JP2012223668A - 乾式脱硫方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 SOX濃度が高く、塩素及び/又は塩素化合物をガス成分として含み、存在比Cl/SOXが、モル比でCl/SOX>0.8の排ガスを乾式脱硫するための乾式脱硫方法であって、第一段のバグフィルタ1に導入される上記排ガスに、Ca(カルシウム)系アルカリ剤を投入し、第一段の乾式脱硫を行うステップと、該第一段の乾式脱硫を行うステップを経て、第二段のバグフィルタ2に導入される排ガスに、Clの補給を行いつつ、Ca(カルシウム)系アルカリ剤を投入し、第二段の乾式脱硫を行うステップであって、上記第二段のバグフィルタ2への投入比Cl/SOXが、モル比でCl/SOX>0.5となるように調整するようにしたステップとを含むとした。
【選択図】 図1
Description
本発明に係る乾式脱流方法では、その一実施の形態で、上記第一段のバグフィルタに導入される排ガスの一部をバイパスして上記第二段のバグフィルタにバイパスすることにより、上記第二段のバグフィルタに導入される排ガスに、Clの補給を行うことができる。
また、本発明に係る乾式脱硫方法では、その一実施の形態で、上記第一段のバグフィルタの後流に設けられたSOX濃度計、HCl濃度計による検出結果に基づき、上記第一段のバグフィルタから排ガスをバイパスして上記第二段のバグフィルタにバイパスされる排ガスのバイパス量を決定することとしている。
また、本発明に係る乾式脱硫方法では、その一実施の形態で、上記第一段のバグフィルタの下部から排出されるバグフィルタ捕集灰の一部を抜き出し、上記第二段のバグフィルタの上流で排ガス中に供給することとしている。
本発明に係る乾式脱硫装置では、その一実施の形態で、上記第一段のバグフィルタを経た排ガスをバイパスして上記第二段のバグフィルタにバイパスすることにより、上記第二段のバグフィルタに導入される排ガスに、Clの補給を行うことができる。
また、本発明に係る乾式脱硫装置では、その一実施の形態で、上記第一段のバグフィルタの後流にSOX濃度計、HCl濃度計を設け、SOX濃度計、HCl濃度計による検出結果に基づき、上記第一段のバグフィルタをバイパスして上記第二段のバグフィルタにバイパスされる排ガスのバイパス量を決定することとしている。
また、本発明に係る乾式脱硫装置では、その一実施の形態で、上記第一段のバグフィルタの下部から排出されるバグフィルタ捕集灰の一部を抜き出し、上記第二段のバグフィルタの上流で排ガス中に供給するラインを備えることとしている。
第1の実施の形態
図1に、本発明に係る乾式脱硫方法を実施するための装置について、第1の実施の形態を概念的に示す。この第1の実施の形態に係る装置の構成を説明しつつ、同時に、第1の実施の形態に係る乾式脱硫方法を説明する。
第1の実施の形態に係る乾式脱硫装置は、第一段のバグフィルタ1と、第二段のバグフィルタ2とを備える。
本発明では、本実施の形態も含めて、石炭、下水汚泥、産業廃水汚泥、各種産業廃棄物、バイオマス若しくは都市ごみ等の、燃焼炉、焼却炉、熱分解炉、又は溶融炉等から排出される排ガスを処理対象とする。さらに、本発明では、このような排ガスのうち、特にSOX濃度が高いものを処理対象とする。本発明の処理対象となる排ガスについて、SOX濃度の範囲としては、具体的に200〜800ppmのものを想定している。
またさらに、第一段のバグフィルタ1に導入される排ガスは、存在比Cl/SOXが、モル比でCl/SOX>0.8であるか、又は、そのような存在比となるように予め調整されたものである。なお、存在比は、より好適には、モル比でCl/SOX>1である。
また、このような処理対象となる排ガスの温度範囲は、150〜240℃であり、より好適には160〜220℃である。
反応助剤は、バグフィルタのろ布表面に安定したケーキ層を形成するためのものである。このケーキ層は、酸性ガス成分と共に除去される。すなわち、第一段のバグフィルタ1では、反応助剤によって、ろ布表面に安定したケーキ層が形成される。一方、中和剤は、排ガス中のHCl、SOXと反応し、このケーキ層に取り込まれる。ケーキ層はろ布から適宜のタイミングで剥離し、回収される。これによって、酸性ガス成分が除去される。
ここで、第一段のバグフィルタ1に導入される排ガスは、存在比Cl/SOXが、モル比でCl/SOX>0.8のもの、より好適にはCl/SOX>1のものを対象としている。これは、先に述べたように、バグフィルタのケーキ層中でSOxがCa系アルカリ剤と固気反応するにはClの存在が不可欠であるからであり、少なくともClの存在は以下に示す実験的事実から、少なくともCl/SOX比が高効率脱硫では0.8以上必要であることが判ったからである。
これに関連して、図2に、本発明者らが得た知見を概念的に示した特性を示す。
図2で、縦軸は、脱硫率、横軸は、存在比(Cl/SOX)である。この図から了解されるように、モル比でCl/SOX>0.8の範囲で、脱硫率が70〜80%であり、モル比でCl/SOX>1の範囲であれば、脱硫率が90%に達する。一方、このモル比が0.5以下になると脱硫反応が急激に減衰しており、0.5が臨界点であることがわかる。なお、ここでの脱硫率は、排ガス温度:160℃、ろ過速度:0.8m/min、SOx:100〜500ppm、Ca(OH)2当量比:2.5とした条件での脱硫率である。
なおまた、存在比をCl/SOX>4とすることにより、95〜98%の脱流率を期待することができる。存在比Cl/SOXは、大きければ大きいほど、脱硫率の上昇が見込まれる。しかし、Cl/SOX>4とすることにより、95〜98%の脱硫率が見込まれることから、採用の上限を例えば、Cl/SOX=5のようにと設定することができる。実用的には、第一段のバグフィルタ1に導入される排ガスは、0.8<Cl/SOX<2.5の範囲で運用すれば、安定した脱硫性能を維持することができる。
図2で観測されるような事実に関しては、CaがClと反応し、すみやかに形成されるCaCl2粒子が、何らかの機序によって、SOXとCaとの反応を促進していることが推測される。けだし、Clが存在しない系での脱硫率は、10%に満たないことを経験しているためである。
例えば、1000ppmのHCl、500ppmのSOXが存在する排ガスの場合、モル比でCl/SOX=2である。第一段のバグフィルタ1の出口でHCl:20ppm、SOX:50ppmに低減することができたとする。このような出口段階の排ガスでは、モル比(Cl/SOX)が0.5に満たず、脱硫率は低下している。
バイパス率を10%とすると、第二段のバイパスフィルタの入口で、モル比Cl/SOXが1.2となり、Cl/SOX>0.5を満足し、好適な範囲に脱硫率を維持することができる。これによって、第二段のバグフィ2の出口で、HCl:2ppm以下、SOX:10ppmとすることができる。このようにして、SOXの濃度を極低濃度とすることができる。
なお、一般的に、第二段のバグフィルタ2の入口で、Cl/SOX>0.5〜2.0とすることが好適である。
図3に、本発明に係る乾式脱硫方法を実施するための装置について、第2実施の形態を概念的に示す。
第2の実施の形態では、第1の実施の形態と装置構成は、ほぼ同様である。第1の実施の形態と相違する点は、第二段のバグフィルタに対し、Ca(カルシウム)系アルカリ剤に加え、重曹を投入している点である。
特段の深度脱硫を行うことが要求される場合に、この手法を採用することができる。重曹の添加割合は、Ca(カルシウム)系アルカリ剤と重曹との合計に対し、0.1〜0.5(量基準)の範囲である。
図4に、本発明に係る乾式脱硫方法を実施するための装置について、第3実施の形態を概念的に示す。
第3の実施の形態では、第1又は第2の実施の形態の装置構成に対し、第一段のバグフィルタ1の後流に、SOX濃度計8と、HCl濃度計9とを設置している。第3の実施の形態では、これらの濃度計8、9での検出結果に基づき、モル比Cl/SOXが所定の範囲に維持されるように、ライン7からの排ガスのバイパス量を決定し、コントロールバルブ10を制御するようにしている。
第二段のバグフィルタ2に導入される排ガス中のモル比Cl/SOXを0.5〜2.0の範囲に保つことにより、高い脱硫率を得ることができる。
図5に、本発明に係る乾式脱硫方法を実施するための装置について、第4実施の形態を概念的に示す。
第4の実施の形態では、第1〜第3のいずれかの実施の形態の装置構成に対し、第二段のバグフィルタ2の後流に、SOX濃度計11を設けている。なお、SOX濃度計8、HCl濃度計9、及びコントロールバルブ10は、第1〜第3の実施の形態に応じて備えることができ、図中では省略している。
第4の実施の形態では、SOX濃度計11で検出されるSOX濃度が、計画値を下回るように、コントロールバルブ12の開度を制御し、第二段のバグフィルタ2へのCa(カルシウム)系アルカリ剤の供給量を制御する。
これによって、安定して高い脱硫率を得ることができる。
図6に、本発明に係る乾式脱硫方法を実施するための装置について、第5実施の形態を概念的に示す。
第5の実施の形態では、第1〜第4のいずれかの実施の形態の装置構成に対し、第一段のバグフィルタ1の下部から排出されるバグフィルタ捕集灰の一部を抜き出し、第二段のバグフィルタ2の上流で排ガス中に供給することとしている。そのための供給ライン13を備えている。捕集灰中に含まれるCaCl2を活用し、これによって、Ca(カルシウム)系アルカリ剤の使用量を低減することとしている。
なお、SOX濃度計8、11、HCl濃度計9、コントロールバルブ10、12も第1〜第4の形態に応じて備えることができ、図中では省略している。
図7に、本発明に係る乾式脱硫方法を実施するための装置について、第6実施の形態を概念的に示す。
第6の実施の形態では、第1〜5のうち、いずれかの実施の形態に係る装置構成において、上流の燃焼炉14に、RDF(Refuse Derived Fuel、ごみ燃料)、アルカリ土類金属塩化物、及びアルカリ塩化物から選ばれた少なくとも一種を投入することとしている。これによってHClガスの濃度を補足することができる。
なお、図7は、図1の実施の形態に相当するもののみ、代表的に図示している。
図8に、本発明に係る乾式脱硫方法を実施するための装置について、第7実施の形態を概念的に示す。
第7の実施の形態は、第1の実施の形態で設けたバイパスライン7を設けず、捕集灰の供給ライン13のみを設けている。第7の実施の形態では、捕集灰中に含まれる反応性生物CaCl2を活用することによって、上記第二段のバグフィルタへの投入比Cl/SOXが、モル比でCl/SOX>0.5となるように調整する。
なお、第7実施の形態でも、SOX濃度計、HCl濃度計を第一段のバグフィルタの後流に設け、コントロールバルブを備えることにより、第3の実施の形態と同様の制御を行うことができる。また、SOX濃度計を第二段のバグフィルタの後流に設け、コントロールバルブを備えることにより、第4の実施の形態と同様の制御を行うことができる。
2 第二段のバグフィルタ
3、4、5、6、7 ライン
8、11 SOX濃度計
9 HCl濃度計
10、12 コントロールバルブ
13 捕集灰供給ライン
14 燃焼炉
Claims (16)
- SOX濃度が高く、塩素及び/又は塩素化合物をガス成分として含む排ガスを乾式脱硫するための乾式脱硫方法であって、第一段のバグフィルタに導入される上記排ガスに、Ca系アルカリ剤を投入し、第一段の乾式脱硫を行うステップと、
該第一段の乾式脱硫を行うステップを経て、第二段のバグフィルタに導入される排ガスに、Clの補給を行いつつ、Ca系アルカリ剤を投入し、第二段の乾式脱硫を行うステップであって、上記第二段のバグフィルタへの投入比Cl/SOXが、モル比でCl/SOX>0.5となるように調整するようにしたステップと
を含むことを特徴とする乾式脱硫方法。 - 上記第一段のバグフィルタに導入される排ガスの一部をバイパスして上記第二段のバグフィルタにバイパスすることにより、上記第二段のバグフィルタに導入される排ガスに、Clの補給を行うことを特徴とする請求項1の乾式脱硫方法。
- 上記第二段のバグフィルタに、Ca系アルカリ剤に加え、重曹を投入することを特徴とする請求項1又は2の乾式脱硫方法。
- 上記第一段のバグフィルタの後流に設けられたSOX濃度計、HCl濃度計による検出結果に基づき、上記第一段のバグフィルタをバイパスして上記第二段のバグフィルタにバイパスされる排ガスのバイパス量を決定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかの乾式脱硫方法。
- 上記第二段のバグフィルタの後流に設けられたSOX濃度計で検出されるSOX濃度が、計画値を下回るように、上記第二段のバグフィルタへのCa系アルカリ剤の供給量を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれかの乾式脱硫方法。
- 上記第一段のバグフィルタの下部から排出されるバグフィルタ捕集灰の一部を抜き出し、上記第二段のバグフィルタの上流で排ガス中に供給することを特徴とする請求項1〜4のいずれかの乾式脱硫方法。
- 上流の燃焼炉に、ごみ燃料、アルカリ土類金属塩化物、及びアルカリ塩化物から選ばれた少なくとも一種を投入することを特徴とする請求項1〜6のいずれかの乾式脱硫方法。
- 上記第一段のバグフィルタを経た排ガスが、第二段のバグフィルタに導入する前に、捕集灰を投入し、排ガスをバイパスして供給しないことを特徴とする請求項1の乾式脱硫方法。
- SOX濃度が高く、塩素及び/又は塩素化合物をガス成分として含む排ガスを乾式脱硫するための乾式脱硫装置であって、導入される上記排ガスに、Ca(カルシウム)系アルカリ剤が投入され、第一段の乾式脱硫を行う第一段のバグフィルタと、第一段の乾式脱硫を経て導入される排ガスに、Clの補給を行いつつ、Ca(カルシウム)系アルカリ剤が投入され、第二段の乾式脱硫を行う第二段のバグフィルタとを備え、上記第二段のバグフィルタへの投入比Cl/SOXが、モル比でCl/SOX>0.5となるように調整するように構成してなることを特徴とする乾式脱硫装置。
- 上記第一段のバグフィルタをバイパスして上記第二段のバグフィルタにバイパスすることにより、上記第二段のバグフィルタに導入される排ガスに、Clの補給を行うことを特徴とする請求項9の乾式脱硫装置。
- 上記第二段のバグフィルタが、Ca(カルシウム)系アルカリ剤に加え、重曹を投入されることを特徴とする請求項9又は10の乾式脱硫装置。
- 上記第一段のバグフィルタの後流にSOX濃度計、HCl濃度計を設け、SOX濃度計、HCl濃度計による検出結果に基づき、排ガスのバイパス量を決定することを特徴とする請求項9〜11のいずれかの乾式脱硫装置。
- 上記第二段のバグフィルタの後流にSOX濃度計を備え、SOX濃度計で検出されるSOX濃度が、計画値を下回るように、第二段のバグフィルタへのCa(カルシウム)系アルカリ剤の供給量を制御することを特徴とする請求項9〜12のいずれかの乾式脱硫装置。
- 上記第一段のバグフィルタの下部から排出されるバグフィルタ捕集灰の一部を抜き出し、上記第二段のバグフィルタの上流で排ガス中に供給するラインを備えることを特徴とする請求項9〜13のいずれかの乾式脱硫装置。
- 上流の燃焼炉に、ごみ燃料、アルカリ土類金属塩化物、及びアルカリ塩化物から選ばれた少なくとも一種を投入することを特徴とする請求項9〜14のいずれかの乾式脱硫装置。
- 上記第一段のバグフィルタを経た排ガスが、上記第二段のバグフィルタに導入する前に、捕集灰中のみを投入するラインを備え、排ガスをバイパスして供給しないことを特徴とする請求項9の乾式脱硫装置。
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