JP2012226022A - 定着装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 定着ローラ11と、定着ローラとの間に定着ニップを形成する加圧ローラ12と、定着ローラに熱を発生させる加熱機構13と、これらを内部に保持する筐体14とを備えた定着装置10であって、定着ローラからの赤外線を受けて温度を検出する赤外線センサ1を備え、絶縁性フィルムと、絶縁性フィルムの一方の面に互いに離間させて並べて設けられた第1の感熱素子及び第2の感熱素子と、絶縁性フィルムの一方の面に形成され第1の感熱素子に接続された導電性の第1の配線膜及び第2の感熱素子に接続された導電性の第2の配線膜と、第2の感熱素子に対向して絶縁性フィルムの他方の面に設けられた赤外線反射膜とを備えている。
【選択図】図1
Description
特許文献1に記載の定着装置では、温度センサを定着ローラから熱隔離するために温度センサと定着装置との間に長い距離(空間)を必要とし、全体が大型化してしまう問題があった。また、温度センサを取り付けて一体構造とするための支持部材は、熱伝導を低減するために薄くまたは細くして断面積を小さくした構造とする必要があり、取り付け時に支持部材が曲がったり、振動等により赤外線の視野角がずれて高精度な測定が難しいなどの不都合があった。また、サーモパイルは、素子がガスで封止され周囲の温度変動に鈍感なため、高精度な温度検出が困難であった。さらに、特許文献2に記載の赤外線温度センサでは、検知側と補償側とで大きく構造が異なるので、熱容量に大きな差が生じ、温度分布が生じてしまうことから高精度な温度測定ができないという問題があった。
さらに、一方の感熱素子について赤外線を筐体で遮光する構造を採用しているが、赤外線を遮っているだけで遮蔽部分が赤外線を吸収してしまい、遮蔽部分の温度が変化してしまうことからリファレンスとして不完全となってしまう不都合があった。
すなわち、フィルムに赤外線吸収材料等を含有させていない低熱伝導性の絶縁性フィルムでも、赤外線反射膜によって第2の感熱素子の直上部分における赤外線を反射してその吸収を阻止することができ、赤外線を反射しない部分の直下にある第1の感熱素子との温度差分が得られ、第2の感熱素子を高いリファレンスとすることができる。
また、第1の感熱素子と第2の感熱素子との間の熱を伝導する媒体が、空気以外に絶縁性フィルムのみとなり、伝導する断面積が小さくなる。したがって、相互の感熱素子への熱が伝わり難くなり、干渉が少なくなって検出感度が向上する。このように第1の感熱素子と第2の感熱素子との熱結合が低いので、互いに近づけて配置することも可能になり、全体の小型化を図ることができる。さらに、枠体やケースによる遮光構造ではなく、赤外線反射膜によって赤外線を遮光しているので、安価に作製することができる。
さらに、赤外線反射膜が導電性材料で構成されていても、絶縁性フィルムを挟んで設置された第1の感熱素子及び第2の感熱素子との絶縁が確保されているので、膜の絶縁性を問わずに効率の良い材料の選択が可能になる。
このように、低熱伝導性の絶縁性フィルム上で互いに熱の影響が抑制された第1の感熱素子と第2の感熱素子とが、それぞれ絶縁性フィルムにおいて赤外線が照射される部分の直下と赤外線が反射される部分の直下との温度を測定する構造を有している。したがって、赤外線検知用とされる第1の感熱素子と温度補償用とされる第2の感熱素子との良好な温度差分を得られ、高感度化を図ることができる。
なお、絶縁性フィルム上であって第1の感熱素子の直上に赤外線吸収膜を形成しても構わない。この場合、さらに第1の感熱素子における赤外線吸収効果が向上して、第1の感熱素子と第2の感熱素子とのより良好な温度差分を得ることができる。
すなわち、この定着装置では、薄く低背構造である赤外線センサが、定着ローラの内側に設置されているので、装置内で飛散するトナーや紙粉などの影響を受け難く、これらによる検出劣化を低減することができる。
すなわち、この定着装置では、第1の配線膜が、第1の感熱素子の周囲にまで配されて第2の配線膜よりも大きな面積で形成されているので、絶縁性フィルムの赤外線を吸収した部分からの熱収集を改善すると共に、絶縁性フィルムの赤外線反射膜が形成された部分と熱容量が近づくので、変動誤差を小さくすることができる。なお、第1の配線膜の面積及び形状を赤外線反射膜と略同じにして、絶縁性フィルムの赤外線反射膜が形成された部分と熱容量がほぼ等しくなるように設定することが好ましい。
すなわち、この定着装置では、絶縁性フィルムが、ポリイミド基板で形成され、赤外線反射膜、第1の配線膜及び第2の配線膜が銅箔で形成されているので、材料費が安い汎用的な両面フレキシブル基板を利用することができ、低コスト化を図ることができる。
すなわち、この定着装置では、赤外線反射膜が、銅箔と、該銅箔上に積層された金メッキ膜とで構成されているので、金メッキ膜が、銅箔の酸化防止膜として機能すると共に赤外線の反射率を向上させることができる。
すなわち、この定着装置では、第1の感熱素子および第2の感熱素子が、サーミスタ素子であるので、耐熱性が高く、定着ローラ、定着ベルトまたは加熱機構のより近傍に赤外線センサを設置することが可能になる。
すなわち、本発明に係る定着装置によれば、筐体内に設置された赤外線センサが、絶縁性フィルムの一方の面に互いに離間させて設けられた第1の感熱素子及び第2の感熱素子と、第2の感熱素子に対向して絶縁性フィルムの他方の面に設けられた赤外線反射膜とを備えているので、赤外線センサが受ける熱量が大きくても、高精度に定着ローラまたは定着ベルトの温度を非接触に検出可能であると共に、全体の小型化や低コスト化が可能になる。
したがって、本発明の定着装置を備えた複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置では、高精度に定着ローラや定着ベルトの温度が維持されて、高品質な複写や印刷が可能になると共に小型化や低コスト化を実現することができる。
上記加圧ローラ12は、例えば合成樹脂や金属などで形成された円筒状基材の表面にシリコンゴムなどの弾性層が設けられ、該弾性層上をフッ素樹脂等の離形性に優れた樹脂で被覆したものである。この加圧ローラ12は、定着ローラ11の外周面に圧接した状態で回転可能に設置されている。これらの定着ローラ11および加圧ローラ12は、それぞれギアに接続され、さらにギアに接続されたモータにより互いに逆方向に回転駆動される。
この赤外線センサ1は、筐体14の内壁に取り付けられ、絶縁性フィルム2の他方の面を定着ローラ11の外周面に向けて対向設置されている。なお、赤外線センサ1は、絶縁性フィルム2の一方の面に固定されて該絶縁性フィルム2を支持すると共に第1の感熱素子3A及び第2の感熱素子3Bを内部の収納部に収納する樹脂製のセンサ筐体(図示略)を介して設置されても構わない。
また、一対の第2の配線膜4Bは、線状に形成されており、その一端部にそれぞれ絶縁性フィルム2上に形成された第2の接着電極5Bが接続されていると共に、他端部にそれぞれ絶縁性フィルム2上に形成された第2の端子電極7Bが接続されている。
また、上記第1の端子電極7A及び第2の端子電極7Bは、外部の回路との接続を行うための電極である。
このように、低熱伝導性の絶縁性フィルム2上で互いに熱の影響が抑制された第1の感熱素子3Aと第2の感熱素子3Bとが、それぞれ絶縁性フィルム2において赤外線が照射される部分の直下と赤外線が反射される部分の直下との温度を測定する構造を有している。したがって、赤外線検知用とされる第1の感熱素子3Aと温度補償用とされる第2の感熱素子3Bとの良好な温度差分を得られ、高感度化を図ることができる。
さらに、赤外線反射膜6が、銅箔と、該銅箔上に積層された金メッキ膜とで構成されているので、金メッキ膜が、銅箔の酸化防止膜として機能すると共に赤外線の反射率を向上させることができる。
この実験では、センサ性能を比較し易くするために、図8に示すように、定着装置の定着ローラではなく、黒体テープTを貼った机Dを測定対象物とし、この机Dの上方に間隔を空けて赤外線センサ1を設置し、さらに赤外線センサ1上にペルチェ素子Pを載せ、赤外線センサ1を直接加熱冷却しながら机Dの温度を測定した。なお、机Dには、別途、他の温度センサ(図示略)を直接取り付けて、机Dの温度(実測値)を測定した。
図9および図10からわかるように、上記従来の赤外線センサでは、吸収膜温度と反射膜温度との温度差の時間変化(両者の傾き差)が大きいのに対し、本発明に用いられる赤外線センサ1では、吸収膜温度と反射膜温度との温度差の時間変化が小さい。
例えば、上記各実施形態では、トナー像の定着機構として定着ローラを用いているが、公知の定着ベルトを採用しても構わない。この場合、赤外線センサは、定着ベルトに対して絶縁性フィルムの他方の面を向けて対向配置される。
なお、この赤外線吸収膜は、第1の感熱素子よりも大きなサイズでこれを覆うように形成することが好ましい。
なお、感熱素子としては、上述したように薄膜サーミスタやチップサーミスタが好ましいが、サーミスタ素子以外に焦電素子等も採用可能である。
Claims (6)
- 定着ローラまたは定着ベルトと、前記定着ローラまたは前記定着ベルトとの間に定着ニップを形成する加圧ローラと、前記定着ローラおよび前記定着ベルトに熱を発生させる加熱機構と、これらを内部に保持する筐体とを備えた定着装置であって、
前記定着ローラまたは前記定着ベルトからの赤外線を受けて温度を検出する赤外線センサを備え、
該赤外線センサが、絶縁性フィルムと、該絶縁性フィルムの一方の面に互いに離間させて設けられた第1の感熱素子及び第2の感熱素子と、前記絶縁性フィルムの一方の面に形成され前記第1の感熱素子に接続された導電性の第1の配線膜及び前記第2の感熱素子に接続された導電性の第2の配線膜と、前記第2の感熱素子に対向して前記絶縁性フィルムの他方の面に設けられた赤外線反射膜とを備え、前記筐体内に、前記絶縁性フィルムの他方の面を前記定着ローラまたは前記定着ベルトの外周面または内周面に向けて対向設置されていることを特徴とする定着装置。 - 請求項1に記載の定着装置において、
前記赤外線センサが、前記定着ローラの内側に設置されていることを特徴とする定着装置。 - 請求項1または2に記載の定着装置において、
前記第1の配線膜が、前記第1の感熱素子の周囲にまで配されて前記第2の配線膜よりも大きな面積で形成されていることを特徴とする定着装置。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載の定着装置において、
前記絶縁性フィルムが、ポリイミド基板で形成され、
前記赤外線反射膜、前記第1の配線膜及び前記第2の配線膜が銅箔で形成されていることを特徴とする定着装置。 - 請求項4に記載の定着装置において、
前記赤外線反射膜が、前記銅箔と、該銅箔上に積層された金メッキ膜とで構成されていることを特徴とする定着装置。 - 請求項1から5のいずれか一項に記載の定着装置において、
前記第1の感熱素子および前記第2の感熱素子が、サーミスタ素子であることを特徴とする定着装置。
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