JP2012226887A - 電動自転車用バッテリー装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】バッテリーを収納し略箱型形状に形成された樹脂製バッテリーケースを、その長手方向が車載状態で上下方向を向くように車体フレーム側に対して着脱可能に装着される電動自転車用バッテリー装置であって、樹脂製バッテリーケースは、エラストマーを含有する、粘度平均分子量が22,000〜30,000のポリカーボネート樹脂からなることを特徴とする電動自転車用バッテリー装置による。
【選択図】図2
Description
電動自転車1は、自転車本体1のサドル2の下のサドルフレーム3の後、後輪との間に、バッテリー装置4を配置している。そして、バッテリー装置4は、略箱型形状のバッテリーケース5と自転車本体1に固定されたバッテリーホルダー6からなり、バッテリーケース5は、図1に示すように、車載状態でその長手方向が上下方向を向くようにしてバッテリーホルダー6に着脱可能に装着される。
バッテリーケース5が装着された状態にあると、バッテリーケースから、バッテリーホルダー6内に設けられた図示しない接続端子を通じ、電動モータ(図示せず)に駆動用電力が供給される。
バッテリーケース本体5は、略箱型形状を有するが、その長手方向に二つ割り構造で形成されており、樹脂製の第1のケース部材6と樹脂製の第2のケース部材7からなり、これを結合して構成される。バッテリーケース5の内部には二次電池のバッテリーパック8が収納される。また、図示していないが、バッテリーケース5の内部には、残量検出やセル電圧・セル温度を監視し充放電制御を行うための制御基板や、基板等からの発熱を放散する放熱板等も配置される。
さらに、バッテリーケース6は軽くても2〜3キログラム以上の重量を有しており、これを充電のため家庭内に持ち込む際、手に提げて運ぶための取手10を設けることが好ましい。取手10は、第1のケース部材6と樹脂製の第2のケース部材7の片方または両方にまたがって、設けられる。
このように、強度と耐衝撃性や勘合性に優れることが要求されるバッテリーケース5は本発明では、エラストマーを含有する、数平均分子量が22,000〜30,000のポリカーボネート樹脂を成形した樹脂製のものを使用する。
熱可塑性エラストマーとは、常温ではゴム状弾性を持つ固体であるが、加熱すると粘度が低下するという、熱可塑性樹脂と溶融混合可能な性質を有する高分子物質の総称である。熱可塑性エラストマーの種類は特に制限されず、例えば、オレフィン系、スチレン系、ポリエステル系、ポリアミド系およびウレタン系等が挙げられる。
コア/シェル型グラフト共重合体タイプのものとしては、ポリブタジエン含有ゴムをコア層とし、その周囲に(メタ)アクリル酸エステルを共重合して形成されたシェル層からなる、コア/シェル型グラフト共重合体が特に好ましい。
有機スルホン酸金属塩のうち、好ましいものとしては、含フッ素脂肪族スルホン酸の金属塩、含フッ素脂肪族スルホン酸イミドの金属塩、芳香族スルホン酸の金属塩、芳香族スルホンアミドの金属塩が挙げられ、含フッ素脂肪族スルホン酸金属塩が特に好ましく、具体的にはノナフルオロブタンスルホン酸カリウム等が好ましい。
有機スルホン酸金属塩の好ましい含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、0.001〜1質量部である。含有量が少なすぎるとポリカーボネート樹脂の難燃性が不十分となる可能性があり、逆に多すぎてもポリカーボネート樹脂の熱安定性の低下、並びに、バッテリーケース5の外観不良及び機械的強度の低下が生ずる可能性がある。
リン系難燃剤の好ましい含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、0.5〜15質量部である。含有量が少なすぎるとポリカーボネート樹脂の難燃性が不十分となる可能性があり、逆に多すぎてもポリカーボネート樹脂の熱安定性の低下、並びに、バッテリーケース5の外観不良及び機械的強度の低下が生ずる可能性がある。
紫外線吸収剤の好ましい含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上、0.5質量部以下である。0.01質量部未満の場合は、耐候性の改良効果が不十分となり、0.5質量部を超える場合は、バッテリーケース成形時に金型汚染を引き起こしやすい。
なお、粘度平均分子量[Mv]は、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて、温度20℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、η=1.23×10−4Mv0.83 から算出した。
[樹脂ペレットの製造]
上記表1に記した各成分を、後記表3に記した割合(質量比)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製二軸押出機(TEX30HSST)に供給し、スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/時間、バレル温度280℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
上記で得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、住友重機械工業社製のSE100DU型射出成形機を用いて、シリンダー温度260℃、金型温度80℃、成形サイクル30秒の条件で射出成形し、長さ125mm、幅13mm、厚さ1.5mmのUL試験用試験片を射出成形した。
また、上記の製造方法で得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、住友重機械工業社製射出成形機(サイキャップM−2、型締め力75T)を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃の条件で、ISO多目的試験片(3mm厚)を射出成形した。
さらに上記で得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、住友重機械工業社製のSE100DU型射出成形機を用いて、シリンダー温度300℃、金型温度80℃、成形サイクル60秒の条件で射出成形し、ASTM D671に準じた曲げ疲労試験片(TYPE A)を成形した。
また、得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、東芝機械工業社製のEC160型射出成形機を用いて、シリンダー温度300℃、金型温度80℃で射出成形し、長さ15cm、幅15cm、厚さ1.5mm、深さ5cmの上部が開口した箱状のケース部材を成形した。
上記方法で得られたUL試験用試験片(0.8mm厚)を温度23℃、湿度50%の恒温室の中で48時間調湿し、米国アンダーライターズ・ラボラトリーズ(UL)が定めているUL94試験(機器の部品用プラスチック材料の燃焼試験)に準拠して行った。UL94Vとは、鉛直に保持した所定の大きさの試験片にバーナーの炎を10秒間接炎した後の残炎時間やドリップ性から難燃性を評価する方法であり、V−0、V−1及びV−2の難燃性を有するためには、以下の表2に示す基準を満たすことが必要となる。
上述の方法で得られたISO多目的試験片(3mm厚)を用い、ISO179に準拠し、R=0.25のVノッチを入れ、23℃、及び−30℃の条件で、それぞれノッチ有りシャルピー耐衝撃強度(単位:kJ/m2)を測定した。
上述の方法で得られたケース部材をサンシャインウエザオメーター(スガ試験機(株)製)を用い、ブラックパネル温度63±3℃、相対湿度50〜60%、光波長として300nm以下をガラスフィルターでカットしたカーボンアークを放射照度255(±10%)W/m2の条件で、照射時間1000時間上記試験片に照射した後、照射面に対し2kgの錘を落下させ破断面を目視にて観察した。なお、試験は3回実施した。
破断面に著しく鋭利な亀裂が認められる場合は「×」、破断面に著しい亀裂が認められないものを「○」と判断した。
上述の方法で得られた曲げ疲労試験片を用い、ASTM D671に準じ、23℃、実応力20MPaの条件で試験をし、破壊に至るまでの回数を求めた。なお試験は3回実施し、その平均値を求めた。
この疲労試験の破断に至るまでの回数が多い方が、疲労特性に優れ、バッテリーケースの勘合性に優れることを意味し好ましい。また、電動自転車の走行によって本発明の電動自転車用バッテリー装置は振動を受けるが、疲労特性に優れるバッテリーケースを用いることにより、この振動によるバッテリーケースの強度低下を防ぐ効果も得られる。
上述の方法で得られたケース部材を試験片とし、JIS K−7105に準じ、日本電色工業社製のSE2000型分光式色彩計で、反射法により測定した(初期YI)。さらにサンシャインウエザオメーター(スガ試験機(株)製)用い、ブラックパネル温度63±3℃、相対湿度50〜60%、光波長として300nm以下をガラスフィルターでカットしたカーボンアークを放射照度255(±10%)w/m2の条件で、照射時間300時間上記試験片に照射した後に同様の手法でYIを測定した(耐候試験後YI)。
このときのΔYI(耐候試験後YI−初期YI)を求め、耐候色相の評価をした。
なお、ΔYIは成形品の黄変度を表し、この値が小さい方が屋外環境下において黄変が小さいことを意味し好ましい。
Claims (2)
- バッテリーを収納し略箱型形状に形成された樹脂製バッテリーケースを、その長手方向が車載状態で上下方向を向くように車体フレーム側に対して着脱可能に装着される電動自転車用バッテリー装置であって、樹脂製バッテリーケースは、エラストマーを含有する、粘度平均分子量が22,000〜30,000のポリカーボネート樹脂からなることを特徴とする電動自転車用バッテリー装置。
- バッテリーケースは、長手方向に二つ割り構造に形成された樹脂製の第1のケース部材と第2のケース部材を結合して構成されることを特徴とする請求項1に記載の電動自転車用バッテリー装置。
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