、第1歯部111a、第1欠歯部112a、第2歯部111b、第2欠歯部112bを備えて構成されている。第1歯部111a、第1欠歯部112a、第2歯部111b、第2欠歯部112bは、互いに同じピッチ(周方向に沿う長さ寸法、歯溝の幅方向に沿う長さ寸法)で構成されている。なお、電動モータ86及び欠歯ギア110は、ベースプレート101に取り付けられ、ベースプレート101は、前飾り31の左上部に取り付けられる。
また、装飾可動体100は、図20(a)に示すように、摺動部104の右側部に、スプリング(付勢手段に相当する)114の一端114aが取り付けられる取付部106を有している。スプリング114の他端114bは、ベースプレート101の後面側に設けられた取付部103に取り付けられている。スプリング114は、装飾可動体100を常時下方に付勢するもので、装飾可動体100が上昇したときに、もとの位置(初期位置)に戻る方向の復帰力を装飾可動体100に与え、上昇した装飾可動体100の戻り動作を安定させるものである。
以上のように構成された可動役物装置40Aにおいて、電動モータ86を所定の速度で回転駆動すると、装飾可動体(ロゴ体)100は、次のように動作する。
まず、図19(a)及び図20(a)に示す状態から、電動モータ86を駆動して欠歯ギア110を時計方向に回転(正転)させると、欠歯ギア110の第1歯部111aがラック部材105のラック歯105aと噛み合って欠歯ギア110が回転するため、ラック部材105及び装飾可動体100は、スプリング114の付勢力に抗して、図19(b)及び図20(b)に示す上死点位置まで上昇する。ここで、欠歯ギア110の各歯部111とラック部材105のラック歯105aとが噛み合う位置(図19(b)において符号Kで示す位置)を、「噛合位置」というものとする。
さらに電動モータ86が回転して、欠歯ギア110の第1欠歯部112aがラック部材105との噛合位置に到達すると、ラック部材105と欠歯ギア110との噛み合いが外れる(図19(a)及び図20(a)参照)。このとき、装飾可動体100およびラック部材105は、スプリング114による下方への付勢力(初期位置への復帰力)および自重により、下降して、初期位置(下死点位置)に戻る。
さらに電動モータ86が回転して、欠歯ギア110の第2歯部111bがラック部材105との噛合位置に到達すると、ラック部材105と欠歯ギア110とが再び噛み合うため、装飾可動体100は上死点位置まで上昇し(図19(b)及び図20(b)参照)、その後、欠歯ギア110の第2欠歯部112bがラック部材105との噛合位置に到達すると、ラック部材105と欠歯ギア110との噛み合いが外れるため、装飾可動体100は初期位置(下死点位置)まで下降する(図19(a)及び図20(a)参照)。
このように、第2実施形態のパチンコ遊技機1Aが備える可動役物装置40Aでは、電動モータ86を一方向へ回転駆動するだけで(正転させるだけで)、装飾可動体(ロゴ体)100が同じ幅で上昇と下降とを繰り返す動作を行うことができる。
3.変更例
以下、変更例について説明する。なお、変更例の説明において、第1実施形態のパチンコ遊技機1と同様の構成については、第1実施形態のパチンコ遊技機1と同様の符号を付して説明を省略する。
第1実施形態のパチンコ遊技機1における可動役物装置40では、装飾可動体42は、自重およびスプリング(付勢手段)76の付勢力により、下方へ移動するよう構成したが、スプリング(付勢手段)76の付勢力による戻り動作の安定性を考慮しなければ、必ずしもスプリング76を備える必要はなく、装飾可動体42が自重のみにより下方へ移動するよう構成してもよい。
また、第1実施形態のパチンコ遊技機1における可動役物装置40では、装飾可動体42は、上下方向に沿って移動するよう構成したが、装飾可動体の移動方向は任意に変更可能であり、例えば左右方向に沿って移動するよう構成してもよい。この場合、装飾可動体の戻り動作に自重が働かないので、スプリング(付勢手段)を設けて、スプリング(付勢手段)の付勢力により戻り動作を行うよう構成する。
また、第1実施形態のパチンコ遊技機1における可動役物装置40では、欠歯ギア94の第3欠歯部96cを第1欠歯部96aや第2欠歯部96bよりもピッチの大きい欠歯部として構成したが、図21(a)に示すように、第3欠歯部122cを第1欠歯部122aや第2欠歯部122bと同じピッチの欠歯部として構成してもよい。すなわち、欠歯ギア120を、歯部121および欠歯部122のピッチの比が、第1歯部121a:第1欠歯部122a:第2歯部121b:第2欠歯部122b:第3歯部121c:第3欠歯部122c=2:1:2:1:2:1となるように構成してもよい。この場合、欠歯ギア120における第3欠歯部122cに対応する位置に、遮蔽板部124を設け、フォトセンサ99が遮蔽板部124を検知したときに、電動モータ86を停止させるようにすると、上昇と下降を繰り返しながら3段階で上昇して初期位置に戻る装飾可動体42の動作を実現できる。
また、図21(b)に示すように、欠歯ギア120における第1欠歯部122aに対応する位置、欠歯ギア120における第2欠歯部122bに対応する位置、および欠歯ギア120における第3欠歯部122cに対応する位置に、それぞれ遮蔽板部124,124,124を設ければ、フォトセンサ99が遮蔽板部124を1回検知したときに、電動モータ86を停止させることで、一段階だけ(図4(a)に示す第1中間位置まで)上昇してその後初期位置に戻る装飾可動体42の動作を行うことができ、フォトセンサ99が遮蔽板部124を2回検知したときに、電動モータ86を停止させることで、二段階だけ(図5(a)に示す第2中間位置まで)上昇してその後初期位置に戻る装飾可動体42の動作を行うことができ、フォトセンサ99が遮蔽板部124を3回検知したときに、電動モータ86を停止させることで、三段階目まで(図6(a)に示す最上端位置まで)上昇してその後初期位置に戻る装飾可動体42の動作を行うことができる。ここで、第1段階まで上昇する動作よりも第2段階まで上昇する動作のほうが遊技者に報知される大当たり期待度が高くなるように構成し、第2段階まで上昇する動作よりも第3段階まで上昇する動作のほうが遊技者に報知される大当たり期待度が高くなるように構成すれば、装飾可動体42の動作パターンの違いにより、遊技者に異なる期待感を与えることができる。具体的には、変動演出パターン選択処理(図13のS1403参照)において、大当たりか否かに基づいて、大当たりの場合は、三段階目まで装飾可動体42が上昇する動作が選択され易い抽選テーブルを参照し、大当たりでない場合は、一段階目まで装飾可動体42が上昇する動作が選択され易い抽選テーブルを参照して、装飾可動体42の動作パターンを決定するよう構成する。
また、図21(b)に示す欠歯ギア120を用いて可動役物装置40を構成した場合、フォトセンサ99が遮蔽板部124を2回検知したあと、電動モータ86を所定ステップ回転させてから、電動モータ86を励磁状態に所定時間保持し、その後フォトセンサ99が遮蔽板部124を検知するまで電動モータ86を駆動するように制御すれば、装飾可動体42を最上端位置(図6(a)に示す位置)で所定時間支持した後初期位置に戻す動作を実現できる。
また、第1実施形態のパチンコ遊技機1における可動役物装置40では、装飾可動体42は、欠歯ギア94と二段ギア82とラック部材56とからなる伝動機構を介して電動モータ86により駆動される構成としたが、ラック部材56の代わりに、偏心した軸を有するギアと、この軸に係合するクランクとを用いて、クランクに連結された装飾可動体42を動作させるよう構成するなど、他の伝動機構を用いて構成してもよい。
また、図22(a)に示すように、二段ギア(第2ギアに相当する)82Aに後方へ延びるピン部130,130,130,130を設けるとともに、液晶ベース(図示せず)に押爪掣子131(規制手段ともいう)を設けて、二段ギア82Aが所定角度以上、欠歯ギア(第1ギアに相当する)120の歯部121と噛み合って回転する方向とは反対の方向へ回転するのを規制すれば、言い換えれば、欠歯部122により欠歯ギア120と二段ギア82Aとの噛み合いが外れたときに装飾可動体42が所定量以上移動するのを規制すれば、二段ギア82Aが逆転し過ぎて、すなわち、装飾可動体42が下降し過ぎて、所望の動作(段階的に上昇する動作)とならないおそれを防ぐことができる。また、このような構成とすれば、電動モータ86の回転速度に依存することなく、二段ギア82Aの逆転する量、すなわち、装飾可動体42の移動する量(戻り量)を決めることができるので、装飾可動体42の動作を設計し易い。ここで、押爪掣子131は、軸131a回りに取り付けられた図示しないスプリングにより常時図22(a)に示すa方向に付勢されている。二段ギア82Aの正転時は、ピン部130が押爪掣子131を押して図22(a)に示すb方向に揺動させるため、二段ギア82Aの回転(正転)は規制されないが、二段ギア82Aの逆転時は、図22(b)に示すように、ピン部130が押爪掣子131を押しても押爪掣子131の図22(b)に示すa方向への揺動が規制されているため、二段ギア82Aの回転(逆転)は規制される。なおこのように構成した場合、装飾可動体42を初期位置まで戻すときは、液晶ベース(図示せず)に取り付けたソレノイド(図示せず)を作動させて、ソレノイドのプランジャにより押爪掣子131を図22(a)に二点鎖線で示す状態に保持して、二段ギア82Aが所定角度以上逆転するのを許容させる。
また、第1実施形態のパチンコ遊技機1では、電動モータ86側の第1ギアを、欠歯部96を有する欠歯ギア94として構成したが、装飾可動体42側の第2ギアを、欠歯部96を有する欠歯ギア94として構成してもよい。
また、第1実施形態のパチンコ遊技機1では、装飾可動体42は、上方へ進んだのち下方へ戻るよう(上下方向に沿って往復するよう)構成したが、装飾可動体42が戻り動作をすることなく、所定方向への進み動作と停止とを繰り返しながら、徐々に所定方向に進行していくよう構成してもよい。具体的には、第1実施形態のパチンコ遊技機1において、スプリング76を外し、装飾可動体42の移動方向を左右方向とすることで、欠歯部96により第1ギア(欠歯ギア94)と第2ギア(小径ギア84)との噛み合いが外れたときに、装飾可動体42に戻り方向への力が働かないように構成する。なおこの場合、別の駆動源を用いて、移動した装飾可動体42を初期位置まで戻すよう構成する。