JP2012224676A - 熱伝導性シート用樹脂組成物、熱伝導性シート及びパワーモジュール - Google Patents

熱伝導性シート用樹脂組成物、熱伝導性シート及びパワーモジュール Download PDF

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Abstract

【課題】窒化ホウ素の不純物の含有量に影響されることなく硬化反応を制御することができ、且つ熱伝導性及び電気絶縁性だけでなく放熱部材との接着性にも優れた熱伝導性シートを与える熱伝導性シート用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】熱硬化性樹脂と、窒化ホウ素の二次焼結粒子とを含む熱伝導性シート用樹脂組成物において、熱伝導性シートの121℃でのプレッシャークッカーテストにおける72時間後の抽出水のpHが6.5以上8.5以下となるように両性酸化物のナノ粒子を配合することを特徴とする熱伝導性シート用樹脂組成物とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱伝導性シート用樹脂組成物、熱伝導性シート及びパワーモジュールに関し、特に、パワーモジュールなどの電気・電子機器の発熱部材から放熱部材へ熱を伝達させる熱伝導性シートの製造に用いられる熱伝導性シート用樹脂組成物、並びにこの熱伝導性シート用樹脂組成物を用いて製造される熱伝導性シート及びパワーモジュールに関する。
電気・電子機器の発熱部から生じた熱を放熱部材に伝達させる部材には、熱伝導性及び電気絶縁性に優れていることが要求される。この要求を満たす部材として、熱伝導性及び電気絶縁性に優れた無機充填材を熱硬化性樹脂の硬化物中に分散した熱伝導性シートが広く用いられている。熱伝導性及び電気絶縁性に優れた無機充填材としては、アルミナ、窒化ホウ素(BN)、シリカ、窒化アルミニウムなどが知られているが、その中でも窒化ホウ素は、熱伝導性及び電気絶縁性に加えて化学的安定性にも優れており、しかも無毒性且つ比較的安価でもあるため、熱伝導性シートに用いるのに最適である。また最近では、熱伝導性シート中の窒化ホウ素の配向を制御する観点から、等方的な熱伝導性を有する窒化ホウ素の二次焼結粒子が用いられている。一方、熱硬化性樹脂としては、発熱部材や放熱部材に対する接着力及び熱伝導性シートの耐熱性などの観点から、エポキシ樹脂が一般に用いられている。
一般に、熱伝導性シートは、熱硬化性樹脂及び無機充填材を含む樹脂組成物を用い、放熱部材(例えば、金属箔)にシート状に塗布した後、乾燥炉などで乾燥させることによって製造される。また、パワーモジュールなどの電気・電子機器に熱伝導性シートを組み込む場合、乾燥の際に樹脂組成物を半硬化させてBステージ状態の熱伝導性シートを作った後、加熱下で放熱部材(例えば、金属板やヒートシンク)と密着させることにより、熱硬化性樹脂の完全硬化と放熱部材に対する接着とを同時に行う。したがって、ロットごと樹脂組成物の硬化反応が異なる場合、放熱部材に対する熱伝導性シートの接着性が十分でないことがある。例えば、樹脂組成物の硬化反応が進みすぎてしまったBステージ状態の熱伝導性シートを用いた場合、放熱部材と十分に接着されず、熱伝導性シートが剥離するなどの問題が生じる。また、ロットごとに樹脂組成物の硬化反応の進み具合が異なる場合、樹脂組成物のゲルタイムを安定化させることもできない。
そこで、特許文献1では、窒化ホウ素に含まれる不純物成分(三酸化ホウ素)によるエポキシ樹脂の硬化反応への影響を抑えるために、アミン系又はイミダゾール系の硬化促進剤を樹脂組成物に配合することが提案されている。また、特許文献2では、硬化時間を遅延させるために酸性化合物を配合した樹脂組成物が提案されている。
特開2008−88405号公報 特開2005−272599号公報
しかしながら、窒化ホウ素には、三酸化ホウ素のような酸性物質だけでなくアンモニアのような塩基性物質も不純物として存在しているため、樹脂組成物の硬化反応を制御するためには、これらの両方の不純物による影響を考慮する必要がある。特に、これらの不純物は、窒化ホウ素の製造時に発生するため、ロットごとに窒化ホウ素の不純物の含有量も異なっていることが多く、窒化ホウ素の不純物の含有量に影響されることなく樹脂組成物の硬化反応を制御する必要がある。この点に関し、引用文献1では、三酸化ホウ素のような酸性物質による硬化反応への影響しか考慮されていないため、樹脂組成物の硬化反応を十分に制御することができない。また、引用文献2では、酸性化合物の配合によって樹脂組成物の硬化反応を遅延させることができるもの、不純物の含有量がロットごとに異なる窒化ホウ素を含む樹脂組成物の硬化反応を常に制御することは難しい。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、窒化ホウ素の不純物の含有量に影響されることなく硬化反応を制御することができ、且つ熱伝導性及び電気絶縁性だけでなく放熱部材との接着性にも優れた熱伝導性シートを与える熱伝導性シート用樹脂組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、熱伝導性及び電気絶縁性だけでなく放熱部材との接着性にも優れた熱伝導性シートを提供することを目的とする。
さらに、本発明は、熱放散性及び電気絶縁性に優れ、信頼性の高いパワーモジュールを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記のような問題を解決すべく鋭意研究した結果、不純物として存在する酸性物質及び塩基性物質の含有量がロットごとに異なる窒化ホウ素による樹脂組成物のpH変化が、樹脂組成物の硬化反応の速度にバラツキを与える要因となっていることに着目し、樹脂組成物のpHが特定の範囲となるように両性酸化物のナノ粒子を配合することにより、樹脂組成物の硬化反応を制御し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、熱硬化性樹脂と、窒化ホウ素の二次焼結粒子とを含む熱伝導性シート用樹脂組成物において、熱伝導性シートの121℃でのプレッシャークッカーテストにおける72時間後の抽出水のpHが6.5以上8.5以下となるように両性酸化物のナノ粒子を配合することを特徴とする熱伝導性シート用樹脂組成物である。
また、本発明は、熱硬化性樹脂の硬化物中に窒化ホウ素の二次焼結粒子を含む熱伝導性シートにおいて、熱伝導性シートの121℃でのプレッシャークッカーテストにおける72時間後の抽出水のpHが6.5以上8.5以下となるように両性酸化物のナノ粒子を配合することを特徴とする熱伝導性シートである。
さらに、本発明は、一方の放熱部材に搭載された電力半導体素子と、前記電力半導体素子で発生する熱を外部に放熱する他方の放熱部材と、前記電力半導体素子で発生する熱を前記一方の放熱部材から前記他方の放熱部材に伝達する、上記の熱伝導性シートとを備えることを特徴とするパワーモジュールである。
本発明によれば、窒化ホウ素の不純物の含有量に影響されることなく硬化反応を制御することができ、且つ熱伝導性及び電気絶縁性だけでなく放熱部材との接着性にも優れた熱伝導性シートを与える熱伝導性シート用樹脂組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、熱伝導性及び電気絶縁性だけでなく放熱部材との接着性にも優れた熱伝導性シートを提供することができる。
さらに、本発明によれば、熱放散性及び電気絶縁性に優れ、信頼性の高いパワーモジュールを提供することができる。
実施の形態2における熱伝導性シートの断面図である。 本実施の形態3におけるパワーモジュールの断面図である。 酸化チタンの質量割合と、不純物の含有量が異なる二次焼結粒子を用いた2種類の熱伝導性シート間のpHの差との関係を示すグラフである。 酸化チタンの比表面積と、不純物の含有量が異なる二次焼結粒子を用いた2種類の熱伝導性シート間のpHの差との関係を示すグラフである。
実施の形態1.
本実施の形態の熱伝導性シート用樹脂組成物(以下、「樹脂組成物」と略す。)は、窒化ホウ素の二次焼結粒子及び熱硬化性樹脂に加えて、両性酸化物のナノ粒子を含む。
両性酸化物は、酸性及び塩基性の両方の特性を示す両性物質である。つまり、両性酸化物は、酸性溶液中では塩基性物質として働き、塩基性溶液中では酸性物質として働く。そのため、両性酸化物の配合により、ロットごとに異なる窒化ホウ素の不純物の種類及び含有量に起因する樹脂組成物のpH変動を抑制することが可能になる。その結果、樹脂組成物の硬化反応の速度が安定化し、Bステージ状態の硬化の度合いを一定に保つことができ、放熱部材との接着性に優れた熱伝導性シートを得ることが可能になる。
両性酸化物としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを使用することができる。両性酸化物の例としては、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛などが挙げられる。これらの両性酸化物は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
両性酸化物による樹脂組成物のpH変動を抑制する効果は、両性酸化物の結晶表面に水が吸着し、結合形態の異なる2種類のOH官能基が酸及び塩基としてそれぞれ作用することによって生じると考えられる。そのため、樹脂組成物のpH変動を抑制する効果を十分に得るために、両性酸化物は、比表面積が大きいナノ粒子である必要がある。ここで、本明細書において「ナノ粒子」とは、平均粒径が1nm以上500nm以下の粒子のことを意味する。両性酸化物をナノ粒子にする方法としては、特に限定されず、公知の方法に準じて所定の平均粒径のものを作製することができる。このような両性酸化物のナノ粒子として、市販のものを用いることも可能である。
両性酸化物のナノ粒子の比表面積は、BET法によって測定される場合に、好ましくは20m/g以上である。比表面積が20m/g未満であると、樹脂組成物のpH変動を抑制する効果が十分に得られない場合がある。
両性酸化物のナノ粒子の配合量は、樹脂組成物を硬化して熱伝導性シートを作製した際に、その熱伝導性シートのプレッシャークッカーテストにおける121℃/72時間後の抽出水のpHが6.5以上8.5以下となるような量である。プレッシャークッカーテストは、pHが上記範囲内でないと、樹脂組成物のpH変動が大きくなり、樹脂組成物の硬化反応を十分に制御することができない。プレッシャークッカーテストによる抽出液のpHは、熱伝導性シート1g及び純水20gをそれぞれ秤量して容器に入れ、その容器を密封した後、121℃で72時間かけて加熱抽出し、室温まで冷却してから抽出液のpHをpH測定器で測定することによって求めることができる。
また、窒化ホウ素の二次焼結体及び両性酸化物のナノ粒子の合計質量に対する両性酸化物のナノ粒子の質量割合は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1質量%以上10質量%以下である。両性酸化物のナノ粒子の質量割合が1質量%未満であると、樹脂組成物のpH変動が大きくなり、樹脂組成物の硬化反応を十分に制御することができない。
窒化ホウ素の二次焼結粒子は、窒化ホウ素の一次粒子を等方的に凝集させ、焼結によって一次粒子同士を結着させたものである。この二次焼結粒子は、窒化ホウ素の一次粒子から構成されているため、三酸化ホウ素のような酸性物質や、アンモニアのような塩基性物質を不純物として含有する。
窒化ホウ素の一次粒子は、鱗片状の結晶構造を有している。また、窒化ホウ素の一次粒子は、長径方向(結晶方向)の熱伝導性が大きく、短径方向(層方向)の熱伝導性が小さいという熱的異方性を有しており、結晶のa軸方向(面方向)の熱伝導性は、c軸方向(厚み方向)の熱伝導性の数倍から数十倍と言われている。このような特徴を有する窒化ホウ素の一次粒子を樹脂組成物に配合して熱伝導性シートを一般的な方法によって作製すると、窒化ホウ素の長径方向がシート面方向と一致するように配向され易いため、シート厚み方向の熱伝導性は向上しない。
そこで、本発明では、等方的な熱伝導性を有する窒化ホウ素の二次焼結粒子を配合することにより、シート厚み方向の熱伝導性を向上させている。
二次焼結粒子を構成する窒化ホウ素の一次粒子の平均長径は、好ましくは15μm以下、より好ましくは0.1μm以上10μm以下である。ここで、本明細書において「窒化ホウ素の一次粒子の平均長径」とは、熱硬化性樹脂中に二次焼結粒子が分散された熱伝導性シートを実際に作製し、この熱伝導性シートの断面を研磨して電子顕微鏡で数千倍に拡大した写真を数枚撮影した後、一次粒子の長径を実際に測定し、その測定値を平均することによって求めた値を意味する。上記のような範囲の平均長径であれば、窒化ホウ素の一次粒子があらゆる方向を向いて凝集するため、等方的な熱伝導性を有する二次焼結粒子となる。一方、窒化ホウ素の一次粒子の平均長径が15μmよりも大きいと、窒化ホウ素の一次粒子が等方的に凝集しないため、二次焼結粒子の熱伝導性に異方性が現れることがある(すなわち、特定方向の熱伝導性だけが高くなることがある)。その結果、シート厚み方向の熱伝導性を十分に向上させることができない場合がある。
二次焼結粒子の形状は、特に限定されないが、球状であることが好ましい。二次焼結粒子が球状であれば、二次焼結粒子の配合量を多くしても樹脂組成物の流動性を確保することができる。
二次焼結粒子の平均粒径は、好ましくは20μm以上180μm以下、より好ましくは40μm以上130μm以下である。ここで、本明細書において「二次焼結粒子の平均粒径」とは、熱硬化性樹脂中に二次焼結粒子が分散された熱伝導性シートを実際に作製した後、この熱伝導性シートを、電気炉を用いて500℃〜800℃の温度で空気雰囲気中にて5〜10時間程度熱処理して灰化することによって得た二次焼結粒子について、レーザー回折・散乱法による粒度分布測定によって得られた粒径の平均値を意味する。二次焼結粒子の平均粒径が20μm未満であると、所望の熱伝導性を有する熱伝導性シートが得られないことがある。一方、二次焼結粒子の平均粒径が180μmを超えると、二次焼結粒子を樹脂組成物中に混合分散させることが困難となり、作業性や成形性に支障を生じることがある。
また、製造する熱伝導性シートの厚さに対する二次焼結粒子の最大粒径が大きすぎる場合、界面を伝って絶縁性が低下するおそれがある。そのため、二次凝集粒子の最大粒径は、製造する熱伝導性シートの厚さの約9割以下であることが好ましい。
二次焼結粒子は、窒化ホウ素の一次粒子を含むスラリーをスプレードライ法などの公知の方法によって凝集させて二次凝集粒子を得た後、焼結させることによって製造することができる。ここで、焼成温度は、特に限定されることはないが、一般に約2,000℃である。二次凝集粒子の形状は、特に限定されることはないが、球状であることが好ましい。球状の二次凝集粒子であれば、熱伝導性シートを製造する際に、樹脂の流動性を確保しつつ、充填量を多くすることができる。
二次焼結粒子の含有量は、樹脂組成物の固形分(熱伝導性シート)中で20体積%以上80体積%以下となることが好ましい。特に、樹脂組成物の固形分中の二次焼結粒子の含有量が30体積%以上65体積%以下の場合には、二次焼結粒子を樹脂組成物中に混合分散させ易く、作業性や成形性が良好であると共に、熱伝導性シートの熱伝導性がより一層向上する。二次焼結粒子の含有量が20体積%未満であると、所望の熱伝導性を有する熱伝導性シートが得られないことがある。一方、二次焼結粒子の含有量が80体積%を超えると、二次焼結粒子を樹脂組成物中に混合分散させることが困難となり、作業性や成形性に支障を生じることがある。
熱硬化性樹脂としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。熱硬化性樹脂の例としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。これらの中でも、エポキシ樹脂は、耐熱性や接着性などの特性に優れているので好ましい。エポキシ樹脂の例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、脂環脂肪族エポキシ樹脂、グリシジル−アミノフェノール系エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、硬化剤の例としては、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸及び無水ハイミック酸などの脂環式酸無水物;ドデセニル無水コハク酸などの脂肪族酸無水物;無水フタル酸及び無水トリメリット酸などの芳香族酸無水物;ジシアンジアミド及びアジピン酸ジヒドラジドなどの有機ジヒドラジド;トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール;ジメチルベンジルアミン;1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン及びその誘導体;2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール及び2−フェニルイミダゾールなどのイミダゾール類などが挙げられる。これらの硬化剤は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
硬化剤の配合量は、使用する熱硬化性樹脂や硬化剤の種類などに応じて適宜設定すればよいが、一般的に100質量部の熱硬化性樹脂に対して0.1質量部以上200質量部以下である。
本実施の形態の樹脂組成物は、二次焼結粒子と熱硬化性樹脂の硬化物との界面の接着力を向上させる観点から、カップリング剤を含むことができる。カップリング剤の例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらのカップリング剤は、単独又は組み合わせて用いることができる。
カップリング剤の配合量は、使用する熱硬化性樹脂やカップリング剤の種類などに応じて適宜設定すればよいが、一般的に100質量部の熱硬化性樹脂に対して0.01質量部以上1質量部以下である。
本実施の形態の樹脂組成物は、当該組成物の粘度を調整する観点から、溶剤を含むことができる。溶剤としては特に限定されず、使用する熱硬化性樹脂の種類や各成分の配合量などに応じて適宜選択すればよい。かかる溶剤としては、例えば、トルエンやメチルエチルケトンなどが挙げられる。これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
溶剤の配合量は、混練が可能な量であれば特に限定されず、一般的に熱硬化性樹脂と無機充填剤との合計100質量部に対して40質量部以上85質量部以下である。
上記のような構成成分を含有する本実施の形態の樹脂組成物の製造方法は、特に限定されず、公知の方法に従って行うことができる。例えば、樹脂組成物は、以下のようにして製造することができる。
まず、所定量の熱硬化性樹脂と、この熱硬化性樹脂を硬化させるために必要な量の硬化剤とを混合する。次に、この混合物に溶剤を加えた後、二次焼結粒子及び両性酸化物のナノ粒子を加えて予備混合する。なお、樹脂組成物の粘度が低い場合には、溶剤を加えなくてもよい。次に、この予備混合物を3本ロールやニーダなどを用いて混練することによって樹脂組成物を得ることができる。なお、樹脂組成物にカップリング剤を配合する場合、カップリング剤は混練工程前までに加えればよい。
上記のようにして製造される本実施の形態の樹脂組成物は、不純物として存在する酸性物質及び塩基性物質の含有量がロットごとに異なる窒化ホウ素による樹脂組成物のpH変化を、樹脂組成物のpHが特定の範囲となるように両性酸化物のナノ粒子を配合することによって制御しているため、樹脂組成物の硬化反応を制御することができる。そのため、樹脂組成物のゲルタイムや、熱伝導性シートをパワーモジュールなどに組み込む際にBステージ状態の硬化の度合いを安定化させることができるので、放熱部材との接着性に優れた熱伝導性シートを得ることができる。また、この樹脂組成物は、窒化ホウ素の二次焼結粒子を配合しているため、熱伝導性及び電気絶縁性に優れた熱伝導性シートを与えることができる。
実施の形態2.
本実施の形態の熱伝導性シートは、上記の樹脂組成物をシート状に成形した後、硬化してなるものである。すなわち、本実施の形態の熱伝導性シートは、熱硬化性樹脂の硬化物中に窒化ホウ素の二次焼結粒子を含み、熱伝導性シートの121℃でのプレッシャークッカーテストにおける72時間後の抽出水のpHが6.5以上8.5以下となるように両性酸化物のナノ粒子を配合している。
以下、図面を参照して本実施の形態の熱伝導性シートについて説明する。
図1は、本実施の形態における熱伝導性シートの断面図である。図1において、熱伝導性シート1は、熱硬化性樹脂の硬化物2と、この熱硬化性樹脂の硬化物2中に分散された窒化ホウ素の二次焼結粒子3及び両性酸化物のナノ粒子5とから構成されている。そして、窒化ホウ素の二次焼結粒子3は、窒化ホウ素の一次粒子4から構成されている。
本実施の形態の熱伝導性シート1は、上記の樹脂組成物を基材に塗布して乾燥した後、塗布乾燥物を加熱して硬化させることによって製造することができる。また、必要であれば塗布乾燥物を所定のプレス圧で加圧しながら加熱して硬化させてもよい。
ここで、基材としては、特に限定されず、例えば、離型処理された樹脂シートやフィルムなどの公知の離型性基材が挙げられる。また、熱伝導性シート1を放熱部材上に直接形成する場合には、放熱部材を基材として用いてもよい。ここで、放熱部材としては特に限定されないが、例えば、リードフレーム、ヒートシンク、ヒートスプレッダなどが挙げられる。
樹脂組成物の塗布方法としては、特に限定されず、ドクターブレード法などの公知の方法を用いることができる。
塗布した樹脂組成物の乾燥は、周囲温度で行ってよいが、溶剤の揮発を促進させる観点から、必要に応じて80℃以上150℃以下に加熱してもよい。
塗布乾燥物を加圧する場合、プレス圧は、特に限定されないが、好ましくは0.5MPa以上50MPa以下、より好ましくは1.9MPa以上30MPa以下である。また、プレス時間は、特に限定されないが、一般的に5分以上60分以下である。
塗布乾燥物の硬化温度は、使用する熱硬化性樹脂の種類にあわせて適宜設定すればよいが、一般的に150℃以上250℃以下である。また、硬化時間は、特に限定されないが、一般的に2分以上24時間以下である。
上記のようにして製造される本実施の形態の熱伝導性シートは、窒化ホウ素の不純物の含有量に影響されることなく硬化反応を制御できる樹脂組成物を用いて形成しているため、放熱部材との接着性に優れている。また、この熱伝導性シートは、窒化ホウ素の二次焼結粒子を配合しているため、熱伝導性及び電気絶縁性にも優れている。
実施の形態3.
本実施の形態のパワーモジュールは、上記の樹脂組成物から得られる熱伝導性シートを具備する。すなわち、本実施の形態のパワーモジュールは、一方の放熱部材に搭載された電力半導体素子と、電力半導体素子で発生する熱を外部に放熱する他方の放熱部材と、半導体素子で発生する熱を一方の放熱部材から他方の放熱部材に伝達する、上記の熱伝導性シートとを備えることを特徴とする。
以下、本実施の形態のパワーモジュールについて図面を用いて説明する。
図2は、本実施の形態のパワーモジュールの断面図である。図2において、パワーモジュール10は、一方の放熱部材であるリードフレーム12と、他方の放熱部材であるヒートシンク14と、リードフレーム12とヒートシンク14との間に配置された熱伝導性シート11と、リードフレーム12に搭載された電力半導体素子13及び制御用半導体素子15とを備えている。そして、電力半導体素子13と制御用半導体素子15との間、及び電力半導体素子13とリードフレーム12との間は、金属線16によってワイヤボンディングされている。また、リードフレーム12の外部接続部、及びヒートシンク14の外部放熱部以外は封止樹脂17で封止されている。
このパワーモジュールにおいて、熱伝導性シート11以外の部材は特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。例えば、電力半導体素子13としては、ケイ素によって形成されたものを用いることができるが、ケイ素に比べてバンドギャップが大きいワイドバンドギャップ半導体によって形成されたものを用いることが好ましい。ワイドバンドギャップ半導体としては、例えば、炭化ケイ素、窒化ガリウム系材料又はダイヤモンドが挙げられる。
ワイドバンドギャップ半導体によって形成された電力半導体素子13は、耐電圧性が高く、許容電流密度も高いため、電力半導体素子13の小型化が可能となる。そして、このように小型化された電力半導体素子13を用いることにより、電力半導体素子13を組み込んだパワーモジュールの小型化も可能になる。
また、ワイドバンドギャップ半導体により形成された電力半導体素子13は、耐熱性も高いため、リードフレーム12やヒートシンク14などの放熱部材などの小型化にもつながり、パワーモジュールの一層の小型化が可能になる。
さらに、ワイドバンドギャップ半導体により形成された電力半導体素子13は、電力損失も低いため、素子としての高効率化も可能となる。
パワーモジュールに熱伝導性シート11を組み込む方法としては、特に限定されることはなく、公知の方法に従って行うことができる。例えば、熱伝導性シート11を別個に作製した場合、電力半導体素子13などの各種部品を搭載したリードフレーム12と、ヒートシンク14との間に熱伝導性シート11を挟み込んだ後、これをトランスファーモールド成型用金型に配置し、トランスファーモールド成型装置を用いて封止樹脂17を金型に流し込み、加圧及び加熱して封止すればよい。
また、ヒートシンク14に熱伝導性シート11を直接形成した場合、電力半導体素子13などの各種部品を搭載したリードフレーム12を熱伝導性シート11上に配置した後、これをトランスファーモールド成型用金型に配置し、トランスファーモールド成型装置を用いて封止樹脂17を金型に流し込み、加圧及び加熱して封止すればよい。
なお、上記では、トランスファーモールド法による封止方法を説明したが、それ以外の公知の方法(例えば、プレス成形法、射出成形法、押出成形法)などを用いてもよい。
特に、パワーモジュールに熱伝導性シート11を組み込む場合、熱硬化性樹脂がBステージ状態(半硬化状態)にある熱伝導性シート11を予め作製しておき、これをリードフレーム12とヒートシンク14との間に挟みこんだ後、所定のプレス圧で加圧しながら150℃以上250℃以下に加熱することで熱伝導性シート11を作製することが好ましい。この方法によれば、熱伝導性シート11に対するリードフレーム12及びヒートシンク14の接着性を高めることができる。
上記のようにして製造される本実施の形態のパワーモジュールは、熱放散性及び電気絶縁性だけでなく放熱部材との接着性に優れた熱伝導性シート11を有しているので、熱放散性及び電気絶縁性に優れていると共に、信頼性も高い。
以下、実施例及び比較例により本発明の詳細を説明するが、これらによって本発明が限定されるものではない。
実施例及び比較例で用いた両性酸化物のナノ粒子(以下、「酸化チタン」と略す。)の種類及びその比表面積を表1に示す。
Figure 2012224676
下記の実施例1〜18及び比較例1〜8で用いた窒化ホウ素の二次焼結粒子を公知の方法で作製した。表2に二次焼結粒子の特徴を示す。
Figure 2012224676
表2中、二次焼結粒子中の不純物(三酸化ホウ素及びアンモニア)の含有量は、2.5gの二次焼結粒子と、50gのエタノール水溶液(エタノールの含有量20質量%)とをそれぞれ秤量して容器に入れ、その容器を密封した後、50℃で10時間かけて加熱抽出した。得られた抽出液において、三酸化ホウ素(B)の含有量をICPにより測定し、アンモニア(NH )をイオンクロマトグラフにより測定した。
(実施例1)
液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂(熱硬化性樹脂、ジャパンエポキシレジン株式会社製エピコート828)100質量部と、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール(硬化剤、四国化成工業株式会社製キュアゾール2PN−CN)1質量部とを混合した後、メチルエチルケトン(溶剤)166質量部をさらに加えて混合攪拌した。次に、この混合物に、二次焼結粒子a又はbを287質量部加えて混合した後、酸化チタンCを15.2質量部さらに加えて混合した。次に、この混合物を三本ロールにて混練し、二次焼結粒子a又はb及び酸化チタンCが均一に分散された2種類の樹脂組成物を得た。
次に、この樹脂組成物を厚さ50μmの基材(PETフィルム)上にドクターブレード法にて塗布した後、110℃で15分間加熱乾燥させることによって、厚さが100μmでBステージ状態の熱伝導性シートを得た。
次に、基材上に形成したBステージ状態の熱伝導性シートを、熱伝導性シート側が内側になるように2枚重ねた後、120℃で1時間加熱し、さらに160℃で3時間加熱することで、熱硬化性樹脂を完全に硬化させ、2つの基材に挟まれた熱伝導性シートを得た。
(実施例2)
酸化チタンCの配合量を3質量部に変えたこと以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物及び2つの基材に挟まれた熱伝導性シートを得た。
(実施例3)
酸化チタンCの配合量を9質量部に変えたこと以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物及び2つの基材に挟まれた熱伝導性シートを得た。
(実施例4)
酸化チタンCの配合量を32質量部に変えたこと以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物及び2つの基材に挟まれた熱伝導性シートを得た。
(実施例5)
酸化チタンCの代わりに酸化チタンAを用いたこと以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物及び2つの基材に挟まれた熱伝導性シートを得た。
(実施例6)
酸化チタンCの代わりに酸化チタンBを用いたこと以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物及び2つの基材に挟まれた熱伝導性シートを得た。
(実施例7)
酸化チタンCの代わりに酸化チタンDを用いたこと以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物及び2つの基材に挟まれた熱伝導性シートを得た。
(実施例8)
酸化チタンCの代わりに酸化チタンEを用いたこと以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物及び2つの基材に挟まれた熱伝導性シートを得た。
(実施例9)
酸化チタンCの代わりに酸化チタンFを用いたこと以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物及び2つの基材に挟まれた熱伝導性シートを得た。
(比較例1)
酸化チタンCを配合しないこと以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物及び2つの基材に挟まれた熱伝導性シートを得た。
(比較例2)
酸化チタンCの配合量を1.8質量部に変えたこと以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物及び2つの基材に挟まれた熱伝導性シートを得た。
実施例1〜9及び比較例1〜2で得られた熱伝導性シートについて、プレッシャークッカーテストにおける抽出液のpHの測定を次のようにして行った。
熱伝導性シート1g及び純水20gをそれぞれ秤量して容器に入れ、その容器を密封した後、121℃で72時間かけて加熱抽出し、室温まで冷却してから抽出液のpHをpH測定器で測定した。また、異なる二次焼結粒子を用いた場合に抽出液のpHにどの程度のバラツキが出るのかを示すために、各実施例及び比較例で作製した2種類の熱伝導性シート間のpHの差の絶対値を算出した。これらの結果を表3に示す。なお、各実施例及び比較例で使用した成分の種類や配合量などについても表3にまとめた。ここで、配合量は、特に単位を明記しない限りは質量部である。
Figure 2012224676
表3の結果に示されているように、実施例1〜9の熱伝導性シートは、プレッシャークッカーテストにおける抽出液のpHが6.5〜8.5の範囲にあり、不純物の含有量が異なる二次焼結粒子を用いた2種類の熱伝導性シート間のpHの差も小さかった。したがって、樹脂組成物の硬化反応速度のバラツキを抑えることができ、放熱部材との接着性が高まると考えられる。
一方、比較例1の熱伝導性シートは、酸化チタンを配合していないため、プレッシャークッカーテストにおける抽出液のpHを特定の範囲に制御することができず、不純物の含有量が異なる二次焼結粒子を用いた2種類の熱伝導性シート間のpHの差も大きかった。また、比較例2の熱伝導性シートは、酸化チタンを配合しているものの、その配合量が適切でないため、プレッシャークッカーテストにおける抽出液のpHを特定の範囲に制御することができず、不純物の含有量が異なる二次焼結粒子を用いた2種類の熱伝導性シート間のpHの差も大きかった。このように、不純物の含有量が異なる二次焼結粒子によってpHが変化すると、樹脂組成物の硬化反応速度のバラツキを抑えることができないため、放熱部材との接着性が低下してしまうと考えられる。
ここで、酸化チタンの質量割合(二次焼結粒子及び酸化チタンの合計質量に対する酸化チタンの質量割合)と、不純物の含有量が異なる二次焼結粒子を用いた2種類の熱伝導性シート間のpHの差との関係を示すグラフを図3に示す。このグラフでは、同じ種類の酸化チタンCを配合した実施例1〜4及び比較例2の熱伝導性シート、並びに酸化チタンを配合していない実施例1の熱伝導性シートにおける結果を比較した。
図3のグラフに示されるように、酸化チタンCを用いた場合は、その質量割合を1質量%以上とすることで、pH差を小さくすることができ、樹脂組成物の硬化反応速度のバラツキを抑えることができると考えられる。
次に、酸化チタンの比表面積と、不純物の含有量が異なる二次焼結粒子を用いた2種類の熱伝導性シート間のpHの差との関係を示すグラフを図4に示す。このグラフでは、同じ配合量の酸化チタンを配合した実施例1及び5〜9の熱伝導性シートにおける結果を比較した。
図4のグラフに示されるように、酸化チタンの比表面積が大きくなると、pH差が小さくなる傾向にある。酸化チタンの比表面積が17m/gでもpH差は十分に小さいが、より一層pH差を小さくして樹脂組成物の硬化反応速度のバラツキを抑えるには、酸化チタンの比表面積を20m/g以上とすることが好ましいと考えられる。
以上の結果からわかるように、本発明によれば、窒化ホウ素の不純物の含有量に影響されることなく硬化反応を制御することができ、且つ熱伝導性及び電気絶縁性だけでなく放熱部材との接着性にも優れた熱伝導性シートを与える熱伝導性シート用樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、熱伝導性及び電気絶縁性だけでなく放熱部材との接着性にも優れた熱伝導性シートを提供することができる。さらに、本発明によれば、熱放散性及び電気絶縁性に優れ、信頼性の高いパワーモジュールを提供することができる。
1 熱伝導性シート、2 熱硬化性樹脂の硬化物、3 窒化ホウ素の二次焼結粒子、4 窒化ホウ素の一次粒子、5 両性酸化物のナノ粒子、10 パワーモジュール、11 熱伝導性シート、12 リードフレーム、13 電力半導体素子、14 ヒートシンク、15 制御用半導体素子、16 金属線、17 封止樹脂。

Claims (9)

  1. 熱硬化性樹脂と、窒化ホウ素の二次焼結粒子とを含む熱伝導性シート用樹脂組成物において、
    熱伝導性シートの121℃でのプレッシャークッカーテストにおける72時間後の抽出水のpHが6.5以上8.5以下となるように両性酸化物のナノ粒子を配合することを特徴とする熱伝導性シート用樹脂組成物。
  2. 前記窒化ホウ素の二次焼結粒子及び前記両性酸化物のナノ粒子の合計質量に対する前記両性酸化物のナノ粒子の質量割合が1質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導性シート用樹脂組成物。
  3. 前記両性酸化物のナノ粒子の比表面積が20m/g以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱伝導性シート用樹脂組成物。
  4. 熱硬化性樹脂の硬化物中に窒化ホウ素の二次焼結粒子を含む熱伝導性シートにおいて、
    熱伝導性シートの121℃でのプレッシャークッカーテストにおける72時間後の抽出水のpHが6.5以上8.5以下となるように両性酸化物のナノ粒子を配合することを特徴とする熱伝導性シート。
  5. 前記窒化ホウ素の二次焼結粒子及び前記両性酸化物のナノ粒子の合計質量に対する前記両性酸化物のナノ粒子の質量割合が1質量%以上であることを特徴とする請求項4に記載の熱伝導性シート。
  6. 前記両性酸化物のナノ粒子の比表面積が20m/g以上であることを特徴とする請求項4又は5に記載の熱伝導性シート。
  7. 一方の放熱部材に搭載された電力半導体素子と、前記電力半導体素子で発生する熱を外部に放熱する他方の放熱部材と、前記電力半導体素子で発生する熱を前記一方の放熱部材から前記他方の放熱部材に伝達する、請求項4〜6のいずれか一項に記載の熱伝導性シートとを備えることを特徴とするパワーモジュール。
  8. 前記電力半導体素子は、ワイドバンドギャップ半導体によって形成されていることを特徴とする請求項7に記載のパワーモジュール。
  9. 前記ワイドバンドギャップ半導体は、炭化ケイ素、窒化ガリウム系材料又はダイヤモンドであることを特徴とする請求項8に記載のパワーモジュール。
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